JP3689429B2 - ロバスタチンの製造方法 - Google Patents
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Description
化学物質のロバスタチンは2種類の形状で存在し、即ち言わゆるラクトン形と対応の酸形とで存在する。ラクトン形ロバスタチンの化学名は1,2,6,7,8,8a−ヘキサハイドロ−β,δ−ジヒドロキシ−2,6−ジメチル−8−(2−メチル−1−オキソブトキシ)−1−ナフタレン ヘプタン酸−δ−ラクトン(化合物I)であり、酸形のロバスタチンの化学名は1,2,6,7,8,8a−ヘキサハイドロ−β,δ−ジヒドロキシ−2,6−ジメチル−8−(2−メチル−1−オキソブトキシ)−1−ナフタレン ヘプタン酸(化合物II)である。構造式は次の通りである:
ロバスタチン並びに若干の類縁物質例えばコンパクチン、シムバスタチン及びプラバスタチンは、コレステロール生合成における鍵酵素である3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A レダクターゼ(HMG-CoAレダクターゼ)の有効な阻害剤であることが知られている〔J.A.Tobert, G.Hitzenberger, W.R.Kuhovatz, I.B.Holmes, K.H.Jones、アテローム性動脈硬化症 41,61〜65(1982)参照〕。ロバスタチンは生内体でラクトン形(化合物I)から対応の酸形(化合物II)に転化される。酸形はロバスタチンの活性形であると思われる。HMG-CoAレタクターゼを阻害することによって、ロバスタチンはコレステロール生合成における工程の1つであるメバロン酸の生合成における競合阻害剤として作用するものである(G.Zubay,生化学、Addison Wesley出版社584頁, 1984参照)。この活性により、ロバスタチンは過コレステロール血症を処置し且つ阻血性の心臓疾患を防止する薬剤として用いられる。ロバスタチンは総LDL(低密度のリポタンパク質)及びVLDL(超低密度リポタンパク質)コレステロールの濃度を低下させることは文献に報告されている〔S.M.Grundy, G.L.Vegaの脂質研究会報(Journal of Lipid Research)26, 1464〜1475(1985)参照〕。
従来技術
ロバスタチンを製造する方法は従来技術で既知である。
独国特許出願公開(DE-A)第3006216号(サンキヨウ)においては、カビ菌モナスカス ルーバー(Monascusruber)の代謝物として単離することによりモナコリンKと呼ばれる化合物の製造方法が開示されている。後にモナコリンKとロバスタチンとは実際上同一の物質であると見出された。
欧州特許第22478号はまたロバスタチンの製造方法を記載している。この方法はアスペルギルス テラウス(Aspergillsu terreus)の菌特にこの菌の寄託された2種の菌株即ちアスペルギルス テラウスATCC 20541及びアスペルギルス テラウスATCC 20542の培養物を用いることである。
アスペルギルス テラウスATCC 20542の再単離物を用いることによりロバスタチンの改良した製造方法が達成されることはB.Bucklandらが医薬及び農薬用の新規な微生物生成物(Novel Microbial Products for Medicine and Agriculture)Elsevier, Amsterdam, 161〜169頁1989に報告している。然しながら、再単離物を如何に製造しうるかについては開示していない。
培養によりロバスタチン又は類縁の化合物が得られる別のカビ菌も従来技術で開示されており、即ちペニシリウム ブレビコンパクツム(Penicillium brevicompactum)、ピチウム ウルチマム(Pythium ultimum)、ハイミセス クリソスペルムス(Hymices chrysospermus)、パシロミセス種(Pacylomyces sp.,)、エウペニシリウム種(Eupenicillium sp.,)、トリコデルマ ロンジブラチアツム(Trichoderma longibrachiatum)、T.プソイドコニンギ(pseudokoningii)、ポーマ種(Phoma sp.)、ドラトミセス ナナス(Doratomyces nanus)、ジムノアスカス アンブリナス(Gymnoascus umbrinus)〔A.Endo, K.Hasumi, A.Yamada, R.Shimoda, H.Takeshima,抗生物質誌(J.Antibiotic)49, 1609〜10(1986)参照〕;アスペルギルス オブスキュラス(Aspergillus obscurus)(ハンガリー特許公開第208997号参照)、軽質転換細胞のA.オリザエ(oryzae)/A.テラウス(terreus)(米国特許第5,362,638号)並びにプルロタス オストレアタス(Pleurotus ostreatus)、プルロタス サカ(Pleurotus saca)及びプルロタス サピダス(Pleurotus sapidus)〔N.Gunde-Cimerman, FEMS Microbiology Let-ters 11, 203〜206(1993)参照〕が開示されている。
技術的課題
種々形式の微生物の使用を伴なうロバスタチンの若干の製造方法が従来技術に記載されているとしても、これらの既知方法は幾つかの欠点がある。先ず、これらの方法に用いられるロバスタチン生産微生物は満足な収率のロバスタチンを与えない。更には微生物の培養中に、特に炭素源を選択しながら培養過程中の発酵(fermentation)混合物を給送するのが必要であることが多い。何故ならば炭素源の初期高濃度はロバスタチンの生産率に負の作用を有する傾向があるからである。最後に、発酵(培養)過程中に給送を用いる既知方法の必要性は培養液が汚染されてしまう危険を伴なう。
発明の記載
前記の欠点は本発明の方法によって克服される。次式
によって定義される如きラクトン形(化合物I)及び酸形(化合物II)のロバスタチン又はこれの製薬上許容しうる塩又はアルキルエステルの本発明の製造方法は、アスペルギルス テラウス 変種(var.)アウレウス(aureus)の微生物と共に栄養培地を発酵即ち培養させ、しかも所望の生成物を単離することから成る。
アスペルギルス テラウス バル.アウレウスの微生物を用いることにより高濃度の炭素源が培養過程の開始時に培地中に存在するとしても優れた収率のロバスタチンを達成し得ることが予期せぬことには見出された。それ故培養液の望ましくない給送は必要としない。
本発明の方法で用いたアスペルギルス テラウス微生物をも包含するアスペルギルス属はきわめて大きな且つ多相の分類範囲である。アスペルギルス属は亜属及び節又は群及び特定の変種にさえ分割される。文献においては、アスペルギルス テラウス菌の若干の変種例えばアスペルギルス テラウス バル.グロボサス(globosus)、アスペルギルス テラウス バル.テラウス、アスペルギルス テラウス バル.アウレウス、アスペルギルス テラウス バル.アフリカヌス(africanus)が記載されている〔K.B.Raper及びD.Fenell;アスペルギルス属(The genus Aspergillus, Williams & Wilkins,ボルチモア,1965参照〕。更には国際的な微生物保存機関では言わゆる「基準株」(“type strain”)が前記の変種に利用できる。
今般見出された処によればアスペルギルス テラウス バル.アウレウスと決定された特異カビ菌はきわめて有利なロバスタチン生産菌である。特に好ましいアスペルギルス テラウス バル.アウレウス微生物の培養菌株は受理番号MUCL 38997としてベルギーの微生物寄託機関(Coordinated Collections)−Mycotheque de 1'Universite Catholique de Louvainに寄託されている。
この微生物の分類同定には、ブタペスト条約により寄託機関に寄託された基準培養菌株並びに標準参考書籍を用い、例えばK.B.Raper & Fenell;アスペルギルス属(The genus Aspergillus),Williams & Wilkins,ボルチモア,1965,R.R.M.Paterson & P.D.Bridge;糸状菌の生化学技術(Biochemical Technique for Filamentous Fungi).IMI Technical Handbooks, No.1 Cab International 1994及びM.J. Carlile & S.C Watkinson;菌類(The Fungi)、アカデミック出版1994を参考書籍として用いる。
ツァペック寒天(CZA)培地上で本発明の方法で用いた微生物を培養することは28℃で14日間実施した。得られたコロニーは直径5〜7cmであった。菌糸体は、強い又は不十分な胞子形成を伴ないながら淡黄色である。分生子のヘッドは長く、球状で緻密であり、長さ110〜250μm、直径35〜60μmであった。分生胞子は多少とも湾曲しており、平滑で無色〜淡黄色であり、長さ300〜400μm、直径4〜7μmであった。小胞は半球形であった。一次梗子は長さ5.5〜7μm、直径1〜2μmであり、二次梗子は長さ5〜7μm、直径1.5〜2μmであった。分生子は球状乃至わずかに楕円形で平滑で直径1.9〜2.4μmであった。種々の基質上で成長させると、黄色〜緑褐色の色素を培地中に放出した。
分類同定が示す処によれば、本発明で用いた微生物はそれぞれアスコマイセテス(Ascomycetes)高等カビ菌の網、エウロチアセアエ(Eurotiaceae)科、エウロチウム(Eurotium)属、及び分生子形のアスペルギルス、アスペルギルス テラウス バル.アウレウス種に属する。アスペルギルス テラウス ATCC 20542はロバスタチン生産菌として従来技術で挙げられるのが最も多い菌株であるので、本発明の方法で用いた微生物をこの従来技術の微生物と比較するのが好ましい。形態学的分析に基づいた広範囲の比較分析の結果、種々の栄養培地での成長の生理学及び色素分析によって確認した処によると本発明のロバスタチン生産菌アスペルギルス テラウス バル,アウレウス MUCL 38997は菌株アスペルギルス テラウス ATCC 20542とは実質的に相違する。比較目的のために、2種のカビ菌株の幾つかの培養実験を暗所で30℃の温度で10〜12日間実施した。
これらの実験の結果を以下の表1及び表2に与える。
前記の表1及び表2に与えた結果から明らかな通り、2種の菌株はコロニーの着色及び培地中への色素の浸透において顕著に異なるものである。
大抵の基質において、カビ菌 アスペルギルス テラウス バル.アウレウス MUCL 38997の気菌糸は白色乃至淡黄色であり、基中菌糸は淡褐色である。炭素源としてアラビノース又はラムノースを用いた時濃黄色の色素が見られた。同じ条件下で、カビ菌 アスペルギルス テラウス ATCC 20542の色はさび茶色である。コロニーの大きさに関しては、試験した大抵の炭素源即ちキシロース、サッカロース、マルトース、ラムノース、リボース、フラクトース及びアラビノース中でアスペルギルス テラウス バル.アウレウス MUCL 38997のコロニーは直径9cmであると見出された。同じ生育条件下でカビ菌株アスペルギルス テラウス ATCC 20542を培養すると、この菌株のコロニーは大抵の場合に直径がわずか5〜8cmであった。
炭素源としてクエン酸ナトリウムを利用するとアスペルギルス テラウス バル.アウレウス MUCL 38977の生育を阻害した。反対の作用はアスペルギルス テラウス ATCC 20542の場合に見られ、その際12日間の培養後にはこの菌株のコロニーは多少とも不規則な形状で且つ褐色で且つビロード様構造で生育した。
アスパラギン、グルタミン酸、バリン、ロイシン、L−イソロイシン、アルギニン、アラニン、チロシン、NH4Cl及び硝酸カルシウムの如き種々の窒素源を用いることにより、アスペルギルス テラウス バル.アウレウス MUCL 38997のコロニー生育に促進効果が見出された。気菌糸及び基中菌糸を十分に発達させた適切な形状のコロニーが得られた。アスペルギルス テラウス ATCC 20542の場合には、アスパラギン及びチロシンを窒素源として用いた時には反対の効果が見出され、即ち生育は阻害されることが見出された。
更には、鏡検法によりバル.アウレウスには典型的である言わゆる「ヒューラ細胞」(“hulla cells”)はアスペルギルス テラウス バル.アウレウス MUCL 38997の場合には見出されなかった。これとは対照的に、「ヒューラ細胞」はアスペルギルス テラウス ATCC 20542の場合には存在した。
即ち、前記の結果が示す処によれば本法で用いた如きMUCL 38997及びATCC 20542は完全に異なる微生物である。
本発明の方法で用いた微生物の培養は水性培地中で行ない例えば他の培養生成物の製造に用いられる水性培地中で行なう。培養は同化性の炭素源及び窒素源並びに無機塩を含有する培地中で通常行ないしかも深部状態で且つ嫌気性の条件下に好ましくは行なう。何故ならばかゝる条件下では微生物はきわめて迅速な生長を示すからである。初期高濃度の選択した炭素源が培地に存在するのが特に好ましく、これによって培養過程中に炭素源を別量で供給する必要性は生じない。それ故初期濃度の炭素源が培地の通常
好ましくは
より好ましくは
最も好ましくは
である。
栄養培地の適当な成分例は例えば欧州特許第22478号に記載されている。特に好ましい炭素源はラクトース、グルコース、サッカロース、麦芽粉末であり、特に好ましい窒素源はカゼイン−ペプトン、コーンスティープリーカー(CSL)、大豆タンパク質、酵母エキス及びビール酵母である。培地に含有される特に好ましい塩はMgCl2,K2HPO4,NaH2PO4,MnSO4,(NH4)2HPO4である。培地はまた消泡剤の如き他の望ましい成分を含有できる。
培養法は20〜33℃の範囲の温度で特に約28℃で行なうのが好ましい。培地のpH値は通常6.0〜8.0の範囲にあり、特に5.8〜6.8の範囲にある。培養の完了には通常約6日間要する。ロバスタチンは主として酸の形で生産され然るに培養液中のラクトン形の濃度は全過程中でかなり低いまゝであることが見出された。ロバスタチンは常法によって単離される。典型的には単離は有機溶剤での抽出、ラクトン化及び晶出によって行なう。単離したロバスタチンは幾つかの分析技術例えばIR−分光分析法及び質量分光分析法、NMR及びUV分光分析法によって特徴付けられる。
酸形のロバスタチン(化合物II)は例えば欧州特許出願公開第351918号、欧州特許第22478号又は国際特許第94/29292号に記載される如く常法によって対応のラクトン形(化合物I)にラクトン化し得る。得られたロバスタチンはまた欧州特許第22478号に記載される如き常法により対応の製薬上許容し得る塩又はアルキルエステルに転化させ得る。
本発明の方法は従来技術の方法と比較するとより高収率のロバスタチンが得られるのが更に見出された。更には、用いた炭素源が初期高濃度でさえ、本法で用いた微生物は高度の生産率を示し、従って過程中に別量の炭素源を添加する必要性はなく、これによって培養液が汚染される危険を回避するものである。
本法の優秀性は次の実施例によっても示され、該実施例は本発明の範囲を限定することなく本発明を例示するものである。
実施例
実施例1 一般的方法
この実施例については、受理番号MUCL 38997として寄託されたカビ菌 アスペルギルス テラウス バル.アウレウスの1試料を用いた。ジャガイモ−デキストロース寒天(PDA)上での培養により得られたこのカビ菌の十分胞子形成した培養物を用いて胞子懸濁物を調製し、この胞子懸濁物を用いて栄養期の生長に用いた培地に接種する。この培地は6.4のpHを有し、コーンスティープリカー(CSL)と麦芽粉末とカゼイン−ペプトンとビール酵母と(NH4)2HPO4と消泡剤と飲料水とを含有する。胞子懸濁物を接種する前に、培地は121℃で20分間殺菌し、続いて25〜35℃、好ましくは28℃に冷却した。
接種した予備培養物は曝気及び攪拌を施しながら28℃で20〜35時間生長させた。
十分に発育させた接種材料(1〜2容量%)は次いで無菌条件下で培地に移送する。培地は炭素源及び窒素源並びに無機塩即ちMgCl2,K2HPO4,NaH2PO4,MnSO4及び水を含有する。溶解した酸素の濃度に応じて曝気及び混合を施用しながら培養過程を28℃で操業した。培養中はpHを30%H2SO4又は10%NaOH溶液の使用により5.8〜6.8に維持した。
培養中に、培養液中のロバスタチン濃度はHPLCにより測定した。この測定目的で、培養液の1試料を10%の水性HClでpH4に酸性化し、メタノールで抽出し、ウルトラ ツラックス(Ultra Turax)T25ホモジナイザー(Janke und Kunkel, IKA Labortechnik,ドイツ)で5分間均質化し、濾過した。濾液はHPLC(装置;Pharmacia LKB system;カラム;Chrompack Chromspher C18,5μm;温度+45℃;溶離剤;アセトニトリルおよび0.1%燐酸水溶液(48:52の容量比));UV検出器により分析用に用いた。
主として酸形のロバスタチンが生産され、然るに全培養過程中でラクトン濃度はかなり低いまゝであることが見出された。
培養はほゞ6日間後に完了し、国際特許第94/29292号に記載された方法によりロバスタチンを単離した。IR−分光分析法、質量分光分析法並びにNMR及びUV分光分析法によってロバスタチンが生成されたことを確認した。
実施例2
カビ菌 アスペルギルス テラウス バル.アウレウス MUCL 38997の菌糸体を10〜14日間ジャガイモ−デキストロース寒天(PDA)上で生育させた。次いで菌糸体を掻取り、これを用いて0.1容量%のツイーン(Tween)-80の水溶液中の胞子懸濁物を調製した。200mlの濾過した胞子懸濁物を続いて用いて、次の組成を有する栄養生長用の培地(栄養培地)30リットルに接種した。
栄養培地の組成:
CSL 5.0g
麦芽粉末 15.0g
カゼインペプトン 5.0g
ビール酵母 1.2g
(NH4)2HPO4 0.015g
飲料水 1000mlにするに必要な量
培地のpHは滅菌前に6.4に調節した。滅菌は121℃で20分間行なう。栄養液を曝気及び混合しながら28℃で20〜35時間生長させた。得られた1容量%の栄養液を、次の組成を有し且つ時として生産培地とも呼ばれる培地(100リットル)に無菌下に移送した
培地の組成:
ラクトース 60g
有機窒素源 13.8g
CSL 1.95g
MgCl2・6 H2O 1.0g
NaH2PO4 1.2g
K2HPO4 0.5g
MnSO4・H2O 0.02g
消泡剤 0.5g
飲料水 1000mlにするに必要な量
接種前に、生産培地のpH値を6.4に調節し、これを滅菌した。滅菌は121℃で20分間行なった。
培養物を曝気及び混合しながら6日間28℃で生長させた。ロバスタチンの生産はHPLCにより監視し、培養の完了後には、生産したロバスタチンを実施例1に記載の如く単離した。培養物の1ml当り酸形のロバスタチンが500μg以上の収量で得られた。
実施例3
栄養期の生長が完了する段階まで実施例2の方法を反復した。
次いでこうして得られた培養物2容量%を用いて次の組成を有する培地100リットルに接種した:
培地の組成:
ラクトース 90g
有機窒素源 22.15g
CSL 2.93g
MgCl2・6 H2O 1.0g
NaH2PO4 1.2g
K2HPO4 0.5g
MnSO4・H2O 0.02g
消泡剤 0.5g
飲料水 1000mlにするに必要な量
接種前に、培地のpH値を6.4に調節し、これを滅菌した。滅菌は121℃で20分間行なった。
培養物を曝気及び混合しながら28℃の温度で6日間生長させた。次いで生産したロバスタチンを実施例1に記載の如く回収した。収量は1ml当り700μg以上の酸形のロバスタチンである。
実施例4
栄養期の生長が完了する段階まで実施例2の方法を反復した。
次いでこうして得られた培養液2容量%を用いて、次の組成の培地100リットルに接種した:
培地の組成:
ラクトース 117g
有機窒素源 28.8g
CSL 3.81g
MgCl2・6 H2O 1.0g
NaH2PO4 1.2g
K2HPO4 0.5g
MnSO4・H2O 0.02g
消泡剤 0.5g
飲料水 1000mlにするに必要な量
接種前に、培地のpH値を6.4に調節し、これを滅菌した。滅菌は121℃で20分間行なった。
培養及び混合しながら培養物を28℃の温度で6日間生長させた。次いで生産したロバスタチンを実施例1に記載の如く回収した。収量は酸形のロバスタチン1000μg/ml以上であった。
実施例5
栄養期の生長が完了する段階まで実施例2の方法を反復した。
次いでこうして得られた培養液2容量%を用いて次の組成の生産培地100リットルに接種した:
生産培地の組成:
ラクトース 150g
有機窒素源 35.14g
CSL 4.65g
MgCl2・6 H2O 1.0g
NaH2PO4 1.2g
K2HPO4 0.5g
MnSO4・H2O 0.02g
消泡剤 0.5g
飲料水 1000mlとなるまでの量
接種前に、生産培地のpHを6.4に調節し、これを滅菌した。滅菌は121℃で20分間行なった。
培養物は曝気及び混合しながら28℃の温度で6日間生長させた。次いで生産したロバスタチンを実施例1に記載の如く回収した。収量は酸形のロバスタチン1200μg/ml以上であった。
実施例6(比較例)
菌株 A.テラウス ATCC 20542とA.テラウス バル.アウレウス MUCL 38997との生産率の比較
本発明の方法で好ましくは用いた微生物と従来技術の微生物A.テラウス ATCC 20542との生産率を対比するために、次の実験を実験室規模で行なった。
全ての実験において、栄養期の生長に用いた種培地の組成は実施例2に記載したのと同じである。種々の濃度の炭素源を測定するために、実施例2,3及び4の生産培地をそれぞれ用いた。これらの培地は6%(実施例2)、9%(実施例3)及び11.7%(実施例4)のラクトースを含有する。培地の滅菌は全ての実験で121℃で20分間行なった。
栄養期の生長用培地への接種は実施例2に記載の如く行なった。種フラスコは222rpmの振とう器(5cmの行程)で28℃で培養した。続いて得られた培養液2容量%はそれぞれの生産培地60mlを含有する500mlのエルレンマイヤーフラスコに無菌下に移送した。次いで接種されたフラスコを140時間28℃(rpm=220, 5 cmの行程)で培養した。ロバスタチンの生産はHPLCにより制御した。ロバスタチンのそれぞれの収量(μg/ml)を以下の表に示す。
前記の表に示した結果から、本発明の方法で用いた菌株は従来技術の試験菌株よりもずっと高い生産率を示すことが明らかとなる。更には、本法で用いた菌株は炭素源のきわめて高い初期濃度でさえ高収量のロバスタチンを生産し得るが、然るに従来技術の菌株の生産率はかゝる高い炭素源濃度では抑制される。
それ故、これらの試験結果は本発明の方法で用いた微生物の驚くべき優秀性を示している。
実施例7(比較例)
菌株 A.テラウス ATCC 20542とA.テラウス バル.アウレウス MUCL 38997との生産率の比較
実験は欧州特許第22478号、実施例5に記載された方法により実験室規模で行なった。
菌株としてA.テラウス ATCC 20542及びA.テラウス バル.アウレウス MUCL 38997を用いた以外は前記欧州特許に記載した方法を反復した。これら2種の菌株についてのロバスタチン生産率(μg/ml)を以下の表に示す。
前記のデータは、これらの条件下でも、本発明の方法で用いた菌株が従来技術の菌株よりもずっと高い生産率を有することが判明することをまた示している。
Claims (4)
- 受理番号MUCL 38997としてベルギーの微生物寄託機関(Belgian Coordinated Collections of Microorganisms)−Mycotheque de l'Universite Catholique de Louvainに寄託された微生物を用いる、請求項1記載の方法。
- ≧6重量%の炭素源を含有する栄養培地を用いる請求の範囲1又は2記載の方法。
- ≧11重量%の炭素源を含有する栄養培地を用いる請求の範囲3記載の方法。
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