JP3692920B2 - 部品選別方法、部品選別治具及び部品選別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、部品選別方法、部品選別治具、部品選別装置、及び素子(部品)を選別する工程を経て製造されるセラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品の製造工程には、チップ状の未焼成の素子を多数個同時に焼成する工程(焼成工程)や、焼成後の多数個のチップ状の素子に導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより外部電極を形成する工程(焼付け工程)などが含まれている。
【0003】
そして、上記のような焼成工程や焼付け工程では、熱処理さや上に載せられた多数の素子が互いに接触した状態で熱処理されると、熱処理工程で素子どうしが互いに付着(融着など)してしまう場合がある。
なお、図3は、素子1の両端部に外部電極2が配設されたセラミック電子部品(以下、単に「部品」ともいう)3を示す図、図4(a)は、素子1の両端部に配設された外部電極2の端面側部分どうしが付着した縦方向付着部品3aを示す図、図4(b)は、外部電極2の側面側部分どうしが付着した横方向付着部品3bを示す図である。
なお、外部電極が形成された後のセラミック電子部品に限らず、外部電極を形成する前の素子の段階でも、焼成工程において同様の付着が生じる場合がある。
【0004】
そして、上述のような部品どうしの付着が生じた場合、従来は、手作業により、あるいはふるいを用いて、互いに付着した部品を選別し、個々の部品に分離したり、不良品として除去したりしている。
しかしながら、手作業による方法では、例えば、図4(a),(b)に示すように、異なる状態で付着した、形状及び寸法の異なる付着部品と付着の生じていない個々の部品(図3)をそれぞれに分離することは容易ではなく、効率が悪い。
【0005】
また、ふるいを用いる方法の場合には、付着の状態により、大きさや形状の異なる複数種類の部品をそれぞれに分離することが困難であり、また、例えば、図4(a)に示すように、縦方向付着部品3aの場合には、その姿勢によっては、付着していない部品3とともにふるいを通過してしまうことになり、付着していない部品と付着した部品を確実に分離することができないという問題点がある。図4(b)の付着態様のものも、その形状によっては同様のことが起こり得る。
【0006】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、互いに付着した部品と付着していない部品を確実に分離することが可能な部品選別方法、部品選別治具及び部品選別装置、さらには、該部品選別装置を用いて付着の生じていない部品を選別する工程を含むセラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明(請求項1)の部品選別方法は、
被選別物である部品が所定の姿勢で通過する、所定の大きさの貫通孔が設けられた上側プレートと、前記上側プレートの貫通孔を通過した部品がその姿勢にかかわらず通過する貫通孔が設けられた下側プレートを、部品の長さより大きい間隔をおいて互いに対向するように、かつ、各プレートに設けられた貫通孔の中心位置をずらせて上下に配置してなる部品選別用治具の、前記上側プレート上に部品を供給するとともに、前記部品選別用治具に、振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つを加えることにより、所定の寸法条件を備えた部品を、前記上側プレート及び下側プレートの貫通孔を通過させて選別することを特徴としている。
【0008】
所定の大きさの貫通孔が設けられた上側プレートと、上側プレートの貫通孔を通過した部品がその姿勢にかかわらず通過する貫通孔が設けられた下側プレートを、部品の長さより大きい間隔をおいて互いに対向するように、かつ、各プレートに設けられた貫通孔の中心位置をずらせて上下に配置してなる部品選別用治具の、上側プレート上に部品を供給するとともに、振動、傾斜、揺動のうちの少なくとも1つを加えることにより、寸法上の所定の条件を備えた部品を、上側プレート及び下側プレートの貫通孔を通過させて、他の部品から確実に分離することが可能になる。
なお、本願発明において、部品とは、電子部品(例えば積層セラミックコンデンサ)のような完成品に限らず、その製造過程で形成される素子などの中間品を含むとともに、電子部品以外の他の部品をも含む広い概念である。
【0009】
また、請求項2の部品選別方法は、
前記部品が、幅方向寸法(幅)W、厚み方向寸法(厚み)T、長手方向寸法(長さ)L(ただし、L>W,L>T)の寸法を有する略直方体形状の部品であって、
前記上側プレートの貫通孔は、部品の長手方向(L方向)が貫通孔の軸方向に略平行な姿勢である場合にのみ部品を通過させるような形状及び寸法を有し、
前記下側プレートの貫通孔は、部品の姿勢にかかわらず、1個の部品を通過させるような形状及び寸法を有しており、
上側プレートと下側プレートの間隔Gは、部品の長さLより大きく、部品の長さLの2倍より小さく、かつ、
部品が上側プレートの貫通孔を通過した後、そのままの姿勢で下側プレートの貫通孔を通過することがなく、前記振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つが加えられ、部品に位置又は姿勢の変化が生じることにより、下側プレートの貫通孔を通過するように、上側プレートと下側プレートの貫通孔の中心位置をずらせたことを特徴としている。
【0010】
上側プレートの貫通孔を、部品の長手方向(L方向)が貫通孔の軸方向に略平行な姿勢である場合にのみ部品が通過するような形状及び寸法を有する貫通孔とし、下側プレートの貫通孔を、部品の姿勢にかかわらず、1個の部品が通過するような形状及び寸法を有する貫通孔とし、上側プレートと下側プレートの間隔Gを、部品の長さLより大きく、部品の長さLの2倍より小さくし、かつ、上側プレートの貫通孔を通過した後、部品がそのままの姿勢で下側プレートの貫通孔を通過することがなく、振動、傾斜、及び揺動のいずれかが加えられて、部品に位置又は姿勢の変化が生じることにより、下側プレートの貫通孔を通過するように、上側プレートと下側プレートの貫通孔の中心位置をずらせるように構成した場合、部品どうしの付着の態様にかかわらず、付着の生じていない部品のみを確実に選別することが可能になる。
【0011】
なお、具体的には、上側プレートの貫通孔が以下の要件を満たすような構成とすることが望ましい。
▲1▼上側プレートの貫通孔が矩形である場合
部品が、幅W、厚みT、長さL(ただし、L>W,L>T,T>W)の寸法を有する略直方体形状の部品であって、上側プレートの矩形貫通孔の一辺(部品のWT面の一方の辺の長さをA、辺Aと直交する辺の長さをBとした場合、辺A,Bがそれぞれ、以下の範囲にあることが望ましい。
1.05W≦A≦1.5W
1.05T≦B≦1.5T
▲2▼上側プレートの貫通孔が円形である場合
部品が、幅W、厚みT、長さL(ただし、L>W,L>T,T>W)の寸法を有し、かつ、部品のWT面の対角寸法がDであるような略直方体形状の部品であり、かつ、上側プレートの円形貫通孔の直径をXとした場合に、直径Xが以下の範囲にあることが望ましい。
1.05D≦X≦1.8D
【0012】
また、請求項3の部品選別方法は、前記上側プレートと前記下側プレートの間隔Gが、部品の最大対角寸法DMAXより大きいことを特徴としている。
【0013】
上側プレートと下側プレートの間隔Gを、部品の最大対角寸法DMAXより大きくした場合、上側プレートの貫通孔を通過した部品が傾いた姿勢をとった場合にも、部品が上側プレートと下側プレートの隙間を移動して、下側プレートの貫通孔にまで達し、該貫通孔を通過することを確実に可能ならしめることができるようになり、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
【0014】
また、本願発明(請求項4)の部品選別用治具は、
幅方向寸法(幅)W、厚み方向寸法(厚み)T、長手方向寸法(長さ)L(ただし、L>W,L>T)の寸法を有する略直方体形状の部品を選別するために用いられる部品選別用治具であって、
部品の長手方向(L方向)が貫通孔の軸方向に略平行である場合にのみ部品を通過させるような形状及び寸法の貫通孔が設けられた上側プレートと、上側プレートの貫通孔を通過した部品がその姿勢にかかわらず通過するような形状及び寸法の貫通孔が設けられた下側プレートが、部品の長さLより大きくて、部品の長さLの2倍より小さい間隔Gをおいて互いに対向するように、かつ、各プレートに設けられた貫通孔の中心位置をずらせて上下に配置されていること
を特徴としている。
【0015】
本願発明(請求項4)の部品選別用治具は、部品の長手方向(L方向)が貫通孔の軸方向に略平行である場合にのみ部品を通過させるような形状及び寸法の貫通孔が設けられた上側プレートと、上側プレートの貫通孔を通過した部品がその姿勢にかかわらず通過するような形状及び寸法の貫通孔が設けられた下側プレートを、部品の長さLより大きくて、部品の長さLの2倍より小さい間隔Gをおいて互いに対向するように、かつ、各プレートに設けられた貫通孔の中心位置をずらせて上下に配置するようにしているので、この部品選別用治具を用いることにより、本願発明の部品選別方法を確実に実施して、寸法上の所定の条件を備えた部品を、他の部品から確実に分離することができるようになる。
【0016】
また、本願発明(請求項5)の部品選別装置は、
請求項4の部品選別用治具と、
前記部品選別用治具上に供給される部品が収容されるホッパーと、
前記部品選別用治具に対して振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つを加えるための駆動手段と、
前記部品選別用治具を構成する上側プレート及び下側プレートの貫通孔を通過することにより選別された部品を受ける受器と
を具備することを特徴としている。
【0017】
本願発明(請求項5)の部品選別装置は、上述のように、請求項4の部品選別用治具と、部品選別用治具上に供給されるべき部品が収容されるホッパーと、部品選別用治具に対して振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つ加えるための駆動手段と、選別された部品を受ける受器とを備えているので、この部品選別装置を用いることにより、本願発明の部品選別方法を確実に実施して、寸法上の所定の条件を備えた部品を、他の部品から確実に分離することができるようになる。
【0018】
また、本願発明(請求項6)のセラミック電子部品の製造方法は、
素子を熱処理する工程を経て製造されるセラミック電子部品の製造方法であって、
熱処理工程において互いに付着した素子を含む素子群から、請求項1〜3のいずれかに記載の部品選別方法を用いて、付着の生じていない個々の素子を選別する工程
を具備することを特徴としている。
【0019】
本願発明の部品選別方法を用いることにより、熱処理後の互いに付着した素子を含む素子群から、付着の生じていない素子を確実に選別することが可能になり、効率よくセラミック電子部品を製造することが可能になる。
なお、「熱処理後の互いに付着した素子を含む素子群」とは、セラミックを焼結させるための熱処理工程を経た後の、互いに付着した素子や付着の生じていない素子を含む素子群や、外部電極形成用の導電ペーストを素子に塗布して焼き付けるための熱処理工程を経た後の、互いに付着した部品や付着の生じていない部品を含む部品群などを意味する広い概念である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、この実施形態では、積層セラミックコンデンサの製造工程で、セラミック素子に導電ペーストを塗布して焼き付けることにより外部電極を形成する際に生じた積層セラミックコンデンサ(部品)どうしが付着した付着部品と、付着の生じていない部品(良品)が混在する部品群、すなわち、図3に示すように、素子1の両端部に外部電極2が配設された構造を有する、付着の生じていない積層セラミックコンデンサ(部品)3、図4(a)に示すように、素子1の両端部に配設された外部電極2の端面側部分どうしが付着した状態の部品(縦方向付着部品)3a、図4(b)に示すように、外部電極2の側面側部分どうしが付着した部品(横方向付着部品)3bが混在している部品群から、付着の生じていない部品(良品)を分離する(選別する)場合を例にとって説明する。
【0021】
なお、この実施形態において、選別の対象とした積層セラミックコンデンサ(部品)3の各部の寸法は、下記の通りである(図3参照)。
▲1▼幅W :1mm
▲2▼厚みT :1mm
▲3▼長さL :2mm
▲4▼底面(LW面)対角寸法D1 :1.41mm
▲5▼立方対角寸法(最大対角寸法)DMAX:2.45mm
【0022】
図1は本願発明の一実施形態にかかる部品選別装置の要部を示す図、図2は該部品選別装置を用いて部品の選別を行っている状態を示す図であって、(a)は、要部(上側プレートの貫通孔)を示す平面図、(b)は部品選別用治具の要部を示す断面図である。
【0023】
この部品選別装置は、図1に示すように、部品選別用治具Aと、部品選別用治具A上に供給されて、選別されるべき部品が収容されるホッパーBと、部品選別用治具Aに対して振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つを加えるための駆動手段(この実施形態では、部品選別用治具Aに対して振動を与えるための加振手段)Cと、選別された部品を受ける受器Drとを備えている。なお、受器Dr下部には、選別された部品の排出口Dr1が配設されており、部品を容器Eに収容して搬送することができるように構成されている。
【0024】
また、部品選別用治具Aは、図1及び2に示すように、所定の寸法の部品3が所定の姿勢で通過する、所定の形状及び寸法の複数個の貫通孔(平面形状が円形の貫通孔)11が形成された上側プレート12と、上側プレート12に形成された貫通孔11とは大きさの異なる貫通孔(平面形状が円形の貫通孔)21が設けられた下側プレート22と、上側プレート12と下側プレート22の間に所定の間隔Gを確保するためのスペーサ23(図1)とを備えている。
【0025】
なお、上側プレート及び下側プレートの寸法条件は、以下の通りである(図2参照)。
▲1▼上側プレートの厚みt1 :1mm
▲2▼上側プレートの貫通孔直径X1 :1.5mm
▲3▼下側プレートの厚みt2 :1mm
▲4▼下側プレートの貫通孔直径X2 :2.5mm
▲5▼上側プレートと下側プレートの間隔G:2.2mm
【0026】
なお、上側プレート12の貫通孔11の直径X1は、部品3が縦方向でしか通過することのできない値1.5mmとされている。また、図2(b)は、図2(a)に示す切断線CL(貫通孔11の中心をずれた位置であって、XSが1.12mmとなるような線)に沿って上側プレート12及び下側プレート22を切断した状態を示す断面図である。
【0027】
また、上側プレート12と下側プレート22の間隔Gは、部品3の長さLより大きくて、部品3の長さLの2倍より小さい値とされており、この実施形態では、部品の長さLの1.1倍となっている。
【0028】
また、上側プレート12と下側プレート22の貫通孔11,21の中心位置のずれ量Yは2mmであり、この値は、上側プレート12の貫通孔11の直径X1(1.5mm)と、下側プレート22の貫通孔21の直径X2(2.5mm)を考慮して、下記の式より求めた値である。
【0029】
また、上側プレート12の貫通孔11の配設ピッチP1及び下側プレート22の貫通孔21の配設ピッチP2は、いずれも4mmとなっている。
【0030】
上述のように構成された、この実施形態の部品選別装置においては、図2に示すように、部品選別用治具Aの、上側プレート12の貫通孔11の大きさが、横方向付着部品3b(図4(b))より小さいので、横方向付着部品3bは貫通孔11を通過することがなく、分離される。
【0031】
また、上側プレート12と下側プレート22の位置が、それぞれの貫通孔11,21の中心位置が上述のように、Y(2mm)だけ相対的にずらされているため、縦方向付着部品3aは、上側プレート12の貫通孔11を通過した場合にも、図2に示すように、下側プレート22の貫通孔21,21間の不貫通部に遮られるとともに、上部が上側プレート12の貫通孔11内に保持されるため、加振手段C(図1)から振動が印加されても、その状態のまま保持されることになり、下側プレート22の貫通孔21を通過することはない。
【0032】
一方、部品どうしの付着が生じていない部品3は、上側プレート12の貫通孔11を通過した後、下側プレート22の貫通孔21,21間の不貫通部に遮られることになるが、加振手段C(図1)から印加される振動により、下側プレート22上をスライドしたり、転動したりして、下側プレート22の貫通孔21を通過する。
これにより、縦方向付着部品3aや横方向付着部品3bなどが混在する部品群から、付着の生じていない部品(良品)3を確実に選別することが可能になる。
【0033】
したがって、部品(積層セラミックコンデンサ)の製造工程において、上述のようにして、部品の選別を行うことにより、不良品(部品どうしが付着した付着部品)を含まない良品を、効率よくしかも確実に得ることが可能になる。
【0034】
なお、上記実施形態では、上側プレート12及び下側プレート22の貫通孔が円穴である場合を例にとって説明したが、角穴とすることも可能である。
また、上記実施形態では、上側プレート12と下側プレート22の間隔Gを、部品の長さLの1.1倍(2.2mm)としているが、間隔Gを部品3の立方対角寸法(最大対角寸法)DMAX(2.45mm)より大きくすることにより、付着の生じていない部品3が、上側プレート12と下側プレート22の隙間で動くことをより容易ならしめて、選別(分離)の効率をさらに向上させることが可能になる。
【0035】
また、上記実施形態では、素子に外部電極を形成した後の積層セラミックコンデンサが部品である場合を例にとって説明したが、外部電極を形成する前の素子の段階における選別にも本願発明を適用することが可能である。
【0036】
また、本願発明は、積層セラミックコンデンサ以外の他の電子部品の選別にも適用することが可能であり、さらには電子部品以外の部品の選別にも広く適用することが可能である。
【0037】
また、上記実施形態では、加振手段により振動を加えるようにした場合を例にとって説明したが、加振手段の代わりに、部品選別用治具を傾斜させるように構成したり、あるいは揺動させるように構成したりすることも可能である。また、振動、傾斜、揺動のうちの2つ以上を組み合わせて与えるように構成することも可能である。
【0038】
本願発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、上側プレート及び下側プレートに配設される貫通孔の形状や配設ピッチ、上側プレート及び下側プレートの間隔、部品の具体的な形状、部品選別装置を構成するホッパーや受器の構造などに関しても、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0039】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)の部品選別方法は、所定の大きさの貫通孔が設けられた上側プレートと、上側プレートの貫通孔を通過した部品がその姿勢にかかわらず通過する貫通孔が設けられた下側プレートを、部品の長さより大きい間隔をおいて互いに対向するように、かつ、各プレートに設けられた貫通孔の中心位置をずらせて上下に配置してなる部品選別用治具の、上側プレート上に部品を供給するとともに、振動、傾斜、揺動のうちの少なくとも1つを加えるようにしているので、寸法上の所定の条件を備えた部品を、上側プレート及び下側プレートの貫通孔を通過させて、他の部品から確実に分離することが可能になる。
【0040】
また、請求項2の部品選別方法のように、上側プレートの貫通孔を、部品の長手方向(L方向)が貫通孔の軸方向に略平行な姿勢である場合にのみ部品が通過するような形状及び寸法を有する貫通孔とし、下側プレートの貫通孔を、部品の姿勢にかかわらず1個の部品が通過するような形状及び寸法を有する貫通孔とし、上側プレートと下側プレートの間隔Gを、部品の長さLより大きく、部品の長さLの2倍より小さくし、かつ、上側プレートの貫通孔を通過した後、部品がそのままの姿勢で下側プレートの貫通孔を通過することがなく、振動、傾斜、及び揺動のいずれかが加えられて、部品に位置又は姿勢の変化が生じることにより、下側プレートの貫通孔を通過するように、上側プレートと下側プレートの貫通孔の中心位置をずらせるように構成した場合、部品どうしの付着の態様にかかわらず、付着の生じていない部品のみを確実に選別することができるようになる。
【0041】
また、請求項3の部品選別方法のように、上側プレートと下側プレートの間隔Gを、部品の最大対角寸法DMAXより大きくした場合、上側プレートの貫通孔を通過した部品が傾いた姿勢をとった場合にも、部品が上側プレートと下側プレートとの隙間を移動して、下側プレートの貫通孔にまで達し、該貫通孔を通過することをより確実に可能ならしめることができる。
【0042】
また、本願発明(請求項4)の部品選別用治具は、部品の長手方向(L方向)が貫通孔の軸方向に略平行である場合にのみ部品を通過させるような形状及び寸法の貫通孔が設けられた上側プレートと、上側プレートの貫通孔を通過した部品がその姿勢にかかわらず通過するような形状及び寸法の貫通孔が設けられた下側プレートを、部品の長さLより大きくて、部品の長さLの2倍より小さい間隔Gをおいて互いに対向するように、かつ、各プレートに設けられた貫通孔の中心位置をずらせて上下に配置するようにしているので、この部品選別用治具を用いることにより、本願発明の部品選別方法を確実に実施して、寸法上の所定の条件を備えた部品を、他の部品から確実に分離することができる。
【0043】
また、本願発明(請求項5)の部品選別装置は、請求項4の部品選別用治具と、部品選別用治具上に供給されるべき部品が収容されるホッパーと、部品選別用治具に対して振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つ加えるための駆動手段と、選別された部品を受ける受器とを備えているので、この部品選別装置を用いることにより、本願発明の部品選別方法を確実に実施して、寸法上の所定の条件を備えた部品を、他の部品から確実に分離することができる。
【0044】
また、本願発明(請求項6)のセラミック電子部品の製造方法は、本願発明の部品選別方法を用いて、熱処理後の互いに付着した素子を含む素子群から、付着の生じていない素子を選別するようにしているので、焼成工程で互いに付着した素子を含む素子群から、付着の生じていない素子を確実に選別することが可能になり、効率よくセラミック電子部品を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる部品選別装置の要部を示す図である。
【図2】本願発明の一実施形態にかかる部品選別装置を用いて部品の選別を行っている状態を示す図であって、(a)は要部(上側プレートの貫通孔)を示す平面図、(b)は部品選別用治具の要部を示す断面図である。
【図3】選別の対象となる部品(素子の両端部に外部電極が配設された電子部品)を示す図である。
【図4】 (a)は素子の両端部に配設された外部電極の端面側部分どうしが付着した部品(縦方向付着部品)を示す図であり、(b)は外部電極の側面側部分どうしが付着した部品(横方向付着部品)を示す図である。
【符号の説明】
1 素子
2 外部電極
3 積層セラミックコンデンサ(部品)
3a 縦方向付着部品
3b 横方向付着部品
11 上側プレートの貫通孔
12 上側プレート
21 下側プレートの貫通孔
22 下側プレート
23 スペーサ
A 部品選別用治具
B ホッパー
C 駆動手段(加振手段)
Dr 受器
Dr1 部品の排出口
E 容器
D1 底面対角寸法
DMAX 立方対角寸法(最大対角寸法)
G 上側プレートと下側プレートの間隔
L 部品の長さ
T 部品の厚み
t1 上側プレートの厚み
t2 下側プレートの厚み
W 部品の幅
X1 上側プレートの貫通孔直径
X2 下側プレートの貫通孔直径
Y 貫通孔に中心位置のずれ量
CL 切断線
P1 上側プレートの貫通孔の配設ピッチ
P2 下側プレートの貫通孔の配設ピッチ
Claims (6)
- 被選別物である部品が所定の姿勢で通過する、所定の大きさの貫通孔が設けられた上側プレートと、前記上側プレートの貫通孔を通過した部品がその姿勢にかかわらず通過する貫通孔が設けられた下側プレートを、部品の長さより大きい間隔をおいて互いに対向するように、かつ、各プレートに設けられた貫通孔の中心位置をずらせて上下に配置してなる部品選別用治具の、前記上側プレート上に部品を供給するとともに、前記部品選別用治具に、振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つを加えることにより、所定の寸法条件を備えた部品を、前記上側プレート及び下側プレートの貫通孔を通過させて選別することを特徴とする部品選別方法。
- 前記部品が、幅方向寸法(幅)W、厚み方向寸法(厚み)T、長手方向寸法(長さ)L(ただし、L>W,L>T)の寸法を有する略直方体形状の部品であって、
前記上側プレートの貫通孔は、部品の長手方向(L方向)が貫通孔の軸方向に略平行な姿勢である場合にのみ部品を通過させるような形状及び寸法を有し、
前記下側プレートの貫通孔は、部品の姿勢にかかわらず、1個の部品を通過させるような形状及び寸法を有しており、
上側プレートと下側プレートの間隔Gは、部品の長さLより大きく、部品の長さLの2倍より小さく、かつ、
部品が上側プレートの貫通孔を通過した後、そのままの姿勢で下側プレートの貫通孔を通過することがなく、前記振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つが加えられ、部品に位置又は姿勢の変化が生じることにより、下側プレートの貫通孔を通過するように、上側プレートと下側プレートの貫通孔の中心位置をずらせたこと
を特徴とする請求項1記載の部品選別方法。 - 前記上側プレートと前記下側プレートの間隔Gが、部品の最大対角寸法DMAXより大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の部品選別方法。
- 幅方向寸法(幅)W、厚み方向寸法(厚み)T、長手方向寸法(長さ)L(ただし、L>W,L>T)の寸法を有する略直方体形状の部品を選別するために用いられる部品選別用治具であって、
部品の長手方向(L方向)が貫通孔の軸方向に略平行である場合にのみ部品を通過させるような形状及び寸法の貫通孔が設けられた上側プレートと、上側プレートの貫通孔を通過した部品がその姿勢にかかわらず通過するような形状及び寸法の貫通孔が設けられた下側プレートが、部品の長さLより大きくて、部品の長さLの2倍より小さい間隔Gをおいて互いに対向するように、かつ、各プレートに設けられた貫通孔の中心位置をずらせて上下に配置されていること
を特徴とする部品選別用治具。 - 請求項4の部品選別用治具と、
前記部品選別用治具上に供給される部品が収容されるホッパーと、
前記部品選別用治具に対して振動、傾斜、及び揺動のうちの少なくとも1つを加えるための駆動手段と、
前記部品選別用治具を構成する上側プレート及び下側プレートの貫通孔を通過することにより選別された部品を受ける受器と
を具備することを特徴とする部品選別装置。 - 素子を熱処理する工程を経て製造されるセラミック電子部品の製造方法であって、
熱処理工程において互いに付着した素子を含む素子群から、請求項1〜3のいずれかに記載の部品選別方法を用いて、付着の生じていない個々の素子を選別する工程
を具備することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
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