JP3686250B2 - 微粉炭バーナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用及び事業用の微粉炭焚きボイラに適用して好適な微粉炭バーナに関する。
【0002】
【従来の技術】
微粉炭焚きボイラに用いられている従来の微粉炭バーナの例を図9〜図11に示してあり、これについて説明する。これらの図において、01は微粉炭管で、微粉炭と搬送空気とからなる微粉炭混合気02を微粉炭ノズル04に導く。03は微粉炭管01内に設けられた濃淡分離器である。06は二次空気ノズルである。
【0003】
濃淡分離器03は、燃焼炉壁面を構成する伝熱チューブへの灰付着防止、NOx発生量の低減、それに着火安定燃焼などの目的で微粉炭ノズル04へ供給される微粉炭混合気02に濃淡分離を与えるために用いられている。
【0004】
この濃淡分離器03は、図に示されているように流れ方向に断面形状において長方形ブロック形状で、微粉炭管01の内壁に接するように幅方向に広い形状を有している。
【0005】
以上のように、二次空気ノズル06、微粉炭ノズル04、微粉炭管01及び濃淡分離器03で構成された図9〜図11の微粉炭バーナにおいて、微粉炭管01内を流れてきた微粉炭混合気02は、濃淡分離器03に衝突し微粉炭は慣性力を与えられ微粉炭管01の上下内周面側に集まる。この作用により微粉炭管01内で外側に微粉炭濃度の高い微粉炭混合気02、中央側に微粉炭濃度の低い微粉炭混合気02をそれぞれ形成し、微粉炭ノズル04に達する。
【0006】
微粉炭ノズル04内周面側の濃度の高い微粉炭混合気02は二次空気ノズル06を通過してきた二次空気05と接触混合し、微粉炭ノズル04の周囲で着火し、良好な火炎07aを形成する。また、微粉炭ノズル04内の中央部は濃度の低い微粉炭混合気02が吹き抜け、微粉炭ノズル04の後流側(炉内)で着火燃焼し、微粉炭濃度の低い火炎07bを形成する。この作用により、微粉炭燃焼でのNOx発生量を低減し、かつ着火を安定させることができた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
大型ボイラの運転では、微粉炭ノズルの角度を上向きにしたり下向きにして蒸気温度を制御することがよく行われるが、この運転方法を図9〜図11に示したような濃淡分離器を設けた従来の微粉炭バーナに適用すると、微粉炭ノズル04の角度変化が微粉炭混合気02の流れに影響を与え、微粉炭混合気02の濃度バランスが崩れてしまう。そのことが原因で、濃淡分離を行うようにした従来の微粉炭バーナにおいては微粉炭ノズル04に上下角度調節機構をつけることはなかった。
【0008】
本発明は、微粉炭と空気との混合気を搬送する微粉炭管と、その先端部に回動自在に設けられた微粉炭ノズルとを有する微粉炭バーナにおいて、微粉炭管内に形成された微粉炭の濃淡バランスが微粉炭ノズルの角度変化によって崩れないように構成した微粉炭バーナを提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、微粉炭ノズルに微粉炭混合気を搬送する微粉炭管内に濃淡分離器を配置し、微粉炭ノズルの上流側端部に、内部を淡混合気が通過し、外周部を濃混合気が通過する断面円弧状の整流器を前記微粉炭管内に固定して配設するとともに、同整流器内を通過した混合気を案内する仕切板を前記微粉炭ノズル内に同微粉炭ノズルと共に回転自在に設ける。
【0010】
このように構成した本発明の微粉炭バーナでは、微粉炭管内で濃淡分離器によって外側が濃混合気、内側が淡混合気に分離されて濃淡混合気となった微粉炭混合気は、断面円弧状の整流器において外周部を濃混合気、内部を淡混合気が通過させられて微粉炭混合気の濃度分布は更に外側で濃く、内側で淡くなる。
【0011】
本発明の微粉炭バーナでは、前記整流器に加え、前記微粉炭ノズル内に前記整流器内を通過した淡混合気を案内する仕切板を設けた構造の微粉炭バーナとしている。
このように整流器に加え仕切板を設けた構造とすることによって、濃淡分離器と整流器によって濃淡分離された微粉炭混合気は、その淡混合気を案内する仕切板によって互いに分離され濃淡混合気が分散することなく微粉炭ノズルに導かれる。
【0012】
前記仕切板は微粉炭ノズルと共に回動自在に設けてあり、従って、微粉炭ノズルの角度を変えても仕切板は一緒に角度を変えるので、微粉炭ノズルの先端から出る微粉炭混合気は、中央側で濃度が低く、外側(微粉炭ノズルの内周側)で濃度が高い状態を崩すことがない。
【0013】
本発明による微粉炭バーナに設ける整流器は、微粉炭管内に固定する。
【0014】
整流器を固定した構造としてあるので、微粉炭ノズルが角度変化しても整流器入口における微粉炭混合気の流入断面積が一定となり微粉炭混合気は微粉炭ノズルの角度変化による濃度バランスへの影響が少いものとなる。
【0015】
また、本発明は、微粉炭ノズルに微粉炭混合気を搬送する微粉炭管内に濃淡分離器を配置し、微粉炭ノズルの上流側端部に、内部を淡混合気が通過し、外周部を濃混合気が通過する断面円弧状の整流器と、下流側に立ち上がった傾斜面を外側に有し前記整流器内を通過した混合気を案内する仕切板とを、前記微粉炭ノズルと共に回転自在に配設する。
【0016】
以上の構成をもつ本発明の微粉炭バーナに用いる仕切板には、下流側に立ち上がった傾斜面を外側に有しているので、この仕切板の外側で下流側に立ち上がった傾斜面により微粉炭ノズル先端部内周面側の微粉炭濃度が更に向上される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による微粉炭バーナについて図1〜図8に示した実施の形態に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施の形態において、図9〜図11に示した従来の装置と同じ構成の部分には説明を省略するため同じ符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図1〜図4に示した第1実施形態による微粉炭バーナについて説明する。図1〜図4において、08はピンを示し、微粉炭管01と微粉炭ノズル04の取り合いをこのピン08を中心とする円弧形状にしてあり、これによって、微粉炭ノズル04の上下角度を調節可能にしている。11はシールプレートを示し、微粉炭管01と微粉炭ノズル04の取り合い部の隙間をこのシールプレート11によって塞いでいる。
【0019】
10は濃淡分離器03の下流に設けられた整流器で、整流器10は微粉炭管01に取り付けられて固定されており、整流器10の内部を淡混合気が通過し、外周部を濃混合気が通過するように配設されている。この整流器10と切り離されて仕切板09が伸びていて、この仕切板09は、整流器10の内部を流れた淡混合気を微粉炭ノズル04の先端部まで案内する。
【0020】
この第1実施形態の微粉炭バーナは以上の構造を有しており、微粉炭管01内を流れて来る微粉炭混合気02は濃淡分離器03によって中央側で微粉炭濃度が低く、外側(すなわち、微粉炭管01の内周側)で微粉炭濃度が高くなる。
【0021】
整流器10は、微粉炭管01内にて内周側の微粉炭混合気02を微粉炭ノズル04内の上下方向へ偏らせるような形状をしているため、濃淡分離器03で分離された微粉炭混合気02の濃度分布を微粉炭ノズル04内にて中央側の微粉炭濃度を更に低く、内周側の微粉炭濃度を更に高くなるようにする。その微粉炭濃度の偏った微粉炭混合気02の流れは仕切板09によって微粉炭ノズル04先端まで導かれる。これらの作用により微粉炭ノズル04の角度を図3、図4のように上下方向に変えても整流器10が微粉炭管01に固定されているため、整流器10はそのままの状態にどとまり、微粉炭混合気02に対する整流器10の入口の流入断面積は一定である。従って、微粉炭ノズル04先端の微粉炭混合気02の微粉炭濃度は微粉炭ノズル04の中央側で低く、微粉炭ノズル04の内周側で高く維持される。
【0022】
こうして、微粉炭ノズル04の周囲で濃混合気の着火を安定させる良好な火炎07aを形成させ、また、微粉炭ノズル04の中央部で淡混合気を着火燃焼させ微粉炭濃度の低い火炎07bを形成させる。これによりNOx発生量が少く、着火性の良い安定した燃焼を行わせることができる。
【0023】
以上の構成を持つ第2実施形態の微粉炭バーナでは、整流器10が微粉炭管01に固定されているため、図3、図4に示すように微粉炭ノズル04が上下方向に角度変化しても整流器10はそのままの状態にどとまり、微粉炭混合気02に対する整流器10の入口の流入断面積は一定である。
【0024】
(第2実施形態)
次に図5〜図8に示す第2実施形態による微粉炭バーナについて説明する。図5〜図8において、12は整流器で、微粉炭混合気02の流れの下流側に向かって立上った傾斜面12−1を有している。この整流器12は仕切板09の外側にそれぞれ取り付けられている。
また、仕切板09は整流器10の内部通路から伸びていて仕切板09と整流器10は共に微粉炭ノズル04と共に回動自在に配設されている。その他の構成は第1実施形態による微粉炭バーナと実質同じである。
【0025】
この第2実施形態による微粉炭バーナでは、整流器12が仕切板09に取付けられているため、整流器10のあと、仕切板09の外側を流れる微粉炭混合気02中の微粉炭が整流器12によって外側、すなわち微粉炭ノズル04の内周面側へ向けられる。
【0026】
以上のようにして微粉炭ノズル04の先端部では、内周面側の微粉炭濃度が向上する。この作用は微粉炭ノズル04が上下に角度変化されても変わらない事が、図7、図8からも明らかであろう。これによって、この第2実施形態の微粉炭バーナにおいては着火、保炎性能が一段と向上されたものとなる。その他の作用、効果は、第1実施形態のものと同じでありその説明を省略する。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の微粉炭バーナは、微粉炭管内に濃淡分離器を配置し、前記微粉炭ノズルの上流側端部に、内部を淡混合気が通過し、外周部を濃混合気が通過する断面円弧状の整流器を前記微粉炭管内に固定して配設するとともに、同整流器内を通過した混合気を案内する仕切板を前記微粉炭ノズル内に同微粉炭ノズルと共に回転自在に設けたものである。
【0028】
従って、本発明の微粉炭バーナでは、濃淡分離器によって分離された微粉炭混合気が、整流器において外周部を濃混合気、内部を淡混合気が通過させられて微粉炭混合気の濃度分布は更に外側に濃く、内側に低くなる。こうして微粉炭ノズルの角度を変えても微粉炭ノズルの先端から出る微粉炭混合気は、中央側で濃度が低く、外側(微粉炭ノズルの内周側)で濃度が高い状態を維持される。
【0029】
本発明の微粉炭バーナでは微粉炭ノズル内に淡混合気を案内する仕切板を設けてあるので、前記したように濃淡分離器と整流器によって濃淡分離された微粉炭混合気は、その仕切板によってその互いに分離された状態で微粉炭ノズルに導かれ、従って、微粉炭ノズルの角度を変えても微粉炭ノズルの先端から出る微粉炭混合気は、中央側で濃度が低く、外側(微粉炭ノズルの内周側)で濃度が高い状態を崩すことがない。
【0030】
本発明による微粉炭バーナにおいて、断面円弧状の整流器と、下流側に立ち上がった傾斜面を外側に有し前記整流器内を通過した混合気を案内する仕切板とを、前記微粉炭ノズルと共に回転自在に配設した構造としたものでは、微粉炭ノズルが角度変化しても整流器入口における微粉炭混合気の流入断面積が一定となり微粉炭ノズルの角度変化による微粉炭混合気の濃度バランスへの影響が少いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による微粉炭バーナの断面図で、図2のI−I線に沿う断面図。
【図2】 図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】 微粉炭ノズルが上向き角度をとった状態における図2と同様の断面図。
【図4】 微粉炭ノズルが下向き角度をとった状態における図2と同様の断面図。
【図5】 本発明の第2実施形態による微粉炭バーナの断面図で、図6のV−V線に沿う断面図。
【図6】 図5のVI−VI線に沿う断面図。
【図7】 微粉炭ノズルが上向き角度をとった状態における図6と同様の断面図。
【図8】 微粉炭ノズルが下向き角度をとった状態における図6と同様の断面図。
【図9】 従来の微粉炭バーナの例を示す断面図で、図10のIX − IX線に沿う断面図。
【図10】 図9のX − X 線に沿う断面図。
【図11】 図10のXI − XI線に沿う図面。
【符号の説明】
01 微粉炭管
02 微粉炭混合気
03 濃淡分離器
04 微粉炭ノズル
05 二次空気
06 二次空気ノズル
07a 火炎
07b 火炎
08 ピン
09 仕切板
10 整流器
11 シールプレート
12 整流器
12−1 傾斜面
Claims (2)
- 微粉炭と空気との混合気を搬送する微粉炭管と、同微粉炭管の先端部に回動自在に配設された微粉炭ノズルとを有する微粉炭バーナにおいて、前記微粉炭管内に濃淡分離器を配置し、前記微粉炭ノズルの上流側端部に、内部を淡混合気が通過し、外周部を濃混合気が通過する断面円弧状の整流器を前記微粉炭管内に固定して配設するとともに、同整流器内を通過した混合気を案内する仕切板を前記微粉炭ノズル内に同微粉炭ノズルと共に回転自在に設けたことを特徴とする微粉炭バーナ。
- 微粉炭と空気との混合気を搬送する微粉炭管と、同微粉炭管の先端部に回動自在に配設された微粉炭ノズルとを有する微粉炭バーナにおいて、前記微粉炭管内に濃淡分離器を配置し、前記微粉炭ノズルの上流側端部に、内部を淡混合気が通過し、外周部を濃混合気が通過する断面円弧状の整流器と、下流側に立ち上がった傾斜面を外側に有し前記整流器内を通過した混合気を案内する仕切板とを、前記微粉炭ノズルと共に回転自在に配設したことを特徴とする微粉炭バーナ。
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