JP3690771B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清を含有して成る皮膚外用剤に関する。更に詳しくは、保湿効果に優れ、かつ真皮線維芽細胞の代謝活性を活性化し、さらに紫外線による線維芽細胞の損傷を防止することにより、加齢や紫外線などの種々のストレスによるシワ,シミの発生,皮膚の弾性の低下といった皮膚老化症状の防止或いは改善に有効で、抗炎症作用,創傷治癒促進作用,抗酸化作用,保湿作用をも有するキートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清を含有する皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、加齢や紫外線等外来ストレスにより生じるしわ,シミの発生、皮膚弾性の低下といった皮膚の老化症状には、皮膚真皮の線維芽細胞の機能低下やマトリックス線維の減少又は分解が重要な要因となっている。従って、皮膚の老化防止,改善作用を有する老化防止用皮膚外用剤を得るため、線維芽細胞の賦活或いは増殖促進作用を有する成分の検索と配合が試みられている。
【0003】
例えば、ビワ抽出物(特公平5−17206号公報),α−ヒドロキシ酢酸(特開平5−112422号公報),α−ヒドロキシ酸のステロールエステル(特開平8−104632号公報),6-ベンジルアミノプリン(特開平7−233037号公報),特定のリボヌクレアーゼ(特開平7−309778号公報),L-リシル-L-グリシル-L-ヒスチジン(特開平7−316192号公報),乳汁由来線維芽細胞増殖因子(特開平8−119867号公報),酸化型コエンザイムA(特開平8−175961号公報)等が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記の真皮線維芽細胞賦活効果を有する成分等の中には、作用効果が不十分であったり、安定性が悪かったりして、皮膚外用剤基剤中に含有させた場合、有効な効果を得るにはかなりの量を含有させなければならないものも存在していた。また、好ましくない副作用や刺激性などを有していたり、製剤安定性に悪影響を及ぼすものや、臭いや色の点で外用剤に配合しにくいもの、一定の作用,品質を維持することの困難なものも多かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、真皮線維芽細胞の代謝活性を向上させる細胞賦活作用に優れる新規成分を探求し、それを皮膚外用剤に含有させることにより、紫外線などの外来ストレスにより生じる皮膚の傷害や老化を、有効に防止或いは改善する作用に優れる老化防止用皮膚外用剤を得ることを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明者らは真皮線維芽細胞の代謝活性促進効果を指標として、有効な活性化作用を有する物質のスクリーニングを行った。その結果、キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清及び培養上清中に含まれる多糖類が、高い真皮線維芽細胞の代謝促進効果、及び紫外線による線維芽細胞の傷害を防止する効果のみならず、フリーラジカル消去能,過酸化脂質生成抑制能,コラーゲン産生促進能,及び高い保湿作用を有することを見いだした。このキートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清及び培養上清中に含まれる多糖類においては、皮膚刺激性,接触感作性といった皮膚への悪影響もなく、また老化防止用皮膚外用剤に配合したときも、真皮線維芽細胞賦活効果の不活化は起こらずに、品質も安定していた。
【0007】
キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)は、細胞中に葉緑体を2個有し、大きさが6〜12μmで、近海の海中に単独で生息する珪藻の一種であり、主にアコヤ貝などの真珠の養殖に用いられる貝の餌として培養されていることが多い。珪藻及びその培養液については、珪藻を海水中で培養した培養上清を乾燥させて得られる海水塩(フランス国特許2417979)、培養した珪藻に含まれているエイコサペンタエン酸(特開昭59−46225、特開平5−5805726)、珪藻などの海藻の親水溶媒抽出物のラジカル消去活性(フランス国特許2657012)、珪藻から単離したポリ-β-N-アセチルグルコサミン類(国際公開9515343,米国特許5623064)等が開示されている。今回本発明者は、キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清において、顕著な線維芽細胞賦活作用及び、紫外線による真皮線維芽細胞への傷害を防止する効果を新たに発見し、本発明の完成に至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)を培養する培養液としては、通常の人工栄養培養液等を用いても良いが、海水をオートクレーブで滅菌後、0.2μmのフィルターを用いて濾過したものをそのまま、若しくは無機塩などの栄養素を添加して用いることもできる。
【0010】
培養したキートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清をそのまま用いても良いが、脱臭,脱色,脱塩等により精製した後用いても良く、さらに多糖類のみを分離して用いることも出来る。
【0011】
これらのキートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清及び培養液由来の多糖類の老化防止用皮膚外用剤への配合量は、その効果や添加した際の匂い,色調の点から考え、0.001〜20重量%の濃度範囲とすることが望ましい。配合量が0.001重量%未満であると、十分な真皮線維芽細胞賦活作用、及び紫外線による細胞傷害防御作用等の老化防止効果や保湿効果が得られないが、あまり多量に配合する必要もなく、20重量%を超えると皮膚外用剤の安定性等に影響を及ぼすこともある。
【0012】
本発明においては、上記のキートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清及び培養液由来の多糖類を含有させた皮膚外用剤を提供し得るが、皮膚外用剤としては、ローション,乳剤,クリーム,軟膏等の形態をとることができる。またさらに、柔軟性化粧水,収れん性化粧水,洗浄用化粧水等の化粧水類、エモリエントクリーム,モイスチュアクリーム,マッサージクリーム,クレンジングクリーム,メイクアップクリーム等のクリーム類、エモリエント乳液,モイスチュア乳液,ナリシング乳液,クレンジング乳液等の乳液類、ゼリー状パック,ピールオフパック,洗い流しパック,粉末パック等のパック類、美容液、及び洗顔料といった種々の製剤形態の化粧料としても提供することができる。
【0013】
本発明においてはさらに、他の細胞賦活剤や美白成分,保湿剤,抗炎症剤,紫外線吸収剤等、他の有効成分を併用することもでき、日焼け止め化粧料、皮膚保護用化粧料、美白用化粧料等の化粧料或いは医薬部外品等として提供することもできる。
【0014】
【実施例】
本発明の実施例に使用したキートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清及び培養液由来の多糖類の製造例を、まず示す。
【0015】
[製造例1]培養上清
海水をオートクレーブで滅菌し、0.2μmのフィルターで濾過して培養液とした。キートセロスグラシリスを6000cell/lの割合で播種し、16時間露光,8時間遮光のサイクルで液温25℃の条件下で7日間培養した。0.45μmのフィルターで濾過してキートセロスグラシリス藻体を除去して、培養上清を得た。
【0016】
[製造例2]脱塩培養上清
製造例1の培養上清を透析膜を用いて脱塩し、次いで二分の一量まで減圧濃縮して、脱塩培養上清を得た。
【0017】
[製造例3]多糖類
製造例1の培養上清に、3倍量のメタノールを添加して、沈殿を集めて多糖類を得た。
【0018】
[真皮線維芽細胞代謝活性化作用]
ヒト由来真皮線維芽細胞を1ウェルあたり2.0×104個となるように96穴マイクロプレートに播種し、24時間後に製造例1〜製造例3に示した試料を含有する1.0容量%牛胎仔血清添加ダルベッコ最小必須培地にて、37℃で48時間培養した。次いで2-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-3,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を0.4mg/ml含有する前記培地に交換して37℃で2時間培養し、テトラゾリウム環の開環により生じるフォルマザンを、2-プロパノールにて抽出し550nmにおける吸光度により測定した。なお、1.0容量%牛胎仔血清添加ダルベッコ最小必須培地のみで培養した系を対照とし、5.0容量%牛胎仔血清添加ダルベッコ最小必須培地で培養した系を陽性対照とした。結果は対照における吸光度を100.0%として表した活性化指数により表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】
その結果、表1に示したとおり、キートセロスグラシリス培養上清を添加して真皮線維芽細胞を培養することにより、活性化指数の上昇が認められ、有意な線維芽細胞代謝活性化が認められていた。
【0021】
[紫外線による細胞傷害防御作用]
ヒト由来真皮線維芽細胞を1ウェルあたり2.0×104個となるように96穴マイクロプレートに播種し、24時間後に製造例1〜3に示した試料を含有する5.0容量%牛胎仔血清添加ダルベッコ最小必須培地に交換し、37℃で24時間培養した。次いで培地をHanks培地に交換し、紫外線を0.5J/cm2量照射した。再度、5.0容量%牛胎仔血清添加ダルベッコ最小必須培地に交換し、37℃で24時間培養した後、培地を20μg/mlのニュートラルレッドを含有する前記培地に交換して37℃で2時間培養し、培地中に含まれるニュートラルレッドをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄除去した。細胞内に取り込まれたニュートラルレッドは、0.1N塩酸含有30%エタノール水溶液で抽出し、抽出液の550nmの吸光度により測定した。ニュートラルレッドは、生細胞の細胞膜だけを透過し、リソゾームに沈着するので、生細胞だけを特異的に染色することができる。なお、試料を添加せず、5.0容量%牛胎仔血清添加ダルベッコ最少必須培地のみで培養した系を対照とした。結果は細胞生存率により表2に示した。
【0022】
【表2】
【0023】
その結果、表2に示したとおり、キートセロスグラシリス培養上清又は培養上清中の多糖類を添加して真皮線維芽細胞を培養することにより、紫外線照射後も65〜80%程度の細胞が生存しており、紫外線により生じる真皮線維芽細胞の傷害を防御する作用が有意に認められていた。
【0024】
次に、先に示した製造例を用いて調製した実施例を示し、更に本発明について詳細に説明する。
【0025】
[実施例1〜3]O/W乳化型美容液
表3に示した添加剤を用いて、下記の処方によりO/W乳化型美容液を調製した。
(処方)
(1)スクワラン 5.0(重量%)
(2)白色ワセリン 2.0
(3)ミツロウ 0.5
(4)ソルビタンセスキオレエート 0.8
(5)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20EO) 1.2
(6)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(7)プロピレングリコール 5.0
(8)精製水 全量を100とする量
(9)カルボキシビニルポリマー1.0重量%水溶液 20.0
(10)水酸化カリウム 0.1
(11)エタノール 5.0
(12)添加剤 表3に示す量
(13)香料 0.2
製法:(1)〜(5)の油相成分を混合し75℃に加熱して溶解,均一化する。一方(6)〜(8)の水相成分を混合,溶解して75℃に加熱し、油相成分を添加して予備乳化する。(9)を添加した後ホモミキサーにて均一に乳化し、(10)を加えてpHを調整する。冷却後40℃にて(11)〜(13)を添加,混合,均一化する。
【0026】
【表3】
【0027】
上記実施例1〜実施例3を用いて、紫外線によるしわの発生に対する防止効果を評価した。なお添加剤を精製水に代替したものを比較例1とした。しわ発生防止効果は、ヘアレスマウス5匹を1群とし、各群について実施例及び比較例をそれぞれ1日1回背部に塗布し、1J/cm2/週の長波長紫外線(UVA)を50週間照射し、ヘアレスマウスにおけるしわの発生状況を観察し、表4に示す判定基準に従って点数化して行った。この際、精製水のみを塗布した群を対照とした。結果は各群の平均値を算出し、UVA照射日数との関係により表5に示した。
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
表5に示されるように、対照群においては、UVA照射日数が40週を越える頃には形成されたしわの深さが中程度にまで達し、50週後には深いしわの発生が認められていた。これに対し、本発明の実施例塗布群では、いずれにおいても50週後に微小ないし軽微なしわが認められた程度で、しわの発生は顕著に抑制されていた。一方比較例1の塗布群では、有意なしわの発生抑制或いは軽減は認められなかった。
【0031】
続いて、本発明の実施例1〜実施例3及び比較例1について、抗炎症作用及び創傷治癒促進効果を評価した。人工的に炎症又は創傷を形成した1群5匹のマウスを用い、各群に実施例及び比較例をそれぞれ0.5gずつ1日2回7日間塗布し、7日目に炎症部位及び創傷部位の状態を観察した。抗炎症作用については「有効」,「やや有効」,「無効」、創傷治癒促進効果については「完全治癒」,「ほぼ治癒」,「治癒不完全」の3段階でそれぞれ評価し、各評価を得たマウスの数にて表6に示した。
【0032】
【表6】
【0033】
表6より明らかなように、抗炎症作用については、本発明の実施例塗布群ではいずれにおいても無効と評価されたマウスは見られず、3例以上のマウスにおいて有効な抗炎症作用が認められていた。また創傷治癒促進効果についても、本発明の実施例塗布群では創傷治癒の不完全なマウスはいずれにおいても認められておらず、3例以上のマウスで完全な治癒を認めていた。これに対し比較例1塗布群では、やや有効な抗炎症作用の認められたマウスが1例見られたが、残り4例では炎症の改善は全く認められなかった。また比較例1塗布群すべてにおいて、創傷治癒は不完全であった。
【0034】
次に本発明の実施例1〜実施例3及び比較例1について、6ヶ月間の実使用試験を行った。パネラーとして、顕著なしわの発生等の皮膚症状を有する40歳〜60歳代の女性を用い、1群20名とした。使用試験は、各群に実施例及び比較例のそれぞれをブラインドにて使用させて行った。使用試験前および使用試験終了後の皮膚の状態を観察し、しわの改善状況について、「改善」,「やや改善」,「変化なし」の3段階にて評価した。なお、しわの程度については写真撮影及びレプリカにより評価した。結果は、各評価を得たパネラー数にて表7に示した。
【0035】
【表7】
【0036】
表7に示されるように、しわの改善状況については、本発明の実施例使用群ではすべてにおいて改善傾向が認められていた。特に、実施例2及び実施例3使用群では、75%以上のパネラーで明確な改善を認めていた。これに対し、比較例使用群では、明確な改善を認めたパネラーは見られず、75%のパネラーで症状の改善を認めなかった。
【0037】
実施例1〜実施例3及び比較例1を用いて保湿作用試験を行った。保湿作用は、気温20℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内で、前腕内側部に実施例を0.01ml/cm2塗布し、30分後の表皮水分量を高周波インピーダンスメータ(IBS社製,Skicon200)を用いて測定した。なお、ブランクとして比較例及び実施例を塗布していない部分の表皮水分量を測定し、その差を保湿作用試験結果として、各試料とも10名のパネラーの平均値を算出した。
【0038】
【表8】
【0039】
保湿作用試験結果を表8に示した。実施例1〜実施例3は、比較例1より30μS以上表皮水分量の上昇量が多くなっており、キートセロスグラシリス培養上清及び培養上清由来の多糖類を配合することにより表皮の保湿性が向上することが示された。
【0040】
なお、本発明の実施例1〜実施例3については、上記使用試験期間中に含有成分の析出,分離,凝集,変臭,変色といった状態変化は全く見られなかった。また、各実施例使用群において、皮膚刺激性反応や皮膚感作性反応を示したパネラーも存在しなかった。
【0041】
続いて本発明の他の実施例の処方を示す。
【0042】
[実施例4]皮膚用ローション
(1)エタノール 10.0(重量%)
(2)ヒドロキシエチルセルロース 1.0
(3)培養上清(製造例1) 1.5
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(5)精製水 87.4
製法:(1)〜(5)を混合し均一とする。
【0043】
[実施例5]皮膚用乳剤
(1)ステアリン酸 0.2(重量%)
(2)セタノール 1.5
(3)ワセリン 3.0
(4)流動パラフィン 7.0
(5)ポリオキシエチレン(10EO)モノオレイン酸エステル 1.5
(6)酢酸トコフェロール 0.5
(7)グリセリン 5.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)トリエタノールアミン 1.0
(10)脱塩培養上清(製造例2) 1.0
(11)精製水 79.2
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,加熱して均一に溶解し、70℃に保つ。一方、(7)〜(11)の水相成分を混合,加熱して均一とし、70℃とする。この水相成分に前記油相成分を攪拌しながら徐々に添加して乳化し、冷却する。
【0044】
[実施例6]皮膚用ゲル剤
(1)精製水 88.8(重量%)
(2)多糖類(製造例3) 0.5
(3)カルボキシビニルポリマー 0.5
(4)ジプロピレングリコール 10.0
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)水酸化カリウム 0.1
製法:(1)に(2),(3)を均一に溶解した後、(4)に(5)を溶解して添加し、次いで(6)を加えて増粘させる。
【0045】
製法:(1)〜(7)の油相成分、及び(8)〜(12)の水相成分をそれぞれ混合,溶解して75℃に加熱する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化し、冷却する。
【0046】
[実施例8]水中油型乳剤性軟膏
(1)白色ワセリン 25.0(重量%)
(2)ステアリルアルコール 25.0
(3)グリセリン 12.0
(4)ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)精製水 35.4
(7)脱塩培養上清(製造例2) 1.5
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合,溶解して均一とし、75℃に加熱する。一方、(5)を(6)に溶解して75℃に加熱し、これに前記油相成分を添加して乳化し、冷却後40℃にて(7)を添加,混合する。
【0047】
[実施例]化粧水
(1)エタノール 10.0(重量%)
(2)1,3-ブチレングリコール 5.0
(3)培養上清(製造例1) 2.0
(4)香料 0.1
(5)精製水 82.9
製法:(1)〜(4)を順次(5)に添加して均一に混合,溶解する。
【0048】
[実施例10]エモリエントクリーム(油中水型)
(1)流動パラフィン 30.0(重量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.0
(3)ワセリン 5.0
(4)ジグリセリルオレイン酸エステル 5.0
(5)L-グルタミン酸ナトリウム 1.6
(6)L-セリン 0.4
(7)プロピレングリコール 3.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)精製水 51.3
(10)香料 0.1
(11)脱塩培養上清(製造例2) 1.5
製法:(5),(6)を(9)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加熱した(4)に攪拌しながら徐々に添加する。これをあらかじめ混合し70℃に加熱溶解した(1)〜(3)に均一に分散し、これに(7),(8)を(9)の残部に溶解して70℃に加熱したものを攪拌しながら添加し、ホモミキサーにて乳化する。冷却後、40℃にて(10),(11)を添加,混合する。
【0049】
[実施例11]メイクアップベースクリーム
(1)ステアリン酸 12.0(重量%)
(2)セタノール 2.0
(3)グリセリルトリ2-エチルヘキサン酸エステル 2.5
(4)自己乳化型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0
(5)プロピレングリコール 10.0
(6)水酸化カリウム 0.3
(7)多糖類(製造例3) 0.5
(8)精製水 69.1
(9)酸化チタン 1.0
(10)ベンガラ 0.1
(11)黄酸化鉄 0.4
(12)香料 0.1
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃に加熱して均一とする。一方(5)〜(8)の水相成分を混合し、75℃に加熱,溶解して均一とし、これに(8)〜(10)の顔料を添加し、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて乳化した後冷却し、40℃にて(12)を添加,混合する。
【0050】
[実施例12]乳液状ファンデーション
(1)ステアリン酸 2.0(重量%)
(2)スクワラン 5.0
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
(4)セタノール 1.0
(5)デカグリセリルモノイソパルミチン酸エステル 9.0
(6)1,3-ブチレングリコール 6.0
(7)水酸化カリウム 0.1
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)精製水 50.6
(10)酸化チタン 9.0
(11)タルク 7.4
(12)ベンガラ 0.5
(13)黄酸化鉄 1.1
(14)黒酸化鉄 0.1
(15)香料 0.1
(16)培養上清(製造例1) 3.0
製法:(1)〜(5)の油相成分を混合し、75℃に加熱して均一とする。一方(6)〜(9)の水相成分を混合し、75℃に加熱,溶解して均一とし、これに(10)〜(14)の顔料を添加しホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて均一に乳化した後冷却し、40℃にて(15),(16)を添加,混合する。
【0051】
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。一方、(7)〜(9)の水相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。ついで、この水相成分に油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化して冷却し、40℃にて(10)を添加,混合する。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述したように、キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清及び培養上清由来の多糖類は、真皮線維芽細胞賦活作用及び紫外線による真皮線維芽細胞の傷害を防御する作用を有し、さらにこれを含有する本発明の皮膚外用剤は、シワの発生の防止或いは改善に有効で、抗炎症作用,創傷治癒促進作用,保湿作用をも有し、さらに安定性,安全性も良好である。
Claims (8)
- キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清を含有して成る、保湿剤。
- キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清を含有して成る、真皮線維芽細胞活性化剤。
- キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清を含有して成る、皮膚老化防止剤。
- キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清を含有して成る、創傷治癒促進剤保湿剤。
- キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清に含まれる多糖類を含有して成る、保湿剤。
- キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清に含まれる多糖類を含有して成る、真皮線維芽細胞活性化剤。
- キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清に含まれる多糖類を含有して成る、皮膚老化防止剤。
- キートセロスグラシリス(Chaetoceros gracilis)の培養上清に含まれる多糖類を含有して成る、創傷治癒促進剤。
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