JP3692521B2 - キャリッジおよび該キャリッジを備えた記録装置 - Google Patents

キャリッジおよび該キャリッジを備えた記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,プリンタ,ファクシミリ,複写機等の記録装置に用いられるキャリッジに関し,特に,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジに関する。
【0002】
また,本発明は,該キャリッジを備えた記録装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
プリンタ,ファクシミリ,複写機等の記録装置においては,一般に,記録品質の向上を図るために,被記録材(用紙等)の記録面と,記録ヘッドにおける被記録材に対向している面(以下「ヘッド面」という。)との間の平行度は,精度良く調整されていることが好ましい。
【0004】
また,同様に記録品質の向上を図るために,ヘッド面に設けられたドット形成素子(たとえばノズル)列(搬送方向に並んだドット形成素子列を指す。)と搬送方向との間の平行度は,精度良く調整されていることが好ましい。
【0005】
記録面とヘッド面との間の平行度は,図3に示す角度のうち,2つの角度をできるだけ零にすることにより調整される。すなわち,キャリッジに設けられた記録ヘッド2のヘッド面と被記録材22の記録面とがなす角度のうち,該キャリッジの往復動方向(主走査方向:Y軸)における第1の角度(以下「β角」ともいう。)と,ヘッド面と記録面とがなす角度のうち,被記録材の搬送方向(副走査方向:X軸)における第2の角度(以下「γ角」ともいう。)とをできるだけ零にすることにより調整される。
【0006】
また,ドット形成素子列と搬送方向との間の平行度は,図3において,ドット形成素子列と搬送方向とがなす第3の角度(図3では,ドット形成素子列に垂直な記録ヘッド前面と往復動方向とがなす角度として図示しており,以下「α角」ともいう。)をできるだけ零にすることにより調整される。
【0007】
さらに,記録品質の向上を図るためには,記録面とヘッド面との間の間隔(以下「ペーパ・ギャップ」または単に「PG」という。)が適正に保たれるように,ペーパ・ギャップが微調整可能であることが好ましい。また,厚紙や薄紙等の種々の厚さを有する被記録材に適切に記録するためには,ペーパ・ギャップが被記録材の厚さに応じて調整可能であることが好ましい。なお,以下では、ペーパ・ギャップの微調整および被記録材の厚さに応じた調整の両者をあわせて「ペーパ・ギャップの調整」といい,前者の微調整のみをいうときは「ペーパ・ギャップの微調整」といい,後者の被記録材の厚さに応じた調整のみをいうときは「ペーパ・ギャップの切り換え」という。
【0008】
A3判,A4判,B4判,B5判等の通常のサイズの被記録材に記録を行う記録装置は,記録装置に設けられたサイドフレームが,キャリッジを案内するガイド軸の両端を支持する構造となっている。そして,β角の調整は,特開平8−300769号公報に示されているように,ガイド軸のサイドフレームにおける支持位置に調整部材を設け,この調整部材によってガイド軸の支持位置を変位させることにより行われている。
【0009】
また,γ角の調整は,一般に,キャリッジの支持構造(たとえば,ガイド軸およびスライダー軸の取付位置の調整)により行われている。
【0010】
一方,α角の調整は,特開平8−258369号公報に示されているように,キャリッジと記録ヘッドとの間に介在させた適正な厚さのスペーサ,または,キャリッジ側に取り付けられた偏心カムにより行われている。
【0011】
さらに,ペーパ・ギャップの調整は,前記特開平8−300769号公報に示されているように,サイドフレームにおけるガイド軸の支持位置を変位させることにより行われている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,たとえばA2判以上のような横幅の大きな被記録材に記録を行う大型記録装置では,キャリッジを案内するガイド軸が長くなるとともに,キャリッジも大型化するので,キャリッジの重さとガイド軸自体の重さにより,ガイド軸の撓みが大きくなり,記録品質を悪化させる原因となる。したがって,この撓みを抑えるための構造として,一般に,ガイド軸の両端をサイドフレームにより支持する構造とはせずに,ガイド軸の途中部分をサイドフレームにより固定支持し,ガイド軸の両端はサイドフレームから突出した構造とすることが考えられる。
【0013】
一方,このようにガイド軸の途中部分をサイドフレームにより固定支持する構造とした場合には,前述した通常の記録装置のように,ガイド軸の両端の支持位置に調整部材を設け,この調整部材により,β角の調整およびペーパ・ギャップの調整を行うことはできず,また,キャリッジの支持構造により,γ角の調整を行うことはできない。
【0014】
また,サイドフレームにおけるガイド軸の途中部分の支持位置に調整部材を設けて調整することも考えられるが,ガイド軸の重さとキャリッジの重さにより,調整部材の強度および調整の精度が問題となる。
【0015】
さらに,従来のα角の調整は,前述した通常の記録装置のように,ガイド軸の支持位置を調整することにより,β角およびペーパ・ギャップを調整することを前提としているので,これを前提としない記録装置においては,この従来のα角の調整を利用することは難しい。
【0016】
本発明の課題は,ガイド軸の支持位置の調整によることなく,記録面とヘッド面との間の平行度を調整することができ,もって大型記録装置に用いても記録品質の悪化を防止できるキャリッジおよび該キャリッジを備えた記録装置を提供することにある。
【0017】
また,本発明の課題は,このようなキャリッジおよび記録装置において,ドット形成素子列と搬送方向との間の平行度を調整することができるようにすることにある。
【0018】
さらに,本発明の課題は,ガイド軸の支持位置の調整によることなく,ペーパ・ギャップが適正に保たれるようにペーパ・ギャップを調整することができるキャリッジ,該キャリッジのペーパ・ギャップ調整装置および該キャリッジを備えた記録装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために,本願請求項1に記載の発明に係るキャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジであって,前記記録ヘッドは,該キャリッジに対して,該記録ヘッドに設けられたドット形成素子列と前記被記録材の搬送方向とがなす第3の角度の方向に該記録ヘッドを変位させる第3の角度調整手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明によると,キャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動し,該キャリッジに備えられた記録ヘッドにより,前記被記録材の記録面に記録を行う。そして,記録ヘッドが備えた第3の角度調整手段は,該記録ヘッドを,該キャリッジに対して,該記録ヘッドに設けられたドット形成素子列と被記録材の搬送方向とがなす第3の角度(α角)の方向に変位させる。
【0021】
このように,本発明によると,第3の角度調整手段が記録ヘッドに備えられている。したがって,前述したように,キャリッジに対する記録ヘッドの位置を調整することによって,第1の角度および第2の角度の調整を行うキャリッジにおいても,第1の角度および第2の角度の調整の影響を受けることなく,第3の角度を精度良く調整し,ドット形成素子列と被記録材の搬送方向との間の平行度を調整することができる。
なお,第3の角度(α角)の方向には,プラスの角度の方向とマイナスの角度の方向との双方が含まれる。
【0022】
本願請求項2に記載の発明に係るキャリッジは,請求項1において,前記第3の角度調整手段は,前記ガイド軸とほぼ平行に配置され,かつ,前記記録ヘッドに形成された第2の穴を通って,該キャリッジに対して前記記録ヘッドを支持する支持軸と,前記第2の穴に前記支持軸を支持するとともに,支持する位置が,前記被記録材の搬送方向上下流側に調整可能となっている第2の軸受部材とを備えていることを特徴とする。
【0023】
本発明によると,ガイド軸とほぼ平行に配置された支持軸は,記録ヘッドに形成された第2の穴を通って,キャリッジに対して記録ヘッドを支持する。第2の軸受部材は,第2の穴に装着され,支持軸を支持する。第2の軸受部材が支持軸を支持する位置を,被記録材の搬送方向上下流側に調整すると,この支持軸に支持されている記録ヘッドは,もう一方の第2の穴において支持軸を支持している点を支点として,キャリッジに対してα角の方向に回転し,これにより第3の角度が調整される。
【0024】
このように,支持軸の支持する位置が搬送方向上下流側に移動することにより,第3の角度(α角)が調整されるので,他の角度(β角およびγ角)を変化させることなく,第3の角度のみを調整することができる。
【0025】
本願請求項3に記載の発明に係るキャリッジは,請求項2において,前記第2の穴は,前記記録面と直交する方向には前記支持軸と同程度の径を有し,前記搬送方向には前記支持軸の径よりも長い径を有する長穴であり,前記第2の軸受部材は,前記支持軸を,前記第2の穴の長手方向に移動させて,第3の角度を調整するものであることを特徴とする。
【0026】
本発明によると,第2の穴を搬送方向に長い長穴とし,第2の軸受部材がこの長穴の長手方向に支持軸を移動させることによって,第3の角度を調整できるので,比較的簡単な構成により第3の角度の調整を行うことができる。
【0027】
本願請求項4に記載の発明に係るキャリッジは,請求項3において,前記第2の軸受部材は,円形の外周と,この外周に対して偏心し,かつ,前記支持軸が通って該支持軸を支持する円形の第3の穴とを備え,前記記録ヘッドは,前記第2の軸受部材が回動可能に嵌まり込む第4の穴を前記第2の穴の周囲に有することを特徴とする。
【0028】
本発明によると,第2の軸受部材は,記録ヘッドの第2の穴の周囲に形成された第4の穴に嵌まり込み回動する。また,第2の軸受部材の第3の穴は,円形の外周に対して偏心した穴であり,支持軸を支持する。一方,支持軸は,記録ヘッドに形成された第2の穴にも支持される。したがって,第2の軸受部材を回動させることにより,第2の穴および偏心した第3の穴により,支持軸が支持される位置は,第2の穴の長手方向,すなわち搬送方向上下流側に変位し,これにより,第3の角度が調整される。このように,外周に対して偏心した穴を有する偏心部材という簡単な部材で,第3の角度の調整を行うことができる。
【0029】
本願請求項5に記載の発明に係るキャリッジは,請求項3において,前記第2の軸受部材は,第1の部材と第2の部材とからなり,前記第1の部材は,円形の外周と,この外周に対して偏心し,かつ,前記支持軸が通過できる円形の第5の穴とを備え,前記第2の部材は,前記第1の部材の穴に嵌まり込み,かつ,前記支持軸が通って該支持軸を支持する第3の穴を備えているものであり,前記記録ヘッドは,前記第2の穴の周囲に,前記第1の部材が回動可能に嵌まり込む第4の穴を有することを特徴とする。
【0030】
本発明によると,第2の軸受部材の第1の部材は,記録ヘッドの第2の穴の周囲に形成された第5の穴に嵌まり込み回動する。また,第2の軸受部材の第2の部材は,第1の部材の偏心した第5の穴に嵌まり込むとともに,支持軸を支持する。一方,支持軸は,記録ヘッドに形成された第2の穴にも支持される。したがって,第1の部材を回動させると,第2の穴および偏心した第5の穴により,第2の部材の位置および支持軸の支持位置は,第2の穴の長手方向,すなわち搬送方向上下流側に変位し,これにより,第3の角度が調整される。このように,外周に対して偏心して穴を有する偏心部材という簡単な部材で,第3の角度の調整を行うことができる。
【0031】
また,第2の軸受部材を,第1の部材と第2の部材とにより構成し,第1の部材の第5の穴を,支持軸が通過できる円形のものとしたので,第1の部材を取り付けた後に,支持軸をこの第1の部材の第5の穴(すなわち記録ヘッド)に通し,その後,第2の部材を取り付けることができることとなり,キャリッジの組み立てが容易となる。特に,端部よりも中央部が太くなっている支持軸を使用する場合には有効である。
【0032】
本願請求項6に記載の発明に係るキャリッジは,請求項5において,前記第1の部材は,第3のレバー状部材を備えているものであることを特徴とする。本発明によると,第3のレバー状部材により回動操作できるので,回動操作を容易に行うことができる。
【0033】
本願請求項7に記載の発明に係る記録装置は,請求項1から6のいずれか1項に記載のキャリッジを備えていることを特徴とする。
これにより,この記録装置においても,前記請求項1から6に記載の発明と同様の作用効果を達成することができ,その結果,記録品質の向上を図ることができる。特に,大型記録装置において,記録品質の向上を図ることができる。
【0034】
本願発明に関して,以下の関連発明がある。
第1の関連発明に係るキャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジであって,前記記録面に対向している前記記録ヘッドのヘッド面と前記記録面とがなす角度のうち,該キャリッジの往復動方向における第1の角度の方向に,前記記録ヘッドを該キャリッジに対して変位させる第1の角度調整手段を備えていることを特徴とする。
【0035】
本発明によると,キャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動し,該キャリッジに備えられた記録ヘッドにより,前記被記録材の記録面に記録を行う。そして,第1の角度調整手段は,記録ヘッドを,該キャリッジに対して,ヘッド面と記録面とがなす角度のうち,該キャリッジの往復動方向における第1の角度(β角)の方向に変位させる。
【0036】
これにより,ガイド軸の支持位置を調整することなく,キャリッジに対する記録ヘッドの位置を調整することにより,第1の角度を調整し,記録面とヘッド面との間の平行度を調整することができる。したがって,ガイド軸の支持位置を調整することができる記録装置においてはもちろんのこと,ガイド軸の支持位置を調整することができない記録装置においても,第1の角度を調整し,記録面とヘッド面との間の平行度を調整することができる。
【0037】
また,第1の角度調整手段を,記録ヘッドをキャリッジに対して変位させる構成としたので,第1の角度調整手段は,記録ヘッドの重さのみを支持できる強度を有すればよく,記録装置が大型化して,記録ヘッドが大型化しても,その重さによる調整精度の悪化もほとんど問題とならない。
なお,第1の角度(β角)の方向には,プラスの角度の方向とマイナスの角度の方向との双方が含まれる。
【0038】
第2の関連発明に係るキャリッジは,第1の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記第1の角度調整手段は,前記ガイド軸とほぼ平行に配置され,かつ,該キャリッジおよび前記記録ヘッドを通って,該キャリッジに対して前記記録ヘッドを支持する支持軸と,前記支持軸が該キャリッジを通る箇所に形成された第1の穴の少なくとも1つには,前記支持軸の端部を支持するとともに,支持する位置が,前記記録面と直交する方向に調整可能となっている第1の軸受部材とを備えていることを特徴とする。
【0039】
本発明によると,ガイド軸とほぼ平行に配置された支持軸は,キャリッジおよび記録ヘッドを通って,キャリッジに対して記録ヘッドを支持する。第1の軸受部材は,支持軸がキャリッジを通る箇所に形成された第1の穴に備えられ,支持軸の端部を支持する。第1の軸受部材が支持軸を支持する位置を,記録面と直交する方向に調整すると,この支持軸に支持されている記録ヘッドの位置も,キャリッジに対して,記録面と直交する方向に調整され,これにより,第1の角度が調整される。
【0040】
このように,支持軸を支持する位置が記録面と直交する方向にのみ移動して,記録ヘッドのキャリッジに対する位置が記録面と直交する方向にのみ調整されるので,他の角度(α角およびγ角)を変化させることなく,第1の角度(β角)のみを調整することができ,第1の角度の調整に伴い他の角度も変化するという副作用を防止することができる。また,支持軸と軸受部材という少ない部品点数で容易に第1の角度の調整を行うことができる。
【0041】
第3の関連発明に係るキャリッジは,第2の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記第1の穴の少なくとも1つは,前記記録面と直交する方向に伸びる直線状の当接辺を有するものであり,前記第1の軸受部材は,前記穴に回動可能に嵌まり込んで,前記支持軸の端部を支持し,かつ,この支持軸の端部を前記当接辺に押し付ける弾性部材からなるものであることを特徴とする。
【0042】
本発明によると,第1の軸受部材は,弾性部材からなり,その弾性によって,第1の穴が有する直線状の当接辺に支持軸の端部を押し付けている。したがって,第1の軸受部材を回動させると,支持軸の端部は直線状の当接辺に沿って移動することとなる。これにより,第1の軸受部材を回動させるだけで,第1の角度を調整することができ,しかも支持軸の端部は,記録面と直交する方向にのみ移動するから,調整が容易になる。
【0043】
第4の関連発明に係るキャリッジは,第3の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記第1の穴は,前記当接辺と対向する第2の辺と,これら当接辺および第2の辺と連なり相互に対向する一対の第3の辺とを有し,前記支持軸の端部は,前記当接辺と当接する第1の円弧面を有し,前記第1の軸受部材は,前記第2の辺と当接する第2の円弧面と,前記第3の辺とそれぞれ当接する一対の第3の円弧面とを有していることを特徴とする。
【0044】
本発明によると,第1の軸受部材の回動により,支持軸は,その第1の円弧面が当接辺と当接して摺動し,第1の軸受部材は,その第2の円弧面が第2の辺と,第3の円弧面が第3の辺とそれぞれ当接して摺動するので,回動動作が円滑になされる。
【0045】
第5の関連発明に係るキャリッジは,第4の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記第2の円弧面は,前記第1の円弧面の中心と同心の円弧面であり,前記一対の第3の円弧面は,その中心が共通で曲率半径が同一の円弧面であり,前記第1の円弧面の中心をO,曲率半径をR,前記第2の円弧面の曲率半径をR,前記第3の円弧面の中心をO,曲率半径をR,前記第1の円弧面の中心Oと第3の円弧面の中心Oとの距離をAとしたとき,R+R=2Rで,かつ,R−R=Aの関係が成立することを特徴とする。
【0046】
本発明によると,支持軸および第1の軸受部材がこのように構成されていることから,第1の軸受部材を回動させると,第3の円弧面の中心Oが前記当接辺と直交する方向に移動しながら,前記支持軸の端部の第1の円弧面の中心Oが前記当接辺と平行に移動することとなる。直線状の当接辺は,記録面に対して直交する方向に伸びているから,支持軸の端部は,記録面と直交する方向にのみ移動することとなる。すなわち,第1の軸受部材が必ずしも弾性部材で構成されていなくても,第1の軸受部材を回動させるだけで,記録面と支持軸との平行度の調整を行うことができ,しかも支持軸の端部は記録面と直交する方向にのみ移動するから,第1の角度を容易に調整することができる。
【0047】
第6の関連発明に係るキャリッジは,第3から第5の関連発明のいずれか1つの発明に係るキャリッジにおいて,前記第1の軸受部材は,この第1の軸受部材を回動させる第1のレバー状部材を備えていることを特徴とする。
これにより,第1のレバー状部材を回動操作することにより,第1の角度を容易に調整することができ,記録面とヘッド面との間の平行度を容易に調整することができる。
【0048】
第7の関連発明に係るキャリッジは,第1から第6の関連発明のいずれか1つの発明に係るキャリッジにおいて,前記第1の軸受部材が,前記第1の穴の2つにそれぞれ設けられている,ことを特徴とする。
【0049】
本発明によると,第1の軸受部材が,第1の穴の2つにそれぞれ設けられているので,これら2つの第1の軸受部材を同時に調整することによって,支持軸を記録面と平行に保ちつつ,その支持位置を記録面と直交する方向に変位させることができる。これにより,記録面とヘッド面とを平行に保ちつつ,記録ヘッドを記録面と直交する方向に調整することができる,すなわち,ペーパ・ギャップを調整することができる。
【0050】
第8の関連発明に係る記録装置は,第1から第7の関連発明のいずれか1つの発明に係るキャリッジを備えていることを特徴とする。
これにより,この記録装置においても,前記第1から第7の関連発明と同様の作用効果を達成することができ,その結果,記録品質の向上を図ることができる。特に,大型記録装置において,記録品質の向上を図ることができる。
【0051】
第9の関連発明に係るキャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジであって,前記記録面に対向している前記記録ヘッドのヘッド面と前記記録面とがなす角度のうち,前記被記録材の搬送方向における第2の角度の方向に,前記記録ヘッドを該キャリッジに対して変位させる第2の角度調整手段を備えていることを特徴とする。
【0052】
本発明によると,キャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動し,該キャリッジに備えられた記録ヘッドにより,前記被記録材の記録面に記録を行う。そして,第2の角度調整手段は,前記記録ヘッドを,該キャリッジに対して,ヘッド面と記録面とがなす角度のうち,被記録材の搬送方向における第2の角度(γ角)の方向に変位させる。
【0053】
これにより,キャリッジの支持構造によることなく,キャリッジに対する記録ヘッドの位置を調整することにより,第2の角度を調整し,記録面とヘッド面との間の平行度を調整することができる。したがって,ガイド軸の支持構造を調整することができる記録装置においてはもちろんのこと,ガイド軸の支持構造を調整することができない記録装置においても,記録面とヘッド面との間の平行度を調整することができる。
【0054】
また,第2の角度調整手段を,記録ヘッドをキャリッジに対して変位させる構成としたので,第2の角度調整手段は,記録ヘッドの重さのみを支持できる強度を有すればよく,記録装置が大型化して,記録ヘッドが大型化しても,その重さによる調整精度の悪化もほとんど問題とならない。
なお,第2の角度(γ角)の方向には,プラスの角度の方向とマイナスの角度の方向との双方が含まれる。
【0055】
第10の関連発明に係るキャリッジは,第9の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記第2の角度調整手段は,前記ガイド軸とほぼ平行に配置され,かつ,該キャリッジおよび前記記録ヘッドの双方を通って,該キャリッジに対して前記記録ヘッドを回動可能に支持する支持軸と,前記支持軸を回動軸として記録ヘッドを回動させる第1の回動手段と,前記第1の回動手段による前記記録ヘッドの回動を所望の角度で固定する固定手段とを備えていることを特徴とする。
【0056】
本発明によると,ガイド軸とほぼ平行に配置された支持軸は,キャリッジおよび記録ヘッドの双方を通って,記録ヘッドをキャリッジに対して回動可能に支持する。第1の回動手段は,支持軸を回動軸として記録ヘッドをキャリッジに対して回動させ,固定手段は,記録ヘッドの回動を所望の角度で固定する。記録ヘッドは,ガイド軸とほぼ平行に配置された支持軸を回動軸として,キャリッジに対して回動し,固定されるので,第2の角度(γ角)が調整される。
【0057】
また,この回動操作により第2の角度が調整されるので,他の角度(α角およびβ角)を変化させることなく,第2の角度(γ角)のみを調整することができ,第2の角度の調整に伴い他の角度も変化するという副作用を防止することができる。さらに,回動操作とその回動の固定という簡単な操作で第2の角度を調整することができる。
【0058】
第11の関連発明に係るキャリッジは,第10の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記第1の回動手段は,前記記録ヘッドに当接して付勢する第1の付勢手段を備え,前記固定手段は,前記第1の付勢手段の付勢力に対抗して前記記録ヘッドに当接する当接手段を備えていることを特徴とする。
【0059】
本発明によると,前記第1の回動手段を第1の付勢手段により,前記固定手段を当接手段により構成することができるので,少ない部品点数で第2の角度調整手段を構成することができる。
【0060】
第12の関連発明に係るキャリッジは,第10または第11の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記固定手段は,第2のレバー状部材を備えていることを特徴とする。
本発明によると,第2のレバー状部材により固定位置を調整できるので,第2の角度の微妙な調整を容易に行うことができる。
【0061】
第13の関連発明に係る記録装置は,第9から第12の関連発明のいずれか1つの発明に係るキャリッジを備えていることを特徴とする。
これにより,この記録装置においても,前記第9から第12の関連発明と同様の作用効果を達成することができ,その結果,記録品質の向上を図ることができる。特に,大型記録装置において,記録品質の向上を図ることができる。
【0062】
第14の関連発明に係るキャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジであって,該キャリッジに対して,前記記録ヘッドを前記記録面と直交する方向に変位可能に支持する支持手段を備えていることを特徴とする。
【0063】
本発明によると,キャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動し,該キャリッジに備えられた記録ヘッドにより,前記被記録材の記録面に記録を行う。そして,支持手段は,記録ヘッドを,該キャリッジに対して,記録面と直交する方向に変位させる。
【0064】
これにより,ガイド軸の支持位置を調整することなく,キャリッジに対する記録ヘッドの位置を変位させることにより,ペーパ・ギャップを調整し,記録面とヘッド面との間を適正な距離とすることができる。したがって,ガイド軸の支持位置を調整することができる記録装置においてはもちろんのこと,ガイド軸の支持位置を調整することができない記録装置においても,ペーパ・ギャップを調整し,記録面とヘッド面との間を適正な距離とすることができる。
【0065】
また,支持手段を,記録ヘッドをキャリッジに対して記録面と直交する方向に変位させる構成としたので,支持手段を,記録ヘッドの重さのみを支持できる程度の強度のものとすることができ,これにより,記録装置が大型化して,記録ヘッドが大型化しても対応可能となる。
なお,「記録面と直交する方向」には,記録面から遠ざかる方向と記録面に近づく方向との双方が含まれる。
【0066】
第15の関連発明に係るキャリッジは,第14の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記支持手段は,前記被記録材の記録面と平行に配置されるとともに,該キャリッジおよび前記記録ヘッドを回動可能に通る支持軸を備え,前記支持軸は,円柱状の中央部と,該中央部に対して偏心した円柱状の端部とを有し,該中央部は前記記録ヘッドを支持し,該端部は該キャリッジに支持されるものであることを特徴とする。
【0067】
本発明によると,支持手段は支持軸を備え,該支持軸は,キャリッジおよび記録ヘッドを回動可能に通って,その円柱状の中央部で記録ヘッドを支持し,中央部に対して偏心した円柱状の端部はキャリッジに支持される。支持軸は,キャリッジに支持される端部が,記録ヘッドを支持する中央部に対して偏心した構造を有するので,支持軸を回動させることにより,記録ヘッドをキャリッジに対して変位させることができる。また,回動操作という簡単な操作で,ペーパ・ギャップの調整を行うことができる。
【0068】
第16の関連発明に係るキャリッジは,第15の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記記録ヘッドは,前記支持軸の中央部が通る第2の穴と,前記支持軸の端部が通る第6の穴とを有し,前記第2の穴は,前記記録面と直交する方向には前記支持軸の中央部と同程度の径を有し,前記搬送方向には前記支持軸の中央部の径よりも長い径を有する長穴であり,前記第6の穴は,前記搬送方向には前記支持軸の端部と同程度の径を有し,前記記録面と直交する方向には前記支持軸の端部の径よりも長い径を有する長穴であることを特徴とする。
【0069】
本発明によると,このように第2の穴および第6の穴を構成したので,中央部に対して偏心した端部を有する支持軸の回動操作により,支持軸の中央部は,第2の穴において,搬送方向上下流側に移動するが,記録面と直交する方向には移動せず,一方,記録ヘッドは,第6の穴において,支持軸の端部に対して,記録面と直交する方向には移動するが,搬送方向上下流側には移動しない。
【0070】
ここで,支持軸の端部はキャリッジに支持されているので,支持軸を回動させても,支持軸の端部が通る第6の穴の構造により,記録ヘッドは,キャリッジに対して,搬送方向上下流側には変位しない。一方,支持軸を回動させると,支持軸の中央部が通る第2の穴の構造により,記録ヘッドは,キャリッジに対して,記録面と直交する方向に変位する。
【0071】
これにより,ペーパ・ギャップのみを調整することができ,ペーパ・ギャップの調整に伴い,記録ヘッドが搬送方向上下流側等の他の方向にも移動するという副作用を回避できる。
【0072】
第17の関連発明に係るキャリッジは,第16の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記第2の穴には,第1の部材と第2の部材とからなる第2の軸受部材が装着され,前記第1の部材は,前記記録ヘッドに形成された第4の穴に嵌まり込むものであり,かつ,前記第2の部材が嵌まり込むとともに前記支持軸の中央部が通過可能な大きさの第5の穴を有するものであり,前記第2の部材は,前記第5の穴に嵌まり込むものであり,かつ,前記第6の穴を有するものであることを特徴とする。
【0073】
本発明によると,第1の部材の第5の穴を,支持軸の中央部が通過可能な大きさとしたので,第1の部材を装着した後でも,支持軸を記録ヘッドに挿通させることができる。これにより,第1の部材を第4の穴に装着した後に,記録ヘッドをキャリッジに取り付け,その後,支持軸を挿通し,第2の部材を第5の穴に装着することができるので,キャリッジの組み立てが容易となる。
【0074】
第18の関連発明に係るキャリッジは,第17の関連発明に係るキャリッジにおいて,前記第2の部材は,その外周の一部が直線状となっている側面視略D型の形状を有し,前記第5の穴は,前記第2の部材が嵌まり込み,かつ,貫通する構造を有し,前記第2の穴の周辺には,前記第2の部材が前記第5の穴を貫通して前記記録ヘッドと当接して嵌まり込むように,側面視略D型の第7の穴が形成されていることを特徴とする。
【0075】
本発明によると,第2の部材の形状を側面視略D型とし,また,第2の穴の周辺には,第2の部材が第5の穴を貫通して前記記録ヘッドと当接して嵌まり込むように,側面視略D型の第7の穴を形成したので,支持軸の回動操作に伴う第2の部材の回動を抑止することができる。これにより,第2の部材に形成された第6の穴を,常に,搬送方向には支持軸の端部と同程度の径を有し,記録面と直交する方向には支持軸の端部の径よりも長い径を有する長穴の状態に維持することができる。
【0076】
第19の関連発明に係るキャリッジは,第15から第18の関連発明のいずれか1つの関連発明に係るキャリッジにおいて,前記支持軸の中央部の円柱面の少なくとも一部は,円周方向に沿って複数の平面を有し,前記記録ヘッドは,前記複数の平面の少なくとも1つを付勢する第2の付勢手段を備えていることを特徴とする。
【0077】
本発明によると,第2の付勢手段が,支持軸の中央部の円柱面にある平面の少なくとも1つを付勢するので,支持軸の回動が,この複数の面ごとに段階的に行われるとともに,第2の付勢手段が面を付勢している状態で支持軸の回動が停止する。したがって,ペーパ・ギャップを段階的に切り替えることができるとともに,段階的に切り替えた位置で記録ヘッドを停止させることができる。また,第2の付勢手段により,支持軸が付勢されているので,支持軸そのもののぐらつきも防止することができる。
【0078】
第20の関連発明に係る記録装置は,第14から第19の関連発明のいずれか1つの発明に係るキャリッジを備えていることを特徴とする。
【0079】
これにより,この記録装置においても,前記第14から第19の関連発明と同様の作用効果を達成することができ,その結果,記録品質の向上を図ることができる。特に,大型記録装置において,記録品質の向上を図ることができる。
【0080】
第21の関連発明に係るペーパ・ギャップ調整装置は,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジのペーパ・ギャップ調整装置であって,前記記録ヘッドを前記記録面と直交する方向に変位させる変位手段を備えていることを特徴とする。
【0081】
本発明によると,キャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動し,該キャリッジに備えられた記録ヘッドにより,前記被記録材の記録面に記録を行う。そして,変位手段は,記録ヘッドを記録面と直交する方向に変位させる。
【0082】
これにより,ガイド軸の支持位置を調整することなく,記録ヘッドの位置を変位させることにより,ペーパ・ギャップを調整し,記録面とヘッド面との間を適正な距離とすることができる。したがって,ガイド軸の支持位置を調整することができる記録装置においてはもちろんのこと,ガイド軸の支持位置を調整することができない記録装置においても,ペーパ・ギャップを調整し,記録面とヘッド面との間を適正な距離とすることができる。
【0083】
また,変位手段を,記録ヘッドを記録面と直交する方向に変位させる構成としたので,変位手段を,記録ヘッドの重さのみを支持できる程度の強度のものとすることができ,これにより,記録装置が大型化して,記録ヘッドが大型化しても対応可能となる。
なお,「記録面と直交する方向」には,記録面から遠ざかる方向と記録面に近づく方向との双方が含まれる。
【0084】
第22の関連発明に係るペーパ・ギャップ調整装置は,第21の関連発明に係るペーパ・ギャップ調整装置において,前記変位手段は,前記被記録材の記録面と平行に配置されるとともに,該キャリッジおよび前記記録ヘッドを回動可能に通る支持軸と,前記支持軸を回動させる第2の回動手段とを備え,前記支持軸は,円柱状の中央部と,該中央部に対して偏心した円柱状の端部とを有し,該中央部は前記記録ヘッドを支持し,該端部は前記キャリッジに支持されるものであることを特徴とする。
【0085】
本発明によると,支持軸は,その円柱状の中央部で記録ヘッドを支持し,その円柱状の端部はキャリッジに支持される。そして,第2の回動手段は,この支持軸を回動させる。支持軸を,その端部がその中央部に対して偏心した構造としたので,支持軸の回動により,記録ヘッドは,キャリッジに対して変位する。これにより,記録ヘッドをキャリッジに対して変位させ,ペーパ・ギャップを調整することができる。
【0086】
第23の関連発明に係るペーパ・ギャップ調整装置は,第22の関連発明に係るペーパ・ギャップ調整装置において,前記第2の回動手段は,前記キャリッジとは分離して設けられ,かつ,前記キャリッジが待機位置に戻った時に,前記支持軸を回動させる位置に配置されていることを特徴とする。
【0087】
本発明によると,第2の回動手段をキャリッジとは分離して設けることとしたので,キャリッジの重量を軽くすることができる。また,第2の回動手段を,キャリッジが待機位置(ホーム・ポジション)に戻った時に,支持軸を回動させる位置に配置することとしたので,ガイド軸に沿ったキャリッジの記録動作を妨害することなく,支持軸の回動を行うことができる。
【0088】
第24の関連発明に係るペーパ・ギャップ調整装置は,第23の関連発明に係るペーパ・ギャップ調整装置において,前記第2の回動手段は,モータと,該モータの回転力を伝える太陽歯車と,該太陽歯車の周囲を公転する少なくとも2つの遊星歯車とを備え,前記支持軸は,その端部に,前記遊星歯車の1つと係合する従動歯車を備え,前記遊星歯車は,前記キャリッジがホーム位置に戻る時は,前記従動歯車とは係合しない中立位置に置かれ,前記記録ヘッドを変位させる時は,前記従動歯車と係合する係合位置に回動しながら移動するものであることを特徴とする。
【0089】
本発明によると,モータが太陽歯車を回動させ,太陽歯車が遊星歯車を回動させ,さらに,遊星歯車は,従動歯車と係合してこれを回動させる。これにより,支持軸が回動し,ペーパ・ギャップが調整される。このように,第2の回動手段を,太陽歯車と,その周囲を公転する少なくとも2つの遊星歯車とを備える構成としたので,従動歯車に係合する遊星歯車を換えることにより,支持軸を時計方向および反時計方向のいずれにも回動させることができる。
【0090】
また,キャリッジが待機位置に戻る時は,遊星歯車を,従動歯車とは係合しない中立位置に置くこととしたので,キャリッジが待機位置に戻る時に,遊星歯車と従動歯車とが,衝突して歯車が損傷するという事態を回避することができるとともに,キャリッジの待機位置への戻りをスムーズに行うことができる。
【0091】
さらに,記録ヘッドを変位させる時は,遊星歯車を,従動歯車と係合する係合位置に回動しながら移動させることとしたので,遊星歯車と従動歯車とを確実に係合させることができる。
【0092】
第25の関連発明に係る記録装置は,第21から第24の関連発明のいずれか1つの発明に係るペーパ・ギャップ調整装置を備えていることを特徴とする。
【0093】
これにより,この記録装置においても,前記第21から第24の関連発明と同様の作用効果を達成することができ,その結果,記録品質の向上を図ることができる。特に,大型記録装置において,記録品質の向上を図ることができる。
【0094】
第26の関連発明に係るキャリッジは,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジであって,請求項1から6のいずれか1項に記載の第3の角度調整手段と,第1から第7の関連発明のいずれか1つの発明に係る第1の角度調整手段と,第9から第12の関連発明のいずれか1つの発明に係る第2の角度調整手段と,第14から第19の関連発明のいずれか1つの発明に係る支持手段とを備えていることを特徴とする。
【0095】
本発明によると,ガイド軸の支持位置を調整することなく,キャリッジに対する記録ヘッドの位置を調整して,第1の角度,第2の角度およびペーパ・ギャップを個別に調整することができるとともに,このようにして第1の角度,第2の角度およびペーパ・ギャップの調整を行うキャリッジにおいても,第3の角度を調整することができる。
【0096】
また,第3の角度の調整においては,請求項1から6に記載の発明と同様の作用効果を,第1の角度の調整においては,第1から第7の関連発明と同様の作用効果を,第2の角度の調整においては,第9から第12の関連発明と同様の作用効果を,ペーパ・ギャップの調整においては,第14から第19の関連発明と同様の作用効果を,それぞれ達成することができる。
【0097】
さらに,記録ヘッドをキャリッジに対して支持する1つの支持軸によって,第1の角度,第2の角度,第3の角度およびペーパ・ギャップを調整することができ,キャリッジの機構を簡素にすることができるとともに,製造コストも抑えることができる。
【0098】
第27の関連発明に係る記録装置は,第26の関連発明に係るキャリッジを備えていることを特徴とする。これにより,この記録装置においても,前記第26の関連発明と同様の作用効果を達成することができ,その結果,記録品質の向上を図ることができる。
【0099】
第28の関連発明に係る記録装置は,被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジであって,請求項1から6のいずれか1項に記載の第3の角度調整手段と,第1から第7の関連発明のいずれか1つの発明に係る第1の角度調整手段と,第9から第12の関連発明のいずれか1つの発明に係る第2の角度調整手段と,第15から第19の関連発明のいずれか1つの発明に係る支持手段とを備えているキャリッジと,第22から第24の関連発明のいずれか1つの発明に係る第2の回動手段とを備えていることを特徴とする。
【0100】
これにより,このようなキャリッジにおけるペーパ・ギャップの調整を,第22から第24の関連発明のいずれか1つの発明に係る第2の回動手段によって行うことができ,このようなキャリッジと同様の作用効果に加えて,第22から第24の関連発明と同様の作用効果も得ることができる。
【0101】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の一形態として,本発明を適用した大型記録装置について説明する。
【0102】
1.大型記録装置の記録部の全体構成
図1は,本発明を適用した大型記録装置の記録部を示す模式的な斜視図であり,図2は,該記録部の正面図である。この大型記録装置は,キャリッジ1を往復運動させて被記録材供給部(図示せず)から供給されてくる被記録材(用紙等)に記録(印字等)を施すように構成されている。
【0103】
この大型記録装置には,主軸4および副軸5が被記録材の搬送方向に直交して配設されている。主軸4および副軸5は,装置本体を構成する一方のサイドフレーム(左サイドフレーム)6および他方のサイドフレーム(右サイドフレーム)7のそれぞれの軸取付部32a,33aおよび32b,33bに固定されるとともに,両サイドフレーム間の範囲を超えて左右に突出し,平行に配置されている。主軸4にはキャリッジ1の主軸軸受部28が,副軸5にはキャリッジ1の副軸軸受部27が,それぞれ摺動可能に取り付けられ,キャリッジ1は,これらの軸により往復可能に支持されている。
【0104】
キャリッジ1には,記録ヘッド2が組み込まれている。両サイドフレーム6および7を突出した主軸4の左サイドフレーム6側には,キャリッジ・モータ9と駆動プーリ35が,右サイドフレーム7側には,従動プーリ36がそれぞれ設けられている。駆動プーリ35と従動プーリ36との間には,キャリッジ1に連係したベルト8が掛けられている。このベルト8により,キャリッジ・モータ9の駆動力がキャリッジ1に伝達され,キャリッジ1が主軸4および副軸5に沿って往復動する。
【0105】
フラット・ケーブル3の一端は,記録ヘッド2のコネクタに接続され,キャリッジ1が移動する際に,その動きに向かい合う部分(側部)から移動方向に水平に延びるように固定されている。フラット・ケーブル3は,キャリッジ1の往復動に追従して引き回されるため,キャリッジ1が往復動する移動範囲のほぼ中間点においてケーブル・ホルダ31により保持され,対向する2つの水平部分とこれら水平部分の間に180度転換したループ状のUターン部分を形成している。
【0106】
右サイドフレーム7に取り付けられた待機位置(ホーム・ポジション)検出器29は,キャリッジ1が待機位置に位置することを検出するものである。
【0107】
2.調整角およびペーパ・ギャップの調整
記録ヘッド2のヘッド面(被記録材の記録面に対向した面)と被記録材の記録面との間の平行度は,前述した図3に示す角度のうち,β角(第1の角度)とγ角(第2の角度)とをできるだけ零にすることにより調整される。また,ヘッド面に設けられたドット形成素子列(本実施の形態では,インクを吐出するノズルが搬送方向に沿って並べられたノズル列)と搬送方向との間の平行度は,図3において,α角(第3の角度)をできるだけ零にすることにより調整される。
【0108】
また,ペーパ・ギャップの調整は,記録ヘッド2と被記録材との間の距離を調整することにより行われる。
これらの各角度の調整およびペーパ・ギャップの調整は,記録ヘッド2をキャリッジ1に対して変位させることにより行われる。
【0109】
3.キャリッジの構成
3.1.キャリッジの概要
図4は,キャリッジ1が待機位置に位置している時のキャリッジ1の詳細を示す正面図であり,図5は,その右側面図である。図5の右側面図は,本来,矢印A方向が鉛直上方向であり,矢印B方向が水平方向であるが,説明の便宜上,被記録材22の記録面およびこれに対向するヘッド面が図面において水平になるように図示している。なお,符号23は紙送りローラ(駆動ローラおよび従動ローラ)であり,符号25は,排紙ローラ(駆動ローラおよび従動ローラ)である。
【0110】
キャリッジ1には,記録ヘッド2が組み込まれ,支持軸10および固定板11により,キャリッジ1に取り付けられる。記録ヘッド2には,インク・カートリッジ2aが装着され,また,被記録材22に対向した位置には,被記録材22にインクを吐出するヘッド部2bが設けられている。ヘッド部2bのヘッド面には,インク吐出用の複数のノズルが,ノズル列を形成して設けられている。
【0111】
支持軸10は,キャリッジ1の左右の側壁1aおよび1bと,記録ヘッド2の左右の側壁2cおよび2dとを貫通し,その両端部は,キャリッジ1の両側壁1aおよび1bからそれぞれ突出している。この突出している両端部には,第1の軸受部材(β角調整用軸受部材)15および16がそれぞれ装着される。これにより,支持軸10はキャリッジ1に回動可能に取り付けられるとともに,記録ヘッド2はキャリッジ1に対して支持される。後に詳述するように,第1の軸受部材15および16と支持軸10とによって,β角およびペーパ・ギャップの調整(特にペーパ・ギャップの微調整)が行われる。
【0112】
支持軸10が記録ヘッド2の右側壁2dを貫通する部分には,第2の軸受部材(α角調整用軸受部材)が取り付けられる。第2の軸受部材は,第1の部材(回動部材)14と第2の部材(スペーサ)13とから構成される(後述する図11も参照)。後に詳述するように,第2の軸受部材(第1の部材14および第2の部材13)と支持軸10とによって,α角の調整が行われる。
【0113】
支持軸10の一端(図4における右端)には,従動歯車17が取り付けられ,PG駆動ユニット18の遊星歯車18cまたは18dと係合するようになっている。PG駆動ユニット18(図1および図2には図示せず)は,キャリッジ1とは分離して設けられ,大型記録装置の図示しないフレームに取り付けられている。PG駆動ユニット18をキャリッジ1に取り付けることもできるが,キャリッジ1の重量を軽くするためには,本実施の形態のように,キャリッジ1とは分離して設けることが好ましい。
【0114】
このPG駆動ユニット18は,駆動モータ18aと,太陽歯車機構18bと,2つの遊星歯車18cおよび18dとから構成されている。太陽歯車機構18bは,駆動モータ18aの駆動軸に取り付けられ,駆動モータ18aの駆動力によって回転する。遊星歯車18cおよび18dは,太陽歯車機構18bと係合してこの周囲を公転し,従動歯車17と係合する。キャリッジ1が待機位置に戻る際に,遊星歯車18cおよび18dは,ともに従動歯車17と係合しない中立位置に位置するように駆動制御部(図示せず)によって制御される。これにより,キャリッジ1が待機位置に戻る際に,従動歯車17と遊星歯車18cおよび18dとが衝突しないようになっている。
【0115】
後に詳述するように,キャリッジ1が待機位置に位置している時に,PG駆動ユニット18は,遊星歯車18bおよび18cを用いて従動歯車17(すなわち支持軸10)を回転させ,これにより,ペーパ・ギャップの調整(特にペーパ・ギャップの切り換え)が行われる。
【0116】
固定板11は,ネジ21aおよび21bにより,γ角調整レバー(第2のレバー状部材)12とともにキャリッジ1に取り付けられる。後に詳述するように,固定板11と支持軸10とγ角調整レバー12とによって,γ角の調整が行われるとともに,記録ヘッド2がキャリッジ1に固定される。
【0117】
以下では,α角,β角およびγ角,ならびにペーパ・ギャップの調整を,説明の便宜上,β角およびペーパ・ギャップの調整(特にペーパ・ギャップの微調整),α角の調整,γ角の調整,ペーパ・ギャップの調整(特にペーパ・ギャップの切り換え)の順序で説明する。
【0118】
3.2.β角の調整およびペーパ・ギャップの調整
β角およびペーパ・ギャップの調整(特にペーパ・ギャップの微調整)は,第1の軸受部材(β角調整用軸受部材)15および16と支持軸10とによって行われる。
図6は支持軸10を示し,(A)は斜視図,(B)は正面図,(c)は側面図である。支持軸10は,金属製であり,大径部10aと,その両端に形成された小径部10bおよび10cとを有する。
【0119】
両小径部10bおよび10cの中心(軸心)Oは,ともに,大径部10aの軸心Oに対して,同一方向に距離dだけ偏心しており,偏心軸部を構成している。大径部10aの中央部分は,その円周の1/2弱に相当する部分が円周方向に沿って連続した3つの平面を有するようにカットされた切削部10dを有する。切削部10dは,大径部10aの円柱側面上,偏心軸部10bおよび10cが大径部10aに対して偏心している側に形成され,3平面の中央の面の中心が,軸心Oと軸心Oとを結んだ線上に位置するように形成されている。
【0120】
また,偏心軸部10cの先端には,従動歯車17の取付部10eが形成されている。この取付部10eは,偏心軸部10cの円周の一部がカットされ,側面視略D型となっている。取付部10eが嵌まり込む従動歯車17の軸受穴も,側面視略D型となっている。この両者の側面視略D型の形状によって,従動歯車17は,支持軸10に対して空回りしないようになっている。なお,取付部10eの先端部近傍に円周方向に設けられた溝は,従動歯車17に設けられた爪(図示せず)がこの溝と係合することにより,従動歯車17が取付部10eから容易に抜けないようにするためのものである。
【0121】
図7は,図4のI−I断面図であり,図4と同様に,説明の便宜上,被記録材の記録面およびこれに対向するヘッド面が図面において水平になるように図示している。
キャリッジ1の両側壁1aおよび1bには,第1の穴50および51がそれぞれ形成されている。これらの第1の穴50および51には,支持軸10の両偏心軸部10bおよび10cがそれぞれ貫通し,これらの偏心軸部を回動可能に支持する第1の軸受部材15および16がそれぞれ装着される。
【0122】
図7は,キャリッジ1の右側壁1bに装着される第1の軸受部材16およびこれが装着される第1の穴51のみを示しており,左側壁1aに装着される第1の軸受部材15およびこれが装着される穴50の図示を省略している。また,以下では,第1の軸受部材16および第1の穴51についてのみ説明するが,第1の軸受部材15および第1の穴50は,それぞれ第1の軸受部材16および第1の穴51と鏡像関係にある点が異なるだけであり,以下に説明する第1の軸受部材16および第1の穴51の内容は,第1の軸受部材15および第1の穴50についても同様に当てはまるものである。
【0123】
第1の軸受部材16は,穴51に嵌まり込む軸受部16a(後に詳述)と,それ以外の部分からなるレバー部(第1のレバー状部材)16bとが一体的に形成された弾性部材(たとえば,弾性を有する合成樹脂)により構成され,軸受部16aを中心にして回動可能になっている。軸受部16aには,さらに,支持軸10の偏心軸部10cを保持する保持部(後述)が形成され,また,レバー部16bには,さらに,可撓片16eと,円弧状に形成されたネジ止め用穴16cとが形成されている。レバー部16bを有することにより,第1の軸受部材16の回動操作および微妙な角度調整が容易となる。
【0124】
軸受部16aは,そこに形成された穴に偏心軸部10cを貫通させた状態で,穴51に嵌め込まれる。その後,ネジ101が,ネジ止め用穴16cを介して側壁1bに取り付けられる。これにより,第1の軸受部材16は,側壁1bに装着されるとともに,支持軸10および支持軸10により支持される記録ヘッド2は,キャリッジ1に対して支持される。なお,ネジ101によるネジ止めは,第1の軸受部材16が軸受部16aを中心に回動可能な程度の強さで行われるが,β角の調整およびペーパ・ギャップの調整の双方またはいずれか一方の完了後,キャリッジ1の振動等による第1の軸受部材16のずれを防止するために,さらに強くネジ止めされてもよい。
【0125】
可撓片16eの先端には,図7において手前側に突出した抓み16dが,可撓片16eと一体的に形成されている。また,可撓片16eの裏面(側壁1bに接する面)には,側壁1bに円弧状に形成された複数の目盛状溝1cに係脱する突起(図示せず)が,可撓片16eと一体的に形成されている。抓み16dを手前に引っ張ると,前記突起が目盛状溝1cから外れ,第1の軸受部材16は,軸受部16aを中心に回動可能となる。所望の位置に回動した後,抓み16dの引っ張りを解除すると,前記突起が目盛状溝1cの1つと係合する。これにより,目盛状溝1cが設けられた範囲内の所望の位置に第1の軸受部材16(すなわちβ角またはペーパ・ギャップ)を調整することができるとともに,調整後は,第1の軸受部材16の不用意な回動を防止することができる。
【0126】
なお,抓み16dには,針状の操作具を挿通させる穴(図示せず)が形成されており,第1の軸受部材16の回動操作は,この穴に挿通させた針状の操作具により行うこともできる。また,第1の軸受部材16の回動操作(すなわち,β角またはペーパ・ギャップの調整操作)は,通常,ユーザによっては行われず,工場において行われる。
【0127】
次に,第1の軸受部材16によって,β角が調整される具体的な機構について説明する。
図8(A)は,第1の軸受部材16の軸受部16aの拡大図であり,図8(B)は,図8(A)のIV−IV断面図である。穴51は,ほぼ正方形の穴51aと,その対角する角部に形成された一対の挿通口51b,51bとを有する。ほぼ正方形の穴51aは,記録面と直交する方向に伸びる直線状の当接辺a1と,これに対向する第2の辺a2と,これらの当接辺a1および第2の辺a2と連なり相互に対向する一対の第3の辺a3,a3とを有する。
【0128】
軸受部16aは,穴51に回動可能に嵌まり込んでいる中空の回動部160と,この軸受部16aが穴から不用意に抜けないようにするための外側の係止部161および内側の一対の係止片162,162とを有する。
【0129】
軸受部16aの穴51への装着は,係止片162,162を,挿通口51b,51bに合わせて,側壁1bの外側から軸受部16aを穴51に嵌め込んだ後,可撓片16eを図8(A)(および図7)において反時計方向に回動させることにより行われる。これにより,図8(B)に示すように,係止片162,162が側壁1bの内面と当接し,また係止部161が側壁1bの外面と当接して,軸受部16aが穴51から抜けなくなる。
【0130】
回動部160は,支持軸10の偏心軸部10cを回動可能に保持する保持部160aを有する。偏心軸部10cは,穴51の当接辺a1と当接する第1の円弧面c1を有する。また,回動部160は,穴51の第2の辺a2と当接する第2の円弧面c2と,第3の辺a3,a3とそれぞれ当接する一対の第3の円弧面c3,c3とを有する。
【0131】
図9(A)および(B)は,偏心軸部10cと,穴51と,軸受部16aの回動部160との関係を模式的に示したものである。これらの図においては,説明を分かりやすくするために,穴51の挿通口51b,51bを省略し,また,第2の円弧面c2の円周部分および第3の円弧面c3,c3の円周部分を図8のものよりも長くするとともに,回動部160の中空部分を省略している。
【0132】
この実施の形態においては,偏心軸部10c,穴51,および回動部160の形状ないし寸法は,ほぼ次のように設定されている。
第2の円弧面c2は,第1の円弧面c1の中心Oと同心の円弧面であり,一対の第3の円弧面c3は,その中心Oが共通で曲率半径Rが同一の円弧面である。そして,第1の円弧面c1の曲率半径をR,第2の円弧面c2の曲率半径をR,第1の円弧面c1の中心Oと第3の円弧面c3の中心Oとの距離(すなわち偏心量)をAとしたとき,R,R,RおよびAは,
+R=2R …(1)
−R=A …(2)
の関係が成立するように設定されている。
【0133】
また,第1の当接辺a1と第2の当接辺a2との距離はR+R,第3の当接辺a3同士の間隔は2Rとなるように設定されている。
【0134】
仮に,前述した寸法が高精度で得られた場合において,軸受部16a(すなわち,回動部160)を回動させると,第3の円弧面c3の中心Oが当接辺a1と直交する方向(±Y軸方向)に移動しながら,偏心軸部10cの第1の円弧面c1の中心Oが当接辺a1と平行(±Z軸方向)に移動する。すなわち,回動部160を角度θだけ回動させると,第3の円弧面c3の中心OがY軸方向にy1=A−A×cosθだけ変位し,第1の円弧面c1の中心Oは,z1=A×sinθだけZ軸方向に変位する。
【0135】
したがって,前述した寸法が高精度で得られた場合には,図9(B)に示すように,軸受部16aを回動させると,第3の円弧面c3の中心Oが当接辺a1と直交する方向(±Y軸方向)に移動しながら,偏心軸部10cの第1の円弧面c1の中心Oが当接辺a1と平行(±Z軸方向)に移動する。これにより,支持軸10は,当接辺a1と平行に移動することとなる。
【0136】
直線状の当接辺a1は,記録面と直交する方向に伸びているから,支持軸10は,キャリッジ1に対して,記録面と直交する方向にのみ移動する。また,図16(後に詳述)に示すように,記録ヘッド2は,その天井壁2eにおいて,記録面と直交する方向に設けられた固定板11の当接部11aとキャリッジ・バネ20(バネ・キャップ40)とによって挟持されており,記録面と直交する方向にのみ移動するように規制されている。したがって,支持軸10に支持されている記録ヘッド2は,第1の軸受部材15および16の双方またはいずれか一方の回動操作により,キャリッジ1に対して,記録面と直交する方向にのみ変位する。
【0137】
図10は,この様子を示している。図10(A)は図9(A)に対応する第1の軸受部材16および記録ヘッド2の位置を,図10(B)は図9(B)に対応する第1の軸受部材16および記録ヘッド2の位置を,それぞれ示している。第1の軸受部材16を図10(A)から(B)に示すように,反時計方向に回動すると,記録ヘッド2の第1の軸受部材16側(図4における右側)の部分は,キャリッジ1に対して,記録面と直交する上方向に移動する。すなわち,記録ヘッド2の第1の軸受部材16側の部分は,キャリッジ1に対して上昇する。一方,図示は省略するが,第1の軸受部材16を時計方向に回動すると,記録ヘッド2の第1の軸受部材16側の部分は,キャリッジ1に対して下降する。
【0138】
この操作を,左右の第1の軸受部材15および16の双方またはいずれか一方について行うことにより,記録ヘッド2のβ角を精度良く調整することができ,その結果,ヘッド面と記録面との間の平行度が精度良く調整され,印字品質の向上を図ることができる。また,この操作を,ヘッド面と記録面とを平行に保ちつつ,左右の第1の軸受部材15および16の双方について行うことにより,ペーパ・ギャップを精度良く調整することができる。特に,微妙な位置調整が可能であるので,ペーパ・ギャップの微調整に有効であり,その結果,ヘッド面と記録面との間の間隔が精度良く調整され,印字品質の向上を図ることができる。
【0139】
さらに,記録ヘッド2をキャリッジ1に対して変位させることにより,β角およびペーパ・ギャップを調整するので,主軸4および副軸5(図1および図2参照)がサイドフレームに固定されている記録装置においても,β角およびペーパ・ギャップを調整することができる。
【0140】
さらにまた,支持軸10と,第1の軸受部材15および16という少ない部品点数で容易にβ角およびペーパ・ギャップを調整することができるとともに,これらの部品は,キャリッジ1に対して記録ヘッド2を支持できる強度を有する程度のものであれば良く,大型記録装置においても,大きな強度を有する構成とする必要はないだけでなく,重さによる支持軸10の撓みや軸受部16aの変形等も無視できる程度の小さなものとすることができる。
【0141】
なお,前述したような軸受部16aの寸法が高精度で得られる場合には,軸受部16a(回動部160)は必ずしも弾性部材で構成されていない,あるいは十分な弾性を有していなくても,回動により,支持軸10の端部は記録面と直交する方向にのみ移動するから,β角およびペーパ・ギャップの調整を行うことができる。
【0142】
一方,軸受部16a(回動部160)が弾性部材で構成されている場合には,前記寸法は必ずしも,高精度である必要はない。軸受部16aの弾性によって,支持軸10の端部が当接辺a1に押し付けられて回動し,第3の円弧面c3の中心Oが当接辺a1と直交する方向に移動しながら,偏心軸部10cの中心Oが当接辺a1と平行に移動するからである。
【0143】
したがって,弾性部材からなる軸受部16a(回動部160)が,穴51に回動可能に嵌まり込んでいて,支持軸10の端部を支持し,かつ,その弾性で支持軸10の端部を当接辺a1に押し付けるという構成が満たされる限り,穴51および軸受部16a(回動部160)の形状等の構成は,図示したものに限られるものではない。たとえば,回動部160は,中空になっていなくてもよく,また,図8に示す形状のほか,図9に示す形状でもよい。
【0144】
一方,第2の辺a2に当接する第2の円弧面c2と,第3の辺a3,a3にそれぞれ当接する一対の第3の円弧面c3,c3とを有していれば,より円滑な回動動作が得られる。そこで,本実施の形態では,回動部160を弾性部材で形成し,かつ,その第2の円弧面c2と第3の円弧面c3の曲率半径を前述した幾何学的に理想的な寸法R,Rよりもそれぞれ若干大きめに形成し,回動部160を穴51に圧入した構成としている。
【0145】
3.3.α角の調整
α角の調整は,支持軸10と,第2の軸受部材(第1の部材である回動部材14および第2の部材であるスペーサ13)とによって行われる。
【0146】
図11は,図4のII−II断面図であり,図4と同様に,説明の便宜上,被記録材の記録面とこれに対向するヘッド面とが図面において水平になるように図示している。図12は図11のV−V断面図であり,図13は図11のVI−VI断面図である。図14(A)は記録ヘッド2の右側面図,図14(B)は記録ヘッド2の左側面図である。図15は,α角調整の様子を示す。
【0147】
記録ヘッド2の左側壁2cには,図12,図13および図14(B)に示すように,支持軸10の左偏心軸部10bが回動可能に貫通する左側の第6の穴(長穴)2fが形成されている。この長穴2fの径は,被記録材の搬送方向(ここでは,上流方向および下流方向の双方を指し,図12における上下方向を意味する。以下,同じ。)においては,偏心軸部10bが貫通するように偏心軸部10bの直径とほぼ同程度またはこれより僅かに大きい程度であるが,記録面と直交する方向(図13および図14(B)における上下方向)においては,記録ヘッド2が偏心軸部10bに対して移動可能なように偏心軸部10bの直径よりも長くなっている。したがって,記録ヘッド2は,偏心軸部10b(すなわち支持軸10の端部)に対して,被記録材の搬送方向には移動しないが,記録面と直交する方向には移動可能となっている。
【0148】
また,左側壁2cの内側近傍には,支持軸10の大径部10aが貫通する貫通壁2hが設けられ,この貫通壁2hには,図12および図13に示すように,支持軸10の大径部10aが回動可能に貫通する左側の第2の穴(長穴)2gが形成されている。この長穴2gの径は,記録面と直交する方向においては,大径部10aが貫通するように大径部10aの直径とほぼ同程度またはこれより僅かに大きい程度であるが,被記録材の搬送方向においては,大径部10aが多少移動可能なように大径部10aの直径よりも長くなっている。したがって,大径部10a(すなわち支持軸10の中央部)は,記録面と直交する方向には移動しないが,被記録材の搬送方向には移動可能となっている。
【0149】
記録ヘッド2の右側壁2dには,図12,図13および図14(A)に示すように,右側の第2の穴2i,第7の穴2jおよび第4の穴2kが一体的に形成されている。
【0150】
右側の第2の穴2iは,右側壁2dの外側から見て最深部に形成されており,前述した左側の第2の穴2gと同形の長穴である。この長穴2iは,支持軸10の大径部10aが貫通する貫通穴となっており,大径部10aは,長穴の長手方向(被記録材の搬送方向)に多少移動可能となっている。
【0151】
したがって,支持軸10の大径部10aは,2つの第2の穴2gおよび2iにおいて,被記録材の搬送方向に多少移動可能となっている。この移動可能な構造は,後に詳述するペーパ・ギャップの調整(特にペーパ・ギャップの切り換え)において利用される。
【0152】
第7の穴2jは,右側壁2dの外側から見て長穴2iの手前側であって,長穴2iの周囲に形成されている。図14(A)において,穴2jの左下側部分に長穴2iが形成されており,穴2jにおいて,長穴2iが形成されている部分は,前述したように貫通穴となっているが,それ以外の部分は,貫通しておらず,平坦な底を有する。
【0153】
穴2jには,後述する側面視略D型の形状を有するスペーサ13(図11および図15参照)が嵌まり込む。このため,穴2jも,その内周の上部に直線部分を有する側面視略D型の形状を有する。穴2jの縦方向(すなわち,記録面と直交する方向)の径(すなわち,直線部分とこれに対向する円弧部分との間の径)s1(図14(A)参照)は,スペーサ13の直線部分とこれに対向する円弧部分との間の径s2(図15参照)と同程度または僅かに大きい程度であるが,横方向(すなわち,搬送方向)の径t1(図14(A)参照)は,スペーサ13の直径t2(図15参照)よりも大きくなっている。すなわち,穴2jは,側面視略D型の形状を有するが,被記録材の搬送方向に長い長穴となっている。
【0154】
第4の穴2kは,右側壁2dの側面から見て穴2jの手前側(すなわち,最浅部)であって,穴2jの周囲に形成された円形の丸穴である。この丸穴2kにおいて,穴2jが形成されている部分以外の部分は,穴2jの底面よりも一段高くなった平坦な底を有する。
このように,穴2i,2jおよび2kは,3段構造となっており,穴2kの中に穴2jが形成され,さらに,穴2jの中に穴2iが形成されている。
【0155】
穴2kには,図11,図12,図13および図15に示すように,回動部材14が装着される。回動部材14は,穴2kに回動可能に嵌まり込む軸受部14aと,フック14bと,第3のレバー状部材(可撓片)14cとを備えている。
【0156】
軸受部14aは,穴2kとほぼ同形同大の円形の外周と,スペーサ13が嵌まり込む円形の第5の穴140とを有する。この第5の穴140は,支持軸10の大径部10aが貫通可能な大きさを有するとともに,スペーサ13が貫通する貫通穴となっている。また,第5の穴140は,軸受部14aの外周に対して偏心している。
【0157】
フック14bは,記録ヘッド2の右側壁2dに形成された円弧状のスリット2mと移動可能に係合し,回動部材14が記録ヘッド2から外れないようにするものである。
【0158】
可撓片14cは,その先端に形成された抓み14dと,抓み14dの根元部分に形成された挿通穴14eと,可撓片14cの裏面(側壁2dに接する面)に形成され,かつ,側壁2dに円弧状に形成された複数の目盛状溝2nに係脱する突起(図示せず)とを備えている。
【0159】
回動部材14は,軸受部14aを穴2kに嵌め込むとともに,フック14bをスリット2mの一端に形成された挿通口20mに嵌め込むことにより,側壁2dに装着され,その後,回動により,所望の位置に調整される。回動操作は,抓み14dを図11において手前側に引っ張ることにより,可撓片14cの裏側の突起が目盛状溝2nに係合しないようにした状態で行われる。回動後,抓み14dの引っ張りを解除すると,裏側の突起が,目盛状溝2nの1つと係合する。
【0160】
これにより,目盛状溝2nが設けられた範囲内の任意の位置に回動部材14(すなわちα角)を調整することができるとともに,調整後は,回動部材14の不用意な回動を防止することができる。また,第3のレバー状部材(可撓片)14を設けたことにより,回動操作が容易になり,微妙な角度調整も容易となる。なお,抓み14dを手前に引っ張る操作は,挿通穴14eに挿通させた針状の操作具を用いて行うこともできる。
【0161】
スペーサ13は,その外周の一部に直線部分を有する側面視略D型の円筒状部材で構成されている。スペーサ13は,軸受部14aの第5の穴140に嵌まり込むとともに,これを貫通して,側壁2dに形成された側面視略D型の穴2jに嵌まり込む。すなわち,スペーサ13の外周の直線状部分は,側面視略D型の穴2jの直線状部分と一致して,この穴2jに嵌まり込む。スペーサ13の外周の直線部分と穴2jの直線部分とが一致することにより,スペーサ13の回動は抑止される。また,穴2jは底を有するので,スペーサ13は,この底に当接して,その嵌まり込みが抑止される。一方,穴2jは,被記録材の搬送方向に長い長穴となっているので,スペーサ13は,穴2jに沿って,被記録材の搬送方向に移動可能となっている。
【0162】
また,スペーサ13は,支持軸10の右偏心軸部10cが貫通する右側の第6の穴13aを有する。穴13aの径は,スペーサ13の外周の直線部分と平行な方向においては,偏心軸部10cが貫通するように偏心軸部10cの直径と同程度またはこれより僅かに大きい程度であるが,外周の直線部分と直交する方向においては,偏心軸部10cが移動可能なように偏心軸部10cの直径よりも長くなっている。前述したように,スペーサ13は,その外周の直線部分が穴2jの直線部分と一致するように装着されるので,装着された状態において,穴13aは,記録面と直交する方向に長い長穴となる。したがって,穴13aにおいて,偏心軸部10cは,記録面と直交する方向に移動可能であり,換言すると,記録ヘッド2は,偏心軸部10cに対して,記録面と直交する方向に移動可能である。
【0163】
すなわち,右側の第6の穴13aは,前述した左側の第6の穴2fと同じく,記録面と直交する方向に長い長穴である。これにより,記録ヘッド2は,左偏心軸部10bおよび右偏心軸部10cに対して,記録面と直交する方向に移動可能となっている。この移動可能な構造は,後に詳述するペーパ・ギャップの調整(特にペーパ・ギャップの切り換え)において利用される。
【0164】
なお,第2の軸受部材を,第1の部材である回動部材14と第2の部材であるスペーサ13との2つの部材で構成することにより,キャリッジ1の組み立てを容易にすることができる。
【0165】
すなわち,回動部材14は記録ヘッド2に装着されるので,その装着を容易にするためには,キャリッジ1の組み立てを,通常,第2の軸受部材を記録ヘッド2に装着後,記録ヘッド2をキャリッジ1に組み込み,その後,支持軸10をキャリッジ1および記録ヘッド2に挿通させるという順序で行うのが好ましい。この順序においても,回動部材14は,支持軸10の大径部10aが挿通可能な大きさを有する穴140を有するので,問題なく,支持軸10を挿通させることができる。そして,最後にスペーサ13を,キャリッジ1の側壁1bに形成された穴51を通して嵌め込むことにより,支持軸10の軸受を完成することができる。
【0166】
一方,第1の部材である回動部材14と第2の部材であるスペーサ13とが一体して第2の軸受部材を構成している場合には,前記組み立ての順序では,支持軸10を挿通させることができない。逆にいえば,支持軸10の挿通後に第2の軸受部材を装着できるような構造を,記録ヘッド2が有する場合や,キャリッジ1および記録ヘッド2の双方またはいずれか一方が,前記組み立ての順序と異なる順序で組み立て可能な構成を有する場合には,必ずしも,第2の軸受部材を第1の部材と第2の部材との2つの部材により構成する必要はなく,1つの部材として一体的に構成してもよい。
【0167】
なお,後述するペーパ・ギャップの調整,特にペーパ・ギャップの切り換えを考慮すると,第2の軸受部材を,回動部材14とスペーサ13との2つの部材で構成する方が好ましい。これは,2つの部材により構成することにより、回動部材14を回動させても,スペーサ13の第6の穴13aの長穴方向を記録面と直交する方向に維持することができ,もって支持軸10を記録面と垂直方向に移動可能とすることができるからである。
【0168】
図15に示すように,軸受部14aに形成された第5の穴140の中心P1は,その外周の中心Pに対して距離eだけ偏心しており,偏心方向は,回動部材14が目盛状溝2nの中央に係止している状態において,記録面と直交する上方向である。この状態において,回動部材14を時計方向または反時計方向に回動させると,穴140に嵌め込まれたスペーサ13は,この穴140とともに偏心運動を行う。偏心運動であるので,偏心穴は,図15における左右方向(被記録材の搬送方向)および上下方向(記録面と直交する方向)の双方に変位し,これに伴い,スペーサ13も,この双方に変位しようとする。
【0169】
しかし,スペーサ13は,側壁2dの穴2jにより上下方向の変位が抑制されており,また,上下方向の変位は僅かであることから,軸受部14aおよびスペーサ13の双方またはいずれか一方を弾性部材とすることにより,この僅かな変位は吸収される(仮にスペーサ13が上下方向に僅かに変位しても,その変位は,縦長の穴13aによって,偏心軸部10cを上下方向に変位させない)。したがって,スペーサ13は,左右方向にのみ,それぞれ距離fの範囲内で変位する。すなわち,回動部材14を時計方向および反時計方向に回動させると,これに対応して,スペーサ13は左方向および右方向に距離fの範囲内でそれぞれ変位する。
【0170】
スペーサ13の左右方向の変位に伴い,スペーサ13により支持されている偏心軸部10cも左右方向に,それぞれ距離fの範囲内で変位する。すなわち,偏心軸部10cが記録ヘッド2を支持する位置は,左右方向に変位する。一方,偏心軸部10cは,キャリッジ1に固定され,不動であるので,この変位は,キャリッジ1に対して記録ヘッド2を変位させるように働く。
【0171】
すなわち,記録ヘッド2は,図12において,他方の偏心軸部10bが記録ヘッド2を支持する点Tを中心に,キャリッジ1に対して,矢印aの方向,すなわちα角の方向に回動変位する。具体的には,回動部材14を時計方向および反時計方向に回動させると,これに対応して,記録ヘッド2は,図12において,反時計方向および時計方向にそれぞれ回動する。このようにして,α角が調整され,印字品質の向上を図ることができる。
【0172】
また,記録ヘッド2をキャリッジ1に対して変位させることにより,α角を調整するので,主軸4および副軸5(図1および図2参照)がサイドフレームに固定されている記録装置においても,α角を調整することができる。さらに,第2の軸受部材である回動部材14およびスペーサ13を記録ヘッド2に設けたことにより,前述したβ角および後述するγ角により,記録ヘッド2の位置がキャリッジ1に対して変位する場合でも,これら他の角度の調整に影響を受けることなく,α角を精度良く調整することができる。
【0173】
なお,回動部材14の回動操作(すなわち,α角の調整操作)は,通常,ユーザによっては行われず,工場において行われる。また,α角を調整する機構(回動部材14,スペーサ13およびそれらが嵌まりこむ穴)を,記録ヘッド2の側壁2dではなく,他方の側壁2cに設けてもよい。
【0174】
3.4.γ角の調整
γ角の調整は,固定板11と,γ角調整レバー(第2のレバー状部材)12と,支持軸10とによって行われる。
図16は,図4のIII−III断面図であり,図4と同様に,説明の便宜上,被記録材の記録面とこれに対向するヘッド面とが図面において水平になるように図示している。図17はγ角の調整の様子を示す正面図であり,図18はその右断面図である。
【0175】
記録ヘッド2には,天井壁2eが設けられている。この天井壁2eのヘッド部2b側(図16の下側)の端部中央には,ヘッド・バネ19が取り付けられている(図13および図16参照)。ヘッド・バネ19は,天井壁2eの上面側(外側)では1つの面として構成され,底面側(内側)では3つの枝に分かれて構成されている。ヘッド・バネ19の上面側の面と,底面側の両端の2つの枝とは,天井壁2eを挟圧するように構成され,底面側の中央の1つの枝は,支持軸10の切削部10dの3面のうちの1つを付勢するように構成されている。ヘッド・バネ19が切削部10d(すなわち支持軸10)を付勢することにより,記録ヘッド2のぐらつきおよび支持軸10の自由回転が抑止され,固定される。
【0176】
天井壁2eの他端(図16における上端)の外側面は,キャリッジ1に設けられたキャリッジ・バネ20およびバネ・キャップ40により付勢され,一方,その内側面では,突出した突き当て2pが,固定板11の当接部11aに当接する。すなわち,天井壁2eは,キャリッジ・バネ20およびバネ・キャップ40と,固定板11とによって挟持されている。
【0177】
γ角調整レバー12は,弾性部材により構成され,その裏面(固定板11に接する面)に一体的に形成されたダボ12aおよび突起12bと,ネジ21aおよび21bによりそれぞれネジ止めされるネジ穴12cおよび12dと,抓み12eと,針状操作具挿通用の穴12fとを備えている。
【0178】
固定板11は,記録面と垂直に形成され、天井壁2eの突き当て2pが当接する当接部11aと,当接部11aに垂直(すなわち記録面と平行)に一体形成されたレバー取り付け部11dとを備えている。レバー取り付け部11dには,ダボ12aが嵌まり込む穴11bと,突起12bが嵌まり込む穴11cと,ネジ21aおよび21bによりそれぞれネジ止めされるネジ穴(図示せず)とが形成されている。
【0179】
γ角調整レバー12は,ネジ21aおよび21bにより,固定板11とともにキャリッジ1に取り付けられる。この取り付けにより,固定板11の取り付け部11dは,キャリッジ1本体に搬送方向に形成された,取り付け部11dの横幅とほぼ同じ間隔を有する一対のリブ状突起1d,1dの間に嵌め込まれる。
【0180】
γ角調整レバー12のネジ穴12cは,図17において上下方向に長い長穴となっており,ネジ穴12dは,円弧状の穴となっている。これにより,γ角調整レバー12は,ダボ12aを中心に,これらのネジ穴12cおよび12dの範囲内で回動可能となっている。したがって,ネジ21aおよび21bによるネジ止めは,γ角調整レバー12が回動可能な程度の強さで行われるが,角度調整完了後,キャリッジ1の振動等による移動を防止するために,さらに強くネジ止めされてもよい。
【0181】
γ角調整レバー12の抓み12eの近傍裏側には,キャリッジ1に形成されたラチェット部1fと係脱する突起(図示せず)が,一体的に形成されている。γ角調整レバー12は,弾性部材により構成されているので,抓み12eを手前側に引っ張ることにより,その裏面にある突起がラチェット1fから外れ,回動可能となる。所望の位置に回動した後,抓み16dの引っ張りを解除すると,前記突起がラチェット1fに係合する。これにより,ラチェット1fが設けられた範囲内の所望の位置にγ角調整レバー12(すなわちγ角)を調整することができるとともに,調整後は,γ角調整レバー12の不用意な回動を防止することができる。また,γ角調整レバー12をレバー状部材とすることにより,回動操作が容易となり,また,γ角の微妙な調整が可能となる。
【0182】
なお,γ角調整レバー12の回動操作は,針状操作具挿通用の穴12fに挿通させた針状の操作具により行うこともできる。また,γ角調整レバー12の回動操作(すなわち,γ角の調整操作)は,通常,ユーザによっては行われず,工場において行われる。
【0183】
固定板11のネジ穴(図示せず)と,ダボ12aが嵌まり込む穴11bとは,ともに,固定板11が図17における上下方向(搬送方向)に移動可能なように,上下方向に長い長穴である。一方,突起12bが嵌まり込む穴11cの径は,図17における左右方向(往復動方向)には長いが,上下方向には突起と同程度の長さである。
【0184】
したがって,図17において,γ角調整レバー12を時計方向に回動させると,突起12bは,固定板11を下方向(搬送方向下流側)に移動させ,γ角調整レバー12を反時計方向に回動させると,固定板11を上方向(搬送方向上流側)に移動させる。固定板11のレバー取り付け部11dは,キャリッジ1本体の一対のリブ状突起1d,1dの間に嵌まり込んでいるので,この固定板11の移動は,このリブ状突起1d,1dに沿って,すなわち搬送方向上下流側に沿って,平行に行われる。
【0185】
この固定板11の平行移動により,固定板11の当接部11aも,図18に示すように平行移動する。当接部11aが平行移動すると,それに伴い,当接部11aとヘッド・バネ20およびバネ・キャップ40とによって挟持されている天井壁2e(すなわち記録ヘッド2)は,支持軸10を中心軸として回動する。このようにして,記録ヘッド2は,キャリッジ1に対して,支持軸10を中心軸として回動して,γ角が調整され,その結果,ヘッド面と記録面との間の平行度が精度良く調整され,印字品質の向上が図られる。
【0186】
また,記録ヘッド2をキャリッジ1に対して変位させることにより,γ角を調整するので,主軸4および副軸5(図1および図2参照)がサイドフレームに固定されている記録装置においても,γ角を調整することができる。さらに,支持軸10は,キャリッジ1に対して記録ヘッド2を支持できる強度を有する程度のものであれば良く,大型記録装置においても,大きな強度を有する構成とする必要はない。
【0187】
4.ペーパ・ギャップの調整
ペーパ・ギャップの調整(特にペーパ・ギャップの切り換え)は,支持軸10を回動させることにより行われる。
図12,図13および図14を参照しながら説明したように,支持軸10の大径部10aは第2の穴2gおよび2iによって支持され,偏心軸部10bおよび10cは第6の穴2fおよび13aによって支持される。第2の穴2gおよび2iは,搬送方向に長い長穴であり,第6の穴2fおよび13aは記録面と直交する方向に長い長穴である。
【0188】
支持軸10は偏心構造を有するので,その回動により偏心運動を行う。この偏心運動において,大径部10aは,第2の穴2gおよび2iにおいて,搬送方向には移動できるが,記録面と直交する方向には移動できない。一方,偏心軸部10bおよび10cは,第6の穴2fおよび13aにおいて,被記録材と直交する方向には移動できるが,搬送方向には移動できない。換言すると,記録ヘッド2は,第6の穴2fおよび13aにおいて,偏心軸部10bおよび10cに対して,被記録材と直交する方向には移動できるが,搬送方向には移動できない。
【0189】
すなわち,支持軸10を回動させても,記録ヘッド2は,搬送方向においては,偏心軸部10bおよび10cに対して固定位置にあり,変位しない。他方,偏心軸部10bおよび10cは,キャリッジ1にも支持され,固定されている(図7参照)。この結果,支持軸10を回動させても,記録ヘッド2は,キャリッジ1に対して,搬送方向には移動しない。
【0190】
一方,大径部10aは,第2の穴2gおよび2iにおいて,記録面と直交する方向には移動できないので,支持軸10の回動による大径部10aの偏心運動は,記録ヘッド2に対して記録面と直交する方向に作用し,搬送方向には作用しない。すなわち,偏心運動による力は,キャリッジ1に対して,記録ヘッド2を上下させる力としてのみ作用する。また,前述したように,記録ヘッド2は,第6の穴2fおよび13aの構造により,キャリッジ1に支持固定された偏心軸部10bおよび10cに対しては,記録面と直交する方向に移動可能である。さらに,前述したように,記録ヘッド2は,その天井壁2eにおいて,記録面と直交する方向に設けられた固定板11の当接部11aとキャリッジ・バネ20(バネ・キャップ40)とによって挟持されており,記録面と直交する方向にのみ移動するように規制されている(図16参照)。
【0191】
この結果,支持軸10を回動させると,記録ヘッド2は,キャリッジ1に対して,上下運動(すなわち,記録面と直交する方向の運動)のみを行うこととなり,これにより,記録面とヘッド面との間の距離,すなわちペーパ・ギャップが調整される。
【0192】
図19は,ペーパ・ギャップが調整される様子を示している。支持軸10の回動により,大径部10aがキャリッジ1に対して記録ヘッド2(すなわちヘッド部2b)を上下させ,これにより,ペーパ・ギャップが調整される。
【0193】
図16を参照しながら説明したように,支持軸10の大径部10aには,3つの面を有する切削部10dが形成され,この3つの面のいずれか1つをヘッド・バネ19が付勢し,支持軸10の回動を抑止している。したがって,本実施の形態では,ペーパ・ギャップを,これら3つに面に対応した3段階に調整することができる。特に,ペーパ・ギャップの切り換えに有効であり,たとえば,厚紙用ペーパ・ギャップと,厚紙と普通紙との間の中程度の厚紙用ペーパ・ギャップと,普通紙用ペーパ・ギャップとの3段階にペーパ・ギャップの切り換えを行うことができる。
【0194】
なお,切削面10dを2面あるいは4面以上とすることにより,ペーパ・ギャップの切り換えも2段階あるいは4段階以上とすることができ,また,切削面の数が多くなるほど,ペーパ・ギャップの切り換えだけでなく,ペーパ・ギャップの微調整も行うことができる。
【0195】
このように,記録ヘッド2をキャリッジ1に対して変位させることにより,ペーパ・ギャップを調整するので,主軸4および副軸5(図1および図2参照)がサイドフレームに固定されている記録装置においても,ペーパ・ギャップを調整することができる。また,支持軸10は,キャリッジ1に対して記録ヘッド2を支持できる強度を有する程度のものであれば良く,大型記録装置においても,大きな強度を有する構成とする必要はない。さらに,前述したPG駆動ユニット18(図4参照)も,キャリッジ1全体ではなく,そのうちの記録ヘッド2のみを上下させる程度の駆動力を有するもので足りる。
【0196】
次に,このペーパ・ギャップの調整を,PG駆動ユニット18(図4参照)によって自動的に行う場合の処理について説明する。図20は,PG駆動ユニット18によるペーパ・ギャップ調整の処理の流れを示すフローチャートである。
【0197】
ペーパ・ギャップは,通常,工場において調整されるα角,β角およびγ角と異なり,被記録材に記録を行う直前に,被記録材の厚さを考慮して調整される。
すなわち,キャリッジ1は,記録開始前に,図4に示す待機位置に置かれ,この時,前述したように,PG駆動ユニット18によってペーパ・ギャップが調整される。
【0198】
ペーパ・ギャップは,記録開始前には,その初期値(デフォルト値)として,普通紙用ペーパ・ギャップ(最小のペーパ・ギャップ)に調整されている。
【0199】
大型記録装置の駆動制御部(図示せず)は,紙厚検出器(図示せず)からの紙厚検出信号,大型記録装置の入力装置(操作パネル:図示せず)からの第1の設定信号,または外部のコンピュータ,ワープロ等からの第2の設定信号に基づいて,被記録材の厚さが厚紙,中程度の厚紙,または普通紙のいずれの厚さであるかを判断する(ステップS1)。
【0200】
紙厚検出信号ならびに第1および第2の設定信号のいずれか1つのみが与えられる場合もあるし,これらの2つ以上のものが与えられる場合もある。2つ以上のものが与えられ,それらの内容が矛盾する場合には,あらかじめ定められた優先順位の高い信号が優先的に選択される。
【0201】
信号の内容が厚紙であるならば(ステップS1において「厚紙」),駆動制御部は,PG駆動ユニット18を駆動させて,支持軸10を厚紙用の回転角だけ回動させ,ペーパ・ギャップを最大にする(ステップS2)。
【0202】
信号の内容が中程度の厚紙である場合には(ステップS1において「中程度」),同じくPG駆動ユニット18を駆動させて,支持軸10を中程度の厚紙用の回転角だけ回動させ,ペーパ・ギャップを中程度にする(ステップS3)。
【0203】
信号の内容が普通紙である場合には,ペーパ・ギャップの調整は行われない。ペーパ・ギャップは,初期値として,普通紙のペーパ・ギャップにすでに調整されているからである。
【0204】
ペーパ・ギャップの調整が完了すると,続いて,記録(印刷)が行われる(ステップS4)。記録が終了すると,再び,キャリッジ1は,待機位置に戻り,ペーパ・ギャップの調整が行われる。駆動制御部は,記録開始前にペーパ・ギャップが普通紙以外のものに調整されている場合には,PG駆動ユニット18を駆動させて,ペーパ・ギャップを普通紙のものに戻し,一方,普通紙のペーパ・ギャップに調整されている場合には,戻す必要はないので,ペーパ・ギャップの調整を行わない(ステップS5)。
【0205】
なお,ペーパ・ギャップの初期値を設けて,記録終了後にペーパ・ギャップを初期値に戻す操作は必ずしも必須ではない。たとえば,記録終了後,ペーパ・ギャップをそのままとし,かつ,そのペーパ・ギャップを記憶しておき,次の記録開始前に,この記憶されたペーパ・ギャップとこれから行う次の記録のペーパ・ギャップとを比較して,これらが異なる場合には,新たなペーパ・ギャップに調整し,同じ場合には,ペーパ・ギャップを調整することなく記録を開始することもできる。
【0206】
【発明の効果】
本発明によると,α角を調整するための第2の軸受部材が記録ヘッドに備えられているので,前述したように,キャリッジに対する記録ヘッドの位置を調整することによって,β角およびγ角の調整を行うキャリッジにおいても,β角およびγ角の調整の影響を受けることなく,α角を精度良く調整し,ドット形成素子列と搬送方向との間の平行度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した大型記録装置の記録部を示す模式的な斜視図である。
【図2】図1の記録部の正面図である。
【図3】記録ヘッドを被記録材の記録面と平行にするための調整角およびドット形成素子列を搬送方向と平行にするための調整角を示す。
【図4】キャリッジが待機位置に位置している時のキャリッジの詳細を示す正面図である。
【図5】キャリッジが待機位置に位置している時のキャリッジの詳細を示す右側面図である。
【図6】支持軸を示し,(A)は斜視図,(B)は正面図,(c)は側面図である。
【図7】図4のI−I断面図である。
【図8】(A)は,第1の軸受部材の軸受部の拡大図であり,(B)は,図8(A)のIV−IV断面図である。
【図9】(A)および(B)は,支持軸の偏心軸部と,第1の穴と,第1の軸受部材の軸受部における回動部との関係を模式的に示す。
【図10】(A)は図9(A)に対応する第1の軸受部材および記録ヘッドの位置を,(B)は図9(B)に対応する第1の軸受部材および記録ヘッドの位置を,それぞれ示す。
【図11】図4のII−II断面図である。
【図12】図11のV−V断面図である。
【図13】図11のVI−VI断面図である。
【図14】(A)は記録ヘッドの右側面図,(B)は記録ヘッドの左側面図である。
【図15】α角調整の様子を示す。
【図16】図4のIII−III断面図である。
【図17】γ角の調整の様子を示す正面図である。
【図18】γ角の調整の様子を示す右断面図である。
【図19】ペーパ・ギャップが調整される様子を示す。
【図20】PG駆動ユニットによるペーパ・ギャップ調整の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 記録ヘッド
2f,13a 第6の穴
2g,2i 第2の穴
2j 第7の穴
2k 第4の穴
10 支持軸
10a 支持軸10の大径部
10b,10c 支持軸10の偏心軸部
10d 支持軸10の切削部
11 固定板
12 γ角調整レバー
13 スペーサ
14 回動部材
15,16 第1の軸受部材
17 従動歯車
18 PG駆動ユニット
18a 駆動モータ
18b 太陽歯車機構
18c,18d 遊星歯車機構
19 ヘッド・バネ
51 第1の穴
140 第3の穴

Claims (7)

  1. 被記録材の記録面と平行に,かつ,被記録材の搬送方向と直交して配置されるべきガイド軸に案内されて往復動するとともに,前記被記録材の記録面に記録を行う記録ヘッドを備えたキャリッジであって,
    前記記録ヘッドは,該キャリッジに対して,該記録ヘッドに設けられたドット形成素子列と前記被記録材の搬送方向とがなす第3の角度の方向に該記録ヘッドを変位させる第3の角度調整手段を備え、
    前記第3の角度調整手段は,
    前記ガイド軸とほぼ平行に配置され,かつ,前記記録ヘッドに形成された第2の穴を通って,該キャリッジに対して前記記録ヘッドを支持する支持軸と,
    前記第2の穴に前記支持軸を支持するとともに,支持する位置が,前記被記録材の搬送方向上下流側に調整可能となっている第2の軸受部材とを備えていることを特徴とするキャリッジ。
  2. 請求項において,前記第2の穴は,前記記録面と直交する方向には前記支持軸と同程度の径を有し,前記搬送方向には前記支持軸の径よりも長い径を有する長穴であり,
    前記第2の軸受部材は,前記支持軸を,前記第2の穴の長手方向に移動させて,第3の角度を調整するものであることを特徴とするキャリッジ。
  3. 請求項において,前記第2の軸受部材は,円形の外周と,この外周に対して偏心し,かつ,前記支持軸が通って該支持軸を支持する円形の第3の穴とを備え,前記記録ヘッドは,前記第2の軸受部材が回動可能に嵌まり込む第4の穴を有することを特徴とするキャリッジ。
  4. 請求項3において,前記記録ヘッドは,前記第4の穴を前記第2の穴の周囲に有することを特徴とするキャリッジ。
  5. 請求項4において,前記第2の軸受部材は,第1の部材と第2の部材とからなり,前記第1の部材は,円形の外周と,この外周に対して偏心し,かつ,前記支持軸が通過できる円形の第5の穴とを備え,
    前記第2の部材は,前記第1の部材の穴に嵌まり込み,かつ,前記支持軸が通って該支持軸を支持する第3の穴を備えているものであり,
    前記記録ヘッドは,前記第2の穴の周囲に,前記第1の部材が回動可能に嵌まり込む第4の穴を有することを特徴とするキャリッジ。
  6. 請求項5において,前記第1の部材は,第3のレバー状部材を備えているものであることを特徴とするキャリッジ。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のキャリッジを備えていることを特徴とする記録装置。
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