JP3690054B2 - 端末網制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アナログ電話回線に接続される端末網制御装置の回線インピーダンス制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガス、電気、および水道などの使用量をセンタ装置から遠隔操作により自動的に検針する自動検針システムに使用される端末網制御装置は、通常、メンテナンスフリーにするため、電池電源を搭載することが多く、また、前記電池電源の容量を少なくするために電話回線から一部の電力を供給して動作させるように構成されることも多い。
【0003】
以下、従来の端末網制御装置について、図面を参照しながら説明する。図9は従来の端末網制御装置の構成を示すブロック図である。図において、1は端末網制御装置であり、端子1aおよび端子1bは電話回線2に接続される。電話回線2の先にはセンタ装置(図示せず)が接続され、ノーリンギング通信や、端末網制御装置1からの発呼通信が行われる。3はダイオードブリッジであり、端子1aおよび端子1bと電話回線2との接続を無極性にしている。4は閉結制御手段であり、動作時には50〜300Ωの直流インピーダンスとなり、電話回線2を閉結状態にする。5はスイッチ手段であり、交流インピーダンス整合手段6と半閉結制御手段7とを電話回線2に接続するスイッチ動作を行う。
【0004】
交流インピーダンス整合手段6は、交流インピーダンスが600Ωとなる回路から構成されており、動作時には電話回線2の交流インピーダンスの整合をとる働きをする。7は半閉結制御手段であり、電源を回線電源供給手段12から供給され、動作時、たとえばノーリンギング通信時に直流インピーダンスを数10kΩの半閉結状態にする。8はモデム手段であり、電話回線2からのデータの復調および送信データの変調を行う。9は制御手段であり、マイクロコンピュータ(図示せず)を備え、閉結制御手段4、スイッチ手段5、半閉結制御手段7、およびモデム手段8の動作を制御し、また、外部からデータをデータ入力端子1cから入力して処理するように構成されている。
【0005】
図10は従来の端末網制御装置の構成を示す要部回路図である。なお、図9と同じ構成要素には同一番号を付与して説明を省略する。図において、交流インピーダンス整合手段6は、コンデンサ6a、抵抗6b、および放電用の抵抗6cとを備え、交流インピーダンスが抵抗6bと抵抗6cとの並列抵抗値になるように構成されている。また、半閉結制御手段7はトランジスタ7a、抵抗7b、および定電流回路10で構成され、定電流回路10はトランジスタ7aのコレクタ電流により抵抗7bの両端に発生する電圧を端子10cから入力し、この電圧を一定にするように端子10aから与えるベース電流をフィードバック制御することにより、トランジスタ7aのコレクタ電流が一定になるように動作する。また、定電流回路10は電源を回線電源供給手段12から供給されている。さらに、半閉結制御手段7は半閉結状態でトランジスタ7aのコレクタを制御して、電話回線2にデータ信号を送出するように動作する。
【0006】
スイッチ手段5は、PNPトランジスタ5d、NPNトランジスタ5b、および抵抗5a、5c、5eから構成され、制御手段9の端子9bがハイレベルになると抵抗5aを介してNPNトランジスタ5bが動作状態になり、PNPトランジスタ5dにベース電流を流す。このとき、抵抗5cの作用によりNPNトランジスタ5bに流れる電流は、制御手段9の端子9bから与えられる電圧のレベルが一定であるかぎり一定の電流となる。したがって、電話回線2の電圧が変化してもベース電流が変化しないので電話回線2への直流インピーダンスの影響が一定になるように構成されている。
【0007】
上記構成において、その動作を説明する。センタ装置からノーリンギング通信を利用した検針要求が発生すると、電話回線2の極性が反転する。図示しないが、この極性反転を制御手段9が検知するとモデム手段8は電話回線2からのNRS信号を受信し、その内容を制御手段9に通知する。制御手段9はこのNRS信号が自己のアドレスと同一であると判断すると、端子9bおよび端子9cから制御信号を出力して、スイッチ手段5および半閉結制御手段7を動作状態にし、モデム手段8を介して電話回線2にアンサ信号を送信する。以降、センタ装置とデータ通信が開始され、センタ装置はデータ入力端子1cに接続されたガスメータ(図示せず)などの検針値を読み取ることができる。
【0008】
また、前記ガスメータからガス漏れなどの発呼要求が制御手段9の端子9eに入力されると端末発呼通信に移行し、制御手段9は閉結制御手段4、スイッチ手段5、および半閉結制御手段7を制御して、閉結動作状態でダイヤリング動作を行い、センタ装置と接続されたのちデータ通信する。なお、端末発呼通信時には電話回線2が閉結状態になるためダイオードブリッジ3の出力電圧は前記ノーリンギング通信時より低くなる。また、データ通信中はモデム手段8が端子8bからデータを入力し、その復調データを端子8cから制御手段9の端子9fに送り、制御手段9が処理する。また、データを送信する場合は、制御手段9から出力するデータをモデム手段8により変調し、図示しないが半閉結制御手段7により電話回線2に信号を送出するように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の端末網制御装置において、交流インピーダンス整合手段6に放電用の抵抗6cを備えた構成では、放電時間を短くするために抵抗6cの抵抗値を小さくすると、電話回線2に対する直流インピーダンスおよび交流インピーダンスの低下を招いていた。
【0010】
また、電話回線2から電源を供給するために回線電源供給手段12を用いる構成では、回線電源供給手段12が電話回線2に与える直流インピーダンスおよび交流インピーダンスの影響を避けるためには、回線電源供給手段12を高い直流インピーダンスおよび高い交流インピーダンスの回路構成とする必要があり、構成が複雑になっていた。
【0011】
これに対する対策として、定電流回路10を電池電源11で動作させる構成にすると、スイッチ手段5と半閉結制御手段7とを動作させたとき、交流インピーダンス整合手段6のコンデンサ6aが充電されるまではスイッチ手段5からトランジスタ7aへは電流が流れないため、定電流回路10は、ベース電流のみで抵抗7bの電圧を維持しようとして端子10bから過大なベース電流を流し込む。このベース電流はコレクタ電流が流れているときのベース電流に比べて過大な電流であり、定電流回路10に電流を供給している電池電源11の電流もまた過大になる。
【0012】
また、電池電源11で動作させる構成とした上で、さらに、交流インピーダンスの低下を防止する目的で放電用の抵抗6cを削除し、半閉結制御手段7を介してコンデンサ6aを放電させるように構成すると、端末発呼通信時の閉結動作状態ではノーリンギング通信状態に比べてダイオードブリッジ3の出力電圧が低いためトランジスタ7aによる放電がほとんど不可能になり、上記と同様に、電池電源11から定電流回路10に電流が流れ込む負荷電流が増加することになる。
【0013】
また、抵抗6cを削除した場合、制御手段9がリセットしたときにはスイッチ手段5および半閉結制御手段7を停止状態にするが、交流インピーダンス整合手段6のコンデンサ6aが放電されないと言う欠点がある。
【0014】
また、閉結制御手段4を動作させてダイヤルパルスを電話回線2に出力するとき、ダイヤルパルス間のミニマムポーズの間は閉結制御手段4、スイッチ手段5、および半閉結制御手段7をそれぞれ動作状態にするが、前記ミニマムポーズを開始してからコンデンサ6aが充電されるまでの間はトランジスタ7aに電流が流れないので、上記と同様に、定電流回路10からベースに大きい電流が流れ、定電流回路10を電池電源11で直接駆動する構成では電池電源11の負荷電流が増すと言う欠点がある。
【0015】
さらに、電池電源11からレギュレータなどを使用せずに制御手段9に電源を供給すると、電池電源11の電圧変化は制御手段9の端子9bから出力される電圧のハイレベルの変化として現れる。端子9bの電圧が一定であればNPNトランジスタ5bには一定電流が流れるが、端子9bの電圧が高くなるとNPNトランジスタ5bの電流が増加し、電話回線2の交流インピーダンスの低下を招くと言う欠点があった。
【0016】
本発明は上記の課題を解決するもので、電話回線2への直流インピーダンスおよび交流インピーダンスの影響をなくしながらコンデンサの放電を速めることができ、かつ半閉結制御手段に無駄な電流が流れないようにできる端末網制御装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係わる本発明は、電話回線の半閉結状態を停止させるとき、交流インピーダンス整合手段のコンデンサの電荷を前記半閉結制御手段を介して放電させ、放電させたのち半閉結制御手段の動作を停止させるようにした端末網制御装置である。
【0018】
これにより、交流インピーダンス整合手段の交流インピーダンスを低下させることなくコンデンサの放電を速めることができ、かつ放電後に電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにすることができる。
【0019】
請求項2に係わる本発明は、電話回線を半閉結状態にするとき、スイッチ手段を動作させて交流インピーダンス整合手段のコンデンサを充電し、充電させたのち半閉結制御手段を動作させるようにした端末網制御装置である。
【0020】
これにより、スイッチ手段を動作させてから前記コンデンサが充電されるまでの間に電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにすることができる。
【0021】
請求項3に係わる本発明は、閉結動作状態を停止するときには、閉結制御手段とスイッチ手段と半閉結制御手段とを同時に動作を停止させるようにした請求項1に係わる端末網制御装置である。
【0022】
これにより、閉結状態では交流インピーダンス整合手段のコンデンサの充電電圧が低いため、閉結状態を停止するときに半閉結制御手段を介して放電できないことに起因して電源から過大な電流が流れる事態を回避することができる。
【0023】
請求項4に係わる本発明は、制御手段がリセットにより装置全体を初期状態にしたとき、半閉結制御手段を所定時間、動作させて交流インピーダンス整合手段のコンデンサを放電させるようにした請求項1ないし請求項3のいずれかに係わる端末網制御装置である。
【0024】
これにより、交流インピーダンス整合手段のコンデンサをあらかじめ放電させておけるとともに、そののちは半閉結制御手段の動作を停止させておくので、電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにすることができる。
【0025】
請求項5に係わる本発明は、閉結状態で閉結制御手段を制御してダイヤルパルスを送出するとき、ダイヤルパルスを送出し終わった時点でスイッチ手段を動作させたのち、所定時間を経過した時点で半閉結制御手段を動作させるようにした端末網制御装置である。
【0026】
これにより、ダイヤルパルスを送出したのち半閉結状態にするとき、交流インピーダンス整合手段のコンデンサが充電されるまでの間に電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにすることができる。
【0027】
請求項6に係わる本発明は、制御手段の信号を入力するスイッチ手段のNPNトランジスタのエミッタとコレクタのそれぞれに直列に抵抗を挿入して設けた請求項1ないし請求項5のいずれかに係わる端末網制御装置である。
【0028】
これにより、スイッチ手段の直流インピーダンスが電源電圧の変動の影響を受けにくく、電話回線への直流インピーダンスおよび交流インピーダンスの変動を抑制することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
請求項1に係わる本発明において、交流インピーダンス整合手段は、電話回線に所定の交流インピーダンスを接続して整合をとる手段を意味し、コンデンサと抵抗の直列回路を備えた回路で実現するが、実施例では前記コンデンサの放電用の抵抗を備えず、コンデンサと抵抗の直列回路のみとする。これにより放電用の抵抗で交流インピーダンスを低下させない構成にできる。だたし、放電用の抵抗を備えてもよい。また、半閉結制御手段は、電話回線に高抵抗を接続した半閉結状態とする手段を意味し、前記高抵抗はトランジスタの定電流により実現するが、前記定電流は定電流回路のフィードバック制御により実現する。なお、この構成は従来例に示した構成と同じでよいが、これに限定されるものではない。また、実施例では半閉結制御手段の電源を電池電源から供給し、複雑な回線電源供給手段を用いないこととしたが、回線電源供給手段を用いてもよい。
【0030】
また、スイッチ手段は、前記交流インピーダンス整合手段と前記半閉結制御手段とを電話回線に開閉接続する手段を意味し、従来例に示した構成と同じでよいが、これに限定されるものではない。また、一定時間は、前記スイッチ手段の動作を停止させたとき、すなわち前記交流インピーダンス整合手段が電話回線から切り離されたときに、前記交流インピーダンス整合手段における前記コンデンサの電荷が前記半閉結制御手段を介して放電を開始し、その放電が終了するまでの時間を意味し、前記コンデンサの容量や前記半閉結制御手段の構成からあらかじめ決定できる時間であるが、上記半閉結制御手段の構成としたとき、放電電流が流れなくなって前記定電流回路に電池電源から過大な電流が流れ始めるまでの時間でもある。
【0031】
請求項2に係わる本発明において、一定時間は、前記スイッチ手段の動作を開始させたとき、すなわち前記交流インピーダンス整合手段が前記スイッチ手段を介して電話回線に接続されたとき、前記交流インピーダンス整合手段におけるコンデンサが電話回線の電圧により充電を開始し、その充電が完了するまでの時間を意味し、前記コンデンサの容量や前記スイッチ手段の構成からあらかじめ決定できる時間であるが、上記半閉結制御手段の構成としたとき、前記コンデンサの充電電圧が前記半閉結制御手段に電流を流すに十分な電圧に到達するまでの時間でもある。
【0032】
請求項4に係わる本発明において、リセットによる初期状態は、制御手段が閉結制御手段、スイッチ手段、交流インピーダンス整合手段、および半閉結制御手段のすべてを動作停止の状態に設定することを意味する。また、一定時間は、上記請求項1に係わる本発明における一定時間と同じ意味をもつ。なお、リセット前が閉結状態であった場合にはコンデンサの充電電圧は低く、半閉結制御手段を介して放電不可能である場合についても上記の動作を実施するものとする。
【0033】
請求項5に係わる本発明において、一定時間は、上記請求項1に係わる本発明における一定時間と同じ意味を持つ。
【0034】
請求項6に係わる本発明については記載の通りであるが、エミッタに挿入する抵抗は電流帰還により電流を一定に保とうとする作用を備え、また、コレクタに挿入する抵抗はコレクタ電圧帰還により電流変化を抑制する作用と、およびコレクタ電圧の飽和による電流制限の作用を備えている。
【0035】
以下、実施例について説明する。
(実施例1)
以下、本発明の端末網制御装置の実施例1について図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1は本実施例の構成を示すブロック図、図2は本実施例の構成を示す回路図である。なお、図9および図10に示した従来例と同じ構成要素には同一番号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が従来例と異なる点は、交流インピーダンス整合手段のコンデンサ6aを半閉結制御手段7を介して速やかに放電させながら、半閉結制御手段における無駄な電流消費を防止するようにした制御手段9の制御にある。なお、本実施例では、交流インピーダンス整合手段6における放電用の抵抗を設けない構成とするとともに、回線電源供給手段12を設けずに電池電源11から電源を供給する簡単な構成とするが、前記放電用の抵抗を備えてもよく、また、半閉結制御手段7の電源が回線電源供給手段から供給される構成であってもよい。
【0037】
図3は本実施例の半閉結動作状態の終了時における制御手段9の動作を示す波形図である。図において、(3−1)は、スイッチ手段5を制御する端子9bの電圧波形、(3−2)は半閉結制御手段7を制御する端子9cの電圧波形、(3−3)はスイッチ手段5のPNPトランジスタ5dのコレクタの電圧波形、すなわち半閉結制御手段7のトランジスタ7aのコレクタの電圧波形を示す。半閉結状態では端子9bおよび端子9cの電圧はハイレベルにあり、PNPトランジスタ5dのコレクタ電圧は約40vになっている。この状態から半閉結状態をオフとさせる場合、まず時刻t1 で端子9bの電圧をローレベルにしてスイッチ手段5の動作を停止、すなわちオフとさせる。この状態では半閉結制御手段7は動作中であるため、交流インピーダンス整合手段6のコンデンサ6aはトランジスタ7aを介して放電する。なお、このときの放電電流は定電流回路10が制御する一定電流になる。
【0038】
つぎに、前記放電電流が流れる時間Tを経過したのちに端子9cの電圧をローレベルにして半閉結制御手段7の動作を停止させる。前記時間Tは、コンデンサ6aの電圧が放電により低下し、トランジスタ7aのコレクタから放電できなくなるまでの時間を意味する。トランジスタ7aのコレクタ電流が流れなくなった状態で半閉結制御手段7を動作状態のままにすると、定電流回路10は定電流を維持しようとしてトランジスタ7aのベースに過大な電流を流し込むが、前記時間Tを経過した時点で半閉結制御手段7の動作を停止させるので、定電流回路10は過大な電流を流すことはなく、したがって電池電源11から定電流回路10に過大な電流が流れない。以上の動作により、放電用の抵抗がなくてもコンデンサ6aを半閉結制御手段7を介して速やかに放電させることができる。
【0039】
以上のように本実施例によれば、交流インピーダンス整合手段6における放電用の抵抗6cを廃止した構成として半閉結状態に移行するとき、スイッチ手段5の動作を停止させたのち、交流インピーダンス整合手段6のコンデンサ6aが半閉結制御手段7を介して放電し終わった時点で半閉結制御手段7の動作を停止させるように制御することにより、コンデンサ6aを半閉結制御手段7を介して放電させることができ、交流インピーダンス整合手段6の交流インピーダンスを低下させることなくコンデンサ6aの放電を速めることができ、また、直流インピーダンスを低下させないためにも有効であり、装置の設計上の自由度が広くなる。
【0040】
なお、本実施例では、放電用の抵抗を備えず、また、電池電源11から電源を供給する構成について説明したが、放電用の抵抗を備えた構成であっても本実施例の手段は放電用の抵抗の抵抗値を小さくすることなくコンデンサ6aの放電を速める手段として有効であるとともに、回線電源供給手段から電源を供給する構成であっても半閉結制御手段7に無駄な電流を流さない手段として有効であることは言うまでもなく、以下の各実施例についても同様である。
【0041】
(実施例2)
以下、本発明の端末網制御装置の実施例2について図面を参照しながら説明する。なお、本実施例の構成は図1と同じである。
【0042】
図4は本実施例の半閉結動作状態の開始時における制御手段9の動作を示す波形図である。図4において、(4−1)はスイッチ手段5を制御する端子9bの電圧波形、(4−2)は半閉結制御手段7を制御する端子9cの電圧波形、(4−3)はスイッチ手段5のPNPトランジスタ5dのコレクタの電圧波形、すなわち半閉結制御手段7のトランジスタ7aのコレクタの電圧波形を示す。
【0043】
動作停止状態では、端子9bおよび端子9cの電圧はローレベルにあり、PNPトランジスタ5dのコレクタ電圧は約0vになっている。この状態から半閉結状態を動作させる場合、まず時刻t1 で端子9bの電圧をハイレベルにしてスイッチ手段5を動作、すなわちオンとさせると、コンデンサ6aの充電が開始する。この状態でトランジスタ7aのコレクタ電圧がコレクタ電流を流すに十分な電圧以上に上昇した時刻t2 で端子9cをハイレベルにし、半閉結制御手段7を動作させることにより、電池電源11から定電流回路10に過大な電流が流れることなく半閉結状態に移行することができる。
【0044】
以上のように本実施例によれば、交流インピーダンス整合手段6における放電用の抵抗6cを廃止した実施例1の構成において半閉結状態を停止する場合、スイッチ手段5を動作状態としたのち、交流インピーダンス整合手段6のコンデンサ6aがスイッチ手段5を介して充電し終わった時点で半閉結制御手段7を動作させるように制御することにより、電池電源11から半閉結制御手段7に過大な電流を流すことなく半閉結状態に移行でき、放電用の抵抗6cを廃止して交流インピーダンスの低下を防止でき、直流インピーダンスの低下防止にも有効である。
【0045】
(実施例3)
以下、本発明の端末網制御装置の実施例3について図面を参照しながら説明する。なお、本実施例の構成は図1と同じである。図5は本実施例の動作を示す波形図である。図5において、(5−1)は閉結制御手段4を制御する端子9dの電圧波形、(5−2)はスイッチ手段5を制御する端子9bの電圧波形、(5−3)は半閉結制御手段7を制御する端子9cの電圧波形、(5−4)はスイッチ手段5のPNPトランジスタ5dのコレクタの電圧波形、すなわち半閉結制御手段7のトランジスタ7aのコレクタの電圧波形を示す。半閉結状態では、実施例1と同様に、時刻t1 で端子9bの電圧をローレベルにしてスイッチ手段5をオフとし、時間Tを経過したのちに端子9cの電圧をローレベルに制御する。つぎに、時刻t3 で電話回線2を閉結動作状態にする場合、端子9dの電圧をハイレベルにして閉結制御手段4を動作状態にするとともに、端子9bの電圧および端子9cの電圧をハイレベルにしてスイッチ手段5および半閉結制御手段7を動作状態にする。このとき、トランジスタ7aのコレクタ電圧はV2 に上昇する。
【0046】
つぎに、時刻t4 において、この閉結動作状態を終了させる場合、端子9dの電圧をローレベルにして閉結制御手段4の動作を停止させるとともに、スイッチ手段5と半閉結制御手段7とを時間Tを置かずに同時に動作を停止させるように制御する。この場合、閉結動作状態ではコンデンサ6aの充電電圧が低くなっているため、実施例1で示したように半閉結制御手段7を時間Tだけ遅延させて動作を停止させると、コンデンサ6aがトランジスタ7aのコレクタ電圧の低い状態で放電してしまい、電池電源11から定電流回路10に過大な電流が流れてしまう。したがって、閉結状態からの動作停止の制御を、実施例1に示した半閉結状態からの動作停止の制御と異なる制御とすることにより、電池電源11から定電流回路10に過大な電流を流さないようにすることができる。
【0047】
以上のように本実施例によれば、交流インピーダンス整合手段6における放電用の抵抗6cを廃止した実施例1の構成において閉結状態を停止する場合、閉結制御手段4の動作を停止させるとともに、直ちにスイッチ手段5および半閉結制御手段7の動作を停止させるように制御することにより、電池電源11から半閉結制御手段7に過大な電流を流すことなく閉結状態を停止でき、放電用の抵抗6cを廃止して交流インピーダンスの低下を防止でき、直流インピーダンスの低下防止にも有効である。
【0048】
(実施例4)
以下、本発明の端末網制御装置の実施例4について図面を参照しながら説明する。なお、本実施例の構成は図1に示した構成と同じである。図6は本実施例の動作を示す波形図である。図6において、(6−1)はスイッチ手段5を制御する端子9bの電圧波形、(6−2)は半閉結制御手段7を制御する端子9cの電圧波形、(6−3)はスイッチ手段5のPNPトランジスタ5dのコレクタの電圧波形、すなわち半閉結制御手段7のトランジスタ7aのコレクタの電圧波形を示す。
【0049】
制御手段9のマイクロコンピュータがリセットした場合、その前の状態により交流インピーダンス整合手段6のコンデンサ6aが充電されている場合があり、(6−2)に示したように、スイッチ手段5の停止状態で半閉結制御手段7を時刻t1 から時刻t2 まで動作させることによりコンデンサ6aを放電させることができる。また、コンデンサ6aが充電されていない場合には、トランジスタ7aのコレクタ電圧が低いので電池電源11から定電流回路10に過大な電流が一時的に流れるが、制御手段9のリセット時のみであり、このような場合が発生する頻度が極めて少ないので、電池電源11の消耗は小さいと考えてよい。したがって、前記マイクロコンピュータをリセットする場合、時間Tの間、半閉結制御手段7を動作させることにより、コンデンサ6aを半閉結制御手段7を介して放電させることができる。
【0050】
以上のように本実施例によれば、交流インピーダンス整合手段6における放電用の抵抗6cを廃止した実施例1の構成において制御手段9のマイクロコンピュータをリセットするとき、時間Tの間、半閉結制御手段7を動作させるように制御することにより、交流インピーダンス整合手段6のコンデンサ6aを半閉結制御手段7を介して放電させることができ、放電用の抵抗6cを廃止して交流インピーダンスの低下を防止でき、直流インピーダンスの低下防止にも有効である。
【0051】
(実施例5)
以下、本発明の端末網制御装置の実施例5について図面を参照しながら説明する。なお、本実施例の構成は図1に示した構成と同じである。図7は本実施例の動作を示す波形図である。図7において、(7−1)は閉結制御手段4を制御する端子9dの電圧波形、(7−2)はスイッチ手段5を制御する端子9bの電圧波形、(7−3)は半閉結制御手段7を制御する端子9cの電圧波形、(7−4)はスイッチ手段5のPNPトランジスタ5dのコレクタの電圧波形、すなわち半閉結制御手段7のトランジスタ7aのコレクタの電圧波形を示す。
【0052】
いま、時刻t1 からダイヤルパルスを送出する場合、スイッチ手段5、半閉結制御手段7をオフにし、閉結制御手段4をパルス出力数に応じてオンオフ制御し、時刻t2 からつぎのダイヤルパルス送出する時刻t3 前までのミニマムポーズの間、まずスイッチ手段5を動作状態にしたのち時間Tを経過した時点で半閉結制御手段7を動作させることにより、実施例1と同様に、電池電源11から定電流回路10に過大な電流が流れないようにすることができる。この処理は時刻t4 においても同様である。
【0053】
以上のように本実施例によれば、交流インピーダンス整合手段6における放電用の抵抗6cを廃止した実施例1の構成において、閉結制御手段4の開閉制御でダイヤルパルスを送出するとき、つぎのダイヤルパルスを送出するまでのミニマムポーズの期間において、スイッチ手段5を動作させたのち時間Tを経過した時点で半閉結制御手段7を動作させることにより、電池電源11から半閉結制御手段7に過大な電流を流すことなくコンデンサ6aを半閉結制御手段7を介して放電させることができ、放電用の抵抗6cを廃止して交流インピーダンスの低下を防止でき、直流インピーダンスの低下防止にも有効である。
【0054】
(実施例6)
以下、本発明の端末網制御装置の実施例6について図面を参照しながら説明する。なお、本実施例の構成は図1に示した構成と同じである。図7は本実施例の動作を示す波形図である。図8(a)はスイッチ手段5の抵抗5fが短絡された状態、すなわち抵抗5fを備えない構成における、制御手段9の端子9bのハイレベル電圧V0 とNPNトランジスタ5bのコレクタ電流ISとの関係を示す特性図である。ハイレベル電圧V0 が一定の電圧、たとえばV1 であれば、ダイオードブリッジ3の出力電圧VLが変動してもコレクタ電流ISはI1 に一定となるが、制御手段9が電池電源11で直接駆動され、端子9bのハイレベル電圧V0 が変動する場合には、図に示したように、コレクタ電流ISはハイレベル電圧V0 に比例して変化する。コレクタ電流ISが増加することは電話回線2の交流インピーダンスが低下することなる。
【0055】
一方、図8(b)はスイッチ手段5の抵抗5fを備えた構成における、制御手段9の端子9bのハイレベル電圧V0 とコレクタ電流ISとの関係を示す特性図である。制御手段9の端子9bのハイレベル電圧V0 が高くなり、NPNトランジスタ5bのコレクタ電流ISが増加した場合、抵抗5fで電流が図に示したB点で制限され、電話回線2の交流インピーダンスの低下を防止することができる。
【0056】
以上のように本実施例によれば、スイッチ手段5のNPNトランジスタ5bのコレクタに抵抗5fを挿入して設けることにより、制御手段9の端子9bのハイレベル電圧V0 が増加した場合にコレクタ電流ISの増加を抑制でき、電話回線2の交流インピーダンスの低下を抑制することができ、直流インピーダンスの低下防止にも有効である。
【0057】
【発明の効果】
請求項1に係わる本発明は、電話回線の半閉結状態を停止させるとき、交流インピーダンス整合手段のコンデンサの電荷を前記半閉結制御手段を介して放電させ、放電させたのち半閉結制御手段の動作を停止させるようにした端末網制御装置とすることにより、交流インピーダンス整合手段の交流インピーダンスを低下させることなくコンデンサの放電を速めることができ、したがって、放電用の抵抗に左右されずに交流インピーダンスの設定が容易になるとともに、直流インピーダンスの低下防止にも有効であり、また、放電後に電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにできるので、半閉結制御手段の電源として電池電源を用いることが容易になる。
【0058】
請求項2に係わる本発明は、電話回線を半閉結状態にするとき、スイッチ手段を動作させて交流インピーダンス整合手段のコンデンサを充電し、充電させたのち半閉結制御手段を動作させるようにした端末網制御装置とすることにより、スイッチ手段を動作させてから前記コンデンサが充電されるまでの間に電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにすることができ、半閉結制御手段の電源として電池電源を用いた場合、半閉結状態にするときに電池電源の電圧低下を回避することができる。
【0059】
請求項3に係わる本発明は、閉結動作状態を停止するときには、閉結制御手段とスイッチ手段と半閉結制御手段とを同時に動作を停止させるようにした請求項1に係わる端末網制御装置とすることにより、閉結状態では交流インピーダンス整合手段のコンデンサの充電電圧が低くて閉結状態を停止するときに半閉結制御手段を介して放電できないことに起因して電源から過大な電流が流れる事態を防止でき、半閉結制御手段の電源として電池電源を用いた場合、電池電源から過大な電流が流れる事態を回避することができる。
【0060】
請求項4に係わる本発明は、制御手段がリセットにより初期状態にしたとき、半閉結制御手段を所定時間、動作させて、交流インピーダンス整合手段のコンデンサを放電させるようにした請求項1ないし請求項3のいずれかに係わる端末網制御装置とすることにより、交流インピーダンス整合手段のコンデンサをあらかじめ放電させておけるとともに、そののちは半閉結制御手段の動作を停止させておくので、半閉結制御手段の電源として電池電源を用いた場合、電池電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにすることができる。
【0061】
請求項5に係わる本発明は、閉結状態で閉結制御手段を制御してダイヤルパルスを送出するとき、ダイヤルパルスを送出し終わった時点でスイッチ手段を動作させたのち、所定時間を経過した時点で半閉結制御手段を動作させるようにした請求項1ないし請求項4のいずれかに係わる端末網制御装置とすることにより、ダイヤルパルスを送出したのち半閉結状態にするとき、交流インピーダンス整合手段のコンデンサが充電されるまでの間に電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにすることができ、半閉結制御手段の電源として電池電源を用いた場合、電池電源から半閉結制御手段に過大な電流が流れないようにすることができる。
【0062】
請求項6に係わる本発明は、制御手段の信号を入力するスイッチ手段のNPNトランジスタのエミッタとコレクタのそれぞれに直列に抵抗を挿入して設けた請求項1ないし請求項5のいずれかに係わる端末網制御装置とすることにより、スイッチ手段の直流インピーダンスが制御手段の電源電圧が所定値以上では電圧変動の影響を受けにくく、例えば交流インピーダンスの低下を防止でき、制御手段などを電池電源で駆動する場合には電圧変動が大きくなるので有効な手段となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の端末網制御装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の端末網制御装置の構成を示す要部回路図
【図3】本発明の端末網制御装置の実施例1の動作を示す波形図
【図4】本発明の端末網制御装置の実施例2の動作を示す波形図
【図5】本発明の端末網制御装置の実施例3の動作を示す波形図
【図6】本発明の端末網制御装置の実施例4の動作を示す波形図
【図7】本発明の端末網制御装置の実施例5の動作を示す波形図
【図8】(a)本発明の端末網制御装置の実施例6の動作を示す波形図
(b)同実施例6の動作を示す波形図
【図9】従来の端末網制御装置の構成を示すブロック図
【図10】従来の端末網制御装置の構成を示す要部回路図
【符号の説明】
1 端末網制御装置
1a、1b 端子
1c データ入力端子
2 電話回線
3 ダイオードブリッジ
4 閉結制御手段
4a、4b、4c 端子
5 スイッチ手段
5a、5c、5e、5f 抵抗
5b NPNトランジスタ
5d PNPトランジスタ
6 交流インピーダンス整合手段
6a コンデンサ
6b、6c 抵抗
7 半閉結制御手段
7a トランジスタ
7b 抵抗
8 モデム手段
8a、8b、8c 端子
9 制御手段
9a、9b、9c、9d、9e、9f 端子
10 定電流回路
10a、10b、10c 端子
11 電池電源
12 回線電源供給手段
Claims (6)
- 電話回線との間で送信信号の変調と受信信号の復調とを行うモデム手段と、前記電話回線の直流インピーダンスを閉結状態にする閉結制御手段と、前記電話回線の直流インピーダンスを半閉結状態にするとともに前記電話回線に信号を送出する機能を備えた半閉結制御手段と、前記電話回線の交流インピーダンスの整合をとる交流インピーダンス整合手段と、前記半閉結制御手段と前記交流インピーダンス整合手段とを前記電話回線に接続制御するスイッチ手段と、全体の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、半閉結状態を停止するとき、前記スイッチ手段の動作を停止させたのち一定時間を経過した時点で前記半閉結制御手段の動作を停止させるように制御する端末網制御装置。
- 電話回線との間で送信信号の変調と受信信号の復調とを行うモデム手段と、前記電話回線の直流インピーダンスを閉結状態にする閉結制御手段と、前記電話回線の直流インピーダンスを半閉結状態にするとともに前記電話回線に信号を送出する機能を備えた半閉結制御手段と、前記電話回線の交流インピーダンスの整合をとる交流インピーダンス整合手段と、前記半閉結制御手段と前記交流インピーダンス整合手段とを前記電話回線に接続制御するスイッチ手段と、全体の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、半閉結状態の動作を開始するとき、前記スイッチ手段の動作を開始させたのち一定時間を経過した時点で前記半閉結制御手段の動作を開始させるように制御する端末網制御装置。
- 制御手段は、閉結制御手段と半閉結制御手段とを動作させた状態で通信する閉結動作状態を停止するときには、閉結制御手段と半閉結制御手段とスイッチ手段とを同時に動作を停止させるように制御する請求項1記載の端末網制御装置。
- 制御手段は、リセットにより初期状態としたとき、スイッチ手段の停止状態で半閉結制御手段を一定時間、動作させるように制御する請求項1ないし3のいずれか1項記載の端末網制御装置。
- 制御手段は、閉結状態で閉結制御手段を動作させてダイヤルパルスを送出するとき、前記ダイヤルパルスを送出中はスイッチ手段と半閉結制御手段とを停止状態にし、前記ダイヤルパルスの送出を終了した時点でスイッチ手段を動作させたのち一定時間を経過した時点で半閉結制御手段を動作させるように制御する請求項1ないし4のいずれか1項記載の端末網制御装置。
- 電話回線と半閉結制御手段との間を開閉するPNPトランジスタと、前記PNPトランジスタのベース電流を制御するNPNトランジスタとを備え、前記NPNトランジスタのベース電流を制御手段の出力信号により制御して前記PNPトランジスタを開閉制御するスイッチ手段において、前記NPNトランジスタのエミッタとコレクタとにそれぞれ抵抗を直列に接続して設けた請求項1ないし5のいずれか1項記載の端末網制御装置。
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