JP3693220B2 - リトラクタカバーの取付構造 - Google Patents

リトラクタカバーの取付構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートベルト用リトラクタカバーの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の室内には、図10に示すように、シートベルトを巻き取るためのELRを覆うELRカバー101がセンターピラーパネル102に配設されている。このELRは、Emergency Locking Retractor の略で、緊急ロック式巻取装置(以下、リトラクタという)を意味する。上記ELRカバー101(以下、リトラクタカバーという)は、略蓋状に形成され、その上端部がスクリューボルト103によって、図11と図12に示すように、センターピラーパネル102に取り付けられている。
【0003】
このリトラクタカバー101の内部に配設されているリトラクタには、その上部にアッパースティを備えているもの104(以下、アッパースティ付リトラクタという)と、アッパースティを備えていないもの105(以下、アッパースティ無リトラクタという)の2種類があり、それぞれのリトラクタ104,105の型式に合わせて、リトラクタカバーも2種類のタイプを採用している。即ち、運転席側には、アッパースティ付用リトラクタカバー101aを使用し、助手席側には、アッパースティ無用リトラクタカバー101bを使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のリトラクタカバーの取付構造においては、以下の問題点があった。
(1) 右ハンドル車と左ハンドル車では、運転席と助手席の位置が左右反対になるので、リトラクタカバー101a,101bも左右反対となる。そこで、同一生産ラインに右ハンドル車と左ハンドル車が混合して流れてくると、作業者は、右ハンドル車か左ハンドル車かを判別し、その車両毎にリトラクタカバー101a,101bを選別してから該カバー101a,101bを取り付けなければならず、非常に面倒であった。
(2) また、作業者が相当の注意を払っても、リトラクタカバー101a,101bの左右取付違いが発生するおそれがあった。万一、アッパースティ付リトラクタ104が配設されたセンターピラー102にアッパースティ無用リトラクタカバー101bを取り付けると、図13に示すように、リトラクタカバー101bの上端部106とセンターピラーパネル102との間に隙間Lが発生し、外観的に見栄えが良くなかった。
(3) さらに、アッパースティ無リトラクタ105が配設されたセンターピラー102にアッパースティ付用リトラクタカバー101aを取り付けると、図14(a) に示すように、リトラクタカバー101aとセンターピラーパネル102との間に隙間Mが発生した。この隙間Mをなくすためには、図14(b) に示すように、スクリューボルト103をセンターピラーパネル102に強くねじ込んでリトラクタカバー101aを変形させなければならなかった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、運転席側と助手席側のいずれに取り付けても隙間が発生せず、位置決めが容易なリトラクタカバーの取付構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、車体にシートベルト用リトラクタを設け、該リトラクタの外側から覆うようにリトラクタカバーを車体に設けたリトラクタカバーの取付構造において、上記リトラクタカバーの裏面のうち、アッパースティを有するリトラクタの外側にカバーを取り付けた場合に、該スティと干渉しない位置に、該スティの厚さと略同一の高さを有する第1リブを形成している。上記アッパースティを有するリトラクタの場合には、リトラクタカバーを車体に取り付けた状態で、上記第1リブによってリトラクタカバーと車体との間に、アッパースティ一の厚みと同じ間隔を設けることができる。よって、カバーを取り付けることにより、アッパースティを介してリトラクタを車体に確実に固定することができる。一方、アッパースティを備えていないリトラクタの場合には、リトラクタカバーを車体に取り付けた状態で、上記第1リブによってリトラクタカバーと車体との間に一定の間隔を設けることができ、この第1リブがリトラクタカバーの支えとなる。従って、本発明に係るリトラクタカバーは、アッパースティの有無にかかわらず、いずれのタイプのリトラクタにも採用することができる。
また、本発明では、上記リトラクタカバーの下部にツメを設けるとともに、該ツメが係合可能な挿入穴を車体に穿設することができる。
この場合、上記ツメを車体の挿入穴に差し込むことにより、リトラクタカバー取付時の上下方向の位置決めをすることができる。
さらに、本発明では、上記リトラクタカバーの裏面に、横方向に沿って第2リブを設け、該第2リブの先端に突起部を形成し、この突起部を車体に設けたカバー取付穴の周縁に嵌合するように構成することができる。
これにより、リトラクタカバーの横方向の位置決めがされ、該カバーの剛性向上を図ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るリトラクタカバーの取付構造の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るリトラクタカバー1を採用した自動車の室内を示す斜視図である。シートベルト2の上部は、センターピラーパネル3に固定された略三角形のサッシュガイド部4となっており、その下部には、リトラクタカバー1が配設されている。図1のA部に配設されたリトラクタカバー1単体を裏面側から見た斜視図を図2に、表面側から見た正面図を図3に示す。
【0008】
上記リトラクタカバー1は、平面部5と、該平面部5の周縁に立設したフランジ6によって略蓋状に形成されており、平面部5の裏面側には、上部に第1リブ7、中部に第2リブ8、下部にツメ9が形成されている。
上記第1リブ7は、裏面方向にへこんだ取付部10の取付面11に上下方向に2本設けられており、その高さは、後述するリトラクタのアッパースティの板厚と略同一に形成されている。この取付部10は、上記取付面11と、該取付面11の周囲を囲む壁面12とで構成されており、該壁面12には、シートベルト2を挿通する略四角形のベルト穴13が開口している。該ベルト穴13の幅は、シートベルト2よりも若干大きめの幅に形成されている。
【0009】
上記取付部10の下方には、略水平状に第2リブ8が上下に3本形成されている。この第2リブ8の数は、3本に限定されず複数であれば良く、その中央には、後述するリトラクタを収容して横方向の位置決めをする略四角形の切欠き14が設けられ、その両側には略台形状の突起部15が裏面方向に突設している。この突起部15は、図2の位置関係において、周縁のフランジ6よりも一段高く形成されており、その傾斜面16はセンターピラーパネル3のカバー取付穴に嵌入する際のガイド及び嵌入したあとの位置決めとなる。
また、平面部5の下端部には、両側に弾性を有するツメ9が下方に向けて2本形成されている。このツメ9の数は、2本に限定されず複数であれば良く、その形状は側面視略L字状で、下端部がリトラクタカバー1の表面方向に屈曲した略への字状に形成されている。
【0010】
さらに、図4に示すように、センターピラーパネル3には、略四角形のカバー取付穴17が開口しており、該カバー取付穴17の上部には、アッパースティ付リトラクタ18のアッパースティ19を固定するアッパースティ取付面20が形成されている。また、カバー取付穴17の下部には、アッパースティ付リトラクタ18のロアースティ21が取り付けられるロアースティ取付面22が形成されており、該ロアースティ取付面22の両側には、リトラクタカバー1のツメ9が差し込まれるツメ挿入穴23が形成されている。
【0011】
上記構成を有するリトラクタカバー1を車体に取り付ける手順について、図4〜図7を用いて説明する。
最初に、アッパースティ付リトラクタ18のロアースティ21をセンターピラーパネル3のロアースティ取付面22にボルト24を用いて固定する。次いで、リトラクタカバー1のツメ9をセンターピラーパネル3に設けたツメ挿入穴23に差し込むことにより、図5に示すように、リトラクタカバー1のフランジ下端部25とツメ9でセンターピラーパネル3を挟持する。これにより、リトラクタカバー1の上下方向の位置が決まり、確実に固定される。そして、リトラクタカバー1の取付面11に設けたボルト穴26にスクリューボルト27を螺合させて、アッパースティ付リトラクタ18のアッパースティ19と共に、センターピラーパネル3のアッパースティ取付面20に固定する。このとき、図6の(b) に示すように、リトラクタカバー1の第1リブ7の高さがアッパースティ19の板厚とほぼ同一に形成され、かつ、アッパースティ19の幅よりも第1リブ7の間の間隔Wが広いので、スクリューボルト27を螺合させても、第1リブ7がアッパースティ19に干渉することがなく、リトラクタカバー1の支えとなる。さらに、リトラクタカバー1の第2リブ8は、図7に示すように、上記突起部15の傾斜面16がセンターピラーパネル3のカバー取付穴17の周縁に当接し、これによって車両前後方向の位置決めがされる。
【0012】
なお、図8に示すようなアッパースティ無リトラクタ28の場合は、図9の(b) に示すように、スクリューボルト27を螺合した状態で、第1リブ7がセンターピラーパネル3のアッパースティ取付面20に当接するため、リトラクタカバー1を取り付ける際の支えとなる。
【0013】
【発明の効果】
上述の如く、本発明に係るリトラクタカバーの取付構造においては、以下のような効果を奏する。
(1) 本発明に係るリトラクタカバーは、第1リブを備えており、アッパースティの有無にかかわらず、いずれのタイプのリトラクタにも採用することが可能なため、リトラクタカバーの左右取付違いをおこすことがなくなる。
(2) また、リトラクタカバーの下部にツメを備えるときには、リトラクタカバー下部を固定することができ、上下方向の位置決めにもなる。
(3) さらに、リトラクタカバーの裏面に第2リブを備えるときには、リトラクタカバーの横方向の位置決めとともに、該リトラクタカバーの剛性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリトラクタカバーを採用した自動車の室内を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るリトラクタカバーを裏面側から見た斜視図である。
【図3】本発明に係るリトラクタカバーの正面図である。
【図4】本発明に係るリトラクタカバーを取り付ける状態を示す斜視図である。
【図5】図4におけるB−B線断面図である。
【図6】本図のうち、(a) は図4におけるC−C断面を示す概略図、(b) は(a) においてリトラクタカバーを取り付けた状態の断面を示す概略図である。
【図7】図4におけるD−D断面図である。
【図8】アッパースティ無リトラクタを示す斜視図である。
【図9】本図のうち、(a) はアッパースティ無リトラクタを採用した場合の図4におけるC−C線断面を示す概略図、(b) は(a) においてリトラクタカバーを取り付けた状態の断面を示す概略図である。
【図10】従来のリトラクタカバーを採用した自動車の室内を示す斜視図である。
【図11】アッパースティ無リトラクタを採用した場合の図10におけるE−E線断面図である。
【図12】アッパースティ付リトラクタを採用した場合の図10におけるE−E線断面図である。
【図13】アッパースティ付リトラクタにアッパースティ無用リトラクタカバーを取り付けた状態を示す、図10におけるE−E線断面図である。
【図14】本図のうち、(a) はアッパースティ無リトラクタにアッパースティ付用リトラクタカバーを取り付けた状態を示す、図10におけるF−F線断面図、(b) は(a) においてスクリューボルトを強く締め付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 リトラクタカバー
2 シートベルト
3 センターピラーパネル
4 サッシュガイド部
5 平面部
6 フランジ
7 第1リブ
8 第2リブ
9 ツメ
10 取付部
11 取付面
12 壁面
13 ベルト穴
14 切欠き
15 突起部
16 傾斜面
17 カバー取付穴
18 アッパースティ付リトラクタ
19 アッパースティ
20 アッパースティ取付面
21 ロアースティ
22 ロアースティ取付面
23 ツメ挿入穴
24 ボルト
25 フランジ下端部
26 ボルト穴
27 スクリューボルト
28 アッパースティ無リトラクタ

Claims (3)

  1. 車体にシートベルト用リトラクタを設け、該リトラクタの外側から覆うようにリトラクタカバーを車体に設けたリトラクタカバーの取付構造において、上記リトラクタカバーの裏面のうち、アッパースティを有するリトラクタの外側からカバーを取り付けた場合に、該スティと干渉しない位置に、該スティの厚さと略同一の高さを有する第1リブを形成したことを特徴とするリトラクタカバーの取付構造。
  2. 上記リトラクタカバーの下部にツメを設けるとともに、該ツメが係合可能な挿入穴を車体に穿設したことを特徴とする請求項1に記載のリトラクタカバーの取付構造。
  3. 上記リトラクタカバーの裏面に、横方向に沿って第2リブを設け、該第2リブの先端に突起部を形成し、この突起部を車体に設けたカバー取付穴の周縁に嵌合するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のリトラクタカバーの取付構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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