JP3693745B2 - 末端官能基含有共役ジエン系重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は末端官能基含有共役ジエン系重合体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは加工性を向上させると共に、低ヒステリシスロス性に優れた末端官能基含有共役ジエン系重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年自動車に対する低燃費化の要求に伴って、タイヤ用ゴム材料として、加工性、低ヒステリシスロス性に優れた共役ジエン系重合体が求められている。
【0003】
このような共役ジエン系重合体として、末端に特定の飽和環状の2級アミン化合物を用いて、この2級アミノ基を有する重合体が得られており、この重合体を含む原料ゴムとカーボンブラックを配合したゴム組成物の加硫物は末端に2級アミノ基を持たない未変性の重合体を用いた加硫物に比べ、非常に優れた低ヒステリシスロス性を示すことが知られている。
【0004】
しかしながら、上記の末端に飽和環状の2級アミノ基を有する共役ジエン系重合体を含む原料ゴムとカーボンブラックを配合したゴム組成物の未加硫物は、未変性の重合体を用いたゴム組成物の未加硫物に比べ、重合体の同一分子量で見ると非常に高いムーニー粘度を示し、作業性の悪さが問題となっていた。例えば、特開平6−199922において、飽和環状2級アミノ基を有するリチウムアミド化合物を重合開始剤として用いた官能化された重合体が知られているがこの重合体は低発熱性(低ヒステリシスロス性)を示すもののカーボンブラック等の充填剤配合物の未加硫時の加工性が劣り好ましくない。
【0005】
一方、上記未変性の重合体の未加硫配合物は適度のムーニー粘度に制御できるため、加工性はよいが、その加硫配合物の低ヒステリシスロス性は良くない。
【0006】
このように、加工性と低ヒステリシスロス性を両立した末端官能基含有共役ジエン系重合体は未だ得られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、未加硫配合物の加工性(以下、単に加工性と言う)が改良され、同時に加硫配合物の低ヒステリシスロス性(以下、単に低ヒステリシスロス性と言う)に優れた末端官能基含有共役ジエン系重合体(以下、単に共役ジエン系重合体と言う場合がある)及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため、特に重合体末端に結合する環状2級アミノ基に着目し、鋭意検討した結果、下記の手段により、優れた加工性と低ヒステリシスロス性を両立した共役ジエン系重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、(1)本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体は、重合体の末端部分に、下記一般式(I)で表される不飽和環状2級アミノ基を、有することを特徴とする。
【0010】
一般式(I)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、Xは(CR5 R6 )n からなる飽和型構造基、あるいは(CR5 R6 )n の一部に炭素、炭素二重結合を含む不飽和型構造基であり、nは1〜10の整数を表す。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。)
(2)本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体は、前(1)項において、前記重合体は共役ジエンモノマーの単独重合体及び/又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの共重合体であることを特徴とする。
【0013】
(3)本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体は、前(2)項において、前記共役ジエンモノマーが1,3−ブタジエンであることを特徴とする。
【0014】
(4)本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体は、前(2)項において、前記ビニル芳香族炭化水素モノマーがスチレンであることを特徴とする。
【0015】
(5)本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体の製造方法は、炭化水素溶媒中で、下記一般式(II)で表される不飽和環状2級アミン化合物を添加し、次いで有機リチウム化合物を添加することにより得られる該有機リチウムと該不飽和環状2級アミン化合物とからなる開始剤に、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの混合物を接触させて重合させることを特徴とする。
【0016】
一般式(II)
【0017】
【化4】
【0018】
(式中、Xは(CR5 R6 )n からなる飽和型構造基、あるいは(CR5 R6 )n の一部に炭素、炭素二重結合を含む不飽和型構造基であり、nは1〜10の整数を表す。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。)
(6)本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体の製造方法は、前(5)項において、前記共役ジエンモノマーが1,3−ブタジエンであることを特徴とする。
【0019】
(7)本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体の製造方法は、前(5)項において、前記ビニル芳香族炭化水素モノマーがスチレンであることを特徴とする。
【0020】
(8)本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体の製造方法は、前(5)乃至(7)項において、前記共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの混合物を重合後、得られた重合体をカップリング剤又は親電子試薬により変性させることを特徴とする。
【0021】
以下に本発明を詳細に説明する。
前記一般式(I)で表される不飽和環状2級アミノ基は例えば有機リチウム化合物とこの2級アミノ基に対応する前記一般式(II)で表される不飽和環状2級アミン化合物とからなる開始剤に、所定のモノマーを重合させて、重合体に導入される。この2級アミノ基又は2級アミン化合物において、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 は効果の点から好ましくは水素原子又は炭素数1〜6の例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル等のアルキル基、炭素数3〜6の例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、炭素数6〜10の例えばフェニル基等のアリール基である。nは効果の点から好ましくは1〜5の整数である。
【0022】
2級アミン化合物で説明すれば、(CR5 R6 )nからなる飽和型構造基を有する不飽和環状2級アミン化合物としては、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、3−ピロリン、1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピコリン、1,2,3,6−テトラヒドロ−3,4−ルチジン等を挙げることができ、中でも効果の点から1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,2,3,6−テトラヒドロ−4−ピコリンであることが好ましい。
【0023】
本発明に用いられる不飽和環状2級アミン化合物の量は有機リチウム1モル当量に対し、0.1〜2.0モル当量が好ましく、さらには0.5〜1.0モル当量であることが好ましい。
【0024】
本発明において、重合体は共役ジエンモノマーの単独重合体及び/又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの共重合体であることが好ましい。
【0025】
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法は制限されないが例えば炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物と前記一般式(II)で表される不飽和環状2級アミン化合物とからなる開始剤に、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの混合物を接触させて重合させることができる。
【0026】
この共役ジエンモノマーとしては1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。効果の点から好ましいのは1,3ブタジエンである。またビニル芳香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、3−ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。好ましいのはスチレンである。
【0027】
本発明において共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーの共重合の場合、ビニル芳香族炭化水素の含量は3〜50重量%、好ましくは5〜45重量%である。また、溶液重合する場合、溶媒中のモノマー濃度は通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0028】
有機リチウム化合物としては、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等に代表されるアルキルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム等に代表されるアリールリチウム、ビニルリチウム、プロペニルリチウム等に代表されるアルケニルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム等に代表されるアルキレンジリチウム等を挙げることができる。
【0029】
本発明に用いられる有機リチウム化合物の量は重合体の所望の分子量に依存して決められるが、一般にはモノマー100gに対し、0.05〜15mmol、好ましくは0.1〜10mmolが使用される。
【0030】
重合に用いられる炭化水素溶媒の例としてはプロパン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、テトラヒドロナフタリン等が挙げられる。
【0031】
また、前記したように、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの混合物を重合すると重合体末端に活性リチウムが存在するため重合終了後、得られた重合体にカップリング剤又は親電子試薬を添加して、重合体の変性を行うことができる。カップリング剤としては具体的には四塩化スズ、ジブチルジクロロスズ、トリブチルクロロスズ等のハロゲン化スズ化合物、テトラアリルスズ、ジエチルジアリルスズ等のアリルスズ化合物、テトラフェニルスズ等のアリールスズ化合物、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、ジメチルジクロロケイ素等のハロゲン化ケイ素化合物、テトラフェノキシケイ素等のアルコキシケイ素化合物を挙げることができる。また親電子試薬としてはN−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、ジエチルフタル酸、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゾフェノン等のケトン類、エチレンオキサイド等のオキシラン類、フェニレンイソシアネート、メチレンビスフェニルイソシアネート等のイソシアネート類、二酸化炭素等を挙げることができる。効果の点から好ましくはハロゲン化スズ化合物、ハロゲン化ケイ素化合物、アミド類、イソシアネート類である。
【0032】
本発明に用いられるカップリング剤又は親電子試薬の量は、例えばハロゲン化スズ化合物の場合、重合体末端の活性リチウム原子1モル当量に対し、ハロゲン原子として0.1〜2モル当量である。
【0033】
また、所望の分子構造の重合体を得たい場合はランダマイザーが好ましく用いられる。ランダマイザーとは共役ジエン系重合体のミクロ構造のコントロール、共役ジエンモノマー、ビニル芳香族炭化水素モノマー、例えばブタジエンとスチレンの組成分布のランダム化等の作用を有する化合物である。具体的には(1)1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メトキシメチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、(2)ベラトロール、イソホモベラトロール等のオルトジメトキシベンゼン類、(3)アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトンのようなケトン類及びトリエチルホスファイト、トリオクチルホスファイトのような亜リン酸トリエステル類とリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムとのコンプレックスに代表される、アルカリ金属とケトン類又は亜リン酸トリエステル類とのコンプレックス(4)メチルアルコール、エチルアルコール、t−アミルアルコール、フェノール、カテコール、レゾルシノール等のリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム又はバリウムの塩に代表される、アルコール、フェノールのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(5)イソ吉草酸、ラウリル酸、ステアリン酸、酸性炭酸n−ドデシル、酸性炭酸フェニル等のリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムの塩等に代表される、アルカリ金属のカルボン酸塩又は酸性炭酸エステル塩(6)ドデシルベンゼンスルホン酸、ジイソプロピルナフタリンスルホン酸、カプロイルエチレングリコール硫酸エステル等のリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウム塩に代表される、アルカリ金属のスルホン酸塩又は硫酸エステル塩(7)トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンに代表される第3級アミンが挙げられる。ランダマイザーの使用量は有機リチウム化合物1モル当量当たり0.01〜1000モル当量の範囲である。
【0034】
重合は約−80℃〜150℃の範囲内で任意の温度で行うことができるが−20℃〜100℃の温度が好ましい。
【0035】
得られた重合体のカップリング変性前の数平均分子量は、8×103 〜1×106 であることが好ましく、更に5×104 〜8×105 であることが更に好ましい。
【0036】
本発明の共役ジエン系重合体はタイヤトレッド、カーカス、サイドウォール等のタイヤ用途、ベルト防振ゴム、窓枠、ホース、工業用品などの用途に使用できる。
【0037】
本発明の共役ジエン系重合体は末端に不飽和環状の2級アミノ基を有し、この組成物は従来の末端に飽和環状の2級アミノ基を有する共役ジエン系重合体からなるゴム組成物に比べ、未加硫配合物では低いムーニー粘度を示すが、加硫配合物では同等の低ヒステリシスロス性を示す。
【0038】
この機構については明らかではないが、次のように考えることができる。従来の末端に特定の飽和環状2級アミノ基を有する共役ジエン系重合体はカーボンブラックと混練りした際、末端とカーボンブラックが反応し、その結果、ムーニー粘度が上昇すると共に、低ヒステリシス性を引き起こす。一方、本発明の不飽和環状2級アミノ基を有する共役ジエン系重合体は末端とカーボンブラックの反応性が劣り、ムーニー粘度の上昇が少ない。しかし加硫時には末端の2級アミノ基の環中に二重結合があることにより、末端が加硫時に反応し易く、その結果、飽和環状2級アミノ基を有する共役ジエン系重合体と同等のヒステリシスロス性を示すようになる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の主旨を越えない限り、本実施例に限定されるものではない。
【0040】
重合体の数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、東ソ−製HLC−8020、カラム:東ソ−製GMH−XL(2本直列))により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
【0041】
カップリング効率は重合終了後、カップリング剤を添加した場合について測定し、GPCのクロマトグラムにおける高分子量成分と低分子量成分の面積比により求めた。
【0042】
スチレン−ブタジエン共重合体中のスチレン含量及びブタジエン部分の1,2結合量は、1 H−NMR(400MHZ )により求めた。
【0043】
重合体末端の2級アミノ基付加率は次のように求めた。0.08gのパテントブルー(Patent blue)VFと0.01N塩酸水溶液1リットルを混合して染色用溶液を調整した。また重合体の絶対分子量を測定し、そのトリクロロメタン(CHCl3 )溶液(0.15〜0.4重量%の範囲で、濃度を正確に決めたもの)を調整して試料とした。この染色用溶液10mlと重合体試料溶液10mlとを混合し室温で2.5時間振とう後、2時間静置して有機層を抽出し628nmにおける可視光吸収強度を測定した。濃度の異なるN−ドデシル−アミン(ここでアミン種は重合体末端に付加しているアミン種に対応するもの)のトリクロロ溶液を調整して同様に可視光吸収強度を測定して検量線を求め、この検量線より重合体試料溶液中の2級アミノ基濃度を求めた。重合体試料溶液中の重合体モル濃度と前記2級アミノ基濃度より2級アミノ基付加率を算出した。
【0044】
ここで、本実施例において、アミン種は1種(不飽和環状2級アミン化合物である1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(THP))のみを使用しており、他のアミン種は混在していない。有機リチウム化合物とTHPより得られるリチウムアミドが開始剤となっている。一般にN−Li間でモノマーがリビング重合するメカニズムはよく知られた事実である。従って、アミノ基付加率を示すことは、この範囲で本発明の共役ジエン系重合体が末端に不飽和環状2級アミノ基を有することが確認されたことになる。
【0045】
ヒステリシスロスの指標としてtanδを用い、tanδが小さい程、低ヒステリシスロスであると評価する。tanδの測定は粘弾性測定装置(RVE:レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪3%、周波数15Hzで行った。
【0046】
作業性の指標となるムーニー粘度は、ムーニー粘度計(東洋精機製)を使用し、予熱1分、測定4分、温度128℃で測定した。
〔実施例1〕
乾燥し、窒素置換された800mlの耐圧ガラス容器に、表1の重合処方に従って、シクロヘキサン、ブタジエンモノマー、スチレンモノマー、ライダマイザーとしてテトラヒドロフラン(THF)、不飽和環状2級アミン化合物として1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(THP)を注入し、これにn−ブチルリチウム(n−BuLi)を加えた後50℃で2時間重合を行った。得られた重合体の重合転化率は100%であり、これにイソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥することにより重合体Aを得た。得られた重合体のミクロ構造、分子量、分子量分布、アミン付加率を測定し、その結果を表2に示す。
【0047】
この重合体は表3に示す配合処方に従って、90ccプラストミル、3インチロールで混練り、配合した後、未加硫物のムーニー粘度及び145℃、33分間加硫を行った加硫物の粘弾性を測定し、その結果を表4に示す。
〔比較例1〕
不飽和環状2級アミン化合物(THP)の代りに、飽和環状2級アミン化合物として、ヘキサメチレンイミン(HMI)を用いて、表1の重合処方に従って重合を行う以外、実施例1と同様にして実験を行い、重合体Bを得た。実施例1と同様にして、重合体のミクロ構造、分子量、分子量分布、アミン付加率を測定し、その結果を表2に示し、未加硫物のムーニー粘度及び加硫物の粘弾性を測定し、その結果を表4に示す。
〔比較例2〕
2級アミン化合物を用いないで、表1の重合処方に従って、重合を行う以外、実施例1と同様にして実験を行い、重合体Cを得た。実施例1と同様にして、重合体のミクロ構造、分子量、分子量分布を測定し、その結果を表2に示し、未加硫物のムーニー粘度及び加硫物の粘弾性を測定し、その結果を表4に示す。
〔実施例2〕
THPを用いて、表1の重合処方に従って、実施例1と同様にして重合を行い、重合転化率が100%に達した後、一部をサンプリングし、得られた重合体のミクロ構造、分子量、分子量分布を測定し、その結果を表2(重合体Dの欄)に示す。上記重合転化率が100%に達した後、カップリング剤として、四塩化スズを重合体末端の活性リチウム原子に対し、塩素原子として等モル当量加え、重合体のカップリング変性を行い、得られた固形物を乾燥することにより、重合体Dを得た。この重合体のカップリング効率、アミン付加率を測定し、その結果を表2に示す。実施例1と同様にして、未加硫物のムーニー粘度及び加硫物の粘弾性を測定し、その結果を表4に示す。
〔実施例3〕
n−BuLiを減量して、表1の重合処方に従って、重合を行う以外、実施例2と同様にして実験を行い、重合体Eを得た。実施例2と同様にして、カップリング変性前の重合体のミクロ構造、分子量、分子量分布を測定し、その結果を表2に示す。実施例2と同様にカップリング変性を行い、得られた重合体のカップリング効率、アミン付加率を測定し、その結果を表2に示す。実施例1と同様にして、未加硫物のムーニー粘度及び加硫物の粘弾性を測定し、その結果を表4に示す。
〔比較例3〕
THPの代りに、HMIを用い、n−BuLiを減量して、表1の重合処方に従って、重合を行う以外、実施例2と同様にして実験を行い、重合体Fを得た。実施例2と同様にして、各種特性を測定した結果を表2及び表4に示す。
〔比較例4〕
2級アミン化合物を用いないで、n−BuLiを減量して、表1の重合処方に従って、重合を行う以外、実施例2と同様にして実験を行い、重合体Gを得た。実施例2と同様にして、各種特性を測定した結果を表2及び表4に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
表2及び表4の結果からわかるように、本発明の共役ジエン系重合体はいずれも高いアミン付加率を示すことから、重合体の大部分が重合体末端に不飽和環状2級アミノ基を有する末端官能基含有共役ジエン系重合体であることが明らかであり、この重合体は加工性(適度のムーニー粘度)及び低ヒステリシスロス性(低tanδ)を両立した優れた特性を示す。
【0053】
比較例1及び3に示されるように、従来の飽和環状2級アミノ基を有する重合体は低ヒステリシスロス性を示すが加工性が悪化する(高ムーニー粘度)ことがわかる。また比較例2及び4からわかるように、2級アミノ基を有しない重合体は加工性は良好であるが、低ヒステリシスロス性は劣る。
【0054】
【発明の効果】
本発明の末端官能基含有共役ジエン系重合体は、上記構成としたので、加工性が改良され、同時に低ヒステリシスロス性が向上するという優れた効果を奏し、またこの共役ジエン系重合体は前記手段によって効率よく、容易に得られる。
Claims (8)
- 前記重合体は共役ジエンモノマーの単独重合体及び/又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1記載の末端官能基含有共役ジエン系重合体。
- 前記共役ジエンモノマーが1,3−ブタジエンであることを特徴とする請求項2記載の末端官能基含有共役ジエン系重合体。
- 前記ビニル芳香族炭化水素モノマーがスチレンであることを特徴とする請求項2記載の末端官能基含有共役ジエン系重合体。
- 炭化水素溶媒中で、下記一般式(II)で表される不飽和環状2級アミン化合物(但し、3−ピロリン及び2,5−ジメチル−3−ピロリンを除く)を添加し、次いで有機リチウム化合物を添加することにより得られる該有機リチウムと該不飽和環状2級アミン化合物からなる開始剤に、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの混合物を接触させて重合させることを特徴とする末端官能基含有共役ジエン系重合体の製造方法。
一般式(II)
- 前記共役ジエンモノマーが1,3−ブタジエンであることを特徴とする請求項5記載の末端官能基含有共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記ビニル芳香族炭化水素モノマーがスチレンであることを特徴とする請求項5記載の末端官能基含有共役ジエン系重合体の製造方法。
- 前記共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーとの混合物を重合後、得られた重合体をカップリング剤又は親電子試薬により変性させることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の末端官能基含有共役ジエン系重合体の製造方法。
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