JP3687415B2 - 電気光学装置の製造方法、電気光学装置及び投射型表示装置 - Google Patents

電気光学装置の製造方法、電気光学装置及び投射型表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体層に対応する位置に遮光層が形成された電気光学装置の製造方法、当該電気光学装置及び当該電気光学装置を有する投射型表示装置の技術分野に属し、特に遮光性の高い遮光膜を形成することができる電気光学装置の製造方法、当該電気光学装置及び当該電気光学装置を有する投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気光学装置の一つである液晶装置が液晶プロジェクタ等にライトバルブとして用いられる場合には一般に、液晶層を挟んでTFTアレイ基板に対向配置される対向基板の側から投射光が入射される。ここで、投射光がTFTのa−Si(アモルファスシリコン)膜やp−Si(ポリシリコン)膜の半導体層から構成されたチャネル形成用の領域に入射すると、この領域において光電変換効果により光電流が発生してしまい、TFTのトランジスタ特性が劣化する。このため、対向基板には、各TFTに夫々対向する位置に、Cr(クロム)などの金属材料や樹脂ブラックなどからブラックマトリクス或いはブラックマスクと呼ばれる遮光膜が形成されるのが一般的である。この遮光膜は、各画素の開口領域(即ち、投射光が透過する領域)を規定することにより、TFTのp−Si層に対する遮光の他に、コントラストの向上、色材の混色防止などの機能を果たしている。
【0003】
この種の液晶装置においては、特にトップゲート構造(即ち、TFTアレイ基板上においてゲート電極がチャネルの上側に設けられた構造)を採る正スタガ型又はコプラナー型のa−Si又はp−SiTFTを用いる場合には、投射光の一部が液晶プロジェクタ内の投射光学系により戻り光として、TFTアレイ基板の側からTFTのチャネルに入射するのを防ぐ必要がある。同様に、投射光が通過する際のTFTアレイ基板の表面からの反射光や、更にカラー用に複数の液晶装置を組み合わせて使用する場合の他の液晶装置から出射した後に投射光学系を突き抜けてくる投射光の一部が、戻り光としてTFTアレイ基板の側からTFTのチャネルに入射するのを防ぐ必要もある。このために、特開平9−127497号公報、特公平3−52611a号公報、特開平3−125123号公報、特開平8−1711a01号公報等では、石英基板等からなるTFTアレイ基板上においてTFTに対向する位置(即ち、TFTの下側)にも、例えば不透明な高融点金属から遮光膜を形成した液晶装置を提案している。
【0004】
TFTアレイ基板上においてTFTに対向する位置に遮光膜を形成する場合、遮光膜の材料として例えば不透明な高融点金属であるTi(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)及びPb(鉛)のうち少なくとも一つを含む金属単体、合金、金属シリサイドなどが用いられている。そして、この遮光膜を覆うようにNSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンシリケートガラス)などのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる絶縁膜を形成した後、熱処理を施し、その後絶縁膜上に半導体層を形成している。この熱処理工程は、絶縁膜の平坦化及び半導体膜への汚染の防止のため、例えば約1000℃の温度条件で行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えばWSiからなる遮光膜を上記のよう温度条件で加熱処理を施した場合には透過率が例えば600nmの波長で2.4%程度となり、このような遮光膜を有する液晶装置を液晶プロジェクタの液晶バルブに用いた場合には遮光性が不十分になる、という課題がある。特に、遮光性が不十分であるときには600nm付近の赤色光域においてコントラストが著しく低下する、という課題がある。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、遮光性の高い遮光膜を有する電気光学装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置及び製造装置は、上記課題を解決するために、基板上に金属を有する遮光膜を形成する工程と、少なくとも前記遮光膜を覆うように無機絶縁膜を形成する工程と、前記遮光膜及び無機絶縁膜が形成された基板を1000℃より高く1200℃以下の温度範囲で熱処理する熱処理工程と、前記基板上の前記遮光膜に対応する位置に半導体層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明のこのような構成によれば、遮光膜として金属を有する材料を用い、これを覆うように無機絶縁膜を形成して、特定の温度範囲で熱処理を行うことにより、半導体層のチャネル領域に入射する光を遮光する遮光膜の遮光性を高めるという効果を有する。これにより、半導体層のチャネル領域に入射される戻り光等の光に対する遮光性を高くし、半導体層を有する薄膜トランジスタの特性劣化を防止できる。熱処理は1000℃より高く1200℃以下という高温度の範囲で行うことを特徴としており、1000℃以下で形成すると十分な遮光性が得られず、1200℃より高い温度で形成すると基板の耐熱性に影響を及ぼし基板のそりが生じるなどの不具合が生じる。ここで、遮光膜としては、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)及びPb(鉛)などのうち少なくとも一つを含む金属単体、合金、金属シリサイドなどを用いることができる。無機絶縁膜としては、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンシリケートガラス)などのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる絶縁膜金属などを用いることができる。
【0009】
また、前記遮光膜はタングステンシリサイドを有することを特徴とする。また、前記無機絶縁膜はノンドープシリケートガラスであることを特徴とする。このような構成によれば、透過率を0.8%程度に落とすことができ、十分な遮光性をえることができる。更に、遮光膜がタングステンシリサイドを有する場合に、特に好ましい製造方法となる。すなわち、遮光膜としてWSi(タングステンシリサイド)を用い、これを覆うようにNGS(ノンドープシリケートガラス)を形成した状態で、特定の温度範囲で熱処理を行うことにより、遮光膜であるWSiの遮光性を高くすることができる。これにより、半導体層のチャネル領域に入射される戻り光等の光に対する遮光性を高くし、半導体層を有する薄膜トランジスタの特性劣化を防止できる。
【0010】
また、本発明は、前記熱処理工程における処理温度を約1100以上1150℃以下で行うことが望ましい。このような構成によれば、基板のそりを防止しつつ、0.8%程度の高い遮光性を有する遮光膜を得ることができる。
【0011】
更に、本発明は、基板として石英基板を用いることが望ましい。このような構成によれば、1200℃という高温度の処理条件にも耐えうるという効果を有する。また、本発明は、前記熱処理工程を30分以上120分以下、更に好ましくは50分以上80分以下の範囲で行うことが望ましい。このような構成によれば、より遮光性の高い遮光膜を得るという効果を有する。熱処理時間が30分より短いと十分な遮光性が得られず、120分よりも長いと高温度でかつ長時間の加熱処理に対する基板の耐熱性が不十分となり基板のそりが生じてしまう。更に、50分以上処理することにより、例えば30分の処理と比較して、透過率を0.8%上げることができる。また、約80分以上の処理では透過率はほとんど変化しないため、80分以下で処理を行うことにより効率よく遮光性の高い遮光膜を得ることができる。
【0012】
更に、本発明は、NSGは、遮光膜と薄膜トランジスタとの間に介在する層間絶縁膜であることを有することが望ましい。このような構成によれば、NSGが遮光膜を覆うように絶縁膜を形成した後に熱処理をする場合の絶縁膜の役割と、遮光膜と薄膜トランジスタとを絶縁するための絶縁膜の役割を兼ねることができ、それぞれ別に絶縁膜を形成するという工程を削減するという効果を有する。
【0013】
本発明の投射型表示装置は、光源と、入射光を投射する光学系と、前記光源と前記光学系との間に介挿され、前記光源からの光を変調して前記光学系に導く、上述した電気光学装置を有するライトバルブとを具備することを特徴とする。このような構成によれば、戻り光による薄膜トランジスタへの影響を防ぐという効果を有し、表示特性の良い投射型表示装置を得ることができる。
【0014】
本発明の投射型表示装置は、光源と、該光源からの光を赤、緑、青の色光に分離する色分離手段と、前記色分離手段により分離された各色光をそれぞれ変調する複数のライトバルブと、該複数のライトバルブにより変調された光を合成する色合成手段と、該色合成手段により合成された光を投射する投射手段とを具備し、前記複数のライトバルブのうち、前記赤色に対応するライトバルブは、上述した電気光学装置を有することを特徴とする。このような構成によれば、上述した電気光学装置の遮光膜は、特に赤色光域である波長約600nm付近における遮光性が高くなるため、赤光に対応する液晶ライトバルブに上述の電気光学装置を用いることにより、戻り光による薄膜トランジスタへの影響を防ぐことができるという効果を有する。従って、赤光に対応する液晶ライトバルブのみに上述の電気光学装置を用いても、十分に表示特性の良い投射型表示装置を得ることができる。
【0015】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(電気光学装置の実施形態の構成及び動作)
本発明による電気光学装置の1つである液晶装置の第1実施形態の構成及び動作について、図1から図3を参照して説明する。図1は、液晶装置の画像形成領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。図2は、データ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図3は、図2のA−A’断面図である。尚、図3においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0018】
図1において、本実施の形態による液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素は、マトリクス状に複数形成された画素電極9aと画素電極9aを制御するためのTFT30からなり、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給される。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、薄膜トランジスタであるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板(後述する)に形成された対向電極(後述する)との間で一定期間保持される。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。例えば、画素電極9aの電圧は、データ線に電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量70により保持される。これにより、保持特性は更に改善され、コントラスト比の高い液晶装置が実現できる。本実施の形態では特に、このような蓄積容量70を形成するために、後述の如く導電性の遮光膜を利用して低抵抗化された容量線3bを設けている。
【0019】
図2において、液晶装置のTFTアレイ基板40には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5を介してポリシリコン膜等の半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的接続されており、画素電極9aは、コンタクトホール8を介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域に電気的接続されている。また、半導体層1aのうちチャネル領域(図中右下りの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されている。
【0020】
容量線3bは、走査線3aに沿ってほぼ直線状に伸びる本線部(即ち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中、上向き)に突出した突出部(即ち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。
【0021】
そして、図中右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。より具体的には、第1遮光膜11aは夫々、画素部において半導体層1aのチャネル領域を含むTFTをTFTアレイ基板40の側から見て覆う位置に設けられており、更に、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する段側(即ち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重ねられている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的接続するコンタクトホール13が設けられている。即ち、本実施の形態では、第1遮光膜11aは、コンタクトホール13により前段あるいは後段の容量線3bに電気的接続されている。
【0022】
次に図3の断面図に示すように、液晶装置は、透明な一方の基板の一例を構成するTFTアレイ基板40と、これに対向配置される透明な他方の基板の一例を構成する対向基板60とを備えている。TFTアレイ基板40には、例えば石英基板が用いられ、対向基板60には、例えばガラス基板や石英基板が用いられる。TFTアレイ基板40では、石英基板10上に画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0023】
他方、対向基板60には、例えばガラス基板20の全面に渡って対向電極(共通電極)21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0024】
TFTアレイ基板40には、図3に示すように、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。
【0025】
対向基板60には、更に図3に示すように、各画素部の開口領域以外の領域に第2遮光膜23が設けられている。このため、対向基板60の側から入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層1aのチャネル領域1a’やLDD(Lightly Doped Drain)領域1b及び1cに侵入することはない。更に、第2遮光膜23は、コントラストの向上、色材の混色防止などの機能を有する。
【0026】
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板40と対向基板60との間には、シール材(図示せず)により囲まれた空間に液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態を採る。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材は、二つの基板40及び60をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
【0027】
図3に示すように、画素スイッチング用TFT30に各々対向する位置においてTFTアレイ基板40と各画素スイッチング用TFT30との間には、第1遮光膜11aが各々設けられている。第1遮光膜11aは、例えばWSi(タングステンシリサイド)から構成される。このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の第1遮光膜11aの形成工程の後に行われる画素スイッチング用TFT30の形成工程における高温処理により、第1遮光膜11aが破壊されたり溶融しないようにできる。第1遮光膜11aが形成されているので、TFTアレイ基板40の側からの戻り光等が画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a’やLDD領域1b、1cに入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生により画素スイッチング用TFT30の特性が劣化することはない。
【0028】
更に、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。更に、第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板40の全面に形成されることにより、画素スイッチング用TFT30のための下地膜としての機能をも有する。即ち、TFTアレイ基板40の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。第1層間絶縁膜12は、例えば、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、SiOxからなる。第1層間絶縁膜12により、第1遮光膜11aが画素スイッチング用TFT30等を汚染する事態を未然に防ぐこともできる。詳細な製造方法などについては後述するが、本実施形態におけるWSiからなる遮光膜の光波長600nm付近における透過率は0.8%であり、遮光膜であるWSiを覆うようにNSGを形成した後、1150℃で60分間の加熱処理を施すことにより透過率0.8%の遮光膜を得ている。
【0029】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。より詳細には、半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eが、データ線6a及び走査線3aの下に延設されて、同じくデータ線6a及び走査線3aに沿って伸びる容量線3b部分に絶縁膜2を介して対向配置されて、第1蓄積容量電極(半導体層)1fとされている。特に蓄積容量70の誘電体としての絶縁膜2は、高温酸化によりポリシリコン膜上に形成されるTFT30のゲート絶縁膜2に他ならないので、薄く且つ高耐圧の絶縁膜とすることができ、蓄積容量70は比較的小面積で大容量の蓄積容量として構成できる。
【0030】
更に、蓄積容量70においては、図2及び図3から分かるように、第1遮光膜11aは、第2蓄積容量電極としての容量線3bの反対側において第1蓄積容量電極1fに第1層間絶縁膜12を介して第3蓄積容量電極として対向配置されることにより(図3の右側の蓄積容量70参照)、蓄積容量が更に付与されるように構成されている。即ち、本実施の形態では、第1蓄積容量電極1fを挟んで両側に蓄積容量が付与されるダブル蓄積容量構造が構築されており、蓄積容量がより増加する。よって、当該液晶装置が持つ、表示画像におけるフリッカや焼き付きを防止する機能が向上する。
【0031】
これらの結果、データ線6a下の領域及び走査線3aに沿って液晶のディスクリネーションが発生する領域(即ち、容量線3bが形成された領域)という開口領域を外れたスペースを有効に利用して、画素電極9aの蓄積容量を増やすことが出来る。本実施の形態では特に、各容量線3bと、第1遮光膜11aとが夫々、コンタクトホール13を介して電気的接続されている。このため、容量線3bの抵抗を、第1遮光膜11aの抵抗により顕著に低められる。本実施の形態では、容量線3bは、高抵抗なポリシリコン膜から形成されているので、対角1.3インチや0.9インチ程度の小型の液晶装置の場合でも、数100KΩ程度の抵抗を有するが、第1遮光膜11aは、導電性の高融点金属膜から形成されているので、容量線3bにおける走査線3aに沿った方向の抵抗は、大幅に低抵抗化され、遮光膜11aをWSiで形成した場合、シート抵抗がポリシリコン膜の1/3以下に低減できる。さらに、本実施例では、例えば1000℃以上の熱処理を行うことによりシート抵抗もしくは抵抗率の更なる低下を行うことが可能になる。例えば1000℃で熱処理することによりシート抵抗を7Ω、1150℃で熱処理することによりシート抵抗を6Ωとすることができる。
【0032】
本実施の形態では特に、第1遮光膜11a(及びこれに電気的接続された容量線3b)は定電位源に電気的接続されており、第1遮光膜11a及び容量線3bは、定電位とされる。従って、第1遮光膜11aに対向配置される画素スイッチング用TFT30に対し第1遮光膜11aの電位変動が悪影響を及ぼすことはない。また、容量線3bは、蓄積容量70の第2蓄積容量電極として良好に機能し得る。この場合、定電位源としては、当該液晶装置を駆動するための周辺回路(例えば、走査線駆動回路、データ線駆動回路等)に供給される負電源、正電源等の定電位源、接地電源、対向電極21に供給される定電位源等が挙げられる。このように周辺回路等の電源を利用すれば、専用の電位配線や外部入力端子を設ける必要なく、遮光膜11a及び容量線3bを定電位にできる。
【0033】
また、図2及び図3に示したように、本実施の形態では、コンタクトホール13を介して第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的接続されている。第1遮光膜11aは、前述のように直線状に伸びる本線部から突出した突出部にコンタクトホール13が開孔されている。
【0034】
更に本実施の形態では特に、第1遮光膜11aは、チャネル領域1a’を覆う位置を除き、走査線3aに対向する位置には形成されていない。従って、第1遮光膜11aと各走査線3aとの間の容量カップリングが実践上殆ど又は全く生じないので、走査線3aにおける電位変動により、第1遮光膜11aにおける電位揺れが発生することはなく、その結果、容量線3bにおける電位揺れも発生しない。
【0035】
尚、本実施形態では、相隣接する前段あるいは後段の画素に設けられた容量線3bと第1遮光膜11aとを接続しているため、最上段あるいは最下段の画素に対して第1遮光膜11aに定電位を供給するための容量線3bが必要となる。そこで、容量線3bの数を垂直画素数に対して1本余分に設けておくようにすると良い。
【0036】
これらに加えて本実施の形態によれば、異物等により容量線3bが途中で断線しても、第1遮光膜11aが容量線3bの代わりになるという、冗長構造が実現されている。即ち、容量線3bが途中で断線しても断線部の両側がコンタクトホール13を介して第1遮光膜11aにより相互に電気的接続されていれば、実用上の問題は生じない。従って、本実施の形態によれば、不良品率が低く、信頼性の高い高品位の画像表示が可能な液晶装置を実現できる。
【0037】
また、容量線3bと走査線3aとは、同一のポリシリコン膜からなり、蓄積容量70の誘電体膜とTFT30のゲート絶縁膜2とは、同一の高温酸化膜からなり、第1蓄積容量電極1fと、TFT30のチャネル形成領域1a’、低濃度ソース領域1b、高濃度ソース領域1d、高濃度ドレイン領域1e、低濃度ドレイン領域1c等とは、同一の半導体層1aからなり、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。このため、TFTアレイ基板10上に形成される積層構造を単純化でき、更に、後述の液晶装置の製造方法において、同一の薄膜形成工程で容量線3b及び走査線3aを同時に形成でき、蓄積容量70の誘電体膜及びゲート絶縁膜2を同時に形成できる。
【0038】
更に、本実施の形態では特に、第1遮光膜11aは、走査線3aに沿って夫々伸延しており、しかも、データ線6aに沿った方向に対し複数の縞状に分断されている。このため、例えば各画素部の開口領域の周りに一体的に形成された格子状の遮光膜を配設した場合と比較して、第1遮光膜11a、走査線3a及び容量線3bを形成するポリシリコン膜、データ線6aを形成する金属膜、層間絶縁膜等からなる当該液晶装置の積層構造において、各膜の物性の違いに起因した製造プロセス中の加熱冷却に伴い発生するストレスが格段に緩和される。このため、第1遮光膜11a等におけるクラックの発生防止や歩留まりの向上が図られる。
【0039】
尚、図2では、第1遮光膜11aにおける直線状の本線部分は、容量線3bの直線状の本線部分にほぼ重ねられるように形成されているが、第1遮光膜11aが、TFT30のチャネル領域を覆う位置に設けられており且つコンタクトホール13を形成可能なように容量線3bと何れかの箇所で重ねられていれば、TFTに対する遮光機能及び容量線に対する低抵抗化機能を発揮可能である。従って、例えば相隣接した走査線3aと容量線3bとの間にある走査線に沿った長手状の間隙領域や、走査線3aと若干重なる位置にまでも、当該第1遮光膜11aを設けてもよい。
【0040】
本実施の形態では、容量線3bと第1遮光膜11aとは、第1層間絶縁膜12に開孔されたコンタクトホール13を介して確実に且つ高い信頼性を持って、両者は電気的接続されているが、このようなコンタクトホール13は、画素毎に開孔されても良く、複数の画素からなる画素グループ毎に開孔されても良い。
【0041】
コンタクトホール13を画素毎に開孔した場合には、第1遮光膜11aによる容量線3bの低抵抗化を促進でき、更に、両者間における冗長構造の度合いを高められる。他方、コンタクトホール13を複数の画素からなる画素グループ毎に(例えば2画素毎に或いは3画素毎に)開孔した場合には、容量線3bや第1遮光膜11aのシート抵抗、駆動周波数、要求される仕様等を勘案しつつ、第1遮光膜11aによる容量線3bの低抵抗化及び冗長構造による利益と、多数のコンタクトホール13を開孔することによる製造工程の複雑化或いは当該液晶装置の不良化等の弊害とを適度にバランスできるので、実践上大変有利である。
【0042】
また、本実施の形態では特に、このような画素毎或いは画素グループ毎に設けられるコンタクトホール13は、対向基板60の側から見てデータ線6aの下に開孔されている。このため、コンタクトホール13は、画素部の開口領域から外れており、しかもTFT30や第1蓄積容量電極1fが形成されていない第1層間絶縁膜12の部分に設けられているので、画素領域の有効利用を図りつつ、コンタクトホール13の形成によるTFT30や他の配線等の不良化を防ぐことができる。
【0043】
再び、図3について説明する。本実施の形態では特にデータ線6aは、Al等の金属膜や金属シリサイド等の合金膜などの遮光性の薄膜から構成されている。また、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び第1層間絶縁膜12の上には、第2層間絶縁膜4が形成されている。TFT30の高濃度ソース領域1dは第2層間絶縁膜4及びゲート絶縁膜2に形成されたコンタクトホール5を介して、データ線6aに電気的接続されている。更に、データ線6a及び第2層間絶縁膜4の上には、第3層間絶縁膜7と画素電極9aが形成されている。画素電極9aは第3層間絶縁膜7、第2層間絶縁膜4及びゲート絶縁膜2に形成されたコンタクトホール8を介して高濃度ドレイン領域1eに電気的接続されている。
【0044】
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。
【0045】
ここで、一般には、半導体層1aのチャネル領域1a’、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c等のポリシリコン層は、光が入射するとポリシリコンが有する光電変換効果により光電流が発生してしまい画素スイッチング用TFT30のトランジスタ特性が劣化するが、本実施の形態では、走査線3aを上側から覆うようにデータ線6aがAl等の遮光性の金属薄膜から形成されているので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cへの入射光の入射を効果的に防ぐことが出来る。また、前述のように、画素スイッチング用TFT30の下側には、第1遮光膜11aが設けられているので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cへの戻り光の入射を効果的に防ぐことが出来る。
【0046】
(電気光学装置の製造プロセス)
次に、以上のような構成を持つ液晶装置の第1実施形態の製造プロセスについて、図4から図6を参照して説明する。尚、図4から図6は各工程におけるTFTアレイ基板側の各層を、図3と同様に図2のA−A’断面に対応させて示す工程図である。
【0047】
図6の工程(1)に示すように、石英基板10を用意する。ここで、好ましくはN(窒素)等の不活性ガス雰囲気且つ約900〜1200℃の高温でアニール処理し、後に実施される高温プロセスにおけるTFTアレイ基板40に生じる歪みが少なくなるように前処理しておく。即ち、製造プロセスにおける最高温で高温処理される温度に合わせて、事前にTFTアレイ基板10を同じ温度かそれ以上の温度で熱処理しておく。
【0048】
このように処理されたTFTアレイ基板10の全面に、WSiを、スパッタにより、100〜400nm程度の層厚、本実施形態においては200nmの層厚の遮光膜11を形成する。
【0049】
続いて、工程(2)に示すように、該形成された遮光膜11a上にフォトリソグラフィにより第1遮光膜11aのパターン(図2参照)に対応するレジストマスクを形成し、該レジストマスクを介して遮光膜11aに対しエッチングを行うことにより、第1遮光膜11aを形成する。
【0050】
次に工程(3)に示すように、第1遮光膜11aの上に、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOS(テトラエチルオルソシリケート)ガスを用いて、NSG(ノンドープシリケートガラス)としてSiOからなる第1層間絶縁膜12を形成する。この第1層間絶縁膜12の層厚は、例えば、約500〜800nmが好ましく、本実施形態においては、800nmとする。NSG形成後、既に600〜900℃に加熱した炉内に基板を投入し、5℃/分の割合で、高温時の処理温度である1150℃まで炉内の温度を上昇させ、1150℃の温度で60分間、炉内の温度を保持した後、5℃/分の割合で600〜900℃まで炉内の温度を下降させ、基板を炉内から搬出する。この結果、透過率が0.8%のWSiからなる遮光膜を得ることができる。高温時の処理温度としては1000℃より高く1200℃以下であればよく、好ましくは1100℃より高く、1150℃以下であれば良い。更に高温時の処理時間としては30分以上120分、より好ましくは50分以上80分以下であればよい。尚、本実施形態においては炉内の温度上昇レート及び温度下降レートを5℃/分としたが、例えば2〜30℃/分としても良い。
【0051】
次に工程(4)に示すように、第1層間絶縁膜12の上に、約450〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、流量約400〜600cc/minのモノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD(例えば、圧力約20〜40PaのCVD)により、アモルファスシリコン膜を形成する。その後、窒素雰囲気中で、約600〜700℃にて約1〜10時間、好ましくは、4〜6時間のアニール処理を施することにより、ポリシリコン膜1を約50〜200nmの厚さ、好ましくは約100nmの厚さとなるまで固相成長させる。
【0052】
この際、図3に示した画素スイッチング用TFT30として、pチャネル型の画素スイッチング用TFT30を作成する場合には、当該チャネル領域にSb(アンチモン)、As(砒素)、P(リン)などのV族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープしても良い。また、画素スイッチング用TFT30をnチャネル型とする場合には、B(ボロン)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)などのIII族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープしても良い。尚、アモルファスシリコン膜を経ないで、減圧CVD法等によりポリシリコン膜1を直接形成しても良い。或いは、減圧CVD法等により堆積したポリシリコン膜にシリコンイオンを打ち込んで一旦非晶質化(アモルファス化)し、その後アニール処理等により再結晶化させてポリシリコン膜1を形成しても良い。
【0053】
次に工程(5)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図2に示した如き所定パターンの半導体層1aを形成する。即ち、特にデータ線6a下で容量線3bが形成される領域及び走査線3aに沿って容量線3bが形成される領域には、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aから延設された第1蓄積容量電極1fを形成する。
【0054】
次に工程(6)に示すように、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aと共に第1蓄積容量電極1fを約900〜1200℃の温度、好ましくは約1000〜1150℃の温度により熱酸化することにより、約30nmの比較的薄い厚さの熱酸化シリコン膜を形成し、更に減圧CVD法等により高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜を約50nmの比較的薄い厚さに堆積し、多層構造を持つ画素スイッチング用TFT30のゲート絶縁膜2と共に容量形成用のゲート絶縁膜2を形成する(図3参照)。この結果、半導体層1a及び第1蓄積容量電極1fの厚さは、約30〜150nmの厚さ、好ましくは約35〜50nmの厚さとなり、ゲート絶縁膜2の厚さは、約20〜150nmの厚さ、好ましくは約30〜100nmの厚さとなる。このように高温熱酸化時間を短くすることにより、特に8インチ程度の大型ウエーハを使用する場合に熱によるそりを防止することができる。但し、ポリシリコン層1を熱酸化することのみにより、単一層構造を持つゲート絶縁膜2を形成してもよい。
【0055】
尚、工程(6)において特に限定されないが、第1蓄積容量電極1fとなる半導体層部分に、例えば、Pイオンをドーズ量約3×1012/cmでドープして、低抵抗化させてもよい。
【0056】
次に、工程(7)において、第1層間絶縁膜12に第1遮光膜11aに至るコンタクトホール13を反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。この際、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチングのような異方性エッチングにより、コンタクトホール13等を開孔した方が、開孔形状をマスク形状とほぼ同じにできるという利点がある。但し、ドライエッチングとウエットエッチングとを組み合わせて開孔すれば、これらのコンタクトホール13等をテーパ状にできるので、配線接続時の断線を防止できるという利点が得られる。
【0057】
次に工程(8)に示すように、減圧CVD法等によりポリシリコン層3を堆積した後、リン(P)を熱拡散し、ポリシリコン膜3を導電化する。又は、Pイオンをポリシリコン膜3の成膜と同時に導入したドープトシリコン膜を用いてもよい。
【0058】
次に、図7の工程(9)に示すように、レジストマスクを用いたフォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図2に示した如き所定パターンの走査線3aと共に容量線3bを形成する。これらの容量線3b及び走査線3aの層厚は、例えば、約350nmとされる。
【0059】
次に工程(10)に示すように、図3に示した画素スイッチング用TFT30をLDD構造を持つnチャネル型のTFTとする場合、半導体層1aに、先ず低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成するために、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、PなどのV族元素のドーパント60を低濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1013/cmのドーズ量にて)ドープする。これにより走査線3a下の半導体層1aはチャネル領域1a’となる。この不純物のドープにより容量線3b及び走査線3aも低抵抗化される。
【0060】
続いて、工程(11a)に示すように、画素スイッチング用TFT30を構成する高濃度ソース領域1b及び高濃度ドレイン領域1cを形成するために、走査線3aよりも幅の広いマスクでレジスト層62を走査線3a上に形成した後、同じくPなどのV族元素のドーパント61を高濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1015/cmのドーズ量にて)ドープする。また、画素スイッチング用TFT30をpチャネル型とする場合、半導体層1aに、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、BなどのIII族元素のドーパントを用いてドープする。尚、例えば、低濃度のドープを行わずに、オフセット構造のTFTとしてもよく、走査線3aをマスクとして、Pイオン、Bイオン等を用いたイオン注入技術によりセルフアライン型のTFTとしてもよい。
【0061】
この不純物のドープにより容量線3b及び走査線3aも更に低抵抗化される。
【0062】
また、工程(10)及び工程(11a)を再度繰り返し、B(ボロン)イオンなどのIII族元素のドーパントを行うことにより、pチャネル型TFTを形成することができる。これにより、nチャネル型TFT及びpチャネル型TFTから構成される相補型構造を持つデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104を液晶装置用基板10上の周辺部に形成することが可能となる。このように、本実施の形態において画素スイッチング用TFT30は半導体層をポリシリコンで形成するので、画素スイッチング用TFT30の形成時にほぼ同一工程で、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104を形成することができ、製造上有利である。
【0063】
次に工程(12)に示すように、画素スイッチング用TFT30における走査線3aと共に容量線3b及び走査線3aを覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁膜4を形成する。第2層間絶縁膜4の層厚は、約500〜1500nmが好ましい。
【0064】
次に工程(13)の段階で、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを活性化するために約1000℃のアニール処理を20分程度行った後、データ線31に対するコンタクトホール5を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。また、走査線3aや容量線3bを図示しない配線と接続するためのコンタクトホールも、コンタクトホール5と同一の工程により第2層間絶縁膜4に開孔する。
【0065】
次に図8の工程(14)に示すように、第2層間絶縁膜4の上に、スパッタ処理等により、遮光性のAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等を金属膜6として、約100〜500nmの厚さ、好ましくは約300nmに堆積し、更に工程(15)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線6aを形成する。
【0066】
次に工程(16)に示すように、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁膜7を形成する。第3層間絶縁膜7の層厚は、約500〜1500nmが好ましい。
【0067】
次に図9の工程(17)の段階において、画素スイッチング用TFT30において、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとを電気的接続するためのコンタクトホール8を、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。
【0068】
次に工程(18)に示すように、第3層間絶縁膜7の上に、スパッタ処理等により、ITO膜等の透明導電性薄膜9を、約50〜200nmの厚さに堆積し、更に工程(19)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。尚、当該液晶装置を反射型の液晶装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極9aを形成してもよい。
【0069】
続いて、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜16(図3参照)が形成される。
【0070】
他方、図3に示した対向基板20については、ガラス基板等が先ず用意され、第2遮光膜23及び後述の額縁としての第2遮光膜が、例えば金属クロムをスパッタした後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程を経て形成される。尚、これらの第2遮光膜は、Cr、Ni、Alなどの金属材料の他、カーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。
【0071】
その後、対向基板20の全面にスパッタ処理等により、ITO等の透明導電性薄膜を、約50〜200nmの厚さに堆積することにより、対向電極21を形成する。更に、対向電極21の全面にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜22(図3参照)が形成される。
【0072】
最後に、上述のように各層が形成されたTFTアレイ基板10と対向基板20とは、配向膜16及び22が対面するようにシール材により貼り合わされ、真空吸引等により、両基板間の空間に、例えば複数種類のネマティック液晶を混合してなる液晶が吸引されて、所定層厚の液晶層50が形成される。
【0073】
本実施形態では、遮光膜であるWSiを覆うようにNSGを形成した後の加熱処理工程で、高温時の処理温度及び処理時間を1150℃、60分間の条件で行っているが、高温時の処理温度を1000℃より高く1200℃以下の温度範囲で行っても良い。このような温度範囲例えば1150℃で、処理時間を30分間として加熱処理を施すことにより、特に赤色分光領域である600nm付近の光領域における遮光膜の透過率を1.2%とすることができ、従来900℃の加熱条件で形成されてなるWSiからなる遮光膜の透過率である2.4%と比較して、大幅に遮光性を高めることができる。更に、熱処理時間を30分以上120分以下、より好ましくは50分以上80分以下とすることが望ましく、例えば1150℃、60分で行うことにより遮光膜の透過率を0.8%とすることができ、更に0.4%透過率が低下した遮光膜を得ることができる。以下に、加熱処理工程の条件を変えて透過率を測定した結果を、図8〜図10を用いて説明する。
【0074】
図8〜図10に、高温時の処理温度、高温時の処理時間、基板投入時の炉内の温度から炉内の高温時の処理温度までの温度上昇速度及び炉内の高温時の処理温度から基板搬出時の炉内の温度までの温度下降速度(以下、炉内の温度上昇及び下降速度という)を変えた場合の光波長による透過率の変化を表すグラフを示す。ここでは、WSi、NSGの膜厚はそれぞれ200nm、800nmとした。
【0075】
図8において、曲線aは比較例、曲線b〜dは本発明に関わる実施形態例である。高温時の処理温度及び高温時の処理時間は、それぞれ、曲線aは1000℃で60分、曲線bは1150℃で30分、曲線cは1150℃で30分、曲線dは1150℃で60分であり、炉内の温度上昇及び下降速度は、曲線a、c、dでは4℃/分、曲線bでは6℃/分である。
【0076】
図8より、高温時の処理時間が1150℃の場合と1000℃の場合とを比較すると、高温時の処理時間に関わらず処理温度を高くすることによって透過率を低くすることができる。更に高温時の処理時間を長くすることにより透過率を低くすることができる。また、炉内の温度上昇及び下降速度の違いによる透過率の違いは顕著ではなく、高温時の温度及び処理時間が最も透過率の値に影響する。更に、グラフからもわかるように、通常の液晶装置の赤色の分光領域である580〜620nmの範囲では、他の青色、緑色の各分光領域と比べて、遮光膜の透過率が高い、すなわち遮光性が低くなる傾向となり、本発明に示される製法を用いることにより透過率の低い遮光膜を得ることができ、特に赤色分光領域に対する遮光性を高めることができる。
【0077】
図9は、高温時の処理温度と遮光膜の透過率の関係を示す。ここでは、高温処理時間を50分、炉内の温度上昇及び下降速度を5℃/分とし、高温処理温度を700〜1150℃の範囲で変化させて遮光膜を形成しており、グラフに示される透過率は波長600nmとした場合のものである。図9に示すように、高温処理温度が1000℃である時を境に、処理温度を高くするにつれ透過率が低下していき、1000℃より高い処理温度とすることが好ましいことがわかる。
【0078】
図10は、高温時の処理時間と遮光膜の透過率の関係を示す。ここでは、高温時の処理温度を1150℃、炉内の温度上昇及び下降速度を5℃/分とし、高温処理時間を30〜90分の範囲で変化させて遮光膜を形成しており、グラフに示される透過率は波長600nmとした場合のものである。図10に示すように、高温処理時間を長くするに従って透過率が低下していき、約80分を越えた時から透過率は横這い状態となり、少なくとも約80分の高温処理を行うことにより、透過率の低い遮光膜を得ることができる。
【0079】
図8〜図10において、透過率の測定ははいずれも、WSi、NSGの膜厚をそれぞれ200nm、800nmの状態で測定したものである。また、透過率は、光学顕微鏡で光量を測定することにより測定し、石英基板上にWSi、NSGを配置した状態での測定である。
【0080】
本実施形態においては、遮光膜の透過率を従来2.4%であったものを1.2%と低くすることができるため、液晶装置としたときに、液晶装置の薄膜トランジスタの劣化を防止し、表示特性の良い液晶装置を得ることができる。
【0081】
また、本実施形態では、遮光膜としてWSiの単層膜を例にあげたが、これに限られるものではなく、少なくともWSiを有していればよく、WSiと他の膜の多層膜であっても、同様の効果を得ることができる。
【0082】
尚、本発明におけるノンドープシリケートガラスには、例えばSiOxがある。
【0083】
以上説明した実施の形態における液晶装置では、従来と同様に入射光を対向基板60の側から入射することとしたが、第1遮光膜11aを設けているので、TFTアレイ基板40の側から入射光を入射し、対向基板60の側から出射するようにしても良い。即ち、半導体層1aのチャネル領域1a’及び低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに光が入射することを防ぐことが出来、高画質の画像を表示することが可能である。ここで、従来は、TFTアレイ基板40の裏面側での反射を防止するために、反射防止用のAR(Anti−reflection)被膜された偏光手段を別途配置したり、ARフィルムを貼り付ける必要があった。しかし、各実施の形態では、TFTアレイ基板40の表面と半導体層1aの少なくともチャネル領域1a’及び低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cとの間に第1遮光膜11aが形成されているため、このようなAR被膜された偏光手段やARフィルムを用いたり、TFTアレイ基板40そのものをAR処理した基板を使用する必要が無くなる。従って、上記実施の形態によれば、材料コストを削減でき、また偏光手段の貼り付け時に、ごみ、傷等により、歩留まりを落とすことがなく大変有利である。また、耐光性が優れているため、明るい光源を使用したり、偏光ビームスプリッタにより偏光変換して、光利用効率を向上させても、光によるクロストーク等の画質劣化を生じない。
【0084】
(液晶装置の全体構成)
以上のように構成された液晶装置の各実施の形態の全体構成を図11及び図12を参照して説明する。尚、図11は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図12は、対向基板20を含めて示す図11のH−H’断面図である。
【0085】
図11において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、例えば第2遮光膜23と同じ或いは異なる材料から成る周辺見切りとしての第2遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域の辺に沿って両側に配列してもよい。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられており、更に、額縁としての第2遮光膜53の下に隠れてプリチャージ回路(図示せず。)を設けてもよい。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材106が設けられている。そして、図12に示すように、図11に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0086】
以上の実施の形態における液晶装置のTFTアレイ基板10上には更に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。また、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。本実施形態においては、TFTアレイ基板10あるいは対向基板20側にカラーフィルタを設けても良い。
【0087】
更に、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶装置が実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶装置が実現できる。
【0088】
また、各画素に設けられるスイッチング素子としては、正スタガ型又はコプラナー型のポリシリコンTFTであるとして説明したが、逆スタガ型のTFTやアモルファスシリコンTFT等の他の形式のTFTに対しても、上記の実施の形態は有効である。
【0089】
(投射型表示装置)
上記の液晶装置を用いた電子機器の一例として、投射型表示装置の構成について、図13を参照して説明する。図13において、投射型表示装置1100は、上述した液晶装置を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962G及び962Bとして用いた投射型液晶装置の光学系の概略構成図を示す。本例の投射型表示装置の光学系には、前述した光源装置920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射手段としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
【0090】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。従って、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0091】
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944からプリズムユニット910の側に出射される。
【0092】
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0093】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
【0094】
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、不図示の駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。尚、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶装置962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
【0095】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ946から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。
【0096】
各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
【0097】
本例では、液晶装置962R、962G、962Bには、TFTの下側に遮光層が設けられているため、当該液晶装置962R、962G、962Bからの投射光に基づく液晶プロジェクタ内の投射光学系による反射光、投射光が通過する際のTFTアレイ基板の表面からの反射光、他の液晶装置から出射した後に投射光学系を突き抜けてくる投射光の一部等が、戻り光としてTFTアレイ基板の側から入射しても、画素電極のスイッチング用のTFTのチャネルに対する遮光を十分に行うことができる。
【0098】
このため、小型化に適したプリズムユニットを投射光学系に用いても、各液晶装置962R、962G、962Bとプリズムユニットとの間において、戻り光防止用のフィルムを別途配置したり、偏光手段に戻り光防止処理を施したりすることが不要となるので、構成を小型且つ簡易化する上で大変有利である。
【0099】
また、本実施の形態では、戻り光によるTFTのチャネル領域への影響を抑えることができるため、液晶装置に直接戻り光防止処理を施した偏光手段961R、961G、961Bを貼り付けなくてもよい。そこで、偏光手段を液晶装置から離して形成、より具体的には、一方の偏光手段961R、961G、961Bはプリズムユニット910に貼り付け、他方の偏光手段960R、960G、960Bは集光レンズ953、945、944に貼り付けることが可能である。このように、偏光手段をプリズムユニットあるいは集光レンズに貼り付けることにより、偏光手段の熱は、プリズムユニットあるいは集光レンズで吸収されるため、液晶装置の温度上昇を防止することができる。
【0100】
また、図示を省略するが、液晶装置と偏光手段とを離間形成することにより、液晶装置と偏光手段との間には空気層ができるため、冷却手段を設け、液晶装置と偏光手段との間に冷風等の送風を送り込むことにより、液晶装置の温度上昇をさらに防ぐことができ、液晶装置の温度上昇による誤動作を防ぐことができる。
【0101】
投射型表示装置に適用した本実施形態においては、赤、青、緑それぞれに対応するライトバルブの液晶装置に本発明の製造方法を用いた遮光膜を有する液晶装置を用いたが、赤色に対応したライトバルブの液晶装置にのみ用いても表示特性の良い投射型表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気光学装置の1つである液晶装置の実施形態における画像形成領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路図である。
【図2】液晶装置の実施形態におけるデータ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】液晶装置の実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その1)である。
【図5】液晶装置の実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その2)である。
【図6】液晶装置の実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その3)である。
【図7】液晶装置の実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その4)である。
【図8】熱処理工程の温度処理条件を種種変えて形成した遮光膜の各波長における透過率を示すグラフである。
【図9】熱処理工程の高温度条件を種種変えて形成した遮光膜の600nmにおける透過率を示すグラフである。
【図10】熱処理工程の高温時の処理時間条件を種種変えて形成した600nmの各波長における透過率を示すグラフである。
【図11】液晶装置の実施の形態におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図12】図11のH−H’断面図である。
【図13】液晶装置を用いた電子機器の一例である投射型表示装置の構成図である。
【符号の説明】
1a…半導体層
1a’…チャネル領域
1b…低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)
1c…低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)
1d…高濃度ソース領域
1e…高濃度ドレイン領域
1f…第1蓄積容量電極
2…ゲート絶縁膜
3a…走査線(ゲート電極)
3b…容量線(第2蓄積容量電極)
4…第2層間絶縁膜
5…コンタクトホール
6a…データ線(ソース電極)
7…第3層間絶縁膜
8…コンタクトホール
9a…画素電極
10…石英基板
11a…第1遮光膜
12…第1層間絶縁膜
13、13’…コンタクトホール
16…配向膜
20…ガラス基板
21…対向電極
22…配向膜
23…第2遮光膜
30…TFT
40…TFTアレイ基板
50…液晶層
60…対向基板
70…蓄積容量

Claims (9)

  1. 基板上に金属を有する遮光膜を形成する工程と、
    少なくとも前記遮光膜を覆うように無機絶縁膜を形成する工程と、
    前記遮光膜及び無機絶縁膜が形成された基板を1100℃以上1150℃以下の温度範囲で、30分以上120分以下の処理時間で熱処理する熱処理工程と、
    前記基板上の前記遮光膜に対応する位置に半導体層を形成する工程とを有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  2. 前記遮光膜はタングステンシリサイドを有することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
  3. 前記無機絶縁膜はノンドープシリケートガラスであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気光学装置の製造方法。
  4. 前記基板は石英基板であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気光学装置の製造方法。
  5. 前記熱処理工程の処理時間を50分以上80分以下で行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の電気光学装置の製造方法。
  6. 前記ノンドープシリケートガラスは、前記遮光膜と前記半導体層との間に介在する層間絶縁膜であることを特徴とする請求項3から請求項5のうちいずれか1項に記載の電気光学装置の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造された電気光学装置。
  8. 光源と、
    入射光を投射する光学系と、
    前記光源と前記光学系との間に介挿され、前記光源からの光を変調して前記光学系に導く、請求項7に記載の電気光学装置を有するライトバルブと
    を具備することを特徴とする投射型表示装置。
  9. 光源と、該光源からの光を赤、緑、青の色光に分離する色分離手段と、前記色分離手段により分離された各色光をそれぞれ変調する複数のライトバルブと、該複数のライトバルブにより変調された光を合成する色合成手段と、該色合成手段により合成された光を投射する投射手段とを具備する投射型表示装置において、
    前記複数のライトバルブのうち、前記赤色に対応するライトバルブは、請求項7に記載の電気光学装置を有することを特徴とする投射型表示装置。
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