JP3693740B2 - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は揮発性の有機化合物で汚染された土壌の微生物の分解作用を利用した浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
産業活動の急激な膨張は環境に様々な形の負荷を与え、土壌においても土壌が元来有する浄化能力を超えた量の物質による汚染や、土壌自体に浄化能力が備わっていない物質による汚染などで広く汚染が進み浄化を急がれる例が多くなっている。
【0003】
これらのなかでも石油およびその誘導品で代表される液状で揮発性の有機化合物での汚染は深刻な状況にあり、浄化技術の確立が強く求められているところである。揮発性有機化合物による汚染土壌の浄化方法は、大きくは汚染土壌域を取り囲むように遮蔽壁を設けるなどして汚染物質の封じ込めを図る浄化方法と物理的、化学的あるいは生物学的方法により汚染物質そのものを分解除去する方法の2つに分類される。このなかでも汚染物質そのものを分解除去する方法は根本的な浄化方法として好ましいものとされている。
【0004】
物理的、あるいは化学的な浄化方法としては、汚染土壌域に空気流を強制的に生じさせ汚染物質の揮発性を利用して空気流とともに汚染物質を排出後UV処理装置、活性炭処理装置などガス処理装置に誘導し分解・除去するいわゆる真空抽出法、掘削により掘り起こされた汚染土壌を地上のプラントなどにより加熱、UV照射、酸化処理などなどの手法たより浄化する方法などが実用化されている。しかし、これらの方法では汚染物質の濃度が低下した場合に極端に浄化効率が落ちたり、汚染土壌の立地条件によって適用できないことがあったり、装置が大がかりになるなど課題をかかえている。
【0005】
近年になって微生物の分解作用を利用して汚染物質を分解除去するいわゆるバイオレメデイエーシヨン(土壌修復)が低濃度汚染土壌の浄化も可能で、浄化に要するエネルギーコストも低いことなどの特長から注目を集めている。この土壌修復には汚染土壌中に生息する、汚染物質を分解する能力を有する微生物群の分解能力を栄養素の供給、酸素濃度の調整などによって人為的に向上させて分解浄化させる土着微生物活性化法と、汚染物質を分解する能力を有する微生物を予め確保しておき、それを増殖させ汚染土壊域に投入する分解微生物添加法がある。
分解微生物添加法は、浄化対象となる汚染土壌中に生息する分解微生物の分解能力よりも優れた分解微生物を適宜選択し汚染土壌域に投入することによって効率よく浄化できること、汚染物質を分解する能力をもつ微生物が汚染土壌中に存在しない場合、すなわち土着微生物活性化法が適用できない場合であっても別に増殖させた分解微生物を汚染土壌域に投入することにより浄化が可能であることなどの理由から注目を集めている。更に、近年になってトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど自然環境下では分解浄化が困難な化合物による土壌汚染の例が増えている一方で、トリクロロエチレンなどの難分解性の化合物を分解する能力を有する微生物がスクリーニング技術、あるいは遺伝子組み換え技術の進歩などにより入手可能となっていることから、この分解微生物添加法が有力な浄化方法として特に注目を集めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の分解微生物添加法においては、土壌という特殊な環境下で、更に効果的かつ効率的な浄化処理を実現するための種々の検討が盛んになされている。かかる検討において挙げられている課題としては、例えば、以下の点を挙げることができる。
【0007】
分解能を有する微生物(分解微生物)の分解能は、分解微生物と汚染物質とが接触して初めて発揮されるものであるが、分解微生物や汚染物質の移動や拡散が、汚染土壌の一部分に分解微生物を添加するだけで実用的な分解速度を得るに十分な程度の速さで進行しない場合が多い。
【0008】
このような問題を解決する方法としては、分解微生物を汚染土壌域に隈なく必要量注入し、さらに分解微生物の分解活性を支えるために適宜栄養素の供給、酸素濃度の調整などを行う試みがなされている。
【0009】
例えば、Savery W.らは汚染土壌中に任意に位置を変えられる注入孔ないし抽出孔をもつ注入装置および抽出装置を設け分解微生物、栄養素、酸素などを意図する位置に任意の量を供給することによる浄化方法を提案している(USP 5,111,883)。この方法によって汚染土壌域に隈なく分解微生物などを供給する技術は大幅に改善されたが、汚染土壌域に注入する分解微生物などの量は膨大なものとなり実用化の場合大きな障害となっている。
【0010】
また、Weber O.らは汚染土壌層に設けたボーリング孔を用いた真空抽出法と、汲み上げた汚染地下水に分解微生物、栄養素、酸素などを添加、必要に応じ浄化プラントで処理した後、汚染土壌表層近傍に設けられた戻し管を通じて汚染土壌に循環させる方法を組み合わせることによって炭化水素で汚染された不飽和帯水層土壌に好適な浄化方法を提案している(DE3839093C2)。この方法により不飽和帯水層土壌での分解微生物の分解活性は向上し、より高速な浄化を可能にしている。しかしながら、この方法では大量の分解微生物や栄養素等が必要とされ、また真空抽出された汚染物質について従来技術と同様何らかの二次処理が必要であり、設備上も大がかりとなることは免れない。さらに多量の分解微生物、栄養素などを浄化期間中繰り返し供給するため分解微生物を含むこれらの注入物質の環境中ヘの流出の危険性も高い。
【0011】
また、Duane A.G.らは汚染土壌域ヘ注入管および排出管を設置、供給管より気体状の栄養素を汚染土壊域に供給し排出管を経て循環させて汚染土壌域に栄養素の流路を確保、分解微生物の分解能を促進させることによって高速浄化を達成する方法を提案している(USP 5,178,491)。この方法により、汚染土壌中の分解微生物ヘの栄養素供給は大きく改善され分解微生物の分解能は向上している。しかし、分解微生物と汚染物資との接触という視点からはほとんど改善が期待できず不十分なものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に対して検討を加え、より効率良い浄化処理を達成する上で、分解速度を早めるには分解微生物と汚染物質の接触を早めること、更には、これらの接触をより効率的に行うことが重要であるとの結論を得た。
【0013】
そして、そのためには分解微生物などを汚染土壌域に隈なく添加するのではなく逆に汚染土壌中の汚染物質を強制的に移動させて分解微生物と接触させることが有効でかつ簡便であることを見い出した。また、汚染物質を分解微生物の作用を利用して分解させるには、従来の地上バイオリアクタではなく汚染土壌域に分解微生物等を注入などの方法によって分解微生物が存在する領域(以下浄化領域)を設け、その領域に汚染物質を含む気体を誘導することにより極めて効率のよい分解が可能であることを見出し本発明にいたった。
【0014】
すなわち、本発明の汚染土壌の浄化方法は、揮発性有機化合物で汚染された土壌の微生物の分解作用を利用した浄化方法であって、土壌の汚染領域に前記微生物を供給することにより浄化領域を形成する工程と、汚染領域と前記浄化領域とを循環する気体流を形成し、該汚染領域内を通過して該浄化領域へ到達する気流を利用して該汚染領域中から揮発性有機化合物を抽出して該浄化領域へ供給する工程を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の汚染土壌の浄化方法は、循環気流を利用して、土壌中に形成した分解微生物を含む浄化領域に他の汚染領域から揮発性有機化合物からなる汚染物質を移動させて供給し、汚染物質の分解浄化を行うもので、分解微生物と汚染物質との接触が高速かつ効率的に行われ、汚染物質の分解浄化を効果的に行うことができる。
【0016】
浄化領域と汚染領域を循環する気流の組成は必要に応じで適宜変更でき、例えば、汚染領域からの気流中に分解を促進する成分、例えば酸素等を追加して浄化領域に供給することもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の浄化方法は、気流によって汚染物質を移動させるものであり、揮発性有機化合物、例えばトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の揮発性有機塩素系化合物、軽油、ガソリン等の燃料、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の有機溶剤等に好適に適用し得る。
【0018】
本発明の汚染土壌の浄化方法を実施するにあたっては、まず、初めに汚染状態を正確に把握し汚染領域を設定する。汚染状態を把握するには一般的な手段、方法により可能であるが、例えばボーリング孔または観測用の井戸を設け、土壌または地下水のサンプルを採取し汚染物質を測定する方法、ボーリング孔および観測用の井戸にセンサー類を挿入し土壌層、地下水層における汚染物質をモニターする方法、ボーリング孔および観測用の井戸を通じ又は直接土壌層、地下水層にサンプリング管を挿入、気体または地下水を吸引しそこに含まれる汚染物質を測定する方法などにより可能である。
【0019】
これらのデータから汚染領域を設定し、その汚染領域に浄化領域を形成させる。浄化領域は、汚染物質を分解する能力を有する分解微生物を少なくとも含む分解微生物材料を汚染領域に供給することにより形成ることができる。分解微生物材料には、分解微生物の他に、必要に応じて、分解微生物の増殖に必要な増殖機能材料、分解微生物による分解活性を発現させる活性維持機能材料、分解微生物が土壌内で安定に生息できる生殖機能材料などのなかから適宜選択された材料を含むことが好適な分解を進めるうえで好ましい。
【0020】
まず、汚染物質を分解する分解微生物としては、例えば分解活性が確認されているサッカロミセス(Saccharomyces)、ハンセヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)、ミクロコッカス(Micrococcus)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ロイコノストア(Leuconostoa)、ラクトバシルス(Lactobacillus)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、アルスロバクター(Arthrobacter)、クロストリジウム(Clostoridium)、バシルス(Bacillus)、ナイセリア(Neisseria)、エシェリシア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、セラチア(Serratia)、アクロモバクター(Achromobacter)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、アセトバクター(Acetobacter)、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、ニトロバクター(Nitrobacter)、チオバシルス(Thiobacillus)、グルコノバクター(Gluconobacter)、シュードモナス(Pseudomonas)、キサントモナス(Xanthomonas)、ビブリオ(Vibrio)などの属に含まれる微生物、これらの突然変異体およびこれらの微生物の遺伝子組み換え体の1種または2種以上の混合体を用いることができる。分解微生物は汚染物質の種類により好適な組み合わせを適宜選択して用いることができる。また、分解微生物としては、これら分解微生物のほかに分解酵素そのものを使用することも可能である。
【0021】
増殖機能材料とは、分解微生物に対する栄養素であり、例えば、ブイヨン培地、M9培地、L培地、マルトエキストラクト(Malt Extract)、MY培地、硝化菌培地などを利用できる。
【0022】
分解微生物から産生される分解酵素が構成的に発現される場合は、活性維持機能材料をとくに必要としないが、活性酵素が特定の誘導物質(インデューサー)により発現される場合は誘導物質が活性維持機能材料として必要である。誘導物質としてはメタン資化菌、芳香族資化菌では、トルエン、フエノール、クレゾールなど、また硝化菌ではアンモニウム塩などである。分解微生物材料として直接分解酵素を使用する場合には酵素活性を発現維持させるためのエネルギー源やミネラルなどが活性維持機能材料として要求される。
【0023】
生殖機能材料は、分解微生物の浄化領域において快適な棲息空間を与え、これにより他の微生物や原生動物などによる捕食を妨害したり、あるいは分解微生物の浄化領域外ヘの拡散消失を防ぐ目的を有している。生残機能材料としては、医薬品工業や食品工業あるいは廃水処理システムなどのバイオリアクターで利用されている多くの微生物担体を用いることができる。例えば、多孔質ガラス、セラミックス、金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラサイトなどの球状担体、澱粉、寒天、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリアクリルアミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチン、セルロース、グルタルアルデヒド、ポリアクリル酸、ポリウレタンなどのゲル状担体、高分子樹脂やイオン交換樹脂などである。さらに、例えば、セルロースを主成分とする綿、麻、パルプ材などよりなる紙類、ポリエステル、ポリウレタンあるいはポリアセテートなどの変性高分子からなる布類も有効である。その他、増殖機能と生残機能を兼ねた材料として堆肥材料が有用であり、例えば麦藁など穀物類の藁やおが屑、米糠、おから、砂糖黍の絞りかす、カニやエビの殻などが挙げられる。
【0024】
上述した微生物材料などをを含む浄化領域を形成させるには、例えば図4に示すように注入口43を持つ注入パイプ42を汚染領域に挿入し微生物材料を含む注入液を送液ポンプなどからなる液注入ユニット41によって汚染領域に注入する方法、図5に示すように地盤改良工法に使用される撹拝翼53および注入薬剤供給系51を有する施工機械を用いて汚染土壌城を掘削しながら掘削土壌中に微生物材料を含む注入液を供給する方法、図6に示すように汚染領域に掘削孔61を設けその中に分解微生物材料を含む土壌を埋め戻す方法など任意の方法で可能である。そのなかでも汚染物質の揮発による大気中ヘの揮散を防止する観点から、また浄化領域形成の容易さおよび汚染物質を含む抽出気体の浄化領域ヘの循環のし易さなどから注入口を持つ注入パイプを汚染領域に挿入し微生物材料を含む注入液を送液ポンプで汚染領域に注入する方法が好ましい。
【0025】
汚染領域と浄化領域を循環する気体の流れにおける、汚染領域から浄化領域への汚染物質を含む気体気流の形成には、汚染領域に抽出井を設け汚染領域に空気流を強制的に生じさせ、空気流とともに揮発性の汚染物質を排出させる真空抽出法が好適に用いられる。そして、抽出された汚染物質を含む気体は、浄化土壌域に設けられた注人井を通じて浄化領域に注入された後、汚染領域に循環される。
【0026】
抽出された気体の酸素濃度、炭酸ガス濃度、汚染物質、汚染物質の分解産物などを適宜測定し、これらの成分を少なくとも1つについて調整の上、浄化領域を通して汚染領域に循環させることもできる。なかでも酸素濃度は分解微生物の分解能に大きな影響を及ぼすため、抽出気体中の酸素濃度を測定しその結果に応じて最適な酸素濃度に調整したうえで浄化領域を通して汚染領域に循環することが特に好ましい。
【0027】
なお、抽出井に空気流を生じさせる吸引要素、抽出気体中の酸素濃度等を測定する成分測定要素、成分測定要素の測定結果に応じ酸素濃度等を調整する成分調整要素、注入井に気体を注入させる気体注入要素は、汚染土壌あるいは汚染土壌近傍の地上部あるいは地中部に適宜設けられる。
【0028】
本発明を実施するのに好適なシステム例を図1に示し、それを用いた汚染土壌の浄化フローについて以下に説明する。
【0029】
先ず、あらかじめ測定し設定された汚染領域17に分解微生物材料を含む注入液を液注入ユニット11により、注入口14をもつ注入パイプl3を経由して注入し、浄化領域18を設ける。汚染領域17あるいはその近傍に埋設され、気体循環ユニット12(吸引要素、成分測定要素、成分調整要素、気体注入要素を含む)に接続された吸引口16をもつ抽出パイプl5を経て汚染領域中の汚染物質を含む気体を抽出する。抽出気体は適宜成分測定要素により気体成分組成を測定し、必要に応じて成分調整要素により気体成分を調整後、再び注入パイプ13を経由して浄化領域18に循環させる。
【0030】
なお、気体抽出から再注入・循環の一連の操作は連続的あるいは間欠的いずれの操作も可能であるが浄化効果を効率的に進める上では連続的な操作をとることが好ましい。また、注入口14より汚染領域中の汚染物質を含む気体を吸引・抽出し、気体循環ユニット12、吸引口16を経て浄化領域に循環させてもよい。
【0031】
【実施例】
以下実施例によって本発明を詳説する。
実施例1
(試験土壌槽の作成)
図2に示す、中心部の300mmの深さに注入口26をもつ注入パイプ25、壁面近傍に4本の抽出パイプ27(各々5ケ所のストレーナー付き吸引口を有する)および土壌層21中のガスをサンプリングするためのステンレス管(不図示)を設けた容量が200リットルのドラム缶に、まず下層としての砂礫層22(層厚40mm)を設け、その上にトリクロロエチレン10ppmを含有する細砂とシルトの試験土壌層21(層厚750mm)を、さらにその上層に砂礫層23(層厚40mm)を積層し、最後にポリウレタンよりなるシール層24(層厚40mm)を設けて試験土壌槽とした。
【0032】
(浄化領域の形成)
リンゴ酸ナトリウム0.5重量%を含むM9寒天培地上のJM1株[ERM BP−142727;通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に平成7年1月10日に国内寄託(FERM P−14727)し、平成7年12月22日にブダペスト条約下での国際寄託に移管]のコロニーを、坂口フラスコ中に調製したリンゴ酸ナトリウム10重量%を含む以下の組成のM9培地(3リットル)に接種し、25℃で24時間振盪培養を行った。リンゴ酸ナトリウム3重量%を含む2倍濃度のM9培地(5リットル)と上記培養液3リットルを混合し、注入液とした。注入液を上記試験土壌槽の注入パイプ25を通じて注入ポンプ(不図示)によって注入半径約200mmの球状の浄化領域29を形成した。
M9培地の組成(培地1リットル中:pH7.0);
Na2HPO4:6.2g
KH2PO4:3.0g
NaCl:0.5g
NH4Cl:1.0g
なお、JM1株は、芳香族化合物及び有機塩素化合物をオキシゲナーゼで酸化するJ1株(FERM BP−5102;寄託日:平成6年5月25日(FERM P−14332から平成7年5月17日に国際寄託へ移管)を変異させて得たもので、誘導物質なしでオキシゲナーゼを構成的に発現する変異株であり、J1株及びJM1株の菌学的性質は以下のとおりである。
J1株及びJM1株の菌学的特性;
グラム染色性及び形態:グラム陰性桿菌
各培地における生育
BHIA:生育良好
MacConkey:生育可能
コロニーの色:クリーム色
至適温度:25℃>30℃>35℃
運動性:陰性(半流動培地)
TSI(slant/butt):アルカリ/アルカリ、H2S(−)
オキシダーゼ:陽性(弱)
カタラーゼ:陽性
糖の発酵
グルコース:陰性
シュクロース:陰性
ラフィノース:陰性
ガラクトース:陰性
マルトース:陰性
ウレアーゼ:陽性
エスクリン加水分解(β−グルコシダーゼ):陽性
硝酸還元:陰性
インドール産生:陰性
グルコース酸性化:陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陰性
ゼラチン加水分解(プロテアーゼ):陰性
β−ガラクトシダーゼ:陰性
各化合物の同化:
グルコース:陰性
L−アラビノース:陰性
D−マンノース:陰性
D−マンニトール:陰性
N−アセチル−D−グルコサミン:陰性
マルトース:陰性
グルコン酸カリウム:陰性
n−カプリン酸:陽性
アジピン酸:陰性
dl−リンゴ酸:陽性
クエン酸ナトリウム:陽性
酢酸フェニル:陰性
従って、寄託時にはこれらはコリネバクテリウム・スピーシズ(Corynebacterium sp.)に仮分類されたが、その後、寄託菌株の識別表示をJ1及びJM1株に変更した。
【0033】
(気体の抽出、循環浄化)
浄化領域形成後直ちに抽出パイプ27を通じてエアーポンプ27により試験土壌槽21中のガスを吸引(5リットル/分)し、同時に吸引したガスを注人パイプ25を経て浄化領域28に注入・循環させた。循環開始後1時間毎に試験土壌槽21の上部(試験土壌層上端より約70mm)、注入口近傍および試験土壌槽下部(試験土壌層の下端より約70mm)各々に挿入したステンレス管(不図示)から土壌槽内のガスをサンプリングし、ガス中に含まれるトリクロロエチレン濃度をガスクロマトグラフィー(FID検出器)で測定した。ステンレス管からサンプリングしたガス(計3点)に含まれるトリクロロエチレン濃度の平均の経時変化を図3に示す。
【0034】
比較例1
実施例1と同様の試験土壌槽を作成し、実施例1と同様の浄化領域を形成した。ガス循環時の注入口の位置を、注入パイプを下方に延長し試験土壌槽下部(汚染土壌層下端より約100mm)に設置したことを除き実施例1と同様の方法でガス循環させて、実施例1と同様ガス中に含まれるトリクロロエチレン濃度をガスクロマトグラフィー(FID検出器)で測定した。平均濃度の経時変化を図3に示す。
【0035】
比較例2
実施例1と同様の試験土壌槽を作成し、実施例1と同様の浄化領域を形成した。浄化領域形成後、実施例1とは異なりガスの注入・循環はせずに静置し、実施例1と同様1時間毎にステンレス管から土壌槽内のガスをサンプリングし、ガス中に含まれるトリクロロエチレン濃度をガスクロマトグラフィー(FID検出器)で測定した。平均濃度の経時変化を図3に示す。
【0036】
【発明の効果】
本発明の浄化方法により、簡便な工法、操作によってより効率的な揮発性有機化合物による汚染土壌の浄化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施し得るシステムの一例を示す概念図である。
【図2】(A)及び(B)は実施例1および比較例2に用いた試験土壊槽の断面および上面からみた略図である。
【図3】実施例1および比較例1、2で得られた試験土壌中に含まれるトロクロロエチレンの濃度変化を示すグラフである。
【図4】注入パイプを用いて浄化領域を形成させる方法を示す概念図である。
【図5】(A)及び(B)は地盤改良に用いられる施工機械を使用して浄化領域を形成させる方法を示す概念図である。
【図6】(A)及び(B)は掘削孔を設けて浄化領域を形成させる方法を示す概念図である。
【符号の説明】
11 液注入ユニット
12 気体循環ユニット
13 注入パイプ
14 注入口
15 抽出パイプ
16 吸引口
17 汚染領域
18 浄化領域
21 試験土壌層
22 砂標層(下層)
23 砂蝶層(上層)
24 シール層
25 注入パイプ
26 注入口
27 抽出パイプ
28 浄化領域
29 エアーポンプ
41 液注入ユニット
42 注入パイプ
43 注入口
44 汚染領域
45 浄化領域
51 注入薬剤供給系
52 撹件動力
53 撹拝翼
54 汚染領域
55 浄化領域
61 掘削孔
62 浄化領域
63 汚染領域

Claims (6)

  1. 揮発性有機化合物で汚染された土壌の微生物の分解作用を利用した浄化方法であって、土壌の汚染領域に前記微生物を供給することにより浄化領域を形成する工程と、汚染領域と前記浄化領域とを循環する気体流を形成し、該汚染領域内を通過して該浄化領域へ到達する気流を利用して該汚染領域中から揮発性有機化合物を抽出して該浄化領域へ供給する工程と、を有することを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
  2. 揮発性有機化合物が揮発性有機塩素系化合物である請求項1記載の汚染土壌の浄化方法。
  3. 揮発性有機塩素系化合物がトリクロロエチレンである請求項2記載の汚染土壌の浄化方法。
  4. 前記汚染領域から該浄化領域への揮発性有機化合物を抽出供給工程において、気流成分を調整する請求項1〜3に記載の汚染土壌の浄化方法。
  5. 前記気流成分の調整が、酸素ガスの調製である請求項4に記載の汚染土壌の浄化方法。
  6. 前記土壌の汚染領域に前記微生物を供給することにより浄化領域を形成する工程が、前記汚染領域に孔を設け微生物を含む土壌を埋めることにより前記浄化領域を形成する工程である請求項1記載の汚染土壌の浄化方法。
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