JP3690670B2 - 地中連続壁工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的な地中連続壁を構築する場合をはじめ、特に地中壁体相互を鉛直方向に一体化する地中連続壁工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中連続壁は、地盤にトレンチ状の掘削孔を形成してから該掘削孔に鉄筋籠を建て込み、しかる後に該掘削孔にコンクリートを打設して構築されるが、一回で掘削する幅(長さ)については、地盤安定性の関係上、5〜7m程度以下とするのが一般的である。したがって、地中連続壁を構築する場合には、5〜7mをパネル幅とするパネル単位で上述の各工程が繰り返し行われることになる。
【0003】
一方、かかるパネル間の接合部分については、地中連続壁の用途に応じたグレードで施工され、高い剛性が要求される場合には、例えば剛接ジョイント工法と呼ばれる工法が採用される。
【0004】
図11は、剛接ジョイント工法におけるジョイント部の一例を示した水平断面図である。同図でわかるように、剛接ジョイント工法においては、対向する孔壁のそれぞれに当接される一対の側鋼板1、1及び接合鋼板2をコの字状に組み立ててなるジョイントボックス3を先行パネル側の鉄筋籠4の接合端に取り付けておき、該パネルのコンクリート打設時においてはジョイントボックス3の接合鋼板2が仕切りとなってボックス内へのコンクリート流入を防止するとともに、隣接する後行パネル掘削時(同図右側)においてはジョイントボックス3の解放側に取り付けられた仕切り板5によって掘削土砂のボックス内への流入を防止する。そして、後行パネル掘削終了後に仕切り板5を撤去し、後行パネルの鉄筋籠7をその接合端がジョイントボックス3内に挿入されるようにして吊り降ろした後、コンクリートを打設する。
【0005】
かかる工法においては、ジョイントボックス3の接合鋼板2を貫通して延びる先行パネル側の横筋8とボックス内に挿入された後行パネルの横筋9とが重ね継手を形成することとなり、剛性の高いジョイント部を形成することが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる工法では、上述したように仕切り板の挿入並びに引抜き撤去という工程が必要になるとともに、コンクリート圧を支持してジョイントボックスの変形を防止するため、先行パネル側のコンクリート打設前に該ボックス内に反力材を挿入する必要があり、施工手順としては若干複雑になる。しかも、かかるジョイント部は、パネル幅である5〜7mおきに繰り返し設けなければならない。
【0007】
したがって、構造性能が高いジョイント部を形成するためとはいえ、施工能率の点では難があり、低コストや短工期を図るにも限度があるという問題を生じていた。
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、低コストかつ短工期で高剛性の一体化連続壁を形成することが可能な地中連続壁工法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る地中連続壁工法は請求項1に記載したように、先行掘削された掘削孔内に地盤安定治具を挿入し、該治具で前記掘削孔の対向する両壁面を支持しながら該掘削孔に隣接する領域を掘削し、前記挿入工程及び前記掘削工程を所要の回数だけ繰り返すことによって前記掘削孔を相互に連通して一体化し、該一体化された掘削孔内に鉄筋篭が挿入された状態でコンクリートを一括打設する地中連続壁工法であって、前記鉄筋篭と重ね継手を構成する補強筋を前記地盤安定治具に取り付けるとともに、前記鉄筋篭を前記掘削孔が一体化された後で一括挿入するものである。
【0011】
また、本発明に係る地中連続壁工法は、前記地盤安定治具を掘削孔内に挿入した後、該治具に備えられた一対の当接部材を拡げて前記掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させるものである。
【0012】
また、本発明に係る地中連続壁工法は、前記地盤安定治具を掘削孔内に挿入した後、該治具に備えられた縦溝内にコンクリートを充填して該縦溝の開口に取り付けられた仕切りシートを外方に膨らませ、該仕切りシートを前記掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させた状態で前記コンクリートを固化させるものである。
【0017】
本発明に係る地中連続壁工法においては、先行掘削された掘削孔の孔壁面を地盤安定治具によって支持し、かかる状態で該掘削孔に隣接する領域を掘削する。そして、かかる挿入工程及び掘削工程を所要の回数だけ繰り返し行い、最終的には掘削孔を相互に連通して一体化する。次に、一体化された掘削孔内に鉄筋籠が挿入された状態でコンクリートを一括打設する。
【0018】
従来であれば、先行掘削された掘削孔に地中壁体を構築しないまま隣接領域の掘削を行うと、掘削孔が連続してその長さが長くなり、地山による圧力で孔壁が不安定になって孔内に膨らんだり崩壊したりするが、先行掘削された掘削孔の孔壁面を地盤安定治具で支持しておけば、孔壁が不安定になるおそれはない。
【0019】
したがって、一定の距離にわたる掘削作業を終えてからコンクリート作業を一括して行うことが可能となり、従来のように数mごとに掘削工事とコンクリート工事が交錯することはない。
【0020】
鉄筋籠を掘削孔に挿入するについては、各掘削孔が形成されてからコンクリートが一括打設されるまでの間であれば、地盤安定治具の挿入前であろうと、地盤安定治具の挿入と同時であろうと、地盤安定治具の挿入後であろうといつでもよいが、特に、掘削孔が一体化された後で一括挿入するようにした場合には、鉄筋籠の挿入作業も他の作業と干渉することなく効率的に行うことが可能となる。また、地盤安定治具とともに掘削孔内に挿入するようにした場合には、鉄筋籠と地盤安定治具とを別々に吊り込むよりも、吊り込みに要する延べ作業時間を短縮することができる。
【0021】
隣接するパネルの接続状況については、一体化された掘削孔へのコンクリート一括打設により、ある程度の構造連続性が確保されるが、鉄筋籠と重ね継手を構成する補強筋を地盤安定治具に取り付けた場合、隣接する2つのパネルは、地盤安定治具の補強筋を介して高い剛性で接続されることとなり、従来の剛接ジョイントと同等のジョイント部が形成される。また、鉄筋籠の端部とそれに隣接する鉄筋籠の端部とを重ね継手とした場合も、隣接する2つのパネルは、従来の剛接ジョイントと同等の高い剛性で接続されることとなる。
【0022】
地盤安定治具で孔壁を支持する方法については、どのような方法でもよいが、一対の当接部材をそれらの配置間隔が調整自在となるように連結してなり、該一対の当接部材を拡げて地中連続壁が形成される掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させるようにした地盤安定治具を使用する場合には、一対の当接部材を挿入しやすいようにその配置間隔を狭めた状態で掘削孔に挿入し、しかる後に掘削孔内でそれらの配置間隔を拡げる。そして、それらを掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させ、必要ならばさらに押し拡げて該壁面を支持する。
【0023】
また、一対の縦溝をそれらの開口が反対側を向くように長手方向に形成された長尺部材と、前記縦溝の開口に取り付けられた仕切りシートとからなり、前記縦溝内に充填されたコンクリートによって前記仕切りシートを外方に膨らませて地中連続壁が形成される掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させるようにした地盤安定治具を使用する場合には、かかる地盤安定治具を掘削孔内に挿入した後、該治具に備えた縦溝内にコンクリートを充填して該縦溝の開口に取り付けられた仕切りシートを外方に膨らませ、該仕切りシートを前記掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させた状態でコンクリートを固化させる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る地中連続壁工法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る地中連続壁工法の施工手順を示したフローチャートである。同図でわかるように、本実施形態に係る地中連続壁工法においては、まず、ケリー掘削機、ハイドロフレーズ掘削機等を用いて最初のパネル領域を掘削し、図2(a)に示すような掘削孔1を形成する(ステップ101)。
【0026】
掘削にあたっては、孔内にベントナイト泥水等の安定液2を満たして孔壁の崩壊を防止する。なお、掘削孔1の幅(1パネルの幅)については、従来と同様、5〜7m程度を目安とする。また、掘削孔1の左端については、例えば従来の剛接ジョイント工法で処理しておけばよい。
【0027】
次に、先行掘削された掘削孔1内に図2(b)に示すように地盤安定治具3を挿入する(ステップ102)。
【0028】
図3は、地盤安定治具3を示した斜視図である。同図でわかるように、本実施形態の地盤安定治具3は、T型断面を有する一対の当接部材11、11を平鋼等で構成したつなぎ材12を介して相互に連結するとともにつなぎ材12の両端とそれらのウェブとの連結部分を回動自在に構成してあり、一方の当接部材11を他方の当接部材11に対して水平移動させることによって該一方の当接部材11が他方の廻りにほぼ平行に回動して両者の配置間隔が変化する、いわゆる平行クランク機構として作用するようになっている。
【0029】
また、地盤安定治具3には、同図に示すように所定長さの補強筋13を取り付けてあり、後述する鉄筋籠と重ね継手を構成するようになっている。
【0030】
このような地盤安定治具3を掘削孔1内に挿入する際には、図4(a)に示すように、一方の当接部材11を他方の当接部材11に対して引き下げて両者の配置間隔を狭めておき、かかる状態で孔内に挿入する。このようにすれば、孔壁面に触れることなくスムーズに挿入することができる。
【0031】
そして、孔内1に挿入したならば、同図に示すように、一方の当接部材11の上端にロッド23を固定するとともに反力台21を掘削孔1を跨ぐようにして設置し、該反力台に取り付けたセンタホールジャッキ22にロッド23を挿通する。そして、ジャッキ22を作動させてロッド23を同図矢印方向に引き上げ、一対の当接部材11、11の配置間隔を拡げてそのフランジ外面を掘削孔1の両壁面14、14に当接させる。必要ならば、さらにロッド23を引き上げて壁面14、14に押し付ける。
【0032】
図4(b)は、地盤安定治具3の当接部材11、11を拡げて掘削孔1の両壁面14、14に当接させることにより、該壁面を支持している様子を示したものである。
【0033】
このように地盤安定治具3で掘削孔1の両壁面を支持しながら、今度は、図2(c)に示すように掘削孔1に隣接する領域を掘削して掘削孔4を形成する(ステップ103)。
【0034】
掘削孔4が形成されたならば、同図(d)に示すように地盤安定治具3を同様に挿入し(ステップ102)、掘削孔1、掘削孔4の孔壁をそれぞれ地盤安定治具3で支持しながら、掘削孔4に隣接する領域を掘削して同図(e)に示すように掘削孔5を形成する(ステップ103)。かかる状態では、掘削孔1、掘削孔4及び掘削孔5は、互いに連通し一体化された状態となっている。
【0035】
パネル3枚分を1サイクルとして施工を行う場合は、この段階で掘削を終了し、今度は、図5(a)に示すように、互いに一体化された複数の掘削孔1、4、5にそれぞれ鉄筋籠31を一括挿入する(ステップ104)。そして、図5(b)に示すように、鉄筋籠31と地盤安定治具3の補強筋13とを重ね継手とする。
【0036】
なお、掘削孔5に挿入される鉄筋籠31の右端については、例えば従来の剛接ジョイント工法に適応した状態にしておけばよい。
【0037】
最後に、同図(c)に示すように、一体化された複数の掘削孔1、4、5内にトレミー管32を適宜建て込み、該トレミー管を介してコンクリート33を一括打設する(ステップ105)。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の地中連続壁工法によれば、先行掘削された掘削孔の孔壁面を地盤安定治具で支持しながら、該掘削孔に隣接する領域を掘削し、最終的には各掘削孔を互いに連通させ一体化させるので、地山が不安定となって孔壁が孔内に膨らんだり崩壊したりするおそれがなくなる。そのため、一定の距離(本実施形態であれば3パネル分)にわたる掘削作業を終えてからコンクリート作業を一括して行うことが可能となり、従来のように数mごとに掘削工事とコンクリート工事が交錯することがなくなり、連壁工事の効率が著しく向上する。
【0039】
また、鉄筋籠を掘削孔が一体化された後で一括挿入するようにしたので、鉄筋籠の挿入作業についても他の作業と干渉することなく効率的に行うことが可能となる。
【0040】
また、鉄筋籠と重ね継手を構成する補強筋を地盤安定治具に取り付けたので、隣接する2つのパネルの接合箇所は、地盤安定治具の補強筋によって補強されることとなり、従来の剛接ジョイントと同様、剛性が高く止水性に優れたジョイント部を形成することが可能となる。そして、かかるジョイント形成を、上述したような各工程の一括作業化の中で行うことができるため、従来の剛接ジョイントと同等のジョイントを低コスト、短工期で実現することが可能となる。
【0041】
また、地盤安定治具3に備えた一対の当接部材11、11を拡げて掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させるようにしたので、比較的簡易な構造でかつ簡単に壁面を支持することが可能となる。
【0042】
本実施形態では、パネル3枚分を1サイクルとしたが、1サイクルをパネル何枚分とするかは任意であり、パネル枚数が多くなればそれに応じてステップ102〜103を繰り返し行えばよい。
【0043】
また、本実施形態では、鉄筋籠と重ね継手を構成する補強筋を地盤安定治具に取り付けることによって高い剛性を確保するように構成したが、かかる補強筋を省略しても、一体化された掘削孔へのコンクリート一括打設により、ある程度の構造連続性を確保することができる。
【0044】
また、本実施形態では、図2に示すように掘削を左から右というように一方向に順次進めたが、これに代えて、図6に示すように掘削孔1及び掘削孔5をまず形成し、それらの掘削孔に地盤安定治具3を挿入してから掘削孔1及び掘削孔5に挟まれた領域を掘削して掘削孔4を形成するようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、図4に示す地盤安定治具3を使用したが、これに代えて図7に示す地盤安定治具41を使用してもよい。かかる地盤安定治具41も地盤安定治具3と同様、一対の当接部材11、11を掘削孔の両壁面にそれぞれ当接させるが、本変形例では、各当接部材11、11に別々のつなぎ材42、42をそれぞれ回動自在に連結するとともに該つなぎ材の反対側端部をロッド43に回動自在に連結し、該ロッドをセンタホールジャッキ22で引き寄せ自在に構成してなり、ロッド43を引き上げることによって該ロッドが各当接部材11、11の廻りにほぼ平行に回動して当接部材11、11の配置間隔が変化する、いわゆる平行クランク機構として作用するようになっている。また、地盤安定治具41にも補強筋13を取り付けてあり、鉄筋籠31と重ね継手を構成する補強筋13を取り付けてある。
【0046】
このような地盤安定治具41を掘削孔1内に挿入する際には、図7に示すように、ロッド43を各当接部材11、11に対して引き下げて当接部材11、11の配置間隔を狭めておき、かかる状態で孔内に挿入する。そして、孔内1に挿入したならば、同図に示すように、センタホールジャッキ22を作動させてロッド43を同図矢印方向に引き上げ、一対の当接部材11、11の配置間隔を拡げてそのフランジ外面を掘削孔1の両壁面14、14に当接させる。必要ならば、さらにロッド43を引き上げて壁面14、14に押し付ける。
【0047】
かかる地盤安定治具41によっても、上述したとほぼ同様の効果を得ることができるほか、ロッド43の引上げ動作を行う際、各当接部材11、11と壁面14、14との間に摩擦が作用しないので、わずかな引上げ力で当接部材11、11をしっかりと壁面に押し付けることが可能となるという別の効果も奏する。
【0048】
また、図4に示す地盤安定治具3に代えて図8(a)及び(b)に示す地盤安定治具51を使用してもよい。地盤安定治具51は、内側空間が縦溝55となる溝型鋼等のコの字状部材52、52をそれらの解放側が反対側を向くようにつなぎ材53で連結して長尺部材とし、コの字状部材52の解放側、すなわち縦溝55の開口に仕切りシート54を取り付けてなる。仕切りシート54は、例えばゴム、ビニル等の伸縮性材料で形成するのがよい。
【0049】
このような地盤安定治具51を本実施形態の地中連続壁工法に使用する際には、まず、該地盤安定治具51を掘削孔内に挿入し、しかる後に同図(c)に示すように縦溝55内にコンクリート56を充填して該縦溝の開口に取り付けられた仕切りシート54を外方に膨らませ、該仕切りシートを掘削孔の両壁面14、14にそれぞれ当接させた状態でコンクリートを固化させる。
【0050】
かかる地盤安定治具51によっても上述の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができるほか、壁面14に凹凸があったとしても該凹凸に合わせて仕切りシート54が膨らむので、コの字状部材52、52は、両壁面14、14を確実に支持することができるという別の効果も奏する。
【0051】
また、本実施形態では、各掘削孔が一体化されてから鉄筋籠を一括挿入するようにしたが、鉄筋籠を掘削孔に挿入するについては、各掘削孔が形成されてからコンクリートが一括打設されるまでの間であれば、必ずしもすべての掘削孔に一括して挿入する必要はなく、掘削孔が形成されるごとに鉄筋籠を個々に挿入するようにしてもよい。また、地盤安定治具の挿入時期との前後関係についても任意であり、該治具の挿入前、挿入と同時あるいは挿入後のいずれの時期でもよい。
【0052】
図9は、鉄筋籠を各掘削孔が形成されるごとに地盤安定治具とともに掘削孔内に挿入する場合の施工手順を示したフローチャートである。同図でわかるように、本変形例に係る地中連続壁工法においては、まず、ステップ101と同様、最初のパネル領域を掘削し、図10(a)に示すような掘削孔61を形成する(ステップ111)。
【0053】
次に、先行掘削された掘削孔61内に図10(b)に示すように地盤安定治具41(図7)が取り付けられた鉄筋籠64を挿入する(ステップ112)。
【0054】
地盤安定治具41及び鉄筋籠64を掘削孔61内に挿入したならば、図7で説明した手順で地盤安定治具41の当接部材11、11を拡げて両壁面を支持し、かかる状態で掘削孔61に隣接する領域を掘削して別の掘削孔を形成する(ステップ113)。
【0055】
以後、ステップ112〜113を所望の回数繰り返して図10(c)に示すような、互いに一体化された複数の掘削孔61、62、63にそれぞれ鉄筋籠64が挿入された状態を形成する。
【0056】
なお、鉄筋籠64同士の接合箇所については、図10(d)に示すように、一方の縁部65を薄くして、該縁部を隣接する鉄筋籠に挿入することにより、隣接する鉄筋籠との間で重ね継手が構成されるようになっている。
【0057】
最後に、かかる一体化された掘削孔61、62、63にコンクリートを一括打設する(ステップ114)。
【0058】
以上説明したように、本変形例に係る地中連続壁工法によっても、一定の距離(本変形例であれば3パネル分)にわたる掘削及び鉄筋挿入作業を終えてからコンクリート作業を一括して行うことが可能となり、従来のように数mごとに掘削工事とコンクリート工事が交錯することがなくなり、連壁工事の効率が著しく向上する。
【0059】
また、鉄筋籠を地盤安定治具とともに掘削孔に挿入するようにしたので、鉄筋籠と地盤安定治具とを別々に吊り込むよりも、吊り込みに要する延べ作業時間を短縮することができる。
【0060】
また、鉄筋籠同士を重ね継手としたので、隣接する2つのパネルの接合箇所は、従来の剛接ジョイントと同様、剛性が高く止水性に優れたジョイント部となる。そして、かかるジョイント形成を、上述したような各工程の一括作業化の中で行うことができるため、従来の剛接ジョイントと同等のジョイントを低コスト、短工期で実現することが可能となる。
【0061】
なお、鉄筋籠同士を重ね継手としなくても、一体化された掘削孔へのコンクリート一括打設により、ある程度の構造連続性を確保することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る地中連続壁工法によれば、先行掘削された掘削孔の孔壁面を地盤安定治具で支持しながら、該掘削孔に隣接する領域を掘削し、最終的には各掘削孔を互いに連通させ一体化させるので、地山が不安定となって孔壁が孔内に膨らんだり崩壊したりするおそれがなくなる。そのため、一定の距離にわたる掘削作業を終えてからコンクリート作業を一括して行うことが可能となり、従来のように数mごとに掘削工事とコンクリート工事が交錯することがなくなり、連壁工事の効率が著しく向上する。
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る地中連続壁工法の作業手順を示したフローチャート。
【図2】本実施形態に係る地中連続壁工法にしたがって作業を行う様子を示した鉛直断面図であり、(a)は掘削直後、(b)は地盤安定治具を挿入した直後、(c)は隣接領域に掘削孔を形成した直後、(d)は該掘削孔に地盤安定治具を挿入した直後、(e)はさらにその隣接領域を掘削した直後の様子をそれぞれ示した図。
【図3】本実施形態に係る地盤安定治具を示した斜視図。
【図4】本実施形態に係る地盤安定治具の使用方法を示した鉛直断面図であり、(a)は該治具を掘削孔内に挿入した直後、(b)は当接作業を終了した状態の図。
【図5】図2に続いて各作業の様子を示した図であり、(a)は鉄筋籠の挿入を行っている様子を示した鉛直断面図、(b)はジョイント部近傍の詳細水平断面図、(c)はコンクリートを一括打設している様子を示した鉛直断面図。
【図6】掘削順序を代えた変形例を示した鉛直断面図であり、(a)は掘削途中、(b)は掘削完了後の図。
【図7】変形例に係る地盤安定治具を示した側面図。
【図8】別の変形例に係る地盤安定治具を示した図であり、(a)は側面図、(b)はA―A線に沿う詳細水平断面図、(b)はコンクリートを充填した後の同様の詳細水平断面図。
【図9】地盤安定治具を鉄筋籠と同時に挿入する場合の地中連続壁工法の作業手順を示したフローチャート。
【図10】該工法にしたがって作業を行う様子を示した図であり、(a)は掘削孔を形成した直後、(b)は該掘削孔に地盤安定治具を先付けした鉄筋籠を挿入している様子、(c)は最後の掘削孔に鉄筋籠を挿入している様子、(d)は地盤安定治具周辺の詳細水平断面図。
【図11】従来技術における剛接ジョイントを示した詳細水平断面図。
【符号の説明】
1、4、5、61、62、63 掘削孔
3、41、51 地盤安定治具
11 当接部材
13 補強筋
14 掘削孔の壁面
31、64 鉄筋籠
33 コンクリート
52 コの字状部材(長尺部材)
54 仕切りシート
55 縦溝
56 充填コンクリート

Claims (3)

  1. 先行掘削された掘削孔内に地盤安定治具を挿入し、該治具で前記掘削孔の対向する両壁面を支持しながら該掘削孔に隣接する領域を掘削し、前記挿入工程及び前記掘削工程を所要の回数だけ繰り返すことによって前記掘削孔を相互に連通して一体化し、該一体化された掘削孔内に鉄筋篭が挿入された状態でコンクリートを一括打設する地中連続壁工法であって、前記鉄筋篭と重ね継手を構成する補強筋を前記地盤安定治具に取り付けるとともに、前記鉄筋篭を前記掘削孔が一体化された後で一括挿入することを特徴とする地中連続壁工法。
  2. 前記地盤安定治具を掘削孔内に挿入した後、該治具に備えられた一対の当接部材を拡げて前記掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させる請求項1記載の地中連続壁工法。
  3. 前記地盤安定治具を掘削孔内に挿入した後、該治具に備えられた縦溝内にコンクリートを充填して該縦溝の開口に取り付けられた仕切りシートを外方に膨らませ、該仕切りシートを前記掘削孔の対向する両壁面にそれぞれ当接させた状態で前記コンクリートを固化させる請求項1記載の地中連続壁工法。
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