JP3692148B2 - 重ね合わされた伝熱板を備え、該伝熱板それぞれの対角上のかどが低下かど領域を備えたプレート熱交換器 - Google Patents
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Description
本発明は、複数枚の矩形状伝熱板、すなわちプレートと介在ガスケットとをスタック(stack)、すなわち重ね合わされたものとして備えたプレート熱交換器であって、前記伝熱板および前記ガスケットが当該プレート熱交換器内を流れる熱交換媒体のための流路を画成し、該流路が前記伝熱板における、心合わせされた流出入開口を介して満たされる、プレート熱交換器に関する。
最も関連の深い先行技術:
今日において一般的に使用されているプレート熱交換器は、同一のスタック内に約4ないし600枚のプレート、すなわち伝熱板を備えているのが通常であるが、同一の熱交換器スタック内に1,000枚ものプレートを挟持することは通常的ではない。
又、使用中に熱交換媒体中の圧力および温度が高くなり易いことから、スタックのプレートおよびガスケットを高い挟持力で一緒に保持して、流路の気密性、或は液密性を確かなものとする必要がある。
しかし乍ら、スタック内の幾枚かのプレートに特に大きな挟持力が作用すると、これらのプレートに対して大きな横方向力が必然的に加わって、これらのプレートが横方向に、スタックの外方へ移動する可能性がある。
最悪の場合、続いてプレートスタックが制御不能に歪み、流路から漏出が生ずることも有り得る。
従って、プレートスタックの歪みによる熱交換器の望ましくない故障を回避するには、挟持操作とそれに引続く使用とに際してプレートを常に正しく整列させることが最も重要であるということが経験上から分かっている。
また、スタック内のプレートに僅かでも誤整列があると、すなわち、一直線に並んでいないと、それらに引続くガスケットの誤整列が生ずる。従って、大きな挟持力はスタック内でひとつのガスケットから次のガスケットへと不均一に配分され、このことは、各プレートと各介在ガスケットとの間に横方向力を作用させ、流路における漏出の可能性を生じさせる。極端な場合には、ガスケットが傾いてしまい、その結果、ガスケットとプレートの両者ともに損傷することもある。一方、スタック内のプレートの誤整列を防止するために、種々の形態によるプレートの整列構造が知られている。
一般的に用いられる整列構造は、挟持手段に端部が接続された、上部および下部のガイドバーを備えている。この上部および下部のガイドバーは、プレートの上縁および下縁に夫々対称的に配置された開口もしくは切欠に係合するものである。
しかし乍ら、該切欠と、凹部を有するプレートと、これらのプレート間に配設されたガスケットとには不可避の製造公差があるので、大きな挟持力をプレートの全体領域に亙り、従って、プレート周縁に亙って均一に作用させることは不可能である。故に、スタック内の個々のプレートには、挟持方向に直交する力が作用する。
上述した設計様式では、プレートとそれに隣接するガスケットとの間から漏出が生じたり、ガイドバーからスタックの横方向にプレートが突出したりするほどに横方向力が増大することもあり得る。
また、切欠に隣接するガイドバーとプレート材料との間には前記横方向力により摩擦力が生ずるが、挟持力が更に大きくなっても、この摩擦力によって、ガイドバー上におけるプレートの更なる摺動は阻止されている。
従って、プレートスタックの全長に亙って前記摩擦力が蓄積されるので、プレートに作用する挟持力を必然的に増大させる必要があり、プレートがスタックの側方に押し出される可能性も生ずる。
プレートの、横方向への摺動傾向を更に大きくする悪要因としては、相互に対向しているガスケットとプレートとの表面が、スタックの分解を容易にするために、摩擦の少ない化合物を有していることが多い、という事実が挙げられる。
上述の問題を回避するため、プレート部材が相互に係合した形態で整列配置される熱交換器プレートの別の構造が幾つか提案されている。
これらの構造の内のひとつがGB 2 107 845 Aに記述されており、スタック内のプレートにおける整列させられた流出入開口にはカラー片が備えられ、該カラー片のおもて面が、スタック内の次のプレートのカラー片のうら面に嵌合している。この構造の技術的教示によれば、カラー片は当然、プレートの内側領域から離間した開口部分を越して延びていなければならない。換言すると、カラー片はプレートの内側領域に関し凸出していなければならない。
しかし乍ら、この構造も上述の問題を解決しない、ということが経験的に分かった。それどころか、隣接するプレート相互の側方への摺動によりスタックの誤整列が生ずる可能性さえ有る。
目的:
本発明の目的は、プレートスタックの整列精度の信頼性を損なうこと無く迅速かつ簡素な方法により組立て得ると共に、使用時には安全かつ確実に働くプレート熱交換器を提供するにある。
発明の新規性:
本発明のプレート熱交換器は、該伝熱板のかどに続く一方のプレート縁から同他方のプレート縁に至る曲がり線であり、且つ、内側プレート領域側へ凹んだ部分を有する曲がり線で内側プレート領域に続くカラー部を備えた低下かど領域(depressed corner areas)を前記スタック内の各伝熱板の対角上の少なくとも2つの前記かどが備え、且つ、前記スタック内の伝熱板の前記カラー部のおもて面が、該スタック内の次の伝熱板の前記カラー部のうら面に確合(positive engagement)している、すなわち、三次元的形状の上で部分的又は全面的にぴったり重なり合っていることを特徴とする。
利点:
このことにより、使用時において特に信頼し得る気密性或は液密性を有する流路を備えると共に、従来になかった迅速かつ便利な方法で組立・分解され得るプレート熱交換器が提供される。
作用:
スタック内の一枚のプレートの対角上のおもて面と、次のプレートの対角上のうら面とが相互に確合していることにより、プレートは安全に相互係合へと導かれ、迅速な組立が保証される。また、前記カラー部分の凹状に曲った部分によれば、プレート同士が常に堅固に相互に重なり合うことが保証され、製造公差内であればプレート寸法の変動に関わり無くスタックの、正しい整列状態が維持される。
一方、非常に厳しい熱条件および圧力条件下で本発明のプレート熱交換器を試験したところ、プレートの縁部に平行な横方向、並びに、プレート内側領域回りの回転方向のいずれにおいても、これらのプレートの横方向変位は無視できる程度であり、スタック内のプレートの整列状態が驚異的に安定しており、且つ信頼し得ることが示された。
好適な実施形態:
本発明に係る好適な実施形態が、請求項2乃至8に定義されている。
図面の説明:
以下、添付図面を参照して本発明を詳述する。
図1は、本発明に係るプレート熱交換器の概略的端面図である。
図2は、図1の熱交換器のスタックにおいて連続する3枚のプレートのかど部分の斜視図である。
図3は、別の実施形態の伝熱板のかど部分の更に詳細な端面図である。
図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
好適な実施形態の詳細な説明:
図1に示された新規なプレート熱交換器1は、複数枚の矩形伝熱板2および介在ガスケット3を備えて成り、これらは、例えば両エンドプレートおよび該両エンドプレートを連結する長手方向ボルトの形態ともされ得る慣用の挟持手段によりスタック4として挟持されている。伝熱板2および介在ガスケット3は、当該プレート熱交換器1を通って流れる熱交換媒体の為の流路5を画成する。これらの流路は、伝熱板2内の、一直線に整列させられた流出入開口6を通る熱交換媒体により満たされる。
スタック4内の各伝熱板2の各かど7は、曲がり線9において内側プレート領域に続く低下かど領域8を備えている。曲がり線9は、かど7の一方のプレート線10から他方のプレート縁11に至ると共に、内側プレート領域側へ凹んだ部分を伴っている。このことは、上記曲がり線が、該線の内側プレート領域側へ或る直線から離間していることを意味している。この曲がり線9は本質的に一つのプレート縁部から他のプレート縁部に至るまで存在するが、該線からの延出部が内側プレート領域側へ凹んだ関係を維持するのであれば、本発明の範囲内においてプレート縁部からの幾分かの距離を残して終ることも可能である。
図1および図2に示された実施形態においては、曲がり線9の曲り区域は円の弧であり、該円の中心は、かどで近接する2つのプレート縁10、11の、延長の交点上に、ほぼ位置せしめられている。このことは、曲がり線9がプレート縁10、11に対して直交することを意味している。
曲がり線の他の形態は、直線部分および曲線部分の要素などのような、異なる形状の線要素を備えたものである。斯かる実施形態は図3および図4に示されており、曲がり線は、中央において曲っているが、プレート縁部と交わる端部において直線状である。
低下かど領域は、図4でプレート表面に対し傾斜しているカラー部12を備えている。このカラー部12は、波状部13の一部であり、該波状部13は、プレートの低下かど部に対して更なる強度および安定性を与えている。波状部13の凹み深さは、残りの内部プレート領域のいずれの下り深さ、すなわち段差よりも深いものである。一方、上記伝熱板は、かどにおいて、平坦なプレート片14として終るが、該プレート片14は省略することが可能である。
上記伝熱板は従来慣用のプレス機械により製造されるが、ここで強調しておきたいのは、試験的にプレス加工を行ったときに、プレート内側領域から、同領域に関し凹である曲がり線領域へと、必要なプレート材料体積分が均一に引出されたことであり、これは、板金プレス技術分野の熟練技術者にとり相当の驚きであった。
上記スタック4においては、一枚の伝熱板2の対角上の両かど7のおもて面と、次の伝熱板2の対角上の両かど7のうら面との間の嵌合により、伝熱板は安全に相互係合へと案内され、プレート熱交換器の迅速な組立が確実に行われる。また、低下かど領域の曲がり線9によって、伝熱板2が常に堅固に相互に組み立てられていることが保証され、製造公差範囲内のプレート寸法の変動に関わり無くスタックの、正確な整列・位置決め状態が維持される。
一方、非常に厳しい熱条件および温度条件の下で本発明のプレート熱交換器1を試験したところ、図1に示された伝熱板2の縁部10、11に平行な方向A、B、並びに、プレート内側領域回りの回転方向Rのいずれにおいても、プレートの変位は無視できる程度であり、スタック4内の伝熱板2の整列・位置決め状態が驚異的に安定し且つ信頼し得ることが示された。
また、試験からは、プレートの厚み、その他プレート外形の幾何学的寸法が変わってもスタックの、正しい整列状態が維持されることが示された。公知の位置決め・整列構造と比較した場合、伝熱板の寸法に関する製造公差の組合わせが、更に広い範囲に亙っても、本発明の新規な熱交換器のスタックは、容認し得る水準内で正確な整列状態を維持することができる。
Claims (7)
- 複数枚の矩形状伝熱板(2)と介在ガスケット(3)とをスタック(4)として備えたプレート熱交換器(1)であって、前記伝熱板(2)および前記ガスケット(3)が、当該プレート熱交換器(1)内を流れる熱交換媒体のための流路(5)を画成し、該流路(5)が前記伝熱板(2)における、心合わせされた流出入開口(6)を介して満たされる、プレート熱交換器(1)において、
該伝熱板(2)のかど(7)に続く一方のプレート縁(10)から同他方のプレート縁(11)に実質的に至る曲がり線(9)であり、且つ、内側プレート領域側へ凹んだ部分を有する曲がり線(9)で内側プレート領域に続くカラー部(12)を備えた低下かど領域(8)を前記スタック(4)内の各伝熱板(2)における4個のかど(7)の全てが備え、且つ、
前記スタック(4)内の伝熱板(2)の前記カラー部(12)のおもて面が、該スタック(4)内の次の伝熱板(2)の前記カラー部(12)のうら面に確合していることを特徴とするプレート熱交換器(1)。 - 前記曲がり線(9)の曲り区域が弓形であることを特徴とする、請求項1に記載のプレート熱交換器。
- 前記曲がり線(9)の曲り区域が円の弧であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレート熱交換器。
- 前記かど(7)に隣接する2つの前記プレート縁(10,11)の、延長の交点上に、前記円の中心がほぼ位置することを特徴とする、請求項3に記載のプレート熱交換器。
- 前記カラー部(12)が前記伝熱板の表面に関し傾斜して存在することを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載のプレート熱交換器。
- 前記低下かど領域が波状部(13)を備えたことを特徴とする、請求項1乃至5の何れかに記載のプレート熱交換器。
- 前記低下かど領域の低下深さが、残りの内部プレート領域内のどの部分の低下深さよりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至6の何れかに記載のプレート熱交換器。
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