JP3688353B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動機の速度制御に用いて好適な電動機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、モータの速度制御は速度指令値と実際のモータの速度とを比較し、その差がなくなるよう上記モータを制御するフィードバック制御系を構成することにより行っている。
ここで、図5に3相SM(Synchronous Motor)形交流サーボモータ(以下、単にモータと称す)の制御装置の一概略構成例を示す。この図において、10は制御対象となるモータである。
【0003】
11は第1減算器であり、外部から入力される速度指令値ωm*と、速度検出器21(後述する)から出力される実際のモータの速度ωm との差をとる。12は速度比例積分制御部であり、第1減算器11から出力される速度差に比例+積分制御を行い、該速度差に応じた電流指令値I* を出力する。
【0004】
13a〜13cは乗算器であり、各乗算器は速度比例積分制御部12から出力される電流指令値I* と、各々対応する正弦波テーブル20a〜20c(後述する)から出力される正弦波データとを乗算し、それをモータ10の各相に対する電流指令値Iu*,Iv*,Iw*として各々出力する。14a〜14cは第2減算器であり、各々対応する乗算器13a〜13cから出力される各相の電流指令値Iu*,Iv*,Iw*と、モータ10の各相に供給される電流Iu ,Iv ,Iw の電流値との差をそれぞれ求める。
【0005】
15a〜15cは電流比例積分制御部であり、各々対応する第2減算器14a〜14cからの偏差出力に比例+積分制御を行い、増幅,調整し、モータ10の負荷トルクおよび摩擦トルク等の外乱トルクに応じた各相の電流を生成する。
16a〜16cは、それぞれモータ10のU相,V相,W相に対応して設けられたPWM(Pulse Width Modulation)制御部であり、電流比例積分制御部15a〜15cにおいて行われる各相の電流指令値Iu*,Iv*,Iw*に対する比例+積分制御の結果に基づいて、各相の電機子巻線に供給する電流をパルス幅変調制御し、モータ10のU相,V相,W相に電流Iu ,Iv ,Iw を出力する。
【0006】
17はエンコーダであり、モータ10の回転に応じた各種パルス列を出力する。ここでは、速度検出器21に対して連続パルスを出力し、また、磁極位置検出器18に対し、U相,V相,W相の各相に対応してオン/オフする矩形波信号を各々出力する。
【0007】
磁極位置検出回路18は、エンコーダ17から出力される各相に対応する矩形波信号の内、いずれか1相を基準としてモータ10の磁極位置θを求める。ここではU相を基準としてU相磁極位置θu を求めている。そして、加算器19a,19bにより各々所定の定数を加え、U相磁極位置θu に対して120゜位相を進めた角度情報をV相の角度情報θv とし、120゜位相を遅らせた角度情報をW相の角度情報θw とする。また、U相磁極位置θu をU相の角度情報θu として、上述した各角度情報を正弦波テーブル20a〜20cへ出力する。
【0008】
そして、正弦波テーブル20a〜20cには1周期分の正弦波データが記憶されており、各々入力される角度に応じた正弦波データを出力する。速度検出器21は、エンコーダ17から出力されるパルス列に基づいてモータ10の回転速度ωm を求め、第1減算器11へ出力する。
【0009】
上述したモータの制御装置においては、外部から入力される速度指令値ωm*と、実際の回転速度ωm との差に応じた電流指令値I* が速度比例積分制御部12から出力される。また、モータ10の各相の角度情報θu 、θv 、θw が生成され、これらに応じた正弦波データが正弦波テーブル20a〜20cから出力される。そして、これら正弦波データが乗算器13a〜13cにおいて上述した電流指令値I* と各々乗算されることにより、U相,V相,W相の各電流指令値Iu*,Iv*,Iw*が生成される。
【0010】
上述した電流指令値Iu*,Iv*,Iw*は、それぞれ第2減算器14a〜14cおよび電流比例積分制御部15a〜15cを経て、外乱トルクに応じた電流指令値となり、PWM制御部16a〜16cへ出力される。そして、PWM制御部16a〜16cは、それぞれ入力された電流指令値に応じてモータ10の各相へ電流を供給し、これにより、モータ10が駆動され、その回転速度ωm は外部から入力される速度指令値ωm*となるように制御される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したモータの制御装置は、図6に示す負荷トルク−速度特性のように、上述したモータの制御装置による速度制御範囲の上限値Nmax から、モータ10に対する負荷を徐々に増して行った場合、そのトルクがR点を経てP点に至ると、その速度がS点まで急激に減少するという現象が発生した。
【0012】
また、モータが指令速度に達せず途中の速度で運転している状態で、負荷を徐々に解放して行った場合、それに伴い速度が増して行き、S点に至った後は図6中、一点破線で示される経路を辿ってQ点に至るが、この時、Q点において、モータの速度が振動的に変化するという現象が見られた。
【0013】
これらの現象の原因を図7に示すモータトルク−電流指令値特性を参照して説明する。図7において、22はモータ10の速度がNmax の時のモータトルク−電流指令値特性、23はモータ10の速度が図6中、S点における速度N1 の時のモータトルク−電流指令値特性である。
【0014】
この図において速度制御領域の上限から、モータ10に対する負荷を徐々に増して行った場合、その速度は低下して行こうとするが、フィードバック制御によりその速度低下分を補うべく、言い換えれば、負荷トルクに相当するモータトルクを発揮すべく、速度比例積分制御部12から出力される電流指令値が負荷トルクに比例して増加していく。そして図7中R点に達し、さらに負荷の増加に比例して電流指令値が増加し、図7中P点に達する。この間、図7中R点−P点間は図5に示す速度制御系において負帰還領域で制御を行うので、安定した速度制御を行うことができる。
【0015】
そして、P点からさらに負荷トルクを増して行くと、モータ速度が低下しようとし、その分モータトルクを増大させるべく電流指令値が増加するが、図7中、電流指令値Ip (モータ10に対する供給可能電力の最大値)を超えると、負荷側からモータ側にパワーが供給され、図5に示す速度制御系の電流マイナループは正帰還領域で作動する。この正帰還領域においては、電流指令値の増加に対してモータトルクが追従しないため、この領域内で負荷トルクを増して行った場合、モータトルクとの差は増大しモータ速度の低下,電流指令値の増加を繰り返して、ついには速度制御領域の上限、すなわち速度比例積分制御部12のクランプ電流指令値Ic に到達する。
【0016】
この後、負荷トルクがさらに増大すると、もはやモータトルクは負荷トルクに抗えず、モータの速度は、電流指令値がクランプ電流指令値Ic である時のモータトルクと負荷トルクとが釣り合う速度まで、すなわちS点まで一気に低下する。このように、上述した経過が図6において負荷トルクがP点に達した時点で瞬時に行われるため、P点−S点間のような急激な速度変化が起こる。
【0017】
逆に、例えばモータ10の速度が最大となるように設定されたが、モータ10に供給し得る電力に限界があり、そのためモータ10は最大速度よりも低い速度で回転している場合、負荷トルクを徐々に軽減していくと、それに伴いモータは速度を増し、設定の速度に到達しようとするが、電源容量に不足をきたし負荷からモータ側へ動力が返還される正帰還領域において作動することになり、Q点では、モータ速度が不安定かつ振動的な変化が起こる。
【0018】
このような現象は、図5に示す速度制御系の他に、外部から供給される速度指令値ωm *と、モータ10の実際の速度ωm との差に応じてトルク電流指令Iq*を発生し、このトルク電流指令Iq*と、さらに外部から入力される励磁電流指令Id*とに基づいてモータ10の各相毎の電流指令を生成し、速度制御を行う制御系においても、図6に示すP点−S点間およびQ点における急激な速度変化や振動的な速度変化が、同様に発生した。
いずれにせよ、図6に示すP点−S点間のような急激な速度変化や、Q点における振動的な速度変化は、安定したモータの速度制御の妨げとなる。
【0019】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、制御対象である電動機に急激な速度変化または振動的な速度変化が発生することのない電動機の制御装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、電動機の回転速度を検出し、該検出した回転速度が外部から入力される速度指令値となるようフィードバック制御する電動機の制御装置において、前記回転速度と前記速度指令値との差をとる第1の減算手段と、前記第1の減算手段の出力を比例積分制御して、前記電動機に供給すべき電流値を指示する電流指令値を生成する電流指令値生成手段と、前記電流指令値および前記電動機の回転速度に基づいて、前記電動機が有する相数に応じて各相毎の電流指令値を生成する相電流指令値発生手段と、前記相電流指令値発生手段から各々出力される相電流指令値に対応して設けられ、前記電動機の誘起電圧との位相差が0となるときの前記電動機の入力電流を制限値として、前記回転速度に基づいて、前記フィードバック制御が常に負帰還領域において行われるよう前記相電流指令値を各々制限する指令値制限手段と、前記電動機の各相に実際に供給される電流を各々検出し、前記相電流指令値の各々との差を求める第2の減算手段と、前記第2の減算手段からの各出力にそれぞれ個別の比例積分制御を行う比例積分制御手段と、前記比例積分制御手段の各出力に基づいて前記電動機の各相に各々電流を供給する電流供給手段とを具備し、高速回転時、電流制御ループの飽和による急激なトルク低下現象を防いだことを特徴とする電動機の制御装置である。
【0022】
請求項記載の発明は、請求項記載の電動機の制御装置において、前記指令値制限手段が、前記検出した電動機の回転速度を
【数3】
Figure 0003688353
(ただし、Iは前記電動機の入力電流、ωmは前記検出した電動機の回転速度、qは前記電動機が有する回転子の磁極数、φは界磁磁束、Lは前記電動機の巻線インダクタンス)
なる式に代入して前記電動機の入力電流を求め、該入力電流値に対応する相電流指令値を、前記相電流指令値生成手段から出力される電流指令値の上限値として制限することを特徴とする。
【0023】
請求項3記載の発明は、電動機に供給する励磁電流値を指示する励磁電流指令値と、前記電動機の回転速度を指示する速度指令値とがそれぞれ外部から入力され、該各指令値に基づいて前記電動機の回転速度をフィードバック制御する電動機の制御装置において、前記電動機の回転速度を検出する速度検出手段と、前記速度検出手段が検出した回転速度と前記速度指令値との差をとる第1の減算手段と、前記第1の減算手段の出力を比例積分制御して、前記電動機に供給すべきトルク電流値を指示する指令値を生成するトルク電流指令値生成手段と、前記電動機の誘起電圧との位相差が0となるときの前記電動機の入力電流を制限値として、前記速度検出手段が検出した前記電動機の速度に基づいて、前記フィードバック制御が常に負帰還領域において行われるよう前記トルク電流指令値を制限する指令値制限手段と、前記電動機に実際に供給される電流を検出し、該検出した電流からトルク電流成分および励磁電流成分をそれぞれ求める電流検出手段と、前記指令値制限手段から出力されるトルク電流指令値および前記外部から入力される励磁電流指令値と、前記電流検出手段から出力されるトルク電流成分および励磁電流成分との差を各々求める第2の減算手段と、前記第2の減算手段からの各出力にそれぞれ個別の比例積分制御を行う比例積分制御手段と、前記比例積分制御手段の各出力に基づいて前記電動機に電流を供給する電流供給手段とを具備することを特徴とする電動機の制御装置である。
【0024】
請求項記載の発明は、請求項記載の電動機の制御装置において、前記指令値制限手段が、前記検出した電動機の回転速度を
【数4】
Figure 0003688353
(ただし、Iは前記電動機の入力電流、ωmは前記検出した電動機の回転速度、qは前記電動機が有する回転子の磁極数、φは界磁磁束、Lは前記電動機の巻線インダクタンス)
なる式に代入して前記電動機の入力電流を求め、該入力電流値に対応するトルク電流指令値を、前記トルク電流指令値生成手段から出力されるトルク電流指令値の上限値として制限することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態による電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。この図において、図5の各部と対応する部分については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図1に示す速度制御装置が図5と異なる点は、乗算器13a〜13cと第2減算器14a〜14cとの間に、それぞれ指令値制限回路1a〜1cが設けられている点である。
【0026】
指令値制限回路1a〜1cは、前述した図7のモータトルク−電流指令値特性において、速度制御系が常に負帰還領域でモータ2を制御するように、各相の電流指令値Iu*,Iv*,Iw*に制限を設けるものである。
以下、指令値制限回路1a〜1cにおける制限値について図面を参照して説明する。なお、各指令値制限回路における制限値は、いずれも同様の方法によって求められるので、ここではU相に対する電流指令値Iu* を制限する指令値制限回路1aを例にとって説明を行う。
【0027】
図2はモータのベクトル図であり、Vはモータ10の入力電圧、Iは同入力電流、Eは同誘起電圧、Rは同巻線抵抗、ωは同回転角速度(電気角)、Lは同巻線インダクタンスである。
まず、図7において、速度制御系が負帰還領域から正帰還領域に転じるポイントは、すなわちモータ10の入力電流Iと誘起電圧Eとの位相差が0となるポイントであり、この時の入力電流Iの値で電流指令値Iu*をクランプする。
【0028】
すなわち、図2より、
【数5】
Figure 0003688353
(1)式において、E》RI、ωLI》RIであるとすると、
【数6】
Figure 0003688353
(2)式を変形すると、
【数7】
Figure 0003688353
【0029】
となり、この(3)式において、誘起電圧Eは以下の式により表すことができる。
【数8】
Figure 0003688353
但し、φは界磁磁束である
【0030】
また、回転角速度ωを機械角ωm で表すとω=qωm (qはモータ10の回転子の磁極数)となり、これを(4)式に代入すると、
【数9】
Figure 0003688353
となる。ここで、KおよびIo は定数である。
【0031】
これにより、指令値制限回路1において、速度検出器21から出力される速度ωm を(5)式に代入してモータ10の入力電流Iを求め、求めた入力電流Iに対応する電流指令値を制限値とし、電流指令値Iu*がその制限値を超えないようクランプする。
ここで図3に、図1におけるモータの制御装置における負荷トルク−速度特性を示す。この図に示すように、速度制御系に指令値制限回路1a〜1cを設けることにより、急激な速度変化を起こすことのない安定した負荷トルク−速度特性を得ることができる。
【0032】
〔第2実施形態〕
次に、この発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、第1実施形態における指令値制限回路を、外部から供給される速度指令値ωm *と、モータ10の実際の速度ωm との差に応じてトルク電流指令値Iq*を発生し、このトルク電流指令値Iq*と外部から入力される励磁電流指令値Id*とに基づいてモータ10の各相毎の電流指令値を生成して速度制御を行う制御系に適用したものである。以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
【0033】
図4は本実施形態による電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
この図において、31は第1減算器であり、外部から入力される速度指令値ωm*と、速度検出器41(後述する)から出力されるモータ10の速度ωm との差をとる。32は速度比例積分制御部であり、第1減算器31から出力される速度差に比例+積分制御を行い、該速度差に対応したトルク電流指令値Iq*を出力する。
【0034】
2は指令値制限回路であり、第1実施形態における指令値制限回路1a〜1cと同様、速度制御系が常に負帰還領域でモータを制御するように、トルク電流指令値Iq*に制限を設けるものである。また、トルク電流指令値Iq*の制限値の算出方法についても指令値制限回路1a〜1cと同様、前述した(5)式に速度検出器41から出力される速度ωm を代入してモータ10の入力電流Iを求め、求めた入力電流Iに対応する電流指令値を制限値とし、トルク電流指令値Iq*がその制限値を超えないようクランプしている。
【0035】
33は第2減算器であり、指令値制限回路2から出力されるトルク電流指令値Iq*と、3相−2相変換器40(後述する)から出力される実際のトルク電流値Iq との差をとる。34は第3減算器であり、外部から入力される励磁電流指令値Id*と、3相−2相変換器40から出力される実際の励磁電流値Id との差をとる。ここでは励磁電流指令値Id*として0(固定)が供給されるものとする。
【0036】
35は電流比例積分制御部であり、第2減算器33および第3減算器34から各々出力される差を個別に比例積分制御する。
このように、電流比例積分制御部35において第2減算器33および第3減算器34からの各出力を比例+積分制御することで、摩擦トルクや負荷トルク等の外乱トルクに対応した電流指令値を生成することができる。
【0037】
36は2相−3相変換器であり、電流比例積分制御部35から出力されるトルク電流指令値および励磁電流指令値と、磁極位置検出器39から出力されるモータ10の磁極位置θr とに基づいて、モータ10の各相(U相,V相,W相)の電機子巻線に供給する電流の指令値であるU相電流指令値iu*,V相電流指令値iv*,W相電流指令値iw*を出力する。
37a〜37cは、それぞれモータ10のU相,V相,W相に対応して設けられたPWM(Pulse Width Modulation)制御部であり、2相−3相変換器36から各々出力される電流指令値に基づいて、各相の電機子巻線に供給する電流をパルス幅変調制御する。
【0038】
38はレゾルバであり、モータ10の角度情報を出力する。そして、この角度情報に基づいて磁極位置検出器39はモータ10の磁極位置θr を求め、2相−3相変換器36および3相−2相変換器40へ出力する。
3相−2相変換器40は、PWM制御部37a,37bから出力されるU相電流値iu およびV相電流値iv に基づいてW相電流値iw を求め、さらに、これら各相の電流値と磁極位置検出器39から出力される磁極位置θr とに基づいてトルク電流値Iq と励磁電流値Id を求めて各々第2減算器33と第3減算器34とに出力する。また、速度検出器41は、レゾルバ38から出力される角度情報に基づいてモータ10の速度ωm を求め、第1減算器31と指令値制限回路2へそれぞれ出力する。
【0039】
上述した制御装置においては、速度指令値ωm*とモータ10の速度ωm の差に応じて生成したトルク電流指令値Iq*と、外部から入力される励磁電流指令値Id *とを、モータ10の各相に対応する電流指令値に変換し、この各相の電流指令値に従ってモータ10の速度制御を行うと共に、指令値制限回路2によって、図4の速度制御系が常に負帰還領域で制御されるようトルク電流指令値Iq*が制限される。これにより、急激な速度変化を起こすことのない安定した負荷トルク−速度特性を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、電動機の回転速度に対応してフィードバック制御が常に負帰還領域においてなされるよう、電動機に対する電流指令値が制限されので、負荷トルクの増減に対して急激な、もしくは不安定な速度変化を起こすことなく、常に安定した速度制御を行うことができる。
また、制限値が
【数10】
Figure 0003688353
なる式で求められるので、上述したフィードバック制御における負帰還領域と正帰還領域の境界点が正確に求めることができ、かつ、電動機の回転速度に応じて最適の制限値を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1実施形態による電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 制御対象となるモータのベクトル図である。
【図3】 図1における速度制御系の負荷トルク−速度特性を示すグラフである。
【図4】 この発明の第2実施形態による電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】 従来の電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 同制御装置による速度制御系の負荷トルク−速度特性を示すグラフである。
【図7】 同モータトルク−電流指令値特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1a,1b,1c,2……指令値制限回路、10……モータ、11……第1減算器、12……速度比例積分制御部、13a〜13c……乗算器、14a〜14c……第2減算器、15a〜15c……電流比例積分制御部、16a〜16c……PWM制御部、17……エンコーダ、18……磁極位置検出器、19a,19b……加算器、20a〜20c……正弦波テーブル、21……速度検出器

Claims (4)

  1. 電動機の回転速度を検出し、該検出した回転速度が外部から入力される速度指令値となるようフィードバック制御する電動機の制御装置において、
    前記回転速度と前記速度指令値との差をとる第1の減算手段と、
    前記第1の減算手段の出力を比例積分制御して、前記電動機に供給すべき電流値を指示する電流指令値を生成する電流指令値生成手段と、
    前記電流指令値および前記電動機の回転速度に基づいて、前記電動機が有する相数に応じて各相毎の電流指令値を生成する相電流指令値発生手段と、
    前記相電流指令値発生手段から各々出力される相電流指令値に対応して設けられ、前記電動機の誘起電圧との位相差が0となるときの前記電動機の入力電流を制限値として、前記回転速度に基づいて、前記フィードバック制御が常に負帰還領域において行われるよう前記相電流指令値を各々制限する指令値制限手段と、
    前記電動機の各相に実際に供給される電流を各々検出し、前記相電流指令値の各々との差を求める第2の減算手段と、
    前記第2の減算手段からの各出力にそれぞれ個別の比例積分制御を行う比例積分制御手段と、
    前記比例積分制御手段の各出力に基づいて前記電動機の各相に各々電流を供給する電流供給手段と
    を具備し、
    高速回転時、電流制御ループの飽和による急激なトルク低下現象を防いだことを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記指令値制限手段は、前記検出した電動機の回転速度を
    Figure 0003688353
    ただし、Iは前記電動機の入力電流、ωmは前記検出した電動機の回転速度、qは前記電動機が有する回転子の磁極数、φは界磁磁束、Lは前記電動機の巻線インダクタンス
    なる式に代入して前記電動機の入力電流を求め、該入力電流値に対応する相電流指令値を、前記相電流指令値生成手段から出力される電流指令値の上限値として制限することを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  3. 電動機に供給する励磁電流値を指示する励磁電流指令値と、前記電動機の回転速度を指示する速度指令値とがそれぞれ外部から入力され、該各指令値に基づいて前記電動機の回転速度をフィードバック制御する電動機の制御装置において、
    前記電動機の回転速度を検出する速度検出手段と、
    前記速度検出手段が検出した回転速度と前記速度指令値との差をとる第1の減算手段と、
    前記第1の減算手段の出力を比例積分制御して、前記電動機に供給すべきトルク電流値を指示する指令値を生成するトルク電流指令値生成手段と、
    前記電動機の誘起電圧との位相差が0となるときの前記電動機の入力電流を制限値として、前記速度検出手段が検出した前記電動機の速度に基づいて、前記フィードバック制御が常に負帰還領域において行われるよう前記トルク電流指令値を制限する指令値制限手段と、
    前記電動機に実際に供給される電流を検出し、該検出した電流からトルク電流成分および励磁電流成分をそれぞれ求める電流検出手段と、
    前記指令値制限手段から出力されるトルク電流指令値および前記外部から入力される励磁電流指令値と、前記電流検出手段から出力されるトルク電流成分および励磁電流成分との差を各々求める第2の減算手段と、
    前記第2の減算手段からの各出力にそれぞれ個別の比例積分制御を行う比例積分制御手段と、
    前記比例積分制御手段の各出力に基づいて前記電動機に電流を供給する電流供給手段と
    を具備することを特徴とする電動機の制御装置。
  4. 前記指令値制限手段は、前記検出した電動機の回転速度を
    Figure 0003688353
    ただし、Iは前記電動機の入力電流、ωmは前記検出した電動機の回転速度、qは前記電動機が有する回転子の磁極数、φは界磁磁束、Lは前記電動機の巻線インダクタンス
    なる式に代入して前記電動機の入力電流を求め、該入力電流値に対応するトルク電流指令値を、前記トルク電流指令値生成手段から出力されるトルク電流指令値の上限値として制限することを特徴とする請求項3記載の電動機の制御装置。
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