JP3687960B2 - バリスタ用穴付素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印加電圧に対し電流特性が非直線性を示すバリスタを作製するためのバリスタ用穴付素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印加電圧によって著しく抵抗値が変わり、印加電圧に対し電流特性が非直線性を示す固体素子としてバリスタがある。電子機器や家電製品は自らノイズを出すことがあるとともに、外部の電子機器等から侵入してくるサージやノイズにより誤作動や故障を生じることがあり、それら電子機器や家電製品からノイズが出ることを防ぐ、あるいはサージやノイズから電子機器や家電製品を保護するためにバリスタが用いられる。
【0003】
バリスタにはシリコンカーバイドバリスタ、シリコンバリスタ、ZnO系バリスタ、そして半導体チタン酸ストロンチウム系バリスタ等があり、なかでも、半導体チタン酸ストロンチウム系バリスタは、還元焼成して得られる半導体磁器の表面を空気中等で熱処理して再酸化し、そうして得られる素子に電極を設けたバリスタのことであり、静電容量が大きい特徴を有し小型モータのノイズ除去用に多く使われており、その形状は中心に穴を有する円板であることが多く、その穴を小型モータの整流子部に挿着するものであり、このバリスタをリングバリスタと呼ぶことがある。
【0004】
半導体チタン酸ストロンチウム系バリスタについて、例えば、Sr、Tiを主成分とするバリスタは、抵抗値の非直線的動作に加えてコンデンサ機能も有するので、異常電圧、ノイズ等の吸収又は除去に好適である。しかし、このバリスタは温度上昇に伴うバリスタ電圧の低下によりバリスタ電圧値が低下して常時印加電圧値付近に達すると、バリスタに過大な電流が流れたり、最悪の場合は熱暴走を起こしたりすることが知られている。
【0005】
この問題を改善するものとして、特開平3−45559号公報に記載されているSr、Ba、Ca及びTiを主成分とするバリスタがある。このバリスタは、温度上昇を伴ってもバリスタ電圧が上昇するか、あるいは変動しないものであり、周囲温度の上昇や自己発熱によりバリスタに過大電流が流れることによる熱暴走を生じないものである。また、このバリスタは、還元焼成により得られた半導体磁器を、目的に応じた適当なバリスタ電圧が得られるように空気中で再酸化処理を行うものであり、再酸化処理する際の温度設定により所望のバリスタ電圧を示すバリスタの素子が得られる。従って、同一の半導体磁器であっても異なる温度で再酸化処理を施すことにより、異なるバリスタ電圧を示すバリスタを得ることができる。
【0006】
バリスタとしての性能は非直線係数αで表される。この非直線係数αは測定したいバリスタの素子を挟む表面絶縁層の上層に、Ag、Cu等の電極材を塗布し、通常400〜800℃で、30〜60分間焼き付けて電極を形成する。この電極に、10m秒のパルス電圧を印加し、徐々に印加電圧を高くして、1mAの電流が流れたときの電圧をE、10mAの電流が流れたときの電圧をE10とする。このE及びE10を用いてα=1/{log(E10/E)}で表される値αは、高い値が得られるほどバリスタとして優れていることになるが、原料粉末を混合する組成と還元焼成から再酸化処理する焼成工程によりほぼ決まることが知られており、得られるバリスタ電圧に対応してこの値がほぼ決まってしまう。
【0007】
従来、図11及び図12に示すように、バリスタ用穴付素子を焼成するのに使用する匣21は底を備える容器である。バリスタ原料粒体をプレス成型した厚み方向に貫通穴2を有する成形体1は、匣21の底に立てて載置され整列して収納されることになる。また、図13のように、平面底の匣22に外径が比較的大きな成形体1を重ねて配置する場合もある。
【0008】
図4のように、同じ組成の成形体1が載置された匣21を4段積みにして還元焼成し半導体磁器を得る場合に、その匣21を段積みにした段位置を番号1〜4で示す。そして、そのように還元焼成して得た半導体磁器を専用の容器に移し替えて再酸化処理してバリスタの素子を得る。
【0009】
匣21を用いた従来例の場合、図8に示す如く非直線係数αは3.5〜3.6の値が得られている。また、半導体磁器を再酸化処理する際の温度設定により所望のバリスタ電圧を得るが、この従来例の場合、図7ではそのバリスタ電圧をE10で示し、そのバリスタ電圧E10が匣21の段位置に対応して示され、バリスタ電圧E10は匣21の段位置で上段は下段より高くなる傾向にある。換言すれば、段位置によりバリスタ電圧のばらつきが大きい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、Sr、Ba、Ca及びTiを主成分とするバリスタは小型モータのノイズ除去用に需要が多く、なかでも円板形状の中心に穴を備え小型モータの整流子部に挿着するバリスタは需要が多い。いわゆるリングバリスタと呼ばれるバリスタである。そのバリスタとしての性能である非直線係数αがもっと高い値のバリスタを得るために、特に原料粉末を混合する組成を変更することなく、還元焼成から再酸化処理に至る焼成工程を改良し、得られるバリスタ電圧に対応して、非直線係数αがもっと高い値となるバリスタ用穴付素子の製造方法を提供することを目的とする。また、効率よく還元焼成を行うために、穴付素子が支持される支持手段(匣等)を段積みにして還元焼成しても、段位置によりバリスタ電圧が異なることがなく、バリスタ電圧にばらつきを生じることのないバリスタ用穴付素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、Sr、Ba、Ca及びTiが主成分であるバリスタ原料粒体をプレス成型し、厚み方向に貫通穴を有する成形体を作成し、前記成形体を還元焼成して半導体磁器と成し、前記半導体磁器を再酸化処理してバリスタ用穴付素子を得る製造方法であって、
少なくとも前記成形体の還元焼成は、前記成形体の貫通穴を貫通可能な耐火物の棒と、前記棒を支持する、底を有しない方形枠状である棒支持手段と、トンネル形状の焼成炉とを用い、
還元焼成前の前記成形体の貫通穴に前記棒を貫通させ、還元焼成前の前記成形体を前記棒で保持しかつ前記棒を前記棒支持手段で位置決め支持し、前記棒支持手段が前記棒を略水平に支持する姿勢で複数の前記棒支持手段を段積み状態にして前記焼成炉を通過させ、前記棒が保持する前記成形体を前記焼成炉で還元焼成して半導体磁器と成すことを特徴としている。
【0013】
本願請求項2の発明に係るバリスタ用穴付素子の製造方法は、請求項1において、前記再酸化処理は、トンネル形状の再酸化用焼成炉を用い、前記棒が保持する前記成形体を還元焼成して半導体磁器と成した後、前記半導体磁器を引き続き前記棒で保持しかつ前記棒を前記棒支持手段で位置決め支持し、前記棒支持手段が前記棒を略水平に支持する姿勢で複数の前記棒支持手段を段積み状態にして前記再酸化用焼成炉を通過させて行うことを特徴としている。
【0014】
本願請求項3の発明に係るバリスタ用穴付素子の製造方法は、請求項1又は2において、前記棒支持手段が、複数の位置決め凹部を有する対向する2辺で前記棒を支持する、底を有しない方形枠状であり、前記位置決め凹部で前記棒を回転しないように位置決めすることを特徴としている。
【0016】
本願請求項4の発明に係るバリスタ用穴付素子の製造方法は、請求項1、2又は3において、前記耐火物の棒が、アルミナあるいはムライトの棒本体の表面にジルコニアを溶射して付着させて成ることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るバリスタ用穴付素子の製造方法の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1乃至図3は本発明に係るバリスタ用穴付素子の製造方法の実施の形態であって、これらの図は原料粒体をプレス成型した厚み方向に貫通穴2を有する成形体1に耐火物の棒5を挿通し、さらに棒5を棒支持手段としての匣10に載置した状態を示すが、各部材の詳細は後述する。
【0019】
まず、成形体1を得るために、出発原料としてSrCO、BaCO、CaCO、TiO、Nb、SiO、MgCOを、焼成後に以下の表1に示す組成(第1〜4成分の合計は100モル%)となるようにそれぞれ換算して秤量し、混合する。
【0020】
Figure 0003687960
【0021】
前記出発原料の混合方法として、通常は、溶媒とともに湿式混合することが好ましく、溶媒としては純水を用いればよい。混合に用いる装置等に特に制限はないが、他成分の混入がなく、混合する成分が十分分散するものであればどのような装置であっても良く、また、混合する時間等についても、用いる装置と混合方法等により適宜選択すればよいが、混合方法としていわゆるバッチ式を用いる場合は、例えばボールミルを用いて10〜20時間混合すればよい。そうして得られた混合物のスラリーを乾燥機で乾燥する。このとき、乾燥時間を短縮するために、あらかじめスラリーを濾過・脱水するとよい。
【0022】
得られた混合物を乾燥してから仮焼成を行う。この仮焼成は空気中で1100〜1250℃を1〜3時間ほど維持して行えばよい。得られた仮焼成物を粗粉砕した後、秤量してから溶媒を加えて微粉砕する。微粉砕に用いる装置等に特に制限はないが、他成分の混入がなく効率よく微粉砕できればよい。例えばボールミルを用いて10〜20時間混合すると微粉砕できる。そうして得られたスラリーを濾過・脱水し、乾燥する。得られた粉末とポリビニールアルコール(PVA)と純水をタンクで4〜20時間混合しスラリーと成す。このスラリーをスプレードライヤー等で造粒する。得られた粒体をプレス装置の金型に入れ成型する。例えば、外周が直径11mm、外周と同心の穴径7mm、厚さ1mm、成型圧力196MN/m(2トン/cm)で成形体1を作成する。この成形体1は還元焼成から再酸化処理が行われて穴付素子となる。この穴付素子に電極を設けるとリングバリスタが得られるものである。
【0023】
成形体1は、図1乃至図3のように、匣詰めして還元焼成から再酸化処理して穴付素子と成すが、所定の枚数の成形体1を耐火物の棒5に次々と差して担持させる。例示した成形体1では穴径7mmの貫通穴2に棒5が挿入することになる。棒5はマグネシア(主材質MgO)あるいはジルコニア(主材質ZrO)とすると成形体1と反応しないので使用できる。しかし、コストの方から見るとマグネシアとジルコニアは高くて安易に生産に使用できるものではない。そこで、安価なアルミナ(主材質Al)あるいはムライト(主材質3Al 2SiO)の棒本体にジルコニアを溶射して表面に成膜する。表面にジルコニアを溶射したアルミナあるいはムライトで成る棒5は成形体1とほとんど反応することなく、これらの棒5は実用的に使用することができる。また形状について、少なくとも一端は先細テーパーの円錐端6を形成し、この円錐端6が棒5を貫通穴2に挿通するとき容易に入り込むように作用する。
【0024】
所定の枚数の成形体1を挿通した棒5は、横にしてほぼ水平にすると成形体1は貫通穴2で棒5に保持された安定した姿勢を保つことになる。そこで、成形体1を略水平にした棒5の中間部に保持した状態で、棒5を底面のない方形枠状の匣10の対向する一対の辺に各々両端を支持される状態として平行に並べて匣詰めしていく。
【0025】
図1乃至図3に示す匣10は底面のない方形枠状の耐火物(耐火物の材質はアルミナあるいはムライトとアルミナとで成る基材の表面にジルコニアを溶射して覆う)であり、対向する2辺で成形体1を保持する棒5の両端を支えるようになっている(支持手段として機能する)。棒5両端を支持する前記2辺には、各棒5が相互にほぼ平行で当該2辺に直交した位置を保ち、さらに棒5が回転しない所定位置を保つよう複数の位置決め凹部(V溝等)11が等間隔に形成されている。この複数の位置決め凹部11を形成した箇所の厚み方向の高さは、匣10全体の厚みのほぼ中間位置にし、貫通穴2を棒5が貫通することで棒5に支持される成形体1が、匣10の上下方向のほぼ中間位置になるようにしている。また、匣10の上面側には重ねて上に位置する匣10の下面側に係合し横ずれを防ぐ突起部12が備わり、匣10の下面側には重ねて下に位置する匣10の上面側突起部に係合する凹部13が備わる。
【0026】
還元焼成から再酸化処理に至る焼成工程で用いる焼成炉はトンネル形状であり、一端に入口の開口と他端に出口の開口とを有する構造であり、還元雰囲気あるいは酸化雰囲気を保持する必要に応じて開口あるいはトンネル内の所定位置に遮蔽手段を備える。そして、成形体1が匣詰めされた匣10を図4に示す如く4段に重ねて台板に載せトンネル形状の焼成炉を通過させる。台板の下面は耐火物の搬送面となっており、連続生産するときは台板同士が押せ押せ状態で焼成炉内のトンネルを通過する。始めに脱バインダー工程を通し、成形体1を加熱しながらバインダーのポリビニールアルコール(PVA)を分解して取り除く。続いて還元工程を通し、N(95容量%)+H(5容量%)の還元雰囲気中において、約1350℃で4時間の焼成を行い、成形体1が還元焼成された半導体磁器を得る。次いで再酸化工程を通し、その半導体磁器を空気中あるいは酸化性雰囲気中において、700〜1000℃の範囲から選択する処理温度(処理温度の設定を変えることによりバリスタ電圧E10が異なるバリスタの素子が得られ、また非直線係数α等の電気的特性も変化する)で4時間の再酸化処理しバリスタ用穴付素子を得る。
【0027】
得られた穴付素子を挟む表面絶縁層の上層に、Ag、Cu等の電極材を塗布し、通常400〜800℃で、30〜60分間焼き付けて電極を形成する。この電極に、10m秒のパルス電圧を印加し、徐々に印加電圧を高くして、1mAの電流が流れたときの電圧をバリスタ電圧E、10mAの電流が流れたときの電圧をバリスタ電圧E10とする、このバリスタ電圧E及びE10を用いてα=1/{log(E10/E)}で計算して非直線係数αを求める。図6に示す如く非直線係数αは3.95〜4.05の値が得られる。ここに説明した本実施の形態と、原料粉末を混合する組成や還元焼成から再酸化処理する設定等が共通するが、匣21を用いる点が異なる従来例により得られる非直線係数αを示す図8と比較すると、本実施の形態の図6は得られる非直線係数αの値が12〜13%高くなることを示す。また、図5はバリスタ電圧E10を示し、そのバリスタ電圧E10が匣10の段位置に対応して示され、バリスタ電圧E10は匣10の段位置に係わらずほぼ同じであることを示す。
【0028】
図9と図10は、前者が本実施の形態、後者が従来例による匣の段積み状態と気体の移動を模式図として示す。匣10と匣21(又は匣22)を段積みして焼成炉に入れた場合、本実施の形態の匣10は底がなく焼成炉の雰囲気を構成する気体は比較的容易に匣10間を移動する。しかし、従来例による匣21(又は匣22)は底があり気体は匣21(又は匣22)間を移動し難い。匣21は容器を成す側壁に開口を多く設けることで気体の移動を容易にしようとしていたが、本実施の形態で用いる匣10は匣21(又は匣22)より遥かに容易に気体が移動し、その結果として還元焼成が良好に施された半導体磁器が得られ、かつ段積みの上下においてもばらつきが生じない半導体磁器が得られる。この半導体磁器を再酸化処理した穴付素子に電極を設けると優れたバリスタが得られる。穴付素子が円板であるとリングバリスタと呼ぶことがある。
【0029】
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0030】
(1) 還元焼成前の成形体1の貫通穴2に耐火物の棒5を貫通させ、還元焼成前の成形体1を棒5で保持しかつ棒5を棒支持手段としての匣10で支持しながら焼成炉を通過させ、棒5が保持する成形体1を前記焼成炉で還元焼成して半導体磁器と成した後、再酸化処理してバリスタ用穴付素子を得ることができる。このため、焼成時に隣り合う成形体同士で圧迫し合うような力が働かないため、棒5に保持された成形体1は隣り合うもの同士で付着することがなく、従って、欠けや割れの発生もほとんどなく、歩留まり良く効率的にバリスタ用穴付素子の製造が可能である。
【0031】
(2) 前記半導体磁器の再酸化処理は、トンネル形状の再酸化用焼成炉を用い、前記棒5が保持する前記成形体1を還元焼成して前記半導体磁器と成した後、前記半導体磁器を引き続き前記棒5で保持しかつ前記棒5を前記匣10で支持しながら前記再酸化用焼成炉を通過させることで実行可能であり、再酸化処理のために別の容器等に半導体磁器を移し替える必要がなく、例えばトンネル形状の焼成炉の前半が還元焼成を実行する焼成炉部分、後半が再酸化処理を実行する焼成炉部分とすることで、効率よく連続生産が可能である。
【0032】
(3) 棒5を支える支持手段としての匣10が、底を有しない方形枠状であり、図9のように、多段積みしたときでも焼成炉の雰囲気を構成する気体は比較的容易に匣10間を移動できる。この結果、得られたバリスタ用穴付素子のバリスタ電圧E10は、図5のように匣10の段積み位置に係わらず異なることがなく、また、非直線係数αは図6のように12〜13%の向上が得られる。
【0033】
(4) 以上のことから、多数の成形体1の穴2を貫通した棒5を略水平に支持する姿勢で匣10を多段積みしてトンネル形状の焼成炉に通過させ、連続生産することで作業効率を上げてもバリスタとしての性能が良い製品が得られ、安価で性能が良いバリスタの穴付素子の製造が可能となる。
【0034】
(5) なお、耐火物の棒5は、アルミナあるいはムライトの棒本体の表面にジルコニアを溶射し付着させて構成することで、成形体1に対して反応性の無い棒5を比較的安価に得ることができる。
【0035】
なお、上記実施の形態では、匣10を4段に積み重ねた例で、バリスタ用穴付素子のバリスタ電圧E10や非直線係数αの測定結果を示したが、匣10を積み重ねる段数は焼成炉の形状に応じて適宜変更可能であることは明らかである。
【0036】
また、穴付きの成形体の外径寸法や穴径に合わせて匣や棒の高さや径を変更することで、多様な寸法の成形体に適用できる。
【0037】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、還元焼成前の成形体の貫通穴に耐火物の棒を貫通させ、前記還元焼成前の成形体を前記棒で保持しかつ前記棒を底を有しない方形枠状である棒支持手段で位置決め支持し、前記棒支持手段が前記棒を略水平に支持する姿勢で複数の前記棒支持手段を段積み状態にして焼成炉を通過させ、前記棒が保持する成形体を前記焼成炉で還元焼成して半導体磁器と成した後、再酸化処理してバリスタ用穴付素子を得ることができる。このため、焼成時に隣り合う成形体同士で圧迫し合うような力が働かないため、前記棒に保持された成形体は隣り合うもの同士で付着することがなく、従って、欠けや割れの発生もほとんどなく、歩留まり良く効率的にバリスタ用穴付素子の製造が可能である。
【0039】
また、バリスタ電圧E10は前記棒支持手段の段積み位置に係わらず異なることがなく(例えば図5参照)、本発明がバリスタ電圧にばらつきを生じない製造方法であることが示され、また、非直線係数αは12〜13%の向上が得られる(例えば図6参照)。これらのことから、トンネル形状の焼成炉に前記棒支持手段を多段積みして通過させ、連続生産することで作業効率を上げてもバリスタとしての性能が良い製品が得られ、安価で性能が良いバリスタの穴付素子の製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバリスタ用穴付素子の製造方法の実施の形態であって、原料粒体をプレス成型した厚み方向に貫通穴を有する成形体に耐火物の棒を挿通し、さらに棒を棒支持手段としての匣に載置した状態を示す平面図である。
【図2】同正断面図である。
【図3】同側断面図である。
【図4】成形体を詰めた匣を4段に重ねた状態及び段位置を示す説明図である。
【図5】実施の形態における匣の段位置と焼成により得られたバリスタ用穴付素子のバリスタ電圧E10との関係を示す説明図である。
【図6】同じく匣の段位置と焼成により得られたバリスタ用穴付素子の非直線係数αとの関係を示す説明図である。
【図7】従来例における匣の段位置と焼成により得られたバリスタ用穴付素子のバリスタ電圧E10との関係を示す説明図である。
【図8】同じく匣の段位置と焼成により得られたバリスタ用穴付素子の非直線係数αとの関係を示す説明図である。
【図9】実施の形態において成形体を匣詰めした匣を多段積みして焼成炉中を通過させた場合の気体の流通を示す説明図である。
【図10】従来例において成形体を匣詰めした匣を多段積みして焼成炉中を通過させた場合の気体の流通を示す説明図である。
【図11】従来例で用いる匣及び成形体の配列の1例を示す正断面図である。
【図12】同側断面図である。
【図13】従来例で用いる匣及び成形体の配列の他の例を示す正断面図である。
【符号の説明】
1 成形体
2 貫通穴
5 棒
6 円錐端
10,21,22 匣
11 位置決め凹部
12 突起部
13 凹部

Claims (4)

  1. Sr、Ba、Ca及びTiが主成分であるバリスタ原料粒体をプレス成型し、厚み方向に貫通穴を有する成形体を作成し、前記成形体を還元焼成して半導体磁器と成し、前記半導体磁器を再酸化処理してバリスタ用穴付素子を得る製造方法であって、
    少なくとも前記成形体の還元焼成は、前記成形体の貫通穴を貫通可能な耐火物の棒と、前記棒を支持する、底を有しない方形枠状である棒支持手段と、トンネル形状の焼成炉とを用い、
    還元焼成前の前記成形体の貫通穴に前記棒を貫通させ、還元焼成前の前記成形体を前記棒で保持しかつ前記棒を前記棒支持手段で位置決め支持し、前記棒支持手段が前記棒を略水平に支持する姿勢で複数の前記棒支持手段を段積み状態にして前記焼成炉を通過させ、前記棒が保持する前記成形体を前記焼成炉で還元焼成して半導体磁器と成すことを特徴とするバリスタ用穴付素子の製造方法。
  2. 前記再酸化処理は、トンネル形状の再酸化用焼成炉を用い、前記棒が保持する前記成形体を還元焼成して半導体磁器と成した後、前記半導体磁器を引き続き前記棒で保持しかつ前記棒を前記棒支持手段で位置決め支持し、前記棒支持手段が前記棒を略水平に支持する姿勢で複数の前記棒支持手段を段積み状態にして前記再酸化用焼成炉を通過させて行う請求項1記載のバリスタ用穴付素子の製造方法。
  3. 前記棒支持手段が、複数の位置決め凹部を有する対向する2辺で前記棒を支持する、底を有しない方形枠状であり、前記位置決め凹部で前記棒を回転しないように位置決めする請求項1又は2記載のバリスタ用穴付素子の製造方法。
  4. 前記耐火物の棒が、アルミナあるいはムライトの棒本体の表面にジルコニアを溶射して付着させて成る請求項1、2又は3記載のバリスタ用穴付素子の製造方法。
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