JP3688509B2 - 板材のガイド装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板材の搬送路において該板材を搬送方向に案内するガイド装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、金属製の板材から所定形状のワークを打ち抜き成形する場合には、帯状の板材を搬送路に沿って連続搬送して打ち抜き成形装置等に供給することが行われる。一般に、この種の板材は所定の長さに巻回されたコイルとされており、該コイルから前記板材を引き出して前記搬送路に沿って搬送される。
【０００３】
前記成形装置においては、供給された板材の所定の位置を打ち抜いてワークを成形する。このため、前記搬送路においては、板材におけるワークの打ち抜き位置が、前記成形装置の加工位置を通過するように該板材を位置決めしつつ搬送する必要がある。この際の板材の位置決めについては、板材と成形装置の加工位置との位置合わせを容易とするために、前記搬送路の幅方向の中央と板材の幅方向の中央とが一致するように所謂センタリングを行うことが好ましい。
【０００４】
前記板材のセンタリングを行う場合には、前記搬送路の両側に、板材の幅方向の両端に当接して該板材を規制する一対の規制部材（例えば、案内板や当接ピン等）を設け、両規制部材の対向間隔を前記板材の幅寸法に一致させておくことが考えられる。
【０００５】
しかし、前記板材は、前述したコイル毎に幅寸法が異なる場合がある。この場合に、該コイルから引き出される板材の幅寸法が両規制部材の対向間隔よりも小さいときには、板材が幅方向に位置ズレを起こしてセンタリング精度が低下し、板材の幅寸法が両規制部材の対向間隔よりも大きいときには、板材が両規制部材の間を通過できず円滑な搬送が望めない不都合がある。
【０００６】
また、前記板材としては、図４（ａ）及び（ｂ）に断面示するように、幅方向の両端部に肉薄部Ｘ，Ｙが設けられ、両肉薄部Ｘ，Ｙの間にワークが形成されるワーク成形部Ｚが設けられているものが知られている。この種の板材を搬送する場合には、ワーク成形部Ｚの幅寸法ｄの中央が前述したセンタリングの基準とされる。
【０００７】
しかし、この種の板材においては、一方の肉薄部Ｘの幅寸法ｂと他方の肉薄部Ｙの幅寸法ｃとが異なっている場合があり、この場合には板材Ｗの全幅寸法ａの中央と、ワーク成形部Ｚの幅寸法ｄの中央とが一致していないために、前述した規制部材による規制では精度の高いセンタリングが行えない不都合がある。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
かかる不都合を解消して、本発明は、搬送路における板材のセンタリングが迅速且つ高精度に行えるガイド装置を提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、帯状の板材を搬送する搬送路に設けられて該板材を長手方向に案内するガイド装置であって、前記板材の幅方向の中央部が前記搬送路の所定の位置を通過するように、該板材を幅方向の両側から規制する規制手段を備え、該規制手段は、前記板材の搬送方向に沿った端縁に当接する当接面を有して該板材の幅方向に進退自在に設けられた一対の当接部材と、各当接部材を板材から離反する方向に付勢する付勢手段と、各当接部材の当接面の反対側に形成された摺接面に摺接する傾斜面を有して当接部材の移動方向に直交する方向に移動自在に設けられ、一方向に移動したとき該傾斜面によって各当接部材を板材に向かって押圧する一対の押圧部材と、両押圧部材を一体に同一方向に移動させて両当接部材を互いに同一の進退量で移動させる移動手段とを備えることを特徴とする。
【００１０】
本発明によれば、前記規制手段の一対の当接部材は、前記押圧部材の押圧によって板材に対して接近・離反される。即ち、前記押圧部材が一方向に移動したとき、次第に当接部材の押圧量を増加させるように前記傾斜面を設けた場合には、前記押圧部材を一方向に移動させるだけで、前記付勢手段の付勢力に対抗して当接部材を進出させて該当接部材を板材の幅方向の一端縁に当接させることができ、該押圧部材を他方向に移動させるだけで、前記付勢手段の付勢力によって当接部材を板材から離反させることができる。
【００１１】
更に、前記規制手段は前記移動手段を備えることにより、一対の押圧部材を同一方向に移動させて、両当接部材を同時に同一の進退量で移動させることができる。これにより、一方の当接部材の当接面から前記搬送路の幅方向の中央までの距離と、他方の当接部材の当接面から前記搬送路の幅方向の中央までの距離とが同一になるように両当接部材を位置させておけば、前記移動手段によって両当接部材を板材に向かって進出させて両当接部材を板材の両端に当接させるだけで、該板材の幅方向の中央と前記搬送路の幅方向の中央とを容易に一致させることができ、板材の幅寸法にかかわらず精度の高いセンタリングを迅速に行うことができる。
【００１２】
また、本発明においては、前記板材の幅方向の所定範囲がワークを形成するワーク成形範囲とされている場合には、前記規制手段は、前記ワーク成形範囲の中央部が前記搬送路の所定の位置を通過するように、前記移動手段と独立して少なくとも一方の押圧部材を移動させて前記当接部材の進退量を調節する調節手段を備えることを特徴とする。
【００１３】
前記ワーク成形範囲が設けられている板材においては、例えば、ワーク成形範囲の幅方向の左右側に該ワーク成形範囲の断面形状と異なる断面形状を有する非成形部が設けられる。そして、左右の非成形部の幅寸法が異なっている場合がある。このような板材を搬送路に沿って搬送するとき、板材の幅方向の中央と、ワーク成形範囲の幅方向の中央との位置が異なる。そして、このような板材を搬送するとき、前記板材の左右の非成形部の幅寸法に応じて、前記調節手段によって少なくとも一方の当接部材を予め進出或いは後退させておき、その後、前記移動手段によって両当接部材を同一量移動させる。こうすることにより、ワーク成形範囲の幅方向の中央を搬送路の幅方向の中央に容易に一致させることができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図１は本実施形態の説明的平面図、図２は図１の説明的II矢示図、図３は図１の説明的III −III 線断面図、図４は板材の断面形状を示す説明図である。
【００１５】
図１に示すように、本実施形態のガイド装置１は、帯状の金属製板材Ｗを搬送する図示しない搬送路に設けられている。
【００１６】
該ガイド装置１は、ベースプレート２と、該ベースプレート２の上部に一体に設けられ、前記搬送路の両側に固定されるフレーム３と、ベースプレート２及びフレーム３によって支持された規制手段４とを備えている。
【００１７】
規制手段４は、板材Ｗに向かって進退自在の一対の当接部材５，６と、板材Ｗの搬送方向に沿って移動自在の一対のスライダ（押圧部材）７，８と、両スライダ７，８を移動させる移動手段９とによって構成されている。
【００１８】
前記当接部材５，６は、板材Ｗとの対向側に該板材Ｗに当接する当接面１０が板材Ｗの搬送方向に沿って形成されている。当接部材５，６の各当接面１０の反対側には、板材Ｗの搬送方向の上流側から下流側に向かって次第に板材Ｗから離反する方向に傾斜する摺接面１１が形成されている。各摺接面１１には、前記スライダ７，８が摺動自在に当接されている。各当接部材５，６は、図３に示すように、複数の引きバネ（付勢手段）１２によって板材Ｗから離反する方向に付勢されている。該引きバネ１２によって当接部材５，６は、夫々スライダ７，８に圧接されている。該引きバネ１２は、ベースプレート２及びフレーム３に固定された支持ピン１３と当接部材５，６に連結された連結ピン１４との間に掛け亘されており、連結ピン１４は、ベースプレート２に形成された長孔状の案内孔１５に沿って引きバネ１２の伸縮方向に移動自在とされている。
【００１９】
また、図１に示すように、各スライダ７，８には、当接部材５，６の摺接面１１に当接する傾斜面１６が形成されている。該傾斜面１６は、摺接面１１の傾斜方向に対応して、板材Ｗの搬送方向に沿って次第に離反する方向に傾斜している。該傾斜面１６の反対側は、前記フレーム３の内壁１７により摺動自在に規制されている。
【００２０】
前記移動手段９は、図１及び図２に示すように、ベースプレート２から水平に延びる一対のガイドロッド１８に沿って摺動自在の連結ブロック１９と、該連結ブロック１９には、夫々のスライダ７，８が後述する調節ボルト（調節手段）２０，２１を介して連結されている。また、該連結ブロック１９には操作ボルト２２が軸挿され、該操作ボルト２２はその先端部がベースプレート２に螺合されている。該操作ボルト２２を回転操作することにより、該操作ボルト２２がベースプレート２の螺条に沿って板材Ｗの搬送方向に沿って進退し、これによって連結ブロック１９がガイドロッド１８に沿って移動する。更に、詳しくは後述するが、該連結ブロック１９にはスライダ７，８が調節ボルト２０，２１を介して連結されているので、該連結ブロック１９の移動に伴って両スライダ７，８が一体に移動し、各スライダ７，８の傾斜面１６が各当接部材５，６の摺接面１１に沿って移動する。その結果、傾斜面１６の移動方向に従って両当接部材５，６が進退される。
【００２１】
前記調節ボルト２０，２１は、図１に示すように、スライダ７，８の上流側端部に螺合されて連結ブロック１９とスライダ７，８とを連結している。このため、各調節ボルト２０，２１を回転操作することにより、各スライダ７，８を各別に移動させることができる。即ち、各調節ボルト２０，２１の回転操作によって各スライダ７，８と連結ブロック１９との連結距離を任意に調節することができる。これにより、例えば、操作ボルト２２の回転操作に先立って一方のスライダ８のみを予め搬送方向に向かって進出させておき、それによって一方の当接部材６を予め所定量進出状態としておくことができる。
【００２２】
次に、本実施形態のガイド装置１の作動を図１、図４（ａ）及び図４（ｂ）を参照して説明する。本実施形態のガイド装置１が設けられる搬送路においては、図４（ａ）或いは図４（ｂ）に示す断面形状を有する板材Ｗが搬送される。以下の説明において板材Ｗについて述べる場合には、図４（ａ）示の板材Ｗであっても図４（ｂ）示の板材Ｗであっても共通である。該板材Ｗは、両側縁部に肉薄部Ｘ，Ｙが形成されており、両肉薄部Ｘ，Ｙの間に、図示しないワークの打ち抜き装置等による加工を行うワーク成形部Ｚが形成されている。
【００２３】
先ず、板材Ｗの一方の肉薄部Ｘの幅寸法ｂと、他方の肉薄部Ｙの幅寸法ｃとが等しい場合には、図１において、先ず、各調節ボルト２０，２１の操作によって搬送路の幅方向の中央からの夫々の当接部材５，６の位置が等しくなるように調節しておく。そして、前記操作ボルト２２の操作によって、予め前記当接部材５，６を互いに板材Ｗの幅寸法ａよりも大きく離反させておき、板材Ｗを搬送する際に、前記操作ボルト２２の回転操作を行って両当接部材５，６を互いに板材Ｗに向かって接近させる。両当接部材５，６は、一体に移動するスライダ７，８によって同一の進退量とされているので、両当接部材５，６が板材Ｗの両端縁に当接したとき、該板材Ｗの中央が搬送路の中央と一致する。これにより、板材Ｗはその両端が両当接部材５，６に規制され、搬送路に沿って精度よく搬送される。
【００２４】
その他、板材Ｗの一方の肉薄部Ｘの幅寸法ｂと、他方の肉薄部Ｙの幅寸法ｃとが異なる場合には、板材Ｗ全体の幅方向の中央とワーク成形部Ｚの幅方向の中央とに位置ズレが生じる。即ち、例えば、図４（ａ）及び図４（ｂ）において、一方の肉薄部Ｘの幅寸法ｂが他方の肉薄部Ｙの幅寸法ｃより大であった場合には、板材Ｗ全体の幅方向の中央に対してワーク成形部Ｚの幅方向の中央が他方の肉薄部Ｙ側にズレが生じる。この場合には、先ず、他方の（幅寸法ｃの小さい）肉薄部Ｙ側に当接する一方の当接部材６（図１中下方側）を調節ボルト２１の操作によって、板材Ｗの方向に、両肉薄部Ｘ，Ｙの幅寸法ｂ，ｃの差と同一寸法分突出させておく。その後、板材Ｗを搬送する際に、前記操作ボルト２２の回転操作を行って両当接部材５，６を互いに板材Ｗに向かって接近させる。こうすることによって、前記操作ボルト２２の操作によって両当接部材５，６が板材Ｗの両端縁に当接したとき、該板材Ｗのワーク成形部Ｚの中央が搬送路の中央と一致する。これにより、板材Ｗはその両端が両肉薄部Ｘ，Ｙの幅寸法ｂ，ｃの差に応じた位置に当接部材５，６によって規制され、板材Ｗがワーク成形部Ｚを基準として搬送路に沿って精度よく搬送される。
【００２５】
なお、本発明においては、前記操作ボルト２２の操作を手動によって行う構成を示したが、これに限るものではなく、図示しないが、例えば、操作ボルト２２をアクチュエータ等によって駆動してもよく、また、操作ボルト２２に替えて前記連結ブロック１９を進退させるシリンダを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態の説明的平面図。
【図２】図１の説明的II矢示図。
【図３】図１の説明的III −III 線断面図。
【図４】板材の断面形状を示す説明図。
【符号の説明】
Ｗ…板材、Ｚ…ワーク成形部（ワーク成形範囲）、１…ガイド装置、４…規制手段、５，６…当接部材、７，８…スライダ（押圧部材）、９…移動手段、１０…当接面、１１…摺接面、１２…引きバネ（付勢手段）、１６…傾斜面、２０，２１…調節ボルト（調節手段）。
【発明の属する技術分野】
本発明は、板材の搬送路において該板材を搬送方向に案内するガイド装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、金属製の板材から所定形状のワークを打ち抜き成形する場合には、帯状の板材を搬送路に沿って連続搬送して打ち抜き成形装置等に供給することが行われる。一般に、この種の板材は所定の長さに巻回されたコイルとされており、該コイルから前記板材を引き出して前記搬送路に沿って搬送される。
【０００３】
前記成形装置においては、供給された板材の所定の位置を打ち抜いてワークを成形する。このため、前記搬送路においては、板材におけるワークの打ち抜き位置が、前記成形装置の加工位置を通過するように該板材を位置決めしつつ搬送する必要がある。この際の板材の位置決めについては、板材と成形装置の加工位置との位置合わせを容易とするために、前記搬送路の幅方向の中央と板材の幅方向の中央とが一致するように所謂センタリングを行うことが好ましい。
【０００４】
前記板材のセンタリングを行う場合には、前記搬送路の両側に、板材の幅方向の両端に当接して該板材を規制する一対の規制部材（例えば、案内板や当接ピン等）を設け、両規制部材の対向間隔を前記板材の幅寸法に一致させておくことが考えられる。
【０００５】
しかし、前記板材は、前述したコイル毎に幅寸法が異なる場合がある。この場合に、該コイルから引き出される板材の幅寸法が両規制部材の対向間隔よりも小さいときには、板材が幅方向に位置ズレを起こしてセンタリング精度が低下し、板材の幅寸法が両規制部材の対向間隔よりも大きいときには、板材が両規制部材の間を通過できず円滑な搬送が望めない不都合がある。
【０００６】
また、前記板材としては、図４（ａ）及び（ｂ）に断面示するように、幅方向の両端部に肉薄部Ｘ，Ｙが設けられ、両肉薄部Ｘ，Ｙの間にワークが形成されるワーク成形部Ｚが設けられているものが知られている。この種の板材を搬送する場合には、ワーク成形部Ｚの幅寸法ｄの中央が前述したセンタリングの基準とされる。
【０００７】
しかし、この種の板材においては、一方の肉薄部Ｘの幅寸法ｂと他方の肉薄部Ｙの幅寸法ｃとが異なっている場合があり、この場合には板材Ｗの全幅寸法ａの中央と、ワーク成形部Ｚの幅寸法ｄの中央とが一致していないために、前述した規制部材による規制では精度の高いセンタリングが行えない不都合がある。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
かかる不都合を解消して、本発明は、搬送路における板材のセンタリングが迅速且つ高精度に行えるガイド装置を提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、帯状の板材を搬送する搬送路に設けられて該板材を長手方向に案内するガイド装置であって、前記板材の幅方向の中央部が前記搬送路の所定の位置を通過するように、該板材を幅方向の両側から規制する規制手段を備え、該規制手段は、前記板材の搬送方向に沿った端縁に当接する当接面を有して該板材の幅方向に進退自在に設けられた一対の当接部材と、各当接部材を板材から離反する方向に付勢する付勢手段と、各当接部材の当接面の反対側に形成された摺接面に摺接する傾斜面を有して当接部材の移動方向に直交する方向に移動自在に設けられ、一方向に移動したとき該傾斜面によって各当接部材を板材に向かって押圧する一対の押圧部材と、両押圧部材を一体に同一方向に移動させて両当接部材を互いに同一の進退量で移動させる移動手段とを備えることを特徴とする。
【００１０】
本発明によれば、前記規制手段の一対の当接部材は、前記押圧部材の押圧によって板材に対して接近・離反される。即ち、前記押圧部材が一方向に移動したとき、次第に当接部材の押圧量を増加させるように前記傾斜面を設けた場合には、前記押圧部材を一方向に移動させるだけで、前記付勢手段の付勢力に対抗して当接部材を進出させて該当接部材を板材の幅方向の一端縁に当接させることができ、該押圧部材を他方向に移動させるだけで、前記付勢手段の付勢力によって当接部材を板材から離反させることができる。
【００１１】
更に、前記規制手段は前記移動手段を備えることにより、一対の押圧部材を同一方向に移動させて、両当接部材を同時に同一の進退量で移動させることができる。これにより、一方の当接部材の当接面から前記搬送路の幅方向の中央までの距離と、他方の当接部材の当接面から前記搬送路の幅方向の中央までの距離とが同一になるように両当接部材を位置させておけば、前記移動手段によって両当接部材を板材に向かって進出させて両当接部材を板材の両端に当接させるだけで、該板材の幅方向の中央と前記搬送路の幅方向の中央とを容易に一致させることができ、板材の幅寸法にかかわらず精度の高いセンタリングを迅速に行うことができる。
【００１２】
また、本発明においては、前記板材の幅方向の所定範囲がワークを形成するワーク成形範囲とされている場合には、前記規制手段は、前記ワーク成形範囲の中央部が前記搬送路の所定の位置を通過するように、前記移動手段と独立して少なくとも一方の押圧部材を移動させて前記当接部材の進退量を調節する調節手段を備えることを特徴とする。
【００１３】
前記ワーク成形範囲が設けられている板材においては、例えば、ワーク成形範囲の幅方向の左右側に該ワーク成形範囲の断面形状と異なる断面形状を有する非成形部が設けられる。そして、左右の非成形部の幅寸法が異なっている場合がある。このような板材を搬送路に沿って搬送するとき、板材の幅方向の中央と、ワーク成形範囲の幅方向の中央との位置が異なる。そして、このような板材を搬送するとき、前記板材の左右の非成形部の幅寸法に応じて、前記調節手段によって少なくとも一方の当接部材を予め進出或いは後退させておき、その後、前記移動手段によって両当接部材を同一量移動させる。こうすることにより、ワーク成形範囲の幅方向の中央を搬送路の幅方向の中央に容易に一致させることができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図１は本実施形態の説明的平面図、図２は図１の説明的II矢示図、図３は図１の説明的III −III 線断面図、図４は板材の断面形状を示す説明図である。
【００１５】
図１に示すように、本実施形態のガイド装置１は、帯状の金属製板材Ｗを搬送する図示しない搬送路に設けられている。
【００１６】
該ガイド装置１は、ベースプレート２と、該ベースプレート２の上部に一体に設けられ、前記搬送路の両側に固定されるフレーム３と、ベースプレート２及びフレーム３によって支持された規制手段４とを備えている。
【００１７】
規制手段４は、板材Ｗに向かって進退自在の一対の当接部材５，６と、板材Ｗの搬送方向に沿って移動自在の一対のスライダ（押圧部材）７，８と、両スライダ７，８を移動させる移動手段９とによって構成されている。
【００１８】
前記当接部材５，６は、板材Ｗとの対向側に該板材Ｗに当接する当接面１０が板材Ｗの搬送方向に沿って形成されている。当接部材５，６の各当接面１０の反対側には、板材Ｗの搬送方向の上流側から下流側に向かって次第に板材Ｗから離反する方向に傾斜する摺接面１１が形成されている。各摺接面１１には、前記スライダ７，８が摺動自在に当接されている。各当接部材５，６は、図３に示すように、複数の引きバネ（付勢手段）１２によって板材Ｗから離反する方向に付勢されている。該引きバネ１２によって当接部材５，６は、夫々スライダ７，８に圧接されている。該引きバネ１２は、ベースプレート２及びフレーム３に固定された支持ピン１３と当接部材５，６に連結された連結ピン１４との間に掛け亘されており、連結ピン１４は、ベースプレート２に形成された長孔状の案内孔１５に沿って引きバネ１２の伸縮方向に移動自在とされている。
【００１９】
また、図１に示すように、各スライダ７，８には、当接部材５，６の摺接面１１に当接する傾斜面１６が形成されている。該傾斜面１６は、摺接面１１の傾斜方向に対応して、板材Ｗの搬送方向に沿って次第に離反する方向に傾斜している。該傾斜面１６の反対側は、前記フレーム３の内壁１７により摺動自在に規制されている。
【００２０】
前記移動手段９は、図１及び図２に示すように、ベースプレート２から水平に延びる一対のガイドロッド１８に沿って摺動自在の連結ブロック１９と、該連結ブロック１９には、夫々のスライダ７，８が後述する調節ボルト（調節手段）２０，２１を介して連結されている。また、該連結ブロック１９には操作ボルト２２が軸挿され、該操作ボルト２２はその先端部がベースプレート２に螺合されている。該操作ボルト２２を回転操作することにより、該操作ボルト２２がベースプレート２の螺条に沿って板材Ｗの搬送方向に沿って進退し、これによって連結ブロック１９がガイドロッド１８に沿って移動する。更に、詳しくは後述するが、該連結ブロック１９にはスライダ７，８が調節ボルト２０，２１を介して連結されているので、該連結ブロック１９の移動に伴って両スライダ７，８が一体に移動し、各スライダ７，８の傾斜面１６が各当接部材５，６の摺接面１１に沿って移動する。その結果、傾斜面１６の移動方向に従って両当接部材５，６が進退される。
【００２１】
前記調節ボルト２０，２１は、図１に示すように、スライダ７，８の上流側端部に螺合されて連結ブロック１９とスライダ７，８とを連結している。このため、各調節ボルト２０，２１を回転操作することにより、各スライダ７，８を各別に移動させることができる。即ち、各調節ボルト２０，２１の回転操作によって各スライダ７，８と連結ブロック１９との連結距離を任意に調節することができる。これにより、例えば、操作ボルト２２の回転操作に先立って一方のスライダ８のみを予め搬送方向に向かって進出させておき、それによって一方の当接部材６を予め所定量進出状態としておくことができる。
【００２２】
次に、本実施形態のガイド装置１の作動を図１、図４（ａ）及び図４（ｂ）を参照して説明する。本実施形態のガイド装置１が設けられる搬送路においては、図４（ａ）或いは図４（ｂ）に示す断面形状を有する板材Ｗが搬送される。以下の説明において板材Ｗについて述べる場合には、図４（ａ）示の板材Ｗであっても図４（ｂ）示の板材Ｗであっても共通である。該板材Ｗは、両側縁部に肉薄部Ｘ，Ｙが形成されており、両肉薄部Ｘ，Ｙの間に、図示しないワークの打ち抜き装置等による加工を行うワーク成形部Ｚが形成されている。
【００２３】
先ず、板材Ｗの一方の肉薄部Ｘの幅寸法ｂと、他方の肉薄部Ｙの幅寸法ｃとが等しい場合には、図１において、先ず、各調節ボルト２０，２１の操作によって搬送路の幅方向の中央からの夫々の当接部材５，６の位置が等しくなるように調節しておく。そして、前記操作ボルト２２の操作によって、予め前記当接部材５，６を互いに板材Ｗの幅寸法ａよりも大きく離反させておき、板材Ｗを搬送する際に、前記操作ボルト２２の回転操作を行って両当接部材５，６を互いに板材Ｗに向かって接近させる。両当接部材５，６は、一体に移動するスライダ７，８によって同一の進退量とされているので、両当接部材５，６が板材Ｗの両端縁に当接したとき、該板材Ｗの中央が搬送路の中央と一致する。これにより、板材Ｗはその両端が両当接部材５，６に規制され、搬送路に沿って精度よく搬送される。
【００２４】
その他、板材Ｗの一方の肉薄部Ｘの幅寸法ｂと、他方の肉薄部Ｙの幅寸法ｃとが異なる場合には、板材Ｗ全体の幅方向の中央とワーク成形部Ｚの幅方向の中央とに位置ズレが生じる。即ち、例えば、図４（ａ）及び図４（ｂ）において、一方の肉薄部Ｘの幅寸法ｂが他方の肉薄部Ｙの幅寸法ｃより大であった場合には、板材Ｗ全体の幅方向の中央に対してワーク成形部Ｚの幅方向の中央が他方の肉薄部Ｙ側にズレが生じる。この場合には、先ず、他方の（幅寸法ｃの小さい）肉薄部Ｙ側に当接する一方の当接部材６（図１中下方側）を調節ボルト２１の操作によって、板材Ｗの方向に、両肉薄部Ｘ，Ｙの幅寸法ｂ，ｃの差と同一寸法分突出させておく。その後、板材Ｗを搬送する際に、前記操作ボルト２２の回転操作を行って両当接部材５，６を互いに板材Ｗに向かって接近させる。こうすることによって、前記操作ボルト２２の操作によって両当接部材５，６が板材Ｗの両端縁に当接したとき、該板材Ｗのワーク成形部Ｚの中央が搬送路の中央と一致する。これにより、板材Ｗはその両端が両肉薄部Ｘ，Ｙの幅寸法ｂ，ｃの差に応じた位置に当接部材５，６によって規制され、板材Ｗがワーク成形部Ｚを基準として搬送路に沿って精度よく搬送される。
【００２５】
なお、本発明においては、前記操作ボルト２２の操作を手動によって行う構成を示したが、これに限るものではなく、図示しないが、例えば、操作ボルト２２をアクチュエータ等によって駆動してもよく、また、操作ボルト２２に替えて前記連結ブロック１９を進退させるシリンダを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態の説明的平面図。
【図２】図１の説明的II矢示図。
【図３】図１の説明的III −III 線断面図。
【図４】板材の断面形状を示す説明図。
【符号の説明】
Ｗ…板材、Ｚ…ワーク成形部（ワーク成形範囲）、１…ガイド装置、４…規制手段、５，６…当接部材、７，８…スライダ（押圧部材）、９…移動手段、１０…当接面、１１…摺接面、１２…引きバネ（付勢手段）、１６…傾斜面、２０，２１…調節ボルト（調節手段）。
Claims (2)
- 帯状の板材を搬送する搬送路に設けられて該板材を長手方向に案内するガイド装置であって、
前記板材の幅方向の中央部が前記搬送路の所定の位置を通過するように、該板材を幅方向の両側から規制する規制手段を備え、
該規制手段は、前記板材の搬送方向に沿った端縁に当接する当接面を有して該板材の幅方向に進退自在に設けられた一対の当接部材と、
各当接部材を板材から離反する方向に付勢する付勢手段と、
各当接部材の当接面の反対側に形成された摺接面に摺接する傾斜面を有して当接部材の移動方向に直交する方向に移動自在に設けられ、一方向に移動したとき該傾斜面によって各当接部材を板材に向かって押圧する一対の押圧部材と、
両押圧部材を一体に同一方向に移動させて両当接部材を互いに同一の進退量で移動させる移動手段とを備えることを特徴とするガイド装置。 - 前記板材は幅方向の所定範囲がワークを形成するワーク成形範囲とされ、
前記規制手段は、前記ワーク成形範囲の中央部が前記搬送路の所定の位置を通過するように、前記移動手段と独立して少なくとも一方の押圧部材を移動させて前記当接部材の進退量を調節する調節手段を備えることを特徴とする請求項１記載のガイド装置。
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