JP3693026B2 - 固体撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インタライン転送(IT)型の固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像入力端末として、CCD固体撮像装置が、たとえばデジタルスチルカメラ(DSC)をはじめ、デジタルビデオカメラ(DVC)、PCカメラ、PDA端末用カメラなどに広く用いられている。
【0003】
CCD固体撮像装置の種類としては、従来よりFF(フルフレーム)−CCD、FT(フレーム転送)−CCD、IT(インタライン転送)−CCD、FIT(フレームインタライン転送)−CCDなどがあった。
【0004】
ここでIT−CCDエリアセンサは、多数のフォトセル(感光部)が2次元マトリクス(行列)状に配され、各垂直列のフォトセルの間にそれぞれ複数の垂直転送CCD(Vレジスタ)が配列され、最後の行の垂直転送CCDに隣接して水平転送CCDが通常1ライン分設けられた構造となっている。
【0005】
このIT−CCDエリアセンサにおいて、垂直転送CCDの転送駆動には、2相、3相、あるいは4相駆動方式が使われており、また蓄積モードとしては、フィールド蓄積モードとフレーム蓄積モードとがある。
【0006】
たとえば、通常のカメラ用のIT−CCDでは、NTSCやPALなどの放送方式の2:1インターレース走査に合わせて、隣り合った垂直2ラインの信号電荷を垂直CCD中で混合するフィールド蓄積モードで使用される。このフィールド蓄積モードでは、動解像度が高いという長所がある一方、静止画では、垂直解像度が240TV本しか得られないという問題点がある。
【0007】
これに対してフレーム蓄積モードでは、各画素を混合せずに読み出すので、480TV本の高垂直解像度を得ることが可能であるが、高速移動被写体を撮像するためには、ストロボや機械式シャッタなどを使用せねばならないという問題点がある。
【0008】
また近年では、デジタルスチルカメラの小型化・高画質化に伴い、小型・高解像度への要望が高まり、水平方向の画素数(ユニットセル数)を増やすことで高解像度化を図ってきた。しかしこれでは、隣接する2ラインの信号を混合するために、垂直解像度が最大350TV本程度にしかならないという問題がある。
【0009】
この問題の解決のため、最近では、フィールドごとに全画素の信号電荷を独立に読み出すことで、高動解像度と高垂直解像度を両立することのできる全画素読出し方式(ノンインターレース方式ともいわれる)のIT−CCD(Progressive Scan CCD Image Sensor ;以下PS−CCDともいう)が提案されている。
【0010】
たとえば、“テレビジョン学会技術報告;情報入力、情報ディスプレイ 1994年11月 P7〜P12;「1/2インチ33万画素正方格子全画素読み出し方式CCD撮像素子」”には、3層電極3相駆動を垂直転送部に採用したものが提案されている。
【0011】
また“1995年テレビジョン学会年次大会講演予稿集P93〜94;「1/3インチ33万正方画素プログレッシブ・スキャンCCD撮像素子」”には、3層電極4相駆動を垂直転送部に採用したものが提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記2つの文献に記載されているPS−CCDも含めて、従来のIT−CCDは、複数ある垂直転送電極の全てを多結晶シリコン薄膜(Poly−Si)で形成するとともに、隣接するフォトセルの間で、転送電極の全部もしくは一部を多層に重ねて配線している。
【0013】
このため、異層間の転送電極同士のオーバーラップ面積が広いために互いの電極間のカップリング容量が大きくなる。そのため、垂直転送CCD部での消費電力が大きいという問題がある。
【0014】
また、電極が積層された構造なので、電極による段差が大きくなっている。段差が大きいと、ユニットセルのアスペクト比(水平方向と垂直方向との比)が大きくなりレンズのF値を小さくしたときの感度UP率の低下が大きくなるため、ユニットセルの微細化が困難である。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、垂直転送CCD部での消費電力を小さくすることができる固体撮像装置を提供することを目的とする。また本発明は、ユニットセルの微細化を可能とする固体撮像装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係るインタライン転送型の固体撮像装置においては、複数の垂直転送電極のうちの少なくとも1つを光透過性の垂直転送電極として、感光部上に配設した。
【0017】
なお、光透過性の垂直転送電極は、全体が光透過性を有している必要はなく、少なくとも感光部上における部分が、たとえばITOを代表とするIn2O3系、またはZnO系などの透明導電材料薄膜、多結晶シリコンを光透過性を有するように薄膜化したもの、あるいはそれらを積層して一体的な電極として機能させたものなど、光透過性の電極部材で形成されていればよい。
【0018】
なお、垂直転送電極のうちの2つ以上を感光部上に配設する場合には、それぞれを所定の空隙(絶縁のためであるのはいうまでもない)を隔てて平面状に配設する。すなわち、感光部上に製膜される全電極は、単層構造にする。
【0019】
また、光透過性の垂直転送電極は、感光部上における一部に、光に対して遮蔽しないようにする。すなわち、光が直接に感光部に入射するようにする開口窓が設けられたものであるとよい。また、光透過性の垂直転送電極は、感光部上の膜厚が、垂直CCD部上の膜厚よりも薄膜化されているとよい。あるいは、感光部の水平方向側の両辺縁近傍に位置し垂直方向に延在する部分の膜厚が、感光部の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分以外の膜厚よりも薄膜化されているとよい。あるいは、感光部の辺縁近傍に位置する部分の膜厚が、感光部の辺縁近傍以外の膜厚よりも薄膜化されているとよい。
【0020】
また本発明に係るインタライン転送型の固体撮像装置においては、感光部以外の略全体を光に対して遮蔽し、且つ感光部上の所定範囲に対しては光に対して遮蔽しないようにする、すなわち光が直接に感光部に入射するようにする開口部が形成された遮光膜を光透過性垂直転送電極上に製膜する。そして、この遮光膜に対しては、感光部の水平方向側の両辺縁上を覆い垂直方向に延在する部分に、前記光透過性垂直転送電極側に突き出た突出部を形成するのがよい。
【0021】
あるいは、感光部以外の略全体を光に対して遮蔽し、且つ感光部上の所定範囲に対しては光が直接に感光部に入射するようにする開口部が形成された遮光膜を光透過性垂直転送電極上に成膜するとよい。そして、遮光膜は、感光部の辺縁上を覆う部分に、光透過性垂直転送電極側に突き出た突出部が形成されているものとするとよい。
【0022】
【作用】
上記構成の固体撮像装置によれば、感光部を横切るように光透過性の垂直転送電極を単層構造で配線したことにより、感光部に入射する光を極力妨げないようにしつつ、垂直転送電極の重なり(オーバーラップ)を無くしてカップリング容量を小さくすることができる。
【0023】
またオーバーラップのない単層構造としたことで、電極による段差を少なくすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る固体撮像装置の一実施形態を示す概略構成図である。固体撮像装置10は、画素に対応してフォトダイオードからなる感光部(受光部;フォトセル)11が多数、垂直(行)方向および水平(列)方向において2次元マトリクス状に配列されて、撮像部を構成している。これら感光部11は、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。
【0026】
また、感光部11の垂直列ごとにそれぞれ4相駆動に対応する複数本(本例では1ユニットセル当たり4本)の垂直転送電極V1〜V4を有したVレジスタ(垂直CCD、垂直転送部)BCが配列されている。この垂直転送電極V1〜V4は、光透過性の電極部材で形成されるとともに、感光部11の上層側において水平方向に横切るように配線されている。
【0027】
なお、この例では電極全体が光透過性を有するようにされているが、これに限らず、少なくとも感光部11上における部分が光透過性を有するようにされていればよい。
【0028】
各垂直転送電極V1〜V4は、転送方向の繰返し単位を感光部11の1画素(すなわちユニットセル)ごととしている。転送方向は図1中縦方向であり、この方向にVレジスタBCが設けられている。
【0029】
さらに、これらVレジスタBCと各感光部11との間には読出ゲート部ROGが介在している。また各ユニットセルの境界部分にはチャネルストップCSが設けられている。
【0030】
さらに、複数本のVレジスタBCの各転送先側端部すなわち、最後の行のVレジスタBCに隣接して、図の左右方向に延在するHレジスタ(水平CCD、水平転送部)が1ライン分設けられている。Hレジスタの転送先側端部(図の左側)には、たとえばフローティングディフュージョンアンプ構成の電荷検出部19が設けられている。この電荷検出部19は、Hレジスタから順に注入される信号電荷を信号電圧に変換して出力する。
【0031】
感光部11の各々に蓄積された信号電荷は、タイミングジェネレータTGから発せられた読出パルスXSGが読出ゲート部ROGのゲート電極に印加され、そのゲート電極下のポテンシャルが深くなることにより、当該読出ゲート部ROGを通してVレジスタBCに読み出される。
【0032】
VレジスタBCは、たとえば垂直転送電極V1〜V4に対応するそれぞれ位相の異なる4相の垂直転送パルスφV1〜φV4によって全画素読出し方式(ノンインターレース方式)にて転送駆動される。そして、各感光部11から読み出された信号電荷は、水平ブランキング期間の一部にて1走査線(1ライン)に相当する部分ずつ順に垂直方向に転送してHレジスタに送られる。なお、4相に限らず3相で駆動する構成としてもよい。
【0033】
Hレジスタは、タイミングジェネレータTGから発せられた2相の水平転送パルスφH1,φH2に基づいて、複数本のVレジスタBCの各々から垂直転送された1ラインに相当する信号電荷を順次電荷検出部19側に水平転送する。
【0034】
電荷検出部19は、Hレジスタから順に注入される信号電荷を図示しないフローティングディフュージョンに蓄積し、この蓄積した信号電荷を信号電圧に変換して、たとえば図示しないソースフォロア構成の出力回路を介してCCD出力信号として出力する。
【0035】
図2は、図1に示した固体撮像装置10におけるユニットセルの詳細を示した図である。ここで図2(A)はユニットセルの平面構造を示し、図2(B)はVレジスタBC用の電極構造を平面パターンにて示し、図2(C)は図2(A)におけるA−A’線断面図(拡大視)を示す。以下この図2に示した垂直転送電極の形態を第1実施形態とする。
【0036】
図示するように、ユニットセルは、その断面図(A−A’部)を図2(C)に示すように、たとえばシリコンからなる半導体基板NSUBの表面にPWell−#1が形成され、このPWell−#1上にて、たとえばフォトダイオードからなる感光部(Sensor)11、読出ゲート部ROG、VレジスタBCとPWell−#2、およびチャネルストップCSがこの順に水平方向(図の左方向)に形成されており、下地の構造はIT−CCDのそれと同じである。
【0037】
一方、これらのさらに上層部には、図示しないゲート絶縁膜を介してVレジスタBC用の垂直転送電極V1〜V4が形成(配線)され、さらにその上には、感光部11上にセンサー開口部(以下単に開口部という)14を形成するように、図示しない層間絶縁膜を介して遮光膜13が形成されている。各垂直転送電極V1〜V4には、それぞれ位相の異なる4相の駆動パルスが供給されて全画素読出し方式のCCDイメージセンサとして機能するようになっている。
【0038】
なお固体撮像装置10の略全体を覆うように製膜された遮光膜13は、図中太線で示した感光部11上にて、図2(A)中には図示しない開口部14が形成されており、この開口部14を介して光が感光部11側に入射するようになっている。
【0039】
このように上記実施形態の固体撮像装置10は、下地の構造は従来のIT−CCDのそれと同じであるが、上層の電極形状は感光部11上において、水平方向に延長された長方形となっている。すなわち垂直転送用の電極構造は、垂直転送電極V1〜V4といった4相分の全てが単層電極構造となっており、しかも感光部11上にまで延長された構造になっている。
【0040】
本実施形態においては、この垂直転送電極V1〜V4を、光を透過する膜により形成する。光を透過する膜としては、通常の転送電極の材料である多結晶シリコンを光を透過する程度の膜厚(たとえば100nm以下)に薄膜化したもの、あるいはたとえばITO(Indium Tin Oxide)などのIn2O3系、またはZnO系のような透明導電性の電極部材からなる膜を用いることができる。また、垂直転送電極V1〜V4を、薄膜化した多結晶シリコン膜とITOやZnO系などの透明導電材料薄膜との積層構造としてもよい。
【0041】
なお、垂直転送電極を多結晶シリコン膜とITOなどの透明導電材料薄膜との積層構造とした場合であっても、両者は一体となって電極として機能するので、垂直転送電極自体は単層電極構造であることに相違ない。
【0042】
本実施形態の固体撮像装置10(特に垂直転送電極の第1実施形態)によれば、4相駆動用の垂直転送電極V1〜V4を単層電極構造としたので、電極間のオーバーラップ容量を低減(略ゼロに)することができ、その結果、Vレジスタの消費電力を低減することができる。
【0043】
また、感光部11を横切る垂直転送電極V1〜V4が光透過性の膜からなるため、感光部11に入射する光を妨げず、充分な感度を得ることができる。
【0044】
さらに、垂直転送電極V1〜V4を単層電極構造としたことで、ユニットセルの上層部のアスペクト比を小さくでき、全画素読出しCCDのユニットセルの微細化ができる。また、絞りを開いた時の感度UP率の低下を抑制することもできる。
【0045】
また、感光部11を水平方向に横切るように垂直転送電極V1〜V4を配線することにより、これら4相の垂直転送電極V1〜V4を同一層の多結晶シリコン膜あるいはITOなどの透明導電材料により形成することができ、同一工程で4相駆動用の垂直転送電極を形成することができるので、製造工程数を削減して簡略化することができる。
【0046】
図3は、固体撮像装置10の垂直転送電極V1〜V4の第2実施形態を示す図である。ここで、図3(A)は図2(A)におけるA−A’線断面図(拡大視)を示し、図3(B)は、垂直転送電極V1〜V4を積層構造とする場合の構成例を示す。
【0047】
この第2実施形態の垂直転送電極V1〜V4は、膜厚の薄い電極部分と膜厚の厚い電極部分とから構成されている。このうち、膜厚の薄い電極部分は、感光部11上に配され、膜厚の厚い電極部分は、感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCSの上部に配される。すなわち、各垂直転送電極V1〜V4は、感光部11上の透明導電材料膜や薄い(たとえば膜厚100nm以下の)多結晶シリコン膜あるいはこれらの積層構造の膜厚が感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCS部の膜厚よりも薄膜化されている。
【0048】
また、遮光膜13の開口部14側の端縁近傍のうちの少なくとも一部には、垂直転送電極V1〜V4の膜厚の薄い電極部分と膜厚の厚い電極部分との境界部分において、基板側に突き出るように突出部16が形成されている。乱反射した光は、突出部16により遮断されるので、光がVレジスタBC側に漏れ込む虞れが極めて少なくなる。
【0049】
なお、図示した例では、感光部11上における、開口部14側の端縁のうちの少なくとも一部にて、電極部材がL字状に形成されることで突出部16が形成されている。この突出部16の形状は、この例に限らず、たとえば後述する図4に示す第3実施形態と同様に、開口部14側の端縁よりも少しVレジスタBC側(垂直方向の画素間における垂直転送電極の膜厚が感光部11上の垂直転送電極の膜厚よりも厚い場合は垂直方向の画素間側も含む)にて凸状に形成されていてもよい。
【0050】
第2実施形態の垂直転送電極V1〜V4によれば、感光部11上(詳しくは開口部14および突出部16)の膜厚を感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCS部の膜厚よりも薄膜化したので、薄膜化による電極のシート抵抗が増加するのを極力防止しつつ、感光部11に入射する光の妨げ効果を第1実施形態のものよりも少なくすることができ、これにより、第1実施形態のものよりも充分な感度を得ることができるようになる。
【0051】
また、膜厚の薄い電極部分と膜厚の厚い電極部分との境界部分のうちの少なくとも一部すなわち感光部11の周辺部分のうちの少なくとも一部において、遮光膜13に基板側に突き出るように突出部16を形成したので、光の漏れ込みを第1実施形態のものよりも抑制することができ、スミア成分の発生をより抑制することもできる。すなわちIT−CCDに対するスミアの増加を最小限に抑えることができる。
【0052】
なお、垂直転送電極V1〜V4に膜厚の薄い電極部分と膜厚の厚い電極部分とを単一の電極部材(単一膜)により形成する方法としては、たとえば、膜厚の薄い部分を含まない膜厚の厚い部分用の第1のマスクと膜厚の薄い部分も含む第2のマスクとを用意して、最初に厚い膜厚の電極部材を製膜した後、第1のマスクを用いてエッチングを行い、次に薄い膜厚の電極部材を製膜した後第2のマスクを用いてエッチングを行う様にすればよい。又、厚い膜厚の電極部材を製膜した後、第2のマスクを用いてエッチングを行い、その後続けて第1のマスクを用いて膜厚の薄い部分を所定の厚さだけエッチングする様にしてもよい。この場合はエッチングの終点検出が出来ないので、エッチングレートから算出したエッチング時間で薄い部分の膜厚を制御する様にすればよい。
【0053】
また垂直転送電極V1〜V4に膜厚の薄い電極部分と膜厚の厚い電極部分とを構成する場合、ITOなどの透明導電材料膜や薄い(たとえば膜厚100nm以下の)多結晶シリコン膜のみの単一膜構造としてもよいが、図3(B)の各図(B1)〜(B5)に示すように、それらを任意に組み合わせた積層構造としてもよい。
【0054】
たとえば図3(B1)に示す構成例では、透明導電材料薄膜(ITO,ZnOなど)を水平方向(図の左右方向)全体に形成し、その上における感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCSの上部の領域(所用部分)に多結晶シリコン膜を形成している。この構成例では、透明導電材料薄膜を製膜した後に多結晶シリコン膜を全面に製膜し、その後所定のマスクを用いて下地の透明導電材料薄膜をエッチングストッパーとして所用部分のみを除去すればよいので、電極形成が容易である。
【0055】
また図3(B1)に示す構成例で、下地の透明導電材料薄膜が多結晶シリコン膜のエッチングストッパーにならないときは図3(B2)に示したように少なくとも感光部11の領域に薄く多結晶シリコン薄膜を残すようにしてもよい。
【0056】
この構成例によれば、感光部11を透明導電材料薄膜と多結晶シリコン膜の2層電極構造とした分だけ感光部11に入射する光の妨げ効果が単一膜構造のものよりも大きくなり感度の点では不利になる。しかし、多結晶シリコン薄膜の方が透明導電材料薄膜よりも微細加工が簡単なので、垂直転送電極V1〜V4に膜厚の薄い電極部分と膜厚の厚い電極部分とを単一の電極部材(単一膜)により形成する必要はあるものの、垂直転送電極V1〜V4に膜厚の薄い電極部分と膜厚の厚い電極部分とを単一の透明導電材料薄膜により形成するときよりも電極形成が容易である。
【0057】
また図3(B3)に示す構成例では、薄い多結晶シリコン膜を水平方向(図の左右方向)全体に製膜し、その上に透明導電材料薄膜を、感光部11上の膜厚が感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCS部の膜厚よりも薄膜化するように形成している。この構成例は、多結晶シリコン膜と膜厚が前述のように部分的に異なる透明導電材料薄膜の2層構造となっている。
【0058】
この構成例によれば、感光部11を透明導電材料薄膜と多結晶シリコン膜の2層電極構造とした分だけ感光部11に入射する光の妨げ効果が単一膜構造のものよりも大きくなり感度の点では不利になる。しかし、VレジスタBCの電極を構成する2層構造の導電性膜のうち1番下側の層を多結晶シリコン膜とすることで、VレジスタBCを構成するMOSキャパシタのVthを従来の多結晶シリコンのVthと同じにできるとともに、導電性膜を多結晶シリコン膜から透明導電材料薄膜にしたことによるMOSキャパシタの表面準位などの増加を抑えることができ、ひいてはVレジスタBCの暗電流の増加を抑えることができる。
【0059】
また図3(B4)に示す構成例では、膜厚が前述のように部分的に異なる透明導電材料膜に対して、膜厚が厚い方である感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCSの領域についてのみ、2層構造とし、2層構造のうち1番下側の層を多結晶シリコン膜としている。
【0060】
この構成例によれば、感光部11側は単一膜構造にすることで感光部11に入射する光の妨げ効果を抑え充分な感度を得ることができるとともに、膜厚が厚い方である感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCSの領域についてのみ、2層構造とし、2層構造のうち1番下側の層を多結晶シリコン膜とした。これにより、VレジスタBCを構成するMOSキャパシタのVthを従来の多結晶シリコンのVthと同じにできるとともに、導電性膜を多結晶シリコン膜から透明導電材料膜にしたことによるMOSキャパシタの表面準位などの増加を抑えることができ、ひいてはVレジスタBCの暗電流の増加を抑えることができる。
【0061】
また図3(B5)に示す構成例では、感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCSの領域についてのみ多結晶シリコン膜を形成し、その上に膜厚の薄くてかつ均一な透明導電材料膜を水平方向(図の左右方向)全体に形成している。
【0062】
したがって、この構成例は図3(B4)に示す構成例のものと略同様の効果を享受することができる一方、透明導電材料薄膜に膜厚の薄い電極部分と膜厚の厚い電極部分とを形成する必要がないので、図3(B4)に示す構成例のものと比較して電極形成が容易である。
【0063】
図4は、固体撮像装置10の垂直転送電極V1〜V4の第3実施形態を示す図である。ここで、図4(A)は図2(A)におけるA−A’線断面図(拡大視)を示し、図4(B)は、垂直転送電極V1〜V4を積層構造とする場合の構成例を示す。また、図5(A)および図5(B)は、固体撮像装置10の垂直転送電極V1〜V4のうち、他の部分よりも薄膜化されている領域の一例を示すユニットセルの平面図である。
【0064】
この第3実施形態の垂直転送電極V1〜V4は、たとえば図5(A)に示す構成例では、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分の膜厚が、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分以外の膜厚よりも薄膜化されている。つまり、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分の一定範囲(所定部分)のみが局部的に薄膜化されている。あるいは、図5(B)に示す構成例では、感光部11とこの感光部11を除く部分との境界近傍、すなわち感光部11の周辺部分の膜厚のみが、他の部分の膜厚よりも薄膜化されている。つまり、感光部11上におけるその周辺部分の一定範囲(所定部分)のみが局部的に薄膜化されている。
【0065】
また、図5(A)に示す構成例では、遮光膜13の感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分には、垂直転送電極V1〜V4の膜厚の薄い部分に対応して、基板側に突き出るように突出部17が形成されている。あるいは図5(B)に示す構成例では、開口部14側の端縁近傍には、垂直転送電極V1〜V4の膜厚の薄い部分に対応して、基板側に突き出るように突出部17が形成されている。第2実施形態と同様に、乱反射した光は、突出部17により遮断されるので、光がVレジスタBC側に漏れ込む虞れが極めて少なくなる。
【0066】
なお図示した例では、感光部11上における、開口部14側の端縁よりも少しVレジスタBC側(垂直方向では画素間側)にて、突出部17が凸状に形成されている。この突出部17の形状は、この例に限らず、たとえば図3に示した第2実施形態と同様に、開口部14側の端縁のうちの少なくとも一部にて、電極部材がL字状に形成されることで形成されていてもよい。
【0067】
第3実施形態の垂直転送電極V1〜V4によれば、図5(A)に示す構成例では、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分の一定範囲すなわち突出部17に対応する部分のみの膜厚をそれ以外の膜厚よりも薄膜化したので、あるいは、図5(B)に示す構成例では、感光部11の周辺部分の一定範囲すなわち突出部17に対応する部分のみの膜厚をそれ以外の膜厚よりも薄膜化したので、感光部11に入射する光の妨げ効果が第2実施形態のものよりも大きくなり感度の点で不利になるが、薄膜化による電極のシート抵抗が増加するのを、第2実施形態よりもより良好に防止することができる。このため、第2実施形態のものよりも、高速転送が可能となる。
【0068】
また、図5(A)に示す構成例では、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分の一定範囲において遮光膜13に突出部17を形成したので、あるいは、図5(B)に示す構成例では感光部11の周辺部分において遮光膜13に突出部17を形成したので、光の漏れ込みを第1実施形態のものよりも抑制することができ、第2実施形態と同様に、スミア成分の発生をより抑制することもできる。すなわちIT−CCDに対するスミアの増加を最小限に抑えることができる。
【0069】
なお、垂直転送電極V1〜V4に局部的に膜厚の薄い電極部分を単一の電極部材(単一膜)により形成する方法としては、たとえば、膜厚の薄い部分を含まない膜厚の厚い部分用の第1のマスクと膜厚の薄い部分も含む第2のマスクとを用意して、最初に厚い膜厚の電極部材を製膜した後、第1のマスクを用いてエッチングし、次に薄い膜厚の電極部材を製膜した後第2のマスクを用いてエッチングすればよい。また、厚い膜厚の電極部材を製膜した後、第2のマスクを用いてエッチングし、その後続けて第1のマスクを用いて膜厚の薄い部分を所定の厚さだけエッチングしてもよい。この場合はエッチングの終点検出ができないので、エッチングレートから算出したエッチング時間で薄い部分の膜厚を制御するようにすればよい。
【0070】
また、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分あるいは、感光部11の周辺部分において、垂直転送電極V1〜V4に膜厚の薄い電極部分を局部的に形成する場合、透明導電材料膜や薄い(たとえば膜厚100nm以下の)多結晶シリコン膜のみの単一膜構造としてもよいが、図4(B)の各図(B1),(B2)に示すように、それらを任意に組み合わせた積層構造としてもよい。
【0071】
たとえば図4(B1)に示す構成例では、薄い多結晶シリコン膜を水平方向(図の左右方向)全体に形成し、その上に透明導電材料膜を、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分の一定範囲(所定部分)の膜厚のみがそれ以外の膜厚よりも薄膜化するように形成している。あるいは、感光部11の周辺部分の一定範囲(所定部分)の膜厚のみがそれ以外の膜厚よりも薄膜化するように形成している。この構成例は、多結晶シリコン膜と膜厚が前述のように局部的に薄膜化された透明導電材料膜の2層電極構造となっている。
【0072】
この構成例によれば、感光部11を透明導電材料薄膜と多結晶シリコン膜の2層電極構造とした分だけ感光部11に入射する光の妨げ効果が単一膜構造のものよりも大きくなり感度の点で不利になるが、VレジスタBCの電極を構成する2層構造の導電性膜のうち1番下側の層を多結晶シリコン膜とすることで、VレジスタBCを構成するMOSキャパシタのVthを従来の多結晶シリコンのVthと同じにできるとともに、導電性膜を多結晶シリコン膜から透明導電材料膜にしたことによるMOSキャパシタの表面準位などの増加を抑えることができ、ひいてはVレジスタBCの暗電流の増加を抑えることができる。また、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分の一定範囲(所定部分)のみの膜厚がそれ以外の膜厚よりも薄膜化されているか、あるいは、感光部11の周辺部分の一定範囲(所定部分)のみの膜厚がそれ以外の膜厚よりも薄膜化されているだけなので、薄膜化により電極のシート抵抗が増加する問題を低減することができ、より一層の高速転送が可能となる。
【0073】
また図4(B2)に示す構成例では、透明導電材料膜を、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分の一定範囲(所定部分)の膜厚のみをそれ以外の膜厚よりも薄膜化するように形成するか、あるいは、感光部11の周辺部分の一定範囲(所定部分)の膜厚のみをそれ以外の膜厚よりも薄膜化するように形成し、感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCSの領域についてのみ、2層構造とし、2層構造のうち1番下側の層を薄い多結晶シリコン膜としている。
【0074】
この構成例によれば、感光部11側は単一膜構造にすることで感光部11に入射する光の妨げ効果を抑え充分な感度を得ることができるとともに、感光部11を除く部分のうち少なくとも読出ゲート部ROG、VレジスタBC、およびチャネルストップCSの領域についてのみ2層構造とし、2層構造のうち1番下側の層を薄い多結晶シリコン膜としたので、VレジスタBCを構成するMOSキャパシタのVthを従来の多結晶シリコンのVthと同じに出来ると共に、導電性膜を多結晶シリコン膜から透明導電材料薄膜にした事によるMOSキャパシタの表面準位等の増加を抑える事が可能となり、ひいてはVレジスタBCの暗電流の増加を抑える事が可能となる。また、透明導電材料薄膜の、感光部11の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分の一定範囲(所定部分)のみの膜厚がそれ以外の膜厚よりも薄膜化されているか、あるいは、感光部11の周辺部分の一定範囲(所定部分)のみの膜厚がそれ以外の膜厚よりも薄膜化されているだけなので、薄膜化により電極のシート抵抗が増加する問題を低減する事が出来、より一層の高速転送が可能となる。
【0075】
図6は、図1に示した固体撮像装置10におけるユニットセルの他の詳細例を示した図である。ここで図6(A)はユニットセルの平面構造を示し、図6(B)はVレジスタBC用の電極構造を平面パターンにて示している。以下この図6に示した垂直転送電極の形態を第4実施形態とする。
【0076】
垂直転送電極V1〜V4の電極材として特に多結晶シリコン膜を用いると、青やそれよりも短波長側の透過率が低いので、青感度が低下する。そこで、この第4実施形態では、青感度を向上させるために、垂直転送電極V1〜V4の一部に開口窓18を設けた構造にしている。
【0077】
上記第1〜第3実施形態の電極構造でV1〜V4の電極材として特に多結晶シリコン膜を用いた場合は、平行配置した電極間のギャップが一応は開口窓として働くため、ある程度は青感度が向上する。しかしながらギャップ面積は少なく、青色光に対しては十分な開口率とはいえない。また、第2実施形態のように、感光部11上を薄膜化することで青感度を改善することもできるが、青色光の感度がより長波長側の他の色成分(たとえば緑や赤の成分)よりも相対的に低減することに変わりがない。
【0078】
これに対して、上記第4実施形態のように、垂直転送電極V1〜V4の一部に開口窓18を設けた構造にすれば、この開口窓18の部分では感光部11に入射する光の妨げ効果が完全になくなる、つまり青色成分も開口窓18を介して直接に感光部11に入射するようになるので、青色光の感度が上記第1〜第3実施形態の電極構造のものよりも向上する。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記の実施形態は、クレームにかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0080】
たとえば、上記各実施形態では、複数ある垂直転送電極の全てについて、感光部上に配設するとともに、少なくとも感光部上における部分を、光透過性の電極部材で形成していたが、光透過性を有するものは必ずしも全ての電極である必要はない。すなわち、複数ある垂直転送電極のうちの少なくとも1つが、感光部上に配設され、しかも少なくとも感光部上における部分が光透過性の電極部材で形成されていればよい。
【0081】
また上記各実施形態では、透明導電材料薄膜としてITOを代表とするIn2O3系、またはZnO系の透明電極部材を用いていたが、透明導電材料薄膜は、必ずしもこれらには限らない。たとえば可視光検出用の固体撮像装置であれば、SnO2系やCd2SnO4などの可視光の光透過率が比較的高い(85〜90%程度以上)透明導電材料薄膜を用いるとよい。
【0082】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るインタライン転送型の固体撮像装置によれば、感光部を横切るように光透過性の垂直転送電極を単層構造で配線したので、感光部に入射する光を妨げないようにしつつ、垂直転送電極のオーバーラップを無くすことで、カップリング容量を小さくすることができる。これにより、垂直転送CCD部での消費電力を小さくすることができる。
【0083】
またオーバーラップを無くす単層構造としたことで、電極による段差を少なくすることができ、これによりレンズのF値を小さくしたときの感度UP率の低下を小さくすることができる。換言すれば、感度低下を防止しつつ、ユニットセルを微細化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体撮像装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した固体撮像装置におけるユニットセルの詳細を示した図である。
【図3】固体撮像装置の垂直転送電極の第2実施形態を示す図である。
【図4】固体撮像装置の垂直転送電極の第3実施形態を示す図である。
【図5】固体撮像装置の垂直転送電極V1〜V4のうち、他の部分よりも薄膜化されている領域の一例を示すユニットセルの平面図である。
【図6】図1に示した固体撮像装置におけるユニットセルの他の詳細例を示した図である。
【符号の説明】
10…固体撮像装置、11…感光部、13…遮光膜、14…開口部、16,17…突出部、18…開口窓、19…電荷検出部、ROG…読出ゲート部、BC…Vレジスタ(垂直転送CCD)、CS…チャネルストップ、V1〜V4…垂直転送電極、φV1〜φV4…垂直転送パルス
Claims (2)
- 感光部が2次元マトリクス状に多数配列され、各感光部の垂直列ごとにそれぞれ複数の垂直転送電極を有した垂直CCD部が配列されてなるIT方式もしくはFIT方式の電荷転送型の固体撮像装置であって、
前記複数の垂直転送電極のうちの少なくとも1つは、前記感光部上に配設され且つ少なくとも当該感光部上における部分が光透過性の電極部材で形成された光透過性垂直転送電極であり、
当該光透過性垂直転送電極と前記感光部の上には前記感光部上に開口部を形成するように遮光膜が形成されており、
且つ、当該遮光膜の前記感光部の水平方向の両辺縁近傍を含み垂直方向に延在する部分には、前記光透過性垂直転送電極を薄膜化する突出部が形成されている
ことを特徴とする固体撮像装置。 - 感光部が2次元マトリクス状に多数配列され、各感光部の垂直列ごとにそれぞれ複数の垂直転送電極を有した垂直CCD部が配列されてなるIT方式もしくはFIT方式の電荷転送型の固体撮像装置であって、
前記複数の垂直転送電極のうちの少なくとも1つは、前記感光部上に配設され且つ少なくとも当該感光部上における部分が光透過性の電極部材で形成された光透過性垂直転送電極であり、
当該光透過性垂直転送電極と前記感光部の上には、前記感光部上に開口部を形成するように遮光膜が形成されており、
且つ、当該遮光膜の前記感光部の周辺部には、前記光透過性垂直転送電極を薄膜化する突出部が形成されている
ことを特徴とする固体撮像装置。
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