JP2019166542A - プレス成形品の成形方法 - Google Patents

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孝行 上原
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Abstract

【課題】精度良く成形することができ、且つ、型費を削減することができるとともに開発のリードタイムを短縮することができる断面ハット形状のプレス成形品の成形方法を提供する。【解決手段】一次成形体P1を二次成形用金型4aに搬入して当該二次成形用金型4aを型閉じし、上面部10aになる領域に対して各縦壁部10bになる領域の角度が最終成形体P3の対応する部分の角度と同じになるように一次成形体P1を塑性変形させるとともに、高張力鋼板S1の両縦壁部10bになる領域を塑性変形させた側に上面部10aになる領域が上面部10aの目標となる形状の位置よりも湾曲するように弾性変形させた湾曲変形部11を有する二次成形体P2を得る。その後、湾曲変形部11における弾性変形の開放により目標となる形状まで変形する湾曲変形部11の変形動作に連動させて縦壁部10bになる領域を目標となる形状の位置まで変形させて最終成形体P3を得る。【選択図】図8

Description

本発明は、金属板からプレス成形品を得るプレス成形品の成形方法に関する。
近年の自動車業界では、軽量で、且つ、安全性の高い車体構造が求められ、この要求に対し、高張力鋼板からなる断面ハット形状のプレス成形品を車体構造のフレーム部分に適用する場合がある。しかし、高張力鋼板から断面ハット形状のプレス成形品を得る場合、成形終了後に成形用金型を型開きすると、互いに対向する両縦壁部がハの字状に拡がる所謂スプリングバックという現象が起こり易く、目標とする形状に対してプレス成形後の寸法精度が悪くなることが知られている。
これに対応するために、成形終了後に各縦壁部が拡がる量を予め見込んでその分だけ成形時に金属板における上面部になる領域に対して各縦壁部になる領域を多く曲げ変形させておくことで成形終了後のプレス成形品を目標とする形状に近づけることが一般的に行われる。
しかし、上述の場合、上面部になる領域と各縦壁部になる領域との間の角度が鋭角となるように上面部になる領域に対して各縦壁部になる領域を曲げ変形させる必要があり、プレス機の昇降方向と同方向の型閉じ動作だけ行う成形用金型では成形に対応できない。したがって、成形用金型にプレス機の昇降方向と交差する方向に動作するカム型を備える必要があり、型費が嵩むという問題があった。また、上述の如き成形用金型を製作する場合、各縦壁部の見込み量を予測できるまで鋳物を手配することができないので、開発のリードタイムが長くなってしまうという問題もある。
これらの問題を回避するために、例えば、両縦壁部ではなく、高張力鋼板における上面部になる領域を成形時において目標とする形状の位置から所定の量だけずれた位置となるように弾性変形させておき、成形終了後に成形用金型の型開きに伴って開放させた弾性変形部分が目標形状の位置まで変形するのを利用して高張力鋼板における各縦壁部になる領域を目標とする位置に近づける特許文献1の如き方法を利用することが考えられる。
特許第5262303号
ところで、断面ハット形状のプレス成形品は、各縦壁部にそれぞれ連続する一対のフランジ部があり、プレス成形時において上面部になる領域に対する各縦壁部になる領域の曲げ方向と各縦壁部に対する各フランジ部の曲げ方向とが同一方向ではない。
一方、特許文献1では、プレス成形品が閉断面になるようにプレス成形を行っており、金属板に対して曲げ変形を加える箇所の曲げ方向が全て同一方向になっていて、金属板に対して曲げ変形を加える方向が全て同一方向で無い場合においてカム型を用いずに成形後のプレス成形品を目標とする形状に近づけることについて何ら考慮されていない。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、精度良く成形することができ、且つ、型費を削減することができるとともに開発のリードタイムを短縮することができる断面ハット形状のプレス成形品の成形方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、成形用金型を2つ用意するとともに、金属板に対して塑性変形及び弾性変形を加える部位及びその順番に工夫を凝らしたことを特徴とする。
具体的には、略水平方向に帯状に延びる上面部、該上面部の長手方向に沿って延びる両縁部から互いに対向するように、且つ、上記上面部に交差するように延びる一対の縦壁部、及び、該各縦壁部の延出端から互いに離れる方向に延びる一対のフランジ部を有する断面ハット形状をなすプレス成形品を金属板から得るプレス成形品の成形方法を対象とし、次のような対策を講じた。
すなわち、第1の発明では、上記金属板を一次成形用金型に搬入して当該一次成形用金型の型閉じ動作によって上記上面部になる領域に対して上記各縦壁部になる領域の角度が鈍角になるように上記金属板を塑性変形させるとともに、上記各縦壁部になる領域に対する上記各フランジ部になる領域の角度が最終成形体の対応する部分の角度と同じになるように上記金属板を塑性変形させて一次成形体を得た後、該一次成形体を二次成形用金型に搬入して当該二次成形用金型を型閉じし、上記上面部になる領域に対して上記各縦壁部になる領域の角度が上記最終成形体の対応する部分の角度と同じになるように上記一次成形体を塑性変形させるとともに、上記金属板の上記両縦壁部になる領域を塑性変形させた側に上記上面部になる領域が上記上面部の目標となる形状の位置よりも湾曲するように弾性変形させた湾曲変形部を有する二次成形体を得た後、上記二次成形用金型の型開きに伴う上記湾曲変形部における弾性変形の開放により目標となる形状まで変形する上記湾曲変形部の変形動作に連動させて上記縦壁部になる領域を目標となる形状の位置まで変形させて上記最終成形体を得ることを特徴とする。
第2の発明では、第1の発明において、上記湾曲変形部は、当該湾曲変形部における一方の縦壁部になる領域との間の塑性変形部分に繋がる第1稜線部、上記湾曲変形部における他方の縦壁部になる領域との間の塑性変形部分に繋がる第2稜線部、及び、上記第1稜線部と上記第2稜線部との間を繋ぐ第3稜線部で構成され、上記第3稜線部の曲率半径を上記第1稜線部及び上記第2稜線部の各曲率半径よりも大きく設定し、且つ、上記第1稜線部、第2稜線部及び第3稜線部における曲率半径をそれぞれ変更させることによって上記湾曲変形部の弾性変形量を調整するよう構成されていることを特徴とする。
第1の発明では、金属板における上面部になる湾曲変形部の弾性変形を利用して各縦壁部が目標となる形状になるよう成形を制御するので、金属板における上面部になる領域と各縦壁部になる領域との間の角度が鋭角となるように金属板における上面部になる領域に対して各縦壁部になる領域を曲げ変形させるといった必要が無くなる。したがって、成形に用いる金型にプレス機の昇降方向と交差する方向に動作するカム型を備える必要が無くなるので、型費を抑えることができる。また、金属板における各縦壁部になる領域の成形時における見込み量を予測する必要が無くなるので、金型を製造するための鋳物の手配を早めることができ、開発のリードタイムを短くすることができる。
第2の発明では、金属板の縦壁部になる領域に見込み量を加えて塑性変形させることなくその成形位置を制御することができるようになるとともに、例えば、断面が非対称のプレス成形品を成形する場合に第1及び第2稜線部の曲率半径をそれぞれ異なる値に設定することによって、各縦壁部が目標とする成形位置に正確に変形するようになり、複雑な断面ハット形状のプレス成形品であっても成形後に目標とする形状に精度良く近づけることができる。
本発明の実施形態に係る成形方法が適用された生産ラインのブロック図である。 一次成形工程の第1成形用金型に高張力鋼板が搬入された直後の状態を示す概略断面図である。 図2の後、第1成形用金型を型閉じし始めて一次成形体を成形している途中の状態を示す図である。 図3の後、第1成形用金型を型閉じして一次成形体を成形した直後の状態を示す図である。 図4の後、第1成形用金型を型開きして一次成形体を搬出する直前の状態を示す図である。 図5の後、二次成形工程の第2成形用金型に一次成形体が搬入された直後の状態を示す概略断面図である。 図6のVII部拡大図である。 図6の後、第2成形用金型を型閉じし始めて二次成形体を成形している途中の状態を示す図である。 図8の後、第2成形用金型を型閉じして二次成形体を成形した直後の状態を示す図である。 図9のX部拡大図である。 図9の後、第2成形用金型を型開きして二次成形体から最終成形体を得た状態を示す図である。 本発明の実施形態で使用する第2成形用金型の変形例を示す図7相当図である。 湾曲変形部の形状、材料強度及び板厚を変えながら本発明の成形方法にて成形したプレス成形品における縦壁部の位置と目標とする形状の位置との最大乖離量について評価した結果を示した表である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
図1乃至図11は、本発明の実施形態の生産ライン1を示す。該生産ライン1は、高張力鋼板S1(金属板)からプレス成形品10を得ることができるようになっていて、生産ライン1の上流側から順に、成形前の高張力鋼板S1を蓄えておく搬入工程2と、該搬入工程2から搬入された高張力鋼板S1をプレス成形して一次成形体P1を得る一次成形工程3と、該一次成形工程3で得られた一次成形体P1をプレス成形して二次成形体P2(最終成形体P3)を得る二次成形工程4と、該二次成形工程4から取り出した最終成形体P3を蓄えておく搬出工程5とが順に配置されている。
上記プレス成形品10は、断面ハット形状をなし、図11に示すように、略水平方向に延びる上面部10a、該上面部10aの長手方向に沿って延びる両縁部から互いに対向するように、且つ、上面部10aに交差するように延びる一対の縦壁部10b、及び、該各縦壁部10bの延出端から互いに離れる方向に延びる一対のフランジ部10cを備え、上面部10aと縦壁部10bとの間の角度が約90度であるとともに、縦壁部10bとフランジ部10cとの間の角度が約90度になっている。
搬入工程2は、適正な形状に切断加工された鋼板S1が複数積層した状態で載置されていて、図示しない産業用ロボットが鋼板S1を一枚ずつ一次成形工程3に搬入するようになっている。
一次成形工程3は、図2乃至図5に示すように、上下から圧力を加えて鋼板S1を塑性変形させる一次成形用金型3aを備えている。
該一次成形用金型3aは、上下に対向する一次成形用上型6及び一次成形用下型7からなり、図示しないプレス機によって、一次成形用上型6が一次成形用下型7に対して上下動するようになっている。
一次成形用上型6は、下方に開口する第1収容凹部61aが中央部分に形成された一次成形用上型本体61と、第1収容凹部61aに上下にスライド可能に収容された一次成形用ホルダ型62とを備えている。
該一次成形用ホルダ型62は、一次成形用コイルバネ63によって下方に付勢され、成形開始前の状態において、一部領域が第1収容凹部61aの開口部分から下方に飛び出している。
一次成形用ホルダ型62の下面には、高張力鋼板S1における上面部10aになる領域を成形する上側平坦面6aが形成されている。
一方、一次成形用上型本体61における第1収容凹部61aの開口周りには、高張力鋼板S1における縦壁部10bになる領域を成形する一対の第1上側傾斜面6bが形成され、該第1上側傾斜面6bは、下方に行くにつれて次第に離間するように傾斜して延びている。
すなわち、上側平坦面6aと第1上側傾斜面6bとのなす角度は、一次成形用上型6が下死点に到達した状態で鈍角になっている。
各第1上側傾斜面6bの外側方には、高張力鋼板S1におけるフランジ部10cになる領域を成形する一対の第2上側傾斜面6cが各第1上側傾斜面6bの延出端に連続して形成され、該第2上側傾斜面6cは、上方に行くにつれて互いに離間するように傾斜して延びている。
第1上側傾斜面6bと第2上側傾斜面6cとのなす角度は約90度になっていて、連続する第1上側傾斜面6bと第2上側傾斜面6cとで下方に突出する凸状をなしている。
一方、一次成形用下型7の上面中央には、高張力鋼板S1における上面部10aになる領域を成形する下側平坦面7aが形成され、該下側平坦面7aは、上側平坦面6aに対向した位置となっている。
下側平坦面7aの両側方には、高張力鋼板S1における縦壁部10bになる領域に対応する一対の第1下側傾斜面7bが下側平坦面7aの両端に連続して形成されている。
該第1下側傾斜面7bは、下方に行くにつれて次第に離間するように傾斜して延びていて、第1上側傾斜面6bに対向した位置となっている。
すなわち、下側平坦面7aと第1下側傾斜面7bとのなす角度は鈍角になっていて、下側平坦面7aと一対の第1下側傾斜面7bとで上方に突出する凸状をなしている。
各第1下側傾斜面7bの外側方には、高張力鋼板S1におけるフランジ部10cになる領域を成形する一対の第2下側傾斜面7cが各第1下側傾斜面7bの延出端に連続して形成されている。
該第2下側傾斜面7cは、上方に行くにつれて互いに離間するように傾斜して延びていて、第2上側傾斜面6cに対向した位置となっている。
第1下側傾斜面7bと第2下側傾斜面7cとのなす角度は、約90度になっていて、連続する第1下側傾斜面7bと第2下側傾斜面7cとで上方に開放する凹状をなしている。
そして、高張力鋼板S1を一次成形用金型3aの一次成形用上型6と一次成形用下型7との間に搬入して一次成形用金型3aを型閉じすると、図3及び図4に示すように、当該一次成形用金型3aの型閉じ動作によって上面部10aになる領域に対して各縦壁部10bになる領域の角度が鈍角となるように高張力鋼板S1を塑性変形させるとともに、各縦壁部10bになる領域に対する各フランジ部10cになる領域の角度が約90度となるように高張力鋼板S1を塑性変形させて一次成形体P1が得られるようになっている。
二次成形工程4は、図6乃至図11に示すように、上下から圧力を加えて一次成形体P1を塑性変形させる二次成形用金型4aを備えている。
該二次成形用金型4aは、上下に対向する二次成形用上型8及び二次成形用下型9からなり、図示しないプレス機によって、二次成形用上型8が二次成形用下型9に対して上下動するようになっている。
二次成形用上型8は、下方に開口する第2収容凹部81aが中央部分に形成された二次成形用上型本体81と、第2収容凹部81aに上下にスライド可能に収容された二次成形用ホルダ型82とを備えている。
該二次成形用ホルダ型82は、二次成形用コイルバネ83によって下方に付勢され、成形開始前の状態において、一部領域が第2収容凹部81aの開口部分から下方に飛び出している。
二次成形用ホルダ型82の下面には、水平方向に延びる形状をなし、一次成形体P1における上面部10aになる領域に対応する第1上側成形面8aが形成されている。
一方、二次成形用上型本体81における第2収容凹部81aの開口周りには、当該第2収容凹部81aの開口周縁から互いに外側方に離れながら次第に下方に緩やかに湾曲して延びる一対の上側湾曲成形面8dと、該各上側湾曲成形面8dの延出端から下方に略垂直方向に延びる形状をなし、一次成形体P1における縦壁部10bになる領域に対応する一対の第2上側成形面8bと、該各第2上側成形面8bの延出端から外側方に水平に延びる略平坦な形状をなし、一次成形体P1におけるフランジ部10cになる領域に対応する第3上側成形面8cとを備えている。
第1上側成形面8aは、図7に示すように、二次成形用上型8が下死点に到達した状態で一方の上側湾曲成形面8dのR止まりに連続する第1押圧面80aと、二次成形用上型8が下死点に到達した状態で他方の上側湾曲成形面8dのR止まりに連続する第2押圧面80bと、第1押圧面80aと第2押圧面80bとの間に連続する第3押圧面80cとで構成され、第1押圧面80a、第3押圧面80c及び第2押圧面80bは、滑らかに連続している。
第1押圧面80a、第2押圧面80b及び第3押圧面80cは、緩やかに湾曲しており、各曲率半径をR1、R2及びR3とすると、R3>R1=R2の関係になっている。
また、第3押圧面80cは、当該第3押圧面80cの中央部分が突出量hだけ下方に突出する緩やかな湾曲形状をなしている。
一方、二次成形用下型9の上面には、図6に示すように、水平方向に延びる略平坦な形状をなし、第1上側成形面8aに対応する第1下側成形面9aと、該第1下側成形面9aの両端部分から下方に略垂直方向に延びる形状をなし、各第2上側成形面8bに対応する一対の第2下側成形面9bと、該各第2下側成形面9bの延出端から外側方に水平に延びる略平坦な形状をなし、各第3上側成形面8cに対応する第3下側成形面9cとを備え、第1下側成形面9aと各第2下側成形面9bとの間には、各上側湾曲成形面8dに対応する一対の下側湾曲成形面9dが形成されている。
第1下側成形面9aは、第1上側成形面8aに対向する位置に形成され、緩やかに下方に窪む湾曲形状をなしている。
そして、一次成形体P1を二次成形用金型4aにおける二次成形用上型8及び二次成形用下型9の間に搬入して二次成形用金型4aを型閉じすると、図6乃至図10に示すように、上面部10aになる領域に対して各縦壁部10bになる領域の角度が約90度になるように一次成形体P1が塑性変形するとともに、一次成形体P1の両縦壁部10bになる領域を塑性変形させた側に上面部10aになる領域が上面部10aの目標となる形状の位置よりも湾曲するように弾性変形させた湾曲変形部11を有する二次成形体P2が得られるようになっている。
湾曲変形部11は、図10に示すように、一次成形体P1における一方の上側湾曲成形面8dと一方の下側湾曲成形面9dとの間で曲げられた部分に繋がる第1稜線部11aと、一次成形体P1における他方の上側湾曲成形面8dと他方の下側湾曲成形面9dとの間で曲げられた部分に繋がる第2稜線部11bと、第1稜線部11aと第2稜線部11bとの間を繋ぐ第3稜線部11cとで構成され、第1稜線部11a、第2稜線部11b及び第3稜線部11cは、滑らかに連続している。
第1稜線部11aは、第1押圧面80aによって形成された領域であり、曲率半径がR1になっている。また、第2稜線部11bは、第2押圧面80bによって形成された領域であり、曲率半径がR2になっている。さらに、第3稜線部11cは、第3押圧面80cによって形成された領域であり、曲率半径がR3になっている。
二次成形用金型4aを型閉じして二次成形体P2を得た後、二次成形用金型4aを型開きすると、図11に示すように、当該二次成形用金型4aの型開きに伴って湾曲変形部11における弾性変形が開放され、当該湾曲変形部11が目標となる形状まで変形するようになっている。その際、二次成形体P2における縦壁部10bになる領域が外側方に拡がらないように、当該領域を湾曲変形部11の変形動作に連動させて目標となる形状の位置へと変形させて最終成形体P3(プレス成形品10)を得るようになっている。
搬出工程5は、二次成形工程4で成形されたプレス成形品10が複数積み上げされた状態で保管されていて、図示しない産業用ロボットが各プレス成形品10を次工程へと順次搬出するようになっている。
尚、本発明の実施形態では、第1押圧面80aの曲率半径R1及び第2押圧面80bの曲率半径R2と、第3押圧面80cの曲率半径R3とが異なる数値になっているが、図12に示すように、第1上側成形面8aにおける第1押圧面80a、第2押圧面80b及び第3押圧面80cの各曲率半径の数値が同じである金型構造にしてもよい。
次に、生産ライン1にてプレス成形品10を成形する方法について詳述する。
図2は、高張力鋼板S1を搬入工程2から一次成形工程3に搬入した直後の状態を示す。図2の状態から、まず図3に示すように、図示しないプレス機を作動させて一次成形用上型6を下降させる(矢印X1)。すると、一次成形用ホルダ型62の上側平坦面6aが高張力鋼板S1の上面に接触して一次成形用ホルダ型62が一次成形用コイルバネ63の付勢力に抗して一次成形用上型本体61に対して上方にスライドし始めるとともに、第1上側傾斜面6b及び第2上側傾斜面6cの連続部分が高張力鋼板S1の外側部分に接触し、且つ、当該接触部分を下方に押圧し始めて(以下、押圧部分を押圧部V1と呼ぶ)、下側平坦面7a及び第1下側傾斜面7bの連続部分(以下、連続部F1と呼ぶ)を支点に高張力鋼板S1における上面部10aになる領域に対して縦壁部10bになる領域が曲がり始める。
図3の状態からさらに一次成形用上型6を下降させると、高張力鋼板S1が第2下側傾斜面7cにおける押圧部V1より外側部分に接触する(以下、接触部分を接触部F2と呼ぶ)とともに、連続部F1と接触部F2とを支点に高張力鋼板S1の外側部分が押圧部V1に押されて略V字状に折れ曲がっていく。そして、一次成形用上型6が下死点に到達すると、図4に示すように、上面部10aになる領域に対して各縦壁部10bになる領域の角度が鈍角となるように高張力鋼板S1が塑性変形するとともに、各縦壁部10bになる領域に対する各フランジ部10cになる領域の角度が約90度となるように高張力鋼板S1が塑性変形して一次成形体P1が得られる。
その後、図5に示すように、一次成形用金型3aを型開きするとともに、一次成形体P1を二次成形工程4に搬送する。
図6は、一次成形体P1を一次成形工程3から二次成形工程4に搬入した直後の状態を示す。図6の状態から、図示しないプレス機を作動させて二次成形用上型8を下降させる(矢印X2)。すると、二次成形用ホルダ型82の第1上側成形面8aが一次成形体P1における上面部10aになる領域の上面に接触して二次成形用ホルダ型82が二次成形用コイルバネ83の付勢力に抗して二次成形用上型本体81に対して上方にスライドし始めるとともに、図8に示すように、第2上側成形面8b及び第3上側成形面8cの連続部分に一次成形体P1における縦壁部になる領域が摺接しながら上面部10aになる領域に対して縦壁部10bになる領域の角度が約90度となるように一次成形体P1が塑性変形する。
そして、図8の状態からさらに二次成形用上型8を下降させて下死点まで到達させると、図9に示すように、第1上側成形面8aが一次成形体P1における上面部10aになる領域を下方に押圧することによって弾性変形させた湾曲変形部11を有する二次成形体P2が得られる。
しかる後、図11に示すように、二次成形用金型4aを型開きすると、湾曲変形部11における弾性変形が開放される。すると、二次成形体P2における縦壁部10bになる領域がスプリングバックによって外側方(矢印Y1方向)に拡がろうとするが、湾曲変形部11が目標となる形状(平坦な形状)まで弾性変形することで、二次成形体P2における上面部10aになる領域と縦壁部10bになる領域との連続部分に当該連続部分に沿う回転方向の力(矢印Y2方向の力)が加わり、二次成形体P2における縦壁部10bになる領域が外側方に拡がらずに当該領域が目標となる形状の位置へと変形して最終成形体P3(プレス成形品10)が得られる。
図13は、二次成形体P2における湾曲変形部11の形状を変化させながら本発明の成形方法にてプレス成形品10を成形した際に、当該プレス成形品10における縦壁部10bの位置が目標とする形状の位置から最大でどのくらい乖離したかを実験した結果である。実験では、図7に示すように、二次成形用金型4aにおける第1上側成形面8aの第1押圧面80a及び第2押圧面80bの曲率半径rと、第3押圧面80cの下方への突出量hとを変えることによって湾曲変形部11の形状を変更した。
この実験結果より、高張力鋼板S1の材料強度及び板厚に応じた第1押圧面80a及び第2押圧面80bの曲率半径rと第3押圧面80cの突出量hとを設定することによって、プレス成形品10における各縦壁部10bの成形位置を変更可能であることが分かった。
つまり、第3稜線部11cの曲率半径を第1稜線部11a及び第2稜線部11bの各曲率半径よりも大きく設定し、且つ、第1稜線部11a、第2稜線部11b及び第3稜線部11cにおける曲率半径をそれぞれ変更させることによって湾曲変形部11の弾性変形量を調整して、プレス成形品10における各縦壁部10bの成形後の位置を制御することができるようになっている。
以上より、本発明の実施形態によると、高張力鋼板S1における上面部10aになる湾曲変形部11の弾性変形を利用して各縦壁部10bが目標となる形状になるよう成形を制御するので、上面部10aと各縦壁部10bとの間の角度が鋭角となるように高張力鋼板S1における上面部10aになる領域に対して各縦壁部10bになる領域を曲げ変形させるといった必要が無くなる。したがって、成形に用いる金型にプレス機の昇降方向と交差する方向に動作するカム型を備える必要が無くなるので、型費を抑えることができる。
また、高張力鋼板S1における各縦壁部10bになる領域の成形時における見込み量を予測する必要が無くなるので、金型を製造するための鋳物の手配を早めることができ、開発のリードタイムを短くすることができる。
さらに、高張力鋼板S1の縦壁部10bになる領域に見込み量を加えて塑性変形させることなくその成形位置を制御することができるようになるとともに、例えば、断面が非対称のプレス成形品10を成形する場合に第1稜線部11a及び第2稜線部11bの曲率半径R1、R2をそれぞれ異なる値に設定することによって、各縦壁部10bが目標とする成形位置に正確に変形するようになり、複雑な断面ハット形状のプレス成形品10であっても成形後に目標とする形状に精度良く近づけることができる。
尚、本発明の実施形態では、高張力鋼板S1からプレス成形品10をプレス成形しているが、他の金属板からプレス成形品10を成形する際に本発明の成形方法を適用することもできる。
本発明は、金属板からプレス成形品を得るプレス成形品の成形方法に適している。
3a 一次成形用金型
4a 二次成形用金型
10 プレス成形品
10a 上面部
10b 縦壁部
10c フランジ部
11 湾曲変形部
11a 第1稜線部
11b 第2稜線部
11c 第3稜線部
P1 一次成形体
P2 二次成形体
P3 最終成形体
S1 高張力鋼板(金属板)

Claims (2)

  1. 略水平方向に帯状に延びる上面部、該上面部の長手方向に沿って延びる両縁部から互いに対向するように、且つ、上記上面部に交差するように延びる一対の縦壁部、及び、該各縦壁部の延出端から互いに離れる方向に延びる一対のフランジ部を有する断面ハット形状をなすプレス成形品を金属板から得るプレス成形品の成形方法であって、
    上記金属板を一次成形用金型に搬入して当該一次成形用金型の型閉じ動作によって上記上面部になる領域に対して上記各縦壁部になる領域の角度が鈍角になるように上記金属板を塑性変形させるとともに、上記各縦壁部になる領域に対する上記各フランジ部になる領域の角度が最終成形体の対応する部分の角度と同じになるように上記金属板を塑性変形させて一次成形体を得た後、
    該一次成形体を二次成形用金型に搬入して当該二次成形用金型を型閉じし、上記上面部になる領域に対して上記各縦壁部になる領域の角度が上記最終成形体の対応する部分の角度と同じになるように上記一次成形体を塑性変形させるとともに、上記金属板の上記両縦壁部になる領域を塑性変形させた側に上記上面部になる領域が上記上面部の目標となる形状の位置よりも湾曲するように弾性変形させた湾曲変形部を有する二次成形体を得た後、上記二次成形用金型の型開きに伴う上記湾曲変形部における弾性変形の開放により目標となる形状まで変形する上記湾曲変形部の変形動作に連動させて上記縦壁部になる領域を目標となる形状の位置まで変形させて上記最終成形体を得ることを特徴とするプレス成形品の成形方法。
  2. 請求項1に記載のプレス成形品の成形方法において、
    上記湾曲変形部は、当該湾曲変形部における一方の縦壁部になる領域との間の塑性変形部分に繋がる第1稜線部、上記湾曲変形部における他方の縦壁部になる領域との間の塑性変形部分に繋がる第2稜線部、及び、上記第1稜線部と上記第2稜線部との間を繋ぐ第3稜線部で構成され、上記第3稜線部の曲率半径を上記第1稜線部及び上記第2稜線部の各曲率半径よりも大きく設定し、且つ、上記第1稜線部、第2稜線部及び第3稜線部における曲率半径をそれぞれ変更させることによって上記湾曲変形部の弾性変形量を調整するよう構成されていることを特徴とするプレス成形品の成形方法。
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