JP3690051B2 - 電子写真現像剤用キャリア、電子写真現像剤及び像形成装置 - Google Patents

電子写真現像剤用キャリア、電子写真現像剤及び像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真現像剤用キャリアに関し、さらに詳しくは、電子写真複写機、電子写真ファクシミリ、電子写真プリンタ、静電印刷機などの電子写真装置において静電潜像を現像するために有利に使用することのできる電子写真現像剤用キャリアに関する。本発明はまた、このようなキャリアを使用した電子写真現像剤に関する。本発明の電子写真現像剤は、特に、感光体が高速で回転せしめられる高速印刷タイプの電子写真装置において有利に使用することができ、良好な印字特性を得ることができる。本発明は、また、このような電子写真現像剤を使用することのできる像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、印刷機などで広く普及している電子写真法としては、米国特許第2,297,691号などに記載された方式が周知である。この電子写真方式は、一般には、例えば感光体ドラム(フォトコンドラムともいう)などのような光導電性感光体を利用し、その上にコロナ放電などにより一様な静電荷を与え、様々な手段によって前記光導電性感光体に光像を照射することによってその絶縁体上の静電荷を部分的に消去して静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像をトナーと呼ばれる微粉体を用いて現像、可視化するものである。このようにして得られるトナー像は、必要に応じて、紙などの記録媒体に転写した後、加圧、加熱、溶剤蒸気の吹きつけ、光等の照射などの処理によって記録媒体に定着させ、複写物とすることができる。
【0003】
電子写真方式において静電潜像を現像するためのトナーとしては、従来より、天然もしくは合成の高分子物質よりなるバインダ樹脂にカーボンブラック等の着色剤、帯電制御剤などを分散させた後、これを粉砕、分級して1〜20μm程度の粒径を有する微粉体としたものが用いられている。これらのトナー微粉体は、通常、トナーの単独で、さもなければ、二成分現像剤として、鉄粉、フェライト粉、ガラスビーズなどの担体物質(キャリア)と混合して、用いられている。
【0004】
二成分現像剤は磁性キャリアと絶縁性トナーからなり、現像においてトナーのみが消費され、キャリアは現像器内で攪拌されながら繰り返し使用される。この攪拌ストレスによって、キャリア表面のコーティング樹脂(カーボン含有)が剥離し、高電気抵抗のキャリア磁性材料が露出すること及び(又は)絶縁性トナーがキャリア表面にフィルミングすることで、キャリアの電気抵抗の上昇を招く。トナーの現像性は現像部における電界の強さに依存するため、キャリアの抵抗が上昇すると現像電界が弱まり、結果として現像性が下がって印字濃度が低下する。印字濃度が許容以下になるとキャリアを交換する必要が生じるが、特に印刷枚数の多いヘビーデューティの高速プリンタでは、メンテナンス性、ランニングコスト低減の点から交換周期の長いことが必要である。従って、長寿命なキャリアを長期間に渡り高濃度の印字を確保するためには、キャリアのコート膜の削れを防止し、トナーのフィルミング防止により電気抵抗の上昇を抑制することが必要である。
【0005】
従来、磁性キャリアの改良に関して多くの提案がなされているけれども、いずれの提案も上記のような要求を十分に満たすものではない。例えば、磁性キャリアをコアとそれに被覆したコート層から構成し、コート層として耐フィルミング性が良好なシリコーンコートを用いる提案がなされている。しかし、このシリコーンコートキャリアは、耐フィルミング性は良好であるが、耐磨耗性が低いため、コート膜が磨耗し、磁性材料の露出によりキャリアの耐久性をあまり向上させることができなかった。この対策として、特開昭57−78552号公報では、芯材にゴム弾性体及びシリコーン重合体を順次被覆しているが、この方法では、現像機内のストレスにより第1層のゴム弾性体が変形する際に、第2層のシリコーン重合体(磨耗しやすく、高硬度)がそのゴム変形に耐えきれず、ひび、剥離による電気抵抗が変化してしまうという欠点がある。この方法に先がけて、特開昭54−21729号公報では、第1層としてエポキシ基含有樹脂、第2層としてアミノ基を有するシリコーン樹脂を用いているが、この方法では、第2層の正帯電性アミノ基を有するシリコーン樹脂が現像機内ストレスにより磨耗してくると、正帯電性が大きく低下し、かぶり等による印字不良が発生するという問題がある。また、特開昭57−96355号公報では、シリコーン樹脂を2層以上コートする方法が開示されている。しかし、このようなシリコーンコートキャリアを高速プロセス(400mm/s以上)によるプリンタで用いると、キャリアにシリコーン樹脂を単独で複数回コートしたとしても、コート膜の削れを依然として抑えられず、大きく寿命アップをはかることができない。
【0006】
さらに、キャリアの磁性材料として、10kOe の磁化が80 emu/g以上のコア材(鉄、マグネタイト等)を用いた高速プロセスでは、汎用のフェライトを磁性材料として用いた場合より磁気力が高いため、磁気ブラシが感光体と強く接触し、コート樹脂の磨耗速度が速くなる。このため、シリコーンコートキャリアでは、100万枚相当の連続印刷により、約5桁電気抵抗がアップし、ほぼコアそのままの電気抵抗に一致してしまう(小粒径の鉄粉は、表面が酸化されてしまうため、バルクの抵抗より高く、通常、キャリアに用いる鉄粉の電気抵抗は109 Ωcmである)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記したような従来の技術の問題点を解決して、キャリアの長寿命化及びそれによる高濃度の印字の長期間にわたる確保を可能とする電子写真現像剤用キャリアを提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、キャリアのコート膜の削れを防止し、トナーのフィルミング防止により電気抵抗の上昇を抑制することが可能な電子写真現像剤を提供することにある。
【0008】
本発明のさらにもう1つの目的は、特に印刷枚数の多いヘビーデューティの高速プリンタにおける使用に適した電子写真現像剤を提供することにある。
また、本発明のもう1つの目的は、上記のようなキャリア及び現像剤を使用することのできる像形成装置を提供することにある。
本発明の上記した目的及びその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その1つの面において、電子写真現像剤においてトナーとともに用いられる磁性キャリアであって、磁性材料の粒子からなるコアと、該コアの表面を被覆した2層構造の樹脂コート層とから構成されており、その際、前記コアの表面に被覆した第1のコート層が、ポリアミド樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂を含み、かつ膜厚100μmで1.5cm×3cmの範囲に被覆した後に500gの荷重下に200番のシリコーンカーバイト研磨紙で100回研磨することからなる耐磨耗試験に供した場合、1.3mg以下の磨耗量を示すものであり、また、前記第1のコート層の表面にオーバーコートした第2のコート層が、ストレートシリコーンからなるシリコーン樹脂を少なくとも含み、かつ前記耐磨耗試験に供した場合、1.7mg以上の磨耗量を示すものであることを特徴とする電子写真現像剤用キャリアにある。
【0010】
本発明は、そのもう1つの面において、電子写真方式で感光体上に形成された静電潜像を現像するものであって、本発明の磁性キャリアと絶縁性トナーの2成分から構成されていることを特徴とする電子写真現像剤にある。
また、本発明は、そのもう1つの面において、電子写真方式で感光体上に形成された静電潜像を現像して可視化する像形成装置であって、静電潜像が形成される感光体と、本発明の磁性キャリアと絶縁性トナーの2成分から構成されている電子写真現像剤を前記感光体の潜像保持面に搬送するための現像ローラとを含んでなることを特徴とする像形成装置にある。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、鋭意研究の結果、磁性材料の粒子からなるコアの表面にコートする第1層の磨耗量が所定の耐磨耗試験により、1.3mg以下、その第1層の表面にオーバーコートする第2層の磨耗量が1.7mg以上に調整することにより、電気抵抗の変化が少なく、2倍以上のキャリア耐久性が得られる磁性キャリアを実現した。
【0012】
ここで、耐磨耗試験とは、詳しくは、磨耗量を測定すべき樹脂を表面平滑なステンレス金属板にバーコータにより膜厚100μmでコーティングし、乾燥後、200番のシリコーンカーバイト研磨紙で、1.5cm×3cmの範囲を500gの荷重をかけて、100回研磨した際の減少量から磨耗性を調べるものである。この減少量、すなわち磨耗量が少ないほど、耐磨耗性が高いことになる。本試験による種々の樹脂の物性評価の結果を基に、具体的には、第1層がポリアミド樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂の少なくとも1種類を含み、第2層が少なくともシリコーン樹脂を含むキャリアにより、目的とする長寿命化を実現した。
【0013】
本発明に従い、磁性コアの表面に、ポリアミド樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などをコーティングし、その上層にシリコーン樹脂をコーティングした場合、初期の段階では、シリコーン樹脂の第2コート層が磨耗するため、トナーのフィルミングはほとんどない。シリコーン樹脂が磨耗した部分も、耐磨耗性の高い樹脂からなる第1コート層によりコアの磁性材料が保護されているため、磁性材料が露出することなく、キャリアの耐久性がアップすることになる。ちなみに、ポリアミド樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂を磁性材料に対し単独でコーティングした場合、これらの樹脂はシリコーン樹脂に比べ、耐磨耗性が高いため、磁性材料の露出による電気抵抗上昇はないが、トナーのフィルミングにより電気抵抗が上昇してしまう。
【0014】
本発明による磁性キャリアは、好ましくは、そのコアが、10kOe の磁化が80 emu/g以上の磁性材料からなり、第1のコート層がポリアミド樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂を含み、そして第2のコート層が少なくともシリコーン樹脂を含むものである。
【0015】
本発明の電子写真現像剤は、磁性キャリアと絶縁性トナーの2成分から構成されている。絶縁性トナーは、この技術分野において常用の着色トナー粒子をそのままあるいは必要に応じて組成等を調整した後に使用することができる。すなわち、トナーは、その構成成分として、主剤としてのバインダ樹脂、着色剤、帯電制御剤等の各種の添加剤を含有することができる。ここで、バインダ樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を有利に用いることができる。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、さもなければ、2種類もしくはそれ以上の樹脂を混合して使用してもよい。これらのバインダ樹脂は、一般的に、トナーの全量を基準にして80〜99重量部で使用するのが好ましい。
【0016】
絶縁性トナーには、着色剤、例えばカーボンブラックやその他の顔料又は染料を添加すること及び、これに加えて、帯電制御剤、例えばニグロシン染料、第4級アンモニウム塩、有機金属錯体、キレート錯体などを添加することが好ましい。着色剤及び帯電制御剤は、それぞれ、単独で使用してもよく、さもなければ、2種類もしくはそれ以上の物質を混合して使用してもよい。着色剤の使用量は、一般的に、トナーの全量を基準にして好ましくは1〜20重量部であり、また、帯電制御剤の使用量は、好ましくは0.1〜7重量部である。さらに、トナーに求められている電気抵抗の要件(概ね1010Ωcm以上)を満たし得る範囲内で、必要に応じて、ワックス、磁性粉、粘性調整剤、その他を添加してもよい。
【0017】
バインダ樹脂を各種の添加剤と溶融混練することによって絶縁性トナーを調製する。バインダ樹脂等の溶融混練に当たっては、例えば、加圧ニーダ、ロールミル、エクストルーダなどの常用の混練装置を使用することができる。次いで、得られた均一な分散体を例えばジェットミルなどの常用の微粉砕手段によって磨砕し、得られた微粉体を例えば風力分級機などにより分級する。このような一連の処理を経て、所望とする平均粒径を有するトナーを調製することができる。
【0018】
本発明の実施において用いられる絶縁性トナーは、好ましくは、5〜15μmの平均粒径(体積平均粒径)を有している。使用するトナーの粒径が小さくなればなるほど、解像性の高い、優れた印字品質を得ることができるけれども、反面、粉砕に要する製造コストが非常に高くなり、実用的ではない。また、反対に平均粒径が大きくなりすぎると、印字品質が低下する。
【0019】
本発明の電子写真現像剤において、磁性キャリアとともに用いられる絶縁性トナーに対して、必要に応じて導電性磁性微粒子が外添されていてもよい。適当な導電性磁性微粒子としては、以下に列挙するものに限定されないけれども、鉄粉や、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト、マグヘマタイト等の微粒子を挙げることができる。これらの磁性微粒子は、単独で使用してもよく、さもなければ、必要に応じて、2種類もしくはそれ以上を混合して使用してもよい。
【0020】
好ましくは、絶縁性トナーに外添されるべき導電性磁性微粒子は、マグネタイト及びフェライトの少なくとも1種を主成分として含有しているものであって、その電気抵抗は106 〜1010Ωcmであり、そしてその平均粒径は0.1〜1μmである。
本発明の現像剤において、上記したように絶縁性トナーに導電性磁性微粒子を外添することに加えて、この技術分野において必要に応じて行われているように、その他の外添剤、例えばシリカ微粉末、酸化チタン、チタン酸バリウム等の微粒子、フッ素微粒子、アクリル微粒子などを併用してもよい。
【0021】
導電性磁性微粒子やその他の外添剤微粒子のトナーへの外添は、いろいろな手法に従って行うことができる。例えば、先に調製したトナーの表面に外添剤の微粒子を被覆することが好ましい。この微粒子被覆工程は、従来常用の手法に従って、例えばヘンシェルミキサーにトナーの粉末と外添剤の微粒子を適量で装填した後、所定の時間にわたって攪拌、混合を継続することによって、容易に微粒子の被覆を完了することができる。
【0022】
本発明の電子写真現像剤において、前記した絶縁性トナーとともに用いられる磁性キャリアは、前記したように、コアの表面に2層樹脂コートを有するものである。コアには、好ましくは、マグネタイト、フェライト、鉄などの少なくとも1種を主成分として含有している磁性粒子を使用することができる。2層樹脂コートは、前記したようにして構成することができる。また、この2層樹脂コートには、必要に応じて、例えば、カーボンブラック、酸化チタン等の抵抗調整剤、帯電制御剤などを添加してもよい。
【0023】
磁性キャリアは、広い範囲の電気抵抗及び平均粒径を有することができるというものの、好ましくは、103 〜1010Ωcmの電気抵抗及び40〜200μmの平均粒径を有している。磁性キャリアの電気抵抗は、それが低すぎると、感光体ドラムの表面にキャリアが付着してコロナ放電器等まで運ばれ、そして、ドラムに高電圧が印加されると、放電等によりドラムに傷が生じたりするため、好ましくない。磁性キャリアの平均粒径は、もしもそれが40μmを下回ると、感光体ドラム面にキャリアが付着してしまうというような不都合を生じ、また、反対に200μmを上回ると、現像能力に悪影響が出るであろう。
【0024】
磁性キャリアは、先に説明した絶縁性トナーの調製と同様、常用の技法を使用して調製することができる。例えば、樹脂及び必要に応じて帯電制御剤、導電性制御剤等を溶剤に溶解し、得られた溶液あるいは分散液をキャリア基材、例えば鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等と混合し、そして、その後、例えばロータリードライ方式によりコーティングすることができる。このようにして得られる磁性キャリアを、先に説明したようにして調製した絶縁性トナーとボールミル攪拌等により混合することにより、所期の現像剤を得ることができる。
【0025】
本発明の電子写真現像剤において、それに含まれる磁性キャリアと絶縁性トナーの混合比は、所望とする結果やその他の種々のファクタに応じて広く変更し得るというものの、一般に、磁性キャリアのトナーに対する混合比が1〜20重量%であることが好ましい。これは、キャリア量がトナー量に較べて少なすぎる場合、現像剤をマグネットロールで、静電潜像を現像する帯域まで搬送できなかったり、また、キャリアとトナーが十分接触し、攪拌されることによって帯電しないため、現像剤をマグネットロールで搬送する際にトナーがキャリアから分離し、装置内を汚染したりするというような不都合を生じるからである。また、反対にキャリア量が多すぎる場合、十分なトナーが静電潜像に供給されなくなるため、結果的に十分な印字濃度を得るための現像能力を得ることができないというような不都合が発生するからである。
【0026】
本発明による電子写真現像剤は、電子写真複写機、電子写真プリンタ、静電印刷機などの電子写真装置において静電潜像を現像するための現像剤として有利に使用することができる。したがって、本発明は、そのもう1つの面において、電子写真法に基づく像形成装置にある。本発明による像形成装置は、好ましくは、感光体上に電子写真法により形成された静電潜像を現像ローラから搬送されてきた本発明の電子写真現像剤で擦過して現像するように構成することができる。
【0027】
本発明による像形成装置を使用して、画像形成をいろいろな手順に従って有利に実施することができる。好ましくは、次のような手順に従って画像形成を実施することができる。
先ず、光導電性感光体(絶縁体)を用意する。感光体は、好ましくはドラムの形状とすることができ、また、この技術分野において常用のように、金属ドラムの表面にアモルファスシリコン、セレン、Se−Asなどの無機感光体あるいはポリシラン、フタロシアニンなどの有機感光体を被覆して使用する。なお、本発明の実施においては特にアモルファスシリコンを使用することが好ましいが、これは、アモルファスシリコン以外では、キャリアとの接触による衝撃により感光体が削れ、現像剤中に混入して、長寿命の高速プロセスが得られない可能性があるからである。また、アモルファスシリコンは、高速印刷に対応するためにも有用である。感光体は、400mm/s以上の回転速度(周速)で回転せしめられ、さらに好ましい周速は500〜2000mm/sである。
【0028】
上記の周速で回転中の感光体の表面に、帯電器を使用して静電荷を付与する。この帯電プロセスは、コロナ放電装置、接触帯電装置などを使用して行うことができる。引き続いて、帯電器により静電的に帯電せしめられた感光体に露光装置から光像を照射して静電潜像を形成する。この潜像形成プロセスは、光源として蛍光灯、ハロゲンランプ等を使用した複写光学系、レーザ走査光学系などを使用して行うことができる。引き続いて、感光体上の静電潜像を可視化する。この現像プロセスは、常用の乾式現像法のいずれかを使用することによって有利に行うことができる。例えば、現像器の現像ローラによって現像剤の必要量を感光体の潜像保持面に搬送し、その場で擦過することによって現像を行うことができる。現像の完了後、感光体の表面に形成されたトナー像を普通紙のような印刷媒体に転写し、付着させる。この転写プロセスは、転写器上で、例えばコロナ転写法、ローラ転写法などによって行うことができる。最後に、印刷媒体上に弱い力で付着しているトナー像を強固に付着させる。この定着プロセスは、常用の熱ローラ定着、フラッシュ定着などによって行うことができる。特に、フラッシュ定着器は、構造が比較的に簡単であり、装置のコンパクト化に寄与する;非接触の定着であるため、記録用紙の搬送が容易となるばかりか、現像時、画像の解像度が劣化されることもない;システムダウンにより定着器内に記録用紙が詰まっても、発火を生じることがない;記録用紙の材質や厚さに無関係に定着を行うことができ、従って、例えば粘着面を有する紙、プレプリント紙、厚さの異なる紙なども使用することができる;といった利点を得ることができる。定着の完了後、印刷物が得られる。
【0029】
本発明による像形成装置は、電子写真装置で一般的に行われているように、給紙部、プリント部、排紙部を有しており、それぞれが搬送路により接続されているように構成することができる。給紙部には、カセットやホッパを設けるとともに、カセットは、着脱自在に構成し、一時的に用紙サイズ、種類を変更したい場合ごとにこのカセットに用紙をセットし、交換することができるようにするのが好ましい。また、ホッパは固定式とし、利用頻度の多い用紙をセットしておくことが好ましい。ホッパを2つ設けておくことにより、利用頻度の高い用紙を2種類、例えば、A4サイズ、B4サイズの用紙をセットすることができる。プリント部には、用紙の可視画像を転写するためのプロセス部、用紙に画像を定着させるための定着部を備える。
【0030】
プリント部のプロセス部では、上位装置より送信されてきた情報に基づいて形成された画像を供給されてきた用紙に転写する。転写された画像を定着部により定着し、用紙に転写した画像が消えたり、刷れたりしないようにする。この用紙は、トレイやスタッカに集積させる。
図1は、プロセス部の好ましい1例を示した構成図である。プロセス部は、感光ドラム1とその周囲に配置された前帯電器31、露光部32、現像装置33、用紙進入ガイド34、転写帯電器35、AC除電器36、クリーナ部37、及びLED除電器38とを備えている。
【0031】
印刷に際しては、感光ドラム1を図中矢印Aの方向、つまり、時計方向に回転させ、その表面を前帯電器31により一様に帯電させる。次に感光ドラム1の表面に露光部32(本実施例では、光学ユニットを使用)により情報に応じたパターンで露光を行って静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置33からトナーを含む現像剤(図示せず)を供給されることにより、現像されて可視画像であるトナー像となる。
【0032】
一方、給紙部から供給され、搬送路23により搬送されてきた用紙は、用紙進入ガイド34にガイドされて転写位置へ送られる。そして、ここで感光ドラム1と用紙を介し対向する転写帯電器35によって、感光ドラム1上の現像剤を用紙へ転写する。その後、用紙は更に搬送路23により搬送され、定着部に至る。用紙上のトナーは、定着部にて熱、圧力あるいは光等によって用紙に定着される。
【0033】
転写工程後のドラムには用紙に転写されずに残った残留トナーが存在し、これを感光ドラム1より除去する必要がある。AC除電器36により残留トナーの電荷を除去し、その後クリーナ部37にて機械的に感光ドラム1より残留トナーを除去する。この機械的な除去手段としては、クリーニングブレード、クリーニングブラシ等を使用する。
【0034】
感光ドラム1より残留トナーを除去した後、感光ドラム1の表面の電位を初期状態(例えば、0ボルト)にもどす為にLED除電器38により、除電を行う。そして、次の印刷工程に備えられ、再び前帯電器31により感光ドラム1の表面を一様に帯電する。
本発明の2成分現像剤を用いる現像装置33は、2成分現像剤を保持する現像剤保持容器33−3と、この現像剤保持容器33−3内の2成分現像剤を攪拌してトナー成分と磁性体キヤリア成分とを互いに摩擦帯電させる攪拌器33−2と、その磁性体キヤリアの一部を磁力でもって吸着して磁気ブラシを形成するマグネットローラすなわち現像ローラ2とを具備し、この現像ローラの一部は現像剤保持容器33−3から露出されて感光ドラムと対面させられる。現像ローラの周囲に形成された磁気ブラシはトナー成分が静電的に付着し、現像ローラの回転によりトナー成分は磁気ブラシに伴われて感光ドラム1との対面領域すなわち現像領域に搬送され、そこで静電潜像の現像が行われる。図中の3は搬送マグネットローラ、4はトナーホッパである。
【0035】
【実施例】
キャリアの2層樹脂コートに供する樹脂を選択するため、下記の第1表に記載の種々の樹脂について磨耗量(mg)を測定した。磨耗量の測定には、それぞれの樹脂を表面平滑なステンレス金属板にバーコータにより膜厚100μmでコーティングし、乾燥後、200番のシリコーンカーバイト研磨紙で、1.5×3cmの範囲を500gの荷重をかけて、100回研磨した際の減少量を測定する方法を用いた。
【0036】
【表1】
Figure 0003690051
【0037】
なお、本例で使用した樹脂は、それぞれ下記のメーカから記載の銘柄で入手可能である。
ストレートシリコーン:東レダウコーニングシリコーン社製のR2400
アミン変成シリコーン:信越化学社製のKBN−602
ポリアミド:ダイセル社製のPAE40
ユリア:松下電工社製のナショナルライトA
ポリカーボネート:三菱瓦斯化学社製のFE2000
エポキシ:シエル社製のエピコート1004
メラミン:日本カーバイト社製のニカレットMC
スチレン:スペイシケミカル社製のA
ウレタン:日本ポリウレタン社製のパラプレンペレット27
また、コアとして、次の第2表に記載するような磁性材料を使用した。
【0038】
【表2】
Figure 0003690051
【0039】
下記の第3A表及び第3B表に記載のような材料の構成(組み合わせ)でキャリアを調製した。
記載の樹脂85重量部及びカーボンブラック(ケッチンブラック、ライオン社製)15重量部をメチルエチルケトンに溶解または分散し、コート溶液を得た。磁性材料100重量部に対し、コート溶液2重量部で流動床によりコーティングし、キャリアを得た。本キャリアとフラッシュ用トナーを用い、トナー濃度4.5重量%で、8000gの現像剤をつくり、高速プリンタ、F6760D(富士通社製)により連続印刷を行い現像剤寿命を調べた。なお、本プリンタのプロセス速度は、1200mm/sである。得られた結果を次の第3A表及び第3B表に示す。
【0040】
【表3】
Figure 0003690051
【0041】
【表4】
Figure 0003690051
【0042】
なお、上記の表に記載の電気抵抗は、現像剤から25μmのメッシュによりトナーを吸い取り、キャリアだけにした後に測定した。体積1cm3 のキャリアを、磁束密度950ガウス及び磁界強度340Oeの一定磁界が働いている電極面積1cm2 の平行電極間(電極間距離1cm)に装填し、タッピングして緊密に詰め込んだ。次いで、100Vの直流電圧を印加した時に流れる電流を電流計で測定し、測定された電流i(A)から式:R=100/iにより電気抵抗R(Ωcm)を求めた。
【0043】
次いで、プロセス速度の変動にキャリア寿命がいかに変化するかを評価するため、例2及び比較例4の現像剤について、上記と同じ高速プリンタF6760D(富士通社製)を改造し、速度変更可能にした装置により、速度を変えて、寿命評価を行った。得られた結果を次の第4表に示す。
【0044】
【表5】
Figure 0003690051
【0045】
上記の結果から、本発明による現像剤を使用すると、高速プリンタに使用したにもかかわらず長期間にわたって印字を繰り返すことができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、高速プロセスで、樹脂コートを有するキャリアのコート膜の削れを防止し、かつトナーのフィルミングも防止することができ、長寿命なキャリアを長期間にわたり高濃度で印字するのに有利に使用することができる。本発明は、特に印刷枚数の多いヘビーデューティな高速プリンタで有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による像形成装置のプロセス部の構成を示した略示図である。
【符号の説明】
1…感光ドラム
31…前帯電器
32…露光部(光学ユニット)
33…現像装置

Claims (5)

  1. 電子写真現像剤においてトナーとともに用いられる磁性キャリアであって、磁性材料の粒子からなるコアと、該コアの表面を被覆した2層構造の樹脂コート層とから構成されており、その際、前記コアの表面に被覆した第1のコート層が、ポリアミド樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂を含み、かつ膜厚100μmで1.5cm×3cmの範囲に被覆した後に500gの荷重下に200番のシリコーンカーバイト研磨紙で100回研磨することからなる耐磨耗試験に供した場合、1.3mg以下の磨耗量を示すものであり、また、前記第1のコート層の表面にオーバーコートした第2のコート層が、ストレートシリコーンからなるシリコーン樹脂を少なくとも含み、かつ前記耐磨耗試験に供した場合、1.7mg以上の磨耗量を示すものであることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
  2. 前記コアが、10kOe の磁場をかけた時、磁化が80 emu/g以上の磁性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の電子写真現像剤用キャリア。
  3. 電子写真方式で感光体上に形成された静電潜像を現像するものであって、請求項1に記載の磁性キャリアと絶縁性トナーの2成分から構成されていることを特徴とする電子写真現像剤。
  4. 電子写真方式で感光体上に形成された静電潜像を現像して可視化する像形成装置であって、静電潜像が形成される感光体と、請求項1に記載の磁性キャリアと絶縁性トナーの2成分から構成されている電子写真現像剤を前記感光体の潜像保持面に搬送するための現像ローラとを含んでなることを特徴とする像形成装置。
  5. 前記感光体がアモルファスシリコン感光体のドラムであり、400mm/s以上の周速で回転せしめられることを特徴とする請求項4に記載の像形成装置。
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