JP3461238B2 - 有機化合物の生分解方法および環境修復方法 - Google Patents

有機化合物の生分解方法および環境修復方法

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JP3461238B2
JP3461238B2 JP08959696A JP8959696A JP3461238B2 JP 3461238 B2 JP3461238 B2 JP 3461238B2 JP 08959696 A JP08959696 A JP 08959696A JP 8959696 A JP8959696 A JP 8959696A JP 3461238 B2 JP3461238 B2 JP 3461238B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機化合物の生分解
方法、及び汚染物質を含む環境を微生物を用いて修復す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生体に対し有害でありかつ難分解
性である有機塩素化合物による環境汚染が大きな問題と
なってきている。特に、国内外のIC工場等のハイテク
産業地域の土壌中にはテトラクロロエチレン(PCE)
やトリクロロエチレン(TCE)、ジクロロエチレン
(DCE)等の塩素化脂肪族化合物による汚染がかなり
の範囲で拡がっていると考えられており、実際に環境調
査等で検出された事例が多数報告されている。これらの
有機塩素化合物は土壌中に残留したものが雨水等により
地下水中に溶解して周辺地域一帯に拡がるとされてい
る。このような化合物は発癌性や生殖毒性の疑いがあ
り、また環境中で非常に安定であるため、特に飲料水の
水源として利用されている地下水の汚染は大きな社会問
題となっている。
【0003】このようなことから、有機塩素化合物の除
去、分解による、汚染地下水等の水性媒体、土壌、及び
それに伴う周辺気相の浄化は、環境保全の視点からきわ
めて重要な課題であり、浄化に必要な技術の開発が行わ
れてきている。
【0004】例えば、活性炭による吸着処理、光や熱に
よる分解処理等が検討されてきたが、コストや操作性の
面からかならずしも実用的であるとはいえない。
【0005】一方、環境中では安定であるTCE等の有
機塩素化合物に対して近年微生物による分解が報告さ
れ、その実用化に向けた研究がなされ始めている。即
ち、微生物を用いた生物分解処理では用いる微生物を選
択することで無害な物質までに有機塩素化合物を分解で
きること、基本的に特別な薬品が不要であること、メン
テナンスにかかる労力やコストを軽減できること等の利
点がある。有機塩素化合物分解能を有する微生物で単離
された報告は、例えば、TCE分解菌としては、Wel
chia alkenophila sero 5(U
SP 4877736,ATCC 53570)、We
lchia alkenophila sero 33
(USP 4877736,ATCC 53571)、
Methylocystis sp.strainM
(Agric Biol.Chem.,53,2903
(1989)、Biosci.Biotech.Bio
chem.,56,486(1992)、同56,73
6(1992))、Methylosinus tri
chosprium OB3b(Am.Chem.So
c.Natl.Meet.Dev.Environ.M
icrobiol.,29,365(1989)、Ap
pl.Environ.Microbiol.,55,
3155(1989)、Appl.Biochem.B
iotechnol.,28,877(1991)、特
開平02−92274号公報、特開平03−29297
0号公報)、Methylomonas sp.MM2
(Appl.Environ.Microbiol.,
57,236(1991))、Alcaligenes
denitrificans ssp. xyloso
xidans JE75(Arch.microbio
l.,154,410(1990))、Alcalig
eneseutrophus JMP134(App
l.Environ.Microbiol.,56,1
179(1990))Mycobacterium v
accae JOB5(J.Gen.Microbio
l.,82,163(1974)、Appl.Envi
ron.Microbiol.,54,2960(19
89)、ATCC 29678)、Pseudomon
as putida BH(下水道協会誌,24,27
(1987))、Acinetobactor sp.
strain G4(Appl.Environ.Mi
crobiol.,52,383(1986)、同5
3,949(1987)、同54,951(198
9)、同56,279(1990)、同57,193
(1991)、USP 4925802,ATCC 5
3617、この菌は初めPseudomonas ce
paciaと分類されていたが、Acinetobac
tor sp.に変更された)、Pseudomona
smendocina KR−1(Bio/Techn
ol.,7,282(1989))、Pseudomo
nas putida F1(Appl.Enviro
n.Microbiol.,54,1703(198
8)、同54,2578(1988))、Pseudo
monas fluorescens PFL12(A
ppl.Environ.Microbiol.,5
4,2578(1988))、Pseudomonas
putida KW1−9(特開平06−70753
号公報)、Pseudomonas cepacia
KK01(特開平06−227769号公報)、Nit
rosomonas europaea(Appl.E
nviron.Microbiol.,56,1169
(1990))、Lactobacillus vag
inalis sp.nov(lnt.J.Syst.
Bacteriol.,39,368(1989)、A
TCC 49540)等が知られている。
【0006】ここで、これらの分解菌を実際の環境浄化
処理に用いる場合に非常に問題となるのが、これらすべ
ての分解菌が、TCEを分解するために、その分解誘導
物質として芳香族化合物やメタン等の化学物質を必要と
するということである。
【0007】例えば、フェノールやトルエンといった芳
香族化合物は非常に優れた誘導物質であるが、その毒性
が高く、環境中に放出することは論外であり、また、メ
タンも有効な誘導物質であるが、可燃性の気体であり、
環境中に導入して制御することは好ましくない。
【0008】これらの問題を解決するため、ネルソンら
は有機塩素化合物の分解誘導物質としてトリプトファン
を用いる方法を開発した(特開平4−502277号公
報)。しかしながら、誘導物質により分解を誘導すると
いう根本的な分解機構については他の分解菌と同様であ
り、つまり、TCE分解酵素は誘導酸素であるため、い
ったん誘導された後の酵素活性は通常数時間程度しか維
持されず、その後はまた誘導物質の再添加が必要とな
る。さらにTCE分解が誘導物質の存在により拮抗阻害
を起こすことから、TCE分解の効率が著しく低下して
しまうという本質的な問題については何ら解決策が示さ
れていない。つまり、誘導物質の環境中への導入は現実
的となったが、低コストで簡易、かつ効率的な浄化処理
方法を提供するのはやはり困難である。
【0009】そこで現在、このようなTCE分解酵素で
あるオキシゲナーゼ或いはハイドロキシラーゼをコード
する遺伝子領域を含むDNA断片を組み込んだプラスミ
ドを宿主細菌に導入し、無害な誘導物質により、あるい
は誘導物質が存在しない状況でも構成的にTCE分解活
性を発言させようとする試みがなされている。DNA断
片由来菌株としてはシュードモナスメンドシナKR−1
(特開平2−503866号公報)、シュードモナスプ
チダKW1−9(特開平6−105691号公報)及び
シュードモナスプチダBH(地下水・土壌汚染とその防
止対策に関する研究集会第3回講演集、213(199
4))が挙げられる。
【0010】しかしながら、これらの組み換え菌株を利
用した浄化方法では、誘導物質として非常に高価な物質
であるIPTG(イソプロピルチオガラクトピラノシ
ド)が必要であったり、プラスミドの宿主菌株に対する
安定性が充分でないため、継代培養時の活性の発現が不
安定であるなどの様々な問題を伴う。その上、組み換え
菌株を環境中に放出することはパブリック・アクセプタ
ンスの上からも規制は免れない。
【0011】これらの問題を解決するためのシールズ等
は、フェノールやトルエン等の誘導物質を用いることな
くTCE分解能を発現するアシネトバクター・スピーシ
ズG4株の変異株を、トランスポゾンを用いた変異の導
入によって取得した(Appl.Environ.Mi
crobiol.,58,3977(1992)、国際
公開番号WO92/19738号)。
【0012】しかし、G4株の変異株を用いた浄化方法
に関しては、TCE分解活性という点で不十分であり、
またトランスポゾンを用いて変異を導入しているためそ
の変異の安定性に問題を含んでいる。
【0013】またトランスポゾン自体にアミノグリコシ
ド系抗生物質の耐性遺伝子を含んでいるため、環境中に
放出した場合、他の菌への水平伝達による疫学的な悪影
響が問題となり、現実の環境修復方法としては適当でな
い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況の下でなされたものであって、その目的は有機化合物
をより効率良く且つ安定的に生分解可能な方法を提供す
る点にある。
【0015】また本発明の他の目的は汚染物質で汚染さ
れた環境をより効率良く安定的に修復する方法を提供す
る点にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の生分解方法は、
JM1(FERM BP−5352)を用いて有機化合
物を生分解する方法において、該JM1をクエン酸もし
くはその塩と接触させる工程を有することを特徴とする
ものである。また、本発明の環境修復方法は、汚染物質
をJM1(FERM BP−5352)を用いて環境を
修復する方法において、該JM1の炭素源としてクエン
酸もしくはその塩を用いることを特徴とするものであ
る。
【0017】即ち本発明者らはJM1株の有機化合物の
分解活性を安定的に、より一層高める様な炭素源として
クエン酸あるいはその塩が有効であることを見出し、汚
染物質、例えば芳香族化合物や塩素化脂肪族化合物等で
汚染された環境をJM1株で修復する際に、該JM1株
の炭素源としてクエン酸或いはその塩をJM1株と接触
させることにより該環境を効率的且つ安定的に修復する
方法を発明するに至った。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態に係る有機化合
物の生分解方法あるいは環境修復方法において用いる微
生物は、芳香族化合物や塩素化脂肪族炭化水素化合物を
誘導物質を用いることで分解できる特定の微生物(ブタ
ペスト条約に基づく国際寄託の番号:FERM BP−
5102)を変異源を用いた変異操作によって変異させ
て取得した、誘導物質を用いることなく有機化合物を分
解可能な変異株であり、特許手続上の微生物の寄託の国
際的承認に関するブタペスト条約に基づき下記の国際寄
託当局にFERM BP−5352/識別の為の表示:
コリネバクテリウム・スピーシズJM1株(Coryn
ebacterium sp.JM1)(以下「JM1
株」と称す)として寄託したものである。
【0019】工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城
県つくば市)
【0020】なお上記菌部FERM BP−5352
は、当初本菌株がコリネバクテリウム属に属しているも
のとして「コリネバクテリウム・スピーシズJM1株」
と表示したが、後の検討により本菌株が“コリネバクテ
リウム属には属さない”と認められた為、FERM B
P−5352の識別の為の表示を「JM1株」と変更し
た。
【0021】JM1株の菌学的性質は下記の通りであ
る。
【0022】 グラム染色性及び形態:グラム陰性桿菌 各培地における生育 BHIA:生育良好 MacConkey:生育可能 コロニーの色:クリーム色 至適温度:25℃>30℃>35℃ 運動性:陰性(半流動培地) TSI(slant/butt):アルカリ/アルカ
リ、H2 S(−) オキシダーゼ:陽性(弱) カタラーゼ:陽性 糖の発酵 グルコース :陰性 シュクロース:陰性 ラフィノース:陰性 ガラクトース:陰性 マルトース :陰性 ウレアーゼ:陽性 エスクリン加水分解(β−グルコシダーゼ):陽性 硝酸還元:陰性 インドール産生:陰性 グルコース酸性化:陰性 アルギニンジヒドロラーゼ:陰性 ゼラチン加水分解(プロテアーゼ):陰性 β−ガラクトシダーゼ:陰性 各化合物の同化 グルコース:陰性 L−アラビノース:陰性 D−マンノース:陰性 D−マンニトール:陰性 N−アセチル−D−グルコサミン:陰性 マルトース:陰性 グルコン酸カリウム:陰性 n−カプリン酸:陽性 アジピン酸:陽性 dl−リンゴ酸:陽性 クエン酸ナトリウム:陽性 酢酸フェニル:陰性
【0023】次にJM1株を用いて有機化合物や汚染物
質を生分解させる際には、JM1株をクエン酸或はその
塩と接触させることは、該有機化合物や汚染物質の分解
効率を著しく向上させることができる為好ましいもので
ある。
【0024】ここでクエン酸の塩としては、例えばクエ
ン酸のナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。
【0025】ここで微生物の培養に使用する培地として
は、基本的には生育に必要とする炭素源、窒素源、無機
塩類、及び特殊な要求物質(ビタミン、アミノ酸、核酸
塩基等)などを全て含んでいなければならない。
【0026】一般的に、バクテリア等の微生物を短期間
に増殖させるという観点からは、酵母エキス、肉エキ
ス、ペプトン、カザミノ酸、CSL(Corn ste
epliquor)、SVP(Soluble veg
etable protein)、麦芽エキス、廃蜜糖
等の天然培地や、それらを組み合わせた2×YT培地や
LB培地といった完全栄養培地が効果的であり、純粋培
養の際の増殖培地として多く用いられている。その性質
上、このような完全栄養培地は、多種多様なアミノ酸や
糖類、有機酸等の炭素源が含まれている。
【0027】一方、増殖基質が単一あるいは限られたも
のである場合には、それを効率的に資化できる微生物
は、完全栄養型天然培地の場合に比べて限定される。こ
のような培地は選択培地と呼ばれ、様々な微生物の存在
する環境中からある目的に添った微生物を集積培養した
りスクリーニングしたりする際に好適に用いられる。
【0028】本発明者らは、これらの完全栄養培地ある
いは選択培地を用いて種々の条件下でJM1株を増殖せ
しめ、その分解活性について評価を行ったところ、これ
らの種々の培地全てにおいてJM1株の分解活性が十分
に発揮されるものではなく、分解活性の安定発現ならび
に高分解活性の維持には、最適な培地成分の選択が重要
であることを見出した。
【0029】つまり、JM1株が安定的に高分解活性を
発現、維持しうるような培地成分として、炭素源にクエ
ン酸あるいはその塩を用いることが特に有効であること
を見出し、実際の浄化処理においてクエン酸あるいはそ
の塩を炭素源として添加することにより、JM1株によ
る環境中の芳香族化合物及び/或いは有機塩素化合物の
効率的かつ安定的な分解浄化を可能とした。
【0030】ここで、JM1株を培養するために用いら
れる基本的な無機塩培地としては、該微生物が生育する
ために必要な成分が含有されていれば特に制限はなく、
例えばM9培地にクエン酸あるいはその塩を添加したも
ので培養することが可能である。
【0031】以下にM9培地の組成を示す。
【0032】 Na2HPO4:6.2g KH2PO4:3.0g NaCl:0.5g NH4Cl:1.0g (培地1l中;pH7.0) 培養は好気条件下で行なうことができ、液体培養でも団
体培養でもよい。培養温度は15℃から30℃程度が望
ましい。
【0033】そしてJM1株とクエン酸或はその塩との
接触は、分解対象の有機化合物とJM1株での処理と同
時に行なうか、または分解対象の有機化合物のJM1株
での処理に先立って行なうか、あるいは、JM1株での
分解対象化合物の処理前及び処理中に行なうことが好ま
しい。
【0034】又、クエン酸又はその塩と、JM1株とを
接触させる前に、例えばJM1株の菌数を増やす為に、
JM1株の前培養を行なってもよく、前培養にクエン酸
やその塩以外の炭素源、例えばリンゴ酸やその塩を用い
ても良い。
【0035】次に、JM1株を用いた有機化合物や汚染
物質の分解処理は、例えば水性媒体中、土壌中或いは気
相中の分解対象化合物とJM1株とを接触させることに
より行なうことができる。
【0036】ここで、分解対象化合物としては、例えば
芳香族化合物(フェノール、トルエン、o−クレゾー
ル、m−クレゾール、p−クレゾール等)や塩素化脂肪
族炭化水素化合物(トリクロロエチレン、ジクロロエチ
レン等)が挙げられる。
【0037】そしてJM1株と分解対象化合物との接触
は、JM1株がクエン酸又はその塩と接触によって発現
する高度な分解活性を損なうことのない条件であればい
かなる方法でも行なうことができ、バッチ法、半連続
法、連続法等種々の方法を用いて実施できる。該微生物
は半固定状態で或いは適当な担体に固定化して用いるこ
ともできる。廃液、土壌、気相等の被処理物は、必要に
応じて各種処理を行ってもよい。
【0038】本発明における水性媒体中の芳香族化合物
及び/或いは有機塩素化合物の分解処理は、水性媒体中
に存在する芳香族化合物及び/或いは有機塩素化合物と
該分解微生物を接触させることによって行なうことがで
きる。以下に主な利用形態を述べるが、これらの形態に
限定されることなく、いかなる水性媒体中の芳香族化合
物及び/或いは有機塩素化合物汚染の浄化処理にも利用
可能である。
【0039】例えば、最も簡便な方法としては、芳香族
化合物及び/或いは有機塩素化合物によって汚染された
水性媒体中に直接該分解微生物を導入してやるという方
法がある。この場合、水性媒体のpH、塩濃度、温度や
汚染物質の濃度等を調整してやる必要があるが、該分解
微生物は極端な酸性或いはアルカリ性、高塩濃度でない
限り分解活性は維持される。
【0040】また別の利用形態としては、培養槽を設け
該分解微生物を培養し、この培養槽に芳香族化合物及び
/或いは有機塩素化合物で汚染された水性媒体を所定の
流量で導入し、分解させる形態がある。水性媒体の導入
及び排水は連続して行ってもよいが、処理能力に応じて
間欠的に、あるいはバッチ式で処理することも可能であ
る。このような制御を芳香族化合物及び/或いは有機塩
素化合物の濃度に合わせてシステム制御し最適化を図る
とよい。
【0041】更に、該分解微生物を担体、例えば土壌粒
子等に付着させ、これを反応層に充填し、この反応槽内
に芳香族化合物及び/或いは有機塩素化合物汚染水性媒
体を導入し分解処理を行う形態がある。この場合使用す
る担体は、土壌粒子に限らずいかなるものでも利用可能
であるが、微生物の保持能力に優れ、通気性を損なわな
いようなものがより望ましい。例えば、微生物の棲息空
間を与えるような材料として、従来より医薬品工業、食
品工業、廃水処理システム等で利用されているバイオリ
アクタで汎用されているさまざまな微生物担体が利用で
きる。より具体的には、多孔質ガラス、セラミクス、金
属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベントナイト、ゼオ
ライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラサイト等の無
機粒子状担体、デンプン、寒天、キチン、キトサン、ポ
リビニルアルコール、アルギン酸、ポリアクリルアミ
ド、カラギーナン、アガロース、ゼラチン等のゲル状担
体、イオン交換性セルロース、イオン交換樹脂、セルロ
ース誘導体、グルタルアルデヒド、ポリアクリル酸、ポ
リウレタン、ポリエステル等が挙げられる。また天然物
として、綿、麻、紙類といったセルロース系のもの、木
粉、樹皮といったリグニン系のものも利用可能である。
【0042】本発明における土壌中の芳香族化合物及び
/或いは有機塩素化合物の分解処理は、土壌中に存在す
る芳香族化合物及び/或いは有機塩素化合物と該分解微
生物を接触させることによって行なうことができる。以
下に、主な利用形態を述べるが、これらの形態に限定さ
れることなく、本菌株はいかなる土壌中の芳香族化合物
及び/或いは有機塩素化合物汚染の浄化処理にも利用可
能である。
【0043】例えば、最も簡便な方法としては、芳香族
化合物及び/或いは有機塩素化合物によって汚染された
土壌中に直接該分解微生物を導入してやるという方法が
ある。導入の方法としては、土壌表面に散布してやる方
法はもとより、比較的深い地層中の処理の場合には、地
中に挿入した井戸より導入してやる方法がある。更に、
空気や水等によって圧力をかけてやると広範囲に該分解
微生物が拡がり、より効果的である。この場合、土壌中
の諸条件を該分解微生物に適するように調整してやる必
要があるが、で該分解微生物は土壌粒子等の担体の存在
下でより増殖が速められ、そういった意味で土壌中とい
う条件は好都合である。
【0044】更に、該分解微生物を担体付着させ、これ
を反応槽に充填し、この反応槽を芳香族化合物及び/或
いは有機塩素化合物で汚染された土壌の、主に帯水層中
に導入し分解処理を行う形態がある。反応槽の形態はフ
ェンス状やフィルム状のような、土壌中の広範囲を網羅
できるものが望ましい。この場合使用する担体は、いか
なるものでも利用可能であるが、微生物の保持能力に優
れ、通気性を損なわないようなものがより望ましい。例
えば、微生物の棲息空間を与えるような材料として、従
来より医薬品工業、食品工業、廃水処理システム等で利
用されているバイオリアクタで汎用されているさまざま
な微生物担体が利用できる。より具体的には、多孔質ガ
ラス、セラミクス、金属酸化物、活性炭、カオリナイ
ト、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミ
ナ、アンスラサイト等の無機粒子状担体、デンプン、寒
天、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、アルギ
ン酸、ポリアクリルアミド、カラギーナン、アガロー
ス、ゼラチン等のゲル状担体、イオン交換性セルロー
ス、イオン交換樹脂、セルロース誘導体、グルタルアル
デヒド、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリエステル
等が挙げられる。また天然物として綿、麻、紙類といっ
たセルロース系のもの、木粉、樹皮といったリグニン系
のものも利用可能である。
【0045】本発明における気相中の芳香族化合物及び
/或いは有機塩素化合物の分解処理は、気相中に存在す
る芳香族化合物及び/或いは有機塩素化合物とJM1株
をを接触されることによって行うことができる。以下に
主な利用形態を述べるが、これらの形態に限定されるこ
となく、本菌株はいかなる気相中の芳香族化合物及び/
或いは有機塩素化合物気相汚染の浄化処理にも利用可能
である。
【0046】例えば、培養槽を設け該分解微生物を培養
し、この培養槽に芳香族化合物及び/或いは有機塩素化
合物で汚染された気体を所定の流量で導入し、分解させ
る形態がある。気体の導入法についてはなんら制限はな
いが、気体の導入により培養液が攪拌されエアレーショ
ンが促進される形態がより望ましい。気体の導入及び排
気は連続して行ってもよいが、処理能力に応じて間欠的
に、あるいはバッチ式で処理することも可能である。こ
のような制御を有機塩素化合物の濃度に合わせてシステ
ム制御し最適化を図るとよい。
【0047】また別の利用形態としては該分解微生物を
担体、例えば土壌粒子等に付着させ、これを反応槽に充
填し、この反応槽内に芳香族化合物及び/或いは有機塩
素化合物汚染気体を導入し分解処理を行う形態がある。
この場合使用する担体は、土壌粒子に限らずいかなるも
のでも利用可能であるが、微生物の保持能力に優れ、通
気性を損なわないようなものがより望ましい。例えば、
微生物の棲息空間を与えるような材料として、従来より
医薬品工業、食品工業、廃水処理システム等で利用され
ているバイオリアクタで汎用されているさまざまな微生
物担体が利用できる。より具体的には、多孔質ガラス、
セラミクス、金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベン
トナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、アンス
ラサイト等の無機粒子状担体、デンプン、寒天、キチ
ン、キトサン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポ
リアクリルアミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチ
ン等のゲル状担体、イオン交換性セルロース、イオン交
換樹脂、セルロース誘導体、グルタルアルデヒド、ポリ
アクリル酸、ポリウレタン、ポリエステル等が挙げられ
る。また天然物として、綿、麻、紙類といったセルロー
ス系のもの、木粉、樹皮といったリグニン系のものも利
用可能である。
【0048】汚染気体の浄化は、担体になる物質を予め
充填した上で菌を導入してもよいし、前培養してもかま
わない。分解反応をより効率的に行わせるためには、先
に述べた炭素源や含水比、酸素濃度などを所望の条件に
保つとよい。また、反応槽内の担体と水分量の比は微生
物の生育と通気性から、反応槽の形態は処理する気体の
量、濃度などにより適宜選択すればよいが、気体と担体
に保持される微生物との接触が促進されるように配慮す
るとよく、例えば、カラム、チューブ、タンク、箱形の
ものを利用することができる。さらにこのような形状の
ものを排気ダクトやフィルタなどとユニット化してもよ
いし、能力にあわせていくつかを連続させてもよい。
【0049】汚染気体は、初め担体材料に吸着する場合
もあり、微生物利用の効果がうまく観察されない例も稀
にあるが、一定期間の後には担体材料に付着した汚染物
質が分解されて、また汚染物質の分解した材料表面に再
度汚染物質が吸着するということで、担体材料への吸着
性が再生されるといわれている。このようにして、汚染
除去能は飽和することなく常に一定の分解が期待でき
る。
【0050】本発明の方法は、閉鎖系、開放系いずれの
廃液処理、土壌処理、及び空気処理にも適用できる。な
お、微生物を担体等に固定して用いたり、生育を促進す
る各種の方法を併用してもよい。
【0051】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0052】実施例1JM1株によるフェノールの分解に対する各種栄養素の
比較(30℃・砂系) 67.5ml容バイアル瓶に佐原通砂を60g加えた系
で分解能の比較を行った。
【0053】まず、0.5、1.0、2.0%の各種栄
養素(クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピル
ビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を含
むM9培地6mlを調製し、これに前培養したJM1株
を60μl(1/100量)ずつ接種した、ここで、前
培養は2.0%リンゴ酸ナトリウムを含むM9培地を用
い、15℃で3日間の振盪培養とした。さらに、分解対
象物質として終濃度300ppmとなるようにフェノー
ルを添加、混合し、バイアル瓶中の砂に加えた。添加後
にシリコ栓をして、30℃で静置培養を行い、経時的に
フェノールの減少を測定した。測定は、液体クロマトグ
ラフィー(分光光度検出器)にて行い、初期濃度に対す
る残存率を示した。結果を図1から図3に示す。
【0054】実施例2JM1株によるフェノールの分解に対する各種栄養素の
比較(15℃・砂系) 67.5ml容バイアル瓶に佐原通砂を60g加えた系
で分解能の比較を行った。
【0055】まず、0.5、1.0、2.0%の各種栄
養素(クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピル
ビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を含
むM9培地6mlを調製し、これに前培養したJM1株
を60μl(1/100量)ずつ接種した、ここで、前
培養は2.0%リンゴ酸ナトリウムを含むM9培地を用
い、15℃で3日間の振盪培養とした。さらに、分解対
象物質として終濃度300ppmとなるようにフェノー
ルを添加、混合し、バイアル瓶中の砂に加えた。添加後
にシリコ栓をして、15℃で静置培養を行い、経時的に
フェノールの減少を測定した。測定は、液体クロマトグ
ラフィー(分光光度検出器)にて行い、初期濃度に対す
る残存率を示した。結果を図4から図6に示す。
【0056】実施例3JM1株によるTCEの分解に対する各種栄養素の比較
(30℃・砂系) 67.5ml容バイアル瓶に佐原通砂を60g加えた系
で分解能の比較を行った。
【0057】まず、0.5、1.0、2.0%の各種栄
養素(クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピル
ビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を含
むM9培地6mlを調製し、これに前培養したJM1株
を60μl(1/100量)ずつ接種した、ここで、前
培養は2.0%リンゴ酸ナトリウムを含むM9培地を用
い、15℃で3日間の振盪培養とした。
【0058】菌を接種した培養液をバイアル瓶中の砂に
加えた後、ブチルゴム栓とアルミキャップで密封し、こ
れにTCEを含む空気を加えて最終液中TCE濃度を1
0ppmとし、30℃で静置培養を行い、経時的にTC
E分解能を評価した。
【0059】TCE量はヘッドスペース法によりガスク
ロマトグラフィー(FID検出器)によって定量し、対
照として、同様の実験系においてJM1株を加えない系
でのTCE量の定量も併せて行い、対照のTCE量に対
する残存率を求めた。結果を図7から図9に示す。
【0060】実施例4JM1株によるTCEの分解に対する各種栄養素の比較
(15℃・砂系) 67.5ml容バイアル瓶に佐原通砂を60g加えた系
で分解能の比較を行った。
【0061】まず、0.5、1.0、2.0%の各種栄
養素(クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピル
ビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を含
むM9培地6mlを調製し、これに前培養したJM1株
を60μl(1/100量)ずつ接種した、ここで、前
培養は2.0%リンゴ酸ナトリウムを含むM9培地を用
い、15℃で3日間の振盪培養とした。
【0062】菌を接種した培養液をバイアル瓶中の砂に
加えた後、ブチルゴム栓とアルミキャップで密封し、こ
れにTCEを含む空気を加えて最終液中TCE濃度を1
0ppmとし、15℃で静置培養を行い、経時的にTC
E分解能を評価した。
【0063】TCE量はヘッドスペース法によりガスク
ロマトグラフィー(FID検出器)によって定量し、対
照として、同様の実験系においてJM1株を加えない系
でのTCE量の定量も併せて行い、対照のTCE量に対
する残存率を求めた。結果を図10から図12に示す。
【0064】実施例5JM1株によるDCEの分解に対する各種栄養素の比較
(30℃・砂系) 培地中の分解対象物質をcis−1,2−ジクロロエチ
レン(cis−1,2−DCE)、trans−1,2
−ジクロロエチレン(trans−1,2−DCE)及
び1,1−ジクロロエチレン(1,1−DCE)それぞ
れ10ppmとした他は実施例3と同様の方法で経時的
にDCEの減少を測定した。結果を図13から図15
(cis−1,2−DCE)、図16から図18(tr
ans−1,2−DCE)、図19から図21(1,1
−DCE)にそれぞれ示す。
【0065】実施例6JM1株によるDCEの分解に対する各種栄養素の比較
(15℃・砂系) 培地中の分解対象物質をcis−1,2−ジクロロエチ
レン(cis−1,2−DCE)、trans−1,2
−ジクロロエチレン(trans−1,2−DCE)及
び1,1−ジクロロエチレン(1,1−DCE)それぞ
れ10ppmとした他は実施例4と同様の方法で経時的
にDCEの減少を測定した。結果を図22から図24
(cis−1,2−DCE)、図25から図27(tr
ans−1,2−DCE)、図28から図30(1,1
−DCE)にそれぞれ示す。
【0066】実施例7JM1株によるTCEの分解に対する各種栄養素の比較
(30℃・土壌抽出液混合液培系) 67.5ml容バイアル瓶に土壌抽出液を混合した液体
培地を20ml加えた系で分解能の比較を行った。
【0067】土壌抽出液は、30gの佐原通砂に30m
lのM9培地を加えて30秒間ボルテックスを行って土
壌を懸濁し、その液相部分を分取することにより調製し
た。このようにして調製した土壌抽出液20mlに最終
濃度が0.5、1.0、2.0%となるよう各種栄養素
(クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピルビン
酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を加え、
これに前培養したJM1株を200μl(1/100
量)ずつ接種した。ここで前培養は2.0%リンゴ酸ナ
トリウムを含むM9培地を用い、15℃で3日間の振盪
培養とした。
【0068】菌を接種した培養液をバイアル瓶に加えた
後、ブチルゴム栓とアルミキャップで密封し、これにT
CEを含む空気を加えて最終液中TCE濃度を10pp
mとし、30℃で振盪培養を行い、経時的にTCE分解
能を評価した。
【0069】TCE量はヘッドスペース法によりガスク
ロマトグラフィー(FID検出器)によって定量し、対
照として、同様の実験系においてJM1株を加えない系
でのTCE量の定量も併せて行い、対照のTCE量に対
する残存率を求めた。結果を図31から図33に示す。
【0070】実施例8JM1株によるTCEの分解に対する各種栄養素の比較
(15℃・土壌抽出液混合液培系) 67.5ml容バイアル瓶に土壌抽出液を混合した液体
培地を20ml加えた系で分解能の比較を行った。
【0071】土壌抽出液は、30gの佐原通砂に30m
lのM9培地を加えて30秒間ボルテックスを行って土
壌を懸濁し、その液相部分を分取することにより調製し
た。このようにして調製した土壌抽出液20mlに最終
濃度が0.5、1.0、2.0%となるよう各種栄養素
(クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピルビン
酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を加え、
これに前培養したJM1株を200μl(1/100
量)ずつ接種した。ここで前培養は2.0%リンゴ酸ナ
トリウムを含むM9培地を用い、15℃で3日間の振盪
培養とした。
【0072】菌を接種した培養液をバイアル瓶に加えた
後、ブチルゴム栓とアルミキャップで密封し、これにT
CEを含む空気を加えて最終液中TCE濃度を10pp
mとし、15℃で振盪培養を行い、経時的にTCE分解
能を評価した。
【0073】TCE量はヘッドスペース法によりガスク
ロマトグラフィー(FID検出器)によって定量し、対
照として、同様の実験系においてJM1株を加えない系
でのTCE量の定量も併せて行い、対照のTCE量に対
する残存率を求めた。結果を図34から図36に示す。
【0074】実施例9JM1株によるTCEの分解に対する各種栄養素の比較
(30℃・汚濁水系) 67.5ml容バイアル瓶に汚濁水を20ml加えた系
で分解能の比較を行った。
【0075】神奈川県厚木市の、かなり汚濁した貯水池
より採取した水20mlに2mlの10×M9培地を加
え、本実施例に供する汚濁水とした。これに最終濃度が
0.5、1.0、2.0%となるよう各種栄養素(クエ
ン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピルビン酸ナト
リウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を加え、これに
前培養したJM1株を200μl(1/100量)ずつ
接種した。ここで前培養は2.0%リンゴ酸ナトリウム
を含むM9培地を用い、15℃で3日間の振盪培養とし
た。
【0076】菌を接種した培養液をバイアル瓶に加えた
後、ブチルゴム栓とアルミキャップで密封し、これにT
CEを含む空気を加えて最終液中TCE濃度を10pp
mとし、30℃で振盪培養を行い、経時的にTCE分解
能を評価した。
【0077】TCE量はヘッドスペース法によりガスク
ロマトグラフィー(FID検出器)によって定量し、対
照として、同様の実験系においてJM1株を加えない系
でのTCE量の定量も併せて行い、対照のTCE量に対
する残存率を求めた。結果を図37から図39に示す。
【0078】実施例10JM1株によるTCEの分解に対する各種栄養素の比較
(15℃・汚濁水系) 67.5ml容バイアル瓶に汚濁水を20ml加えた系
で分解能の比較を行った。
【0079】神奈川県厚木市の、かなり汚濁した貯水池
より採取した水20mlに2mlの10×M9培地を加
え、本実施例に供する汚濁水とした。これに最終濃度が
0.5、1.0、2.0%となるよう各種栄養素(クエ
ン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピルビン酸ナト
リウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を加え、これに
前培養したJM1株を200μl(1/100量)ずつ
接種した。ここで前培養は2.0%リンゴ酸ナトリウム
を含むM9培地を用い、15℃で3日間の振盪培養とし
た。
【0080】菌を接種した培養液をバイアル瓶に加えた
後、ブチルゴム栓とアルミキャップで密封し、これにT
CEを含む空気を加えて最終液中TCE濃度を10pp
mとし、15℃で振盪培養を行い、経時的にTCE分解
能を評価した。
【0081】TCE量はヘッドスペース法によりガスク
ロマトグラフィー(FID検出器)によって定量し、対
照として、同様の実験系においてJM1株を加えない系
でのTCE量の定量も併せて行い、対照のTCE量に対
する残存率を求めた。結果を図40から図42に示す。
【0082】実施例11JM1株を用いた、土壌通気による気相中のTCEの分
解処理に対する各種栄養素の比較 まず、0.5、1.0、2.0%の各種栄養素(クエン
酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピルビン酸ナトリ
ウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を含むM9培地3
0mlを調製し、これに前培養したJM1株を300μ
l(1/100量)ずつ接種した。ここで、前培養は
2.0%リンゴ酸ナトリウムを含むM9培地を用い、1
5℃で3日間の振盪培養とした。
【0083】菌を接種した培養液に褐色森林土を水面ま
で加え、シリコ栓で封をして20℃で24時間静置培養
の後、過剰の培養液をデカントして取除いた。これに1
00ppmのTCE溶液中で曝気した空気を流量60m
l/分で土壌中に30分間流した後、ブチルゴム栓、ア
ルミシールで完全密封し、20℃で静置培養を行った。
TCE量は、ヘッドスペース法によりガスクロマトグラ
フィーで定量し、経時的にTCE量を測定した。結果を
図43から図45に示す。
【0084】実施例12JM1株を用いた、土壌連続通気による気相中のTCE
の分解処理に対する各種栄養素の比較 まず、0.5、1.0、2.0%の各種栄養素(クエン
酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ピルビン酸ナトリ
ウム、乳酸ナトリウム、酵母エキス)を含むM9培地3
0mlを調製し、これに前培養したJM1株を300μ
l(1/100量)ずつ接種した。ここで、前培養は
2.0%リンゴ酸ナトリウムを含むM9培地を用い、1
5℃で3日間の振盪培養とした。
【0085】菌を接種した培養液に褐色森林土を水面ま
で加え、シリコ栓で封をして20℃で24時間静置培養
の後、過剰の培養液をデカントして取除いた。これをブ
チルゴム栓、アルミシールで完全密封した後に、100
ppmのTCE溶液中で曝気した空気を流量0.5ml
/分で土壌中に連続して流しながら、20℃で静置培養
を行った。TCE量は、流出してきた空気中のTCE量
をガスクロマトグラフィーで定量することにより行い、
経時的にTCE量を測定した。結果を図46から図48
に示す。
【0086】
【発明の効果】本発明の一実施態様によれば効率的且つ
安定的な有機化合物の生分解処理を行なうことができ
る。
【0087】また例えば30℃程度の高温条件下でも有
機化合物を効率良く安定的に生分解できる。
【0088】また本発明の他の実施態様によれば効率的
且つ安定的に生物的な環境修復を行なうことができる。
【0089】更に比較的高温の条件下(例えば30℃程
度)でも生物的な環境修復を効率良く安定的に行なうこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるJM1株を用いたフェノール
分解を示す図(栄養素濃度0.5%、30℃)。
【図2】実施例1におけるJM1株を用いたフェノール
分解を示す図(栄養素濃度1%、30℃)。
【図3】実施例1におけるJM1株を用いたフェノール
分解を示す図(栄養素濃度2%、30℃)。
【図4】実施例2におけるJM1株を用いたフェノール
分解を示す図(栄養素濃度0.5%、15℃)。
【図5】実施例2におけるJM1株を用いたフェノール
分解を示す図(栄養素濃度1%、15℃)。
【図6】実施例2におけるJM1株を用いたフェノール
分解を示す図(栄養素濃度2%、15℃)。
【図7】実施例3におけるJM1株を用いたTCE分解
を示す図(栄養素濃度0.5%、30℃)。
【図8】実施例3におけるJM1株を用いたTCE分解
を示す図(栄養素濃度1%、30℃)。
【図9】実施例3におけるJM1株を用いたTCE分解
を示す図(栄養素濃度2%、30℃)。
【図10】実施例4におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度0.5%、15℃)。
【図11】実施例4におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度1%、15℃)。
【図12】実施例4におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度2%、15℃)。
【図13】実施例5におけるJM1株を用いたcis−
1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度0.5%、3
0℃)。
【図14】実施例5におけるJM1株を用いたcis−
1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度1%、30
℃)。
【図15】実施例5におけるJM1株を用いたcis−
1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度2%、30
℃)。
【図16】実施例5におけるJM1株を用いたtran
s−1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度0.5
%、30℃)。
【図17】実施例5におけるJM1株を用いたtran
s−1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度1%、3
0℃)。
【図18】実施例5におけるJM1株を用いたtran
s−1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度2%、3
0℃)。
【図19】実施例5におけるJM1株を用いた1,1−
DCE分解を示す図(栄養素濃度0.5%、30℃)。
【図20】実施例5におけるJM1株を用いた1,1−
DCE分解を示す図(栄養素濃度1%、30℃)。
【図21】実施例5におけるJM1株を用いた1,1−
DCE分解を示す図(栄養素濃度2%、30℃)。
【図22】実施例6におけるJM1株を用いたcis−
1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度0.5%、1
5℃)。
【図23】実施例6におけるJM1株を用いたcis−
1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度1%、15
℃)。
【図24】実施例6におけるJM1株を用いたcis−
1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度2%、15
℃)。
【図25】実施例6におけるJM1株を用いたtran
s−1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度0.5
%、15℃)。
【図26】実施例6におけるJM1株を用いたtran
s−1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度1%、1
5℃)。
【図27】実施例6におけるJM1株を用いたtran
s−1,2−DCE分解を示す図(栄養素濃度2%、1
5℃)。
【図28】実施例6におけるJM1株を用いた1,1−
DCE分解を示す図(栄養素濃度0.5%、15℃)。
【図29】実施例6におけるJM1株を用いた1,1−
DCE分解を示す図(栄養素濃度1%、15℃)。
【図30】実施例6におけるJM1株を用いた1,1−
DCE分解を示す図(栄養素濃度2%、15℃)。
【図31】実施例7におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度0.5%、30℃)。
【図32】実施例7におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度1%、30℃)。
【図33】実施例7におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度2%、30℃)。
【図34】実施例8におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度0.5%、15℃)。
【図35】実施例8におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度1%、15℃)。
【図36】実施例8におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度2%、15℃)。
【図37】実施例9におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度0.5%、30℃)。
【図38】実施例9におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度1%、30℃)。
【図39】実施例9におけるJM1株を用いたTCE分
解を示す図(栄養素濃度2%、30℃)。
【図40】実施例10におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度0.5%、15℃)。
【図41】実施例10におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度1%、15℃)。
【図42】実施例10におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度2%、15℃)。
【図43】実施例11におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度0.5%)。
【図44】実施例11におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度1%)。
【図45】実施例11におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度2%)。
【図46】実施例12におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度0.5%)。
【図47】実施例12におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度1%)。
【図48】実施例12におけるJM1株を用いたTCE
分解を示す図(栄養素濃度2%)。
フロントページの続き (72)発明者 三原 知恵子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−294387(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/28 - 3/34 B09C 1/10

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JM1(FERM BP−5352)を
    用いて有機化合物を生分解する方法において、JM1を
    クエン酸もしくはその塩と接触させる工程を有すること
    を特徴とする有機化合物の生分解方法。
  2. 【請求項2】 該JM1で該有機化合物を生分解するの
    に先立って、該JM1を有機酸を用いて前培養する請求
    項1の生分解方法。
  3. 【請求項3】 該有機化合物が芳香族化合物である請求
    項1の生分解方法。
  4. 【請求項4】 該芳香族化合物がフェノール、トルエン
    またはクレゾールである請求項3の生分解方法。
  5. 【請求項5】 該有機化合物が塩素化脂肪族化合物であ
    る請求項1の生分解方法。
  6. 【請求項6】 該塩素化脂肪族化合物がトリクロロエチ
    レン、又はジクロロエチレンである請求項5の生分解方
    法。
  7. 【請求項7】 汚染物質をJM1(FERM BP−5
    352)を用いて分解せしめて環境を修復する方法にお
    いて、該JM1株の炭素源としてクエン酸もしくはその
    塩を用いることを特徴とする環境修復方法。
  8. 【請求項8】 該汚染物質の該JM1での分解に先立っ
    て、該JM1を有機酸を用いて前培養する請求項7の環
    境修復方法。
  9. 【請求項9】 該汚染物質が芳香族化合物である請求項
    7の環境修復方法。
  10. 【請求項10】 該芳香族化合物がフェノール、トルエ
    ンまたはクレゾールである請求項9の環境修復方法。
  11. 【請求項11】 該汚染物質が塩素化脂肪族化合物であ
    る請求項7の環境修復方法。
  12. 【請求項12】 該塩素化脂肪族化合物がトリクロロエ
    チレン、又はジクロロエチレンである請求項11の環境
    修復方法。
  13. 【請求項13】 該環境が液体である請求項7の環境修
    復方法。
  14. 【請求項14】 JM1を担持させた担体と該液体を接
    触させることによって該汚染物質の分解を行なう請求項
    13の環境修復方法。
  15. 【請求項15】 JM1を担持させた担体を有する容器
    の一端から該液体を該容器内に導入し、他端から該容器
    外へ排出する請求項14の環境修復方法。
  16. 【請求項16】 該環境が土壌である請求項7の環境修
    復方法。
  17. 【請求項17】 JM1を含む液体を該土壌中に導入す
    る工程、および該有機酸を該土壌に導入する工程を有す
    る請求項16の環境修復方法。
  18. 【請求項18】 該土壌中に酸素を導入する工程を有す
    る請求項16の環境修復方法。
  19. 【請求項19】 該微生物の該土壌中への導入を、該土
    壌に設けた注入井から行なう請求項16の環境修復方
    法。
  20. 【請求項20】 JM1を含むを含む液相中に該土壌を
    導入する請求項16の環境修復方法。
  21. 【請求項21】 JM1を担持する担体と該土壌とを接
    触せしめる請求項16の環境修復方法。
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