JP3690999B2 - 金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射性物質を貯蔵するための密閉容器、いわゆる金属キャスクに用いられる金属ガスケットの特性評価、例えば、横ずれが発生した場合の漏洩評価等を行うための評価試験方法および評価試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉の使用済燃料に代表される高放射性物質は、解体処理されるとともに、プルトニウム等の再度燃料として使用可能な有用物質を回収するため、再処理される。通常、使用済燃料は、電子力発電所で密閉容器、いわゆる金属キャスクに収納され、トラック等によって再処理施設に搬送され貯蔵される。そして、このような使用済燃料は高放射性物質であるため、これを収納した金属キャスクは、放射性物質に対する高い密閉性および遮蔽性を有し、かつ、長期間に亘ってその密閉性および遮蔽性を維持することが必要となる。
【0003】
一般に、金属キャスクは、ステンレス、炭素鋼等の金属によって形成されているとともに上端が開口した容器本体と、例えば高分子材料の合成樹脂により形成され容器本体の外周を覆った中性子遮蔽体と、を備え、容器本体の上端開口は、一次蓋および二次蓋によって閉塞されている。これらの一次蓋および二次蓋は、容器本体の上端に設けられた肩部にそれぞれボルト止めされているとともに、容器本体と一次蓋とのシール面、および容器本体と二次蓋とのシール面には、それぞれ金属ガスケットが設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成された金属キャスクでは、輸送時あるいは積み下ろし作業時に落下や転倒等の事故が生じる恐れがあり、落下、転倒によって大きな衝撃を受けた場合でも、一次蓋および二次蓋の密閉機能を十分に保持し、放射線に対するキャスクの密閉性および遮蔽性を確実に担保する必要がある。
【0005】
一次蓋および二次蓋のシール部に用いられる金属ガスケットは、高温、高線量条件下における使用に耐えることができ、長期間に亘って高い密閉性を維持することができる反面、熱変形や衝撃等により蓋が僅かにずれた場合、密閉性が低下する恐れがある。特に、長期間の使用により金属ガスケットの応力緩和特性、復元特性等の密閉能力が低下するため、蓋の僅かなずれによって金属キャスクの密閉性が大幅に劣化する。蓋がずれる要因としては、火災事故の発生等によって蓋が過度に加熱され、ゆっくりと横ずれ、すなわち、蓋の平面方向に沿ってずれる場合、あるいは、衝突等にいより高い加速度で横ずれする場合等が考えられる。
【0006】
従って、金属ガスケットの使用に当たっては、長期間使用した後の金属ガスケットの特性を予め評価し、長期間使用後においても高い密閉能力を維持可能な金属ガスケットを用いる必要がある。
【0007】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、金属ガスケットの特性を高い精度で評価可能な金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明に係る金属ガスケットの評価試験方法は、対向配置された第1および第2金属フランジ部材間に環状の金属ガスケットを配置するとともに、上記第1及び第2金属フランジ部材に設けられた複数のボルトによって上記第1及び第2金属フランジ部材を互いに接近する方向へ締付けることにより、上記金属ガスケットを所定の締付力で上記第1および第2金属フランジ部材間に挟持し、上記所定の締付力で締付けられた上記金属ガスケット、第1及び第2金属フランジ部材を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱して上記金属ガスケットを劣化させ、上記加熱劣化の後、第2金属フランジ部材を固定した状態で、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿って上記第1金属フランジ部材に荷重を負荷し、上記荷重を負荷した際の上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定するとともに上記金属ガスケットの漏洩検査を行い、第1金属フランジ部材の変位量に対する漏洩率を求めることを特徴としている。
【0009】
また、この発明に係る金属ガスケットの評価試験装置は、上記加熱劣化された金属ガスケットを挟持しているとともに上記ボルトによって締付られた第1および第2金属フランジ部材を支持する基台と、上記基台に対し、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿った上記第2金属フランジ部材の移動を規制する位置規制部と、上記基台上に支持された上記第1金属フランジ部材に、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿って荷重を負荷する荷重負荷手段と、上記第1金属フランジ部材に荷重を負荷した際の上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定する変位測定手段と、上記金属ガスケットの漏洩検査を行う漏洩検査手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
上記のように構成された金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置によれば、上記所定の締付力で締付けられた上記金属ガスケット、第1および第2金属フランジ部材を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱することにより、円周方向に沿った熱変形のばらつきを生じることなく金属ガスケットおよび金属フランジ部材全体を均一に加熱することができる。これにより、金属ガスケットを全周に亘って均一に加熱劣化させることが可能となる。そして、加熱劣化後、第2金属フランジ部材を固定した状態で、金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿って第1金属フランジ部材に荷重を負荷し、上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定するとともに上記金属ガスケットの漏洩検査を行うことにより、第1金属フランジ部材の変位量に対する漏洩率、つまり、横ずれに対する漏洩評価を行うことができる。
【0011】
また、この発明に係る金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置によれば、上記第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った静的な荷重を連続的に負荷することにより、あるいは、上記方向に沿った動的な荷重を負荷することにより、第1金属フランジ部材の変位量およびその変位量に対する漏洩率を測定している。
【0012】
静的な荷重に対する第1金属フランジ部材の変位量および漏洩率を測定することにより、例えば、蓋体の過度の熱膨張に起因した金属ガスケットの横ずれに対する漏洩評価を行うことができる。また、動的な荷重に対する第1金属フランジ部材の変位量および漏洩率を測定することにより、例えば、衝突等の高い加速度で金属ガスケットが横ずれした場合の漏洩評価を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係る金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る金属ガスケットの評価試験装置は、それぞれSUS304等の金属によって形成されたほぼ円盤状の第1および第2金属フランジ部材10、12を備えている。第1および第2金属フランジ部材10、12は、ほぼ同一の外径を有し、その内面同士が対向した状態で配置されている。
【0014】
第1金属フランジ部材10の外周部には、円周方向に所定の間隔を置いて多数の透孔14が形成されている。また、第2金属フランジ部材12の外周部には、円周方向に所定の間隔を置いて多数のねじ孔15が形成され、透孔14と整列している。第1金属フランジ部材10の内面は平坦に形成され、その周縁部には環状溝10aが同軸的に形成されている。また、第2金属フランジ部材12の内面は平坦に形成され、その中央部には凹所12aが形成されている。
【0015】
対向配置した状態において、第1および第2金属フランジ部材10、12の間には、凹所12aによって検出空間17が形成され、また、環状溝10aにより環状の装着空間22が形成される。後述するように、装着空間22には、評価試験対象となる試験金属ガスケット30、およびその外側に位置した環状のOリング32が装着される。
【0016】
また、図1において、第1金属フランジ部材10の右端部は第2金属フランジ部材12の右端部よりも僅かに外側に突出し、荷重を負荷するための荷重負荷部10bを構成している。更に、後述する横ずれ評価試験において第2金属フランジ部材12に対する第1金属フランジ部材10の横ずれを許容するように、第1および第2金属フランジ部材10、12間には、試験金属ガスケット30の中心軸と直行する方向に沿った隙間aが規定されている。
【0017】
そして、第1および第2金属フランジ部材10、12を対向配置した状態で、第1金属フランジ部材の各透孔14に挿通されたボルト16を第2金属フランジ部材12のねじ孔15に締め込むことにより、第1および第2金属フランジ部材同士を互いに接近する方向へ締付けることができる。各ボルト16は、金属フランジ部材と同一の金属材料で形成されていることが望ましい。また、各ボルト16は、Oリング32の剛性に対して、50〜100倍の剛性を有していることが望ましい。
【0018】
ボルト16の少なくとも1本、望ましくは複数本、には、ボルトの締付力を測定するための歪ゲージ20が取り付けられている。また、第1金属フランジ部材10内において、装着空間22の近傍には複数の温度センサ24が設けられ、円周方向沿って等間隔を置いて配置されている。なお、温度センサ24は第2金属フランジ部材12に設けられていてもよい。
上述した各歪ゲージ20および温度センサ24は制御部26に接続され、測定信号を制御部26に入力する。
【0019】
一方、評価試験装置は、ボルト16によって締付けられた第1および第2金属フランジ部材10、12全体を加熱するための加熱炉28を備えている。加熱炉28内には基準ボルト40が設けられ、この基準ボルトには基準歪ゲージ43が取付けられている。基準ボルト40は、第1および第2金属フランジ部材10、12を締付けるボルト16と同一の寸法および同一の材料で形成されている。そして、基準歪ゲージ43は制御部26に接続され、熱による検出値変化、つまり、温度ドリフトを測定し制御部に入力する。
【0020】
更に、評価試験装置は、検出ガスとして例えばヘリウムを供給する検出ガス供給部44、および検出ガスの漏洩を検出する漏洩検出部46を備えている。検出ガス供給部44は、第1および第2金属フランジ部材10、12間で、試験金属ガスケット30とOリング32との間の密閉空間に検出ガスを供給し、また、漏洩検出部46は、第1および第2金属フランジ部材間に規定された検出空間17に接続されている。検出ガス供給部44および漏洩検出部46は、この発明における漏洩検査手段を構成している。
【0021】
次に、上述した評価試験装置を用いて試験金属ガスケットの横ずれ漏洩率を評価する評価試験方法について説明する。
図1に示すように、まず、第1および第2金属フランジ部材10、12間の装着空間22に、環状の試験金属ガスケット30を金属フランジ部材と同軸的に配置し、更に、試験金属ガスケットの外側に、Oリング32を同軸的にかつ所定の隙間を置いて配置する。
【0022】
更に、複数のボルト16を徐々に締め込み、試験金属ガスケット30およびOリング32を所定の締付力、例えば、5×10−11Pa・m3/secで第1および第2金属フランジ部材10、12間に挟持する。この際、締付力が試験金属ガスケット30の全周に亘って均一に作用するよう、歪ゲージ20によって締付力を測定しながら各ボルト16を均一な力で締め込む。なお、締付力は、例えば、試験金属ガスケット30の圧縮量が0.7mmとなるように設定する。
【0023】
上記のように試験金属ガスケット30およびOリング32を締付けた状態において、試験金属ガスケット30とOリング32との間には、これらガスケットおよびOリングにより密閉されたの環状空間が形成されている。同時に、検出空間17は試験金属ガスケット30によって密閉されている。
【0024】
続いて、試験金属ガスケット30とOリング32との間の密閉空間に検出ガス供給部44を、また、検出空間17に漏洩検出部46をそれぞれ接続する。この状態で、予め漏洩検査を行う。すなわち、検出ガス供給部44から上記密閉空間にヘリウムを供給し、試験金属ガスケット30を介して検出空間17に漏洩するヘリウムの有無を漏洩検出部46によって検出する。
【0025】
ヘリウムの漏洩が無いことを確認した後、試験金属ガスケット30およびOリング32を挟持した第1および第2金属フランジ部材10、12を加熱炉28内に配置する。この加熱炉28内には、基準歪ゲージ43が取付けられた基準ボルト40を予め配置しておく。続いて、加熱炉28により、試験金属ガスケット30、Oリング32、第1および第2金属フランジ部材10、12の全体、並びに基準ボルト40を所定の温度で所定時間だけ加熱する。これにより、試験金属ガスケット30を加熱劣化させ、試験金属ガスケットを例えば60年間使用した状態を作り出す。また、その間、歪ゲージ20によって締付力の変化を測定することにより、試験金属ガスケットの応力緩和、すなわち、反発力の低下を測定する。
【0026】
加熱劣化条件は、劣化パラメータをLMPとした場合、
LMP=T(20+logt)
によって表される。ここで、Tは温度(℃)、tは時間(Hr)とする。
【0027】
例えば、実際の使用において、金属ガスケットを120℃の環境下で60年間使用する場合を想定すると、120℃×60年のLMPは、
LMP=393(20+log5256000)≒10108
となる。上述した評価試験装置により試験金属ガスケット30を加速加熱劣化させて上記と同一の劣化条件を作りだす場合、加熱温度を200℃とすると、必要な加熱時間tは、
logt=(10108/473)−20、 t≒24(Hr)
となる。従って、加熱炉28内において、試験金属ガスケット30を200℃で約24時間だけ加熱することにより、金属ガスケットを120℃の環境下で60年間使用した劣化状態を設定することができる。
【0028】
なお、上記加熱炉28を用いた加熱劣化では、温度センサ24により試験金属ガスケット30の温度を測定しながら、温度管理を行う。
【0029】
そして、加熱炉28を用いた加熱劣化工程の間、歪ゲージ20からの測定出力に基づき、締付力の変化を制御部26によって検出する。検出された締付力Fは加熱時間の経過に伴い徐々に低下する。そして、締付力の低下は、試験金属ガスケット30の反発力の低下に対応しているため、試験金属ガスケットの応力緩和特性を測定することができる。
【0030】
また、上述した締付力の検出は、基準歪ゲージ43の検出値変動、つまり、温度ドリフトを考慮して行う。すなわち、高温環境下で歪ゲージを用いる場合、熱により歪ゲージの検出値が変動する恐れがある。そこで、上記加熱劣化工程の間、加熱炉28内に設けられた基準歪ゲージ43の検出値を制御部26によって測定し、加熱に起因する検出値の変動を検出する。そして、制御部26は、上記検出値変動に応じて、歪ゲージ20により測定された締付力の値を補正する。これにより、高温条件下においても、歪ゲージ20の温度ドリフトを補正し、正確な締付力の測定および応力緩和特性の評価を行うことができる。
【0031】
上記加熱劣化工程の終了後、検出ガス供給部44および漏洩検出部46により再度、漏洩検査を行う。なお、この漏洩検査は、加熱劣化工程中に任意のタイミングで行ってもよい。そして、応力緩和特性の評価は、図2に矢印Aで示す漏洩限界荷重、例えば、1×10−11Pa・m3/secを指標として行い、かつ、実際に漏洩検査により確認する。
【0032】
また、本実施の形態によれば、上記のようにして加熱劣化された試験金属ガスケット30について、横ずれに対する漏洩評価試験を行う。図2に示すように、評価試験装置は静的横ずれ評価試験装置を備えている。この静的横ずれ評価試験装置は、第1および第2金属フランジ部材10、12を支持する基台50を備え、この基台の上面には、第2金属フランジ部材12に対応した形状の凹所からなる位置規制部52が形成されている。そして、第2金属フランジ部材12は、位置規制部52内に装着された状態で基台50上に配置され、試験金属ガスケット30の中心軸と直交する方向に沿った移動が規制される。
【0033】
また、基台50には、荷重負荷手段の押圧部材として機能する油圧シリンダ54が取り付けられている。この油圧シリンダ54は、基台50上に支持された試験金属ガスケット30の中心軸と直行するA方向に移動可能なシリンダ55を有し、その延出端は、荷重計56を間に挟んで第1金属フランジ部材10の荷重負荷部10bに当接している。
【0034】
更に、静的横ずれ試験評価装置は、基台50あるいは第2金属フランジ部材12に取り付けられた変位計58を備えている。変位計58は、第1金属フランジ部材10を挟んで油圧シリンダ54の反対側に配置され、その測定子58aは、図2において、第1金属フランジ部材10の左端に当接している。これにより、変位計58は、試験金属ガスケット30の中心軸と直行するA方向に沿った第1金属フランジ部材10の変位を測定可能となっている。
【0035】
上記横ずれ評価試験装置を用いて横ずれに対する試験金属ガスケット30の漏洩評価試験を行う場合、上述したように、加熱劣化された試験金属ガスケット30を挟持している第1および第2金属フランジ部材10、12を基台50上に支持する。その際、第2金属フランジ部材12を基台50の位置規制部52に装着し、A方向に沿った第2金属フランジ部材の移動を規制する。
【0036】
続いて、油圧シリンダ54、荷重計56、および変位計58をセットする。同時に、前述した検出ガス供給部44および漏洩検出部46をそれぞれ第1および第2金属フランジ部材10、12に接続する。
【0037】
この状態で、荷重計56を介して第1金属フランジ部材10の荷重負荷部10bに当接した油圧シリンダ54を作動させ、A方向に沿った静的荷重を第1金属フランジ部材10に負荷する。そして、荷重計56により測定しながら油圧シリンダ54による負荷荷重を、例えば、1mm/minの速度で徐々に増加させて行き、同時に、変位計58により第1金属フランジ部材10のA方向に沿った変位を測定する。これにより、第1金属フランジ部材10に負荷した荷重と変位量、つまり、第1金属フランジ部材の横ずれ量との関係を求める。
【0038】
次に、第1金属フランジ部材10のある変位量が生じた時点で油圧シリンダ54による負荷荷重を取り除き、無負荷にした状態で、検出ガス供給部44および漏洩検出部46を用いて検出空間17における検出ガスの漏洩率を測定する。
【0039】
そして、上記工程を繰り返すことにより、静的荷重に対する第1金属フランジ部材10の変位量をパラメータとして漏洩率を測定することにより、規定漏洩率に対する限界変位量、すなわち、試験金属ガスケット30の限界横ずれ量を求める。これにより、静的荷重による横ずれに対する試験金属ガスケット30の漏洩特性を評価することができる。
【0040】
一方、本実施の形態によれば、上述した静的横ずれ評価試験装置の他に、加熱劣化された試験金属ガスケット30について、動的荷重に対する試験金属ガスケットの横ずれ漏洩評価試験を行う動的横ずれ評価試験装置を備えている。
【0041】
図3および図4に示すように、動的横ずれ評価試験装置は基台60を備え、この基台上には、第1および第2金属フランジ部材10、12を保持するための剛壁62、および第2金属フランジ部材12に対して動的な荷重を負荷する荷重負荷機構64が設けられている。
【0042】
剛壁62には荷重計65が固定され、更に、荷重計には、第2金属フランジ部材12の一端がボルト67によって固定される。それにより、第2金属フランジ部材12は、試験金属ガスケット30の中心軸と直行するA方向に沿った移動が規制された状態で、ほぼ水平に固定支持される。この際、第2金属フランジ部材12は片持状態で支持され、第1金属フランジ部材10の荷重負荷部10bは自由端側に位置している。
【0043】
一方、荷重負荷機構64は、基台60上に立設された支持ポスト70を有し、この支持ポストには、リンク72を介して重錘74が揺動自在に吊り下げられている。すなわち、重錘74は、剛壁62に支持された第1金属フランジ部材10の荷重負荷部10bに衝突する図3に実線で示す衝突位置と、衝突位置から引き上げられて第1金属フランジ部材から離間する離間位置との間を揺動可能に支持されている。
【0044】
また、荷重負荷機構64は、重錘74を衝突位置から任意の離間位置まで引き上げる引き上げアーム76を有し、ハンドル77を介して引き上げアームを操作することにより、重錘74を任意の振り上げ角度に上昇させることができる。
【0045】
重錘74には、重錘が移動する際の加速度を測定する加速度計80が取り付けられている。更に、第1金属フランジ部材10と衝突する際の金属衝突的な応答を防止するため、重錘74の衝突面にはゴム等の緩衝材82が取り付けられている。
【0046】
上記横ずれ評価試験装置を用いて動的荷重に対する試験金属ガスケット30の横ずれ漏洩評価試験を行う場合、上述したように、加熱劣化された試験金属ガスケット30を挟持した第1および第2金属フランジ部材10、12を剛壁62に固定する。これにより、A方向に沿った第2金属フランジ部材12の移動を規制する。
【0047】
続いて、前述した検出ガス供給部44および漏洩検出部46をそれぞれ第1および第2金属フランジ部材10、12に接続した後、ハンドル77を介して引き上げアーム76を操作し、重錘74を任意の振り上げ角度θに上昇させる。この引き上げ角度θを調整することにより、第2金属フランジ部材12に負荷する衝撃荷重を選択および調整することができる。なお、重錘74の振り上げ角度θは、衝突位置における重錘の最終速度が0.4m/sec以上となるように調整する。
【0048】
この状態で、引き上げアーム76を切り離すと、重錘74は自身の重量により設定された離間位置から衝突位置に向かって揺動し、第1金属フランジ部材10の荷重負荷位置10bに衝突する。それにより、第1金属フランジ部材10には、A方向に沿った所定の衝突荷重が負荷される。その際、荷重計65によって衝突荷重を測定するとともに、第1金属フランジ部材10のA方向への変位量、つまり、横ずれ量を測定する。変位量の測定は、重錘74に取り付けられた加速度計80の測定値を2回積分することにより求める。なお、重錘74は緩衝材82を介して第1金属フランジ部材10に衝突するため、金属衝突的な高い応答を防止することができる。
【0049】
以上の工程により、第1金属フランジ部材10に負荷した衝撃荷重と変位量、つまり、第1金属フランジ部材の横ずれ量との関係を求める。そして、第1金属フランジ部材10のある変位量が生じた時点で、検出ガス供給部44および漏洩検出部46を用いて検出空間17における検出ガスの漏洩率を測定する。
【0050】
重錘74の振り上げ角度θを変えて上記工程を繰り返すことにより、動的荷重に対する第1金属フランジ部材10の変位量をパラメータとして漏洩率を測定し、規定漏洩率に対する限界変位量、すなわち、試験金属ガスケット30の限界横ずれ量を求める。これにより、動的荷重による横ずれに対する試験金属ガスケット30の漏洩特性を評価することができる。
【0051】
以上のように構成された金属ガスケットの特性評価方法および評価試験装置によれば、第1および第2金属フランジ部材10、12、およびこれらの金属フランジ部材によって所定の締付力が負荷された試験金属ガスケット32を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱することにより、円周方向に沿った熱変形のばらつきを生じることなく試験金属ガスケットおよび金属フランジ部材全体を均一に加熱することができる。これにより、試験金属ガスケット32の全周に亘って締付力を均一に作用させ、応力緩和特性を高い精度で評価することが可能となる。また、応力緩和特性の評価の間、同時に、検出ガスを用いて試験金属ガスケット32の漏洩検査を行うことができる。
【0052】
上記のように構成された金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置によれば、所定の締付力で締付けられた上記金属ガスケット、第1および第2金属フランジ部材を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱することにより、円周方向に沿った熱変形のばらつきを生じることなく金属ガスケットおよび金属フランジ部材全体を均一に加熱することができる。これにより、金属ガスケットを全周に亘って均一に加熱劣化させることが可能となる。そして、加熱劣化後、第2金属フランジ部材を固定した状態で、金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿って第1金属フランジ部材に荷重を負荷し、上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定するとともに上記金属ガスケットの漏洩検査を行うことにより、第1金属フランジ部材の変位量に対する漏洩率、つまり、横ずれに対する漏洩評価を行うことができる。
【0053】
また、第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った静的な荷重を連続的に負荷することにより、あるいは、上記方向に沿った動的な荷重を負荷することにより、第1金属フランジ部材の変位量およびその変位量に対する漏洩率を測定することができる。そして、静的な荷重に対する第1金属フランジ部材の変位量および漏洩率を測定することにより、例えば、蓋体の過度の熱膨張に起因した金属ガスケットの横ずれに対する漏洩評価を行うことができる。また、動的な荷重に対する第1金属フランジ部材の変位量および漏洩率を測定することにより、例えば、衝突等の高い加速度で金属ガスケットが横ずれした場合の漏洩評価を行うことができる。
【0054】
従って、本実施の形態に係る評価試験方法および評価試験装置によれば、高温下で長期間、例えば、60年間使用した後においても優れた密閉効果を維持可能な金属ガスケットを正確に評価することができ、この金属ガスケットを用いて金属キャスク等の密閉容器を構成することにより、密閉性に優れ安全性の高い密閉容器を得ることができる。
【0055】
なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、第1および第2金属フランジ部材は、円盤状に限定されることなく、必要に応じて変更可能であり、かつ、その材質も種々選択可能である。また、上述した静的横ずれ評価試験装置において、荷重負荷部材は油圧シリンダに限らず、他の負荷手段を用いてもよい。同様に、動的横ずれ評価試験装置において、重錘は揺動自在に設けられたものに限らず、例えば、水平方向に沿って直線的に移動可能に設けられていてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、金属ガスケットを均一に加熱劣化させることにより金属ガスケットの特性を正確に評価可能な金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る評価試験装置を概略的に示す断面図。
【図2】上記評価試験装置により測定した応力緩和特性を示す図。
【図3】この発明の実施の形態に係る評価試験装置における押圧装置を示す側面図、第1および第2金属フランジ部材の平面図、および第1および第2金属フランジ部材の一部を拡大して示す断面図。
【図4】上記評価試験装置による応力緩和特性評価および復元特性評価時の荷重と変位量との関係を示す図。
【符号の説明】
10…第1金属フランジ部材
12…第2金属フランジ部材
16…ボルト
20…歪ゲージ
30…試験金属ガスケット
32…Oリング
26…制御部
44…検出ガス供給部
46…漏洩検出部
56…油圧シリンダ
52…位置規制部
56、65…荷重計
58…変位計
62…剛壁
64…荷重負荷機構
74…重錘
80…加速度計
82…緩衝材
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射性物質を貯蔵するための密閉容器、いわゆる金属キャスクに用いられる金属ガスケットの特性評価、例えば、横ずれが発生した場合の漏洩評価等を行うための評価試験方法および評価試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉の使用済燃料に代表される高放射性物質は、解体処理されるとともに、プルトニウム等の再度燃料として使用可能な有用物質を回収するため、再処理される。通常、使用済燃料は、電子力発電所で密閉容器、いわゆる金属キャスクに収納され、トラック等によって再処理施設に搬送され貯蔵される。そして、このような使用済燃料は高放射性物質であるため、これを収納した金属キャスクは、放射性物質に対する高い密閉性および遮蔽性を有し、かつ、長期間に亘ってその密閉性および遮蔽性を維持することが必要となる。
【0003】
一般に、金属キャスクは、ステンレス、炭素鋼等の金属によって形成されているとともに上端が開口した容器本体と、例えば高分子材料の合成樹脂により形成され容器本体の外周を覆った中性子遮蔽体と、を備え、容器本体の上端開口は、一次蓋および二次蓋によって閉塞されている。これらの一次蓋および二次蓋は、容器本体の上端に設けられた肩部にそれぞれボルト止めされているとともに、容器本体と一次蓋とのシール面、および容器本体と二次蓋とのシール面には、それぞれ金属ガスケットが設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成された金属キャスクでは、輸送時あるいは積み下ろし作業時に落下や転倒等の事故が生じる恐れがあり、落下、転倒によって大きな衝撃を受けた場合でも、一次蓋および二次蓋の密閉機能を十分に保持し、放射線に対するキャスクの密閉性および遮蔽性を確実に担保する必要がある。
【0005】
一次蓋および二次蓋のシール部に用いられる金属ガスケットは、高温、高線量条件下における使用に耐えることができ、長期間に亘って高い密閉性を維持することができる反面、熱変形や衝撃等により蓋が僅かにずれた場合、密閉性が低下する恐れがある。特に、長期間の使用により金属ガスケットの応力緩和特性、復元特性等の密閉能力が低下するため、蓋の僅かなずれによって金属キャスクの密閉性が大幅に劣化する。蓋がずれる要因としては、火災事故の発生等によって蓋が過度に加熱され、ゆっくりと横ずれ、すなわち、蓋の平面方向に沿ってずれる場合、あるいは、衝突等にいより高い加速度で横ずれする場合等が考えられる。
【0006】
従って、金属ガスケットの使用に当たっては、長期間使用した後の金属ガスケットの特性を予め評価し、長期間使用後においても高い密閉能力を維持可能な金属ガスケットを用いる必要がある。
【0007】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、金属ガスケットの特性を高い精度で評価可能な金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明に係る金属ガスケットの評価試験方法は、対向配置された第1および第2金属フランジ部材間に環状の金属ガスケットを配置するとともに、上記第1及び第2金属フランジ部材に設けられた複数のボルトによって上記第1及び第2金属フランジ部材を互いに接近する方向へ締付けることにより、上記金属ガスケットを所定の締付力で上記第1および第2金属フランジ部材間に挟持し、上記所定の締付力で締付けられた上記金属ガスケット、第1及び第2金属フランジ部材を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱して上記金属ガスケットを劣化させ、上記加熱劣化の後、第2金属フランジ部材を固定した状態で、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿って上記第1金属フランジ部材に荷重を負荷し、上記荷重を負荷した際の上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定するとともに上記金属ガスケットの漏洩検査を行い、第1金属フランジ部材の変位量に対する漏洩率を求めることを特徴としている。
【0009】
また、この発明に係る金属ガスケットの評価試験装置は、上記加熱劣化された金属ガスケットを挟持しているとともに上記ボルトによって締付られた第1および第2金属フランジ部材を支持する基台と、上記基台に対し、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿った上記第2金属フランジ部材の移動を規制する位置規制部と、上記基台上に支持された上記第1金属フランジ部材に、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿って荷重を負荷する荷重負荷手段と、上記第1金属フランジ部材に荷重を負荷した際の上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定する変位測定手段と、上記金属ガスケットの漏洩検査を行う漏洩検査手段と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
上記のように構成された金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置によれば、上記所定の締付力で締付けられた上記金属ガスケット、第1および第2金属フランジ部材を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱することにより、円周方向に沿った熱変形のばらつきを生じることなく金属ガスケットおよび金属フランジ部材全体を均一に加熱することができる。これにより、金属ガスケットを全周に亘って均一に加熱劣化させることが可能となる。そして、加熱劣化後、第2金属フランジ部材を固定した状態で、金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿って第1金属フランジ部材に荷重を負荷し、上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定するとともに上記金属ガスケットの漏洩検査を行うことにより、第1金属フランジ部材の変位量に対する漏洩率、つまり、横ずれに対する漏洩評価を行うことができる。
【0011】
また、この発明に係る金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置によれば、上記第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った静的な荷重を連続的に負荷することにより、あるいは、上記方向に沿った動的な荷重を負荷することにより、第1金属フランジ部材の変位量およびその変位量に対する漏洩率を測定している。
【0012】
静的な荷重に対する第1金属フランジ部材の変位量および漏洩率を測定することにより、例えば、蓋体の過度の熱膨張に起因した金属ガスケットの横ずれに対する漏洩評価を行うことができる。また、動的な荷重に対する第1金属フランジ部材の変位量および漏洩率を測定することにより、例えば、衝突等の高い加速度で金属ガスケットが横ずれした場合の漏洩評価を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係る金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る金属ガスケットの評価試験装置は、それぞれSUS304等の金属によって形成されたほぼ円盤状の第1および第2金属フランジ部材10、12を備えている。第1および第2金属フランジ部材10、12は、ほぼ同一の外径を有し、その内面同士が対向した状態で配置されている。
【0014】
第1金属フランジ部材10の外周部には、円周方向に所定の間隔を置いて多数の透孔14が形成されている。また、第2金属フランジ部材12の外周部には、円周方向に所定の間隔を置いて多数のねじ孔15が形成され、透孔14と整列している。第1金属フランジ部材10の内面は平坦に形成され、その周縁部には環状溝10aが同軸的に形成されている。また、第2金属フランジ部材12の内面は平坦に形成され、その中央部には凹所12aが形成されている。
【0015】
対向配置した状態において、第1および第2金属フランジ部材10、12の間には、凹所12aによって検出空間17が形成され、また、環状溝10aにより環状の装着空間22が形成される。後述するように、装着空間22には、評価試験対象となる試験金属ガスケット30、およびその外側に位置した環状のOリング32が装着される。
【0016】
また、図1において、第1金属フランジ部材10の右端部は第2金属フランジ部材12の右端部よりも僅かに外側に突出し、荷重を負荷するための荷重負荷部10bを構成している。更に、後述する横ずれ評価試験において第2金属フランジ部材12に対する第1金属フランジ部材10の横ずれを許容するように、第1および第2金属フランジ部材10、12間には、試験金属ガスケット30の中心軸と直行する方向に沿った隙間aが規定されている。
【0017】
そして、第1および第2金属フランジ部材10、12を対向配置した状態で、第1金属フランジ部材の各透孔14に挿通されたボルト16を第2金属フランジ部材12のねじ孔15に締め込むことにより、第1および第2金属フランジ部材同士を互いに接近する方向へ締付けることができる。各ボルト16は、金属フランジ部材と同一の金属材料で形成されていることが望ましい。また、各ボルト16は、Oリング32の剛性に対して、50〜100倍の剛性を有していることが望ましい。
【0018】
ボルト16の少なくとも1本、望ましくは複数本、には、ボルトの締付力を測定するための歪ゲージ20が取り付けられている。また、第1金属フランジ部材10内において、装着空間22の近傍には複数の温度センサ24が設けられ、円周方向沿って等間隔を置いて配置されている。なお、温度センサ24は第2金属フランジ部材12に設けられていてもよい。
上述した各歪ゲージ20および温度センサ24は制御部26に接続され、測定信号を制御部26に入力する。
【0019】
一方、評価試験装置は、ボルト16によって締付けられた第1および第2金属フランジ部材10、12全体を加熱するための加熱炉28を備えている。加熱炉28内には基準ボルト40が設けられ、この基準ボルトには基準歪ゲージ43が取付けられている。基準ボルト40は、第1および第2金属フランジ部材10、12を締付けるボルト16と同一の寸法および同一の材料で形成されている。そして、基準歪ゲージ43は制御部26に接続され、熱による検出値変化、つまり、温度ドリフトを測定し制御部に入力する。
【0020】
更に、評価試験装置は、検出ガスとして例えばヘリウムを供給する検出ガス供給部44、および検出ガスの漏洩を検出する漏洩検出部46を備えている。検出ガス供給部44は、第1および第2金属フランジ部材10、12間で、試験金属ガスケット30とOリング32との間の密閉空間に検出ガスを供給し、また、漏洩検出部46は、第1および第2金属フランジ部材間に規定された検出空間17に接続されている。検出ガス供給部44および漏洩検出部46は、この発明における漏洩検査手段を構成している。
【0021】
次に、上述した評価試験装置を用いて試験金属ガスケットの横ずれ漏洩率を評価する評価試験方法について説明する。
図1に示すように、まず、第1および第2金属フランジ部材10、12間の装着空間22に、環状の試験金属ガスケット30を金属フランジ部材と同軸的に配置し、更に、試験金属ガスケットの外側に、Oリング32を同軸的にかつ所定の隙間を置いて配置する。
【0022】
更に、複数のボルト16を徐々に締め込み、試験金属ガスケット30およびOリング32を所定の締付力、例えば、5×10−11Pa・m3/secで第1および第2金属フランジ部材10、12間に挟持する。この際、締付力が試験金属ガスケット30の全周に亘って均一に作用するよう、歪ゲージ20によって締付力を測定しながら各ボルト16を均一な力で締め込む。なお、締付力は、例えば、試験金属ガスケット30の圧縮量が0.7mmとなるように設定する。
【0023】
上記のように試験金属ガスケット30およびOリング32を締付けた状態において、試験金属ガスケット30とOリング32との間には、これらガスケットおよびOリングにより密閉されたの環状空間が形成されている。同時に、検出空間17は試験金属ガスケット30によって密閉されている。
【0024】
続いて、試験金属ガスケット30とOリング32との間の密閉空間に検出ガス供給部44を、また、検出空間17に漏洩検出部46をそれぞれ接続する。この状態で、予め漏洩検査を行う。すなわち、検出ガス供給部44から上記密閉空間にヘリウムを供給し、試験金属ガスケット30を介して検出空間17に漏洩するヘリウムの有無を漏洩検出部46によって検出する。
【0025】
ヘリウムの漏洩が無いことを確認した後、試験金属ガスケット30およびOリング32を挟持した第1および第2金属フランジ部材10、12を加熱炉28内に配置する。この加熱炉28内には、基準歪ゲージ43が取付けられた基準ボルト40を予め配置しておく。続いて、加熱炉28により、試験金属ガスケット30、Oリング32、第1および第2金属フランジ部材10、12の全体、並びに基準ボルト40を所定の温度で所定時間だけ加熱する。これにより、試験金属ガスケット30を加熱劣化させ、試験金属ガスケットを例えば60年間使用した状態を作り出す。また、その間、歪ゲージ20によって締付力の変化を測定することにより、試験金属ガスケットの応力緩和、すなわち、反発力の低下を測定する。
【0026】
加熱劣化条件は、劣化パラメータをLMPとした場合、
LMP=T(20+logt)
によって表される。ここで、Tは温度(℃)、tは時間(Hr)とする。
【0027】
例えば、実際の使用において、金属ガスケットを120℃の環境下で60年間使用する場合を想定すると、120℃×60年のLMPは、
LMP=393(20+log5256000)≒10108
となる。上述した評価試験装置により試験金属ガスケット30を加速加熱劣化させて上記と同一の劣化条件を作りだす場合、加熱温度を200℃とすると、必要な加熱時間tは、
logt=(10108/473)−20、 t≒24(Hr)
となる。従って、加熱炉28内において、試験金属ガスケット30を200℃で約24時間だけ加熱することにより、金属ガスケットを120℃の環境下で60年間使用した劣化状態を設定することができる。
【0028】
なお、上記加熱炉28を用いた加熱劣化では、温度センサ24により試験金属ガスケット30の温度を測定しながら、温度管理を行う。
【0029】
そして、加熱炉28を用いた加熱劣化工程の間、歪ゲージ20からの測定出力に基づき、締付力の変化を制御部26によって検出する。検出された締付力Fは加熱時間の経過に伴い徐々に低下する。そして、締付力の低下は、試験金属ガスケット30の反発力の低下に対応しているため、試験金属ガスケットの応力緩和特性を測定することができる。
【0030】
また、上述した締付力の検出は、基準歪ゲージ43の検出値変動、つまり、温度ドリフトを考慮して行う。すなわち、高温環境下で歪ゲージを用いる場合、熱により歪ゲージの検出値が変動する恐れがある。そこで、上記加熱劣化工程の間、加熱炉28内に設けられた基準歪ゲージ43の検出値を制御部26によって測定し、加熱に起因する検出値の変動を検出する。そして、制御部26は、上記検出値変動に応じて、歪ゲージ20により測定された締付力の値を補正する。これにより、高温条件下においても、歪ゲージ20の温度ドリフトを補正し、正確な締付力の測定および応力緩和特性の評価を行うことができる。
【0031】
上記加熱劣化工程の終了後、検出ガス供給部44および漏洩検出部46により再度、漏洩検査を行う。なお、この漏洩検査は、加熱劣化工程中に任意のタイミングで行ってもよい。そして、応力緩和特性の評価は、図2に矢印Aで示す漏洩限界荷重、例えば、1×10−11Pa・m3/secを指標として行い、かつ、実際に漏洩検査により確認する。
【0032】
また、本実施の形態によれば、上記のようにして加熱劣化された試験金属ガスケット30について、横ずれに対する漏洩評価試験を行う。図2に示すように、評価試験装置は静的横ずれ評価試験装置を備えている。この静的横ずれ評価試験装置は、第1および第2金属フランジ部材10、12を支持する基台50を備え、この基台の上面には、第2金属フランジ部材12に対応した形状の凹所からなる位置規制部52が形成されている。そして、第2金属フランジ部材12は、位置規制部52内に装着された状態で基台50上に配置され、試験金属ガスケット30の中心軸と直交する方向に沿った移動が規制される。
【0033】
また、基台50には、荷重負荷手段の押圧部材として機能する油圧シリンダ54が取り付けられている。この油圧シリンダ54は、基台50上に支持された試験金属ガスケット30の中心軸と直行するA方向に移動可能なシリンダ55を有し、その延出端は、荷重計56を間に挟んで第1金属フランジ部材10の荷重負荷部10bに当接している。
【0034】
更に、静的横ずれ試験評価装置は、基台50あるいは第2金属フランジ部材12に取り付けられた変位計58を備えている。変位計58は、第1金属フランジ部材10を挟んで油圧シリンダ54の反対側に配置され、その測定子58aは、図2において、第1金属フランジ部材10の左端に当接している。これにより、変位計58は、試験金属ガスケット30の中心軸と直行するA方向に沿った第1金属フランジ部材10の変位を測定可能となっている。
【0035】
上記横ずれ評価試験装置を用いて横ずれに対する試験金属ガスケット30の漏洩評価試験を行う場合、上述したように、加熱劣化された試験金属ガスケット30を挟持している第1および第2金属フランジ部材10、12を基台50上に支持する。その際、第2金属フランジ部材12を基台50の位置規制部52に装着し、A方向に沿った第2金属フランジ部材の移動を規制する。
【0036】
続いて、油圧シリンダ54、荷重計56、および変位計58をセットする。同時に、前述した検出ガス供給部44および漏洩検出部46をそれぞれ第1および第2金属フランジ部材10、12に接続する。
【0037】
この状態で、荷重計56を介して第1金属フランジ部材10の荷重負荷部10bに当接した油圧シリンダ54を作動させ、A方向に沿った静的荷重を第1金属フランジ部材10に負荷する。そして、荷重計56により測定しながら油圧シリンダ54による負荷荷重を、例えば、1mm/minの速度で徐々に増加させて行き、同時に、変位計58により第1金属フランジ部材10のA方向に沿った変位を測定する。これにより、第1金属フランジ部材10に負荷した荷重と変位量、つまり、第1金属フランジ部材の横ずれ量との関係を求める。
【0038】
次に、第1金属フランジ部材10のある変位量が生じた時点で油圧シリンダ54による負荷荷重を取り除き、無負荷にした状態で、検出ガス供給部44および漏洩検出部46を用いて検出空間17における検出ガスの漏洩率を測定する。
【0039】
そして、上記工程を繰り返すことにより、静的荷重に対する第1金属フランジ部材10の変位量をパラメータとして漏洩率を測定することにより、規定漏洩率に対する限界変位量、すなわち、試験金属ガスケット30の限界横ずれ量を求める。これにより、静的荷重による横ずれに対する試験金属ガスケット30の漏洩特性を評価することができる。
【0040】
一方、本実施の形態によれば、上述した静的横ずれ評価試験装置の他に、加熱劣化された試験金属ガスケット30について、動的荷重に対する試験金属ガスケットの横ずれ漏洩評価試験を行う動的横ずれ評価試験装置を備えている。
【0041】
図3および図4に示すように、動的横ずれ評価試験装置は基台60を備え、この基台上には、第1および第2金属フランジ部材10、12を保持するための剛壁62、および第2金属フランジ部材12に対して動的な荷重を負荷する荷重負荷機構64が設けられている。
【0042】
剛壁62には荷重計65が固定され、更に、荷重計には、第2金属フランジ部材12の一端がボルト67によって固定される。それにより、第2金属フランジ部材12は、試験金属ガスケット30の中心軸と直行するA方向に沿った移動が規制された状態で、ほぼ水平に固定支持される。この際、第2金属フランジ部材12は片持状態で支持され、第1金属フランジ部材10の荷重負荷部10bは自由端側に位置している。
【0043】
一方、荷重負荷機構64は、基台60上に立設された支持ポスト70を有し、この支持ポストには、リンク72を介して重錘74が揺動自在に吊り下げられている。すなわち、重錘74は、剛壁62に支持された第1金属フランジ部材10の荷重負荷部10bに衝突する図3に実線で示す衝突位置と、衝突位置から引き上げられて第1金属フランジ部材から離間する離間位置との間を揺動可能に支持されている。
【0044】
また、荷重負荷機構64は、重錘74を衝突位置から任意の離間位置まで引き上げる引き上げアーム76を有し、ハンドル77を介して引き上げアームを操作することにより、重錘74を任意の振り上げ角度に上昇させることができる。
【0045】
重錘74には、重錘が移動する際の加速度を測定する加速度計80が取り付けられている。更に、第1金属フランジ部材10と衝突する際の金属衝突的な応答を防止するため、重錘74の衝突面にはゴム等の緩衝材82が取り付けられている。
【0046】
上記横ずれ評価試験装置を用いて動的荷重に対する試験金属ガスケット30の横ずれ漏洩評価試験を行う場合、上述したように、加熱劣化された試験金属ガスケット30を挟持した第1および第2金属フランジ部材10、12を剛壁62に固定する。これにより、A方向に沿った第2金属フランジ部材12の移動を規制する。
【0047】
続いて、前述した検出ガス供給部44および漏洩検出部46をそれぞれ第1および第2金属フランジ部材10、12に接続した後、ハンドル77を介して引き上げアーム76を操作し、重錘74を任意の振り上げ角度θに上昇させる。この引き上げ角度θを調整することにより、第2金属フランジ部材12に負荷する衝撃荷重を選択および調整することができる。なお、重錘74の振り上げ角度θは、衝突位置における重錘の最終速度が0.4m/sec以上となるように調整する。
【0048】
この状態で、引き上げアーム76を切り離すと、重錘74は自身の重量により設定された離間位置から衝突位置に向かって揺動し、第1金属フランジ部材10の荷重負荷位置10bに衝突する。それにより、第1金属フランジ部材10には、A方向に沿った所定の衝突荷重が負荷される。その際、荷重計65によって衝突荷重を測定するとともに、第1金属フランジ部材10のA方向への変位量、つまり、横ずれ量を測定する。変位量の測定は、重錘74に取り付けられた加速度計80の測定値を2回積分することにより求める。なお、重錘74は緩衝材82を介して第1金属フランジ部材10に衝突するため、金属衝突的な高い応答を防止することができる。
【0049】
以上の工程により、第1金属フランジ部材10に負荷した衝撃荷重と変位量、つまり、第1金属フランジ部材の横ずれ量との関係を求める。そして、第1金属フランジ部材10のある変位量が生じた時点で、検出ガス供給部44および漏洩検出部46を用いて検出空間17における検出ガスの漏洩率を測定する。
【0050】
重錘74の振り上げ角度θを変えて上記工程を繰り返すことにより、動的荷重に対する第1金属フランジ部材10の変位量をパラメータとして漏洩率を測定し、規定漏洩率に対する限界変位量、すなわち、試験金属ガスケット30の限界横ずれ量を求める。これにより、動的荷重による横ずれに対する試験金属ガスケット30の漏洩特性を評価することができる。
【0051】
以上のように構成された金属ガスケットの特性評価方法および評価試験装置によれば、第1および第2金属フランジ部材10、12、およびこれらの金属フランジ部材によって所定の締付力が負荷された試験金属ガスケット32を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱することにより、円周方向に沿った熱変形のばらつきを生じることなく試験金属ガスケットおよび金属フランジ部材全体を均一に加熱することができる。これにより、試験金属ガスケット32の全周に亘って締付力を均一に作用させ、応力緩和特性を高い精度で評価することが可能となる。また、応力緩和特性の評価の間、同時に、検出ガスを用いて試験金属ガスケット32の漏洩検査を行うことができる。
【0052】
上記のように構成された金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置によれば、所定の締付力で締付けられた上記金属ガスケット、第1および第2金属フランジ部材を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱することにより、円周方向に沿った熱変形のばらつきを生じることなく金属ガスケットおよび金属フランジ部材全体を均一に加熱することができる。これにより、金属ガスケットを全周に亘って均一に加熱劣化させることが可能となる。そして、加熱劣化後、第2金属フランジ部材を固定した状態で、金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿って第1金属フランジ部材に荷重を負荷し、上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定するとともに上記金属ガスケットの漏洩検査を行うことにより、第1金属フランジ部材の変位量に対する漏洩率、つまり、横ずれに対する漏洩評価を行うことができる。
【0053】
また、第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った静的な荷重を連続的に負荷することにより、あるいは、上記方向に沿った動的な荷重を負荷することにより、第1金属フランジ部材の変位量およびその変位量に対する漏洩率を測定することができる。そして、静的な荷重に対する第1金属フランジ部材の変位量および漏洩率を測定することにより、例えば、蓋体の過度の熱膨張に起因した金属ガスケットの横ずれに対する漏洩評価を行うことができる。また、動的な荷重に対する第1金属フランジ部材の変位量および漏洩率を測定することにより、例えば、衝突等の高い加速度で金属ガスケットが横ずれした場合の漏洩評価を行うことができる。
【0054】
従って、本実施の形態に係る評価試験方法および評価試験装置によれば、高温下で長期間、例えば、60年間使用した後においても優れた密閉効果を維持可能な金属ガスケットを正確に評価することができ、この金属ガスケットを用いて金属キャスク等の密閉容器を構成することにより、密閉性に優れ安全性の高い密閉容器を得ることができる。
【0055】
なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、第1および第2金属フランジ部材は、円盤状に限定されることなく、必要に応じて変更可能であり、かつ、その材質も種々選択可能である。また、上述した静的横ずれ評価試験装置において、荷重負荷部材は油圧シリンダに限らず、他の負荷手段を用いてもよい。同様に、動的横ずれ評価試験装置において、重錘は揺動自在に設けられたものに限らず、例えば、水平方向に沿って直線的に移動可能に設けられていてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、金属ガスケットを均一に加熱劣化させることにより金属ガスケットの特性を正確に評価可能な金属ガスケットの評価試験方法および評価試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る評価試験装置を概略的に示す断面図。
【図2】上記評価試験装置により測定した応力緩和特性を示す図。
【図3】この発明の実施の形態に係る評価試験装置における押圧装置を示す側面図、第1および第2金属フランジ部材の平面図、および第1および第2金属フランジ部材の一部を拡大して示す断面図。
【図4】上記評価試験装置による応力緩和特性評価および復元特性評価時の荷重と変位量との関係を示す図。
【符号の説明】
10…第1金属フランジ部材
12…第2金属フランジ部材
16…ボルト
20…歪ゲージ
30…試験金属ガスケット
32…Oリング
26…制御部
44…検出ガス供給部
46…漏洩検出部
56…油圧シリンダ
52…位置規制部
56、65…荷重計
58…変位計
62…剛壁
64…荷重負荷機構
74…重錘
80…加速度計
82…緩衝材
Claims (14)
- 対向配置された第1および第2金属フランジ部材間に環状の金属ガスケットを配置するとともに、上記第1及び第2金属フランジ部材に設けられた複数のボルトによって上記第1及び第2金属フランジ部材を互いに接近する方向へ締付けることにより、上記金属ガスケットを所定の締付力で上記第1および第2金属フランジ部材間に挟持し、
上記所定の締付力で締付けられた上記金属ガスケット、第1及び第2金属フランジ部材を加熱炉内で所定時間、所定の温度で加熱して上記金属ガスケットを劣化させ、
上記加熱劣化の後、第2金属フランジ部材を固定した状態で、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿った荷重を上記第1金属フランジ部材に負荷し、
上記荷重を負荷した際の上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定するとともに上記金属ガスケットの漏洩検査を行い、第1金属フランジ部材の変位量に対する漏洩率を求めることを特徴とする金属ガスケットの評価試験方法。 - 上記第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った静的な荷重を連続的に負荷することを特徴とする請求項1に記載の金属ガスケットの評価試験方法。
- 上記第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った静的な荷重を約1mm/minの速度で増加させながら連続的に負荷し、上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の任意の変位量が測定された時点で上記荷重を取り除き、上記金属ガスケットの漏洩率を測定することを特徴とする請求項2に記載の金属ガスケットの評価試験方法。
- 上記第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った動的な荷重を負荷することを特徴とする請求項1に記載の金属ガスケットの評価試験方法。
- 上記方向に沿って約0.1m/s以上の速度を有した動的な荷重を上記第1金属フランジ部材に負荷し、上記荷重の負荷後、上記第1金属フランジ部材の変位量を測定するともに上記金属ガスケットの漏洩率を測定することを特徴とする金属ガスケットの評価試験方法。
- 上記錘を上記第1金属フランジ部材に衝突させて衝撃荷重を負荷し、上記錘の加速度を2回積分することにより上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を求めることを特徴とする金属ガスケットの評価試験方法。
- 上記錘の加速度を変更して上記第1金属フランジ部材に異なる衝撃荷重を負荷し、上記第1金属フランジ部材の変位量を求めるとともに漏洩検査を行うことをことを特徴とする請求項6に記載の金属ガスケットの評価試験方法。
- 上記第1および第2金属フランジ部材間で上記金属ガスケットの外側にOリングを配置した状態で、上記金属ガスケットを上記所定の締付力で挟持するとともに、
上記漏洩検査は、上記第1および第2金属フランジ部材間で上記金属ガスケットとOリングとの間に検出ガスを供給し、上記第1および第2金属フランジ部材間で上記金属ガスケットの内側の空間における上記検出ガスの漏洩を検出することにより行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の金属ガスケットの評価試験方法。 - 請求項1に記載の金属ガスケットの特性評価方法に用いる金属ガスケットの評価試験装置において、
上記加熱劣化された金属ガスケットを挟持しているとともに上記ボルトによって締付られた第1および第2金属フランジ部材を支持する基台と、
上記基台に対し、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿った上記第2金属フランジ部材の移動を規制する位置規制部と、
上記基台上に支持された上記第1金属フランジ部材に、上記金属ガスケットの中心軸と直交する方向に沿った荷重を負荷する荷重負荷手段と、
上記第1金属フランジ部材に荷重を負荷した際の上記方向に沿った上記第1金属フランジ部材の変位量を測定する変位測定手段と、
上記金属ガスケットの漏洩検査を行う漏洩検査手段と、
を備えていることを特徴とする金属ガスケットの評価試験装置。 - 上記荷重負荷手段は、上記第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った静的な荷重を連続的に負荷する押圧部材を備えていることを特徴とする請求項9に記載の金属ガスケットの評価試験装置。
- 上記押圧部材は上記基台に取付けられた油圧シリンダを有していることを特徴とする請求項10に記載の金属ガスケットの評価試験装置。
- 上記荷重負荷手段は、上記第1金属フランジ部材に対し、上記方向に沿った動的な荷重を負荷する荷重負荷機構を備えていることを特徴とする請求項11に記載の金属ガスケットの評価試験装置。
- 上記荷重負荷機構は、錘と、この錘を、上記第1金属フランジ部材から離間する離間位置と、上記第1金属フランジ部材に衝突する衝突位置との間で移動可能に支持した錘支持部と、を備えていることを特徴とする請求項12に記載の金属ガスケットの評価試験装置。
- 上記漏洩検査手段は、上記第1および第2金属フランジ部材間で上記金属ガスケットの外側に配置されたOリングと、上記第1および第2金属フランジ部材間で上記金属ガスケットとOリングとの間に検出ガスを供給する検出ガス供給部と、上記第1および第2金属フランジ部材間で上記金属ガスケットの内側の空間における上記検出ガスの漏洩を検出する漏洩検出部と、を備えていることを特徴とする請求項8ないし13のいずれか1項に記載の金属ガスケットの評価試験装置。
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