JP3693043B2 - 光部品の実装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用の光モジュールや光素子などの光部品を基板に実装する光部品の実装方法および実装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年情報通信の高速化・大容量化の要請に応えるため、光通信が広く用いられるようになっている。光通信用の機器には、従来の電気通信用の機器にはなかった光モジュールや光素子などの光部品が用いられる。これらの光部品には、部品相互や光部品が実装される基板との間で信号伝達媒体としての光の授受を行うために、発光部や受光部など光伝達部が設けられている。そしてこれらの光部品の基板への実装に際しては、相対応する光伝達部を対向させた状態で光部品を基板に接合する。この実装形態として、通常のBGAパッケージやフリップチップなどと同様に、半田バンプや金バンプなどの金属バンプによって基板に接合する方式が用いられるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の光部品を金属バンプによって実装する方法においては、従来より以下のような不都合があった。まず半田バンプを用いて半田接合を行う方法における問題点を説明する。半田接合において安定した接合品質を確保するためには、接合部の大きさに応じた適正な半田量を必要とするため、半田バンプの大きさは必然的に接合品質上求められる下限サイズよりも大きくなる。
【0004】
ところが半田バンプのサイズを大きくすると、実装後の光部品の下面と基板の上面との間の隙間が大きくなって、光伝達時の減衰が増大することによる性能低下が避けられなかった。またこの性能低下を避けようとすれば、光部品と基板の間にレンズや光増幅器を挿入する必要があり、コストアップを招いていた。
【0005】
そしてバンプとして金バンプを用いる方法では、金バンプを基板の電極に押圧して金属接合する圧着方式が用いられる。この方式によれば、金バンプを大きな押圧荷重により押しつぶして実装後のバンプ高さを減少させることができ、光部品の下面と基板の上面との間の隙間を小さくすることが可能となる。
【0006】
しかしながら、圧着において大きな押圧荷重を作用させると、基板の変形やバンプ高さのばらつきを招きやすく、実装後の光部品と基板との平行を保つことが難しい。この結果、実装後の状態において光部品と基板のそれぞれの光伝達部の光軸を精度良く合わせることができず、光伝達が正常に行えなくなるという難点がある。
【0007】
このように、金属バンプを介して光部品を基板に実装する光部品の実装においては、従来より光伝達部を相互に接近させて光軸を精度良く合わせることが困難であるという問題点があった。
【0008】
そこで本発明は、金属バンプを介して光部品を基板に実装する光部品の実装において、光伝達部を相互に接近させて光軸を精度良く合わせることができる光部品の実装方法および実装構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光部品の実装方法は、下面に第1の光伝達部および第1の電極が設けられた光部品を、前記第1の光伝達部との間で光の授受を行う第2の光伝達部が設けられ前記第1の電極が接合される第2の電極を有する基板に実装する光部品の実装方法であって、前記第1の電極を前記第2の電極に当接させて光部品に荷重と超音波振動を印加することにより、第1の電極の下面を第2の電極の上面に金属接合するとともに、この金属接合過程において第1の電極もしくは第2の電極の高さ寸法を減少させるようにし、且つ前記第1の電極を前記第2の電極に当接させる搭載動作に先立って前記第2の電極の周囲に樹脂接着材を供給し、前記金属接合後に樹脂接着材を硬化させることにより、第1の電極と第2の電極の接合部を補強するとともに外部からの光を遮光する遮光樹脂層を形成する。
【0017】
本発明によれば、光部品の第1の電極を基板の第2の電極に当接させ、光部品に荷重と超音波振動を印加して第1の電極の下面を第2の電極の上面に金属接合するとともに、金属バンプの高さ寸法を減少させて光部品の下面と基板の上面とを接近させることにより、光伝達部を相互に接近させて光軸を精度良く合わせることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(参考の形態)
図1は本発明の参考の形態の光部品の実装方法の工程説明図、図2は本発明の参考の形態の光部品の実装構造の断面図、図3は本発明の参考の形態の光部品および基板の断面図である。
【0019】
まず図1を参照して、光部品の実装方法について説明する。この光部品の実装方法は、光モジュールや光素子などの光部品を金属バンプを介して基板に接合するとともに、光部品と基板にそれぞれ設けられた光伝達部を光の授受のための適正位置に位置合わせするものである。
【0020】
図1(a)において、光部品1の下面の中央部には第1の光伝達部3が設けられており、第1の光伝達部3の両側方には第1の電極としての金属バンプ2が設けられている。光部品1が実装される基板4の上面には、第1の光伝達部3との間で光の授受を行う第2の光伝達部6が設けられており、第2の光伝達部6の両側には金属バンプ2が接合される第2の電極としての接続用電極5が設けられている。
【0021】
第1の光伝達部3としては、発光機能のみを有したもの、受光機能のみを有したもの、また発光・受光の双方の機能を備えたものが、光部品1の種類によって用いられる。そして第2の光伝達部6は、基板4の内部に設けられた導波部6aに接続されており、基板4に実装または接続された他部品と光部品1との間で導波部6aを介して光の授受が行われる。
【0022】
光部品1を基板4に実装する際には、図1(b)に示すように、光部品1をボンディングツール7によって保持し、第1の光伝達部3を第2の光伝達部6に位置あわせした状態で、金属バンプ2を接続用電極5に当接させる。そしてこの後、ボンディングツール7によって光部品1に下向きの荷重と水平方向の超音波振動を印加する。これにより、金属バンプ2の下面は、図1(c)に示すように接続用電極5の上面に固層拡散接合によって金属接合される。
【0023】
そして金属接合過程において、光部品1に作用する押圧荷重と超音波振動によって金属バンプ2と接続用電極5の接合界面が塑性変形して高さ寸法が減少し、この高さ減少によって、光部品1の下面と基板4の上面との間の隙間は、図1(b)に示す実装前の状態における高さ寸法H1から、図1(c)に示す金属接合後の状態における高さ寸法H2まで減少する。このとき、単に金属バンプ2を押圧荷重で押しつぶすことによって光部品1を圧着する従来の実装方法と比較して、低荷重で隙間を大幅に減少させて実装を完了させることができる。なお上記実装過程において、押圧荷重と超音波振動とともに、基板4を150℃程度まで加熱すると、より効率的に実装を行うことができる。
【0024】
図2は、このようにして光部品1を基板4に超音波接合によって実装した実装構造を示している。この実装構造においては、金属バンプ2の高さを減少させることによって、第1の光伝達部3と第2の光伝達部6との距離を極力接近させた構成となっている。また、実装過程において過大な押圧荷重を作用させる必要がないことから、基板4の変形や各金属バンプの変形のばらつきが小さく、第1の光伝達部3と第2の光伝達部6の平行度が良好な精度で確保されている。このように、第1の光伝達部3と第2の光伝達部6とを極力接近した位置でしかも高い位置精度で対向させて光軸を高精度で一致させた実装構造が実現でき、光部品1と基板4との間での光伝達時の減衰を防止することができる。
【0025】
なお上記参考の形態では、金属バンプ2が設けられた光部品1を接続用電極5が設けられた基板4に実装する構成例を示しているが、図3に示すように下面に接続用電極2Aが設けられた光部品1Aを、上面に金属バンプ5Aが設けられた基板4Aに超音波接合を用いて、図1に示す方法と同様の方法で実装するようにしてもよい。
【0026】
(実施の形態)
図4は本発明の実施の形態の光部品の実装方法の工程説明図である。本実施の形態においては、参考の形態と同様の光部品1を基板4に実装するに際し、基板4上に予め封止用の樹脂を供給するようにしたものである。光部品1および基板4は参考の形態において示すものと同様である。
【0027】
図4(a)において、金属バンプ2を接続用電極5に当接させる搭載動作に先立って、基板4の上面の接続用電極5の周囲には、エポキシ樹脂などの熱硬化性の樹脂接着材8が供給される。樹脂接着材8の供給に際しては、接続用電極5の周囲の所定範囲のみに適正量を供給し、第2の光伝達部6が樹脂接着材8によって覆われることがないような供給方法を用いる。たとえば、接続用電極5の配置に応じた形状に予め成形された樹脂シートを貼着する方法や、吐出量の制御が高精度で行えるディスペンサを用い、塗布位置を制御しながら塗布する方法などが用いられる。
【0028】
実装過程においては、図4(b)に示すように、実施の形態1と同様に光部品1をボンディングツール7によって保持し、第1の光伝達部3を第2の光伝達部6に位置あわせして、金属バンプ2を樹脂接着材8を介して接続用電極5に当接させる。そしてこの後、ボンディングツール7によって光部品1に下向きの荷重と水平方向の超音波振動を印加する。これにより、金属バンプ2の下面は、図4(c)に示すように接続用電極5の上面に固層拡散接合によって金属接合される。
【0029】
この後、基板4を加熱して樹脂接着材8を熱硬化させる。この樹脂硬化過程において、樹脂接着材8は金属バンプ2の表面に沿って光部品1の下面まで這い上がる。そしてこの状態で樹脂接着材8が熱硬化することにより、第1の光伝達部3と第2の光伝達部6とを囲んだ配置の封止樹脂部8Aが形成される。
【0030】
この封止樹脂部8Aは、実装後において金属バンプ2と接続用電極5の接合部を補強するとともに、使用状態において外部からの光が第1の光伝達部3と第2の光伝達部6との対向面に到達することを遮断する遮光樹脂層として機能する。これにより、参考の形態に示す効果とともに、外部からのノイズが確実に遮断された高品質の光伝達を行うことができる。
【0031】
なお上記実施の形態では、金属バンプ2が設けられた光部品1を接続用電極5が設けられた基板4に実装する構成例を示しているが、図3に示すように下面に接続用電極2Aが設けられた光部品1Aを、上面に金属バンプ5Aが設けられた基板4Aに実装する場合においても、本実施の形態に示す実装方法を適用することができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、光部品の第1の電極を基板の第2の電極に当接させた状態で光部品に荷重と超音波振動を印加して第1の電極の下面を第2の電極の上面に金属接合するとともに、金属バンプの高さ寸法を減少させて光部品の下面と基板の上面とを接近させることにより、光伝達部を相互に接近させて光軸を精度良く合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考の形態の光部品の実装方法の工程説明図
【図2】 本発明の参考の形態の光部品の実装構造の断面図
【図3】 本発明の参考の形態の光部品および基板の断面図
【図4】 本発明の実施の形態の光部品の実装方法の工程説明図
【符号の説明】
1,1A 光部品
2,5A 金属バンプ
3 第1の光伝達部
4,4A 基板
5,2A 接続用電極
6 第2の光伝達部
8 樹脂接着材
8A 封止樹脂部
Claims (1)
- 下面に第1の光伝達部および第1の電極が設けられた光部品を、前記第1の光伝達部との間で光の授受を行う第2の光伝達部が設けられ前記第1の電極が接合される第2の電極を有する基板に実装する光部品の実装方法であって、前記第1の電極を前記第2の電極に当接させて光部品に荷重と超音波振動を印加することにより、第1の電極の下面を第2の電極の上面に金属接合するとともに、この金属接合過程において第1の電極もしくは第2の電極の高さ寸法を減少させるようにし、且つ前記第1の電極を前記第2の電極に当接させる搭載動作に先立って前記第2の電極の周囲に樹脂接着材を供給し、前記金属接合後に樹脂接着材を硬化させることにより、第1の電極と第2の電極の接合部を補強するとともに外部からの光を遮光する遮光樹脂層を形成することを特徴とする光部品の実装方法。
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