JP3693152B2 - ポリエステルエラストマー組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的特性及び耐久性に優れ、かつ加熱時の揮散性が少なく、ゲル化物の少ないポリエステルエラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリエステルとラクトン類とを反応せしめたポリマーの製法としては、結晶性芳香族ポリエステルとラクトンを反応させる方法(特公昭48-4116号公報)、結晶性芳香族ポリエステルとラクトンを反応させ、得られるブロック初期共重合体に多官能アシル化剤を反応させて鎖延長させる方法(特公昭48-4115号公報)、結晶性芳香族ポリエステルの存在下にラクトン類を固相状態で重合させる方法(特公昭52-49037号公報)等が知られている。
【0003】
これらの方法によって得られるポリマーは、熱可塑性でありながら優れたゴム状弾性を有する。しかし、耐熱性が不十分であり、高温に長時間曝されると、強度および伸度が著しく低下するという難点がある。さらに、これらのポリマーは耐水性が不十分であり、水の存在下で加水分解を起こし易い。そのため、これらの組成物は、そのまま、繊維、フィルム、成形材料などの素材として実用に供することが難しい。
【0004】
そこで、上記のようなポリエステル型ブロック共重合体の耐熱性および耐水性を改善するため、1官能以上のエポキシ化合物を配合する方法(特開昭58-162654号公報)などが提案されている。この方法により、耐熱性および耐水性は改良される。
しかし、この方法は、使用されるエポキシ化合物の種類によっては、得られる組成物を加熱したときに、未反応のエポキシ化合物が多く揮散するという問題点を有するため、熱可塑性樹脂を成型品に加工する場合、あるいは樹脂の着色、難燃性付与等の加工を行う際に衛生上問題を生じる可能性があった。さらには発生するガスは、押出機、成形機等のシリンダー、スクリュー、および金型の表面を腐食させたり、電器機器部品、および電子機器部品の分野では、発生するガスが金属部分を腐食し、その結果、接点不良や導電不良を引き起こす恐れがあった。これらの問題を解決するために、使用するエポキシ化合物の種類を限定することにより加熱時の揮散性を改善した方法(特開平10-30053号公報)が報告されている。
【0005】
また、結晶性芳香族ポリエステルとポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類を共重合させたポリエステル型ブロック共重合体においても、機械的特性の向上のため、エポキシ化合物を配合する方法が採られることがある。
【0006】
前述のようなエポキシ化合物の配合により樹脂の耐熱性および加水分解性は改善され、加熱時の揮散性も抑えられることがわかった。しかし、上記組成物は押出機内でのポリエステル型ブロック共重合体とエポキシ化合物と安定剤との配合工程においてはゲル化物が発生し、フィルター詰まりを起こしたり、成形品の外観を損ねるなどの問題が生じた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた耐熱性、および耐加水分解性を有し、しかも加熱時の揮散性が少なく、ゲル化物の少ない熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明に係る熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、ポリエステル型ブロック共重合体、およびビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールS−ジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型グリシジルエーテル、フェノールノボラック型グリシジルエーテル、ポリカルボジイミド、ビスオキサゾリン化合物より選ばれる1種以上からなるポリエステルの末端と反応しうる官能基を1分子中に2個以上有する化合物、および3級アミン骨格を有する安定剤を含むポリエステルエラストマー組成物であって、該ポリエステルエラストマー組成物が、
(A)150℃、2時間での重量減少が0.4%以下(揮散性)
(B)250℃、4時間でのゲル化度が50%以下(ゲル化率)
であることを特徴とするポリエステルエラストマー組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステル型ブロック共重合体とは、高融点硬ポリエステルセグメントと分子量400〜6000程度の低融点重合体セグメントとからなる共重合体であり、高融点ポリエステルセグメント構成成分だけで高重合体を形成した場合の融点が150℃以上であり、低融点重合体セグメント構成成分のみで測定した場合の融点ないし軟化点が80℃以下の構成成分からなるポリエステルエラストマーと呼ばれる熱可塑性ポリエステル型ブロック共重合体である。
【0010】
ポリエステル型ブロック共重合体をさらに詳しく述べると、高融点ポリエステルセグメント構成成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2,2−ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、p−キシリレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールから製造されるポリエステルあるいはこれらの2種類以上のジカルボン酸あるいは2種類以上のジオールを用いたコポリエステルp−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸などのオキシ酸およびそれらのエステルから誘導されるポリエステル、1,2−ビス(4,4’−ジカルボキシフェノキシ)エタン等の芳香族エーテルジカルボン酸と前述のジオールとから製造されるポリエーテルエステル、等の結晶性芳香族ポリエステル、ポリピバロラクトンなどのポリラクトン、さらに以上のジカルボン酸類、オキシ酸類、ジオール類を組み合わせたコポリエステル類などを示すことができる。
【0011】
分子量400〜6000の低融点重合体セグメント構成成分としては、例えばポリ(エチレンオキサイド)グリコール、ポリ(プロピレンオキサイド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール及びこれらの混合物さらにこれらのポリエーテルグリコール構成成分を共重合した共重合ポリエーテルグリコール等を示すことができる。また炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族グリコールから製造されるポリエステル、例えばポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリネオペンチルセバケート、ポリテトラメチレンドデカネート、ポリテトラメチレンアゼレート、ポリヘキサメチレンアゼレート、ポリ−ε−カプロラクトンを代表とするポリラクトン類などを示すことができる。さらに上記ポリエステルとポリエーテルを組み合わせたポリエステルポリエーテル共重合体なども示すことができる。上記ポリエステル型ブロック共重合体での低融点重合体セグメント構成成分の割合は5〜80重量%が好ましい。
【0012】
これらの中でも、結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類を反応させることによって得たれたものは、エラストマーとしての高度の機能を達成させるために、ポリエステルの末端と反応しうる官能基もつ化合物と反応させて分子量の増加をさせることが必須であり、ポリエステルの末端と反応しうる官能基もつ化合物の使用量も多くなり、揮散による問題や、ゲル化による問題が起こりやすく、本発明の技術を適応させるポリエステル型ブロック共重合体として好ましい。
【0013】
本発明のポリエステルエラストマー組成物は150℃、2時間での重量減少が0.4%以下であることが必要である。好ましくは0.35%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.25%以下、最も好ましくは0.2%以下である。重量減少が0.4%を上回ると、ポリエステルエラストマー組成物を成型品に加工する場合、あるいは樹脂の着色、難燃性付与等の加工を行う際に揮散物が多くなり、数々の問題が生じる。
【0014】
また、本発明のポリエステルエラストマー組成物は、250℃、4時間でのゲル化度が50%以下であることが必要である。好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。ゲル化度が50%を上回ると、ポリエステルエラストマー組成物を成型品に加工する場合、あるいは樹脂の着色、難燃性付与等の加工を行う際にゲル状物が発生し、成型品にゲル状物が混入することによる外観上の問題、強度の低下や、成形機や混練機出口に取り付けたフィルターの詰まりによる成型機や混練機の圧力上昇等といった問題が発生する。
なお、これらの測定方法は実施例の項で述べる通りである。
【0015】
本発明で用いられる結晶性芳香族ポリエステルとしては、主としてエステル結合またはエステル結合とエーテル結合とからなるポリマーが好ましいものとして挙げられ、少なくとも1種の芳香族基を主たる繰り返し単位とし、そして分子末端に水酸基を有するものが用いられる。この結晶性芳香族ポリエステルは、融点が150℃以上のものが、また好ましい分子量は用途によって異なり、成形材料として使用する場合は5000以上、より好ましくは8000以上のものであり、接着剤やコーティング剤などとして使用される場合の分子量は5000以下である。
【0016】
結晶性芳香族ポリエステルの好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレートなどのホモポリエステル;ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ−p−フェニレンビスオキシエトキシテレフタレートなどのポリエステルエーテル;主としてテトラメチレンテレフタレート単位またはエチレンテレフタレート単位からなり、他にテトラメチレンまたはエチレンイソフタレート単位、テトラメチレンまたはエチレンアジペート単位、テトラメチレンまたはエチレンセバケート単位、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート単位、テトラメチレンまたはエチレン−p−オキシベンゾエート単位などの共重合成分を有する共重合ポリエステルまたは共重合ポリエステルエーテルなどである。なお、共重合体の場合にはテトラメチレンテレフタレートまたはエチレンテレフタレート単位が60モル%以上含まれることが好ましい。
またラクトン類としては、カプロラクトンが最も好ましいが、その他としてエナンラクトン、カプリロラクトン等も使用することができ、これらのラクトン類も2種以上を併用することができる。
【0017】
上記結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類との共重合割合は、その用途によって適宜変えられ得る。一般に、結晶性芳香族ポリエステルの割合が増大すると、得られる組成物は硬くなり、強度、伸度などの機械的特性が向上する。ラクトン類の割合が増大すると、得られる組成物は軟質化し、低温特性が向上する。従って、機械的強度、低温特性などのバランスを考慮しながら、用途に応じて両者の共重合割合が選定され得る。標準的な配合比率としては、重量比で芳香族ポリエステル/ラクトン類が97/3〜5/95、より一般的には95/5〜30/70の範囲である。硬質の成形体を得たい場合には、好ましくは上記割合は95/5〜70/30の範囲から選択するのがよい。
【0018】
本発明で使用されるポリエステルの末端と反応しうる2官能以上の化合物としては、構造は一切制限されないが、樹脂組成物の150℃、2時間での重量減少を0.4%以下にするためには、下記(I)式を満足し、同一内子内に2個以上有する化合物であることが好ましい。
(W1−W2)/W1≦0.1 (I)
ここで、W1:熱処理前のサンプル重量
W2:200℃で30分熱処理した後のサンプル重量
【0019】
具体例としては、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールS−ジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型グリシジルエーテル、フェノールノボラック型グリシジルエーテル、ポリカルボジイミド、ビスオキサゾリン化合物等が好ましい例として挙げられる。特に好ましい例としてはビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールS−ジグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。
【0020】
これらポリエステルの末端と反応しうる2官能以上の化合物の配合量は、用いられるポリエステル型ブロック共重合体の末端に存在する官能基の量、あるいは最終的に得られる組成物の要求特性によって変わり得る。好ましくは上記ポリエステル型ブロック共重合体100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部、より好ましくは0.3重量部〜8重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜6重量部である。0.1重量部未満では、このような化合物を反応させることによって得られる作用効果、例えば、増粘による成形性の向上効果、耐熱性および耐加水分解性の向上効果が有意に発揮されない。また10重量部を超えると、未反応化合物が残存することによって、成形体の表面性状が粗雑になる等、成形品の品質に悪影響が現れてくる。
【0021】
本発明組成物において、前記ポリエステル型ブロック共重合体とポリエステルの末端と反応しうる2官能以上の化合物との反応は触媒を用いなくとも起こり得るが、反応の促進または親和性の向上の点から、触媒を用いることが望ましい。触媒としては、一般にアミン類、リン化合物、炭素原子数が10以上であるモノカルボン酸および/またはジカルボン酸類の、元素周期律表より選ばれたIa族またはIIa族の金属塩類などが挙げられ得る。なかでもトリブチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの3価のリン化合物;およびステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウムなどのステアリン酸の金属塩類が好ましい。これらの触媒は、単独でまたは2種以上混合して用いられ得る。また、上記触媒は一括して添加しても分割して添加しても、同様の効果が得られ、触媒の添加量は、通常、上記ポリエステル型ブロック共重合体100重量部に対して3重量以下、好ましくは0.03〜2重量部である。
【0022】
本発明の樹脂組成物には各種の熱安定剤や光安定剤が用いることが好ましい。安定剤の構造は特に限定される物ではないが、ポリエステルエラストマー組成物が、250℃、4時間でのゲル化度が50%以下であるためには、安定剤に1級または2級のアミン部分が含まれていないことが好ましい。さらには、安定剤には3級のアミン骨格が含まれていることが好ましい。ポリエステル型ブロック共重合体を安定化させる効率を考えると3級アミン部分がシクロ環の1員、特に、ヒンダードアミン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール構造を有するものが好ましい。
【0023】
上記安定剤のアミンが3級未満であるもの、1級もしくは2級アミンの安定剤を使用するとポリエステルエラストマー中にゲル化物が生じ、押出機のフィルター詰まりや成形品の外観を損ねる等の問題が発生する。これは1級もしくは2級アミンはエポキシ樹脂の硬化剤として知られているように、1級もしくは2級アミンがエポキシ樹脂内に組み込まれ、エポキシ樹脂分子を架橋していくためだと考えられる。
【0024】
上記安定剤の添加量は、該エラストマーの用途によって適宜変えられ得る。一般にはより高度な安定性を要求される用途では添加量を高める必要があるが、添加量を高めすぎると安定剤が成形時に析出し、成形金型を汚染したり、ポリマー流路に堆積して成形に不都合を生じる原因となる。また、成形品として加工した後でも成形品を使用中にその表面に析出して、見栄えが悪くなったり、衛生上問題を生じる可能性がある。従って、添加量は0.1〜5重量部の範囲が適切であり、より好ましくは0.3〜3重量部である。
【0025】
上記安定剤は単独でまたは他の一般的な安定剤と混合して用いうるが、共に用いうる安定剤としては、フェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系、金属塩系、などが挙げられる。本発明においては揮散性と機械的特性、耐熱性、耐加水分解性のバランスを取る観点より、安定剤としても揮散性の低い化合物を選定することが望ましい。
【0026】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、必要に応じてさらに、繊維状強化材および/または無機フィラーを含有し得る。前記ポリエステル型ブロック共重合体100重量部にたいして、100重量部を超えない範囲で配合することにより、強度・剛性・耐熱性・寸法安定性等の向上を図ることが可能である。繊維状強化材としては、ガラス繊維、シリカガラス繊維、アルミナ繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、チタン酸カルウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカーなどのウィスカーおよび炭素繊維等が挙げられる。無機フィラーとしてはタルク、ワラストナイト、カオリン、マイカ、セリサイト、クレー、アルミナシリケート、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、炭酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。
【0027】
さらに、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物は、必要に応じて難燃剤を含有し得る。前記ポリエステル型ブロック共重合体100重量部にたいして、100重量部を超えない範囲で配合することにより難燃性の向上を図ることが可能である。難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、メラミン系等の有機添加物、金属水酸化物等の無機添加物等が挙げられる。また、必要に応じて酸化アンチモン、ホウ素化合物等の難燃助剤を添加してもかまわない。
【0028】
本発明の組成物には、用途、目的などに応じて、従来公知の結晶化促進剤、結晶核材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、導電性改良剤、耐加水分解改良剤、多官能架橋剤、耐衝撃改良剤、金属劣化防止剤、着色剤などが配合され得る。また、本発明の目的を損なわない限り、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタンのような他の種類の樹脂もブレンドされ得る。
【0029】
本発明の組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、任意の方法で行うことができる。たとえば押出機、ロールミル、バンバリーミキサーなどで加熱・混練することにより、目的の組成物を得ることができる。
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明の構成及び作用効果をより詳細に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0031】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本発明においては、特に指定しない限り、「部」はすべて重量部を表す。
【0032】
(製造例1)ポリエステル型ブロック共重合体の調整1
ポリテトラメチレンテレフタレート70kg、ε−カプロラクトン30kgを反応容器にとり、窒素ガスでパージした後、230℃で撹拌しながら2時間溶融反応させることで、ポリエステル型ブロック共重合体のチップを得た。得られたポリエステル型ブロック共重合体は、還元比粘度が1.163であり、酸価が65当量/106gであり、引っ張り破断強度が370kg/cm2であり、引っ張り破断伸度が710%であった。
【0033】
(製造例2)ポリエステル型ブロック共重合体の調整2
テレフタル酸ジメチル40kg、1,4−ブタンジオール25kg、テトラブチルチタネート75gを反応容器にとり、窒素ガスでパージした後、常法に従いエステル交換反応を行った。エステル交換率が95%以上進んだ時点で、分子量1000のポリテトラメチレングリコール32kgを加え混合した後、オートクレーブに移し、250℃にて140分間重縮合反応を行い、ポリエステル型ブロック共重合体のチップを得た。得られたポリエステル型ブロック重合体は、還元比粘度が1.211であり、酸価が34当量/106gであり、引っ張り破断強度が310 kg/cm2であり、引っ張り破断伸度が550%であった。
【0034】
(実施例1)
製造例1で得られたポリエステル型ブロック共重合体のチップ100重量部、2官能性以上の化合物として、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル4重量部、3級アミン骨格を有する安定剤として三共社製サノールLS2626を1重量部ドラムタンブラーに入れ、室温にて30分間攪拌した。混合物を40mmφ同方向2軸押出機を用いて230℃にて押出し、水冷後切断チップ化した。得られたチップを100℃にて減圧乾燥してから本発明のポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
【0035】
(実施例2)
3級アミン骨格を有する安定剤の配合量を1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
【0036】
(実施例3)
3級アミン骨格を有する安定剤と共に、一般的に耐久性改良材として知られる、ヒンダードフェノール系0.3重量部配合した以外は、実施例1と同様にして、本発明のポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
【0037】
(実施例4)
製造例2で得られたポリエステル型ブロック共重合体を用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
【0038】
(比較例1)
3級アミン骨格を有する安定剤の代わりに、1級および2級アミン骨格を有する安定剤としてチバガイギー社製キマソーブ944FLを0.8重量部以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
【0039】
(比較例2)
ビスフェノールF−ジグリシジルエーテルの代わりにポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを3重量部としとした以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルエラストマー組成物のチップを得た。
【0040】
上記実施例1〜4及び比較例1〜2で得られたポリエステルエラストマー組成物を、以下の項目について評価した。
【0041】
[引張破断強伸度]
射出成形機(山城精機社model-SAV)を持ちいて、チップを100mm×100mm×2mmの平板に成形した後、ダンベル状3号形の試験片を平板から打ち抜いた。東洋精機社製テンシロンUTM-IIIを用いて、得られた試験片を毎分500mmの速さで伸長し、試験片が破断したときの荷重(kg)を初期断面積(cm2)を除した値を引張破断強度(kg/cm2)とし、試験片が破断するまでの試料の伸びの原試料長に対する割合を引張破断伸度(%)とした。値は5個のサンプルの平均を取った。
【0042】
[溶融粘度]
JIS K6760記載の試験法に準拠し、230℃でのメルトフローレート(MFR)を測定した。
【0043】
[還元比粘度]
ポリマー0.05gを25mlの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40)に溶かして、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
【0044】
[酸価]
酸価はポリマー0.5gをベンジルアルコール/クロロホルム(50/50重量)100mlに溶解させ、KOHのエタノール溶液で滴定した。指示薬はフェノールレッドを用いた。
【0045】
[耐熱性]
ダンベル試験片を180℃の熱風乾燥機内に放置し、各放置後のサンプルの引張破断伸度を測定した。引張破断伸度が初期引張破断伸度の50%になる時間(日)を耐熱性の指標とした。
【0046】
[耐加水分解性]
ダンベル試験片を、沸騰水中に浸漬し、各放置後のサンプルの引張破断伸度を測定した。引張破断伸度が初期引張破断伸度の50%になる時間(日)を耐加水分解性の指標とした。
【0047】
[ゲル化率の測定]
約250mlのガラス瓶(約4cmφ×高さ20cm)にポリエステルエラストマーを約50g精秤(V0)し、これを250℃のシリコンオイルバス中に浸け窒素を上部から吹き込みながら(約30ml/min)、撹拌し、4時間加熱処理した。処理後、内容物をテトラクロロエタンとフェノール(1/1重量比)との混合溶媒(500ml)に溶解させ(ガラス瓶も上記混合溶媒の一部で洗い流す)、その後、100メッシュの重量既知のステンレス製金網(重量V')により不溶物を分取し、150℃、10torr以下、の条件で8時間乾燥させた後、金網ごと精秤(V1)し、下記式によりゲル化分率を求めた。ゲル化分率が低いものほどゲル化が起きにくく、良好な試料である。
ゲル化分率(%)=(V1−V')×100/V0
【0048】
[揮散性]
水分率を0.03%以下にしたペレットを、直径6cm×高さ3cmの重量既知のガラス製秤量瓶(S'g)に約5g採取し、秤量瓶ごと精秤(S0)した後、瓶の蓋を開けた状態で2時間、150℃の熱風乾燥機内中央に放置した。冷却後重量を秤量瓶ごと精秤(S1)し、下式により加熱減量率を算出した。加熱減量率が低いものほど揮散性良好な試料である。
加熱減量率(%)=(S0−S1)×100/(SO-S')
なお、ペレットの水分率が0.03%を越える場合は、100℃、10torr以下で水分率が0.03%以下になるまで、乾燥させた。
【0049】
[鎖延長剤加熱減量率]
シリカゲルを入れたデシケーター中で25℃1週間以上保管乾燥させた鎖延長剤を、直径6cm×高さ3cmの重量既知のガラス製秤量瓶(W'g)に約5g採取し、秤量瓶ごと精秤(W0')した後、瓶の蓋を開けた状態で30分、200℃の熱風乾燥機内に放置した。冷却後重量を秤量瓶ごと精秤(W1')し、下式により加熱減量率を算出した。
加熱前のサンプル重量(W0'−W')
加熱後のサンプル重量(W1'−W')
鎖延長剤加熱減量率=(W0'−W1')/(WO'-W')
【0050】
上記評価項目について、実施例及び比較例で得られたポリエステルエラストマー組成物を評価した結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003693152
【0052】
安定剤A:1−[2−{3−(3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシルフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
安定剤B:ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルイミノ)}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]
【0053】
第1表より明らかなように、ポリエステル型プロック共重合体に前記(I)式で示される2官能以上の化合物でかつその官能基が前期ポリエステル型ブロック共重合体の末端基と反応しうる化合物と、3級アミン骨格を有する安定剤からなる熱可塑性ポリエステルエラストマーは、加熱時の揮散性が少なく、ゲル化物の少ない組成物が得られる。更に本発明の組成物は、耐熱性や耐水性においても非常に優れた性能を有している。
【0054】
【発明の効果】
本発明のポリエステルエラストマー組成物を用いることにより、機械的強度、耐熱性、耐加水分解性に優れ、しかも加熱時の揮散性が少なく、ゲル化物の少ないエラストマー成形品が得られる。

Claims (1)

  1. ポリエステル型ブロック共重合体、およびビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールS−ジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型グリシジルエーテル、フェノールノボラック型グリシジルエーテル、ポリカルボジイミド、ビスオキサゾリン化合物より選ばれる1種以上からなるポリエステルの末端と反応しうる官能基を1分子中に2個以上有する化合物、および3級アミン骨格を有する安定剤を含むポリエステルエラストマー組成物であって、該ポリエステルエラストマー組成物が、
    (A)150℃、2時間での重量減少が0.4%以下(揮散性)
    (B)250℃、4時間でのゲル化度が50%以下(ゲル化率)
    であることを特徴とするポリエステルエラストマー組成物。
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