JP3690631B2 - ラック軸の製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用操舵装置等に使用されるラック軸の製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用の操舵装置として、ラック軸に形成されたラック歯に、ピニオンを噛み合わせ、操舵によるピニオンの回転に伴って、上記ラック軸を軸方向へ移動させることにより、車両の操舵を行うラックピニオン式操舵装置が提供されている。
このラックピニオン式操舵装置に用いられる上記ラック軸は、図12及び図13に示すように、軽量化を図るために鋼管Pで形成されており、その軸方向の途中部に、ピニオンと噛み合うラック歯90が形成されている。このラック歯90は、鋼管Pの円弧部91を残した状態で、塑性変形によって平坦部92を形成し、その外側面に歯切り加工を施すことにより形成されたものであり、このラック歯90部分は、高周波焼入れによって所定の硬度に硬化されている。
【0003】
上記ラック軸の平坦部92の成形方法としては、図14及び図15に示すように、上型93aと下型93bとからなる金型93によって鋼管Pを保持した状態で、下面が平坦な成形パンチ94によって鋼管Pをプレス成形する方法が一般に採用されている。しかしながら、この方法では、鋼管Pを急激に塑性変形させるので、同図の二点鎖線で示すように、平坦部92の軸線方向及び周方向のそれぞれの中央側が凹入変形したり、平坦部92の内側と円弧部91の内側とが交わる内側角部Pa等の変形量が多い部分に、クラックを生じたりし易いという問題があった。
【0004】
そこで、図16に示すように、鋼管Pの軸線に対して斜めに配置した棒状の治具95を、鋼管Pに押し当てながら当該鋼管Pの軸方向へ移動させることにより、平坦部92を形成する方法が提案されている(特公平5−88662号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記棒状の治具95を用いる方法では、当該治具95と鋼管Pとが強圧下で摩擦接触するので、オイル潤滑を行っても、その摩擦摺動抵抗によって両者が焼付くことがある。このため、予め鋼管Pにボンデリューベ処理等の潤滑処理を施して、上記焼付きの発生を防止する必要があり、その分、製造コストが高くつくという問題があった。
この発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、鋼管の潤滑処理が不要で、しかもクラックを生じることなく平坦部を高精度に成形することができるラック軸の製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明のラック軸の製造方法は、断面略円形の鋼管の軸方向途中部を、平坦に塑性変形させて断面略D形中空形状とした後、その平坦部の外側面にピニオンと噛合するラック歯を形成するラック軸の製造方法において、
上記鋼管の途中部に平坦部成形用の第1ローラを押し当てた状態で、鋼管と第1ローラとを鋼管の軸方向へ相対移動させ、上記第1ローラを鋼管に転がり接触させながら鋼管を平坦に塑性変形させる工程を含んでおり、
前記鋼管を軸方向に移動させる移動手段によって当該鋼管を移動させるとともに、前記第1ローラを、前記移動手段の動作に連動して動作するローラ駆動部によって、鋼管と当該第1ローラとの相対移動に同期させて回転駆動させることを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
上記の構成のラック軸の製造方法によれば、上記第1ローラを鋼管に転がり接触させながら鋼管を平坦に塑性変形させるので、両者間の摩擦摺動抵抗を極めて小さくすることができる。このため、第1ローラと鋼管との焼付きを防止するために従来要していた鋼管の潤滑処理が不要となる。
また、鋼管を軸方向に沿って漸次塑性変形させることができるので、プレス成形の場合のように、平坦部が凹入変形したり、変形量が多い部分にクラックが生じたりするのを防止することができる。
【0008】
上記第1ローラは、鋼管との相対移動に同期させて回転駆動させているので、鋼管と第1ローラとの相対移動時に、両者間にスリップが生じるのを効果的に防止することができる。
【0009】
この発明のラック軸の製造方法は、上記鋼管に平坦部を形成した後、外周に歯を有するラック歯形成用の第2ローラを鋼管の平坦部に押し当てた状態で、鋼管と第2ローラとを鋼管の軸方向へ相対移動させ、上記第2ローラを回転させながら鋼管の平坦部を塑性変形させて当該平坦部にラック歯を形成する工程を含んでいてもよい(請求項2)。
このラック軸の製造方法によれば、第2ローラによって平坦部を塑性変形させて当該平坦部にラック歯を形成するので、塑性変形によって平坦部を形成した際に当該平坦部に生じる残留応力の影響を受けることなくラック歯を形成することができる。
【0010】
この発明のラック軸の製造方法は、上記鋼管に平坦部を形成した後、ラック歯形成用の成形型により鋼管の平坦部をプレス成形してラック歯を形成する工程を含んでいてもよい(請求項3)。
このラック軸の製造方法についても、平坦部を塑性変形させて当該平坦部にラック歯を形成するので、平坦部の残留応力の影響を受けることなくラック歯を形成することができる。
【0011】
また、この発明のラック軸の製造装置は、断面略円形の鋼管の軸方向途中部を、平坦に塑性変形させて断面略D形中空形状とするラック軸の製造装置において、
上記鋼管を保持する保持具と、
上記鋼管の途中部に押し当てる回転可能な平坦部成形用の第1ローラと、
上記鋼管に第1ローラを押し当てた状態で、鋼管と第1ローラとを鋼管の軸方向に相対移動させて、上記第1ローラを鋼管に転がり接触させながら鋼管を平坦に塑性変形させる移動手段と、
上記鋼管と第1ローラとの相対移動に同期させて当該第1ローラを回転駆動させるローラ駆動部と
を備え、前記ローラ駆動部が、前記移動手段の動作に連動して動作するよう構成されていることを特徴とするものである(請求項4)。
【0012】
このラック軸の製造装置によれば、上記保持具によって鋼管を保持し、第1ローラを当該鋼管に押し当てた状態で、移動手段によって上記鋼管と第1ローラとを鋼管の軸方向へ相対移動させることにより、第1ローラを鋼管に転がり接触させながら鋼管を平坦に塑性変形させることができる。このため、鋼管と第1ローラとの間の摩擦摺動抵抗を極めて小さくすることができ、両者の焼付きを防止するための鋼管の潤滑処理が不要となる。
また、鋼管を軸方向に沿って漸次塑性変形させることができるので、プレス成形の場合のように、平坦部が凹入変形したり、変形量が多い部分にクラックが生じたりするのを防止することができる。
【0013】
上記ラック軸の製造装置は、鋼管と第1ローラとの相対移動に同期させて第1ローラを回転駆動させるローラ駆動部を備えているので、鋼管と第1ローラとの相対移動時に、両者間にスリップが生じるのを効果的に防止することができる。
【0014】
上記ローラ駆動部は、上記保持具に一体化され鋼管の軸線と平行に延びるラックと、第1ローラの支軸に一体回転可能に連結され、上記ラックに噛み合うピニオンとを備えるのが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記ラックとピニオンとによって、鋼管の移動と第1ローラの回転駆動とを連動させることができる。このため、移動手段の駆動源とローラ駆動部の駆動源とを、一つの駆動源で兼用することができる。
【0015】
上記第1ローラは、支軸に嵌合される基部と、この基部の外周に突設され、平坦部の全長と略等しい周長を有する扇形の成形部とを備えるのが好ましく(請求項6)、この場合には、上記成形部を第1ローラの回転に伴って鋼管に食い込ませてそのまま鋼管を平坦に塑性変形させることができる。このため、第1ローラを鋼管に食い込ませるために、第1ローラと鋼管との相対距離を変化させるため機構が不要となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明のラック軸の製造方法の実施に使用するラック軸の製造装置を示す縦断面図であり、図2はその横断面図である。このラック軸の製造装置は、断面略円形の鋼管Pの軸方向途中部を、平坦に塑性変形させて断面略D形中空形状とするものであり(図4参照)、上記鋼管Pを挿通させて保持する保持具1と、上記鋼管Pの途中部に押し当てる平坦部成形用の第1ローラ2と、上記鋼管Pに第1ローラ2を押し当てた状態で、上記鋼管Pを保持具1とともに鋼管Pの軸方向へ沿って移動させる移動手段3と、上記鋼管Pの移動に同期させて第1ローラ2を回転駆動させるローラ駆動部4と、上記保持具1を支持するスライダ5と、これらを一体的に保持するフレーム6とによって主要部が構成されている。
【0017】
上記保持具1は、鋼管Pを挿通するための挿通孔11を有する筒状のものであり、その上部には、第1ローラ2を導入するための透孔12が形成されている。この透孔12の軸方向長さは、鋼管Pの平坦部P1の全長よりも若干長くなるように設定されており、周方向幅は、第1ローラ2の後述する成形部22の幅と略等しくなるように設定されている。また、上記挿通孔11の内径は、鋼管Pの外径と略等しくなるように設定されている。
上記保持具1は、軸方向への移動が規制された状態でスライダ5に一体化されており、このスライダ5は、フレーム6の底板61と一対の側板62とによって、鋼管Pの軸方向へスライド自在に保持されている。なお、上記スライダ5の上部には、上記第1ローラ2を導入するための開口部51が形成されている。また、上記一対の側板62どうしは、底板61及び天板63によって相互に連結されている。
【0018】
平坦部成形用の第1ローラ2は、支軸23に嵌合された環状の基部21と、この基部21の外周に突設された扇形の成形部22とを有している。上記基部21は、支軸23の拡径部23aにボルト止めされて、その軸方向への移動が規制されているとともに、上記支軸23との間に嵌合されたキー24によって、当該支軸23と一体回転可能になっている。
上記成形部22は、鋼管Pの平坦部P1の全長と略等しい周長に設定されており、その幅は鋼管Pの平坦部P1と略同じ幅に設定されている。この成形部22は、上記保持具1の透孔12に導入されており、その外周は、鋼管Pに平坦部P1を成形できるように、保持具1の挿通孔11に所定量進出可能である。
なお、上記支軸23は、フレーム6の一対の側板62間に、すべり軸受25を介して回転自在に架設されている。
【0019】
移動手段3は、スライダ5、保持具1及び保持具1に保持された鋼管Pのそれぞれの一端面に当接する当接部31と、この当接部31を介して上記スライダ5、保持具1及び鋼管Pを一斉に押圧する駆動源としての油圧シリンダ32とを備えている。この移動手段3は、鋼管Pの平坦部P1の全長に対応する距離だけ上記保持具1等を移動させる。
【0020】
ローラ駆動部4は、上記スライダ5にボルト止めされて保持具1に一体化されたラック41と、このラック41に噛み合わせたピニオン42とで構成されている。上記ラック41は、そのラック歯41aを上方に向けた状態で、鋼管Pの軸線と平行に延びており(図3参照)、その全長は、鋼管Pの平坦部P1の全長よりも長くなるように設定されている。
上記ピニオン42は、支軸23の拡径部23aにボルト止めされて、その軸方向への移動が規制されているとともに、上記支軸23との間に嵌合されたキー(図示せず)によって、当該支軸23と一体回転可能になっている。このため、移動手段3によってスライダ5を移動させると、これに連動させて、ピニオン42及び支軸23を介して第1ローラ2を回転駆動させることができる。また、上記ピニオン42のピッチ円半径は、第1ローラ2の成形部22の半径と一致させてあり、これにより、スライダ5の移動と第1ローラ2の回転駆動とを同期させることができる。このように、上記ローラ駆動部4は、スライダ5の移動に連動して第1ローラ2を回転駆動させることができるので、当該第1ローラ2を駆動するための専用の駆動源が不要であり、その分、構造の簡素化及びコストの低減化を図ることができる。
なお、上記第1ローラ2の成形部22は、保持具1をホームポジション(図1の右端部)に移動させた状態で、鋼管Pを当該保持具1に支障なく挿通できるように、保持具1の挿通孔11から退避させてある。
【0021】
以上の構成のラック軸の製造装置を用いて鋼管Pに平坦部P1を形成する方法について以下に説明する。
まず、図1に示すように、保持具1をホームポジションに移動させた状態で、当該保持具1の挿通孔11に鋼管Pを挿通して当該鋼管Pをセットする。
次いで、移動手段3の油圧シリンダ32を駆動して、保持具1及びスライダ5とともに鋼管Pを図1の左方向へ移動させる。すると、ローラ駆動部4によって、第1ローラ2を上記鋼管Pの移動に同期させて同図において時計回り方向に回転駆動させることができ、これにより、第1ローラ2の成形部22の外周端部を鋼管Pに所定量食い込ませることができる(図5参照)。そして、この状態でさらに鋼管Pを上記と同じ方向へ連続的に移動させると、上記成形部22を鋼管Pに転がり接触させながら、当該鋼管Pを漸次塑性変形させて(図6参照)、最終的に上記成形部22の周長に対応する長さの平坦部P1を成形することができる(図7参照)。
【0022】
このように、第1ローラ2の成形部22を鋼管Pに転がり接触させながら鋼管Pを平坦に塑性変形させるので、鋼管Pと第1ローラ2との間の摩擦摺動抵抗を殆ど無視できる程度に小さくすることができる。このため、鋼管Pと第1ローラ2との焼付きを防止するために、鋼管Pに予め潤滑処理を施しておく必要がない。
しかも、ローラ駆動部4によって鋼管Pの移動に同期させて第1ローラ2を強制的に回転駆動させるので、その移動時において鋼管Pと第1ローラ2との間でスリップが生じるのを効果的に防止することができる。このため、鋼管Pと第1ローラ2との焼付きをより確実に防止することができるととともに、平坦部P1の表面を、滑らかに仕上げることができる。
また、鋼管Pをその軸方向に沿って漸次塑性変形させることができるので、プレス成形の場合のように、平坦部Pが凹入変形したり、鋼管Pの内周の平坦部P1と円弧部P2との交差部等にクラックが生じたりするのを防止することができる。
さらに、上記ラック軸の製造装置は、第1ローラ2を回転させることによって、その成形部22を鋼管Pに食い込ませることができるので、当該第1ローラ2を鋼管Pに食い込ませるために、第1ローラ2又は鋼管Pを昇降させるための機構が不要であり、その分、構造の簡素化及びコストの低減化を図ることができる。
【0023】
次に、上記平坦部P1を形成した鋼管Pに、図8に示すラック歯P3を形成する工程について説明する。
上記ラック歯P3は、前記したラック軸の製造装置において、平坦部成形用の第1ローラ2をラック歯成形用の第2ローラ7に取り替えることにより形成することができる。この第2ローラ7は、図9に示すように、支軸23に嵌合された環状の基部71と、この基部71の外周に突設された扇形の成形部72とを有しており、この成形部72の外周には、ラック歯P3に対応する形状の歯73が形成されている。
ラック歯P3の形成に際しては、保持具1をホームポジションに移動させた状態で、当該保持具1の挿通孔11に、平坦部P1を形成した鋼管Pを挿通して当該鋼管Pをセットする。この際、上記平坦部P1を上方へ向けておくとともに、鋼管Pの内部の少なくとも平坦部P1に対応する部分に、平坦部P1に負荷される荷重を受け止めるためのマンドレル74を挿入しておく。次いで、移動手段3の油圧シリンダ32を駆動して、保持具1及びスライダ5とともに鋼管Pを図9の左方向へ移動させる。これにより、第2ローラ7を回転させながら、鋼管Pの平坦部P1を当該第2ローラ7の歯73によって順次塑性変形させて(図10参照)、平坦部P1にラック歯P3を形成することができる。
【0024】
このように、鋼管Pの平坦部P1を塑性変形させてラック歯P3を形成することにより、当該平坦部P1の残留応力の影響を受けることなくラック歯P3を高精度に形成することができる。すなわち、上記鋼管Pの平坦部P1を平坦部成形用の第1ローラ2によって塑性変形させると、当該平坦部P1に残留応力が生じるので、ブローチ刃を用いた歯切り加工によって平坦部P1にラック歯P3を形成すると、上記残留応力の影響により、ラック歯P3の精度が低下するが、上記第2ローラ7を用いてラック歯P3を形成した場合には、上記残留応力の影響を受けることなくラック歯P3を高精度に形成することができる。また、上記歯切り加工によりラック歯P3を高精度に仕上げようとすると、ブローチ刃のプロファイルを変更したり、治具に設計変更を施したりする必要があるので、ラック歯P3の加工コストが高くつくという問題が生じるが、上記第2ローラ7によりラック歯P3を形成することにより、このような問題が生じるのを回避することができる。
なお、上記ラック歯P3の加工は、冷間加工のほか、温間加工で行なってもよい。
【0025】
図11はプレス成形によってラック歯P3を形成する方法を示す要部断面図である。この実施の形態においては、ラック歯成形用の成形型としてラック歯P3に対応する歯81を直列に設けた成形パンチ8を使用し、鋼管Pを保持型82によって保持するとともに、鋼管Pの内部の少なくとも平坦部P1に対応する部分に、平坦部P1に負荷される荷重を受け止めるためのマンドレル83を挿入した状態で、プレスにより上記成形パンチ8を平坦部P1に押し付けて塑性変形させて、当該平坦部P1にラック歯P3を形成する。
この実施の形態においても、鋼管Pの平坦部P1を塑性変形させてラック歯P3を形成するので、当該平坦部P1の残留応力の影響を受けることなくラック歯P3を高精度に形成することができるとともに、歯切り加工によりラック歯P3を形成する場合に比べて加工コストを安くすることができる。
なお、上記プレス成形についても、冷間加工のほか、温間加工で行なってもよい。
【0026】
この発明は、上記実施の形態に限定されるものでない。例えば、上記ラック軸の製造装置において、第1ローラ2を鋼管Pに対して移動可能に構成し、この第1ローラ2を移動手段によって鋼管Pに沿って移動させるようにしてもよく、この場合には、油圧シリンダを駆動源として、第1ローラ2を押圧移動させたり、油圧モータやギヤードモータを駆動源として、支軸23又はピニオン42を回転駆動させたりするようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係るラック軸の製造方法によれば、平坦部成形用の第1ローラを鋼管に転がり接触させながら鋼管を平坦に塑性変形させるので、両者間の摩擦摺動抵抗を極めて小さくすることができる。このため、第1ローラと鋼管との焼付きを防止するための鋼管の潤滑処理が不要となり、その分、ラック軸の製造コストを安くすることができる。
また、鋼管を軸方向に沿って漸次塑性変形させることができるので、平坦部を凹入変形を生じることなく高精度に成形することができるとともに、変形量が多い部分にクラックが生じるのを防止することができる。
【0028】
また、上記第1ローラを、鋼管と第1ローラとの相対移動に同期させて回転駆動させるので、鋼管と第1ローラとの相対移動時に、両者間にスリップが生じるのを効果的に防止することができる。このため、鋼管と第1ローラとの焼付きをより確実に防止することができる。
【0029】
請求項2に係るラック軸の製造方法によれば、ラック歯成形用の第2ローラによって平坦部を塑性変形させて、当該平坦部にラック歯を形成するので、塑性変形にて平坦部を形成することによって当該平坦部に生じる残留応力の影響を受けることなくラック歯を形成することができる。このため、ラック歯を高精度に形成することができる。
【0030】
請求項3に係るラック軸の製造方法によれば、ラック歯成形用の成形型を用いたプレス成形により、当該平坦部を塑性変形させてラック歯を形成するので、塑性変形にて平坦部を形成することによって当該平坦部に生じる残留応力の影響を受けることなくラック歯を形成することができる。このため、ラック歯を高精度に形成することができる。
【0031】
請求項4に係るラック軸の製造装置によれば、保持具によって保持した鋼管に、第1ローラを押し当てた状態で、移動手段によって上記鋼管と第1ローラとを鋼管の軸方向へ相対移動させることにより、第1ローラを鋼管に転がり接触させながら鋼管を平坦に塑性変形させることができる。このため、鋼管と第1ローラとの間の摩擦摺動抵抗を極めて小さくすることができ、両者の焼付きを防止するための鋼管の潤滑処理が不要となり、その分、ラック軸の製造コストを安くすることができる。
また、鋼管を軸方向に沿って漸次塑性変形させることができるので、平坦部を凹入変形を生じることなく高精度に成形することができるとともに、変形量が多い部分にクラックが生じるのを防止することができる。
【0032】
また、ローラ駆動部によって、鋼管と第1ローラとの相対移動に同期させて第1ローラを回転駆動させることができるので、当該相対移動時に、両者間にスリップが生じるのを効果的に防止することができる。このため、鋼管と第1ローラとの焼付きをより確実に防止することができる。
【0033】
請求項5に係るラック軸の製造装置によれば、ラックとピニオンとによって、鋼管の移動と第1ローラの回転駆動とを連動させることができるので、移動手段の駆動源とローラ駆動部の駆動源とを、一つの駆動源で兼用することができる。
このため、装置の構造の簡素化、コストの低減化を達成することができる。
請求項6に係るラック軸の製造装置によれば、第1ローラを回転させるだけで、その成形部を鋼管に食い込ませることができるので、第1ローラを鋼管に食い込ませるために、第1ローラと鋼管との相対距離を変化させるため機構が不要となる。このため、装置の構造の簡素化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のラック軸の製造装置の一つの実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】同じく横断面図である。
【図3】ラック軸の製造装置の要部断面図である。
【図4】平坦部を成形した鋼管を示す斜視図である。
【図5】平坦部の成形途中を示す縦断面図である。
【図6】平坦部の成形途中を示す縦断面図である。
【図7】平坦部の成形完了状態を示す縦断面図である。
【図8】ラック軸を示す斜視図である。
【図9】ラック歯の成形途中を示す縦断面図である。
【図10】ラック歯の成形途中を示す縦断面図である。
【図11】ラック歯の他の成形方法を示す縦断面図である。
【図12】ラック軸を示す正面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】従来例を示す縦断面図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】他の従来例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 保持具
2 第1ローラ
21 基部
22 成形部
3 移動手段
4 ローラ駆動部
41 ラック
42 ピニオン
7 第2ローラ
71 歯
8 成形パンチ(成形型)
P 鋼管
P1 平坦部
P3 ラック歯
Claims (6)
- 断面略円形の鋼管の軸方向途中部を、平坦に塑性変形させて断面略D形中空形状とした後、その平坦部の外側面にピニオンと噛合するラック歯を形成するラック軸の製造方法において、
上記鋼管の途中部に平坦部成形用の第1ローラを押し当てた状態で、鋼管と第1ローラとを鋼管の軸方向へ相対移動させ、上記第1ローラを鋼管に転がり接触させながら鋼管を平坦に塑性変形させる工程を含んでおり、
前記鋼管を軸方向に移動させる移動手段によって当該鋼管を移動させるとともに、前記第1ローラを、前記移動手段の動作に連動して動作するローラ駆動部によって、鋼管と当該第1ローラとの相対移動に同期させて回転駆動させることを特徴とするラック軸の製造方法。 - 上記鋼管に平坦部を形成した後、外周に歯を有するラック歯形成用の第2ローラを鋼管の平坦部に押し当てた状態で、鋼管と第2ローラとを鋼管の軸方向へ相対移動させ、上記第2ローラを回転させながら鋼管の平坦部を塑性変形させて当該平坦部にラック歯を形成する工程を含む請求項1記載のラック軸の製造方法。
- 上記鋼管に平坦部を形成した後、ラック歯形成用の成形型により鋼管の平坦部をプレス成形してラック歯を形成する工程を含む請求項1記載のラック軸の製造方法。
- 断面略円形の鋼管の軸方向途中部を、平坦に塑性変形させて断面略D形中空形状とするラック軸の製造装置において、
上記鋼管を保持する保持具と、
上記鋼管の途中部に押し当てる回転可能な平坦部成形用の第1ローラと、
上記鋼管に第1ローラを押し当てた状態で、鋼管と第1ローラとを鋼管の軸方向に相対移動させて、上記第1ローラを鋼管に転がり接触させながら鋼管を平坦に塑性変形させる移動手段と、
上記鋼管と第1ローラとの相対移動に同期させて当該第1ローラを回転駆動させるローラ駆動部と
を備え、前記ローラ駆動部が、前記移動手段の動作に連動して動作するよう構成されていることを特徴とするラック軸の製造装置。 - 上記ローラ駆動部が、上記保持具に一体化され鋼管の軸線と平行に延びるラックと、第1ローラの支軸に一体回転可能に連結され、上記ラックに噛み合うピニオンとを備える請求項4記載のラック軸の製造装置。
- 上記第1ローラが、支軸に嵌合される基部と、この基部の外周に突設され、平坦部の全長と略等しい周長を有する扇形の成形部とを備える請求項4記載のラック軸の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03197798A JP3690631B2 (ja) | 1997-02-25 | 1998-01-28 | ラック軸の製造方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (3)
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