JP3689204B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の第1伝熱板及び複数の第2伝熱板をつづら折り状に折り曲げることにより、高温流体通路及び低温流体通路を円周方向に交互に形成してなる熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
高温流体通路及び低温流体通路を画成する伝熱板に多数の突起を形成し、それら突起の先端を相互に結合してなる熱交換器は、特開昭61−153500号公報により既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、第1伝熱板及び第2伝熱板を放射状に配置して高温流体通路及び低温流体通路を円周方向に交互に形成した熱交換器では、高温流体通路及び低温流体通路の流路断面積が半径方向内側で狭く半径方向外側で広くなり、且つ伝熱板に形成した突起の高さが半径方向内側で低く半径方向外側で高くなる。その結果、伝熱板の熱透過率や流体の質量流量が半径方向に不均一になり、全体の熱交換効率が低下したり好ましくない熱応力が発生したりする可能性がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、円環状の熱交換器の伝熱板の温度分布を半径方向に均一化し、熱交換効率の低下及び好ましくない熱応力の発生を回避することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明によれば、半径方向外周壁及び半径方向内周壁間に画成した円環状の空間に、第1伝熱板及び第2伝熱板を放射状に配置して高温流体通路及び低温流体通路を円周方向に交互に形成し、第1伝熱板及び第2伝熱板の両面に形成した多数の突起の先端どうしを相互に接合してなる熱交換器において、伝熱単位数が半径方向に略一定になるように、前記突起の配列ピッチを半径方向に変化させたので、伝熱板の温度分布を半径方向に均一化して熱交換効率の低下及び好ましくない熱応力の発生を回避することが可能となる。
【0006】
第1伝熱板及び第2伝熱板の熱通過率をKとし、第1伝熱板及び第2伝熱板の面積をAとし、流体の比熱をCとし、前記伝熱面積を流れる流体の質量流量をdm/dtとしたとき、伝熱単位数Ntuは、
tu=(K×A)/[C×(dm/dt)]
により定義される。
【0007】
伝熱単位数が半径方向に略一定になる突起の配列ピッチは、熱交換器の流路の形状や突起の形状によって異なり、半径方向内側から半径方向外側に向けて漸減する場合と、半径方向内側から半径方向外側に向けて漸増する場合とがある。
【0008】
また突起の高さを半径方向内側から半径方向外側に向けて漸増させれば、第1伝熱板及び第2伝熱板を正しく放射状に位置決めすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1〜図11は本発明の一実施例を示すもので、図1はガスタービンエンジンの全体側面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線拡大断面図(燃焼ガス通路の断面図)、図4は図2の4−4線拡大断面図(エアー通路の断面図)、図5は図3の5−5線拡大断面図、図6は図3の6−6線拡大断面図、図7は折り板素材の展開図、図8は熱交換器の要部斜視図、図9は燃焼ガス及びエアーの流れを示す模式図、図10は突起のピッチを均一にした場合の作用を説明するグラフ、図11は突起のピッチを不均一にした場合の作用を説明するグラフである。
【0010】
図1及び図2に示すように、ガスタービンエンジンEは、図示せぬ燃焼器、コンプレッサ、タービン等を内部に収納したエンジン本体1を備えており、このエンジン本体1の外周を囲繞するように円環状の熱交換器2が配置される。熱交換器2は90°の中心角を有する4個のモジュール21 …を接合面3…を挟んで円周方向に配列したもので、タービンを通過した比較的高温の燃焼ガスが通過する燃焼ガス通路4…と、コンプレッサで圧縮された比較的低温のエアーが通過するエアー通路5…とが、円周方向に交互に形成される(図5及び図6参照)。尚、図1における断面は燃焼ガス通路4…に対応しており、その燃焼ガス通路4…の手前側と向こう側に隣接してエアー通路5…が形成される。
【0011】
熱交換器2の軸線に沿う断面形状は、軸方向に長く半径方向に短い偏平な六角形であり、その半径方向外周面が大径円筒状のアウターケーシング6により閉塞されるとともに、その半径方向内周面が小径円筒状のインナーケーシング7により閉塞される。熱交換器2の断面における前端側(図1の左側)は不等長の山形にカットされており、その山形の頂点に対応する端面にエンジン本体1の外周に連なるエンドプレート8がろう付けされる。また熱交換器2の断面における後端側(図1の右側)は不等長の山形にカットされており、その山形の頂点に対応する端面に後部アウターハウジング9に連なるエンドプレート10がろう付けされる。
【0012】
熱交換器2の各燃焼ガス通路4は、図1における左上及び右下に燃焼ガス通路入口11及び燃焼ガス通路出口12を備えており、燃焼ガス通路入口11にはエンジン本体1の外周に沿って形成された燃焼ガスを導入する空間(略して燃焼ガス導入ダクト)13の下流端が接続されるとともに、燃焼ガス通路出口12にはエンジン本体1の内部に延びる燃焼ガスを排出する空間(略して燃焼ガス排出ダクト)14の上流端が接続される。
【0013】
熱交換器2の各エアー通路5は、図1における右上及び左下にエアー通路入口15及びエアー通路出口16を備えており、エアー通路入口15には後部アウターハウジング9の内周に沿って形成されたエアーを導入する空間(略してエアー導入ダクト)17の下流端が接続されるとともに、エアー通路出口16にはエンジン本体1の内部に延びるエアーを排出する空間(略してエアー排出ダクト)18の上流端が接続される。
【0014】
このようにして、図3、図4及び図9に示す如く、燃焼ガスとエアーとが相互に逆方向に流れて且つ相互に交差することになり、熱交換効率の高い対向流且つ所謂クロスフローが実現される。即ち、高温流体と低温流体とを相互に逆方向に流すことにより、その流路の全長に亘って高温流体及び低温流体間の温度差を大きく保ち、熱交換効率を向上させることができる。
【0015】
而して、タービンを駆動した燃焼ガスの温度は燃焼ガス通路入口11…において約600〜700℃であり、その燃焼ガスが燃焼ガス通路4…を通過する際にエアーとの間で熱交換を行うことにより、燃焼ガス通路出口12…において約300〜400℃まで冷却される。一方、コンプレッサにより圧縮されたエアーの温度はエアー通路入口15…において約200〜300℃であり、そのエアーがエアー通路5…を通過する際に燃焼ガスとの間で熱交換を行うことにより、エアー通路出口16…において約500〜600℃まで加熱される。
【0016】
次に、熱交換器2の構造を図3〜図8を参照しながら説明する。
【0017】
図3、図4及び図7に示すように、熱交換器2のモジュール21 は、ステンレス等の金属薄板を所定の形状に予めカットした後、その表面にプレス加工により凹凸を施した折り板素材21から製造される。折り板素材21は、第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…を交互に配置したものであって、山折り線L1 及び谷折り線L2 を介してつづら折り状に折り曲げられる。尚、山折りとは紙面の手前側に向けて凸に折ることであり、谷折りとは紙面の向こう側に向けて凸に折ることである。各山折り線L1 及び谷折り線L2 はシャープな直線ではなく、第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…間に所定の空間を形成するために実際には円弧状の折り線、或いは平行且つ隣接した2本の折り線からなっている。
【0018】
各第1、第2伝熱板S1,S2には、不等間隔に配置された多数の第1突起22…と第2突起23…とがプレス成形される。図7において×印で示される第1突起22…は紙面の手前側に向けて突出するとともに、○印で示される第2突起23…は紙面の向こう側に向けて突出し、それらは交互に(即ち、第1突起22…どうし或いは第2突起23…どうしが連続しないように)配列される。
【0019】
各第1、第2伝熱板S1,S2の山形にカットされた前端部及び後端部には、図7において紙面の手前側に向けて突出する第1凸条24F …,24R …と、紙面の向こう側に向けて突出する第2凸条25F …,25R …とがプレス成形される。第1伝熱板S1及び第2伝熱板S2の何れについても、前後一対の第1凸条24F ,24R が対角位置に配置され、前後一対の第2凸条25F ,25R が他の対角位置に配置される。
【0020】
尚、図3に示す第1伝熱板S1の第1突起22…、第2突起23…、第1凸条24F …,24R …及び第2凸条25F …,25R …は、図7に示す第1伝熱板S1と凹凸関係が逆になっているが、これは図3が第1伝熱板S1が裏面側から見た状態を示しているためである。
【0021】
図5〜図7を参照すると明らかなように、折り板素材21の第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…を山折り線L1 で折り曲げて両伝熱板S1…,S2…間に燃焼ガス通路4…を形成するとき、第1伝熱板S1の第2突起23…の先端と第2伝熱板S2の第2突起23…の先端とが相互に当接してろう付けされる。また、第1伝熱板S1の第2凸条25F ,25R と第2伝熱板S2の第2凸条25F ,25R とが相互に当接してろう付けされ、図3に示した燃焼ガス通路4の左下部分及び右上部分を閉塞するとともに、第1伝熱板S1の第1凸条24F ,24R と第2伝熱板S2の第1凸条24F ,24R とが隙間を存して相互に対向し、図3に示した燃焼ガス通路4の左上部分及び右下部分にそれぞれ燃焼ガス通路入口11及び燃焼ガス通路出口12を形成する。
【0022】
折り板素材21の第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…を谷折り線L2 で折り曲げて両伝熱板S1…,S2…間にエアー通路5…を形成するとき、第1伝熱板S1の第1突起22…の先端と第2伝熱板S2の第1突起22…の先端とが相互に当接してろう付けされる。また、第1伝熱板S1の第1凸条24F ,24R と第2伝熱板S2の第1凸条24F ,24R とが相互に当接してろう付けされ、図4に示したエアー通路5の左上部分及び右下部分を閉塞するとともに、第1伝熱板S1の第2凸条25F ,25R と第2伝熱板S2の第2凸条25F ,25R とが隙間を存して相互に対向し、図4に示したエアー通路5の右上部分及び左下部分にそれぞれエアー通路入口15及びエアー通路出口16を形成する。
【0023】
図6の上側(半径方向外側)には、第1凸条24F …によりエアー通路5…が閉塞された状態が示されており、下側(半径方向外側)には、第2凸条25F …により燃焼ガス通路4…が閉塞された状態が示されている。
【0024】
第1突起22…及び第2突起23…は概略円錐台形状を有しており、それらの先端部はろう付け強度を高めるべく相互に面接触する。また第1凸条24F …,24R …及び第2凸条25F …,25R …も概略台形状の断面を有しており、それらの先端部もろう付け強度を高めるべく相互に面接触する。
【0025】
図5から明らかなように、エアー通路5…の半径方向内周部分は折り板素材21の折曲部(谷折り線L2 )に相当するために自動的に閉塞されるが、エアー通路5…の半径方向外周部分は開放されており、その開放部がアウターケーシング6にろう付けされて閉塞される。一方、燃焼ガス通路4…の半径方向外周部分は折り板素材21の折曲部(山折り線L1 )に相当するために自動的に閉塞されるが、燃焼ガス通路4…の半径方向内周部分は開放されており、その開放部がインナーケーシング7にろう付けされて閉塞される。
【0026】
折り板素材21をつづら折り状に折り曲げたときに隣接する山折り線L1 どうしが直接接触することはないが、第1突起22…が相互に接触することにより前記山折り線L1 相互の間隔が一定に保持される。また隣接する谷折り線L2 どうしが直接接触することはないが、第2突起23…が相互に接触することにより前記谷折り線L2 相互の間隔が一定に保持される。
【0027】
前記折り板素材21をつづら折り状に折り曲げて熱交換器2のモジュール21 を製作するとき、第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…は熱交換器2の中心から放射状に配置される。従って、隣接する第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…間の距離は、アウターケーシング6に接する半径方向外周部において最大、且つインナーケーシング7に接する半径方向内周部において最小となる。このために、前記第1突起22…,第2突起23…、第1凸条24F ,24R 及び第2凸条25F ,25R の高さは半径方向内側から外側に向けて漸増しており、これにより第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…を正確に放射状に配置することができる(図5及び図6参照)。
【0028】
上述した放射状の折り板構造を採用することにより、アウターケーシング6及びインナーケーシング7を同心に位置決めし、熱交換器2の軸対称性を精密に保持することができる。
【0029】
熱交換器2を同一構造の4個のモジュール21 …の組み合わせにより構成することにより、製造の容易化及び構造の簡略化が可能となる。また、折り板素材21を放射状且つつづら折り状に折り曲げて第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…を連続して形成することにより、1枚ずつ独立した多数の第1伝熱板S1…と1枚ずつ独立した多数の第2伝熱板S2…とを交互にろう付けする場合に比べて、部品点数及びろう付け個所を大幅に削減することができるばかりか、完成した製品の寸法精度を高めることができる。
【0030】
図5から明らかなように、熱交換器2のモジュール21 …を接合面3…(図2参照)において相互に接合するとき、山折り線L1 を越えてJ字状に折り曲げた第1伝熱板S1…の端縁と、山折り線L1 の手前で直線状に切断した第2伝熱板S2…の端縁とが重ね合わされてろう付けされる。上記構造を採用することにより、隣接するモジュール21 …を接合するために特別の接合部材が不要であり、また折り板素材21の厚さを変える等の特別の加工が不要であるため、部品点数や加工コストが削減されるだけでなく、接合部におけるヒートマスの増加が回避される。しかも、燃焼ガス通路4…でもなくエアー通路5…でもないデッドスペースが発生しないので、流路抵抗の増加が最小限に抑えられて熱交換効率の低下を来す虞もない。
【0031】
ガスタービンエンジンEの運転中に、燃焼ガス通路4…の圧力は比較的に低圧になり、エアー通路5…の圧力は比較的に高圧になるため、その圧力差によって第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…に曲げ荷重が作用するが、相互に当接してろう付けされた第1突起22…及び第2突起23…により、前記荷重に耐え得る充分な剛性を得ることができる。 また、第1突起22…及び第2突起23…によって第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…の表面積(即ち、燃焼ガス通路4…及びエアー通路5…の表面積)が増加し、しかも燃焼ガス及びエアーの流れが攪拌されるために熱交換効率の向上が可能となる。
【0032】
ところで、燃焼ガス通路4…及びエアー通路5…間の熱伝達量を表す伝熱単位数Ntuは、
tu=(K×A)/[C×(dm/dt)] …(1)
により与えられる。
【0033】
上記(1)式において、Kは第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…の熱通過率、Aは第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…の面積(伝熱面積)、Cは流体の比熱、dm/dtは前記伝熱面積を流れる流体の質量流量である。前記伝熱面積A及び比熱Cは定数であるが、前記熱通過率K及び質量流量dm/dtは隣接する第1突起22…間、或いは隣接する第2突起23…間のピッチP(図5参照)の関数となる。
【0034】
伝熱単位数Ntuが第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…の半径方向に変化すると、第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…の温度分布が半径方向に不均一になって熱交換効率が低下するだけでなく、第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…が半径方向に不均一に熱膨張して好ましくない熱応力が発生する。そこで、第1突起22…及び第2突起23…の半径方向の配列ピッチPを適切に設定し、伝熱単位数Ntuが第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…の半径方向各部位で一定になるようにすれば、前記各問題を解消することができる。
【0035】
図10(A)に示すように前記ピッチPを熱交換器2の半径方向に一定にした場合、図10(B)に示すように伝熱単位数Ntuは半径方向内側部分で大きく、半径方向外側部分で小さくなるため、図10(C)に示すように第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…の温度分布も半径方向内側部分で高く、半径方向外側部分で低くなってしまう。一方、図11(A)に示すように前記ピッチPを熱交換器2の半径方向内側部分で大きく、半径方向外側部分で小さくなるように設定すれば、図11(B),(C)に示すように伝熱単位数Ntu及び温度分布を半径方向に略一定にすることができる。
【0036】
図3〜図5から明らかなように、本実施例の熱交換器2では、その半径方向内側部分に第1突起22…及び第2突起23…の半径方向の配列ピッチPが大きい領域が設けられるとともに、その半径方向外側部分に第1突起22…及び第2突起23…の半径方向の配列ピッチPが小さい領域が設けられる。これにより第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…の全域に亘って伝熱単位数Ntuを略一定にし、熱交換効率の向上と熱応力の軽減とが可能となる。
【0037】
尚、熱交換器の全体形状や第1突起22…及び第2突起23…の形状が異なれば熱通過率K及び質量流量dm/dtも変化するため、適切なピッチPの配列も本実施例と異なってくる。従って、本実施例の如くピッチPが半径方向外側に向かって漸減する場合以外に、半径方向外側に向かって漸増する場合もある。しかしながら、上記(1)式が成立するようなピッチPの配列を設定すれば、熱交換器の全体形状や第1突起22…及び第2突起23…の形状に関わらず、前記作用効果を得ることができる。
【0038】
図3及び図4から明らかなように、熱交換器2の前端部及び後端部において、第1伝熱板S1…及び第2伝熱板S2…がそれぞれ長辺及び短辺を有する不等長の山形にカットされており、前端側及び後端側の長辺に沿ってそれぞれ燃焼ガス通路入口11及び燃焼ガス通路出口12が形成されるとともに、後端側及び前端側の短辺に沿ってそれぞれエアー通路入口15及びエアー通路出口16が形成される。
【0039】
このように、熱交換器2の前端部において山形の二辺に沿ってそれぞれ燃焼ガス通路入口11及びエアー通路出口16を形成するとともに、熱交換器2の後端部において山形の二辺に沿ってそれぞれ燃焼ガス通路出口12及びエアー通路入口15を形成しているので、熱交換器2の前端部及び後端部を山形にカットせずに前記入口11,15及び出口12,16を形成した場合に比べて、それら入口11,15及び出口12,16における流路断面積を大きく確保して圧損を最小限に抑えることができる。しかも、前記山形の二辺に沿って入口11,15及び出口12,16を形成したので、燃焼ガス通路4…及びエアー通路5…に出入りする燃焼ガスやエアーの流路を滑らかにして圧損を更に減少させることができるばかりか、入口11,15及び出口12,16に連なるダクトを流路を急激に屈曲させることなく軸方向に沿って配置し、熱交換器2の半径方向寸法を小型化することができる。
【0040】
ところで、エアー通路入口15及びエアー通路出口16を通過するエアーの体積流量に比べて、そのエアーに燃料を混合して燃焼させ、更にタービンで膨張させて圧力の下がった燃焼ガスの体積流量は大きくなる。本実施例では前記不等長の山形により、体積流量が小さいエアーが通過するエアー通路入口15及びエアー通路出口16の長さを短くし、体積流量が大きい燃焼ガスが通過する燃焼ガス通路入口11及び燃焼ガス通路出口12の長さを長くし、これにより燃焼ガスの流速を相対的に低下させて圧損の発生をより効果的に回避することができる。
【0041】
更にまた、山形に形成した熱交換器2の前端部及び後端部の先端の端面にエンドプレート8,10をろう付けしているので、ろう付け面積を最小限にしてろう付け不良による燃焼ガスやエアーの漏れの可能性を減少させることができ、しかも入口11,15及び出口12,16の開口面積の減少を抑えながら該入口11,15及び出口12,16を簡単且つ確実に仕切ることが可能となる。
【0042】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0043】
例えば、実施例ではガスタービンエンジンE用の熱交換器2を例示したが、本発明は他の用途の熱交換器に対しても適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、第1伝熱板及び第2伝熱板に形成される突起の半径方向の配列ピッチを、伝熱単位数が半径方向に略一定になるように設定したので、伝熱板の温度分布を半径方向に均一化することができ、これにより熱交換効率の低下及び好ましくない熱応力の発生を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガスタービンエンジンの全体側面図
【図2】 図1の2−2線断面図
【図3】 図2の3−3線拡大断面図(燃焼ガス通路の断面図)
【図4】 図2の4−4線拡大断面図(エアー通路の断面図)
【図5】 図3の5−5線拡大断面図
【図6】 図3の6−6線拡大断面図
【図7】 折り板素材の展開図
【図8】 熱交換器の要部斜視図
【図9】 燃焼ガス及びエアーの流れを示す模式図
【図10】 突起のピッチを均一にした場合の作用を説明するグラフ
【図11】 突起のピッチを不均一にした場合の作用を説明するグラフ
【符号の説明】
4 燃焼ガス通路(高温流体通路)
5 エアー通路(低温流体通路)
11 燃焼ガス通路入口(高温流体通路入口)
12 燃焼ガス通路出口(高温流体通路出口)
15 エアー通路入口(低温流体通路入口)
16 エアー通路出口(低温流体通路出口)
21 折り板素材
22 第1突起(突起)
23 第2突起(突起)
1 山折り線(折り線)
2 谷折り線(折り線)
tu 伝熱単位数
P ピッチ
S1 第1伝熱板
S2 第2伝熱板

Claims (4)

  1. 半径方向外周壁(6)及び半径方向内周壁(7)間に画成した円環状の空間に、軸方向に延びる高温流体通路(4)及び低温流体通路(5)を円周方向に交互に形成してなる熱交換器であって、
    複数の第1伝熱板(S1)及び複数の第2伝熱板(S2)を折り線(L1 ,L2 )を介して交互に連設してなる折り板素材(21)を該折り線(L1 ,L2 )においてつづら折り状に折り曲げ、前記第1伝熱板(S1)及び第2伝熱板(S2)を前記半径方向外周壁(6)及び半径方向内周壁(7)間に放射状に配置することにより、隣接する第1伝熱板(S1)及び第2伝熱板(S2)間に前記高温流体通路(4)及び低温流体通路(5)を円周方向に交互に形成し、且つ前記高温流体通路(4)の軸方向両端部に開口するように高温流体通路入口(11)及び低温流体通路出口(12)を形成するとともに、前記低温流体通路(5)の軸方向両端部に開口するように低温流体通路入口(15)及び低温流体通路出口(16)を形成し、更に前記第1伝熱板(S1)及び第2伝熱板(S2)の両面に形成した多数の突起(22,23)の先端どうしを相互に接合してなる熱交換器において、
    伝熱単位数(N tu )が半径方向に略一定になるように、前記突起(22,23)の配列ピッチ(P)を半径方向に変化させたことを特徴とする熱交換器。
  2. 前記多数の突起(22,23)の高さを半径方向内側から半径方向外側に向けて漸増させたことを特徴とする、請求項1記載の熱交換器。
  3. 前記配列ピッチ(P)を半径方向内側から半径方向外側に向けて漸減させたことを特徴とする、請求項1記載の熱交換器。
  4. 前記配列ピッチ(P)を半径方向内側から半径方向外側に向けて漸増させたことを特徴とする、請求項1記載の熱交換器。
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