JP3688060B2 - 熱封緘性蓋材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンなどの単独、または積層シートからなるプラスチック成形容器等に用いる熱封緘性蓋材に関し、更に詳しくは、蓋材の構成材料からアルミニウム箔などの金属を除き、紙とプラスチックを主とする材料で構成し、それでいて耐水性があり、カールも発生せず、シール時の熱で火脹れすることもなく、また、開封時には、紙層や層間などで剥離することがなく、蓋材全体を容易に開封できるという性能に優れた熱封緘性蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カップ型容器は、ヨーグルト、プリン、ゼリー、アイスクリーム、氷菓などのデザート食品を始め、果汁、コーヒー、ココア、乳飲料などの液体飲料、更には、即席麺、スナック食品など広範囲の分野で使用されてきた。
そして、これらの容器に使用する蓋材は、内容物の保存性とか衛生性の点で熱封緘により密封されるものが殆どであり、また、使用時の便利性の点からイージーピール性を有することが不可欠となっている。
【0003】
従って、蓋材の重要な機能の一つとして、蓋体の容器本体への接着強度が、商品の流通段階では剥がれることがなく、且つ、使用に際しては容易に開封できるよう、弱すぎず、また強すぎることもない、と言うバランスのとれたものが要望されている。この点から、蓋材の構成は、容器本体の材料や内容物、使用条件などによって適宜、最適のものを選定して使用している。
【0004】
そして、特に、紙もしくは紙を含む積層体を基材とする蓋材の構成では、例えば、下記のような構成が知られている。
▲1▼紙/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレン
(以下ポリエチレンはPEと表示)
▲2▼紙/PE/アルミニウム箔/PE/ホットメルト
▲3▼紙/接着剤又はPE/2軸延伸プラスチックフィルム/PE/ホットメルト
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の蓋材の構成は、それぞれ蓋材に対する種々の機能の要望に対応して生み出されてきたものではあるが、それでも実際の使用において、良好なシール状態を得るためには、シール条件の幅が狭いという共通の欠点を有していた。
即ち、ヒートシールに際して、シール装置、その他の問題から過剰なシール条件、例えば、高い温度とか高い圧力が加えられたときなど、開封に際して、蓋材の紙層が破壊されたり、或いは蓋材の他の層間で剥離が生じたりして、蓋材全体をきれいに剥がすことができなくなる欠点があった。
【0006】
このほか、蓋材としてカールを生じ易いという共通の問題点もあり、シール装置が巻取り状の蓋材を供給して熱シールし、カッティングするタイプの装置の場合には比較的問題は少ないが、予め打ち抜かれた枚葉の蓋材を供給して熱シールするタイプの装置の場合には、カールがあると蓋材がフィーダー部からスムーズに供給されないという問題があった。
更に、紙が最外層にあることから耐水性が不足し、特に、冷蔵または冷凍扱いの商品に用いた場合、吸水して蓋材の表面に凸凹を生じ、外観が損なわれるという問題もあった。
【0007】
また、食品関連の分野では、内容物の充填、シール後、異物混入などを防ぐため品質管理の一環として金属探知機による検査が行われているが、上記▲1▼、▲2▼の構成の場合、材料にアルミニウム箔が用いられているため金属探知機による検査ができないという問題もある。更に、アルミニウム箔など金属が用いられている場合には、使用後の廃棄性においても問題があるため、構成材料からアルミニウム箔を除く要望が高まっている。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蓋材の構成材料からアルミニウム箔を除き、紙とプラスチックを主とする材料で構成することにより、金属探知機による検査を可能とし、また、使用後の廃棄性を改善すると共に、性能面でも耐水性、耐熱性(熱シール安定性)を向上させ、カールも殆ど発生せず、枚葉の蓋材を使用する充填・シール機でも良好に使用できる熱封緘性蓋材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成された。
即ち、請求項1に記載の発明は、紙の両面にドライラミネート用の2液反応型ポリウレタン系接着剤を介して2軸延伸プラスチックフィルムを積層してなる基材シートの一方の面に、イージーピール性樹脂層、または、ポリオレフィン系樹脂よりなる接着層を介してホットメルト層のいずれかを設けてなる熱封緘性蓋材であって、前記紙の米坪量が30〜110g/m 2 の範囲で、前記2液反応型ポリウレタン系接着剤の塗布量が、紙の両面とも固形分で4.5〜6.0g/m 2 の範囲で、且つ、前記熱封緘性蓋材の最外層の2軸延伸プラスチックフィルムが、帯電防止性を有することを特徴とする熱封緘性蓋材からなる。
【0010】
そして、請求項2に記載の発明は、前記熱封緘性蓋材が、所定の形状に予め打ち抜かれた枚葉形態であることを特徴とする請求項1に記載の熱封緘性蓋材からなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の熱封緘性蓋材の構成材料、製造方法などその実施の形態について説明する。
本発明の熱封緘性蓋材において、紙は、基材となるものであり、その両面に接着剤を用いて2軸延伸プラスチックフィルムを積層して基材シートとなし、更にその一方の面にイージーピール性を有するシーラント層を設けて用いるものである。
このように紙の両面に2軸延伸プラスチックフィルムを積層することは、紙の弱点である耐水性を補い、且つ、カールに対する安全性を高められる長所がある反面、通気性のないフィルムで紙の両面が遮蔽されるため、ヒートシールの際の熱により、紙層中に含まれる空気の急激な膨張や、紙に含有される水分の気化による膨張などを生じ、蓋材に火脹れを発生し易くする欠点があった。
【0012】
この欠点をなくすために、本発明の蓋材では、紙の両面に2軸延伸プラスチックフィルムを積層する際、接着剤の塗布量を通常よりも多くして、紙の繊維間や層間にも接着剤を浸透させ、これを強化することによって火脹れの発生を防止したものである。
従って、紙は、基材としての剛性を有し、厚さが均一で平滑性、平面性(カールがないこと)に優れると同時に、紙自体も繊維間のからみがよく、層間強度なども強く、且つ接着剤が浸透し易く、繊維間、層間の強度を強化できるものが好ましい。
このような性能を有する紙として、例えば市販の紙では、クラフト系の紙が好ましく、特に片艶晒クラフトが好ましい。
【0013】
従来、蓋材に紙を用いる場合、最外層に用いられたため、印刷適性も必要であり、コート紙なども用いられた。しかし、本発明の蓋材の構成では、最外層に2軸延伸プラスチックフィルムを用いるため、このフィルムに裏刷り形式で印刷することが印刷効果を高める点でもより好ましく、紙には印刷を行わないため印刷適性は特に必要とされない。また、コート紙の場合、コート層の耐熱性や耐溶剤性がそれほど強くないためコート層剥離の危険があり、また、接着剤の紙層への浸透も阻害されるためむしろ好ましくない。同様に、紙側に印刷を行うことも、印刷層により接着剤の紙層への浸透が阻害され、紙層の強化効果が低下するため好ましくない。只、フィルムに印刷された絵柄等を鮮明にし、印刷効果を一層高めるためには、背面の紙が白色であることが好ましく、この点から晒処理の施された片艶晒クラフトがより適している。
尚、紙の厚さは、米坪量で30〜110g/m2 のものが好ましく、60〜90g/m2 のものが更に好ましい。
坪量が30g/m2 未満の場合は、剛性が不足し、110g/m2 を超える場合は、剛性は既に充分であり、それ以上の必要性がなく、むしろ熱シールの条件が過酷になるため火脹れの危険が増し、紙の層間強度なども低下傾向となるため好ましくない。
【0014】
そして、上記の紙の両面に接着剤を用いて積層する2軸延伸プラスチックフィルムは、紙の表面を被覆して耐水性を向上させ、また、両面の伸縮をできるだけ小さく、且つバランスをとることによりカールの発生を防止すると同時に、引張り強度など機械的強度や耐熱性を向上させ、開封時に紙層などが破壊されることなく、イージーピール性のシーラント層と共に蓋材全体をきれいに剥離させるために用いるものである。従って、機械的強度のほか、耐水性、耐熱性、寸法安定性に優れることが必要であり、具体的には2軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの2軸延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンなどが好ましく使用できるが、なかでも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
尚、蓋材にガスバリヤー性を更に付加したい場合には、これらの2軸延伸プラスチックフィルムにポリ塩化ビニリデンをコートしたり、或いは、蒸着などにより酸化珪素などの無機質の薄膜を設けてもよい。
【0015】
尚、本発明の熱封緘性蓋材は、巻取り状の蓋材を供給する充填シール機はもとより、予め所定の形状に打ち抜かれた枚葉状の蓋材を供給する充填シール機でも使用できるようにしたものであり、このためには、枚葉状に打ち抜かれた蓋材は、カールがないことと同時に、適度の滑り性を有することも必要である。
滑り性に関しては、蓋材の表裏両面の材質や表面の微細な凹凸なども関連するが、静電気の帯電性も大きな影響をもっている。即ち、蓋材が積み重ねられた状態で帯電量が大きい場合、蓋材同士が密着し、シール装置のフィーダーで一枚ずつ正確に送りだすことができず、二枚出などのフィーダートラブルが発生する。
【0016】
従って、紙の両面に積層する2軸延伸プラスチックフィルムの中、少なくともシーラント層を設ける面の反対側の面、即ち、蓋材の最外層となる面には、帯電防止性を有する2軸延伸プラスチックフィルムを用いることが好ましい。
勿論、蓋材の最外層の面に、特に帯電防止性を付与されていない通常の2軸延伸プラスチックフィルムを用いることもできるが、その場合には、冬期など乾燥期に蓋材が帯電し易くなるため、シール装置のフィーダー部に除電装置を取り付けるなどの対策が必要となる。この点、帯電防止性を有する2軸延伸プラスチックフィルムを用いた場合には、除電装置など特別な装置を必要とせず、常に安定して蓋材を供給できる効果を奏する。
【0017】
また、このような2軸延伸プラスチックフィルムを紙の両面に積層する方法は、従来公知の2液反応型接着剤などを用いるドライラミネート法のほか、ノンソルベントタイプの接着剤を用いるラミネート法、或いは、ポリエチレンなどポリオレフィン系樹脂を接着剤代わりに用いる押し出しラミネート法などを利用できるが、本発明においてはドライラミネート法が性能および経済性の点で最も好ましい。
即ち、ドライラミネート法を用い、且つ、接着剤の塗布量をフィルム同士の貼り合わせの場合よりも多くすることにより、紙の繊維間や層間にも接着剤が浸透し、これを固着させ、また、乾燥の熱により紙の含有水分量も低くできるため、フィルムと紙との接着と同時に紙の表面強度や層間強度が強化され、シール時の熱による紙の火脹れや、開封時の紙の層間剥離を防止できる効果がある。
【0018】
このようなドライラミネートに用いる接着剤としては、例えば、ポリウレタン系の2液反応型接着剤などが使用でき、その塗布量は固形分で4.0〜10.0g/m2 が好ましく、4.5〜6.0g/m2 が更に好ましい。
塗布量が4.0g/m2 未満の場合は、接着剤の紙への浸透が少なく、紙の層間強度が充分に強化されず、高温シールにより火脹れが発生し易くなるため好ましくない。また、塗布量が10.0g/m2 を超える場合には、所謂ラミネートシワが発生し易くなるため好ましくない。
以上の方法により、紙の両面に2軸延伸プラスチックフィルムが積層された基材シートを作成することができる。
【0019】
本発明の熱封緘性蓋材は、上記のようにして作成した基材シートの一方の面に、イージーピール性のシーラント層を設けることにより作成できる。そして、イージーピール性のシーラント自体は特に限定されず、従来公知のものは全て使用することができる。
即ち、イージーピール性シーラントとしてホットメルト材を用いる場合には、基材シートとの接着性を良くするため、先ず、基材シート面にポリオレフィン系樹脂よりなる接着層を押し出しコーティングなどにより設け、その上にホットメルト材を溶融グラビアコートなどで塗布することにより、イージーピール性シーラント層を設けることができる。
【0020】
上記において、接着層のポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンのほか、エチレン成分が全樹脂量に対して80〜95重量%で、残りの20〜5重量%がカルボン酸またはそのエステル成分からなる共重合樹脂などを使用することができる。尚、上記カルボン酸としては、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸およびそのエステルが好ましい。
【0021】
そして、上記ポリオレフィン系樹脂層の上に設けるホットメルト層は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンなど素材の異なる容器に対して幅広くイージーピール性シーラントとして適用できることが好ましい。この点から、例えば、酢酸ビニル含有率10〜40重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体が30〜50重量%とワックス類(マイクロクリスタリンワックス単体またはこれと他のワックスとの混合物)30〜40重量%と粘着付与剤15〜30重量%、更に必要に応じてその他の添加剤10重量%迄の範囲で溶融混合して構成される樹脂などが使用できる。
【0022】
なお、粘着付与剤としては、水添ロジン、ロジン系樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、クマロン・インデン・スチレン系樹脂、イソプレン系樹脂などが使用でき、これらの中から適宜選定できる。また、その他の添加剤は、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤などであり、滑剤・ブロッキング防止剤としては、脂肪酸エステル、アマイド、アミン類、そして無機化合物の微粉末などで、また、熱安定剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール類、n−オクタデシル−β(4′−ヒドロキシ3′,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートなどが挙げられ、これらの公知のものからそれぞれ適するものを選択して使用できる。
【0023】
このようなホットメルト層は、加熱溶融したホットメルト材をグラビアシリンダーで塗布する溶融グラビアコート法のほか、溶融押し出しコーティング法などでも形成できるが、本発明の蓋材では溶融グラビアコート法によるのが好ましい。塗布量は、10g/m2 〜40g/m2 の範囲が好ましく、通常は20〜30g/m2 程度である。
【0024】
また、基材シートにイージーピール性のシーラント層を設ける方法として、前記のホットメルト材を用いる方法のほかに、イージーピール性樹脂を用いる方法がある。
イージーピール性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂とスチレン系樹脂とをブレンドした樹脂、または、これに更にポリオレフィンとスチレンの共重合体をブレンドした樹脂、その他、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂に粘着付与剤(前記ホットメルト材の構成成分に挙げたものと同じ)等をブレンドした樹脂などを用いることができる。
【0025】
これらの樹脂を基材シートに積層する方法は、Tダイによる押し出し方式、または、インフレーション成形方式で予め樹脂をフィルム状に製膜し、そのフィルムを接着剤を用いてドライラミネート法で積層する方法、或いは前記フィルムをポリエチレンその他ポリオレフィン系樹脂を接着層に用いて押し出しラミネート法により積層する方法、更には、基材シートに接着層としてアンカーコート(プライマーコート)を施した後、イージーピール性樹脂を直接押し出しコートして積層する方法などがあり、いずれの方法を用いてもよい。
【0026】
【実施例】
以下に、図面および実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は図面および実施例に限定されるものではない。
図1、図2は、それぞれ本発明の熱封緘性蓋材の一実施例の構成を示す模式断面図である。
図1において、熱封緘性蓋材10は、紙1を基材とし、その両面に接着剤4a,4b を用いて2軸延伸プラスチックフィルム2a,2b をそれぞれ積層して基材シートを作成し、その一方の面に接着層としてポリオレフィン系樹脂層5を設けた後、その上にホットメルト層6を設けて構成したものである。
尚、熱封緘性蓋材10に印刷絵柄を設ける場合には、蓋材の最外層となる2軸延伸プラスチックフィルム2a の内面(積層面)に予め印刷絵柄層3を設けておくことが好ましい。例えば、紙1の表面にも印刷は可能であるが、その場合には接着剤4a の紙への浸透が妨げられるため好ましくない。
また、上記蓋材の最外層となる2軸延伸プラスチックフィルム2a には、帯電防止性を有するフィルムを用いることが好ましい。
【0027】
そして、図2に示した熱封緘性蓋材11は、紙1の両面に接着剤4a,4b を用いて2軸延伸プラスチックフィルム2a,2b をそれぞれ積層して基材シートを作成するまでは図1の場合と同様に行うが、その一方の面、即ち、印刷絵柄層3を2軸延伸プラスチックフィルム2a の内面に設けた場合には、このフィルムを蓋材の最外層とし、その反対側の2軸延伸プラスチックフィルム2b 面に接着層7を介してイージーピール性樹脂層8を積層して構成したものである。
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
基材の紙として、坪量80g/m2 の片艶晒クラフトを用い、その一方の面(艶側)には、厚さ12μmの帯電防止性を有する2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム〔T−6142 東洋紡績(株)製〕(印刷済)を、そして、もう一方の面には、厚さ12μmの通常の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム〔T−4200(両面処理)東洋紡績(株)製〕を、それぞれ2液反応型ポリウレタン系接着剤〔武田薬品工業(株)製 タケラックA−969(主剤)とタケネートA−5(硬化剤)とを重量比3:1で混合したもの〕を乾燥時の塗布量が4.5g/m2 となるように用いて、前記印刷済フィルム(T−6142)の場合はその印刷面と紙面とを、ドライラミネート法で貼り合わせて基材シートを作成した。
【0029】
次に、上記基材シートの通常の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム〔T−4200(両面処理)〕側にアンカーコートを施した後、ポリオレフィン系樹脂層としてエチレン−メタクリル酸共重合体〔ニュークレル1108C 三井デュポンポリケミカル(株)製〕を溶融押し出しコート法により厚さ20μmとなるように積層し、更にその上にホットメルト材〔H−301A 東洋ペトロライト(株)製〕を溶融グラビアコート法で塗布量が25g/m2 となるように塗布してホットメルト層を形成し、実施例1の熱封緘性蓋材シートを作成した。(以下、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、PETフィルムと表示する。)
【0030】
(実施例2)
実施例1の熱封緘性蓋材シートの構成において、基材シートの作成までは実施例1と同様に作成し、基材シートの通常のPETフィルム〔T−4200(両面処理)〕側に、イージーピール性シーラント層として、イージーピール性樹脂を予め製膜したフィルムをドライラミネート方式で積層することとし、厚さ30μmのイージーピール性樹脂フィルム〔CMPS−011C(エチレン−酢酸ビニル共重合体に粘着付与剤等をブレンドして構成された樹脂フィルム)東セロ化学(株)製〕を上記PETフィルム〔T−4200(両面処理)〕面に、前記基材シートの積層に用いた接着剤と同じ2液反応型のポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネーターにより、乾燥時の塗布量が3g/m2 となるように塗布、乾燥して貼り合わせて実施例2の熱封緘性蓋材シートを作成した。
【0031】
(比較例1)
実施例1の熱封緘性蓋材シートの構成において、基材シートの積層に用いた接着剤の塗布量を両面とも乾燥時の塗布量が3.5g/m2 となるように変えて積層した他は、総て実施例1と同様に加工して比較例1の熱封緘性蓋材シートを作成した。
【0032】
(比較例2)
実施例1の熱封緘性蓋材シートの構成において、基材の紙を坪量80g/m2 の上質紙に変え、更にその両面にPETフィルムを積層するために用いた接着剤の塗布量を両面とも乾燥時の塗布量が3.5g/m2 となるように変えて積層した他は、総て実施例1と同様に加工して比較例2の熱封緘性蓋材シートを作成した。
【0033】
(比較例3)
実施例2の熱封緘性蓋材シートの構成において、最外層のPETフィルム、即ち、基材の片艶晒クラフトの艶面に貼り合わせた厚さ12μmの帯電防止性を有するPETフィルム(T−6142)(印刷済)の使用を止め、絵柄印刷は紙の表面に直接印刷した他は、総て実施例2と同様に加工して比較例3の熱封緘性蓋材シートを作成した
【0034】
(評価テストおよび結果)
以上のようにして作成した実施例1、2および比較例1、2、3の各熱封緘性蓋材シートを、直径100mmの円形で外周の一部につまみ片の付いた形状の蓋材に打ち抜いて、それぞれの評価テスト用試料とし、以下のテストに供した。作成した試料数は各1000枚。
【0035】
〔テスト項目〕
(1)カールの測定
上記の各試料毎にランダムに各20枚の蓋材をサンプリングし、水平なガラス板上に一枚ずつ静置して、その最も高い部分の高さ(mm)を測定し、その平均値をカールの値とした。
カールの評価基準は、従来実績として、上記カールの値が5mm以下の場合は充填シール機の機械適性が良好であり、5mmを超えるとフィーダートラブルなど機械適性不良を発生し易くなることから、5mm以下のものは良好〔○〕とし、5mmを超えるものは不良〔×〕として、結果を記号で表1に示した。
【0036】
(2)耐火脹れ性
蓋材のヒートシールは、通常、リングシーラーなどで熱板の温度が130〜150℃、圧力6kg/cm2 、圧着時間は1秒間程度の条件で行われるが、容器に充填される内容物が氷菓など冷凍扱いの製品の場合には、熱板の温度が260〜270℃の高温でヒートシールが行われる。このような場合、蓋材の構成材料に紙が含まれると、紙層に含まれる水分や空気の膨張により、紙の層間などが剥離し、火脹れ状態を発生し易くなる。
従って、蓋材の耐火脹れ性のテストは、フランジ部の外径が100mmのポリプロピレン製カップ容器に氷菓を充填し、各試料の蓋材を熱板温度270℃、圧力6kg/cm2 、時間1秒間の条件(過酷な条件)でヒートシールし、シール部の火脹れ発生の有無を調べた。(試料数は各20個)
評価基準は、火脹れの発生のないものは〔○〕、僅かに火脹れの発生のあるものは〔△〕、火脹れの発生の多いものは〔×〕として、表1に記号で示した。
【0037】
(3)イージーピール性
前記の耐火脹れ性のテストと同様に、ポリプロピレン製のカップ容器に氷菓を充填し、蓋材のヒートシール条件の中、熱板温度だけを260℃(冷凍品用標準シール温度)に変更してヒートシールし、1日間冷凍保存した後開封して、蓋材のイージーピール性、およびシール部の剥離状況を下記の基準で評価し、その結果を表1に記号で示した。(試料数は各20個)
適度の剥離強度で蓋材を剥離でき、且つ、蓋材の基材シートなどの破壊がなく、イージーピール性シーラント層でスムーズに剥離できたものは良好〔○〕とし、剥離強度が強くなりすぎたり、蓋材の基材シートなどイージーピール性シーラント層以外の部分に破壊が発生したものは不良〔×〕とした。
【0038】
(4)耐水性
前記のイージーピール性のテスト用に作成した氷菓入り試料と同じ試料を各20個ずつ作成し、蓋材にスプレーで水を吹き付けて露滴させたものを冷凍用ストッカーに入れ、一日置きに冷凍(−30℃)と解凍(室温)を繰り返し、3週間経過させた後、取り出して蓋材の吸水による外観の変化の有無を目視により調べた。
蓋材の外観に紙層の吸水による変化のないものは耐水性良好〔○〕とし、蓋材の外観に紙層の吸水による凹凸や層間剥離など変化のあるものは耐水性不良〔×〕として、表1に記号で示した。
【0039】
【表1】
(評価結果)
Figure 0003688060
【0040】
表1に示した評価結果から明らかなように、比較例1の熱封緘性蓋材は、基材シートの積層に用いた接着剤の塗布量が若干不足するため、紙層の補強効果が充分でなく、高温(270℃)のヒートシールで僅かであるが火脹れが発生し、実施例の熱封緘性蓋材と比較して耐火脹れ性の点で劣っていた。また、比較例2の熱封緘性蓋材は、基材の紙が上質紙に変更されており、紙層の強度が若干低下していると同時に、基材シートの積層に用いた接着剤の塗布量も比較例1と同様やや不足するため、紙層の補強も充分に行われず、耐火脹れ性が更に劣っていた。そして、比較例3の熱封緘性蓋材は、実施例2の蓋材の構成から最外層のPETフィルムを除き、紙面に絵柄印刷を施したものである。従って、蓋材の最外層は印刷絵柄層を除けば紙層であり、水分の影響を受けやすく、カール、および耐水性の点で劣っていた。
これに対して、実施例1および2の熱封緘性蓋材は、基材の紙自体の強度も強く、その両面に耐水性、耐熱性、寸法安定性、機械的強度などに優れたPETフィルムが接着剤で積層され、更に接着剤の塗布量が多く、接着剤の紙層への浸透による補強効果も得られるため、カールが少なく、高温シールによる耐火脹れ性、イージーピール性、耐水性のいずれにも優れていた。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、蓋材の構成材料にアルミニウム箔などの金属を用いていないため、充填シール後の製品検査で金属探知機による異物検査が可能であり、また、一枚ずつに打ち抜いた枚葉状の蓋材として用いてもカールがなく、自動充填・シール機に対する良好な機械適性を有し、且つ、耐水性、高温シールにおける耐火脹れ性、イージーピール性などの性能に優れると共に、使用後の焼却など廃棄性にも優れた熱封緘性蓋材を容易に提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱封緘性蓋材の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の熱封緘性蓋材の別の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 紙
2a,2b 2軸延伸プラスチックフィルム
3 絵柄印刷層
4a,4b 接着剤
5 ポリオレフィン系樹脂層
6 ホットメルト層
7 接着層
8 イージーピール性樹脂層

Claims (2)

  1. 紙の両面にドライラミネート用の2液反応型ポリウレタン系接着剤を介して2軸延伸プラスチックフィルムを積層してなる基材シートの一方の面に、イージーピール性樹脂層、または、ポリオレフィン系樹脂よりなる接着層を介してホットメルト層のいずれかを設けてなる熱封緘性蓋材であって、前記紙の米坪量が30〜110g/m 2 の範囲で、前記2液反応型ポリウレタン系接着剤の塗布量が、紙の両面とも固形分で4.5〜6.0g/m 2 の範囲で、且つ、前記熱封緘性蓋材の最外層の2軸延伸プラスチックフィルムが、帯電防止性を有することを特徴とする熱封緘性蓋材。
  2. 前記熱封緘性蓋材が、所定の形状に予め打ち抜かれた枚葉形態であることを特徴とする請求項1記載の熱封緘性蓋材。
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