JP3687695B2 - 雰囲気ガス供給方法及び装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、金属又は合金材を熱処理する雰囲気ガス炉の雰囲気ガス供給方法及び装置に関し、特に雰囲気ガス炉内の雰囲気ガスの化学成分を一定に保持することができる雰囲気ガス供給方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、雰囲気ガス炉内のラジアントチューブから排出された排気ガスを雰囲気ガス炉内に導入し、排気ガスを雰囲気ガスとして再利用している(特開昭61−73824号公報及び特開昭61−67715号公報)。このように、排気ガスを雰囲気ガスとして使用することによって、資源を節約することができると共に、排気ガスが高温であるため、排気ガスを加熱する必要がなく、エネルギー消費を節約することができる。
【0003】
図3は、従来の雰囲気ガス供給装置を示す模式図である。雰囲気ガス炉31は断熱材32に覆われており、炉31内には、金属又は合金製の被熱処理材61が挿入されている。断熱材32を貫通して、炉31内に複数本のラジアントチューブ33が入り込んでいる。ラジアントチューブ33の一端34aからラジアントチューブ33内にバーナー35が挿入されている。一端34aは導管36に接続されており、導管36は分岐管37を介して導管38a及び38bに接続されている。導管38aには調整弁39aが設けられ、導管38a内を通流する燃料ガスの流量を調整できるようになっている。一方、導管38bには調整弁39bが設けられ、導管38b内を通流する空気の流量を調整することができる。調整弁39a及び39bの開閉度を変化させることにより、空燃比を変化させ、バーナー35の燃焼状態を最適なものに保つことができる。ラジアントチューブ33の他端34bには導管40を介して、H20除去装置41が設置されている。ラジアントチューブ33の排気ガスが、除去装置41を通過することにより、雰囲気ガスとして不必要なH2Oが除外され、排気ガスはDXガス(CO:2乃至3体積%、H2:2乃至3体積%、CO2:10乃至12体積%及びN2:残部)となる。H2O除去装置41は導管43に接続されており、導管43には調整弁44が設けられている。導管43は断熱材32を貫通して雰囲気ガス炉31内に入り込んでおり、雰囲気ガスは導管43を通流して、炉31内に供給されるようになっている。
【0004】
このように構成された雰囲気ガス供給装置において、調整弁39aにより燃料ガスの流量を調整すると共に、調整弁39bにより空気の流量を調整した後、導管38aから燃料ガスを導入し、また導管38bから空気を導入して、これらの気体を分岐管37において混合し、得られた混合気を導管36を介してラジアントチューブ33内のバーナー35内に流入させ、混合気を燃焼させる。そうすると、バーナー35がラジアントチューブ33を加熱し、ラジアントチューブ33の熱により炉31内の雰囲気ガスが高温となる。雰囲気ガスの熱により、被熱処理材61が熱処理される。また、ラジアントチューブ33から排気ガスが排出され、この排気ガスはH2O除去装置41にてH2Oが除去され、DXガスとなる。得られたDXガスは、調整弁44にて流量が調整された後、雰囲気ガスとして導管43により、炉31内に供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術には、以下に示す問題点がある。即ち、ラジアントチューブ33は、炉内の雰囲気ガスを加熱するために設置されたものであるため、燃料ガスの熱量が変動することにより、ラジアントチューブ33より排出される排気ガスの成分に変動が生じる。このため、適切な化学成分を有する雰囲気ガスを安定して得ることが困難であるという問題点がある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、雰囲気ガス炉内の雰囲気ガスを安定させることができる雰囲気ガス供給方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る雰囲気ガス供給方法は、ラジアントチューブが挿入された雰囲気ガス炉内を前記ラジアントチューブ内に配置されたバーナーにより加熱されたガスにより加熱し、前記ラジアントチューブから排出された排気ガスと、雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼により発生した雰囲気ガスとを混合して混合雰囲気ガスとし、この混合雰囲気ガスを前記雰囲気ガス炉内に供給すると共に、前記混合雰囲気ガスの化学成分を測定し、得られた測定結果に基づいて、前記雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼を制御して、前記混合雰囲気ガスの化学成分を制御することを特徴とする。
【0008】
この場合に、前記混合雰囲気ガスの化学成分のうちCOの濃度に基づいて前記バーナーの燃焼を制御することができる。
【0009】
また、前記雰囲気ガス炉は連続熱処理炉の加熱帯であってもよい。
【0010】
本発明に係る雰囲気ガス供給装置は、雰囲気ガス炉と、この雰囲気ガス炉内に挿入され内部に配置されたバーナーにより加熱されたガスにより前記雰囲気ガス炉内を加熱するラジアントチューブと、バーナーの燃焼により雰囲気ガスを発生させる雰囲気ガス発生装置と、前記雰囲気ガス発生装置からの雰囲気ガスと前記ラジアントチューブから排気される排気ガスとを混合して混合雰囲気ガスとし、この混合雰囲気ガスを前記雰囲気ガス炉内に導入する配管と、この配管を通流する前記混合雰囲気ガスの化学成分を測定する測定器と、この測定器の測定結果に基づいて前記雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼を制御して前記混合雰囲気ガスの化学成分を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明に係る雰囲気ガス供給方法においては、雰囲気ガス炉内を加熱するラジアントチューブから排出された排気ガスと、雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼により発生した雰囲気ガスとを混合して混合雰囲気ガスとし、この混合雰囲気ガスを雰囲気ガス炉内に供給する。この場合に、混合雰囲気ガスの化学成分を測定し、この測定結果に基づいてバーナーの燃焼を制御する。そうすると、ラジアントチューブに供給される燃料ガスの熱量が変化し、ラジアントチューブから発生する排気ガスの化学成分が変化した場合であっても、バーナーの燃焼を制御することにより、混合雰囲気ガスの化学成分を適切なものとし、雰囲気ガス炉内の雰囲気ガス濃度を安定させることができる。これにより、炉内の被熱処理材の品質を安定させることができると共に、被熱処理材に酸化及び変色が発生することを防止できる。
【0012】
なお、混合雰囲気ガスの化学成分に含まれる化学成分としては、H2、CO2及びCO等がある。この場合に、H2及び/又はCO2の濃度を制御することも可能であるが、CO成分に対する制御装置及び機器の入手が容易であるため、CO成分を制御することが好ましい。
【0013】
また、本発明における雰囲気ガス供給方法を連続熱処理炉の加熱帯に適用することができる。純銅製の金属管コイル等を連続処理炉で熱処理する場合には、雰囲気ガスの化学組成の変動により、金属管コイル等に酸化及び変色等が発生しやすいが、本発明を実施することによって、この酸化及び変色を防止し、金属管コイル等を良好に熱処理することができる。
【0014】
本発明に係る雰囲気ガス供給装置においては、雰囲気ガス供給装置のバーナーを燃焼させ、発生した雰囲気ガスとラジアントチューブから排出された排気ガスとを混合して、混合雰囲気ガスとした後、この混合雰囲気ガスを配管内を通流させて雰囲気ガス炉内に導入する。この場合に、混合雰囲気ガスの化学成分を測定し、この測定結果に基づいて、雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼を制御する。そうすると、上述の雰囲気ガス供給方法と同様に、ラジアントチューブに供給される燃料ガスの熱量が変化し、ラジアントチューブから排出される排気ガスの化学成分が変化した場合であっても、バーナーの燃焼を制御することにより、混合雰囲気ガスの化学成分を適切なものとし、雰囲気ガス炉内の雰囲気ガス濃度を安定させることができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施例に係る雰囲気ガス供給方法及び装置を示す模式図である。図1において、図3と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。雰囲気ガス発生装置1は雰囲気ガスを発生し、この雰囲気ガス発生装置1のガス供給口にはH2O除去装置42が接続されている。このH2O除去装置42は分岐管2が接続されている。分岐管2の残りの管端のうち、一方の管端は調整弁44に接続されており、他方の管端は導管43に接続されている。雰囲気ガス発生装置1の上部にはバーナー3が設置されている。このバーナー3には導管4が接続され、導管4の途中に燃料弁5が設けられている。導管4により供給される燃料でバーナー3は燃焼し、この燃焼により発生した排気ガスが、雰囲気ガス供給装置1において雰囲気ガスとなる。この雰囲気ガスと調整弁44を通過してきた雰囲気ガスとが分岐管2において混合され、混合雰囲気ガスとなるようになっている。導管43には導管45を介してCO計6が接続されており、CO計6は前述の混合雰囲気ガスのCO濃度を計測する。CO計6は信号線7を介して制御手段9に接続されており、制御手段9は信号線8を介して燃料弁5に接続されている。CO計6にて測定されたCO濃度に応じて、制御手段9は、信号線8を介して、燃料弁5に電気信号を送出し、この電気信号によって燃料弁5の開閉率が調整され、バーナー3の燃焼が制御される。
【0016】
このように構成された装置において、図3に示す装置と同様に、ラジアントチューブ33の排気ガスがH2O除去装置41にてH2Oが除去され、雰囲気ガスとなる。また、雰囲気ガス発生装置1により雰囲気ガスが発生し、この雰囲気ガスはH2O除去装置42にてH2Oが除去された後、分岐管2において前述の雰囲気ガスと混合されて混合雰囲気ガスとなる。この混合雰囲気ガスが導管43を通過して炉31内に供給される。この場合に、混合雰囲気ガスのCO濃度はCO計6により測定され、この測定結果に基づいて、制御手段9が燃料弁5の開閉度を調整して、バーナー3の燃焼が制御される。このため、燃料ガスの熱量が変動し、バーナー35の燃焼状態が変化して、ラジアントチューブ33が排出する排気ガスの化学成分が変動した場合であっても、混合雰囲気ガスのCO濃度が常に適切なものとなる。これにより、炉31内の雰囲気ガスの化学成分が安定するので、被熱処理材61の品質が安定すると共に、被熱処理材61に酸化及び変色が発生することを防止することができる。
【0017】
なお、本実施例では、混合雰囲気ガスの化学成分のうちCOについて、その濃度を制御したが、CO計6の代わりにH2計又はCO2計を設置し、混合雰囲気ガスの各成分を制御してもよい。また、これらの測定計を併用し、複数の気体の濃度を制御してもよい。
【0018】
次に、本実施例を連続熱処理炉(光輝焼鈍炉)に適用した場合の結果について説明する。図2は、連続熱処理炉を示す模式図である。図2に示すように、連続熱処理炉は、入側ベスチブル25a、加熱帯26、冷却帯27及び出側ベスチブル25bにより構成される。入側ベスチブル25aは大気が加熱帯26内に入ることを防止する部屋であり、出側ベスチブル25bは大気が冷却帯27内に入ることを防止する部屋である。連続熱処理炉には、被熱処理材61として純銅製の金属管コイルが装入される。被熱処理材61は、入側ベスチブル25aを通過後、加熱帯26にて焼鈍され、次いで冷却帯27cにて冷却された後、出側ベスチブル25bを通過して、連続熱処理炉外へ送出される。このような連続熱処理炉の加熱帯26に本実施例の雰囲気ガス供給方法を適用した。なお、ラジアントチューブ33から排出された排気ガスの流量は180Nm3/hであり、燃料弁5を通過した燃料の流量は120乃至150Nm3/hであった。
【0019】
その結果、金属管コイルに特に酸化及び変色といった不良が発生することなく、金属管コイルを良好に熱処理することができた。また、ラジアントチューブ33における燃料ガスの熱量の変動は1500kcal/Nm3であったが、混合雰囲気ガスのCO濃度の変動量を0.5%以内に抑制することができた。なお、本実施例の雰囲気ガス供給方法を実施しない場合は、混合雰囲気ガスのCO濃度の変動量は2.0%と極めて大きくなった。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、雰囲気ガス炉内のラジアントチューブから排出される排気ガスと、雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼により発生した雰囲気ガスとを混合して混合雰囲気ガスとし、この混合雰囲気ガスの化学成分に基づいて、雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼を制御しつつ、混合雰囲気ガスを雰囲気ガス炉内に供給するので、雰囲気ガス炉内の雰囲気ガス濃度が安定し、被熱処理材の酸化及び変色を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における雰囲気ガス供給方法及び装置を示す模式図である。
【図2】連続熱処理炉を示す模式図である。
【図3】従来の雰囲気ガス供給装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1;雰囲気ガス発生装置
2,37;分岐管
3,35;バーナー
4,36,38a,38b,40,43,45;導管
5;燃料弁
6;CO計
7,8;信号線
9;制御手段
25a;入側ベスチブル
25b;出側ベスチブル
26;加熱帯
27;冷却帯
31;雰囲気ガス炉
32;断熱材
33;ラジアントチューブ
34a;一端
34b;他端
39a,39b,44;調整弁
41,42;H2O除去装置
61;被熱処理材
Claims (4)
- ラジアントチューブが挿入された雰囲気ガス炉内を前記ラジアントチューブ内に配置されたバーナーにより加熱されたガスにより加熱し、前記ラジアントチューブから排出された排気ガスと、雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼により発生した雰囲気ガスとを混合して混合雰囲気ガスとし、この混合雰囲気ガスを前記雰囲気ガス炉内に供給すると共に、前記混合雰囲気ガスの化学成分を測定し、得られた測定結果に基づいて、前記雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼を制御して、前記混合雰囲気ガスの化学成分を制御することを特徴とする雰囲気ガス供給方法。
- 前記混合雰囲気ガスの化学成分のうちCOの濃度に基づいて前記バーナーの燃焼を制御することを特徴とする請求項1に記載の雰囲気ガス供給方法。
- 前記雰囲気ガス炉は連続熱処理炉の加熱帯であることを特徴とする請求項1又は2に記載の雰囲気ガス供給方法。
- 雰囲気ガス炉と、この雰囲気ガス炉内に挿入され内部に配置されたバーナーにより加熱されたガスにより前記雰囲気ガス炉内を加熱するラジアントチューブと、バーナーの燃焼により雰囲気ガスを発生させる雰囲気ガス発生装置と、前記雰囲気ガス発生装置からの雰囲気ガスと前記ラジアントチューブから排気される排気ガスとを混合して混合雰囲気ガスとし、この混合雰囲気ガスを前記雰囲気ガス炉内に導入する配管と、この配管を通流する前記混合雰囲気ガスの化学成分を測定する測定器と、この測定器の測定結果に基づいて前記雰囲気ガス発生装置のバーナーの燃焼を制御して前記混合雰囲気ガスの化学成分を制御する制御手段とを有することを特徴とする雰囲気ガス供給装置。
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JP32077495A JP3687695B2 (ja) | 1995-12-08 | 1995-12-08 | 雰囲気ガス供給方法及び装置 |
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