JP3690416B1 - 高分子電解質膜湿度センサー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持基板上に形成される複数の電極12、13と、電極に接して形成される感湿膜として高分子電解質膜を用いる高分子電解質膜湿度センサー10であって、高分子電解質膜が特定のスルホン化ポリイミド膜18からなると共に、支持基板が特定のポリイミド樹脂基板11からなる高分子電解質膜湿度センサー10。
【選択図】図1
Description
[ここで、上記化学式(1)のAr1及びAr3は、例えば下記化2で示される少なくとも1以上の芳香環を有する4価の基であり、Ar2は、下記化3、化4、又は化6で示される基であり、Ar4は、下記化7で示されるような基であり、lが1以上の整数、mが0又は1以上の整数であり、
D1は、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O=S=O、又はC=Oを示し、R1〜R7は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを示し、D2は、O、又はC(CH3)2を示し、Ar5は、下記の化5に示すような基であり、
式中、D3は、直接結合、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O=S=O、又はC=Oを示し、R1〜R7は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを示し、nは、0、1又は2の整数を示し、
ここで、R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表し、pは、1又は2の整数であり、nは、1〜6の整数であり、kは、1又は2の整数であり(ただし、kが2のとき、R13は、存在しない)、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンであり、
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る高分子電解質膜湿度センサーの説明図、図2は、同高分子電解質膜湿度センサーの実施例1の耐水性試験の結果を示すグラフ、図3は、同高分子電解質膜湿度センサーの実施例3の耐水性試験の結果を示すグラフ、図4は、同高分子電解質膜湿度センサーの実施例4の耐水性試験の結果を示すグラフ、図5は、比較例3の耐水性試験の結果を示すグラフ、図6は、本発明の一実施の形態に係る高分子電解質膜湿度センサーの実施例3の高温高湿試験の結果を示すグラフ、図7は、同高分子電解質膜湿度センサーの実施例4の高温高湿試験の結果を示すグラフである。
ここで、D1は、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O=S=O又はC=Oを示し、R1〜R3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを示す。
であり、上記化14の式中、D3は、直接結合、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O=S=O又はC=Oを示し、R8〜R10は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを示し、nは、0、1又は2の整数を示す。
ここで、R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表し、pは、1又は2の整数であり、nは、1〜6の整数であり、kは、1又は2の整数であり(ただし、kが2のとき、R13は、存在しない)、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンである。
化学式(3)で示されるスルホン化芳香族ジアミンは、芳香族ジアミンを硫酸塩とした後、細田、「理論製造 染料化学」、技報社発行、東京、1957年等に記載の方法でスルホン化することによって合成することができる。この時、用いられる芳香族ジアミンは、芳香環がO、CH2、C(CF3)2、SO2、COを挟んで結合しているものであり、具体的には、3,4’−オキシジアニリン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。
(式中、D3は、直接結合、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、を示し、R8〜R10は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを示し、nは、0〜2の整数を示す。)の構造、すなわち、アミノ基に結合していない芳香環が電子吸引基と結合していないスルホン酸基含有芳香族ジアミンの場合、例えば、(A)芳香族ジアミンを濃硫酸中で、細田、「理論製造 染料化学」、技報社発行、東京、1957年等に記載の方法でスルホン化する方法、(B)二価フェノールを濃硫酸中で、細田、「理論製造 染料化学」、技報社発行、東京、1957年等に記載の方法でスルホン化後、特開平9−241225号公報等に記載の方法でニトロ基を有する芳香族ハライドと反応させ、ジニトロ化合物を合成し、その後、ニトロ基を還元することによってジアミン化合物とする方法、等によって合成することができる。
前記の(B)の反応において原料として用いられることのできる、二価フェノールとしては、芳香環が電子吸引基と結合していないものであり、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等を挙げることができる。ニトロ基を有する芳香族ハライドとしては、2−クロロニトロベンゼン、3−クロロニトロベンゼン、4−クロロニトロベンゼン、2−フルオロニトロベンゼン、3−フルオロニトロベンゼン、4−フルオロニトロベンゼン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン等を挙げることができる。
(式中、D3は、O=S=O又はC=Oを示し、R8〜R10は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを示し、nは、1の整数を示す。)の構造で示される、すなわち、アミン基の結合していない芳香環が電子吸引基と結合している芳香族ジアミンの場合、例えば、(C)二価フェノールを発煙硫酸中で、細田、「理論製造 染料化学」、技報社発行、東京、1957年等に記載の方法でスルホン化後、特開平9−241225号公報等に記載の方法で、ニトロ基を有する芳香族ハライドと反応させ、ジニトロ化合物を合成し、その後、ニトロ基を還元することによってジアミン化合物とする方法等によって合成することができる。
[ここで、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを表す。]の構造を有するスルホン酸基含有芳香族ジアミンの場合、例えば、(D)原料ジアミンを濃硫酸中で硫酸塩とし、その後、細田、「理論製造 染料化学」、技報社発行、東京、1957年等に記載の方法で発煙硫酸を用いてスルホン化することにより合成することができる。この時、用いられる原料ジアミンとして、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを挙げることができる。
また、前記のハロゲン化アルキルスルホン酸アルカリ金属塩は、末端にスルホン酸アルカリ金属塩を有するハロゲン化アルキル化合物であり、例えば、2−ブロモエタンスルホン酸、3−ブロモプロパンスルホン酸、4−ブロモブタンスルホン酸等のカリウム、ナトリウム、リチウム塩を好適に挙げることができる。
この合成法(F)で、アゾカップリング反応及びそれに続く転位反応は、日本化学会編、新実験化学講座15、酸化と還元、丸善、1975年等に記載されているような公知の方法を用いることができ、例えば、Zn/NaOH/メタノールを水中で加熱してアゾベンゼンとし、次いでZn/エタノールをアンモニア中で加熱してヒドラゾベンゼンにし、濃塩酸中で加熱してベンジジン転移して達成される。
具体的には、例えば、極性溶媒中で、前記ジアミンと前記芳香族テトラカルボン酸二無水物、3級アミノ化合物、共沸溶媒としてトルエン又はキシレン等を添加し、140〜220℃に加熱し生成した水を共沸溶媒と共に除去しながら0.5〜100時間縮重合反応させることによって容易に達成できる。この時用いられる3級アミノ化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン等を挙げることができ、また、必要ならば、安息香酸、イソキノリン等を触媒として添加してもよい。芳香族ジアミンのアミノ基と芳香族テトラカルボン酸酸二無水物の酸酸二無水物基に対するモル比は、0.95〜1.05の範囲が好ましく、この範囲よりアミノ基が少なくても多くても、ポリイミドの分子量が低くなって得られる膜の強度が低下することから好ましくない。上記の縮重合法によりアミン塩型のスルホン化ポリイミドが得られるが、これを硫酸水溶液等に浸漬しイオン交換することによりプロトン型のスルホン化ポリイミドが容易に得られる。また、アミン塩型又はプロトン型のスルホン化ポリイミドをアルカリ金属塩、アンモニウム塩水溶液等に浸漬しイオン交換することによりアルカリ金属塩、アンモニウム塩型のスルホン化ポリイミドが容易に得られる。
また、本発明の櫛形電極を有するポリイミド基板は、市販のポリイミドフイルムを用いてもよいし、上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物と非スルホン酸ジアミンから公知の方法で合成製膜してもよい。スルホン化ポリイミドとの親和性を高めるため、ポリイミドフイルムの表面をプラズマエッチングまたは弱アルカリ水浸漬処理等により、適度に親水化することが望ましい。
支持基板ポリイミドとして、市販ポリイミドフイルム、ユーピレックス(宇部興産株式会社の登録商標)−125S(膜厚125μm)を用いた。このポリイミドフイルムは疎水性であり、表面は水をはじく。このフイルムを、1M−KOH水溶液に50℃で15分間浸漬処理し、水洗い乾燥する。処理後のフイルム表面は、水に濡れるようになり、親水化されていることが分かる。親水化処理したポリイミドフイルム上に櫛形金電極を蒸着して、図1に示した電極付きポリイミド支持基板を作製した。
(1)3−(3’−ニトロフェノキシ)プロパンスルホン酸Naの合成
以下に示す手順で、下記の化19の化学構造式を有する3−(3’−ニトロフェノキシ)プロパンスルホン酸のNa塩を合成した。
この生成物について、H−NMRを測定した。その結果、7.82ppm(d)、7.69ppm(s)、7.60−7.55(t)及び7.44−7.37(m)が観測され、フェニル環のHに基づくシグナルとして帰属された。また、4.22−4.18ppm(t)は、エーテル結合に隣接するCH2のプロトンに、2.62−2.56ppm(t)は、スルホニル基に隣接するCH2のプロトンに、2.09−1.99ppm(m)は、中間のCH2のプロトンにそれぞれ帰属され、前記化21の化学構造式を有する3−(3’−ニトロフェノキシ)プロパンスルホン酸Naが生成していることが確認された。
以下に示す手順で、下記の化20の化学構造式を有する3,3’−ビス(3−スルホプロポキシ)アゾベンゼン二ナトリウムを合成した。
この生成物について、H−NMRを測定した。その結果、7.51ppm(m)、7.4ppm(s)、7.15ppm(split)が観測され、フェニル環のHに基づくシグナルとして帰属された。プロポキシ基のプロトンのシグナルは、上記と同様に帰属された。以上の結果から、3,3’−ビス(3−スルホプロポキシ)アゾベンゼン二ナトリウムが生成していることが確認された。
この生成物について、H−NMRを測定した。その結果、7.25−7.15ppm(t)、6.77−6.62ppm(m)が観測され、フェニル環のHに基づくシグナルとして帰属された。プロポキシ基のプロトンのシグナルは、上記と同様に帰属された。以上の結果から、3,3’−ビス(3−スルホプロポキシ)ヒドラゾベンゼン二ナトリウムが生成していることが確認された。
以下に示す手順で、下記の化22の化学構造式を有する2,2’−BSPBを合成した。
この生成物について、トリエチルアミンの存在下でH−NMRを測定した。その結果、6.77−6.71ppm(d)、6.2ppm(s)が観測され、フェニル環のHに基づくシグナルとして帰属された。4.91ppm(br)は、2つのアミノ基のプロトンに帰属された。また、3.9−3.8ppm(t)は、エーテル結合に隣接するCH2のプロトンに、2.52−2.45ppm(t)は、スルホニル基に隣接するCH2のプロトンに、1.93−1.79ppm(m)は、中間のCH2のプロトンにそれぞれ帰属された。以上の結果から、2,2’−BSPBが生成していることが確認された。
以下に示す手順でNTDA−2,2’−BSPBスルホン化ポリイミド(トリエチルアミン塩型)を合成した。
NTDA−2,2’−BSPBポリイミドの5wt%メタクレゾール溶液を親水化処理したポリイミドフイルム表面に塗布し、80℃3時間乾燥し、次いで、160℃で2時間真空乾燥し、NTDA−2,2’−BSPBとポリイミド基板の接合体を得、これを後述する水中浸漬剥離試験に供した。また、この溶液を図1に示す、第1と、第2の櫛状電極12、13を有するポリイミド支持基板11に塗布し、80℃3時間時間乾燥し、次いで、160℃で2時間真空乾燥し、感湿素子を作製し、これを後述する耐水性試験に供した。結果を図2に示す。
実施例1で調製したNTDA−2,2’−BSPBポリイミドの5wt%メタクレゾール溶液を、図1に示す、第1と、第2の櫛状電極12、13を有するセラミックス支持基板11に塗布し、80℃3時間乾燥し、次いで、160℃で2時間真空乾燥し、感湿素子を作製し、これを後述する水中浸漬剥離試験および耐水性試験に供した。
m−ニトロフェノールに代えてo−ニトロフェノールを用いた以外、実施例1と同様の方法によって、3,3’−ビス(3’−スルホプロポキシ)ベンジジン(略称:3,3’−BSPB)を合成した。全体での収率は、46%であった。
この生成物について、トリエチルアミンの存在下でH−NMRを測定した。6.98−6.93ppm(s)、6.93−6.82ppm(d)、6.70−6.60ppm(d)が観測され、フェニル環のプロトンに帰属された。4.9−4.5ppm(br)は、アミノ基のプロトンに、4.17−4.02ppm(t)は、エーテル結合に隣接するCH2のプロトンに、2.8ppm付近(トリエチルアミンのシグナルと重なる)は、スルホ基に隣接するCH2のプロトンに、2.15−1.98ppm(m)は、中間のCH2のプロトンに、それぞれ帰属された。その帰属と積分強度比から、生成物は、3,3’−BSPBであることが確認された。
3,3’−BSPB2.300g(5ミリモル)とNTDA1.341g(5ミリモル)を用い、実施例1と同様にして、NTDA−3,3’−BSPBポリイミド(トリエチルアミン型))を得た。
NTDA−3,3’−BSPSポリイミドの5wt%メタクレゾール溶液を親水化処理したポリイミドフイルム表面に塗布し、80℃で3時間乾燥し、次いで、160℃で2時間真空乾燥し、NTDA−3,3’−BSPSとポリイミド基板の接合体を得、これを後述する水中浸漬剥離試験に供した。また、この溶液をこの溶液を図1に示す、第1と、第2の櫛状電極12、13を有するポリイミド支持基板11に塗布し、80℃で3時間乾燥し、次いで、160℃で2時間真空乾燥し、感湿素子を作製し、これを後述する耐水性試験に供した。
実施例2で調製したNTDA−3,3’−BSPBポリイミドの5wt%メタクレゾール溶液を、図1に示す、第1と、第2の櫛状電極12、13を有するセラミックス支持基板11に塗布し、80℃で3時間乾燥し、次いで、160℃で2時間真空乾燥し、感湿素子を作製し、この比較例2の湿度センサーについて、後述する水中浸漬剥離試験および耐水性試験に供した。
完全に乾燥させた100mlの4つ口フラスコに、2,2’−BSPB0.920g(2ミリモル)と、m−クレゾール13gと、トリエチルアミン1.0gと、BAPPS0.435g(1ミリモル)を窒素気流中で攪拌しながら投入した。完全に溶解した後、昇華精製したNTDA0.804g(3ミリモル)と、触媒としての安息香酸0.51gとをフラスコに加えた。混合液を80℃で4時間加熱した後、180℃で20時間加熱した。次に、25℃まで冷却した後、m−クレゾール20g加え、その反応混合物をアセトン中に投入した。得られた繊維状の沈殿物を、濾取し、100℃で10時間真空乾燥して、NTDA−2,2’−BSPB/BAPPS共重合ポリイミド(トリエチルアミン型))を得た。
この共重合ポリイミドの5wt%メタクレゾール溶液を親水化処理したポリイミドフイルム表面に塗布し、80℃で3時間乾燥し、次いで、160℃で2時間真空乾燥し、NTDA−2,2’−BSPBとポリイミド基板の接合体を得、これを後述する水中浸漬剥離試験に供した。また、この溶液を図1に示す、第1と、第2の櫛状電極12、13を有するポリイミド支持基板11に塗布し、80℃で3時間乾燥し、次いで、160℃で2時間真空乾燥し、感湿素子を作製し、これを後述する耐水性試験および高温高湿試験に供した。結果をそれぞれ図3および図6に示す。
(1)4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)の合成
20gの4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルを17mlの95%硫酸に溶解後、溶液を0℃まで冷却し、35mlの発煙硫酸(SO360%)を滴下した。80℃で1時間攪拌後、室温まで冷却し、氷水に投入して析出した固体を濾別した。NaOH水溶液に溶解させた後、塩酸水溶液を加え、析出した固体を濾別、水洗、乾燥し、生成物を得た。得られた生成物は、H−NMRから下記の化23の化学構造式で示される構造単位のBAPBDSであることが確認された。
NTDA1.342g(5ミリモル)とBAPBDS2.643g(5ミリモル)を用い実施例1と同様にして、NTDA−BAPBDSポリイミドを得た。この6wt%m−クレゾール溶液を図1に示す、第1と、第2の櫛状電極12、13を有するポリイミド支持基板11に塗布し、これを80℃で3時間、次いで真空中160℃で2時間加熱、乾燥処理して感湿膜を得た。この実施例3の湿度センサーの感湿膜について、後述する耐水性試験および高温高湿試験を行い、結果を図4と図7に示した。
ポリグリシジルメタクリレートをトリエチルアミン塩酸塩により四級アンモニウム化した高分子をアルコールに溶解し、図1に示す、第1と、第2の櫛状電極12、13を有するポリイミド支持基板11に塗布し、165℃で2時間乾燥を行い、比較例1の湿度センサーの感湿膜を得た。この比較例3の湿度センサーの感湿膜について、後述する耐水性試験を行い、結果を図5に示した。
実施例1〜2および比較例1〜3の支持基板上に塗布した膜を25℃水中に100時間浸漬し、その後24時間自然放置し、塗布した膜の剥離の有無を調べた。比較例1と2では、スルホン化ポリイミド膜の水中での膨潤が大きいため、セラミックス基板からの膜の剥離が起こったが、実施例1と2では、膜の剥離は見られず、スルホン化ポリイミド膜と親水化処理したポリイミド基板との接着性がよいことが分かった。比較例3では、ポリイミド基板からの剥離が生じたが、これは、塗布した高分子膜の耐水性が悪いためである。
実施例1〜4及び比較例1〜3の感湿膜について、耐水性試験を行い、その結果を図2〜5に示す。耐水性試験は、感湿膜を25℃水中に10時間浸漬する前後で抵抗値を比較することにより行った。抵抗値の測定は、Agilent製LCRメーター4263Bを使用した。標準湿度発生器は、神栄株式会社製SRH−01を用いた。
実施例1〜4と比較例1〜3の感湿膜について、高温高湿試験を行った。試験は、温度85℃、湿度100%の高温高湿槽の中に投入し、投入前、100、200、300、500、1000時間後のそれぞれの支持基板からの感湿膜の剥離状況を観察した。比較的水収着の少ないスルホン化芳香族ポリイミドとポリイミド基板からなる実施例3と4の湿度センサーは、1000時間の長期間の高温高湿の環境中にあっても、支持基板からのはく離等の異常は確認されなかった。比較的水収着の多いスルホン化芳香族ポリイミドとセラミックス基板からなる比較例1、2の湿度センサーでは、100時間以内に支持基板からはく離することが確認された。これに対して、実施例1と2のポリイミド基板の場合、200〜300時間で剥離が見られ、セラミックス基板に比べてポリイミド基板の方が、剥離に対する耐久性は高いことが分かった。実施例3と4の感湿膜について、1000時間処理後に、前記の耐水性試験の場合と同様に、室温で抵抗値と相対湿度の関係を測定した。その結果を図6と図7に示す。実施例3と4の感湿膜は、1000時間後でも初特性とほぼ同じ特性を示し、高温高湿に対する非常に優れた耐久性を有していることが分かる。
Claims (1)
- 支持基板上に形成される複数の電極と、該電極に接して形成される感湿膜として高分子電解質膜を用いる高分子電解質膜湿度センサーであって、
前記高分子電解質膜が下記の化学式(1)で示される構造単位を有するスルホン化ポリイミド膜からなると共に、前記支持基板が下記の化学式(2)で表される構造単位を有するポリイミド樹脂基板からなることを特徴とする高分子電解質膜湿度センサー。
[ここで、上記化学式(1)のAr1及びAr3は、下記化2で示される少なくとも1以上の芳香環を有する4価の基であり、Ar2は、下記化3、化4、又は化6で示される基であり、Ar4は、下記化7で示される基であり、lが1以上の整数、mが0又は1以上の整数であり、
D1は、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O=S=O、又はC=Oを示し、R1〜R7は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを示し、D2は、O、又はC(CH3)2を示し、Ar5は、下記の化5に示す基であり、
式中、D3は、直接結合、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O=S=O、又はC=Oを示し、R1〜R7は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンを示し、nは、0、1又は2の整数を示し、
ここで、R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表し、pは、1又は2の整数であり、nは、1〜6の整数であり、kは、1又は2の整数であり(ただし、kが2のとき、R13は、存在しない)、Xは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は4級アミンであり、
ここで、D4は、直接結合、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O=S=O又はC=Oを示し、nは、0〜3の整数であり、
上記の化学式(2)のAr6は、下記化9又は化10の1以上の芳香環を有する4価の基であり、Ar7は、下記化11で示される2価の基であり、
式中、D5は、直接結合、O、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2、O=S=O又はC=Oを示し、R14〜R17は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、nは0〜3の整数を表す。]
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