JP3686381B2 - エポキシ化重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ化重合体の製造方法に関する。本発明の製造方法によって得られるエポキシ化重合体は、シーラントおよびコーティング用途の紫外線硬化樹脂の原料、接着剤などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ基を有する重合体の製造方法として、オレフィン性の二重結合を有する重合体をエポキシ化する方法が有用である。
オレフィン性二重結合を有する重合体のエポキシ化方法として、過ギ酸などの過酸を用いてエポキシ化する方法が知られている〔"Polymers for Advanced Technologies, Vol. 7, pp. 67-72 (1996)"参照〕が、過ギ酸などの過酸が比較的高価な上、反応系中に存在するギ酸などの酸によって、生成したエポキシ化重合体中のエポキシ基が開環してしまい、目的とするエポキシ化重合体のエポキシ化選択率が低下するという問題点がある。
【0003】
これに対し、安価な過酸化水素を使用して、オレフィン性二重結合を有する重合体をエポキシ化する方法として、例えば、以下の方法が知られている。
(1)米国特許第5789512号明細書(以下、文献1と略称する)には、タングステン酸またはその塩、リン酸またはその塩および少なくとも1種の相間移動触媒の存在下に、不飽和重合体を過酸化水素でエポキシ化する方法が記載されている。
(2)Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, 29, 1183-1189 (1991) (以下、文献2と略称する)には、タングステン酸と過酸化水素の混合物にリン酸および塩化トリオクチルメチルアンモニウムを添加して得られる反応混合物から単離したタングステン四核過酸化錯体を使用して、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体をエポキシ化する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
文献1は、その実施例において、エポキシ価が182.7mgKOH/g(実施例1)、183.3mgKOH/g(実施例2)、172.8mgKOH/g(実施例3)であるポリブタジエンを製造する方法を開示しているが、ポリブタジエン中の二重結合の20%程度がエポキシ化されるに過ぎない。本発明者らは、さらにポリブタジエン中の二重結合のエポキシ化率を高めることを試みたが、反応混合物のゲル化が進行し、目的とするエポキシ化重合体を得ることができなかった。また、文献1の実施例の方法では、過酸化水素の分解に起因する酸素の発生が著しい。このため、多量の過酸化水素を用いる必要があり、安全性にも問題があることを認めた。
一方、文献2に記載された方法では、過酸化水素の問題は生じないが、タングステン四核過酸化錯体の合成に際し、環境への影響が問題視されているハロゲン化炭化水素を使用する必要がある。また、エポキシ化に際しても、錯体の溶解性の点でハロゲン化炭化水素を使用する必要がある。しかも、本発明者らの知見に寄れば、反応混合物をゲル化させることなくエポキシ化率を高めるには、ハロゲン化炭化水素を多量に使用せねばならない。
このように、文献1および2に記載された方法は、エポキシ基を有する重合体の製造方法として、工業的規模で実施する上で有利な方法ではない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、安全に、効率的に、工業的に有利にエポキシ化重合体を製造する方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、例えばインオーガニック ケミストリー(Inorganic Chemistry)、第33巻、871頁(1994年)などに記載され、容易に合成することの可能な特定のタングステン二核過酸化錯体とオレフィン性二重結合を有する重合体を脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素に溶解させ、得られた溶液に過酸化水素水溶液を加えて反応させると、過酸化水素の分解が低減され、生成物であるエポキシ化重合体のエポキシ化率を高めることが可能となり、かつ生成物の安定性も保たれることを見出した。また、この方法で反応を行うと、反応後、水層と生成物を含む有機層との分液性が極めて良好であり、生成物の単離操作を効率的に行えることを見出して、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、オレフィン性二重結合を有する重合体と下記式
【0007】
【化2】
Q2{HPO4[WO(O2)2]2} (I)
【0008】
(式中、Qは4級アンモニウム基を表す)
で示されるタングステン二核過酸化錯体(以下、タングステン二核過酸化錯体(I)と略称する)を脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素に溶解させてなる溶液に過酸化水素水溶液を添加して反応させることを特徴とするエポキシ化重合体の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
オレフィン性二重結合を有する重合体としては、オレフィン性二重結合を、該重合体を構成する全単量体単位に基づいて1〜100モル%含有しているものが挙げられる。
オレフィン性二重結合を有する重合体のオレフィン性二重結合は、シスまたはトランスのいずれの構造でもよく、また両者が混在していてもよい。オレフィン性二重結合を有する重合体におけるオレフィン性二重結合の分布にも特に制限はなく、例えば規則的な分布、ブロック状の分布、ランダム状の分布、テーパー状の分布、これらのいくつかが混在している分布などが挙げられる。オレフィン性二重結合を有する重合体が側鎖を持つ場合、オレフィン性二重結合は、該重合体の主鎖または側鎖のいずれに含有されていてもよいが、得られるエポキシ化重合体の安定性の観点から、オレフィン性二重結合を有する重合体の全てのオレフィン性二重結合の50モル%以上が主鎖に含有されていることが好ましい。
【0010】
オレフィン性二重結合を有する重合体は、ラジカル重合、イオン重合、配位重合、メタセシス重合など、種々の重合方法によって製造されたものであってもよい。オレフィン性二重結合を有する重合体としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロアルケンを開環メタセシス重合して得られるポリアルケン;イソプレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−(イソプレン/ブタジエン)−スチレンブロック共重合体などのポリジエンブロックを含有するブロック共重合体;スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体などのジエンと他の重合性単量体からなるランダム共重合体;スチレン−ブタジエンテーパー共重合体などのジエンと他の重合性単量体からなるテーパー共重合体;これらの部分水素添加物などが挙げられる。オレフィン性二重結合を有する重合体は、その分子鎖内または分子末端に、水酸基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ハロゲン原子などの官能基をさらに有していてもよい。
【0011】
オレフィン性二重結合を有する重合体の分子量に特に制限はないが、数平均分子量(Mn)として1,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましい。
【0012】
本発明は、タングステン二核過酸化錯体(I)を使用し、かつ脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素を溶媒として使用することに特徴を有する。かかる特徴により、オレフィン性二重結合を有する重合体が有するオレフィン性二重結合のエポキシ化を容易に行うことができる。
【0013】
タングステン二核過酸化錯体(I)の具体例としては、ジ(テトラブチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(テトラペンチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(テトラヘキシルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリヘキシルメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリヘプチルメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリオクチルメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリデシルメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリドデシルメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジヘキシルジメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジヘプチルジメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジオクチルジメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジデシルジメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジドデシルジメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリヘキシルエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリヘプチルエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリオクチルエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリデシルエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(トリドデシルエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジヘキシルジエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジヘプチルジエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジオクチルジエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジデシルジエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}、ジ(ジドデシルジエチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}などが挙げられる。これらの中でも、反応に使用する溶媒への溶解性、4級アンモニウム塩の入手性の観点から、ジ(トリオクチルメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}が特に好ましい。
【0014】
タングステン二核過酸化錯体(I)の使用量は特に限定されないが、オレフィン性二重結合を有する重合体が有するオレフィン性二重結合の1モルに対して0.00001〜0.5モルの範囲内で使用することが好ましく、0.00001〜0.2モルの範囲内で使用することがより好ましい。
【0015】
本発明で用いるタングステン二核過酸化錯体(I)は空気中で安定で、取り扱いやすい化合物であり、例えばインオーガニック ケミストリー(Inorganic Chemistry)、第33巻、5号、871頁(1994年)に記載された方法等によって容易に製造することができる。すなわち、タングステン酸に過酸化水素水を加えた溶液に、リン酸水溶液を加えて攪拌し、次いで、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩化合物を添加することにより容易に製造できる(後述の参考例1参照)。
【0016】
本発明で溶媒として用いる脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、2,6−ジメチルシクロオクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素の使用量は、反応に供するオレフィン性二重結合を有する重合体の溶解度によっても異なるが、通常、オレフィン性二重結合を有する重合体に対して0.1〜200重量倍の範囲内であることが好ましく、反応性、操作性の観点からは1〜100重量倍の範囲内であることがより好ましく、1〜20重量倍の範囲内であることが特に好ましい。
【0017】
本発明では、過酸化水素水溶液として、市販されているものをそのまま、または水で希釈して使用することができる。例えば10〜60重量%の過酸化水素水溶液を工業的に容易に入手することができる。過酸化水素の濃度は特に制限されないが、反応効率、容積効率および安全性の観点から、通常0.01〜60重量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜50重量%の範囲内であることがより好ましい。
過酸化水素の使用量は、生成物であるエポキシ化重合体において所望されるエポキシ基の導入量によって異なるが、オレフィン性二重結合を有する重合体中に含まれるオレフィン性二重結合の1モルに対して0.001〜10モルの範囲内であることが好ましく、0.03〜1.2モルの範囲内であることがより好ましい。例えば、オレフィン性二重結合を有する重合体中に含まれるオレフィン性二重結合の大部分をエポキシ化したい場合は、過酸化水素の使用量を、該重合体中に含まれるオレフィン性二重結合の1モルに対して1〜10モルの範囲内、好ましくは1〜2モルの範囲内、より好ましくは1〜1.2モルの範囲内とするのがよい。
【0018】
本発明の方法において、反応圧力は特に制限されないが、溶媒の揮散を防止する観点から、通常80kPa〜1MPaの範囲内であることが好ましい。また、本発明の方法は、安全性の観点から、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
【0019】
本発明の方法において、反応温度は特に制限されないが、反応速度および安全性の観点からは、通常0〜140℃の範囲内であり、40〜100℃の範囲内であることが好ましく、50〜100℃の範囲内であることがより好ましい。
【0020】
本発明の方法は次のようにして実施できる。すなわち、オレフィン性二重結合を有する重合体とタングステン二核過酸化錯体(I)を脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素に溶解させて得られる溶液に、過酸化水素水溶液を添加して反応させる。
なお、過酸化水素水溶液の添加に際し、また、エポキシ化反応の進行中は、反応混合物を十分に攪拌することが好ましい。
【0021】
反応終了後の反応液からのエポキシ化重合体の分離は、重合体を溶液から単離する際の通常の単離精製操作によって行うことができる。例えば、反応混合液を静置して有機層と水層を分離させ、次いで水層を除去し、得られた有機層を水、亜硫酸水素ナトリウム水溶液、亜硫酸ナトリウム水溶液などを用いて洗浄した後、再沈、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチームストリッピング)などの、重合体を溶液から単離する際の公知の操作によって行う。
【0022】
本発明の方法で得られるエポキシ化重合体は、エポキシ基の含有量が該重合体を構成する全単量体単位に基づいて1〜100モル%である。本発明の方法で得られるエポキシ化重合体に含有されるエポキシ基の分布に特に制限はなく、例えば、規則的な分布、ブロック状の分布、ランダム状の分布、テーパー状の分布、これらのいくつかが混在している分布などが挙げられる。エポキシ基は、エポキシ化重合体の主鎖または側鎖のいずれに含有されていてもよいが、エポキシ化重合体の安定性の観点から、エポキシ化重合体のすべてのエポキシ基の70モル%以上が主鎖に含有されていることが好ましく、80モル%以上が主鎖に含有されていることがより好ましい。
【0023】
本発明の方法で得られるエポキシ化重合体としては、例えばエポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ポリイソプレンなどのエポキシ化ポリジエン;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロアルケンを開環メタセシス重合して得られるポリアルケンのエポキシ化重合体;イソプレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−(イソプレン/ブタジエン)−スチレンブロック上重合体などのポリジエンブロックを含有するブロック共重合体のエポキシ化重合体;スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体などのジエンと他の重合性単量体からなるランダム共重合体のエポキシ化重合体;スチレン−ブタジエンテーパー共重合体などのジエンと他の重合単量体から得られるテーパー共重合体のエポキシ化重合体;これらの部分水素添加物などのエポキシ化重合体;テレフタル酸などの二塩基酸と2−ブテン−1,4−ジオールなどのジオール類または、テトラヒドロフタル酸などの二塩基酸と1,4−ブタンジオールなどのジオール類から得られる不飽和ポリエステル類のエポキシ化ポリエステル類;テレフタル酸などの二塩基酸と2−ブテン−1,4−ジアミンなどのジアミン類、または、テトラヒドロフタル酸などの二塩基酸と1,4−ブタンジアミンなどのジアミン類から得られる不飽和ポリアミド類のエポキシ化ポリアミド等が挙げられる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0025】
参考例1
還流管、温度計および滴下ロートを装着した容量25mlの3口フラスコに、タングステン酸2.5g(10ミリモル)を入れて系内の雰囲気を窒素置換し、30%過酸化水素水溶液7mlを加えて60℃で1時間攪拌した。この溶液に、85%リン酸水溶液0.85ml(5.1ミリモル)を滴下し、70℃で更に15分攪拌した。次いで、この溶液に、塩化トリオクチルメチルアンモニウム8.07g(20ミリモル)をクロロホルム20mlに溶解させて調製した溶液を70℃で10分かけて添加し、添加終了後、60℃にて15分攪拌した。反応混合液を室温に冷却した後、有機層を分離し、硫酸ナトリウム10gで乾燥した後、クロロホルムを留去することで、下記の物性を有するジ(トリオクチルメチルアンモニウム){(μ−リン酸水素)ビス[(μ−パーオキソ)ビス(オキソパーオキソ)タングステン酸]}(以下、二核錯体Aと略称する)6.6gを得た(収率89%)。
【0026】
【0027】
実施例1
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラを装着した容量300mlの3口フラスコに、ポリイソプレン〔LIR−15(商品名)、(株)クラレ製、数平均分子量:15000〕25g、トルエン100gおよび参考例1の方法で得られた二核錯体A0.33g(0.24ミリモル)を入れ、60℃で攪拌しながら完全に溶解させた。得られた溶液を70℃に昇温し、激しく攪拌しながら、30%過酸化水素水溶液37g(0.33モル)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合液をさらに70℃で8時間攪拌し、攪拌を停止した。攪拌停止後、60℃で有機層(トルエン層)と水層の界面が形成されるまでの時間は約1.6分であった。水層を分液して除去し、有機層を水100mlで3回洗浄した後、トルエンを減圧下に留去し、得られた残留物を80℃、800Paの条件で8時間乾燥した。
得られたエポキシ化ポリイソプレン(収量28.5g)を1H−NMRにて分析したところ、二重結合の転化率は90%であり、エポキシ化率は89%(選択率98.8%)であった。添加した過酸化水素の97.8%がエポキシ化反応に寄与したことが分かった。
【0028】
実施例2
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラを装着した容量300mlの3口フラスコに、ポリオクテニレン(ヒュルス・アメリカ製、数平均分子量:60000)25g、トルエン120gおよび参考例1の方法で得られた二核錯体A0.08g(0.059ミリモル)を入れ、70℃で攪拌しながら完全に溶解させた。得られた溶液を70℃で激しく攪拌しながら、30%過酸化水素水溶液26.2g(0.23モル)を3時間かけて滴下した。過酸化水素水溶液の滴下終了後、反応混合液をさらに70℃で6時間攪拌し、攪拌を停止した。攪拌停止後、60℃で有機層(トルエン層)と水層の界面が形成されるまでの時間は約1.5分であった。水層を分液して除去し、有機層を水100mlで洗浄した後、トルエンを減圧下に留去し、得られた残留物を80℃、800Paの条件で8時間乾燥した。
得られたエポキシ化ポリオクテニレン(収量27.4g)を1H−NMRにて分析したところ、二重結合の転化率は100%であり、エポキシ化率は100%(選択率:100%)であった。添加した過酸化水素の99%がエポキシ化反応に寄与したことが分かった。
【0029】
実施例3
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラを装着した容量300mlの3口フラスコに、シス−ポリブタジエン〔Nipol−BR(商品名)、日本ゼオン(株)社製、数平均分子量:30000〕25g、シクロヘキサン100gおよび参考例1の方法で得られた二核錯体A0.07g(0.051ミリモル)を入れ、70℃で攪拌しながら完全に溶解させた。得られた溶液を70℃で激しく攪拌しながら、30%過酸化水素水溶液52.1g(0.46モル)を4時間かけて滴下した。過酸化水素水溶液の滴下終了後、反応混合液をさらに70℃で2時間攪拌し、攪拌を停止した。攪拌停止後、60℃で有機層(シクロヘキサン層)と水層の界面が形成されるまでの時間は約2.0分であった。水層を分液して除去し、有機層を水100mlで洗浄した後、シクロヘキサンを減圧下に留去し、得られた残留物を80℃、800Paの条件で8時間乾燥した。
得られたエポキシ化ポリブタジエン(収量33.2g)を1H−NMRにて分析したところ、二重結合の転化率は100%であり、エポキシ化率は98.5%(選択率98%)であった。添加した過酸化水素の98%がエポキシ化反応に寄与したことが分かった。
【0030】
比較例1
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラを装着した容量300mlの三つ口フラスコに、シスーポリブタジエン〔Nipol−BR(商品名)、日本ゼオン(株)社製、数平均分子量:30000〕25g、クロロホルム114gおよび塩化トリオクチルメチルアンモニウム0.32gを加え、60℃で攪拌しながら完全に溶解させた。この溶液を70℃に昇温し、タングステン酸ナトリウム0.11g(0.33ミリモル)およびリン酸0.06g(0.6ミリモル)を水10gに溶解させて調製したpHが3.3である水溶液を加えた後、得られた混合液を70℃で激しく攪拌しながら、30%過酸化水素水溶液10.2g(0.09モル)を4時間かけて滴下した。過酸化水素水溶液の滴下終了後、反応混合液をさらに80℃で12時間攪拌し、攪拌を停止した。攪拌停止後、60℃で有機層(クロロホルム層)と水層の界面が形成されるまでの時間は約18分であった。水層を分液して除去し、有機層を水100mlで洗浄し、5%炭酸ナトリウム水溶液100mlで洗浄、さらに水100mlで2回洗浄した後、クロロホルムを減圧下に留去し、得られた残留物を80℃、800Paの条件で8時間乾燥した。
得られたエポキシ化ポリブタジエン(収量25.8g)を1H−NMRにて分析したしたところ、二重結合の転化率は19%であり、エポキシ化率は17%(選択率89%)であった。添加した過酸化水素の88%がエポキシ化反応に寄与したことが分かった。
【0031】
比較例2
還流管、滴下ロート、温度計およびメカニカルスターラを装着した容量300mlの三つ口フラスコに、シス−ポリブタジエン〔Nipol−BR(商品名)、日本ゼオン(株)社製、数平均分子量:30000〕25g、クロロホルム114gおよび塩化トリオクチルメチルアンモニウム0.32gを加え、60℃で攪拌しながら完全に溶解させた。この溶液を70℃に昇温し、タングステン酸ナトリウム0.11g(0.33ミリモル)およびリン酸0.06g(0.6ミリモル)を水10gに溶解させて調製したpHが3.3である水溶液を加えた後、得られた混合液を70℃で激しく攪拌しながら、30%過酸化水素水溶液52.1g(0.46モル)を4時間かけて滴下した。過酸化水素水溶液の滴下終了後、反応混合液をさらに70℃で2時間攪拌し、攪拌を停止した。反応混合物はゲル化しており、有機層と水層に分離することはなく、目的とするエポキシ化重合体を得ることはできなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、安全に、効率的に、工業的に有利にエポキシ化重合体を製造できる方法が提供される。
Claims (1)
- オレフィン性二重結合を有する重合体と下記式
【化1】
Q2{HPO4[WO(O2)2]2} (I)
(式中、Qは4級アンモニウム基を表す。)
で示されるタングステン二核過酸化錯体を脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素に溶解させてなる溶液に過酸化水素水溶液を添加して反応させることを特徴とするエポキシ化重合体の製造方法。
Priority Applications (1)
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