JP3693829B2 - バックホウ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はバックホウにおいて、運転部を覆う外部フレームとバックホウ装置のバケットとの接触を避ける為の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
バックホウにおいて、運転部を覆う外部フレームとバケットとの接触を避ける構造の一例が、特開平6−17452号公報に開示されている。
この構造では運転部を覆う外部フレーム(前記公報の図3及び図4中の16,17)から、前方に所定距離だけ離れた牽制面(前記公報の図3及び図4中のA1)を空間に設定し、バックホウ装置のバケット(前記公報の図3及び図4中の6)の位置を検出する位置センサー、並びに位置センサーの検出に基づいてバケットが牽制面を越えて運転部側に入り込もうとすると、バックホウ装置の作動操作用の油圧シリンダを停止させる牽制手段を備えている。
【0003】
以上の構成により、運転部の作業者がバックホウ装置を操作している場合に、誤ってバケットを運転部側に至近距離まで近づけて外部フレームに衝突させるような操作を行っても、バケットが外部フレームの外側の牽制面に達すれば、バックホウ装置が自動的に停止して接触が回避される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のバックホウにおいて、例えばブームを下降させアームを掻き込み側に位置させた状態(バケットが牽制面の手前に位置しているような状態)で、ブームを上昇操作すると、ブームの先端(アームの連結部)の上昇側への円弧移動に伴い、円弧移動の水平成分によって、バケットの先端(アームの連結部)が運転部側に移動しようとする。これにより、ブームの上昇操作に伴ってバケットも運転部側(牽制面側)に移動することになるので、バケットが牽制面に達すると、牽制手段によりブームが自動的に停止する。
【0005】
前述のように牽制手段によりブームが自動的に停止すると、これ以上はブームを上昇操作することができないので、アームを排土側(運転席から離間する側)に操作してバケットを牽制面から離し操作し、次にブームを上昇操作する必要がある。
このような状態は、ブームの上昇操作及びアームの掻き込み操作を同時に行った場合にも生じるのであり、バケットが牽制面に達してブーム及びアームが停止すると、アームを排土側に操作してバケットを牽制面から離し操作して、再びブームの上昇操作及びアームの掻き込み操作を行う必要がある。
本発明はバックホウにおいて、前述のようにブームの上昇操作(及びアームの掻き込み操作)により、バケットが牽制面に達してブーム(及びアーム)が停止するような場合、ブームの上昇操作が支障なく行われるように構成することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るバックホウは、運転部を覆う外部フレームから前方に所定距離だけ離れた牽制面を空間に設定するとともに、前記牽制面とこの牽制面から所定距離だけ前方に離れた面との間の空間を牽制領域として設定する設定手段と、バックホウ装置のバケットの位置を検出する位置センサーとを備え、
前記位置センサーの検出に基づいて前記バケットが前記牽制領域内に入って前記牽制面に近づくほど前記バックホウ装置の作動操作用のアクチュエータの駆動速度を漸次減速するとともに、前記牽制面を越えて前記運転部側に入り込もうとすると、前記バックホウ装置の作動操作用のアクチュエータを停止させて、これを牽制阻止する牽制手段を備えると共に、
前記バケットが前記牽制面に位置した状態において、ブームを操作する操作レバーによる前記バックホウ装置のブームの上昇操作の人為的な操作指令が生じていると、停止状態にある前記バケットが前記牽制面に沿って漸次増速しながら上昇するように前記バックホウ装置のアームが排土側に操作されながら前記ブームが上昇側に漸次的に増速されて人為的な操作指令で設定された設定速度に達するように、前記アクチュエータを作動操作する制御手段を備えてあることを特徴とする。
【0007】
[I]
アームの掻き込み操作によってバケットが牽制領域内に入ると該バケットが牽制面に近づくほどバックホウ装置の作動操作用のアクチュエータの駆動速度を漸次減速し、バケットが牽制面に達するとアクチュエータの駆動が停止する。
請求項1の特徴によると、前述の停止状態で人為的な操作指令によりブームの上昇操作が行われると(例えば作業者が操作レバーをブームの上昇側に操作すると)、バケットが牽制面を越えないように自動的にアームが排土側(運転部から離間する側)に操作されながら、ブームが上昇側に漸次的に増速される。このようにブームの上昇操作に伴って自動的にアームを排土側に操作すれば、ブームの上昇操作に伴ってバケットが牽制面を越えて運転部側に入り込むと言うようなことがないように制御でき、バケットの先端を運転部(外部フレーム)に沿って、上昇させることができるようになる。
【0008】
[II]
例えばアームの掻き込み操作によりバケットが牽制面に達してから、次に人為的な操作指令によりブームの上昇操作及びアームの排土操作が遅れることなく連続的に行われると、バケットはアームの掻き込み操作により前後方向に運転部側に移動し、次にブームの上昇操作及びアームの排土操作によりバケットの前後方向の移動が反転すると共に上下方向に移動することになるので、バケットが移動方向を急激に変更することによるショックが発生して、バケットから土がこぼれ落ちるおそれがある。
請求項1の特徴によると、例えばアームの掻き込み操作によりバケットが牽制面に達してから、次に人為的な操作指令によりブームの上昇操作が行われる際、ブームが漸次的に増速されて上昇操作され、バケットが牽制領域内に位置した減速領域であるにも拘わらずブームが人為指令された設定速度まで増速することができ、ブームの上昇速度が人為的な操作指令に対応する設定速度に達すると、この設定速度でブームが上昇操作される。このように、ブームが漸次的に増速されながら上昇操作されることによって、バケットが移動方向を急激に変更することによるショックを抑えることができる。
上記の設定速度は、人為的な操作指令に対応する速度(例えばブームの操作レバーの操作位置に対応する速度)に設定されている。
このようにブームが漸次的に増速されてから、人為的な操作指令に対応する速度で上昇していくと、人為的な操作指令を設定している作業者にとって、違和感が少ない。
【0009】
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】
[1]
図1はバックホウの全体側面を示しており、ゴムクローラ型式の走行装置1に旋回台2が支持され、旋回台2の前部にバックホウ装置3が備えられている。バックホウ装置3は、油圧シリンダ11により上下に揺動操作されるブーム4、油圧シリンダ12により前後に揺動操作されるアーム5、及び油圧シリンダ13により揺動操作されるバケット6を備えて構成されている。
【0012】
バックホウ装置3のブーム4は、上下に揺動操作される第1ブーム部分4a、第1ブーム部分4aの前端の軸芯P1周りに揺動自在に連結された第2ブーム部分4b、第2ブーム部分4bの前端の軸芯P2周りに揺動自在に連結された支持ブラケット4cで構成されており、支持ブラケット4cにアーム5が連結されている。第1ブーム部分4aと支持ブラケット4cとに亘り、連係リンク8が架設されて平行四連リンクが構成されており、油圧シリンダ7により第2ブーム部分4bを第1ブーム部分4aに対して揺動操作することによって、アーム5及びバケット6を左右に移動させる。
【0013】
図1及び図5に示すように旋回台2において、右側にバックホウ装置3が配置され、左側に運転席14や右及び左操作レバー9,10等で構成された運転部15が配置されている。旋回台2の左右中央において、バックホウ装置3と運転部15とを仕切る窓付きの縦仕切り板16が設けられており、縦仕切り板16の上端に旋回台2の外側に沿った上仕切り板17が固定されている。
【0014】
[2]
次に油圧回路構造、バックホウ装置3及び旋回台2等の操作構造について説明する。
図2に示すように、第1ブーム部分4a(ブーム4)の油圧シリンダ11の制御弁21、アーム5の油圧シリンダ12の制御弁22、バケット6の油圧シリンダ13の制御弁23、旋回台2の旋回モータ18の制御弁24、第2ブーム部分4bの油圧シリンダ7の制御弁25、右の走行装置1の制御弁26、左の走行装置1の制御弁27、サービスポート(図示せず)の制御弁28、並びに図1に示すドーザ19を昇降操作する油圧シリンダ51の制御弁29が備えられており、ポンプ20からの作動油が制御弁21〜29に供給されている。
【0015】
第1ブーム部分4aの制御弁21、アーム5の制御弁22、バケット6の制御弁23、旋回台2の制御弁24及び第2ブーム部分4bの制御弁25が、パイロット圧によるパイロット操作式で中立復帰型である。右及び左の走行装置1の制御弁26,27、サービスポートの制御弁28、ドーザ19の制御弁29が、操作レバー(図示せず)により操作される機械操作式で中立復帰型である。
【0016】
図3に示すように右操作レバー9は前後左右に操作自在に構成されており、右操作レバー9の後操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁31a、及び右操作レバー9の前操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁31b、右操作レバー9の右操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁33a、及び右操作レバー9の左操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁33bが備えられている。
【0017】
左操作レバー10も同様に前後左右に操作自在に構成されており、左操作レバー10の後操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁32a、及び左操作レバー10の前操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁32b、左操作レバー10の右操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁34a、及び左操作レバー10の左操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁34bが備えられている。
【0018】
図5及び図3に示すように左右に踏み操作自在な操作ペダル39が備えられており、操作ペダル39の左踏み操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁35a、及び操作ペダル39の右踏み操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁35bが備えられている。パイロット弁31a〜35bにパイロット圧を供給するパイロットポンプ30が備えられている。
【0019】
図2及び図3に示すように、右操作レバー9のパイロット弁31a,31bと第1ブーム部分4aの制御弁21、右操作レバー9のパイロット弁33a,33bとバケット6の制御弁23とが、パイロット油路を介して接続されており、左操作レバー10のパイロット弁32a,32bとアーム5の制御弁22、左操作レバー10のパイロット弁34a,34bと旋回台2の制御弁24とが、パイロット油路を介して接続されている。操作ペダル39のパイロット弁35a,35bと第2ブーム部分4bの制御弁25とが、パイロット油路を介して接続されている。
【0020】
以上の構造により右操作レバー9を後操作するとパイロット弁31aからのパイロット圧により、第1ブーム部分4aの制御弁21が上昇側(油圧シリンダ11の伸長側)に操作され、右操作レバー9を前操作するとパイロット弁31bからのパイロット圧により、第1ブーム部分4aの制御弁21が下降側(油圧シリンダ11の収縮側)に操作される。
右操作レバー9を右操作するとパイロット弁33aからのパイロット圧により、バケット6の制御弁23が排土側(油圧シリンダ13の収縮側)に操作され、右操作レバー9を左操作するとパイロット弁33bからのパイロット圧により、バケット6の制御弁23が掻き込み側(油圧シリンダ13の伸長側)に操作される。
【0021】
左操作レバー10を後操作するとパイロット弁32aからのパイロット圧により、アーム5の制御弁22が掻き込み側(油圧シリンダ12の伸長側)に操作され、左操作レバー10を前操作するとパイロット弁32bからのパイロット圧により、アーム5の制御弁22が排土側(油圧シリンダ12の収縮側)に操作される。左操作レバー10を右操作するとパイロット弁34aからのパイロット圧により、旋回台2の制御弁24が右旋回側に操作され、左操作レバー10を左操作すると、パイロット弁34bからのパイロット圧により、旋回台2の制御弁24が左旋回側に操作される。
【0022】
操作ペダル39を左踏み操作するとパイロット弁35aからのパイロット圧により、第2ブーム部分4bの制御弁25が左揺動側(油圧シリンダ7の伸長側)に操作され、操作ペダル39を右踏み操作するとパイロット弁35bからのパイロット圧により、第2ブーム部分4bの制御弁25が右揺動側(油圧シリンダ7の収縮側)に操作される。
【0023】
右及び左操作レバー9,10、操作ペダル39を中立位置から大きく操作する程、パイロット弁31a〜35bのパイロット圧が大きくなるように構成されている。これにより、右及び左操作レバー9,10、操作ペダル39を中立位置から大きく操作する程、パイロット弁31a〜35bのパイロット圧が大となり、制御弁21〜25が流量大側に操作される。つまり、右及び左操作レバー9,10、操作ペダル39を大きく操作する程、油圧シリンダ7,11,12,13及び旋回モータ18が高速で作動する。
【0024】
[3]
次に、旋回台2に対して設定される前牽制面A1、横牽制面A2等について説明する。
図4及び図5に示すように、縦仕切り板16の前縁部及び上仕切り板17の前縁部より前方に所定距離だけ離れた前牽制面A1、及び縦仕切り板16の横側部から右方に所定距離だけ離れた横牽制面A2が、制御装置40(図3参照)に設定されている。
【0025】
この場合、バケット6をアーム5の先端に連結しているバケットピン6aが、前牽制面A1に位置する状態において、バケット6を最も運転部15側に近づくように揺動操作しても、縦仕切り板16の前縁部及び上仕切り板17の前縁部から所定距離だけ離れた軌跡C1に、バケット6の先端が位置するように前牽制面A1が設定されている。バケットピン6aが横牽制面A2に位置する状態において、バケット6の左横側面が縦仕切り板16から所定距離だけ離れた軌跡C2に位置するように、横牽制面A2が設定されている。
【0026】
前及び横牽制面A1,A2から所定距離だけ前方又は右方に離れた面が設定され、この空間の面と前及び横牽制面A1,A2との間が、前牽制領域B1及び横牽制領域B2として制御装置40に設定されている。
以上のような前及び横牽制面A1,A2、前及び横牽制領域B1,B2は旋回台2に対して設定されているものであり、旋回台2が旋回するのに伴い、旋回台2と一緒に移動していくものである。
【0027】
図4及び図1に示すように、旋回台2と第1ブーム部分4aとの連結部に、旋回台2に対する第1ブーム部分4aの上下角度を検出する角度センサー36が備えられ、第1及び第2ブーム部分4a,4bの連結部に、第1ブーム部分4aに対する第2ブーム部分4bの左右角度を検出する角度センサー37が備えられている。支持ブラケット4c及びアーム5の連結部に、第2ブーム部分4bに対するアーム5の前後角度を検出する角度センサー38が備えられている。
【0028】
以上のような角度センサー36,37,38の検出値が制御装置40に入力されており、後述するように角度センサー36,37,38の検出値に基づいて、前及び横牽制面A1,A2、前及び横牽制領域B1,B2に対するバケットピン6aの位置が、制御装置40において検出される。
【0029】
図3に示すように、右操作レバー9のパイロット弁31aと第1ブーム部分4aの制御弁21とを接続するパイロット油路(第1ブーム部分4aの制御弁21を上昇側に操作するパイロット油路)、左操作レバー10のパイロット弁32aとアーム5の制御弁22とを接続するパイロット油路(アーム5の制御弁22を掻き込み側に操作するパイロット油路)、並びに操作ペダル39のパイロット弁35aと第2ブーム部分4bの制御弁25とを接続するパイロット油路(第2ブーム部分4bの制御弁25を左揺動側に操作するパイロット油路)の各々に、電磁操作式の圧力制御弁41,42,43が備えられている。
【0030】
従って、圧力制御弁41,42,43によりパイロット圧を減圧操作して(最高圧は右及び左操作レバー9,10、操作ペダル39で設定されている値)、右及び左操作レバー9,10、操作ペダル39の操作位置に関係なく、第1ブーム部分4aの制御弁21の上昇側の開度、アーム5の制御弁22の掻き込み側の開度、第2ブーム部分4bの制御弁25の左揺動側の開度を任意に変更できる。圧力制御弁41,42,43によりパイロット圧を零に設定することによって、右及び左操作レバー9,10、操作ペダル39の操作位置に関係なく、第1ブーム部分4aの油圧シリンダ11、アーム5の油圧シリンダ12、第2ブーム部分4bの油圧シリンダ7を停止させることができる。
【0031】
[4]
前牽制面A1を越えてバケットピン6aを運転部15側に操作しようとした場合、この操作が牽制阻止されるように構成されており、次にこの牽制について図6及び図7に基づいて説明する。
制御装置40において角度センサー36,37,38の検出値による第1ブーム部分4aの上下角度、第2ブーム部分4bの左右角度及びアーム5の前後角度と、第1ブーム部分4a、第2ブーム部分4b及びアーム5の各長さとにより、バケットピン6aの位置が常時検出されている(ステップS1)。
【0032】
これにより、バケットピン6aが図4及び図5に示す前牽制領域B1に入り込んだ場合(ステップS2)、右操作レバー9を後操作して第1ブーム部分4aを上昇操作すると(ステップS3)、バケットピン6aが前牽制面A1に接近する状態となる。
この状態において、図3に示す圧力制御弁41によりパイロット弁31aのパイロット圧が減圧操作されて、右操作レバー9の後操作の操作位置に関係なく、第1ブーム部分4aの上昇速度(油圧シリンダ11の伸長速度)が減速操作されるのであり、バケットピン6aが前牽制面A1に接近するほど、第1ブーム部分4aの上昇速度(油圧シリンダ11の伸長速度)が大きく減速操作される(ステップS4,S9)。バケットピン6aが前牽制面A1に達した場合については、後述する[5]において説明する。
【0033】
逆に右操作レバー9を前操作して第1ブーム部分4aを下降操作すると(ステップS3)、バケットピン6aが前牽制面A1から離間する状態となるので、バケットピン6aが前牽制面A1及び前牽制領域B1に位置していても、これに関係なく右操作レバー9の前操作の操作位置に対応する速度で、第1ブーム部分4aが下降操作される(ステップS10)(図3に示すように右操作レバー9のパイロット弁31bのパイロット油路には、圧力制御弁41が設けられていない点による)。
【0034】
バケットピン6aが前牽制領域B1に入り込んだ状態において(ステップS2)、左操作レバー10を後操作してアーム5を掻き込み操作すると(ステップS11)、バケットピン6aが前牽制面A1に接近する状態となる。
この状態において図3に示す圧力制御弁42によりパイロット弁32aのパイロット圧が減圧操作され、左操作レバー10の後操作の操作位置に関係なく、アーム5の掻き込み速度(油圧シリンダ12の伸長速度)が減速操作されるのであり、バケットピン6aが前牽制面A1に接近するほど、アーム5の掻き込み速度(油圧シリンダ12の伸長速度)が大きく減速操作される(ステップS12,S14)。バケットピン6aが前牽制面A1に達すると(ステップS12)、図3に示す圧力制御弁42によりパイロット弁32aのパイロット圧が零に設定されて、左操作レバー10の後操作の操作位置に関係なく制御弁22が中立位置に操作され、アーム5(油圧シリンダ12)が停止する(ステップS13)。
【0035】
逆に左操作レバー10を前操作してアーム5を排土側に操作すると(ステップS11)、バケットピン6aが前牽制面A1から離間する状態となるので、バケットピン6aが前牽制面A1及び前牽制領域B1に位置していても、これに関係なく左操作レバー10の前操作の操作位置に対応する速度で、アーム5が排土側に操作される(ステップS15)(図3に示すように左操作レバー10のパイロット弁32bのパイロット油路には、圧力制御弁42が設けられていない点による)。
【0036】
バケットピン6aが前牽制領域B1に入り込んだ状態において(ステップS2)、操作ペダル39を左踏み操作して第2ブーム部分4bを左揺動操作すると(ステップS16)、バケットピン6aが前牽制面A1に接近する状態となる。
この状態において、図3に示す圧力制御弁43によりパイロット弁35aのパイロット圧が減圧操作されて、操作ペダル39の左踏み操作の操作位置に関係なく、第2ブーム部分4aの左揺動速度(油圧シリンダ7の伸長速度)が減速操作されるのであり、バケットピン6aが前牽制面A1に接近するほど、第2ブーム部分4aの左揺動速度(油圧シリンダ7の伸長速度)が大きく減速操作される(ステップS17,S19)。バケットピン6aが前牽制面A1に達すると(ステップS17)、図3に示す圧力制御弁43によりパイロット弁35aのパイロット圧が零に設定されて、操作ペダル39の左踏み操作の操作位置に関係なく制御弁25が中立位置に操作され、第2ブーム部分4b(油圧シリンダ7)が停止する(ステップS18)。
【0037】
逆に操作ペダル39を右踏み操作して第2ブーム部分4bを右揺動操作すると(ステップS16)、バケットピン6aが前牽制面A1から離間する状態となるので、バケットピン6aが前牽制面A1及び前牽制領域B1に位置していても、これに関係なく操作ペダル39の右踏み操作の操作位置に対応する速度で、第2ブーム部分4bが右揺動操作される(ステップS20)(図3に示すように操作ペダル39のパイロット弁35bのパイロット油路には、圧力制御弁43が設けられていない点による)。
【0038】
[5]
次に、第1ブーム部分4aの上昇操作によりバケットピン6aが前牽制面A1に達した場合(ステップS3,S4)、及びアーム5の掻き込み操作によりバケットピン6aが前牽制面A1に達した場合(ステップS12,S13)について説明する。
図3に示すように、左操作レバー10のパイロット弁32bと制御弁22とを接続するパイロット油路に、パイロットポンプ30からのパイロット圧を分岐させるパイロット油路45が接続されて、パイロット油路45に圧力制御弁44が設けられており、通常は圧力制御弁44は閉位置に保持されている。
【0039】
例えば、第1ブーム部分4aの上昇操作によりバケットピン6aが前牽制面A1に達した場合や(ステップS3,S4)、アーム5の掻き込み操作によりバケットピン6aが前牽制面A1に達した場合(ステップS12,S13)、図3に示す圧力制御弁41によりパイロット弁31aのパイロット圧が零に設定され、右操作レバー9の後操作の操作位置に関係なく制御弁21が中立位置に操作されて、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)が停止する(ステップS5)。
【0040】
次に、右操作レバー9を後操作して第1ブーム部分4aの上昇操作を行おうとしていると、図3に示す圧力制御弁41により制御弁21へのパイロット圧が零の状態から漸次的に昇圧操作される。これにより、右操作レバー9のパイロット弁31aのパイロット圧が、第1ブーム部分4aの制御弁21(上昇側)に供給され漸次的に上昇して、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)が停止した状態から、漸次的に増速しながら上昇操作されるのであり(ステップS6)、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)の上昇速度(制御弁21へのパイロット圧)が、右操作レバー9の操作位置に対応する速度(パイロット圧)に達すると、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)の上昇速度(制御弁21へのパイロット圧)が、右操作レバー9の操作位置に対応する速度(パイロット圧)に保持される(ステップS7)(以上、図8の特性G1参照)。
【0041】
これと同時に図3に示す圧力制御弁44によりアーム5の制御弁22(排土側)にパイロット圧が供給されて、前述のように第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)が上昇操作されるのと同時に、アーム5が排土側に操作(油圧シリンダ12が収縮)される(ステップS8)。
【0042】
以上のような操作が行われると、図4に示すように第1ブーム部分4aが上昇操作されるのと同時に、第2ブーム部分4aとアーム5の間の角度Dが少しずつ大きくなる状態となって、バケットピン6aが前牽制面A1に沿って上昇していく状態となる(角度センサー36,37,38の検出値等に基づいて、バケットピン6aの位置を検出しながら、バケットピン6aが前牽制面A1に常に位置するように、圧力制御弁41,44によりパイロット圧が制御される)。これと同時に右操作レバー9を左操作して、バケット6を掻き込み操作すると、バケット6を水平に維持することができる。
【0043】
[6]
横牽制面A2を越えてバケットピン6aを運転部15側に操作しようとした場合、この操作が牽制阻止されるように構成されており、次にこの牽制について説明する。
前項[4]に記載のように制御装置40において、角度センサー36,37,38の検出値による第1ブーム部分4aの上下角度、第2ブーム部分4bの左右角度及びアーム5の前後角度と、第1ブーム部分4a、第2ブーム部分4b及びアーム5の各長さとにより、バケットピン6aの位置が常時検出されている。
【0044】
バケットピン6aが横牽制領域B2に入り込んだ状態において、操作ペダル39を左踏み操作して、第2ブーム部分4bを左揺動操作すると、バケットピン6aが横牽制面A2に接近する状態となる。
この状態において、図3に示す圧力制御弁43によりパイロット弁35aのパイロット圧が減圧操作されて、操作ペダル39の左踏み操作の操作位置に関係なく、第2ブーム部分4bの左揺動速度(油圧シリンダ7の伸長速度)が減速操作されるのであり、バケットピン6aが横牽制面A2に接近するほど、第2ブーム部分4bの左揺動速度(油圧シリンダ7の伸長速度)が大きく減速操作される。バケットピン6aが横牽制面A2に達すると、図3に示す圧力制御弁43によりパイロット弁35aのパイロット圧が零に設定されて、操作ペダル39の左踏み操作の操作位置に関係なく制御弁25が中立位置に操作され、第2ブーム部分4b(油圧シリンダ7)が停止する。
【0045】
逆に、操作ペダル39を右踏み操作して第2ブーム部分4bを右揺動操作すると、バケットピン6aが横牽制面A2から離間する状態となるので、バケットピン6aが横牽制面A2及び横牽制領域B2に位置していても、これに関係なく操作ペダル39の右踏み操作の操作位置に対応する速度で、第2ブーム部分4bが右揺動操作される(図3に示すように操作ペダル39のパイロット弁35bのパイロット油路には、圧力制御弁43が設けられていない点による)。
【0046】
バケットピン6aが横牽制領域B2に入り込んだ状態において、第1ブーム部分4aを上昇及び下降操作しても、アーム5を掻き込み及び排土側に操作しても、バケットピン6aは横牽制面A2に接近する状態とはならないので、バケットピン6aが横牽制領域B2に入り込んだ状態において、第1ブーム部分4aの上昇及び下降操作、アーム5の掻き込み及び排土側への操作は自由に行うことができる。
【0047】
[発明の実施の第1別形態]
図6に示すステップS5〜S8の構成に代えて、図9に示すステップS21〜S27のように構成してもよい。
図9に示すように、例えば第1ブーム部分4aの上昇操作によりバケットピン6aが前牽制面A1に達した場合や(ステップS3,S4)、アーム5の掻き込み操作によりバケットピン6aが前牽制面A1に達した場合(図7のステップS12,S13)、図3に示す圧力制御弁41によりパイロット弁31aのパイロット圧が零に設定され、右操作レバー9の後操作の操作位置に関係なく制御弁21が中立位置に操作されて、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)が停止する(ステップS21)。
【0048】
前述のようにバケットピン6aが前牽制面A1に達して、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)が停止すると(ステップS21)、図4に示すように角度センサー36とバケットピン6aとを結ぶ直線と、旋回台2と平行な面との上下角度Eが検出され(ステップS22)、旋回台2と平行な面に直交する直線に対するアーム5の前後角度Fが検出されて(ステップS23)、上下角度E及び前後角度Fと言う2つのパラメータに基づいて、図8に示す特性G1,G2,G3のように特性が無段階に設定される(ステップS24)。
【0049】
次に、右操作レバー9を後操作して第1ブーム部分4aの上昇操作を行おうとしていると、図3に示す圧力制御弁41により制御弁21へのパイロット圧が、図8に示すように設定された特性(特性G1,G2,G3参照)に基づいて零の状態から漸次的に昇圧操作される。
これにより、右操作レバー9のパイロット弁31aのパイロット圧が、第1ブーム部分4aの制御弁21(上昇側)に供給され漸次的に上昇して、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)が停止した状態から、漸次的に増速しながら上昇操作されるのであり(ステップS25)、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)の上昇速度(制御弁21へのパイロット圧)が、右操作レバー9の操作位置に対応する速度(パイロット圧)に達すると、第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)の上昇速度(制御弁21へのパイロット圧)が、右操作レバー9の操作位置に対応する速度(パイロット圧)に保持される(ステップS26)。
【0050】
これと同時に図3に示す圧力制御弁44によりアーム5の制御弁22(排土側)にパイロット圧が供給されて、前述のように第1ブーム部分4a(油圧シリンダ11)が上昇操作されるのと同時に、アーム5が排土側に操作(油圧シリンダ12が収縮)される(ステップS27)。
【0051】
以上のような操作が行われると、図4に示すように第1ブーム部分4aが上昇操作されるのと同時に、第2ブーム部分4aとアーム5の間の角度Dが少しずつ大きくなる状態となって、バケットピン6aが前牽制面A1に沿って上昇していく状態となる(角度センサー36,37,38の検出値等に基づいて、バケットピン6aの位置を検出しながら、バケットピン6aが前牽制面A1に常に位置するように、圧力制御弁41,44によりパイロット圧が制御される)。これと同時に右操作レバー9を左操作して、バケット6を掻き込み操作すると、バケット6を水平に維持することができる。
【0052】
前述のステップS24において、図4の実線に示すように上下角度Eが小さいと、第1ブーム部分4aを上昇操作した際、バケットピン6aの運転部15への接近移動の水平成分は小さなものとなる。図4の二点鎖線に示すように前後角度Fが小さいと(アーム5が旋回台2と平行な面に直交する状態に近いと)、アーム5の排土側への操作により、バケットピン6aの運転部15からの離間移動の水平成分は大きなものとなる。
これにより、上下角度Eが小さいほど、前後角度Fが小さいほど、ステップS25において第1ブーム部分4aを素早く上昇操作しても、アーム5の排土側への操作によりバケットピン6aが前牽制面A1に沿って上昇していく状態が、遅れることなく行われる。従って、上下角度Eが小さいほど、前後角度Fが小さいほど、制御弁21へのパイロット圧が比較的素早く漸次的に昇圧操作される特性(図8に示す特性G2参照)が、ステップS24で設定される。
【0053】
逆に、図4の二点鎖線に示すように上下角度Eが大きいと、第1ブーム部分4aを上昇操作した際、バケットピン6aの運転部15への接近移動の水平成分は大きなものとなる。図4の実線に示すように前後角度Fが大きいほど(アーム5が旋回台2と平行な面に直交する状態から遠いほど)、アーム5の排土側への操作により、バケットピン6aの運転部15からの離間移動の水平成分は小さなものとなる。
これにより、上下角度Eが大きいほど、前後角度Fが大きいほど、ステップS25において第1ブーム部分4aを素早く上昇操作すれば、アーム5の排土側への操作によりバケットピン6aが前牽制面A1に沿って上昇していく状態が、遅れることになる。従って、上下角度Eが大きいほど、前後角度Fが大きいほど、制御弁21へのパイロット圧が比較的ゆっくりと漸次的に昇圧操作される特性(図8に示す特性G3参照)が、ステップS24で設定される。
【0054】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明の実施の形態]及び[発明の実施の第1別形態]では図4及び図5に示すように、バケットピン6aの位置を基準として前牽制面A1を設定しているが、バケットピン6aの位置にも角度センサー(図示せず)を設けて、バケット6の先端の位置に対し前牽制面A1を設定するように構成してもよい。この場合には、図5に示す軌跡C1が本発明の前牽制面となる。
【0055】
右及び左操作レバー9,10、操作ペダル39の操作位置をポテンショメータ(図示せず)で電気的に検出し、電磁比例減圧弁型式のパイロット弁(図示せず)を操作して、パイロット式の制御弁21〜25を操作する型式や、右及び左操作レバー9,10、操作ペダル39の操作位置をポテンショメータ(図示せず)で電気的に検出し、この検出値に基づいて電磁比例減圧弁型式の制御弁(図示せず)を操作する型式にも、本発明は適用できる。さらに、本発明は旋回台2の右側に運転部15を配置し、旋回台2の左側にバックホウ装置3のブーム4(第1ブーム部分4a)を配置したバックホウにも適用できる。
【0056】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、運転部の前方に牽制面を設定したバックホウにおいて、バケットが牽制面に達してから次に人為的な操作指令によりブームの上昇操作が行われようとした場合、自動的にアームが排土側(運転部から離間する側)に操作されながら、ブームが上昇操作されるので、アームを人為的に排土側に操作しなくてもブームの上昇操作が支障なく行えるようになって、バックホウの操作性を向上させることができた。
【0057】
請求項1の特徴によると、例えばアームの掻き込み操作によりバケットが牽制面に達した停止状態から、次に人為的な操作指令によりブームの上昇操作が行われる際、バケットが牽制面を越えないように自動的にアームが排土側に操作されながら、人為指令された設定速度までブームが漸次的に増速されて上昇操作されるので、バケットが移動方向を急激に変更することによるショックを抑えて、バケットから土がこぼれ落ちるような状態を未然に防止することができるようになった。上記設定速度は、人為的な操作指令に対応する速度(例えばブームの操作レバーの操作位置に対応する速度)に設定されており、人為的な操作指令を設定している作業者にとって違和感の少ないものとなるので、作業者が違和感を持つことにより誤操作を行ってしまうようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バックホウの全体側面図
【図2】 バックホウ装置の油圧シリンダ及び制御弁等を示す油圧回路図
【図3】 右及び左操作レバー、操作ペダル、パイロット弁及びパイロット油路等を示す油圧回路図
【図4】 前牽制面及び前牽制領域を示す側面図
【図5】 前及び横牽制面、前及び横牽制領域を示す平面図
【図6】 前牽制面及び前牽制領域における制御の流れの前半を示す図
【図7】 前牽制面及び前牽制領域における制御の流れの後半を示す図
【図8】 バケットピンが前牽制面に達してから第1ブーム部分が上昇操作される際の特性を示す図
【図9】 発明の実施の第1別形態での前牽制面及び前牽制領域における制御の流れを示す図
【符号の説明】
3 バックホウ装置
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
11,12 アクチュエータ
15 運転部
16,17 外部フレーム
36,37,38 位置センサー
A1 牽制面
Claims (1)
- 運転部(15)を覆う外部フレーム(16)から前方に所定距離だけ離れた牽制面(A1)を空間に設定するとともに、前記牽制面(A1)とこの牽制面(A1)から所定距離だけ前方に離れた面との間の空間を牽制領域(B1)として設定する設定手段と、バックホウ装置(3)のバケット(6)の位置を検出する位置センサー(36)(38)とを備え、
前記位置センサー(36)(38)の検出に基づいて前記バケット(6)が前記牽制領域(B1)内に入って前記牽制面(A1)に近づくほど前記バックホウ装置(3)の作動操作用のアクチュエータ(11)(12)の駆動速度を漸次減速するとともに、前記牽制面(A1)を越えて前記運転部(15)側に入り込もうとすると、前記バックホウ装置(3)の作動操作用のアクチュエータ(11)(12)を停止させて、これを牽制阻止する牽制手段を備えると共に、
前記バケット(6)が前記牽制面(A1)に位置した状態において、ブーム(4)を操作する操作レバー(9)による前記バックホウ装置(3)のブーム(4)の上昇操作の人為的な操作指令が生じていると、停止状態にある前記バケット(6)が前記牽制面(A1)に沿って漸次増速しながら上昇するように前記バックホウ装置(3)のアーム(5)が排土側に操作されながら前記ブーム(4)が上昇側に漸次的に増速されて人為的な操作指令で設定された設定速度に達するように、前記アクチュエータ(11)(12)を作動操作する制御手段(40)を備えてあるバックホウ。
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