JP2007246312A - タイル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温〜400℃の熱膨張係数が従来品よりも小さく、焼成工程後期の冷却過程において反りが発生することがなく、しかも水和膨張率も小さいタイルとその製造方法を提供する。
【解決手段】SiO 63〜73重量%
Al 16.3〜20.3重量%
CaO 6.5〜8.5重量%
MgO 2.8〜4.8重量%
NaO+KO 1重量%以下
を含み、SiO+Al+CaO+MgOが96重量%以上であり、室温〜400℃の熱膨張係数が5.8〜7.0×10−6/℃であることを特徴とするタイル。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイル及びその製造方法に係り、特に施釉された大形タイルとして好適なタイルとその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、熱膨張係数が小さく、且つ水和膨張率も低いタイルと、その製造方法に関する。
従来、陶器質タイルは、原料を混合して成形し、1100℃程度で焼成して素焼製品を得、その後に表面に施釉を塗布し、さらに焼成して製品化されている。このような陶器質タイルの素焼品の組成は、例えばSiO71重量%、Al18.6重量%、Fe0.7重量%、CaO
7.9重量%、MgO 0.1重量%、KO 0.7重量%、NaO 0.1重量%、TiO 0.4重量%程度となっている。
このような組成のタイルの水和膨張率は0.06%程度である。かかるタイルを建物の壁面等に貼着等して施工した場合、施工後に何年か経って空中等の水分を吸収して膨張し、ひび割れ(貫入)が発生する問題があった。なお、このようなひび割れを防ぐために、200×200mm程度の大型タイル製品においては厚みを7mm程度の厚いものとしており、厚みを増加させることにより曲げ強度の増大を図っていた。しかし、このように厚みを厚くすれば製品の重量が増し、原料量も大となり、製品コストが大となり、重量が大であるため搬送効率が悪化してしまうという問題点があった。
水和膨張率の小さいタイルとして、特開平7−243252号には、SiO68重量%、Al18.3重量%、CaO
8.1重量%、MgO 3.2重量%、KO 1.0重量%、NaO 0.1重量%、TiO0.4重量%よりなるタイルが記載されている。しかしながら、このタイルは熱膨張率がやや大きく、焼成時に反りが発生し易い。しかもトンネルキルンでの素焼を前提にしているため水和膨張率が0.05%と大きい。
特開平7−243252号
本発明は、室温〜400℃の熱膨張係数が従来品よりも小さく、焼成工程後期の冷却過程において反りが発生することがなく、しかも水和膨張率も小さいタイルとその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1のタイルは、
SiO 63〜73重量%
Al 16.3〜20.3重量%
CaO 6.5〜8.5重量%
MgO 2.8〜4.8重量%
NaO+KO 1重量%以下
を含み、SiO+Al+CaO+MgOが96重量%以上であり、室温〜400℃における熱膨張係数が5.8〜7.0×10−6/℃であることを特徴とするものである。
請求項2のタイルは、請求項1において、1辺が300mm以上の大形の施釉タイルであることを特徴とするものである。
請求項3のタイルの製造方法は、タイル原料の調合物を成形し、焼成することにより、請求項1又は2に記載のタイルを製造する方法であって、該調合物は、タルク7〜15重量部(うち少なくとも2重量部は低結晶性タルク)、ろう石30〜45重量部、石灰8〜14重量部、粘土35〜45重量部(合計で100重量部)を含むことを特徴とするものである。
本発明のタイルは、室温〜400℃の熱膨張係数が5.8×10−6〜7.4×10−6/℃の範囲にあり、この熱膨張係数は釉の熱膨張係数と大略同等である。焼成工程後期に釉層がタイル本体の収縮と同等となり、反りの無いタイル製品を得ることができる。
また、本発明のタイルは、水和膨張率が低いので、タイル張り施工後の水和による貫入現象が防止される。
本発明のタイルは、好ましくはタルク、ろう石、石灰、粘土の調合物を成形し、焼成することにより製造されるが、このタルクの少なくとも一部として低結晶性タルクを用いることにより、熱膨張係数を小さくすることができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のタイルは、SiO 63〜73重量%、Al 16.3〜2.3重量%、CaO 6.5〜8.5重量%、MgO 2.8〜4.8重量%、CaO 6.5〜8.5重量%、NaO+KO 1重量%以下を含み、SiO+Al+CaO+MgOが96重量%以上であり、室温〜400℃の熱膨張係数が5.8〜7.0×10−6/℃以下であることを特徴とするものである。なお、室温〜500℃の熱膨張係数は6.4〜7.4×10−6/℃であることが好ましい。
このタイルを製造する原料としては、タルク、ろう石、石灰、粘土が用いられ、その割合は、好ましくは、タルク 7〜15重量部、特に8〜12重量部(うち低結晶性タルク少なくとも2重量部、特に好ましくは2〜10重量部)、ろう石 30〜45重量部、特に35〜43重量部、石灰 8〜14重量部、特に10〜14重量部、粘土35〜45重量部、特に38〜43重量部である。このように、タルクの少なくとも一部として低結晶性タルクを用いることにより熱膨張係数を小さくすることができる。なお、低結晶性タルクとは、日本フィルコン(株)製のNF式摩耗試験機によるタルクの摩耗度を測定しその摩耗量が10mg未満のタルクのことである。低結晶性タルク以外のタルクではこの値が10〜25mgとなる。
なお、この低結晶性タルクは、タイルの耐火度を下げるので、成形後に焼成を行う場合、焼成時間が長いトンネル窯で焼成した場合、焼成物同士が融着するおそれがあるので、トンネル窯よりも焼成時間が短いローラーハースキルンを用いるの方が好ましい。
この調合物を焼成して得られるタイル本体の化学組成は、好ましくは
SiO 63〜73重量%、特に65〜71重量%、
Al 16.3〜20.3重量%、特に17.0〜20.0重量%、
CaO 6.5〜8.5重量%、特に7.0〜8.0重量%、
MgO 2.8〜4.8重量%、特に3.5〜4.2重量%、
NaO+KO 1重量%以下、
SiO+Al+CaO+MgO 96重量%以上、特に96.5重量%以上
であることが好ましい。この組成のタイルは、熱膨張係数が釉の熱膨張係数と略同等の小さいものとなる。また水和膨張率も小さい。
このタイル本体(素焼き体)に対し、施釉し、乾燥後、焼成(釉焼き)することにより、タイルが得られる。このタイルは内装用タイルとして好適である。
なお、釉薬は500〜600℃にガラス転移点を有し、このガラス転移点よりも低い温度では固体状となっている。この固体状となった釉層とタイル本体との間に熱膨張差が生じると、タイルに反りや亀裂が生じたりする。本発明のように、タイル本体と釉層との熱膨張差を小さくすることにより、かかる反りや亀裂が防止される。
本発明は、1辺が300mm以上(例えば300〜1000mm、特に600〜1000mm)の大形タイルに適用するのに好適である。
実施例1
原料として次の調合物を用いた。
低結晶性タルク 2重量部
通常タルク 8重量部
ろう石 39重量部
石灰 12重量部
粘土 39重量部
この調合物の化学組成を表1に示す。
この調合物を湿式で粉砕、混合し、乾燥後、再度粉砕した。次いで、乾式プレス成形によって300×300×5.5mmに成形し、ローラーハースキルンにより1100℃×20分にて焼成(素焼き)した。焼成時間は炉内の入口〜出口の滞留時間である。次いで施釉し、ローラーハースキルンにより1160℃×25分にて焼成した。
その結果、反り及び亀裂が無いタイルが得られた。このタイルの水和膨張率は0.02%であり、室温〜400℃の熱膨張率は6.7×10−6/℃であった。
なお、タルクの結晶性は、日本フィルコン(株)製のNF式摩耗試験機により判定した。
また、水和膨張率は10気圧、1h保持を10回くり返した後の寸法の伸び率とする。
実施例2
実施例1において、低結晶性タルクを10重量部配合し、通常タルクを全く配合しなかったこと、及び、成形体の寸法を400×400×5.5mmとしたこと以外は同様にしてタイルを製造したところ、やはり反りや亀裂は生じなかった。このタイルの水和膨張率は0.02%であり、室温〜400℃の熱膨張係数は6.3×10−6/℃であった。
比較例1
実施例1において、低結晶性タルクを配合せず、通常タルクを10重量部配合したこと以外は同様にしてタイルを製造した。その結果、100%のものに反りが発生した。また、室温〜400℃の熱膨張係数は7.2×10−6/℃であった。なお、トンネルキルンで焼成した場合の水和膨張率は0.05%であった。
実施例3〜5、比較例2〜4
低結晶性タルクの配合量を表1の通りとした他は実施例1と同様にしてタイルの製造と試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2007246312
以上の実施例及び比較例より、本発明例によると、反りや亀裂がなく、熱膨張係数及び水和膨張率が小さいタイルが得られることが認められた。

Claims (3)

  1. SiO 63〜73重量%
    Al 16.3〜20.3重量%
    CaO 6.5〜8.5重量%
    MgO 2.8〜4.8重量%
    NaO+KO 1重量%以下
    を含み、SiO+Al+CaO+MgOが96重量%以上であり、
    室温〜400℃における熱膨張係数が5.8〜7.0×10−6/℃であることを特徴とするタイル。
  2. 請求項1において、1辺が300mm以上の大形の施釉タイルであることを特徴とするタイル。
  3. タイル原料の調合物を成形し、焼成することにより、請求項1又は2に記載のタイルを製造する方法であって、該調合物は、タルク7〜15重量部(うち少なくとも2重量部は低結晶性タルク)、ろう石30〜45重量部、石灰8〜14重量部、粘土35〜45重量部(合計で100重量部)を含むことを特徴とするタイルの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011148676A (ja) * 2009-12-22 2011-08-04 Lixil Corp 発泡軽量タイル用原料、発泡軽量タイル及びその製造方法
JP2016193811A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 Toto株式会社 大型セラミック板

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