JP3687281B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール圧縮機に係わり、特にそのバランスウエイトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来のスクロール圧縮機の一例で、固定スクロール7,旋回スクロール9、からなる圧縮機構をクランク軸4で駆動し圧縮する。
【0003】
従来、スクロール圧縮機においてバランスウエイトの設定に関しては、例えば特開昭57−148091号公報に開示されている。これは、クランク軸101およびロータ102にバランスウエイト103,104を付加して、旋回スクロール部材105を含む可動部材の旋回運動によるアンバランスを相殺するようにしたものである。
【0004】
上記の従来例の釣りあわせについて図4と図5を参照して以下にさらに詳しく説明する。旋回スクロール部材105を含む可動部材の不釣り合い量に対して、クランク軸101に取り付けてあるバランスウエイト103と、ロータ102にバランスウエイト104を設置している。前記可動部材の不釣り合い量をm1、クランク軸のバランスウエイトの質量をm2、ロータのバランスウエイトの質量をm3とし、可動部材の重心の回転半径をr1、クランク軸のバランスウエイトの重心の回転半径をr2、ロータのバランスウエイトの重心の回転半径をr3とし、さらに、可動部材の不釣り合い量の重心の固定スクロールのスラスト面106からの軸方向の距離をL1、クランク軸のバランスウエイトの重心の固定スクロールのスラスト面106からの軸方向の距離をL2、ロータのバランスウエイトの重心の固定スクロールのスラスト面106からの軸方向の距離をL3とすると、軸に直角な方向のモーメントの釣り合い、つまり、動的な釣り合いは、
【0005】
【数1】
【0006】
で表され、さらに軸にかかる遠心力の釣り合い、つまり、静的な釣り合いは、
【0007】
【数2】
【0008】
で表される。
(数1)及び(数2)において可動部材の質量m1、重心の回転半径r1、及び重心の固定スクロールスラスト面106からの軸方向距離L1は既知であるので、例えば、クランク軸のバランスウエイトの重心の回転半径r2、ロータのバランスウエイトの重心の回転半径r3及び、それらの重心の固定スクロールスラスト面106からの軸方向距離L2,L3を適当に設定してやれば、2つの式を連立させて解くことにより、m2,m3を求めることができる。
【0009】
上記のようなバランスウエイトを設置してやることによりアンバランスは最小となり、圧縮機の振動を防止することができる。なお、オルダムリングを用いたスクロール圧縮機では、オルダムリングが、密閉容器に固定された軸受け部材に対して並進運動を行うので、前記のような最適なバランスウエイトを設置しても、オルダムリングの半分の質量分のアンバランスが残ることは従来より知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスクロール圧縮機において、旋回鏡板と軸受け部材と固定スクロールとの間に空間が存在し、そこに潤滑油が存在する場合、旋回鏡板の偏心方向とは逆方向の空間に多量の潤滑油が存在し、旋回スクロールの旋回運動に伴い、この潤滑油の存在場所が移動し、回転アンバランスを生じる。この潤滑油による回転アンバランスのため、圧縮機の振動が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、前記潤滑油によるアンバランスを考慮にいれてクランク軸に設置されているバランスウエイトを従来よりも小さくして、バランスを取り、振動が少ないスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、固定スクロール羽根を有する固定スクロールと、この固定スクロールと噛み合わせて複数個の作業空間を形成するように旋回スクロール羽根を旋回鏡板上に配設した旋回スクロールと、この旋回スクロールを駆動するクランク軸と、これを支える軸受け部材と、前記旋回スクロールの自転を防止するための自転防止部材から圧縮機構部を構成し、前記旋回スクロールを含む可動部材の運動によるアンバランスを相殺するバランスウエイトを前記クランク軸に配設し、このバランスウエイトを前記旋回スクロールにより動かされる潤滑油のアンバランス分小さく設定したもので、潤滑油の運動によって生じるアンバランス量をバランスウエイトによってキャンセルすることによって圧縮機の振動の低減をはかる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、スクロール圧縮機の旋回スクロールを含む可動部材の運動によるアンバランスを相殺するバランスウエイトをクランク軸に設置し、このバランスウエイトを前記旋回スクロールにより動かされる潤滑油のアンバランス分小さく設定したもので、潤滑油の運動によって生じるアンバランス量をバランスウエイトによってキャンセルすることによって圧縮機の振動の低減をはかる。
【0014】
また、請求項2の発明は、旋回スクロールが固定スクロールと軸受け部材との間に形成される部屋に配されている場合、この部屋に存在する潤滑油が旋回スクロールとともに回転し、アンバランスを生じるのを、潤滑油の見かけの比質量をρ2、旋回スクロールの比質量をρ1とし、旋回スクロール鏡板のアンバランス量を計算するための比質量を(ρ1−ρ2)として与えて、バランスウエイトを設定することにより、潤滑油の回転によるアンバランスをキャンセルするバランスウエイト設定を行い圧縮機の振動の低減をはかるものである。
【0015】
さらに、請求項3の発明は密閉型電動圧縮機の場合で、この場合はバランスウエイトをクランク軸だけでなく、電動機ロータにその一部をつけてもよいし、ロータの上下につけてもよい。
【0016】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1に本発明の一実施例によるスクロール圧縮機の断面図を示す。密閉容器20内にステータ1とロータ2から成る電動機と、この電動機によって駆動される圧縮機構部3と、前記電動機からの回転駆動力を前記圧縮機構部3に伝達するためのクランク軸4を設置している。前記圧縮機構部3は軸受け部材5と、固定スクロール羽根6を有する固定スクロール7と、この固定スクロール羽根6と噛み合わせて複数個の圧縮作業空間を形成するように旋回スクロール羽根8を旋回鏡板21上に配設した旋回スクロール9と、この旋回スクロールの自転を防止するためのオルダムリング10とで構成している。前記旋回スクロール9を含む可動部材の旋回運動によるアンバランスを相殺するために前記クランク軸4にバランスウエイト11と前記ロータ2にもバランスウエイト12を設置している。また、密閉容器20内には、潤滑油13が設置されている。前記潤滑油13はオイルポンプ14で汲み上げられ、前記クランク軸4内に設置されているオイル通路15を通り、前記旋回スクロール9に設置されているオイル通路16を通り、前記旋回スクロール9に設置されている弁17により絞られ前記旋回鏡板21と前記軸受部材5と前記固定スクロール7との間の空間18に吐き出され、この空間18に潤滑油19が溜まっている。この潤滑油19は、前記旋回スクロールと同様に旋回運動を行い回転アンバランスが生じる。
【0017】
ここで、図2,図3及び図4を参照してさらに詳細に説明する。
図2は空間18内の様子を模式的に表したもので、旋回鏡板と軸受部材と固定スクロールとの間の空間に存在する潤滑油によって生じる遠心力Foが、前記旋回鏡板の遠心力Fpとクランク軸中心Oに対して反対に作用するので、前記旋回鏡板の遠心力Fp’が小さくなる。
【0018】
【数3】
【0019】
したがって、本発明の釣り合いを示す図3における可動部材の不釣り合い量m1’と可動部材の回転半径r1’の積m1’r1’は図4の可動部材の不釣り合い量m1と可動部材の回転半径rの積m1r1よりも小さくなる。
【0020】
【数4】
【0021】
このアンバランスの分、前記可動部材のアンバランス量がかわるので、バランスウエイトを設定し直す必要がある。
【0022】
図3に示す本発明における動的な釣り合いの式は、本発明におけるクランク軸のバランスウエイトの質量をm2’とすると、
【0023】
【数5】
【0024】
で表される。さらに、静的な釣り合いは、
【0025】
【数6】
【0026】
で表される。ここで、(数1),(数2),(数5)および(数6)よりシャフトのバランスウエイトm2’とロータのバランスウエイトm3’は、
【0027】
【数7】
【0028】
【数8】
【0029】
となる。したがって、シャフトのバランスウエイトを、
【0030】
【数9】
【0031】
ロータのバランスウエイトを、
【0032】
【数10】
【0033】
だけ小さく設定し直した。これにより従来よりも圧縮機本体のバランスがよくなり、圧縮機の振動を低減することができる。
【0034】
また、固定スクロール9と軸受け部材5との間の空間18で回転する潤滑油の遠心力Foは次のように計算される。図2において仮に空間18が斜線部であり、ここに比質量ρoの潤滑油が満たされているとする。空間18の部屋の直径をD、旋回スクロール鏡板の直径をdとし、部屋の高さはほぼ鏡板の厚さと同じhとし、このh分の高さの斜線部の潤滑油が鏡板の旋回運動とともに回転するとする。Oを中心とする回転バランスを考えると、斜線部の重心の位置Ooおよびアンバランス質量moは、鏡板部に潤滑油を満たし、その反対側に鏡板と同じ大きさで潤滑油と同じ比質量ρoの円板を置いたのと同じことになるので、
【0035】
【数11】
【0036】
【数12】
【0037】
となる。したがって、
【0038】
【数13】
【0039】
一方旋回スクロール鏡板の遠心力Fpはその重心位置がr1で、アンバランス量mpは、
【0040】
【数14】
【0041】
(ここでρ1は鏡板の比質量)。したがって、
【0042】
【数15】
【0043】
鏡板と回転する潤滑油の回転アンバランスFoを考慮するということは、
【0044】
【数16】
【0045】
となり、鏡板の比質量を(ρ1−ρo)で計算し、バランスウエイトを設定すれば潤滑油の回転のアンバランスを考慮したバランスウエイトの設定が可能となる。
【0046】
さらに、空間18には潤滑油と冷媒ガスが混在する場合が多い。この場合は混在比率に応じて空間18内の見かけの比質量ρ2を設定すればよい。
【0047】
以上、密閉型の電動圧縮機で説明したが、本発明は開放型のスクロール圧縮機にも適用できる。
【0048】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、請求項1に記載の発明はバランスウエイトを旋回鏡板と軸受部材と固定スクロールとの間の空間に存在する潤滑油によるアンバランスだけ小さくするもので、この構成によれば圧縮機本体のバランスがよくなるので、圧縮機本体の振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すスクロール圧縮機の断面図
【図2】従来及び本発明の実施例を示すスクロール圧縮機の旋回鏡板と潤滑油の遠心力の図
【図3】本発明の実施例を示すクランク軸のバランスの図
【図4】従来のクランク軸のバランスの図
【図5】従来のスクロール圧縮機の圧縮機構部の断面図
Claims (3)
- 固定スクロール羽根を有する固定スクロールと、この固定スクロールと噛み合わせて複数個の作業空間を形成するように旋回スクロール羽根を旋回鏡板上に配設した旋回スクロールと、この旋回スクロールを駆動するクランク軸と、これを支える軸受け部材と、前記旋回スクロールの自転を防止するための自転防止部材から圧縮機構部を構成し、前記旋回スクロールを含む可動部材の運動によるアンバランスを相殺するバランスウエイトを前記クランク軸に配設し、このバランスウエイトを前記旋回鏡板と軸受部材と固定スクロールとで形成される空間に存在する潤滑油によるアンバランス分だけ小さく設定したスクロール圧縮機。
- 前記旋回スクロールを前記固定スクロールと前記軸受け部材との間に形成される部屋に配し、この部屋に存在する潤滑油の見かけの比質量をρ2、旋回スクロール鏡板の材料の比質量をρ1としたとき、旋回スクロール鏡板のアンバランス量を計算するための比質量を(ρ1−ρ2)として与えてバランスウエイトを設定した請求項1記載のスクロール圧縮機。
- 密閉容器内にステータとロータからなる電動機と圧縮機構を配し、バランスウエートの一部または全部を前記ロータに配設した請求項1記載のスクロール圧縮機。
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JP17935697A JP3687281B2 (ja) | 1997-07-04 | 1997-07-04 | スクロール圧縮機 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH1122662A JPH1122662A (ja) | 1999-01-26 |
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JP17935697A Expired - Fee Related JP3687281B2 (ja) | 1997-07-04 | 1997-07-04 | スクロール圧縮機 |
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JP (1) | JP3687281B2 (ja) |
-
1997
- 1997-07-04 JP JP17935697A patent/JP3687281B2/ja not_active Expired - Fee Related
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