JP3693904B2 - エンジン排気浄化装置のインジェクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン排気浄化装置のインジェクタに関するものである。特に、インジェクタの噴射孔にスス等が付着することを防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンから直接排出される排気には窒素酸化物(以下、NOxと略す)が含まれているが、このNOxは大気汚染物質であり浄化してから大気中に排出する必要がある。排気中のNOxを浄化する技術としては、炭化水素(以下、HCと略す)を還元剤として、触媒コンバータでNOxを浄化することが行われている。HCはエンジンの排気中にも含まれているが、その量は少なく(特にディーゼルエンジンにおいては少ない)、触媒コンバータの還元効率が悪い。このため、エンジンの排気の中に還元剤(例えば、エンジン燃料、アルコール等)を供給してHCの量を増やし、触媒コンバータの還元効率を向上させる技術が、例えば、特開平4−358716号公報に記載されている。
この従来の技術に関するエンジン排気浄化装置の一例を図1、図2を参照して説明する。図1は、エンジン排気浄化装置の説明図である。図2は、インジェクタと排気通路の断面図である(図2の図示において、排気通路118の反対側の壁は省略している。以降の図においても同じ)。エンジン排気114は、図2の図示の右側から左側へ向かって流れている。インジェクタ110にとっては、図2の図示においてインジェクタ110の右側が上流側、左側が下流側となる。
【0003】
図1に示されているように、エンジン112の燃焼室113で燃焼したエンジン排気114は排気通路118に排出され、この排気通路118にインジェクタ110が取り付けられている。図2に示されているように、インジェクタ110の先端(図2の図示の下側)に取り付けられているシート125には噴射孔125aが形成されている。燃料供給口126とシート125の間には通路が形成されていて連通しており、燃料ポンプ124からの加圧された燃料が燃料供給口126に供給されている。ソレノイド134が励磁されていない状態では、バルブ132の先端に形成されているボール132aは、スプリング127の力でシート125に押しつけられ噴射孔125aを閉じている。エンジン排気浄化装置を制御している電気制御回路(図示していない)からの電気供給で、ソレノイド134が励磁されると磁気力が発生し、この磁気力でバルブ132は図2の上側方向に移動する。バルブ132が上側方向に移動すると、バルブ132のボール132aとシート125との間に隙間が生じ、燃料が噴射孔125aから排気通路118に噴射される。
排気通路118の中を流れるエンジン排気114に噴射された霧状の燃料は、エンジン排気114と混合し、これによって排気114中のHCの量が増加する。HCの量が増加したエンジン排気114は触媒コンバータ116を通る際に、還元作用によってNOxが浄化される。浄化されたエンジン排気114は、大気中に排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のエンジン排気浄化装置のインジェクタ110の先端に形成されている噴射孔125aは、微細なススが含まれているエンジン排気114の流れの中に直接曝されている。このため、エンジンの運転を継続していると、エンジン排気114中に含まれているススが噴射孔125aに次第に付着してゆき、噴射孔125aを塞いでしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、噴射孔にススが付着して噴射孔を塞ぐことを防止できるインジェクタを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用と効果】
請求項1に記載のインジェクタは、エンジンの排気通路に触媒コンバータを取り付け、この触媒コンバータによりエンジンの排気を浄化するエンジン排気浄化装置において、前記エンジンと前記触媒コンバータとの間の排気通路に還元剤を噴射するインジェクタであって、このインジェクタの先端には、当該インジェクタの噴射孔がエンジンの排気の流れに直接曝されることを防止するプロテクタが設けられており、そのプロテクタには、前記噴射孔から噴射される還元剤が衝突する衝突壁と前記排気通路の下流側に向かって前記還元剤が吹き出す開口が形成されており、前記開口の大きさが前記衝突壁に衝突した前記還元剤が前記プロテクタの内壁に衝突しないように設定されている。
上記インジェクタによれば、インジェクタの先端にプロテクタが設けられているため、噴射孔がエンジン排気の流れに直接曝されることはない。このため、エンジン排気の中に含まれているススが噴射孔に付着することが防止される。従って、本発明の構成によれば、インジェクタの噴射孔にススが付着して噴射孔を塞ぐことを防止できる。また、上記のインジェクタは、噴射孔から噴射される還元剤が衝突する衝突壁をプロテクタに形成している。噴射孔から霧状に噴射された還元剤が衝突壁に衝突することにより、還元剤は、より微粒子化される。還元剤がより微粒子化されると、還元剤はエンジン排気の中により均一に混合される。
【0007】
ここで、上記「プロテクタ」は、噴射孔がエンジンの排気の流れに直接曝されることを防止する機能を備えたものであればどのようなものでも良く、例えば、噴射孔に排気の流れが直接当たらないよう噴射孔周辺の排気の流れる方向を変更する流れ方向変更手段によりプロテクタを構成することができる。このような流れ方向変更手段としては、典型的には、噴射孔の近辺に設けられた壁で構成することができる。噴射孔の近辺に設けた壁によりプロテクタを構成した場合、この壁は、噴射孔がエンジンの排気の流れに直接曝されなければ良いことから、噴射孔の少なくとも上流側に設けられていれば良く、噴射孔の全周に渡って設けられる必要は無い。
【0008】
請求項2に記載のインジェクタは、エンジンの排気通路に触媒コンバータを取り付け、この触媒コンバータによりエンジンの排気を浄化するエンジン排気浄化装置において、前記エンジンと前記触媒コンバータとの間の排気通路に還元剤を噴射するインジェクタであって、このインジェクタの先端には、当該インジェクタの噴射孔がエンジンの排気の流れに直接曝されることを防止するプロテクタが設けられており、そのプロテクタには前記噴射孔の下流側に位置するとともに前記噴射孔から噴射される還元剤を旋回させるスワール部が形成されている。
上記インジェクタでは、インジェクタの先端にプロテクタが設けられているため、エンジン排気の中に含まれているススが噴射孔に付着することが防止される。従って、噴射孔にススが付着して噴射孔を塞ぐことを防止できる。また、噴射孔の下流側に位置するとともに、噴射孔から噴射される還元剤を旋回させるスワール部がプロテクタに形成されている。噴射孔から霧状に噴射された還元剤は、プロテクタのスワール部で旋回させられ、旋回しながらエンジン排気の中に流れ込むことにより、還元剤はエンジン排気の中により均一に混合される。
【0009】
【発明の実施の形態】
上述した請求項1〜3に記載のインジェクタは、下記に示す形態で好適に実施することができる。
(形態1)請求項1〜3のいずれか一つに記載のインジェクタにおいては、前記プロテクタは前記インジェクタの噴射孔の周囲全周を囲う壁を備えることが好ましい。この形態によると、噴射孔の周囲全周が壁により囲われるため、エンジンの排気がプロテクタの下流側から回りこむことを防止でき、噴射孔へのススの付着をより防止することができる。
(形態2)請求項1〜3のいずれか一つに記載のインジェクタにおいては、前記噴射孔が前記排気通路の内壁面より外側に位置し、前記プロテクタのみが前記排気通路内に突出するようにしても良い。この形態によると、インジェクタ本体がエンジンの排気に曝されないため、インジェクタ本体の温度上昇を防止することができる。
(形態3)請求項2に記載のインジェクタにおいては、前記衝突壁の壁面が、当該衝突壁に衝突した還元剤が前記エンジンの排気通路の下流側に向かって流れるように形成されていても良い。この形態によると、噴射された還元剤が排気通路の壁面(インジェクタ取付位置と対向する壁面)に衝突(付着)することなくエンジンの排気に混合されるため、効率良くNOxを還元することができる。
(形態4)請求項3に記載のインジェクタにおいては、前記スワール部はプロテクタに形成された還元剤が流れる流路を含んで構成され、該流路の一端には開口が形成され、その他端側においては、その接線方向から当該流路内に還元剤が流れ込むように前記噴射孔と流路が接続されていることが好ましい。このような形態によると、流路内に流れ込んだ還元剤は、流路の壁面に沿って流れることで旋回方向の流速が与えられ、流路他端の開口からエンジンの排気通路内に吹出すこととなる。したがって、簡易な構造で旋回成分を与えるスワール部を構成することができる。
(形態5)形態4に記載のインジェクタにおいては、前記流路が、その先端に向かってその断面積が先細り形状となっていても良い。この形態によると、プロテクタに形成した流路から吹出す還元剤の流速が速くなるため、還元剤がエンジンの排気とより均一に混合される。
(形態6)形態4に記載のインジェクタにおいては、前記流路が、その先端に向かってその断面積が広がり形状となっていても良い。この形態によると、プロテクタに形成した流路から還元剤が広がりながら吹き出すので、還元剤がエンジンの排気とより均一に混合される。
(形態7)請求項1〜3のいずれか1項に記載のインジェクタにおいては、前記プロテクタをインジェクタに対して着脱可能としても良い。この形態によると、プロテクタがインジェクタに対して着脱可能となっているため、プロテクタのみを交換するだけで、種々のエンジン排気の特性(排気の流速、排気の流れの乱れ等)に対応できる。また、プロテクタが破損した場合には、インジェクタを交換する必要はなく、プロテクタのみを交換すればよい。
(形態8)請求項1に記載のインジェクタにおいては、前記プロテクタは前記インジェクタの噴射孔の周囲全周を囲う壁を備えるとともに、前記壁は、排気の流れに対して下流側の壁が上流側の壁よりも低く形成されていても良い。この形態によると、上流側の壁を乗り越える排気の流れが生じ、還元剤はこの流れに巻き込まれて、エンジンの排気とより均一に混合される。
【0010】
【実施例】
(実施例1) 本発明の第1実施例に係るインジェクタについて、図3、図4を参照して説明する。図3はインジェクタと排気通路の断面図である。図4は図3のIV−IV線断面図であり、プロテクタ部の断面を示している。
図3に示されているように、インジェクタ10は、エンジン(図示省略)と触媒コンバータ(図示省略)とを連通する排気通路18にエンジン排気14の流れに対して直角に取り付けられている。
このインジェクタ10は、ハウジング22,ボディ36、ボディ36内に取り付けられるバルブ機構(スプリング27、バルブ32、シート38、アジャスタ42)、ソレノイド34等から構成されている。
【0011】
図3に示されているように、ハウジング22の内部には、筒状のシリンダ44が溶接によって取り付けられ、このシリンダ44の軸方向には、燃料を通すための通路44aが形成されている。この通路44aの内部には、円筒状のアジャスタ42が圧入されている。また、一方、ハウジング22の先端側(図3の図示の下側。この反対を後端側とする)には非磁性材37とボディ36が溶接にによって取り付けられ、更に、このボディ36にシート38が溶接されている。シート38には噴射孔38aが開けられており、シート38の後端側はすり鉢状に形成されている。さらに、シート38の先端側には、円筒状のプロテクタ38bが形成されている。
このプロテクタ38bは、噴射孔38aの周囲全周を囲う円筒状の壁で形成され、その先端は排気通路18に開口している。この先端開口部38cから噴射孔38aまでの長さは、噴射孔38aから噴射される燃料の噴射角度を考慮して決定されている。すなわち、噴射孔38aから噴射された燃料の拡散がプロテクタ38bによって妨げられないような長さ(拡散する燃料がプロテクタ38bの内壁面に接触しない長さ)とされている。また、プロテクタ38bの内部空間(燃料が流れる燃料流路)の径は、噴射孔38aの断面積に比して充分に大きな径(噴射孔38aの径の2倍以上)とされている。これによりプロテクタ38bの先端にスス等が付着しても、プロテクタ38bの先端開口部38cが塞がることが防止される。
【0012】
また、上記ボディ36の内部には、バルブ32が収められている。バルブ32は、ボール32aとシャフト32bが一体に結合された構成となっている。シャフト32bの外周は、ボディ36の内周に沿って摺動し、バルブ32は軸方向にボディ36の中を移動できる(なお、バルブ32の軸方向の移動距離は小さいので図3では図示されていないが、バルブ32がシート38に押しつけられているときには、シャフト32bの後端面とシリンダ44の先端面との間には間隔が存在する)。シャフト32bには、燃料を通すための通路32cが形成されている。シャフト32bの材質は磁性材であり、また、シャフト32bの内部から外部に燃料が通過できるように、燃料通過穴32dが開口している。バルブ32のシャフト32bとアジャスタ42の間には、バネ力を与えるスプリング27が介装されている。このスプリング27がシャフト32bをインジェクタ先端側に押し付けることにより、ボール32aは、シート38のすり鉢状に形成された部分に当接する。ボール32aがシート38に当接すると、噴射孔38aは閉じられる。ボール32aがシート38に押しつけられる力は、シリンダ44に圧入されているアジャスタ42の軸方向の位置を調整することにより可能である。
【0013】
また、シリンダ44の後端には、燃料供給口46が開口している。燃料供給口46には、燃料中の異物を捕捉する目的の網の目状のストレーナ48が取り付けられている。したがって、燃料供給口46から供給された燃料は、ストレーナ48→シリンダの通路44a→アジャスタの通路42a→シャフトの通路32c→燃料通過穴32dと流れ、シート38に達する。
また、シリンダ44の外周には、ソレノイド34が組み付けられており、このソレノイド34に電力を供給するコネクタ49がハウジング22に形成されている。コネクタ49は電気制御回路(図示していない)に結線されており、この電気制御回路によってインジェクタ10の燃料噴射のタイミングが制御される。
【0014】
つぎに、インジェクタ10の動作を説明する。
コネクタ49を介して電力が供給されず、ソレノイド34が励磁されていない状態では、スプリング27の力によって、バルブ32のボール32aはシート38に押しつけられている。この状態では、噴射孔38aは閉じており、燃料ポンプで加圧されて燃料供給口46に供給され、シート38の部分に達している燃料は噴射されない。
コネクタ49を介して電力が供給されると、ソレノイド34が励磁されて磁気力が発生し、バルブ32のシャフト32bは磁気力に引かれてインジェクタ後端側に移動する。シャフト32bがインジェクタ後端側に移動すると、シャフト32bと一体に形成されているボール32aも移動し、ボール32aとシート38との間に隙間が生じ、燃料は、この隙間を通って噴射孔38aから噴射される。噴射孔38aから噴射された燃料52は、プロテクタ部38bの中を霧状になって広がりながら先端開口部38cより排気通路18内に流れ、エンジン排気14に混合される。
この際、噴射孔38aから噴射された燃料はプロテクタ部38bの内壁面に衝突しないようになっているため(プロテクタ部38bの長さが調整されているため)、プロテクタ部38bの先端開口部38cから噴出される燃料は排気通路18内に効率良く拡散され、エンジン排気14に混合することとなる。また、図3、図4に示されているように噴射孔38aは円筒状のプロテクタ38bによりその周囲が囲まれているため、噴射孔38aへ向かって流れてきたエンジン排気14は、プロテクタ38bの外壁面(エンジン排気14の上流側部分の外壁面)に当たって流れる方向が変更させられ、プロテクタ38bの外壁に沿って下流側に流れる。このため、噴射孔38aがエンジン排気14に直接曝されず、これにより噴射孔38aにエンジン排気14に含まれるススが付着し、噴射孔38aを塞ぐことが防止される。
【0015】
(実施例2) 本発明の第2実施例に係るインジェクタについて、図5を参照して説明する。図5は、インジェクタの先端部と排気通路の断面図である。なお、図5に示す部材で、図3に示す部材と同様の機能を果たすものについては、同じ参照番号を付し重複した説明は省略する(後述する、第3実施例でも同様である)。
第2実施例に係るインジェクタ10aでは、図5に示すように、プロテクタ53bは先端が閉じた円筒形状を有し、その先端(噴射孔53aと対向する位置)には、噴射された燃料55が衝突する衝突壁53cが形成されている。この衝突壁53cは、インジェクタ10aの軸線方向に対して傾斜して設けられる。この衝突壁53cの傾斜角度は、衝突壁53cに衝突した燃料が排気通路18の中心で、かつ、エンジン排気18の下流側に向かって流れるような角度とされている。
また、上述した衝突壁53cが設けられたのに応じて、プロテクタ53bの下流側(エンジン排気14の下流側)の先端側の側壁に、プロテクタ53b内から排気通路18内に燃料を吹出すための開口部53dが形成されている。この開口部53dの大きさは、衝突壁53cに衝突した後の燃料流がプロテクタ53bの内壁と衝突しないような大きさとされている。
【0016】
上述のように構成されたインジェクタ10aにおいては、噴射孔53aから噴射され霧状になった燃料55は、衝突壁53cに衝突して微粒子化されるとともに、その流れる方向がエンジン排気14の下流側で、かつ、排気通路18の中心方向に偏向させられる。そして、プロテクタ53bの先端側の側壁に形成した開口部53dより排気通路18内に吹出され、エンジン排気14と混合することとなる。ここで、このプロテクタ53bから排気通路18内に吹出した燃料流は、衝突壁53cに衝突することで微粒子化されているため、エンジン排気14の中により均一に混合される。また、その吹出した燃料の流れる方向がエンジン排気14と同一方向で、かつ、排気通路の中心方向とされているため、燃料が排気通路18の内壁面に付着することなくエンジン排気14に効率的に混合されることとなる。
【0017】
(実施例3) 本発明の第3実施例に係るインジェクタについて、図6、図7を参照して説明する。図6は、インジェクタの先端部と排気通路の断面図である。図7は、図6のVII−VII線断面図で、スワール部の断面を示している。
第3実施例に係るインジェクタ10bでは、噴射孔56aから噴射される燃料58を旋回させるスワール部56cがプロテクタ56bに形成されている。このスワール部56cは、図6、図7に示されているように、円筒形状の燃料流路であり、この燃料流路の一端側(上流側)には、その接線方向(燃料流路の接線方向)から燃料が吹込まれるように噴射孔56aが設けられ、その他端側(下流側)は排気通路18に開口している。また、このスワール部56c(燃料流路)は、インジェクタ10bの軸線方向に対して傾斜して設けられており、その傾斜角度は、第2実施例と同様に、スワール部56cに形成した開口部56dから吹出される燃料が排気通路18の中心で、かつ、エンジン排気18の下流側に向かって流れるような角度とされている。
このようなインジェクタ10bにおいては、噴射孔56aから燃料58が噴射されると、燃料はスワール部56cの円筒の内周に沿って流れ、旋回しながらスワール部56cの開口部56dからエンジン排気14の中に吹出される。エンジン排気14の中に燃料58が旋回しながら強く混じり込むことにより、燃料はエンジン排気14の中により均一に混合される。
【0018】
以上、本発明のいくつかの実施例に係るインジェクタについて説明したが、本発明は上記実施例になんら限定されるものではなく、本発明は当事者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0019】
例えば、実施例2におけるインジェクタ10aの衝突壁53cは、平面である必要はなく、曲面、あるいは、種々の曲面と平面を組み合わせることで燃料の微粒子化の促進及びその流れる方向の調整等を行うようにしてもよい。
【0020】
また、実施例3におけるインジェクタ10bのスワール部56cは、図8に示すようにスワール部56cの開口部56eが絞られた形状に形成されていてもよい。スワール部56cの開口部56eが絞られていると、噴射孔56aから噴射された燃料は、勢いよく排気の中に混合される。あるいは、図9に示すようにスワール部56cの開口部56fは広がった形状に形成されていてもよい。スワール部56cの開口部56fが広がっていると、噴射孔56aから噴射された燃料は、広がりながら排気の中に混合される。さらに、インジェクタに形成されるスワール部の構成も、実施例3に示す構成に限られず、プロテクタの開口から吹出される燃料流に旋回方向の速度成分を与えるものであればどのようなものでも良い。このような構成としては、例えば、プロテクタの開口部に旋回羽根を設け、プロテクタの開口部から吹出される燃料流に旋回方向の速度成分が与えられるような構成としても良い。
【0021】
また、図10に示すインジェクタ10cように、シート62の噴射孔62aをエンジン排気14の下流側に向け、プロテクタ部62bの開口部を下流側に向けて開口してもよい。この構成では、噴射孔62aはエンジン排気14の下流側を向いていおり、かつプロテクタ部62bに覆われているので、噴射孔62aへのススの付着をより確実に防止することができる。
【0022】
また、図11に示すインジェクタ10dのように、シート72の噴射孔72aを排気通路18の外側に配置し、プロテクタ72bのみが排気通路18の中に突き出すようにしてもよい。この構成では、インジェクタ本体がエンジンの排気14に曝されないため、インジェクタ本体の温度上昇を防止することができる。
【0023】
また、図12に示すインジェクタ10eのように、噴射孔82aの周囲全周を囲うプロテクタ82bの壁は、下流側の壁82cの方が上流側の壁82dよりも高さが低く形成されていてもよい。この形態によると、上流側の壁82dを乗り越える排気の流れが生じ、この流れに還元剤は巻き込まれて、エンジンの排気とより均一に混合される。
【0024】
また、実施例1〜実施例3で示したプロテクタは噴射孔を囲むように形成されているが、必ずしもこのように形成する必要はなく、噴射孔の少なくとも上流側にプロテクタ(壁)が配置されていれば、噴射孔にススが付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のエンジン排気浄化装置の説明図。
【図2】同、インジェクタと排気通路の断面図。
【図3】本発明の第1実施例のインジェクタと排気通路の断面図。
【図4】同、図3のIV−IV線断面図(プロテクタ部の断面)。
【図5】同、第2実施例のインジェクタ先端部と排気通路の断面図。
【図6】同、第3実施例のインジェクタ先端部と排気通路の断面図。
【図7】同、図6のVII−VII線断面図(スワール部の断面)。
【図8】同、第3実施例の変形例を示す図(スワール部開口部絞り)。
【図9】同、第3実施例の変形例を示す図(スワール部開口部広がり)。
【図10】同、噴射孔を下流側へ向けた変形例を示す図。
【図11】同、噴射孔を排気通路の外側に配置した変形例を示す図。
【図12】同、プロテクタの壁の高さが、下流側の方が上流側よりも低い変形例を示す図。
【符号の説明】
10、10a、10b、10c、10d、10e:インジェクタ
14:エンジン排気
18:排気通路
22:ハウジング
27:スプリング
32:バルブ、32a:ボール、32b:シャフト、32c:通路、32d:燃料通過穴
34:ソレノイド
36:ボディ
37:非磁性材
38:シート、38a:噴射孔、38b:プロテクタ、38c:先端開口部
42:アジャスタ、42a:通路
44:シリンダ、44a:通路
48:ストレーナ
49:コネクタ
52、55、58:噴射孔から噴射された燃料
53:シート、53a:噴射孔、53b:プロテクタ、53c:衝突壁、53d:開口部
56:シート、56a:噴射孔、56b:プロテクタ、56c:スワール、56d:開口部、56e:開口部、56f:開口部
62:シート、62a:噴射孔、62b:プロテクタ
72:シート、72a:噴射孔、72b:プロテクタ
82:シート、82a:噴射孔、82b:プロテクタ、82c:下流側の壁、82d:上流側の壁
Claims (2)
- エンジンの排気通路に触媒コンバータを取り付け、この触媒コンバータによりエンジンの排気を浄化するエンジン排気浄化装置において、前記エンジンと前記触媒コンバータとの間の排気通路に還元剤を噴射するインジェクタであって、このインジェクタの先端には、当該インジェクタの噴射孔がエンジンの排気の流れに直接曝されることを防止するプロテクタが設けられており、そのプロテクタには、前記噴射孔から噴射される還元剤が衝突する衝突壁と前記排気通路の下流側に向かって前記還元剤が吹き出す開口が形成されており、前記開口の大きさが前記衝突壁に衝突した前記還元剤が前記プロテクタの内壁に衝突しないように設定されていることを特徴とするインジェクタ。
- エンジンの排気通路に触媒コンバータを取り付け、この触媒コンバータによりエンジンの排気を浄化するエンジン排気浄化装置において、前記エンジンと前記触媒コンバータとの間の排気通路に還元剤を噴射するインジェクタであって、このインジェクタの先端には、当該インジェクタの噴射孔がエンジンの排気の流れに直接曝されることを防止するプロテクタが設けられており、そのプロテクタには前記噴射孔の下流側に位置するとともに前記噴射孔から噴射される還元剤を旋回させるスワール部が形成されていることを特徴とするインジェクタ。
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