JP3687696B2 - 半導体磁器組成物とそれを用いた半導体磁器素子 - Google Patents

半導体磁器組成物とそれを用いた半導体磁器素子 Download PDF

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    • H01C7/043Oxides or oxidic compounds

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、負の抵抗温度特性を有する半導体磁器組成物とそれを用いた半導体磁器素子に関するものであり、特に、突入電流抑制用または温度補償型水晶発振器用等の素子に用いられる半導体磁器組成物とそれを用いた半導体磁器素子である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、常温での抵抗値が高く温度の上昇とともに抵抗値が減少する負の抵抗温度特性(以下、負特性という)を有する半導体磁器素子(以下、NTC素子という)がある。
前記NTC素子は、温度補償型水晶発振器用、突入電流抑制用、モーター起動遅延用あるいはハロゲンランプ保護用など様々な用途に用いられている。
【0003】
一例として温度補償型水晶発振器用のNTC素子としては、通信機器等の電子機器における周波数源として用いられる温度補償型水晶発振器(以下、TCXOという)が、温度補償回路と水晶振動子からなり、温度補償回路が発振ループ内で水晶振動子と直接接続されるものを直接型TCXOといい、温度補償回路が発振ループ外で水晶振動子と間接的に接続されるものを間接型TCXOという。直接型TCXOには、水晶振動子の発振周波数を温度補償するため、少なくとも2つのNTC素子が用いられており、常温以下の温度補償には常温(25℃)での抵抗値が30Ω前後の低抵抗のものを、常温以上の温度補償には常温(25℃)での抵抗値が3000Ω前後の高抵抗のものが用いられている。
【0004】
また、突入電流抑制用のNTC素子としては、スイッチング電源で、スイッチを入れた瞬間に過電流が流れ、その過電流がIC、ダイオードなどの半導体素子やハロゲンランプを破壊もしくは低寿命化させるのを防ぐため、初期の突入電流を吸収する素子として用いられている。スイッチを入れると、NTC素子は初期の突入電流を吸収して回路への過電流を抑制し、その後、自己発熱により昇温して低抵抗となり、定常状態では電力消費量を低減する。
【0005】
さらにモーター起動遅延用のNTC素子としては、モーターが起動してから潤滑油の供給が開始されるように構成された歯車装置のモーターに、電流を通電し歯車を直ちに高速回転させると、潤滑油の供給が不十分なため、歯車が損傷したり、砥石を回転させて磁器表面を研磨するラップ盤の駆動モーターを起動した瞬間にラップ盤を高速回転させると、磁器が割れるのを防ぐため、上記モーター起動時に起動時間を一定時間遅延させる素子として用いられている。モーター起動時にはNTC素子によりモーター端子電圧を低くして起動を遅らせ、その後にNTC素子が自己発熱により昇温して低抵抗となり、定常状態ではモーターは正常に回転することになる。
【0006】
これらのNTC素子を構成する負の抵抗温度特性を有する半導体磁器は、マンガン、コバルト、ニッケル、銅等の遷移金属元素からなるスピネル酸化物が用いられてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、TCXOの発振周波数を高精度に温度補償するためには、NTC素子の抵抗値温度依存性(以下、B定数という)が大きい方がよく、一般に、遷移金属元素からなるスピネル酸化物は、常温の抵抗率とB定数に正の相関があるため、常温の抵抗率が小さくなるとB定数も小さくなる。
常温の抵抗率が高ければ高B定数が得られることから、NTC素子を積層構造にすれば、高抵抗率のものでも抵抗値が抑えられて、高B定数のNTC素子を得ることができる。しかし、積層構造にすることは、NTC素子の静電容量を大きくすることになり、温度補償回路の精度を低下させるという問題を含んでいた。
【0008】
また、NTC素子を突入電流抑制用に用いた場合、自己発熱による昇温状態で抵抗値が小さくならなければならない。しかしながら、従来のスピネル酸化物を用いた場合、一般に抵抗率を小さくするほどB定数が小さくなる傾向にあり、昇温状態における抵抗値を充分に小さくすることができず、定常状態における電力消費量が低減できないという問題があった。
そこで、高温状態における抵抗値を十分に小さくする方法として、例えばNTC素子が板状の場合、その面積を大きくするか、その厚みを薄くすればよいが、NTC素子の面積を大きくすることは素子の小型化に反し、またNTC素子の厚みを薄くすることは強度の点で問題がある。
【0009】
これらの問題を改善するものとして、複数のセラミック層間に複数の内部電極を介在させて積層し、積層体側面に一対の外部電極を形成し、一対の外部電極に前記内部電極を交互に電気接続するように構成した積層型NTC素子が知られている。しかし、対向している内部電極間が狭すぎるため、電源投入初期に過電流(数A以上)が流れると、前記積層型NTC素子が破壊されてしまうという問題もあった。
【0010】
ここで、B定数が相転移点で急激に大きくなるNTC素子として、BaTiO3にLi2CO3を20wt%添加したものが提案されている(特公昭48ー6352号公報)。しかしこのNTC素子では、140℃の抵抗率が105Ω・cm以上と大きいことから、定常状態における電力消費量が増大するという問題が生じる。
【0011】
また、VO2を用いたNTC素子は、80℃で抵抗率が10から0.01Ω・cmに低下する抵抗値急変特性を示すことから、突入電流抑制用あるいはモーター起動遅延用として優れている。しかし、このVO2系NTC素子は不安定であり、還元焼成後急冷して製造するため、その形状はビード状に限定され、しかも許容電流値が数十mAと小さいことから、数Aの大電流が流れるスイッチング電源あるいは駆動モーター等には使用することができない。
【0012】
さらに、希土類遷移元素系酸化物を用いれば、昇温状態では低抵抗で、常温でB定数が小さく、高温でB定数が大きい、負の抵抗温度特性を有することについてはブイ.ジー.ブハイデ(V.G.Bhide)およびディー.エス.ラジョリア(D.S.Rajoria)の文献(Phys.Rev.B6,[3] 1021(1972))等で示されている。
【0013】
例えば、LaCrO3系の材料からなる素子の電気的特性については、梅田夏雄氏および河波利夫氏による文献(エレクトロミクセラミクス第7巻春号(1976年))の34ページの図4、5に記載されており、負特性を示すことが知られていて、このLaCrO3系NTC素子を突入電流抑制として用いるには、常温時の抵抗率が10Ω・cm程度とよいがB定数が2000K未満のため、突入電流を抑制するように抵抗値を調整すると、定常時の電力消費が大きすぎて異常発熱し、NTC素子が破壊されるという問題がある。
【0014】
また、LaCoO3のCoの一部をCrに置換すると、抵抗率が徐々に増加することも、トロチコ(Tolochko)達による文献(Izv.Akad.Nauk.SSSR Neorg.Mater.第23巻第5号(1987年))の832ページの図3と38〜43行目に記載されているが、抵抗率は20℃のみであり、Crが5mol%未満添加されたときの特性が分かっていない。
【0015】
一方、負特性を示す材料について、様々な組成実験や実用試験を行い、鋭意検討し、希土類Co元素系からなる酸化物、特にLaCoO3に着目した。このLaCoO3系NTC素子の特性は、ヴラソフ(A.H.Wlacov)およびシケロヴァ(O.O.Shikerowa)による文献(Физика Tвердого Tела,32,[9](1990))の2588ページの図2と2587ページの36〜42行目に記載されており、GdCoO3よりもLaCoO3の方が低抵抗であることが知られている。
【0016】
しかしながら、この希土類Co系酸化物は、従来のスピネル型構造を有する遷移金属酸化物と比較して、高温における抵抗値は低いが、B定数が小さいため、実用化されていなかった。
【0017】
この発明の目的は、常温において低抵抗率かつ高温におけるB定数が大きい特性を有する半導体磁器組成物とそれを用いて得られる突入電流抑制用、モーター起動遅延用、ハロゲンランプ保護用または大電流用としても使用可能な半導体磁器素子を提供することである。
また、この発明の目的は、常温において低抵抗率かつB定数が大きく常温以下でのB定数も大きい半導体磁器組成物とそれを用いて得られる温度補償型水晶発振器用としての半導体磁器素子を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
すなわち、第1の発明は、ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.005〜30mol%含有してなる負の抵抗温度特性を有する半導体磁器組成物であって、コバルトとクロムの合計に対するランタンのモル比が、0.50〜0.999であり、25℃〜140℃の温度範囲におけるB定数が2500K以上であり、かつ、25℃での抵抗率が50Ω・cm以下である半導体磁器組成物である。
【0019】
また、第2の発明は、前記ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.1〜10mol%含有している半導体磁器組成物である。
【0020】
また、第3の発明は、前記ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.1〜30mol%含有している半導体磁器組成物である。
【0021】
また、第4の発明は、前記ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.5〜10mol%含有している半導体磁器組成物である。
【0022】
また、第5の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれかに記載の半導体磁器組成物に電極を形成した半導体磁器素子である。
【0030】
なお、クロム含有量を0.005〜30mol%に限定した理由は、0.005mol%未満の場合は、添加効果が小さすぎてB定数が大きくならず、30mol%を越えると、無添加の時や従来の負特性よりもB定数が小さくなるだけでなく、従来の負特性と同程度の抵抗率になるからである。
特に、クロム含有量が0.1〜10mol%の範囲内であれば、高温側のB定数が4000K以上の特性が得られ、初期の突入電流を抑制するのに最適である。
【0031】
また、クロム含有量を0.1〜30mol%に限定した理由は、0.1mol%未満の場合は、添加効果が小さすぎてB定数が大きくならず、30mol%を越えると、常温での抵抗率が大きくなりすぎるからである。
特に、クロム含有量が0.5〜10mol%の範囲内であれば、クロム含有量に対する常温での抵抗率とB定数の変化が小さく、水晶振動子の発振周波数を温度補償するのに最適な抵抗温度特性を安定して得ることができる。
【0032】
また、コバルトとクロムの合計に対するランタンのモル比は0.999〜0.50の範囲内がよい。その理由として、クロムとコバルトの合計に対するランタンのモル比が0.999を越えると、焼結体中の未反応の酸化ランタン(La23)が、大気中の水分等と反応して磁器が崩壊し、本用途の素子として使うことができないためであり、モル比が0.50未満になると、抵抗率が増大するがB定数が小さくなるためである。
【0033】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
コバルトとクロムの合計に対するランタンのモル比率が0.95になるように、CoCO3、Co34、CoO等のコバルトを含む化合物と、La23、La(OH)3,等のランタンを含む化合物を秤量した粉に、Cr23またはCrO3等のクロムを含む化合物を0〜31mol%添加含有し、純水およびジルコニアボールとともにボールミルで24時間湿式混合し、乾燥後、900〜1200℃で2時間仮焼する。この仮焼粉にバインダーを加えて、ジルコニアボールとともにボールミルで24時間湿式混合して粉砕し、濾過、乾燥後、円板状に加圧成形し、1200〜1600℃で2時間、大気中で焼成して焼結体を得た。この焼結体の両主面に銀パラジウム合金ペーストを塗布し、900〜1400℃で5時間大気中で焼き付けて外部電極を形成し、半導体磁器素子とした。
【0034】
得られた半導体磁器素子について、抵抗率とB定数を測定した。なお、表1中の*印を付したものはこの発明の範囲外のものであり、それ以外はこの発明の範囲内のものである。
また、抵抗率(ρ)は、T℃における抵抗値をR(T)、外部電極の面積をS、半導体磁器素子の肉厚をtとすると、
ρ(T)=R(T)×S/t
より得られる値であり、
実施例1の−10℃,25℃,140℃の抵抗値から得られる抵抗率を式で示すと、
ρ(−10)=R(−10)×S/t
ρ(25)=R(25)×S/t
ρ(140)=R(140)×S/t
となる。
【0035】
次に、B定数は、温度変化による抵抗変化を示す定数であり、T1℃,T2℃における抵抗率をそれぞれρ(T1)、ρ(T2)、常用対数logとすると、
B(T1,T2)定数={logρ(T2)−logρ(T1)}/(1/T2−1/T1)
で定義できる。B定数が大きいほど、温度上昇による抵抗値の減少変化が大きい。
【0036】
これをもとに、実施例1の−10℃、25℃、140℃の抵抗率から得られるB定数を式で示すと、
B(-10,25)={logρ(-10)−logρ(25)}/{1/(-10+273.15)−1/(25+273.15)}
B(25,140)={logρ(140)−logρ(25)}/{1/(140+273.15)−1/(25+273.15)}
となり、B(-10,25)は−10℃〜+25℃、B(25,140)は25℃〜140℃の温度範囲におけるB定数である。
【0037】
【表1】
【0038】
クロムの含有量の増加にともなって、抵抗率とB定数が大きくなるが、クロム含有量が0.5mol%以上になると抵抗率とB定数が低下し、20mol%以上では、抵抗率が増大するのに対してB定数が減少し、31mol%ではB(25,140)定数がB(-10,25)定数よりも小さくなっている。
また、クロムの含有量が0.005〜30mol%以内であれば、B(25,140)定数が2500K以上あり、特に0.1〜10.0mol%の範囲内ではB(-10,25)定数が3000K以上、B(25,140)定数が4000K以上とどちらも高い値となっている。
【0039】
図1は、半導体磁器素子の抵抗率の温度依存性を示す特性図であり、縦軸に抵抗率(Ω・cm)、横軸に温度(℃)をとり、クロム含有量の違いをそれぞれの曲線で表している。実線で示したものはこの発明の範囲内のものであり、破線で示したものはこの発明の範囲外である。
図1に示すように、この発明の半導体磁器素子は、25℃での抵抗率が20Ω・cm以下と小さく、高温においても10Ω・cm以下であることを示している。
【0040】
また、これらの半導体磁器素子に20Aの電流を通電したが、この発明の範囲内のものは破壊されなかった。
B(25,140)定数が大きいことから、初期の過電流を抑制し、定常時の電力消費量を小さくでき、突入電流抑制用またはモーター起動遅延用あるいはハロゲンランプ保護用の素子として優れている。
【0041】
(従来例1)
Mn3O4、NiO、Co3O4をそれぞれ重量比で6:3:1の割合で秤量し、純水、バインダーおよびジルコニアボールとともにボールミルで5時間湿式混合した後、粉砕、濾過、乾燥した。その後、実施例1と同じ形状の円板状に加圧成形し、1200℃で2時間大気中で焼成して焼結体を得た。次に両主面に銀パラジウム合金ペーストを塗布し、900〜1100℃で5時間、大気中で焼き付けて外部電極を形成し、半導体磁器素子とした。
得られた半導体磁器素子について各電気特性を実施例1と同じ方法で測定した。このうち、各温度における抵抗率(ρ)およびB定数を表1に、また抵抗温度特性を図1に示す。
【0042】
表1に示すように、従来例1の半導体磁器素子のB定数は、B(25,140)定数がB(-10,25)定数よりも小さくなっており、定常時の電力消費が大きい。
この従来例1と実施例1について、同程度の抵抗率のものを比較すると、実施例1のものはB(25,140)定数が大きくなる。また、一般に抵抗率を小さくするとB定数が小さくなるが、この発明のように、LaCoO3にクロムを0.005〜30mol%含有した半導体磁器組成物は、従来例1のものよりもB定数の高い半導体磁器組成物が得られる。
【0043】
(実施例2)
コバルトに対するランタンのモル比率が0.95になるように、La2O3、La(OH)3等のランタンを含む化合物と、CoCO3、Co3O4、CoO等のコバルトを含む化合物粉末を秤量し、Cr2O3またはCrO3等のクロムを含む化合物を0.01〜40mol%添加含有し、純水およびナイロンボールとともにボールミルで16時間湿式混合し、乾燥後、900〜1200℃で2時間仮焼する。この仮焼粉をジェットミルで粉砕し、酢酸ビニル系のバインダーを5wt%と純水を加えて、再度湿式混合し、乾燥、造粒後、円板状に加圧成形し、1200〜1600℃で2時間、大気中で焼成して焼結体を得た。この焼結体の両主面に銀パラジウム合金ペーストをスクリーン印刷して塗布し、900〜1200℃で5時間、大気中で焼き付けて外部電極を形成し、半導体磁器素子とした。
【0044】
得られた半導体磁器素子について抵抗率とB定数を実施例1と同じ方法で測定した。その結果を表2に示す。なお、表2中の*印を付したものは、この発明のTCXO用半導体磁器素子としての特性が得られないものである。抵抗率は、25℃における抵抗値を実施例1で用いた式より導きだした値である。
【0045】
また、B定数を求める式は、実施例1と同じ式であり、実施例2の−30℃、25℃、50℃、140℃の抵抗率からそれぞれのB定数を導くと
B(-30,25)={logρ(-30)−logρ(25)}/{1/(-30+273.15)−1/(25+273.15)}
B(25,50)={logρ(50)−logρ(25)}/{1/(50+273.15)−1/(25+273.15)}B(25,140)={logρ(140)−logρ(25)}/{1/(140+273.15)−1/(25+273.15)}
、となり、B(-30,25)は−30℃〜+25℃、B(25,50)は25℃〜50℃、B(25,140)は25℃〜140℃の温度範囲におけるB定数である。
【0046】
【表2】
【0047】
クロムの含有量の増加とともに抵抗率が増加し、B定数も3000K以上と高い値になっている。また、クロム含有量が0.05mol%以下ではB定数が3000K未満となり、30.0mol%を越えると抵抗率が50Ω・cmを越えて、温度補償に適さないが、この発明の範囲内であれば、抵抗率が低いため、同じ抵抗値を得るための電極面積が小さくなり、静電容量も小さくなるため、TCXOの温度補償回路の補償精度が向上する。
B(-30,25)定数が大きいほど、温度に対する抵抗値変化の割合が大きくなり、TCXOの温度補償回路の中で、低温側の補償温度範囲が広がる。
しかも、B(25,50)定数とB(25,140)定数がB(-30,25)定数よりも高い値となっている。
【0048】
また、クロム含有量が0.1〜30mol%以内であれば、B(-30,25)定数もB(25,50)定数とB(25,140)定数が3000K以上あり、特に0.5〜10.0mol%の範囲内では、クロム含有量に対する抵抗温度特性の変化が小さく、TCXOの温度補償回路に最適なNTC素子を安定して得ることができる。
【0049】
図2は、半導体磁器素子のクロム含有量とB定数を示す図であり、縦軸にB定数(K)、横軸にクロム含有量(mol%)をとり、B(-30,25)定数を●、B(25,50)定数を■、B(25,140)定数を△で表している。クロム含有量が0.1mol%以上であればB定数が全て3000K以上ある。
【0050】
(従来例2)
Mn3O4、NiO、Co3O4をそれぞれ重量比で6:3:1の割合で秤量する以外は、実施例2と同じ製造方法で、半導体磁器素子を得た。
得られた半導体磁器素子について、実施例2と同じ方法で特性を測定した。その結果も表2に示す。
【0051】
表2に示すように、従来例2の半導体磁器素子のB定数は、高温側のB(25,50)定数が低温側のB(-30,25)定数よりも小さくなっており、またどちらのB定数も3000K未満である。
【0052】
なお、コバルトとクロムの合計に対するランタンのモル比は0.95に限らず、0.999〜0.50の範囲内であればよい。クロムとコバルトの合計に対するランタンのモル比が0.999を越えると、焼結体中の未反応のLa2O3が、大気中の水分等と反応して磁器が崩壊し、本用途の素子として使うことができない。また、クロムとコバルトの合計に対するランタンのモル比が0.50未満になると、抵抗率が増大するのにB定数が小さくなり、従来例の半導体磁器素子よりもB定数が小さくなるので、本用途に適さない。
【0053】
なお、上述したLaCo酸化物の他に、La0.9 Nd0.1 CoO 3 系、La0.9 Pr0.1 CoO 3 系、La0.9 Sm0.1 CoO 3 系などのように、ランタンを他の希土類元素やビスマスと一部置き換えたものを用いてもよい。
【0054】
上記の実施例では、円板状の半導体磁器素子を用いて説明しているが、この発明の半導体磁器素子はこのような形状に限定されるものではなく、積層素子、円筒形素子、角型チップ素子など他の半導体磁器素子形状のものにも適用されるものである。また、上記実施例においては、半導体磁器素子の電極として銀パラジウム合金あるいは白金を用いたが、銀、パラジウム、ニッケル、銅、クロム、あるいはそれらの合金などの電極材料を用いても同様の特性を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】
この発明の半導体磁器組成物によれば、ランタンコバルト系酸化物にクロム酸化物をクロムに換算して0.005〜30mol%含有し、コバルトとクロムの合計に対するランタンのモル比を0.50〜0.999とすることにより、25℃での抵抗率が50Ω・cm以下であり、かつ、25℃〜140℃の温度範囲におけるB定数が2500K以上とすることができ、特にクロム含有量が0.1〜10mol%の範囲内であれば、高温側のB定数が4000K以上の半導体磁器組成物が得られる。
【0056】
また、この発明の半導体磁器組成物によれば、希土類遷移元素系酸化物、特にランタンコバルト系酸化物を用いたことで、常温での抵抗率が小さく、低温側のB定数よりも高温側でのB定数が高いという特性を有する。
【0057】
さらに、この発明の半導体磁器組成物によれば、ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.1〜30mol%含有させることにより、定常状態における抵抗率が小さく、B定数が3000K以上と高いものが得られ、クロム含有量が0.5〜10mol%の範囲内であれば高温側のB定数も3500K以上のものが得られる。
【0058】
これらのことより、この発明の半導体磁器組成物は、温度補償型水晶発振器用、突入電流抑制用、モーター起動遅延用またはハロゲンランプ保護用の素子に用いることができる。
【0059】
また、この発明の半導体磁器素子に、ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.005〜30mol%含有し、コバルトとクロムの合計に対するランタンのモル比が0.50〜0.999の半導体磁器組成物を用いることにより、従来の半導体磁器素子よりも定常状態において、低抵抗率で高温側のB定数が2500K以上であり、常温と高温(140℃程度)通電時の抵抗差が大きい素子が得られる
【0060】
さらに、この発明の半導体磁器素子に希土類遷移元素系酸化物、特にランタンコバルト系酸化物を用いることにより、常温でのB定数は小さく、高温側でのB定数が高いという特性を持つことから、定常状態での電力消費量を低減でき、大電流にも適用できる。
【0061】
また、この発明の半導体磁器素子にランタンコバルト系酸化物を主成分として、副成分としてクロム酸化物をクロムに換算して0.1〜30mol%含有していることにより、常温での抵抗率が小さく、かつB定数が3000K以上の特性が得られる。
【0062】
これらのことより、この発明の半導体磁器素子は、突入電流抑制用、モーター起動遅延用、ハロゲンランプ保護用、温度補償型水晶発振器用の素子として、機能の向上を図ることができる。また、温度補償型水晶発振器として説明してきたが、他の温度補償回路にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1および従来例1の抵抗温度特性図である。
【図2】この発明の実施例2におけるクロム含有量とB定数の関係を示す図である。

Claims (5)

  1. ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.005〜30mol%含有してなる負の抵抗温度特性を有する半導体磁器組成物であって、
    コバルトとクロムの合計に対するランタンのモル比が0.50〜0.999であり、
    25℃〜140℃の温度範囲におけるB定数が2500K以上であり、かつ、25℃での抵抗率が50Ω・cm以下であることを特徴とする半導体磁器組成物。
  2. 前記ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.1〜10mol%含有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体磁器組成物。
  3. 前記ランタンコバルト系酸化物を主成分とし副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.1〜30mol%含有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体磁器組成物。
  4. 前記ランタンコバルト系酸化物を主成分とし、副成分として、クロム酸化物をクロムに換算して0.5〜10mol%含有していることを特徴とする請求項3に記載の半導体磁器組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の半導体磁器組成物に電極を形成したことを特徴とする半導体磁器素子。
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