JP3695167B2 - デジタルカメラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、デジタルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の銀塩カメラとして、撮影レンズが交換できる一眼レフカメラが知られている。この銀塩一眼レフカメラは、図5及び図6に示すように、箱形のカメラ本体2と、このカメラ本体2の前面にマウント部3を介して着脱可能に装着された交換式撮影レンズ4とからなる。
【0003】
カメラ本体2内には、その後部位置において、撮影レンズ4のレンズ群5の焦点位置に合致するようにフィルム6が配設されている。フィルム6の前方近接位置には、フォーカルプレーンシャッター7が設けられており、さらに、その前方には、回転軸8を介して上下方向へ回動変位可能なクイックリターンミラー9が配設されている。
【0004】
カメラ本体2内には、レンズ群5を通過した被写体の光学像を受光してフィルム結像面の合焦状態を検出するAF(オートフォーカス)センサ10等が配置されている。
【0005】
前記クイックリターンミラー9の上方には、フィルム結像面と等価な面に位置する態様で、フィルム結像面での合焦状態を再現する焦点板11が配設されている。また、カメラ本体2の上部には、ペンタ形のファインダー12が設けられており、上記焦点板11に結像した被写体の光学像を後方の接眼レンズ13に向かわせるペンタプリズム14が内蔵されている。また、上記ファインダー12内には、被写体の輝度を測定する測距センサ15等が配置されている。
【0006】
このような銀塩一眼レフカメラでは、常時は、クイックリターンミラー9は図5の実線で示すように、回転軸8側が後方フィルム寄り開放端側が前方撮影レンズ4寄りに位置した、光軸に対して45度の斜め傾斜状態にある。シャッターボタン16を押すと、クイックリターンミラー9が回転軸8を中心に図5の矢印方向に点線で示す水平状態になるまで回動変位した後に、フォーカルプレーンシャッター7が開き、ファインダー12によって視認された被写体像がフィルム6面に結像記録される。
【0007】
ところで、近年、半導体技術の進歩により、フィルムに代わって、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を使用したデジタルカメラが普及の途にある。このデジタルカメラは、基本的に、被写体の光学像を撮像素子で光電変換し、その出力を画像処理して画像データをメモリカード等の記録媒体に記録したり、記録画像を表示部やパーソナルコンピュータ等に再生表示できるものである。
【0008】
このようなデジタルカメラが普及するなかで、上記銀塩一眼レフカメラにおける資産を有効活用するために、銀塩一眼レフカメラのカメラ本体を利用してカメラ本体を構成するとともに、フィルムに代えて、撮像素子を配置したものが開発されている。
【0009】
ところで、銀塩一眼レフカメラのフィルム6は、厚さが数十ミクロンであるので、フィルム結像面に対して光軸方向に必要なスペースは、数十ミクロン強程度であればよい。このため、銀塩一眼レフカメラでは、そのようなスペースを確保するように設計されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、デジタルカメラの撮像素子は、一般に、その受光面が保護ガラスで覆われている。また、通常は、撮像素子と人間の視感度の差を解消するための赤外線カットフィルタと、撮像素子の画素ピッチ以上の細かい周波数成分の光束による疑似結像を防止するためのローパスフィルタも、前記保護ガラスの上に積層状態に配置される。従って、これらフィルター等の配置スペースを確保するためには、一般には撮像素子の受光面から前方へ5ミリ以上の大きな空間が必要となる。
【0011】
このため、前記撮像素子の受光面を銀塩一眼レフカメラのフィルムの結像面位置に配置した場合、前記撮像素子、フィルタを含む撮像ユニットが、フォーカルプレーンシャッター7やクイックリターンミラー9の回転軸近辺に機械的に干渉してしまうという欠点があった。
【0012】
なお、撮像素子はそれ自体が露光開始・終了を制御可能な機能(電子シャッター機能)を有しているため、フォーカルプレーンシャッター7を除去しても支障はない。しかし、クイックリターンミラー9を除去することは、大幅な構造変更になり、銀塩一眼レフカメラ資産の有効活用を図ることができなくなる。しかも、カメラ本体2のマウント部3からフィルム結像面までの距離の変更は、銀塩一眼レフカメラ用カメラ本体2を利用する限り困難であり、フィルム結像面の合焦状態を焦点板11で再現させるためにも、クイックリターンミラー9の配置位置は決まってしまうことから、クイックリターンミラー9を前方に移動させることも困難であった。
【0013】
また、上記のような機械的干渉を回避するため、前記フィルターを薄型にすることも行われているが、フィルターの薄型化はフィルター性能の低下を招き、ひいては得られる撮影画像の画質が低下してしまうという欠点を派生するものであった。
【0014】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、銀塩一眼レフカメラにおけるカメラ本体の大幅な改造や画質の低下を生じることなく、撮像ユニットとクイックリターンミラーとが互いに干渉するのを防止できるデジタルカメラの提供を課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、銀塩一眼レフカメラ用のカメラ本体と、該カメラ本体に装着され、被写体の光学像をカメラ本体内のフィルム位置に結像させる撮影レンズと、フィルムに代わって結像位置に配置され前記撮影レンズからの光学像を受光して光電変換する撮像素子を含む撮像ユニットと、前記カメラ本体に設けられ、前記撮影レンズを通過した光学像をファインダーに向けて反射する第1の位置と、前記光学像を前記撮像素子に向けて通過させるべく前記第1の位置から退避した第2の位置と、の間を回転軸を中心に回動可能なクイックリターンミラーと、を備えたデジタルカメラにおいて、前記クイックリターンミラーの回転軸側に、クイックリターンミラーが前記第1の位置の状態にある時に該クイックリターンミラーと前記撮像ユニットとの相互の機械的干渉を回避するために設けられ、光学像の一部を反射しない切り欠き部が形成されていることを特徴とするデジタルカメラによって解決される。
【0016】
このデジタルカメラによれば、クイックリターンミラーの回転軸側に形成した切り欠き部により、クイックリターンミラーと撮像ユニットとの相互の機械的干渉が回避される。また、フィルタ等を薄型にする必要もないので、フィルタ等の機能も損なわれることはない。また、クイックリターンミラーを残存させるので、銀塩一眼レフカメラ資産が有効に活用される。
【0017】
また、前記撮像ユニットは、撮像素子の受光面中心が、前記撮影レンズの光軸に対してクイックリターンミラーの回転軸から離れる方向へ偏芯して配置されていても良い。
【0018】
クイックリターンミラーは、常時は、回転軸側が後方に開放端側が前方に位置した斜め傾斜状態にあることから、クイックリターンミラーと撮像ユニットとの隙間は、回転軸から離間するにつれて大きくなっている。上記デジタルカメラによれば、撮像素子の受光面中心が、前記撮影レンズの光軸に対してクイックリターンミラーの回転軸から離れる方向、つまり前記隙間の大きな方向へ偏芯して配置されているから、クイックリターンミラーと撮像ユニットとの機械的干渉が回避される。また、フィルタ等を薄型にする必要もないので、フィルタ等の機能も損なわれることはない。また、クイックリターンミラーを残存させるので、銀塩一眼レフカメラ資産が有効に活用される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係るデジタルカメラの実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、それぞれこの発明に係るデジタルカメラの第1の実施形態をを示すものである。
【0020】
このデジタルカメラ1は、箱形のカメラ本体2と、このカメラ本体2の前面にマウント部3を介して着脱可能に装着された交換式撮影レンズ4とからなる。
【0021】
前記カメラ本体2は、銀塩一眼レフカメラのカメラ本体を利用して構成されている。即ち、カメラ本体2内には、フィルム位置の前方に、回転軸8を介して上下方向へ回動変位可能なクイックリターンミラー9が配設されているとともに、撮影レンズ4のレンズ群5を通過した被写体の光学像を受光して、合焦状態を検出するAF(オートフォーカス)センサ10等が配置されている。
【0022】
前記クイックリターンミラー9の上方には、焦点板11が配設されている。また、カメラ本体2の上部には、ペンタ形のファインダー12が設けられており、上記焦点板11に結像した被写体の光学像を後方の接眼レンズ13に向かわせるペンタプリズム14が内蔵されている。また、上記ファインダー12内には、被写体の輝度を測定する測距センサ15等が配置されている。
【0023】
同図において、上記カメラ本体2内には、受光面21aが銀塩フィルムの結像面に合致する態様で、撮像素子としてのCCD21が上記レンズ群5の光軸上に配設されている。CCD21は、配線基板22の主面(撮影レンズ4側の面)に実装されており、その表面は保護ガラス23で被覆されるとともに、さらに、このガラス23の表面には、前述した赤外線カットフィルタ24Aを外層とし、ローパスフィルタ24Bを内層とするフィルタ部24が、CCD21と同軸積層状態に配置されており、これらCCD21、配線基板22、保護ガラス23、フィルタ部24で、これらが一体となった撮像ユニットBが形成されている。
【0024】
従って、前記撮像ユニットBは、上記フィルタ部24がCCD21から前方つまりクイックリターンミラー9側に向かって突出した構造となっており、このままでは、撮像ユニットBの前側上端部がクイックリターンミラー9の回転軸8付近に対して機械的に干渉することになる。
【0025】
そこで、上記クイックリターンミラー9の回転軸8側に、図2に示すように、幅方向の略全長にわたる正面形状が凹状の空所(切り欠き部)25を形成してある。
【0026】
ところで、銀塩一眼レフカメラのクイックリターンミラー9は、被写体からの光学像をすべて銀塩フィルム6の結像面に向けて反射させることができる大きさに設計されている。これに対して、この実施形態ではCCD21の受光面21aは銀塩カメラのフィルム6よりも小さくしてあり、このためクイックリターンミラー9も銀塩一眼レフカメラのものより小形であっても良い。したがって、図2に示すように、クイックリターンミラー9の回転軸8側を、CCD21が必要とする光学像が得られる範囲で凹状に切り欠くことにより、前記干渉の問題を解消することができる。
【0027】
なお、上記クイックリターンミラー9の回転軸8付近以外は、上記干渉の問題は生じないため、切り欠く必要はない。
【0028】
次に、図1及び図2に示したデジタルカメラの動作を説明する。
【0029】
撮影者は、まず、撮影レンズ4をカメラ本体2にマウント部3を介して装着すと、カメラ本体2内にあるマイクロコンピュータ(以下、カメラ側マイコンという)と、撮影レンズ4側にあるマイクロコンピュータ(以下、レンズ側マイコンという)との間で信号の授受が可能となる。カメラ本体2から撮影レンズ4に対して合焦等の制御が可能となり、また、撮影レンズ4に関する情報のカメラ本体2への伝達が可能となる。
【0030】
また、被写体からの光学像は、レンズ群5を通過した後、常時は、光軸に対して45度の反射位置(実線で示す位置)にあるクイックリターンミラー9で反射して焦点板11に結像する。焦点板11の光学的位置は、撮像素子21の受光面21aと等価であり、受光面21aでの合焦状態が焦点板11で再現されている。その再現像がペンタプリズム14を経て接眼レンズ13に至るので、撮影者は接眼レンズ13から上記再現像を確認することができる。
【0031】
撮影者がカメラ本体2の図示しない電源スイッチを操作すると、カメラ側マイコンが起動し、このカメラ側マイコンの初期化動作が行われる。その後、カメラ側マイコンがレンズ側マイコンからレンズ情報を受けて、フォーカス及び絞り等の初期駆動命令をレンズ側マイコンに送信して駆動させる。
【0032】
その後、カメラ側マイコンで撮影者のシャッターボタン16の半押し操作(以下、S1操作という)を監視する。撮影者がS1操作を行うと、カメラ側マイコンがそれを検知し、AFセンサ10を制御し、その出力データを演算処理することで、受光面21aでの合焦状態を検出する。その結果に基づいて被写体の光学像が合焦するように、撮影レンズ4の駆動方向とその駆動量を算出し、レンズ側マイコンに送信する。この一連の動作は、S1操作が解除されるまでは、上記光学像が合焦状態となるまで繰り返される。
【0033】
合焦状態に達すれば、カメラ側マイコンは、その一連の動作を停止する。同時に測距センサ15を制御し、被写体の輝度を検出して、その輝度データを演算処理することで、CCD21に対して適正露出を与えるシャッタースピードと絞り値を算出する。
【0034】
その後、カメラ側マイコンで撮影者のシャッターボタン16の全押し操作(以下、S2操作という)が監視される。撮影者がS2操作を行えば、カメラ側マイコンがそれを検知し、レンズ側マイコンに対して前記算出した絞り値まで絞り値を絞り込むように命令を送信し、それを受信したレンズ側マイコンは、絞り制御を行う。
【0035】
これと同時に、カメラ側マイコンは、クイックリターンミラー9を焦点板11側の退避位置(点線で示す位置)まで回動変位させる。これにより、光学像はクイックリターンミラー9に遮られることなく、CCD21側へ向かい受光面21aで結像する。
【0036】
露光が終了すると、カメラ側マイコンは、クイックリターンミラー9を元の位置に復帰させるが、前述の通り、クイックリターンミラー9の回転軸8側の部分は空所25が形成されているから、クイックリターンミラー9が復帰しても撮像ユニットBと干渉することはない。
【0037】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
【0038】
図3及び図4において、CCD21の有効受光面(イメージサークル)は、銀塩カメラの撮影画面を満足するように設計されており、その撮影画面の範囲であれば、CCD21の受光面21aをどこに配置しても、画質的に問題はなく、受光面中心をレンズ群5の光軸Xに一致させる必要はない。
【0039】
そこでこの実施形態では、撮像ユニットBを、CCD21の受光面21aの中心(中心軸をYで示す)が上記光軸Xに対して、回転軸8から離間する下方へ偏芯させて設定してある。クイックリターンミラー9は、常時は、回転軸8側に対して開放端(下端)側が撮影レンズ4寄りに位置した斜め傾斜状態にあることから、クイックリターンミラー9と撮像ユニットBとの隙間は、回転軸から下方に離間するにつれて大きくなっている。従って、CCD21の受光面21aの中心を、前記撮影レンズ4の光軸Xに対してクイックリターンミラー9の回転軸8から離れる方向に偏芯させることで、撮像ユニットBは隙間の大きな方向へ移動して配置されることになり、クイックリターンミラーと撮像ユニットとの機械的干渉が回避される。
【0040】
なお、以上の実施形態では、クイックリターンミラー9における空所の形成と、撮像ユニットBの偏芯配置を、それぞれ別々に実施した場合を示したが、干渉の度合いによっては、前記空所の形成と偏芯配置を同時に実施することも可能である。また、空所25はクイックリターンミラー9の回転軸8側の端部に形成しなければならないものではなく、回転軸8の近傍部位にくり抜き状に形成しても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、クイックリターンミラーの回転軸側における切り欠き部の形成により、クイックリターンミラーと撮像ユニットとの機械的干渉を回避することができる。
【0042】
しかも、クイックリターンミラーに切り欠き部を形成するだけで、クイックリターンミラーの除去や位置変更を要することなく、干渉回避を簡単に実現できるとともに、銀塩一眼レフカメラの資産を有効に活用することができる。
【0043】
しかもまた、撮像ユニットのフィルタ等を薄型にする必要はないから、フィルタ等の機能が損なわれるのを防止でき、画質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラを示す側断面相当図である。
【図2】同じくデジタルカメラを示す正断面相当図である。
【図3】この発明の第2の実施形態に係るデジタルカメラを示す側断面相当図である。
【図4】同じくデジタルカメラを示す正断面相当図である。
【図5】従来の銀塩一眼レフカメラを示す側断面相当図である。
【図6】同じく銀塩一眼レフカメラを示す正断面相当図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・デジタルカメラ
2・・・・・・・・・・・カメラ本体
4・・・・・・・・・・・撮影レンズ
8・・・・・・・・・・・回転軸
9・・・・・・・・・・・クイックリターンミラー
21・・・・・・・・・・CCD(撮像素子)
25・・・・・・・・・・空所
B・・・・・・・・・・・撮像ユニット
X・・・・・・・・・・・光軸

Claims (2)

  1. 銀塩一眼レフカメラ用のカメラ本体と、
    該カメラ本体に装着され、被写体の光学像をカメラ本体内のフィルム位置に結像させる撮影レンズと、
    フィルムに代わって結像位置に配置され前記撮影レンズからの光学像を受光して光電変換する撮像素子を含む撮像ユニットと、
    前記カメラ本体に設けられ、前記撮影レンズを通過した光学像をファインダーに向けて反射する第1の位置と、前記光学像を前記撮像素子に向けて通過させるべく前記第1の位置から退避した第2の位置と、の間を回転軸を中心に回動可能なクイックリターンミラーと、
    を備えたデジタルカメラにおいて、
    前記クイックリターンミラーの回転軸側に、クイックリターンミラーが前記第1の位置の状態にある時に該クイックリターンミラーと前記撮像ユニットとの相互の機械的干渉を回避するために設けられ、光学像の一部を反射しない切り欠き部が形成されていることを特徴とするデジタルカメラ。
  2. 前記撮像ユニットは、撮像素子の受光面中心が、前記撮影レンズの光軸に対してクイックリターンミラーの回転軸から離れる方向へ偏芯して配置されている請求項1に記載のデジタルカメラ。
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