JP3685468B2 - 単極形リニア直流モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
一般に、単極形リニア直流モータは、脈動のない推力を発生し得る唯一のリニア・モータであり、可動子の軽量化を可能とする優れた応答性を有するリニア・モータである。各種位置検出装置を装着してサーボ制御することにより推力および速度の広範囲の制御と停止位置の高精度の制御とを可能とし、振動および推力変動を嫌う負荷と広範囲の速度での運転を必要とする負荷とに対応し得る唯一のリニア・アクチュエータである。本発明は、各種OA機器、各種光学機器および各種測定機器等において、振動および推力変動を嫌う各種移動部の駆動の用に供され、脈動のない推力の発生、小型軽量化、大推力化、ロング・ストローク化および全ストロークに対する推力変動の減少を可能とする単極形リニア直流モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の単極形リニア直流モータの構造および動作を、図1ないし図3に示す断面図と、図4ないし図6に示す推力特性図とにより説明する。
【0003】
図1に示す従来の単極形リニア直流モータは、二つの閉磁路を形成する固定子1と、固定子1の一部に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12より成る可動子11とにより構成され、脈動のない推力の発生と変動の少ない推力の発生とを可能とするロング・ストロークの単極形リニア直流モータである。
【0004】
固定子1は、平板状を成す第1のヨーク2、平板状を成す第2のヨーク3および一対の第3のヨーク4a、4bにより構成される磁路構成手段41と、平板状を成す第1の永久磁石5により構成される起磁力発生手段42とを備え、第1のヨーク2と第2のヨーク3とのそれぞれの両端部には第3のヨーク4a、4bが磁気的および機械的にそれぞれ固着され、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面には第1の永久磁石5のS極の極性を有する磁極面が固着される。
【0005】
第1のヨーク2は第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3および第1の永久磁石5は第2の構成部材44を構成する。第1の構成部材43と第2の構成部材44とは所定の距離を隔て配置され、それぞれの相対面が構成する空間21を介して図示の方向に第1の閉磁路32と第2の閉磁路33とを形成する。
【0006】
可動子11は、第1の構成部材43の周囲に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、空間21内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。第1の巻線12に図示の方向に所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12に図示と異なる方向に所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。
【0007】
図2に示す従来の単極形リニア直流モータは、二つの閉磁路を形成する固定子1と、固定子1の一部に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12より成る可動子11とにより構成され、脈動のない推力の発生と低価格とを可能とするロング・ストロークの単極形リニア直流モータである。
【0008】
固定子1は、平板状を成す第1のヨーク2および平板状を成す第2のヨーク3により構成される磁路構成手段41と、平板状を成す一対の第2の永久磁石6a、6bにより構成される起磁力発生手段42とを備え、第1のヨーク2の第2のヨーク3への相対面の両端部には第2の永久磁石6a、6bのN極の極性を有する磁極面がそれぞれ固着され、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面の両端部には第2の永久磁石6a、6bのS極の極性を有する磁極面がそれぞれ固着される。
【0009】
第1のヨーク2は第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3は第2の構成部材44を構成する。第1の構成部材43と第2の構成部材44とは所定の距離を隔て配置され、それぞれの相対面が構成する空間21を介して図示の方向に第1の閉磁路32と第2の閉磁路33とを形成する。
【0010】
可動子11は、第2の構成部材44の周囲に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、空間21内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。第1の巻線12に図示の方向に所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12に図示と異なる方向に所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。
【0011】
図3に示す従来の単極形リニア直流モータは、一つの閉磁路を形成する固定子1と、固定子1の一部に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12より成る可動子11とにより構成され、脈動のない推力の発生と変動の少ない推力の発生とを可能とするショウト・ストロークの単極形リニア直流モータである。
【0012】
固定子1は、円筒状を成す第1のヨーク2、円筒状を成す第2のヨーク3および円板状を成す第3のヨーク4により構成される磁路構成手段41と、円筒状を成す第1の永久磁石5により構成される起磁力発生手段42とを備え、第1のヨーク2と第2のヨーク3とのそれぞれの一方の端部には第3のヨーク4が磁気的および機械的に固着され、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面には第1の永久磁石5のN極の極性を有する磁極面が固着される。
【0013】
第1のヨーク2は第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3および第1の永久磁石5は第2の構成部材44を構成する。第1の構成部材43と第2の構成部材44とは所定の距離を隔て同軸円筒状に配置され、それぞれの相対面が構成する空間22を介して図示の方向に閉磁路31を形成する。
【0014】
可動子11は、第1の構成部材43の周囲に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、空間22内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。第1の巻線12に図示の方向に所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12に図示と異なる方向に所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。
【0015】
図4は、図1に示す従来の単極形リニア直流モータのストロークx[mm]を100[mm]に設定した際の推力特性図であり、図5は、図2に示す従来の単極形リニア直流モータのストロークx[mm]を100[mm]に設定した際の推力特性図であり、図6は、図3に示す従来の単極形リニア直流モータのストロークx[mm]を20[mm]に設定した際の推力特性図である。
【0016】
図4ないし図6に示す推力特性図において、曲線Aは可動子11を構成する第1の巻線12に5[W]の電力を供給した際の推力特性を示し、曲線Bは可動子11を構成する第1の巻線12に20[W]の電力を供給した際の推力特性を示し、曲線Cは可動子11を構成する第1の巻線12に45[W]の電力を供給した際の推力特性を示す。即ち、曲線Aは第1の巻線12にI[A]の電流を流した際の推力特性であり、曲線Bは第1の巻線12に2×I[A]の電流を流した際の推力特性であり、曲線Cは第1の巻線12に3×I[A]の電流を流した際の推力特性である。
【0017】
図1および図2に示す従来の単極形リニア直流モータの推力は、第1の巻線12に鎖交する第1の閉磁路32を流れる磁束あるいは第1の巻線12に鎖交する第2の閉磁路33を流れる磁束と、即ち、空間21内の第1の閉磁路32が形成される範囲の磁界あるいは空間21内の第2の閉磁路33が形成される範囲の磁界と、第1の巻線12の巻数と、第1の巻線12に流れる電流とに比例して増加する。
【0018】
図3に示す従来の単極形リニア直流モータの推力は、第1の巻線12に鎖交する閉磁路31を流れる磁束と、即ち、空間21内の閉磁路31が形成される範囲の磁界と、第1の巻線12の巻数と、第1の巻線12に流れる電流とに比例して増加する。
【0019】
一般に、従来の単極形リニア直流モータの大推力化は、第1の巻線12に鎖交する磁束の増加、第1の巻線12の巻数の増加あるいは第1の巻線12に流れる電流の増加により可能に成る。しかし、第1の巻線12に鎖交する磁束の増加は、固定子1の大型化、大重量化および高価格化等の問題点を有し、第1の巻線12の巻数の増加は、可動子11の大型化、大重量化、応答性の劣化およびストロークの減少等の問題点を有するため、第1の巻線12に流れる電流の増加により対処されている。
【0020】
可動子11を構成する第1の巻線12に流れる電流の増加は、第1の巻線12の周囲に発生する可動子11の移動方向の磁界の傾斜を大きくし、固定子1が空間21内あるいは空間22内に形成する磁界の分布に傾斜を与え、図4ないし図6に示す推力特性の曲線Bおよび曲線Cに示す様に、全ストロークに対する推力変動を大きくするという問題点を有するものである。
【0021】
一般に、従来の単極形リニア直流モータのロング・ストローク化は、磁路構成手段41を構成する第1のヨーク2、第2のヨーク3および第3のヨーク4、4a、4bの体積の増加と、起磁力発生手段42を構成する第1の永久磁石5あるいは第2の永久磁石6a、6bの体積の増加とにより可能に成る。しかし、固定子1の大型化、大重量化、高価格化および漏洩磁束の増加等の問題点を有し、漏洩磁束の増加に伴い第1の巻線12を鎖交する磁束が減少し、推力が減少するという問題点を有するものである。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、従来の単極形リニア直流モータの大推力化と、小型軽量化と、ロング・ストローク化と、全ストロークに対する推力変動の減少とを共に実現することが困難である点である。
【0023】
【課題を解決するための手段】
第1のヨークの可動子の移動範囲に対応する一方の端部方向の1/3の範囲に巻装された第2の巻線と、第1のヨークの可動子の移動範囲に対応する中央部の1/3の範囲に巻装された第3の巻線と、第1のヨークの可動子の移動範囲に対応する他方の端部方向の1/3の範囲に巻装された第4の巻線とを備え、第1ないし第4の巻線にそれぞれ所定の電流を流すことによって、可動子を移動させることを最も主要な特徴とし、大推力化、小型軽量化、ロング・ストローク化および全ストロークに対する推力変動の減少という目的を極めて簡単に実現した。
【0024】
【実施例】
次に、図7、図9、図11、図13、図14および図15に示す実施例と、図8、図10および図12に示す推力特性図とに基づいて、本発明の単極形リニア直流モータの構造および動作を説明する。
【0025】
図7は、本発明の単極形リニア直流モータの第1の実施例の構造説明を目的とした断面図である。本発明の単極形リニア直流モータは、二つの閉磁路を形成する固定子1と、固定子1の一部に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12より成る可動子11とにより構成される。
【0026】
固定子1は、平板状を成す第1のヨーク2、平板状を成す第2のヨーク3および一対の第3のヨーク4a、4bにより構成される磁路構成手段41と、平板状を成す第1の永久磁石5により構成される起磁力発生手段42とを備え、第1のヨーク2と第2のヨーク3とのそれぞれの両端部には第3のヨーク4a、4bが磁気的および機械的にそれぞれ固着され、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面には第1の永久磁石5のS極の極性を有する磁極面が固着される。
【0027】
第1のヨーク2は第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3および第1の永久磁石5は第2の構成部材44を構成する。第1の構成部材43と第2の構成部材44とは所定の距離を隔て配置され、それぞれの相対面が構成する空間21を介して図示の方向に第1の閉磁路32と第2の閉磁路33とを形成する。
【0028】
空間21を構成する第1の構成部材43の可動子11の移動範囲に対応する矢印A方向の1/3の範囲には第2の巻線7が巻装され、空間21を構成する第1の構成部材43の可動子11の移動範囲に対応する中央部の1/3の範囲には第3の巻線8が巻装され、空間21を構成する第1の構成部材43の可動子11の移動範囲に対応する矢印B方向の1/3の範囲には第4の巻線9が巻装される。尚、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9の、それぞれの巻線仕様は同一に構成される。
【0029】
可動子11は、第2の構成部材44の周囲に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、空間21内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。
【0030】
可動子11は、第1の巻線12に図示の方向に所定の電流を流し、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示の方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより、第1の閉磁路32を流れる磁束あるいは第2の閉磁路33を流れる磁束と、即ち、空間21内の第1の閉磁路32が形成される範囲の磁界あるいは空間21内の第2の閉磁路33が形成される範囲の磁界と、第1の巻線12の巻数と、第1の巻線12を流れる電流とに比例して増加する所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示と異なる方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。
【0031】
図8は、図7に示す本発明の単極形リニア直流モータの推力特性図であり、直線Aはストロークx[mm]を100[mm]に設定した際の推力特性を示す。曲線Bは可動子11を構成する第1の巻線12のみに所定の電流を流した際の推力特性を示し、図4に示す従来の単極形リニア直流モータの推力特性図の曲線Cに相当するものである。
【0032】
図7に示す本発明の単極形リニア直流モータにおいて、可動子11を構成する第1の巻線12に所定の電流を流すと、第1の巻線12の周囲には可動子の移動方向に所定の割合で減少する第2の磁界が形成され、起磁力発生手段42により空間21内に均一に形成される第1の磁界を可動子11の移動に伴い減少させる。即ち、図8の曲線Bに示すように可動子11の移動に伴い可動子11に作用する推力は減少する。
【0033】
第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示の方向にそれぞれ所定の電流を流すと、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9の周囲には、可動子11の移動方向に所定割合で増加する第3の磁界が形成される。第3の磁界は、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9のそれぞれの巻数と、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9にそれぞれ流れる電流とに比例して増加する。
【0034】
可動子11を構成する第1の巻線12の周囲に形成される第2の磁界の減少割合と、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9の周囲に形成される第3の磁界の増加割合とが等しく成るように、第1の巻線12に流れる電流の大きさと、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に流れる電流の大きさとを設定すると、図8の直線Aに示す様に可動子11の全ストロークの移動に対して変動の無い推力の発生が可能と成る。
【0035】
図9は、本発明の単極形リニア直流モータの第2の実施例の構造説明を目的とした断面図である。本発明の単極形リニア直流モータは、二つの閉磁路を形成する固定子1と、固定子1の一部に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12より成る可動子11とにより構成される。
【0036】
固定子1は、平板状を成す第1のヨーク2および平板状を成す第2のヨーク3により構成される磁路構成手段41と、平板状を成す一対の第2の永久磁石6a、6bにより構成される起磁力発生手段42とを備え、第1のヨーク2の第2のヨーク3への相対面の両端部には第2の永久磁石6a、6bのN極の極性を有する磁極面がそれぞれ固着され、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面の両端部には第2の永久磁石6a、6bのS極の極性を有する磁極面がそれぞれ固着される。
【0037】
第1のヨーク2は第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3は第2の構成部材44を構成する。第1の構成部材43と第2の構成部材44とは所定の距離を隔て配置され、それぞれの相対面が構成する空間21を介して図示の方向に第1の閉磁路32と第2の閉磁路33とを形成する。
【0038】
空間21を構成する第1の構成部材43の可動子11の移動範囲に対応する矢印A方向の1/3の範囲には第2の巻線7が巻装され、空間21を構成する第1の構成部材43の可動子11の移動範囲に対応する中央部の1/3の範囲には第3の巻線8が巻装され、空間21を構成する第1の構成部材43の可動子11の移動範囲に対応する矢印B方向の1/3の範囲には第4の巻線9が巻装される。尚、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9の、それぞれの巻線仕様は同一に構成される。
【0039】
可動子11は、第2の構成部材44の周囲に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、空間21内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。
【0040】
可動子11は、第1の巻線12に図示の方向に所定の電流を流し、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示の方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより、第1の閉磁路32を流れる磁束あるいは第2の閉磁路33を流れる磁束と、即ち、空間21内の第1の閉磁路32が形成される範囲の磁界あるいは空間21内の第2の閉磁路33が形成される範囲の磁界と、第1の巻線12の巻数と、第1の巻線12を流れる電流とに比例して増加する所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示と異なる方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。
【0041】
図10は、図9に示す本発明の単極形リニア直流モータの推力特性図であり、直線Aはストロークx[mm]を100[mm]に設定した際の推力特性を示す。曲線Bは可動子11を構成する第1の巻線12のみに電流を流した際の推力特性を示し、図5に示す従来の単極形リニア直流モータの推力特性図の曲線Cに相当するものである。
【0042】
図11は、本発明の単極形リニア直流モータの第3の実施例の構造説明を目的とした断面図である。本発明の単極形リニア直流モータは、一つの閉磁路を形成する固定子1と、固定子1の一部に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12より成る可動子11とにより構成される。
【0043】
固定子1は、円筒状を成す第1のヨーク2、円筒状を成す第2のヨーク3および円板状を成す第3のヨーク4により構成される磁路構成手段41と、円筒状を成す第1の永久磁石5により構成される起磁力発生手段42とを備え、第1のヨーク2と第2のヨーク3とのそれぞれの一方の端部には第3のヨーク4が磁気的および機械的に固着され、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面には第1の永久磁石5のN極の極性を有する磁極面が固着される。
【0044】
第1のヨーク2は第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3および第1の永久磁石5は第2の構成部材44を構成する。第1の構成部材43と第2の構成部材44とは所定の距離を隔て同軸円筒状に配置され、それぞれの相対面が構成する空間22を介して図示の方向に閉磁路31を形成する。
【0045】
空間22を構成する第2の構成部材44の可動子11の移動範囲に対応する矢印A方向の1/3の範囲には第2の巻線7が装着され、空間22を構成する第2の構成部材44の可動子11の移動範囲に対応する中央部の1/3の範囲には第3の巻線8が装着され、空間22を構成する第2の構成部材44の可動子11の移動範囲に対応する矢印B方向の1/3の範囲には第4の巻線9が装着される。尚、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9の、それぞれの巻線仕様は同一に構成される。
【0046】
可動子11は、第1の構成部材43の周囲に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、空間22内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。
【0047】
可動子11は、第1の巻線12に図示の方向に所定の電流を流し、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示の方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより、閉磁路31を流れる磁束と、即ち、空間22内の閉磁路31が形成される範囲の磁界と、第1の巻線12の巻数と、第1の巻線12を流れる電流とに比例して増加する所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示と異なる方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。
【0048】
図12は、図11に示す本発明の単極形リニア直流モータの推力特性図であり、直線Aはストロークx[mm]を20[mm]に設定した際の推力特性を示す。曲線Bは可動子11を構成する第1の巻線12のみに電流を流した際の推力特性を示し、図6に示す従来の単極形リニア直流モータの推力特性図の曲線Cに相当するものである。
【0049】
図13は、本発明の単極形リニア直流モータの第4の実施例の構造説明を目的とした断面図である。本発明の単極形リニア直流モータは、二つの閉磁路を形成する固定子1と、固定子1の一部に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12より成る可動子11とにより構成される。
【0050】
固定子1は、円筒状を成す第1のヨーク2および円筒状を成す第2のヨーク3により構成される磁路構成手段41と、円筒状を成す一対の第2の永久磁石6a、6bにより構成される起磁力発生手段42とを備え、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面の両端部には第2の永久磁石6a、6bのN極の極性を有する磁極面がそれぞれ固着され、第1のヨーク2の第2のヨーク3への相対面の両端部には第2の永久磁石6a、6bのS極の極性を有する磁極面がそれぞれ固着される。
【0051】
第1のヨーク2は第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3は第2の構成部材44を構成する。第1の構成部材43と第2の構成部材44とは所定の距離を隔て同軸円筒状に配置され、それぞれの相対面が構成する円筒状を成す空間22を介して二つの閉磁路を形成する。
【0052】
空間22を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する矢印A方向の1/3の範囲には第2の巻線7が巻装され、空間22を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する中央部の1/3の範囲には第3の巻線8が巻装され、空間22を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する矢印B方向の1/3の範囲には第4の巻線9が巻装される。尚、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9の、それぞれの巻線仕様は同一に構成される。
【0053】
可動子11は、第2の構成部材44と、第2の巻線7、第3の巻線8あるいは第4の巻線9との周囲に所定の距離を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、空間22内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。
【0054】
可動子11は、第1の巻線12、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示の方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより、所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示と異なる方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。尚、可動子11の推力は、第1のヨークの所定の位置に設けられた可動子11が全ストローク円滑かつ自由に移動し得る開口を介して外部に伝達される。
【0055】
図14は、本発明の単極形リニア直流モータの第5の実施例の構造説明を目的とした断面図である。本発明の単極形リニア直流モータは、図9に示す本発明の単極形リニア直流モータを2台並列に接続した構造に構成される。
【0056】
固定子1は、平板状を成す一対の第1のヨーク2および平板状を成す第2のヨーク3により構成される磁路構成手段41と、二組の平板状を成す一対の第2の永久磁石6a、6bにより構成される起磁力発生手段42とを備え、一対の第1のヨーク2は一対の第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3は第2の構成部材44を構成する。一対の第1の構成部材43には、一対の第2の巻線7、一対の第3の巻線8および一対の第4の巻線9がそれぞれ巻装される。
【0057】
第2の構成部材44と一対の第1の構成部材43とのそれぞれの相対面は、一対の空間21を構成し、一方の空間21を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する矢印A方向の1/3の範囲には一方の第2の巻線7が巻装され、一方の空間21を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する中央部の1/3の範囲には一方の第3の巻線8が巻装され、一方の空間21を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する矢印B方向の1/3の範囲には一方の第4の巻線9が巻装される。同様に、他方の空間21を構成する第1の構成部材43の周囲にも他方の第2の巻線7、他方の第3の巻線8および他方の第4の巻線9がそれぞれ巻装される。尚、一対の第2の巻線7、一対の第3の巻線8および一対の第4の巻線9の、それぞれの巻線仕様は同一に構成される。
【0058】
可動子11は、第2の構成部材44の周囲に所定の距離を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、一対の空間21内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。
【0059】
可動子11は、第1の巻線12、一対の第2の巻線7、一対の第3の巻線8および一対の第4の巻線9に図示の方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより、所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12、一対の第2の巻線7、一対の第3の巻線8および一対の第4の巻線9に図示と異なる方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。
【0060】
図15は、本発明の単極形リニア直流モータの第6の実施例の構造説明を目的とした断面図である。本発明の単極形リニア直流モータは、二つの閉磁路を形成する固定子1と、固定子1の一部に所定の間隙を隔て巻装される第1の巻線12より成る可動子11とにより構成される。
【0061】
固定子1は、平板状を成す第1のヨーク2および平板状を成す第2のヨーク3により構成される磁路構成手段41と、平板状を成す第1の永久磁石5および一対の第2の永久磁石6a、6bにより構成される起磁力発生手段42とを備え、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面には第1の永久磁石5のN極の極性を有する磁極面が固着され、第2のヨーク3の第1のヨーク2への相対面の両端部には第2の永久磁石6a、6bのS極の極性を有する磁極面がそれぞれ固着され、第1のヨーク2の第2のヨーク3への相対面の両端部には第2の永久磁石6a、6bのN極の極性を有する磁極面がそれぞれ固着される。
【0062】
第1のヨーク2は第1の構成部材43を構成し、第2のヨーク3および第1の永久磁石5は第2の構成部材44を構成する。第1の構成部材43と第2の構成部材44とは所定の距離を隔て配置され、それぞれの相対面が構成する空間21を介して二つの閉磁路を形成する。
【0063】
空間21を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する矢印A方向の1/3の範囲には第2の巻線7が巻装され、空間21を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する中央部の1/3の範囲には第3の巻線8が巻装され、空間21を構成する第1の構成部材43の可動子の移動範囲に対応する矢印B方向の1/3の範囲には第4の巻線9が巻装される。尚、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9の、それぞれの巻線仕様は同一に構成される。
【0064】
可動子11は、第1の構成部材43と、第2の巻線7、第3の巻線8あるいは第4の巻線9との周囲に所定の距離を隔て巻装される第1の巻線12を主に構成され、空間21内を矢印A方向および矢印B方向に円滑かつ自由に移動し得る構造に配置される。
【0065】
可動子11は、第1の巻線12、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示の方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより、所定の推力をもって矢印A方向に移動し、第1の巻線12、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9に図示と異なる方向にそれぞれ所定の電流を流すことにより所定の推力をもって矢印B方向に移動する。
【0066】
本発明の単極形リニア直流モータは、従来の単極形リニア直流モータの大推力化、小型軽量化、ロング・ストローク化および全ストロークに対する推力変動の減少を共に可能とするために、可動子11の移動範囲を構成する第1の構成部材43あるいは第2の構成部材44に、それぞれ同一の巻数、巻線抵抗および寸法等の巻線仕様を有する第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9を巻装し、それぞれの巻線に同一の電流を供給して運転される。
【0067】
しかし、第2の巻線7の巻線仕様あるいは流れる電流の大きさと、第3の巻線8の巻線仕様あるいは流れる電流の大きさと、第4の巻線9の巻線仕様あるいは流れる電流の大きさとをそれぞれ変化させることにより、その使用目的にあわせた推力特性を容易に設定し得るものである。
【0068】
通常、本発明の単極形リニア直流モータは、それぞれ同一の巻線仕様にて構成される第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9を並列に接続して同一電源より電力を供給して運転され、更に、可動子11を構成する第1の巻線12と、第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9とを並列に接続することにより単一電源からの電力の供給が可能と成り、本発明の単極形リニア直流モータのサーボ運転が容易に成り、サーボ制御回路の低価格化が可能と成る。
【0069】
本発明の単極形リニア直流モータの固定子1を構成する第1の永久磁石5あるいは第2の永久磁石6a、6bは、低価格化および組立の簡略化等を目的として、複数の永久磁石を列設あるいは積層して構成され、更に、第2の永久磁石6a、6bは永久磁石と磁性体を積層して構成される。
【0070】
本発明の単極形リニア直流モータの第2の巻線7、第3の巻線8および第4の巻線9は、ロング・ストローク化あるいは推力変動の減少の向上を図る際にはそれぞれ複数の巻線を並列に接続して構成され、可動子11を構成する第1の巻線12は、小型化および軽量化を図る際には自己融着線によりボビンレス構造に構成される。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の単極形リニア直流モータの大推力化は、可動子11を構成する第1の巻線12の大電流化により図られ、大電流化に伴い可動子11の小型化および可動子11の軽量化が可能と成り、可動子11の小型化に伴いストロークが増加し、可動子11の軽量化に伴い応答性が向上する効果がある。更に、大推力化に伴い固定子1の小型軽量化が可能と成る効果がある。推力および可動子質量を従来の単極形リニア直流モータと同一に設定した際、従来の単極形リニア直流モータ全体の質量を1/3〜1/6程度に減少させことが可能と成る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の単極形リニア直流モータの断面図である。
【図2】従来の単極形リニア直流モータの断面図である。
【図3】従来の単極形リニア直流モータの断面図である。
【図4】図1に示す従来の単極形リニア直流モータの推力特性図である。
【図5】図2に示す従来の単極形リニア直流モータの推力特性図である。
【図6】図3に示す従来の単極形リニア直流モータの推力特性図である。
【図7】本発明の単極形リニア直流モータの第1の実施例の断面図である。
【図8】本発明の単極形リニア直流モータの第1の実施例の推力特性図である。
【図9】本発明の単極形リニア直流モータの第2の実施例の断面図である。
【図10】本発明の単極形リニア直流モータの第2の実施例の推力特性図である。
【図11】本発明の単極形リニア直流モータの第3の実施例の断面図である。
【図12】本発明の単極形リニア直流モータの第3の実施例の推力特性図である。
【図13】本発明の単極形リニア直流モータの第4の実施例の断面図である。
【図14】本発明の単極形リニア直流モータの第5の実施例の断面図である。
【図15】本発明の単極形リニア直流モータの第6の実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 固定子
2 第1のヨーク
3 第2のヨーク
4 第3のヨーク
4a 第3のヨーク
4b 第3のヨーク
5 第1の永久磁石
6a 第2の永久磁石
6b 第2の永久磁石
7 第2の巻線
8 第3の巻線
9 第4の巻線
11 可動子
12 第1の巻線
21 空間
22 空間
31 閉磁路
32 第1の閉磁路
33 第2の閉磁路
41 磁路構成手段
42 起磁力発生手段
43 第1の構成部材
44 第2の構成部材

Claims (1)

  1. 第1のヨークおよび第2のヨークを所定の距離を隔て相対して配置し、その相対面に少なくとも二つの閉磁路を形成し、第1の巻線を有する可動子を備えた単極形リニア直流モータにおいて、第1のヨーク又は第2のヨークの相対する面の可動子の移動範囲に固着されかつ相対面方向に着磁された永久磁石又は、第1のヨークおよび第2のヨークの両端部に固着され、相対面方向に着磁された永久磁石を備え、第1のヨークの可動子の移動範囲に対応する一方の端部方向の1/3の範囲に巻装された第2の巻線と、第1のヨークの可動子の移動範囲に対応する中央部の1/3の範囲に巻装された第3の巻線と、第1のヨークの可動子の移動範囲に対応する他方の端部方向の1/3の範囲に巻装された第4の巻線とを備え、第1ないし第4の巻線にそれぞれ所定の電流を流すことによって、可動子を移動させることを特徴とする単極形リニア直流モータ。
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