JP3687483B2 - ジョイントコネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジョイントコネクタに関し、詳しくは、上下縦方向および直交する横方向に、端子をマトリクス状に接続でき、種々の回路接続形態に応じて柔軟に対応できるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アースライン等の共通の回路系統に使用される各電線を夫々接続するには、ジョイントコネクタが利用される場合がある。図10は、ジョイントコネクタ100を示し、ジョイントコネクタケース100aには、接続形態に対応させた接続用バスバー200を挿着する一方、接続する各電線Dは端末に端子300を取り付けてコネクタCに挿入して、このコネクタCをジョイントコネクタケース100aに嵌合することで各電線Dの接続を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記ジョイントコネクタ100は構成部品点数が多く、接続回路の種類に応じて種々の接続用バスバー200やジョイントコネクタケース100aを準備する必要があり、また、接続回路の変更を行う場合には、接続用バスバー200を形成し直す必要があり、容易に回路変更に対応出来ない問題があった。
【0004】
また、ワイヤハーネスを組み立てる場合、まず、図11に示すように、サブハーネス(仮結束ハーネス)K−1〜3を仮結束するが、その際、他の仮結束ハーネスに接続される電線端末の端子T−1〜3はコネクタに未挿入の状態となり、所謂、後入れ端子となる。これら仮結束ハーネスは組立図板上において本結束され、其の際に上記後入れ端子が他の仮結束ハーネスのコネクタに挿入される。よって、本結束時に、端子の後入れ工程が必須となるので、組立の効率化を図れない問題がある。また、仮結束ハーネスと本結束のワイヤハーネスW/Hの組立は別の箇所で行われていることがほとんどであるため、上記仮結束ハーネスK−1〜3の後入れとなる未挿入の端子T−1〜3端子が搬送時等に、変形や損傷を受けやすくなり、損傷等受けるとコネクタへの挿入が困難となり端子挿入が確実に行えないおそれもある。
【0005】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、接続回路の変更に容易に対応できると共に、仮結束ハーネスでの後入れ端子を無くすことを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、電線端末に接続される電線接続部を備えた基板部と、該基板部の前部に形成した雌端子部と、該雌端子部から前方に延出された後に折り返されるジョイント部を備えた端子を、複数個数を並列状態として、上記基板部をキャリアで連続して横方向に連鎖させた連鎖状端子を上記キャリアで切断して所要個数の連鎖状端子として用いると共に上記キャリアで連続されていない同一形状の単線用の端子として用い、
前後方向に貫通する端子収容室が水平方向に一段並設されているコネクタハウジングに上記端子が挿入係止されており、この端子収容室へ収容された端子の上記ジョイント部が上記端子収容室の前端開口から突出されていると共に該突出されたジョイント部がコネクタハウジングの外部において折り返されており、該折り返されて形成される雄端子部が、該コネクタハウジングに積層される他のコネクタハウジング内の上記端子の雌端子部に挿入係止されており、端子の横方向連鎖と上下端子の雌雄端子部との嵌合で、端子を横方向および縦方向に接続されているジョイントコネクタを提供している。
【0007】
上記連鎖状端子はキャリアで切断することにより、所要個数の端子を連鎖した状態とすることができる。
【0008】
上記連鎖状端子は、従来の複数の端子接続部を有する接続用バスバーと同様に機能し、そのジョイント部で上下に積層する端子と接続することにより、これら端子を連鎖状端子を介して互いに接続させることができる。
このように、連鎖状端子を設けておくことにより、接続回路が増減した場合、キャリアの切断位置を変更すれば良いだけであり、回路変更に容易に対応できる。
【0009】
上記基板部に電線端末に接続される電線接続部には、電線を圧着あるいは圧接させて接続させる。また、電線の絶縁被覆部にはバレルをかしめ圧着させ、芯線は圧接刃で圧接接続させる構成としてもよい。
【0011】
上記のジョイントコネクタを構成する各コネクタハウジングは、上下積層するコネクタハウジング間で互いに摺動されるガイド部を備え、一方のコネクタハウジングに収容した端子のジョイント部を折り返して形成した雄端子部に対して、他方のコネクタハウジングが摺動しながら雄端子部を収容し、内部に収容している端子の雌型端子部と嵌合接続可能としている。また、端子を嵌合した位置で、上下積層状態でロック結合されるようにしている。
【0012】
上記した上下に積層して組む付けるコネクタハウジングは、最上段等のコネクタハウジングに電線と接続していない連鎖状端子のみを収容し、該連鎖状端子を他段のコネクタハウジングに収容された単線回路用の端子と雌雄端子部を嵌合接続して、ジョイント用端子としてのみ用いてもよい。
また、連鎖状端子に電線を接続しておき、ジョイント用端子のみでなく、電線接続用の端子として用い、該連鎖状端子に接続した電線を他段の電線に接続した端子と上下接続してもよい。
【0013】
上記連鎖状端子を収容するコネクタハウジングは、キャリア部を貫通させる溝を端子収容室を仕切る隔壁の後端に設けている。
【0014】
上記した各コネクタハウジングには、仮結束ハーネスのジョイントする端子を収容しておき、本結束時に他の仮結束ハーネスに接続したコネクタハウジングと組み立てることにより端子接続もなされる。よって、本結束工程での端子の後入れを無くすことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1はジョイントコネクタ1を示し、複数の端子収容室2を水平方向に並設した一段のみ有するコネクタハウジング3を上下に5段積み上げてブロック体4を構成し、該ブロック体4の前面にカバー部材5を被せる構成としている。これら各コネクタハウジング3内に収容される端子はそれぞれ仮結束ハーネスに予め接続さた端子からなり、本結束時において仮結束ハーネス毎に接続したコネクタハウジング3を上下積層して組み立てている。
【0016】
上記コネクタハウジング3は、最上段のコネクタハウジング3Aのみを連鎖端子用のコネクタハウジングとし、他のコネクタハウジング3Bは単線回路端子用のコネクタハウジングとしている。該単線回路端子用のコネクタハウジング3Bには図2に示す1本の電線に接続される単線回路用の端子6を挿入係止している。上記連鎖端子用のコネクタハウジング3Aには図3に示す連鎖状端子60を挿入係止しており、該連鎖状端子60には電線を接続しておらず、ジョイント用としてのみ用いている。
【0017】
まず、単線回路用の端子6について説明すると、該端子6は、本出願人の出願に係わる特願平11−274988号に開示の端子と同様な形状で、導電性金属板を打抜加工後に折曲加工して製造している。該端子6は、後端部には電線wの被覆をかしめ圧着する左右一対のインシュレーションバレル6aを備え、その前側には電線端末に圧接される圧接部6bを備え、該圧接部6bが電線wの被覆に切り込みんで芯線と接触される。圧接部6bの前部に雌端子部6cを設け、さらに、該雌端子部6cの前端よりジョイント部6dを前方へ延在させている。該ジョイント部6dは図2(B)に示すように直角に屈折した後、さらに図2(C)に示すように後方へと折り返し、この折り返された水平部がタブ形状の雄端子部6eとなる。
【0018】
上記ジョイント部6dを折り返して形成する雄端子部6dは、コネクタハウジング3を上下積層した状態で、上段のコネクタハウジングの端子収容室内に前端開口から挿入し、内部に挿入係止されている端子6および連鎖端子60の雌端子部6c、61cに嵌合して、電気接続がなされるものである。
【0019】
なお、上記端子6は、上下で回路接続しない場合には、ジョイント部6dを切断して図2(D)に示す形態として用いている。
【0020】
連鎖状端子60は、図3に示すように、上記端子6と略同一形状の各端子部61をキャリア62で連続した形状である。よって、各端子部61は基板部61fよりインシュレーションバレル61a、圧接部61b、雌端子部61cを突出させて設けると共に、雌端子部61cの前端よりジョイント部61dを延在させており、該ジョイント部61dは前記図2(B)(C)と同様に、直角に屈折した後、後方へと折り返してタブ形状の雄端子部61eを設けている。
【0021】
また、基板部61fはインシュレーションバレル61aの突設位置よりも後方へ延在させ、これら端子部61を並列させた状態で、後方延在部の間にキャリア62で連結して連鎖形状としている。キャリア62は金属板の打抜状態では平板形状であるが、屈折させて端子部61の間隔をコネクタハウジング3の端子収容室に各端子部61が収容できる間隔に調整している。
【0022】
上記キャリア62を切断することで、連鎖される端子部61の個数を調節している。なお、本実施形態では、連鎖状端子60はジョイント用のみとして用いているため、連鎖される端子部61の個数は2以上の複数個となる。
【0023】
上記端子6を収容するコネクタハウジング3Bは、図4に示す構造で、合成樹脂で一体成形している。その内部には複数の端子収容室2が水平方向に一段、それぞれ前後方向に貫通させて、前後両端を開口としている。後方開口2aは上記端子6の挿入用である。前端開口は上下2段にわかれ、上段の開口2bからは端子6のジョイント部6dを突出させるようにし、下段の開口2cからは他の端子の雄端子部(図示せず)を挿入可能としている。また、各端子収容室2の上壁には、端子係止用の係止孔2dを設けている。
【0024】
連鎖端子用のコネクタハウジング3Aは、図5に示す構造で、端子収容室2を仕切る隔壁2fに貫通した溝2gを後端面から切欠いて形成し、キャリア62を収容出来るようにしている。他の構成はコネクタハウジング3Bと同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0025】
また、各コネクタハウジング3A、3Bは摺動自在に嵌合する凹溝2hと突条2iを設け、これら凹溝2hに突条2iを嵌合して摺動させることにより、コネクタハウジングを上下に積層出来るようにしている。さらに、各コネクタハウジング3の上面において一対のロック凹部2jを凹設し、カバー部材5に設けたロック突部5aと蟻嵌合させるようにしている。
【0026】
上記コネクタハウジング3Bの各端子収容室には、電線wに接続された端子6を挿入に係止する。挿入後に、前端開口から突出したジョイント部6cを図2(B)から(C)に示すように折り曲げて、ジョイント部6cを折り返して形成した雄端子部6eをコネクタハウジング3Bの上壁上方に水平に位置させる。
このようにして、図6に示すように、コネクタハウジング3Bの内部に端子6を収容して、ジョイント部6dを折り返した状態としたものを上下方向に積み重ねていく。
【0027】
図7(A)に示すように、コネクタハウジング3Bを上下に積層していくと、下段の端子6の雄端子部6eを上段の端子6の雌端子部6cに嵌合して、上下方向において端子6が接続される。このようにして、上下積層するコネクタハウジング3B内の端子6は所要個数、上下縦方向に接続させていくことができる。
【0028】
最上段には連鎖端子専用のコネクタハウジング3Aを積層する。該コネクタハウジング3Aの各端子収容室には連鎖状端子60の端子部61を挿入係止している。該連鎖状60は、本実施形態では、3個の端子部61を連鎖させた連鎖状端子60Aと、4個の端子部61を連鎖させた連鎖状端子60Bとを2つ用いている。また、本実施形態では最上段に配置するため、連鎖状端子60の各端子部61のジョイント部61dは切断している。
【0029】
最上段にコネクタハウジング3Aを積層すると、図7(B)に示すように、その下の上から2段目のコネクタハウジング3Bに収容された端子6の雄端子部6eが連鎖状端子60の各端子部の雌端子部61cに挿入して、電気接続される。その結果、コネクタハウジング3A、3Bに収容する端子6、60の接続形態は図8に示す形態となる。
【0030】
なお、端子6を収容するコネクタハウジング3Bにもキャリア収容用の切欠を設けておくと、連鎖状端子をコネクタハウジング3Bの空きの端子収容室に挿入して、図9に示す回路接続形態とすることができる。
即ち、上下積層するコネクタハウジング3Bの端子収容室に連鎖状端子60を収容すると、該連鎖状端子60の所要の端子部61のジョイント部61dを折り曲げて雄端子部61eを形成すると、上段の端子6と接続することができ、連鎖状端子60により横方向及び上下縦方向の接続を取ることができる。
【0031】
また、連鎖状端子60の各端子部61にも電線wを接続しておくと、これら電線wを横方向にキャリアを介して接続出来ると共に、ジョイント部を介して、他のコネクタハウジング内の端子と上下で接続することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の連鎖状端子を用いると、キャリアを介して横方向に端子を接続できると共に、各端子部のジョイント部により上下積層した端子同士の接続を図ることができる。
【0033】
また、回路構成に従って、単線回路用の端子を収容したコネクタハウジングと、連鎖状端子を収容したコネクタハウジングとを組み合わせることにより、上下縦方向および横方向の接続を任意の位置で且つ任意の個数だけ簡単に端子同士をマトリクス状に接続することができ、回路構成に容易にさせることができる。
【0034】
このように、回路変更があっても、バスバーを変更する必要がなく、端子の接続形態を代えるだけでよいため、コストがかからず、かつ、迅速に回路変更に対応させることできる。
【0035】
また、各コネクタハウジングを仮結束ハーネスの電線端末に接続しておくと、本結束工程において、これらコネクタハウジングを積層して、コネクタハウジング内に収容されている端子同士を接続することができる。よって、本結束工程における端子の後入れを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかるジョイントコネクタを示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図2】 (A)(B)(C)(D)は単線回路接続用の端子を示す図面である。
【図3】 連鎖状端子の斜視図である。
【図4】 (A)は単線回路用端子を収容するコネクタハウジングを示す平面図、(B)は断面図、(C)は積層状態の側面図である。
【図5】 連鎖状端子を収容するコネクタハウジングの要部断面斜視図である。
【図6】 (A)はコネクタハウジングに端子を挿入した状態を示す斜視図、(B)はコネクタハウジングを積層する方法を示す斜視図である。
【図7】 (A)(B)は積層したコネクタハウジングの断面図である。
【図8】 接続形態を示す概略図である。
【図9】 他の接続形態を示す概略図である。
【図10】 従来のジョイントコネクタの斜視図である。
【図11】 従来の仮結束ハーネスと本結束のワイヤハーネスの組立を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ジョイントコネクタ
2 端子収容室
3 コネクタハウジング
5 カバー部材
6 端子
6c 雌端子部
6d ジョイント部
6e 雄端子部
60 連鎖状端子
61 端子部
61c 雌端子部
61d ジョイント部
61e 雄端子部
62 キャリア
w 電線
Claims (1)
- 電線端末に接続される電線接続部を備えた基板部と、該基板部の前部に形成した雌端子部と、該雌端子部から前方に延出された後に折り返されるジョイント部を備えた端子を、複数個数を並列状態として、上記基板部をキャリアで連続して横方向に連鎖させた連鎖状端子を上記キャリアで切断して所要個数の連鎖状端子として用いると共に上記キャリアで連続されていない同一形状の単線用の端子として用い、
前後方向に貫通する端子収容室が水平方向に一段並設されているコネクタハウジングに上記端子が挿入係止されており、この端子収容室へ収容された端子の上記ジョイント部が上記端子収容室の前端開口から突出されていると共に該突出されたジョイント部がコネクタハウジングの外部において折り返されており、該折り返されて形成される雄端子部が、該コネクタハウジングに積層される他のコネクタハウジング内の上記端子の雌端子部に挿入係止されており、端子の横方向連鎖と上下端子の雌雄端子部との嵌合で、端子を横方向および縦方向に接続されているジョイントコネクタ。
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