JP3690998B2

JP3690998B2 - 陶器質タイル

Info

Publication number: JP3690998B2
Application number: JP2001183160A
Authority: JP
Inventors: 誠基元広; 裕明久野; 克久福本
Original assignee: Inax Corp
Current assignee: Inax Corp
Priority date: 2001-06-18
Filing date: 2001-06-18
Publication date: 2005-08-31
Anticipated expiration: 2020-08-31
Also published as: JP2002029820A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、壁面等に施工される陶器質タイルに関するものである。より詳しくは、壁面などに施工され、施工後にもひび割れの生ずることのない薄く形成された、吸水率が大きく、かつ水和膨張率が小さい陶器質タイルに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、陶器質タイルは、数μｍ程度の粒子径を有する原料を混合し、成形型内で圧力を加えて成形し、その後に乾燥し、乾燥後に１１００℃程度で焼成して素焼製品を得て、その後に表面に釉薬を塗布し、さらに焼成して製品化されている。
このような陶器質タイルの素焼品の組成は、例えばシリカ（ＳｉＯ₂）７１重量％、アルミナ１８．６重量％、鉄０．７重量％、カルシア（ＣａＯ）７．９重量％、マグネシア（ＭｇＯ）０．１重量％、カリ０．７重量％、ソーダ０．１重量％、チタン０．４重量％の組成割合となっている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
このような組成における水和膨張率は０．０６％程度であり、そのような組成からなる製品を建物の壁面等に貼着等して施工した場合、施工後に何年か経って空中等の水分を吸収して膨張し、ひび割れ（貫入）が発生する問題があった。尚、このようなひび割れを防ぐために、２００×２００mm程度の大型タイル製品においては厚みを７mm程度の厚いものとしており、厚みを増加させることにより曲げ強度の増大を図っていた。しかし、このように厚みを厚くすれば製品の重量が増し、原料量も大となり、製品コストが大となり、重量が大であるため搬送効率が悪化してしまうという問題点があった。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、水和膨張率が小さく曲げ強度が大で、薄い製品とし得る陶器質タイルを提供せんことを目的とし、その要旨は、焼成後の製品組成中に、マグネシア（ＭｇＯ）が２〜１０重量％、カルシア（ＣａＯ）が３〜１５重量％の範囲で含まれていることである。
【０００５】
そして、製品組成中にマグネシアを２〜１０重量％の範囲で、かつカルシアを３〜１５重量％の範囲で含ませることにより、従来のものに比べて水和膨張率を小さくし、かつ曲げ強度を大とすることができ、これにより、施工後のひび割れの生じない薄く形成された製品とすることができるという優れた作用を奏する。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施の形態に関し実施例に基づき図面を参酌して説明する。
【０００７】
【実施例】
陶器質タイルを製造するに際し、原料の粒子径を従来よりも大な１０μｍ程とし、これを混合して型内で、従来の３００kgf/cm²の圧力よりも低い圧力で成形し、その後に、従来の焼成温度よりも低い温度で焼成してタイルの素焼品を得て、この素焼品の組成を分析したところ、その組成は、シリカ（ＳｉＯ₂）６８重量％、アルミナ１８．３重量％、鉄０．７重量％、カルシア８．１重量％、マグネシア３．２重量％、カリ１．０重量％、ソーダ０．１重量％、チタン０．４重量％であった。
【０００８】
このような組成を有する素焼品の吸水率は１２％であり、また細孔率は０．６５cm²/g であった。発明者らは、その他、組成の異なる素焼品を多数製造して、それぞれについて水和膨張率と曲げ強度を試験した結果、図１および図２に示すような結果を得ることができた。
図１に示すように、ａ線で示す従来の組成を有するものに比べて、組成中にマグネシアとカルシアの量が多いｂ線で示す製品では、水和膨張率が従来のものに比べて小さくなることを見いだし、また図２に示すように、従来組成品ではａで示す曲げ強度（メガパスカル）であるが、マグネシアとカルシアの量を大とすることにより、ｂで示すように曲げ強度が大となることを見いだした。
【０００９】
このように陶器質タイルの水和膨張率が小さくかつ曲げ強度が大となる範囲は、発明者らの実験によれば、素焼品の組成中におけるマグネシア（ＭｇＯ）が２〜１０重量％の範囲で、かつカルシアが３〜１５重量％の範囲にあり、特にマグネシア（ＭｇＯ）が２〜６重量％で、カルシア（ＣａＯ）５〜１０重量％の範囲で最も水和膨張率が小さく曲げ強度が大となることを確認している。
【００１０】
このように組成中にマグネシアとカルシアを一定範囲内で含ませることにより、水分子により破壊されにくい構造となったものと考えられ、このような組成を有するタイルを壁面等に施工した場合には、水和膨張率が小さいため、施工後に空中の水分を吸着する量が少なくなり、したがって膨張によるひび割れが起きにくいものとなる。
【００１１】
また、曲げ強度が大であるため、従来よりもタイルを薄い製品とすることができ、例えば厚みを５．５mm程度の薄い製品とすることができ、これにより重量が軽くなり、運搬が容易となって搬送効率が良好化する。また、製品が薄くなれば原料量も少なくて済み、製品を安価に製造することが可能となる。特に２００×２００mm程度の大型のタイル製品においては、よりコストを低減させて搬送効率を良好化させることができるものとなる。
【００１２】
【発明の効果】
本発明の陶器質タイルは、焼成後の製品組成中に、マグネシア（ＭｇＯ）が２〜１０重量％、カルシア（ＣａＯ）が３〜１５重量％の範囲で含まれていることにより、従来製品に比べて水和膨張率が小さくかつ曲げ強度が大きいので、製品を薄く形成してもひび割れが起こらず、又、薄く形成することにより、従来よりも製品が軽くなり搬送効率を良好化させることができ、かつ製造コストを低減させることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】タイルの素焼品における水和膨張率を従来品との比較で示した線図である。
【図２】タイルの素焼品の曲げ強度を従来との比較で示した線図である。

Claims

焼成後の製品組成中に、マグネシア（ＭｇＯ）が２〜１０重量％、カルシア（ＣａＯ）が３〜１５重量％の範囲で含まれていることを特徴とする吸水率が高く、かつ水和膨張率が小さい陶器質タイル。