JP3687843B2 - 多辺形断面部材の液圧成形型及び液圧成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多辺形断面部材の液圧成形型及び液圧成形方法に係り、更に詳細には、断面形状が多辺形をなす自動車用の金属製板状部材、例えばセカンドクロスメンバーやサードクロスメンバー等のクロスメンバーであって、機械的強度が有効に向上したものを得ることのできる多辺形断面部材の液圧成形型及び液圧成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液圧成形法としては、例えば図1に示すようなものが知られている。この方法は、上ホルダ11と下ホルダ12で端部を挟み込んだ素材板材17の下部の空間に満たした液体18に、プレス成形における下型の役割をさせながら、上型14を移動させて目的とする形状に成形する方法であり、いわゆる対向液圧成形法というものである(例えば、特開平1−197017号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の板材の液圧成形方法にあっては、素材板材の断面周長、即ち素材板材の全側面長さの増加が前提となっていたため、多辺形断面部材の各辺の板厚は素材板材の初期板厚に比して減少する。特に、板材中心から離れた部位の板厚減少が著しく、割れが発生し易くなるという課題があった。つまり、液圧成形により板材に付与される板厚分布は、板材の引き延ばしによる素材の伸びの発生にまかせた成形のままの板厚分布となり、板材断面内の板厚を制御して分布させることは困難であった。
【0004】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、特定の辺の板厚を素材板材の板厚よりも優先的に増大することができ、必要最小限の部位の機械的強度を制御下に向上し得る多辺形断面部材の液圧成形型、及びこれを用いた液圧成形方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、素材板材(金属板材)に作用させる液圧を自由バルジが進行しないレベルに保ちながら、所定の断面形状を有する型を、板材に対して相対的に可動させて押し込むことなどにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明の多辺形断面部材の液圧成形型は、キャビティ面に突起部を有する基盤雌型と該突起部の突出方向にほぼ垂直に位置したキャビティ面を有する垂直雌型を備え、上記基盤雌型のキャビティ面と垂直雌型のキャビティ面で規定される雌型キャビティを有する雌型と、
上記雌型キャビティ内を上記突起部の突出方向と平行な方向に往復動可能な雄型と、
断面形状が曲線部分を有する金属板材の外周側に配置され、その外周部を抑える板材抑え工具と、
上記金属板材の内周側に配置され、上記雌型キャビティ内に液体を注入・排出する液注入排出ノズルを有する軸シリンダ工具と、を備え、
上記金属板材は、上記曲線部分を上記板材抑え工具と上記軸シリンダ工具とで、他の部分を上記軸シリンダ工具と上記雌型とで部分的に挟持された状態で、上記雌型キャビティに液圧シールされて密閉固定され、
上記雄型が、その断面形状において、上記金属板材の外周部に接するキャビティ面の少なくとも一方の端部に突起部を有する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の液圧成形型の好適形態は、上記基盤雌型の突起部の高さが、上記金属板材の厚さよりも大きいことを特徴とする。
この場合、上記基盤雌型の突起部と上記垂直雌型のキャビティ面との距離が、上記金属板材の成形前の初期板厚より大きく、初期板厚の1.1倍よりも小さいことが好ましい。
【0008】
更に、本発明の液圧成形型の他の好適形態は、上記雄型キャビティ面の突起部が角状をなし、この角状突起部と上記垂直雌型キャビティ面とのなす角度が123〜147゜の範囲にあることを特徴とする。
またこの場合、上記雄型が複数の上記角状突起を有し、この角状突起を形成する雄型キャビティ面とこれと隣接する雄型キャビティ面との間には、上記金属板材の初期板厚の5倍以上の半径によるR面取りが施されていることが好ましい。
【0009】
一方、本発明の多辺形断面部材の液圧成形方法は、上述の如き液圧成形型を用いて多辺形断面部材を液圧成形するに当たり、
上記金属板材の断面における両端を、上記基盤雌型と垂直雌型で挟み込むことにより該金属板材を上記雌型キャビティに固定し、且つ該金属板材の断面と垂直な方向の両端を該金属板材の外周側から上記板材抑え工具で抑え込み、
次いで、上記軸シリンダ工具を上記金属板材の内周側に上記断面と垂直な方向に挿入し、該金属板材内部の空気を排出しながら、該金属板材と上記基盤雌型が形成する空間に上記液体を充満させ、該金属板材が引き延ばされない程度の液圧を作用させながら、上記雄型を上記金属板材に対して相対的に移動させ、
これにより、上記金属板材の成形前の断面周長よりも短い断面周長を有し、且つ該断面の辺のうちの少なくとも1つが上記金属板材の成形前の初期板厚に比べて増加している多辺形断面部材を成形することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の液圧成形方法の好適形態は、得られる多辺形断面板材の少なくとも2辺以上を、上記軸シリンダ工具以外のラムに取り付けた雄型で成形することを特徴とする。
この場合、上記ラムに取り付けた雄型によって、該雄型が上記金属板材に接触する直前の金属板材の断面周長以下の断面周長に成形され得る。
【0011】
更に、本発明の液圧成形方法の他の好適形態は、上記垂直雌型のキャビティ面によって成形される上記金属板材の多辺形断面の縦辺のうち、少なくとも1つ以上の辺の板厚を初期板厚に比し3%以上増大せしめることを特徴とする。
【0012】
【作用】
本発明において、成形用キャビティを形成する雌型は、基盤雌型と垂直雌型との少なくとも2つに分割されており、素材板材(金属板材)の両端をこの雌型で挟み込むことにより固定する。
また、金属板材に対して相対的に可動する雄型は、代表的に鉛直方向の断面において、その端部の少なくとも一方に雌型キャビティによって成形される縦壁から好ましくは123〜147゜の角度にあるような突起部を有し、この突起部の成形面(雄型キャビティ面の一部)とこの雄型の他の成形面の間が金属板材の初期板厚の5倍以上の曲率半径で面取りされている。
なお、かかる突起部の角度が123゜未満では、雄型の押し込むが進行するに伴い金属板材の縦辺に皺が発生して目的形状が得られないことがある。一方、147゜を超えると、雄型の角状突起部の成形面で成形される辺に皺が発生してやはり目的形状を成形できないことがある。
【0013】
本発明では、かかる雄型を雌型キャビティ内で金属板材に対して相対的に移動させて成形を行い、垂直雌型の成形面(キャビティ面)で成形される多辺形断面部材の辺の板厚を金属板材よりも優先的に増加させる。
これにより、所定の辺の機械的強度を向上させることができ、その結果、機械的強度などに優れる多辺形断面部材を得ることができる。また、このような突起部を有する雄型により、代表的には、金属板材の縦辺に皺(成形皺)が発生するのを抑制できる。
【0014】
即ち、多辺形断面部材を成形するに際し、金属板材の縦辺に過度の圧縮応力が加わると、金属板材と垂直雌型のキャビティ面(垂直成形面)との摩擦力により、金属板材が雄型と垂直雌型とが形成する角部に押し込められ、同一の縦辺内で大幅な板厚変動が生じ、金属板材の縦辺で座屈が発生してしまう。
これに対し、本発明では、雄型のストローク方向に対して123〜147゜となるキャビティ面を形成する角状の突起部を設けたため、上記角部に押し込められる金属板材部位を構成する材料は、垂直雌型のキャビティ面に隣接する雄型の角状突起部で成形される辺に移動することができる。よって、得られる多辺形断面部材の同一辺内での板厚変動を抑制でき、座屈を生ずることなく、目的とする形状の多辺形断面部材を形状精度良く得ることができる。
【0015】
なお、本発明により得られる多辺形断面部材は、上述の如く、縦辺の機械的強度が向上しており、代表的には、横辺につき鉛直下向きにかかる曲げに対して該縦辺の耐力が支配的な役割を果たすため、実使用で頻発することが予想される上記曲げに対して効果的な耐力向上を実現することができる。
また、このことを換言すれば、実使用などにおいて、高い耐力が要求される部位(縦辺)とそうでない部位(横辺)とで板厚を適切に分布させることにより、多辺形断面部材の重量増加を招くことなく、適切な機械的強度の向上を実現するものであると言える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
図13は、本発明の多辺形断面部材の液圧成形型の一実施形態を示す斜視及び断面図であり、図13(A)は液圧成形型の斜視図であり、図13(B)はこの液圧成形型を長手方向に切断した断面図である。
これらの図において、この液圧成形型は、キャビティ面に突起部141を有する基盤雌型140とこの基盤雌型140に対して垂直に位置する垂直雌型130とで構成される雌型と、この雌型キャビティ内を上下に移動可能な雄型120とを備え、上記雌型の長手方向の端部には、成形に供する金属板材100を外周側から抑える抑え工具150と、この抑え工具150及び上記雌型とで金属板材100を挟み込む軸シリンダ工具160が配置されている。
また、雄型120の底面、即ちキャビティ面には、短手方向の断面において、図示しない突起部が形成されており、軸シリンダ工具160には、雌型キャビティ内に液体を注入・排出する液注入排出ノズル161が設けられている。
【0017】
上述の液圧成形型を用いた金属板材の成形においては、まず、断面形状が曲線部分を有する金属板材100の短手方向両端を基盤雌型140と垂直雌型130で挟み込んで固定し、次いで、金属板材100の長手方向両端を外周側から抑え工具150で抑え込み、更に、長手方向に勾配を有する軸シリンダ工具160を金属板材100の内周側に挿入して、金属板材100をこの成形型にセットする。
次に、軸シリンダ工具160のノズル161を介して金属板材100内部の空気を排気しながら、金属板材100と基板雌型140とが形成する空間に液体を注入し、液圧を作用させる。
そして、この液圧によって金属板材100が引き伸ばされない程度の液圧下に、雄型120を金属板材100に対して相対的に移動させることにより、雄型120のキャビティ面に存在する突起部によって、断面周長が初期の金属板材100よりも短く、且つ縦辺110aの板厚が初期の金属板材100の板厚よりも増加した多辺形断面部材110を得る(図14参照)。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を、図面を参照して若干の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
図2は、本発明の液圧成形型の一実施例を示す断面図である。
まず構成を説明すると、成形型は基盤雌型4Aと垂直雌型3Aに分割された2つの雌型と一つの雄型2Aを備えており、雄型2Aは図示しない液圧プレスのラムに取り付けられ、雌型キャビティ内で上下方向へのストロークが可能になっている。
また、雄型2Aの両端には角状の突起部21Aが設けられている。この雄型突起部の成形面は、垂直雌型の成形面31Aに対して123〜147゜の範囲に入るような角度θ(23A)に設定してあり、他の雄型成形面との間22Aには、金属板材(素材板材)1Aの板厚の5倍以上の曲率半径で面取りが施してある。
【0020】
雌型は、基盤雌型4Aと垂直雌型3Aで板材を挟み込み、固定することが可能になっている。基盤雌型4Aには雌型が形成するキャビティの内側方向に突起41Aを設けてある。基盤雌型の突起の両端42Aには、金属板材1A角部の曲率半径に合わせた曲率半径で面取りが施してある。また、突起41Aの基盤面からの高さは、この曲率半径と同じにしてある。
垂直雌型3Aにおける板材1Aを挟む面と垂直面の間(32A)にも、板材角部の曲率半径に合わせた曲率半径で面取りを施してある。
【0021】
断面内に曲率半径50.8mmの曲線部(15A)を有する板厚2.0mmの590MPa級鋼板材(1A)を基盤雌型4A上に配置した後に、板材の両端を基盤雌型4Aと垂直雌型3Aで挟み込む。その後に、板材と基盤雌型が形成する空間(H)を加工液で満たしながらシールを施して、内部の液圧を25MPaに保持した。潤滑は通常の潤滑とした。その後、雄型2Aを雌型キャビティ内部で移動させることにより板材を押し込み、多辺形断面部材形状に成形した。
成形後の部材は7辺形断面(11A)になる。部材の断面周長は、雄型2Aによる押し込みが進行するに従い短くなる。雄型突起部21Aの成形面断面の長さが41mmで雄型突起部成形面と垂直雌型成形面のなす角度が135゜であり、且つ雄型突起部21Aの成形面と他の雄型成形面の間に曲率半径20mmの面取りが施されている場合は、垂直雌型によって形成された部材縦壁12Aの板厚は、素材板材の初期板厚に比して約5%以上増加した。
【0022】
次に作用を説明する。
図3は、本発明の成形型の必須要件である基盤雌型の突起がない場合の例を示している。
基盤雌型の突起がない場合(4B)の押し込みが進行するに従い、金属板材の縦壁と雌型によって挟み込まれた部分がなす角部14Bで皺が発生し、目的とする部材形状11Bを成形するに至らなかった。
【0023】
一方、図4は、本成形型の必須要件である雄型の突起がない場合の例を示している。
雄型に突起がない場合は、雄型2Cの押し込みが進行するに従い、板材の縦壁12Cに皺が発生し、目的とする部材形状(11C)を成形するには至らない。
これに対し、上述した本発明の成形型を用いた場合は、雄型の押し込みによる板材面内での圧縮力が作用した場合にも、板材における皺の発生が抑制されており、部材を目的とする形状に成形しつつ縦壁の板厚を上昇させることが可能となる。
【0024】
図5及び図6は、成形後の多辺形断面部材の板厚分布を示したものであるが、垂直雌型によって成形される多辺形断面部材の縦壁12Aは、部材の他辺(11a)に比して板厚が上昇する。
即ち、本発明者らは、この工法を用いることにより、垂直雌型で成形される多辺形断面部材の辺の板厚をその他の辺よりも優先的に上昇させることが可能になることを見出した。付け加えるならば、かかる工法を適用すると、雄型の押し込みによる成形前に、液圧による板材の僅かな自由バルジを生じさせた後、板断面周長の引き伸ばしが進行しない液圧に保持し、雄型を雌型が形成するキャビティ内部で移動させることにより素材板を押し込み、部材形状に成形することによって、板厚増加しようする辺以外の辺の板厚を僅かに板厚減少させた多辺形断面を有した部材の成形も可能になる。
かかる工法により成形される多辺形断面部材の調質を行わない場合は、特定の辺の板厚を上昇させた多辺形断面の辺には、板厚増加にともなって材料の加工硬化が生じる。即ち、板厚増加と加工硬化による耐力が向上できるため、成形品の機械的強度を上昇させることができる。
【0025】
(実施例2)
図7に、本発明の液圧成形型の他の実施例を示す。
本実施例は、雄型2Dの角状突起21Dを一方の端部にのみ設けたものである。
この成形型を用いて成形した部材は、6辺形断面部材11Dとなる。この成形型を用いて成形することにより、6辺形部材の雄型の突起で成形される辺に隣接する縦壁12Dを、他の辺の板厚よりも優先的に上昇させることが可能となった。
かかる工法により成形される6辺形断面部材の調質を行わない場合は、特定の辺の板厚を上昇させた6辺形断面の辺には、板厚増加にともなって材料の加工硬化が生じる。即ち、板厚増加と加工硬化による耐力が向上できるため、成形品の機械的強度を上昇させることができる。
【0026】
(実施例3)
図8に、本発明の液圧成形型の更に他の実施例を示す。
本実施例は、板材の端部を垂直雌型3Eと基盤雌型4Eの突起部41Eで挟み込むようにしたものである。また、雄型2Aには両端に角状の突起21Aを設けてある。
この成形型を用いて成形した部材は、5辺形断面部材11Eとなる。この成形型を用いて成形することにより、5辺形断面部材の垂直雌型で成形される辺12Eの板厚を、他の辺の板厚よりも優先的に上昇させることが可能となった。
かかる工法により成形される5辺形断面部材の調質を行わない場合は、特定の辺の板厚を上昇させた5辺形断面の辺には、板厚増加にともなって材料の加工硬化が生じる。即ち、板厚増加と加工硬化による耐力が向上できるため、成形品の機械的強度を上昇させることができる。
【0027】
(実施例4)
図9には、他の実施例を示す。
本実施例は、板材の端部を垂直雌型3Fと基盤雌型4Fの突起部41Fで挟み込むようにし、雄型2Dの角状突起21Dを一方の端部にのみ設けたものである。この成形型を用いて成形した部材は4辺形断面部材11Fとなる。
この成形型を用いて成形することにより、4辺形断面部材の雄型の突起で成形される辺に隣接する縦壁12Fの板厚を他の辺の板厚よりも優先的に上昇させることが可能となった。
かかる工法に成形される4辺形断面部材の調質を行わない場合は、特定の辺の板厚を上昇させた4辺形断面の辺には、板厚増加にともなって材料の加工硬化が生じる。即ち、板厚増加と加工硬化による耐力が向上できるため、成形品の機械的強度を上昇させることができる。
【0028】
(実施例5)
図10には、他の実施例を示す。
本実施例は、素材板材1Gの端部の一方を垂直雌型3Gと基盤雌型4Gの突起部41G以外の部分で、もう一方の端部を垂直雌型と基盤雌型突起部で挟み込み、雄型2Aはその両端に角状の突起部21Aを設けたものである。この成形型を用いて成形した部材は、6辺形断面部材11Gになる。
この成形型を用いて成形することにより、6辺形断面部材の縦壁部12G、13Gの板厚を他の辺の板厚よりも優先的に上昇させることが可能となった。かかる工法により成形される6辺形断面部材の調質を行わない場合は、特定の辺の板厚を上昇させた6辺形断面の辺には、板厚増加にともなって材料の加工硬化が生じる。即ち、板厚増加と加工硬化による耐力が向上できるため、成形品の機械的強度を上昇させることができる。
【0029】
(実施例6)
図11には、他の実施例を示す。
本実施例は、素材板材(1H)の端部の一方を垂直雌型3Gと基盤雌型4Gの突起部41G以外の部分で、もう一方端部を垂直雌型と基盤雌型突起部で挟み込み、雄型2Dは垂直雌型と基盤雌型の突起部以外の部分で素材板材を挟み込む側の端部にのみ角状の突起21Dを設けてある。この成形型を用いて成形した部材は、5辺形断面部材11Hとなる。
この成形型を用いて成形することにより、5辺形断面部材の雄型の突起で成形される辺に隣接する部材の縦壁12Hを他の辺の板厚よりも優先的に上昇させることが可能となった。かかる工法により成形される5辺形断面部材の調質を行わない場合は、特定の辺の板厚を上昇させた5辺形断面の辺は、板厚増加にともなって材料の加工硬化が生じる。即ち、板厚増加と加工硬化による耐力が向上できるため、成形品の機械的強度を上昇させることができる。
【0030】
(実施例7)
図12には、他の実施例を示す。
本実施例は、素材板材1Iの端部の一方を垂直雌型3Gと基盤雌型4Gの突起部41G以外の部分で、もう一方の端部を垂直雌型と基盤雌型突起部で挟み込み、雄型2Iは、垂直雌型と基盤雌型の突起部で素材板材を挟み込む側の端部にのみ角状の突起21Iを設けてある。この成形型を用いて成形した部材は、5辺形断面部材11Iとなる。
この成形型を用いて成形することにより、5辺形断面部材の雄型の突起で成形される辺に隣接する部材の縦壁13Iを他の辺の板厚よりも優先的に上昇させることが可能となった。かかる工法により成形される5辺形断面部材の調質を行わない場合は、特定の辺の板厚を上昇させた5辺形断面の辺は、板厚増加にともなって材料の加工硬化が生じる。即ち、板厚増加と加工硬化による耐力が向上できるため、成形品の機械的強度を上昇させることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、素材板材(金属板材)に作用させる液圧を自由バルジが進行しないレベルに保ちながら、所定の断面形状を有する型を、板材に対して相対的に可動させて押し込むことなどとしたため、特定の辺の板厚を素材板材の板厚よりも優先的に増大することができ、必要最小限の部位の機械的強度を制御下に向上し得る多辺形断面部材の液圧成形型、及びこれを用いた液圧成形方法を提供することができる。
【0032】
また、素材板材の両端をその初期板厚よりも高い突起を有する基盤雌型と垂直雌型の2つ以上に分割された雌型で挟み込むことにより固定し、素材板材に作用させる液圧を自由バルジが進行しないレベルに保ちながら、端部の少なくとも一方に雌型キャビティによって成形される縦壁から123〜147゜の角度にあり、この突起部の成形面と他の成形面の間が素材板材初期板厚の5倍以上の曲率半径で面取りされているような雄型を板材に相対的に可動させることで押し込むことにより多辺形断面部材の成形を行えば、素材板材初期板厚に対する板厚減少を抑制した多辺形断面部材をいっそう容易に成形することができ、垂直雌型で成形される多辺形断面部材の辺の板厚を他の辺よりも増加させることが容易となり、且つかかる工法により成形される多辺形断面部材の調質を行わない場合には、特定の辺の板厚を上昇させた多辺形断面の辺は、板厚増加にともなって材料の加工硬化が生じるため、板厚増加と加工硬化による耐力が向上でき、成形品の機械的強度を上昇させることができる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の対向液圧成形法の一例を示す部分断面説明図である。
【図2】本発明の液圧成形型の一実施例(実施例1)を示す断面図である。
【図3】基盤雌型突起がない液圧成形型の断面図である。
【図4】雄型の突起がない液圧成形型の断面図である。
【図5】実施例1による多辺形断面部材成形時の板厚分布を示す断面説明図である。
【図6】実施例1による多辺形断面部材成形時の板厚分布を示すグラフである。
【図7】実施例2の液圧成形型の断面図である。
【図8】実施例3の液圧成形型の断面図である。
【図9】実施例4の液圧成形型の断面図である。
【図10】実施例5の液圧成形型の断面図である。
【図11】実施例6の液圧成形型の断面図である。
【図12】実施例7の多辺形断面部材成形の断面図である。
【図13】本発明の液圧成形型の一例を示す斜視及び断面図である。
【図14】本発明の液圧成形方法により得られる多辺形断面部材の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 容器
11 上ホルダ
12 下ホルダ
14 上型
17 素材板材
18 液体
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1H,1I 素材断面形状
11A,11B,11C,11D 目的とする断面形状
11E,11F,11H,11I 目的とする断面形状
12A,12B,12C,12D,13D 部材縦壁部
12E,13E,12F,13F,12G 部材縦壁部
13G,12H,13H,12I,13I 部材縦壁部
14B 部材縦壁部と雄型に挟み込まれた部材間の角部
15A 素材板材曲がり部
2A,2C,2D,2I 雄型
21A,21D,21I 雄型突起
22A,22D,22I 雄型突起成形面と他の成形面の角部
23A 雄型突起成形面が垂直雌型成形面となす角度
3A,3E,3G 垂直雌型
31A,31E,31G 垂直雌型成形面
32A,32G 垂直雌型成形面と素材板材挟み込み部間角部
4A,4E,4G 基盤雌型
41A,41E,41G 基盤雌型突起部
42A,42G 基盤雌型突起端部
H 液体

Claims (9)

  1. キャビティ面に突起部を有する基盤雌型と該突起部の突出方向にほぼ垂直に位置したキャビティ面を有する垂直雌型を備え、上記基盤雌型のキャビティ面と垂直雌型のキャビティ面で規定される雌型キャビティを有する雌型と、
    上記雌型キャビティ内を上記突起部の突出方向と平行な方向に往復動可能な雄型と、
    断面形状が曲線部分を有する金属板材の外周側に配置され、その外周部を抑える板材抑え工具と、
    上記金属板材の内周側に配置され、上記雌型キャビティ内に液体を注入・排出する液注入排出ノズルを有する軸シリンダ工具と、を備え、
    上記金属板材は、上記曲線部分を上記板材抑え工具と上記軸シリンダ工具とで、他の部分を上記軸シリンダ工具と上記雌型とで部分的に挟持された状態で、上記雌型キャビティに液圧シールされて密閉固定され、
    上記雄型が、その断面形状において、上記金属板材の外周部に接するキャビティ面の少なくとも一方の端部に突起部を有する、ことを特徴とする多辺形断面部材の液圧成形型。
  2. 上記基盤雌型の突起部の高さが、上記金属板材の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の液圧成形型。
  3. 上記基盤雌型の突起部と上記垂直雌型のキャビティ面との距離が、上記金属板材の成形前の初期板厚より大きく、初期板厚の1.1倍よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の液圧成形型。
  4. 上記雄型キャビティ面の突起部が角状をなし、この角状突起部と上記垂直雌型キャビティ面とのなす角度が123〜147゜の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の液圧成形型。
  5. 上記雄型が複数の上記角状突起を有し、この角状突起を形成する雄型キャビティ面とこれと隣接する雄型キャビティ面との間には、上記金属板材の初期板厚の5倍以上の半径によるR面取りが施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の液圧成形型。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の液圧成形型を用いて多辺形断面部材を液圧成形するに当たり、
    上記金属板材の断面における両端を、上記基盤雌型と垂直雌型で挟み込むことにより該金属板材を上記雌型キャビティに固定し、且つ該金属板材の断面と垂直な方向の両端を該金属板材の外周側から上記板材抑え工具で抑え込み、
    次いで、上記軸シリンダ工具を上記金属板材の内周側に上記断面と垂直な方向に挿入し、該金属板材内部の空気を排出しながら、該金属板材と上記基盤雌型が形成する空間に上記液体を充満させ、該金属板材が引き延ばされない程度の液圧を作用させながら、上記雄型を上記金属板材に対して相対的に移動させ、
    これにより、上記金属板材の成形前の断面周長よりも短い断面周長を有し、且つ該断面の辺のうちの少なくとも1つが上記金属板材の成形前の初期板厚に比べて増加している多辺形断面部材を成形することを特徴とする液圧成形方法。
  7. 得られる多辺形断面板材の少なくとも2辺以上を、上記軸シリンダ工具以外のラムに取り付けた雄型で成形することを特徴とする請求項6に記載の液圧成形方法。
  8. 上記ラムに取り付けた雄型によって、該雄型が上記金属板材に接触する直前の金属板材の断面周長以下の断面周長に成形することを特徴とする請求項7に記載の液圧成形方法。
  9. 上記垂直雌型のキャビティ面によって成形される上記金属板材の多辺形断面の縦辺のうち、少なくとも1つ以上の辺の板厚を初期板厚に比し3%以上増大せしめることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つの項に記載の液圧成形方法。
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