JP3685443B2 - シフトレバー装置の衝撃吸収構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インストルメントパネルに取り付けられたシフトレバー装置に関し、特に、シフトレバーに衝撃力を受けたときに衝撃力を吸収する衝撃吸収構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される自動変速機用のシフトレバー装置は、ドライバのシフト操作によってシフトレバーを前後方向に回動し、パーキングレンジやドライブレンジ等の各レンジを選択することができる。このシフトレバー装置は、前後方向に回動するために、シフトレバーが回動支持部材によって前後方向に回動自在に支持されている。例えば、図6の従来の自動変速機用のシフトレバー装置の内部構造に示すように、シフトレバー50は、シフトレバー支持部材50cがピン52で回動支持部材51に、前後方向に回動自在に支持される。なお、シフトレバー50は、ノブ50aおよびシフトレバー支持部材50cがロッド50bの軸線RA(ロッド50bの中心軸)上に組み付けられている。
【0003】
一般に、シフトレバー装置は、運転席横のフロアに取り付けられる。ところが、近年、ワンボックスカー等の車両では、車室内での人の移動性が要求されるようになってきた。しかし、フロアに取り付けられたシフトレバー装置は、車両の幅方向の略中央に位置するため、前部座席と後部座席との間での移動には障害となる。そこで、ワンボックスカー等の車両では、シフトレバー装置をインストルメントパネルに取り付けた車両が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
インストルメントパネルにシフトレバー装置を取り付けた場合、シフトレバーが、運転者に対向するようになる。また、車両に衝突事故等が発生すると、ドライバにはインストルメントパネルに向かって大きな慣性力が働く。そのため、車両に衝突事故等が発生すると、図6に示すように、ノブ50aの先端に運転者が当たり、シフトレバー50に強い衝撃力を与える場合がある。そして、その衝撃力が、ノブ50a、ロッド50bおよびシフトレバー支持部材50cに伝わる。さらに、衝撃力が、シフトレバー50から回動支持部材51に伝わる。ところが、このシフトレバー装置は、ロッド50bの軸線RAがシフトレバー50の前後方向の回動軸PA(ピン52の中心軸)上となるように、シフトレバー50が回動支持部材51に軸着されている。そのため、衝撃力の作用線が回動軸PA上を通る場合は、シフトレバー50には回転モーメントが発生しない。したがって、シフトレバー50が前後に回動したり、ロッド50bが折れ曲がるようなことがない。つまり、衝撃力は、シフトレバー装置に吸収されずに、運転者に強い反作用として働く。
【0005】
そこで、本発明の課題は、シフトレバーに衝撃力を受けたときに、その衝撃力を吸収するシフトレバー装置の衝撃吸収構造を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明に係るシフトレバー装置の衝撃吸収構造は、インストルメントパネルに取り付けられたシフトレバー装置のシフトレバーに衝撃力を受けたときに、前記衝撃力を吸収する衝撃吸収構造において、ロッドの軸線上にノブを有し、シフト操作により少なくとも前後方向に回動し、レンジを選択できるシフトレバーと、ピン孔を有し、このピン孔に前後回動ピンが挿通されることで前後方向に回動する回動支持部材とを備え、前記シフトレバーは、前後方向の回動に対して前記回動支持部材と一体に結合され、前記ロッドの軸線が前記ピン孔からオフセットした状態で前記回転支持部材に軸着されることで、前記ノブに衝撃力を受けると前記シフトレバーが前記回動支持部材とともに回動し、この回動が規制されることで前記ロッドが折れ曲がるように構成したことを特徴とする。
このシフトレバー装置の衝撃吸収構造によれば、シフトレバーのロッドの軸線をシフトレバーの前後方向の回動軸からオフセットさせることによって、衝撃力を受けたときにシフトレバーに回転モーメントが発生する。そのため、その回転モーメントによってシフトレバーがインストルメントパネルの方向に回動し、さらに回動が規制されるとロッドが折れ曲がる。その結果、衝撃力が吸収され、ドライバへの反作用が軽減する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明に係るシフトレバー装置の衝撃吸収構造の実施の形態を説明する。図1はシフトレバー装置の一部を破断した側面図、図2はシフトレバー装置を取り付けたインストルメントパネルの一部を破断した側面図、図3はシフトレバー装置の衝撃吸収構造の分解斜視図、図4はシフトレバー装置の運転席側から見た斜視図、図5はシフトレバー装置の衝撃吸収構造の作用図である。
【0008】
本実施の形態では、シフトレバー装置1は、自動変速機を搭載した車両のインストルメントパネルIPに、ドライバから見て左側かつコンビネーションメータCMの下側に取り付けられる(図2参照)。なお、シフトレバー装置1は、前後方向および左右方向にシフトレバー2を回動できるゲート式自動変速機用シフトレバー装置である。また、シフトレバー装置1は、ドライバのシフト操作により、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、通常走行時のドライブレンジ、スポーツ走行時のスポーツレンジおよびセカンドレンジのいずれかのレンジを選択することができる(図4参照)。さらに、シフトレバー装置1は、セカンドレンジ選択時には、ローホールドスイッチ11aによって、ローレンジとセカンドレンジを切り換えることができる。
なお、本実施の形態では、前後方向は、車両の前方を前方向、後方を後方向とする。また、左右方向は、車両の前方を前方向とした場合の車両の左側を左方向、右側を右方向とする。
【0009】
まず、図1乃至図4を参照して、シフトレバー装置1の構成について説明する。
シフトレバー装置1は、主として、ノブ3、ロッド4、シフトレバー支持部材5、回動支持部材6、左右回動ピン7、前後回動ピン8、ピン止め9、化粧プレート10、上面カバー11、上部収納ケース12、下部収納ケース13、ソレノイド14、シフト規制部材15およびハーネス16から構成される。なお、シフトレバー2は、ノブ3、ロッド4およびシフトレバー支持部材5から構成される。
なお、本実施の形態では、衝撃吸収構造は、シフトレバー2、回動支持部材6、左右回動ピン7、前後回動ピン8、ピン止め9および上部収納ケース12の各部材によって構成される構造である。
【0010】
まず、シフトレバー2について説明する。シフトレバー2は、ドライバがレンジを切り換えるためのレバーであり、前後方向および左右方向に回動する(図4参照)。そのために、シフトレバー2は、回動支持部材6に左右方向に回動自在に軸着され、回動支持部材6に対して左右方向に回動する。さらに、シフトレバー2は、前後方向に回動自在な回動支持部材6に軸着されているため、前後方向にも回動自在となる。
【0011】
ノブ3は、上部をドライバの掌で持たれ、ドライバのシフト操作を受ける部分となる。ノブ3は、シフト操作を伝達するために、底部に雌ネジ部(図示せず)が形成され、ロッド4に螺着される。
【0012】
ロッド4は、金属の細長い円柱形状であり、ドライバのシフト操作を伝達する軸である。すなわち、ロッド4は、ドライバのシフト操作を受けるノブ3とそのシフト操作を前後左右の回動に変える回動支持部材6に軸着されるシフトレバー支持部材5を繋ぐ部材である。そのために、ロッド4は、一方先端に雄ネジ部4a(図3参照)が形成され、ノブ3に螺着する。また、ロッド4は、他方先端がシフトレバー支持部材5のロッド孔5aに嵌入され(図3参照)、シフトレバー支持部材5に固定される。
【0013】
シフトレバー支持部材5は、樹脂材料で形成され、上端部にロッド4が固設され、下端部が回動支持部材6に軸着される。シフトレバー支持部材5は、主として、回動支持部材6に軸着される垂直部5b、垂直部5bの上部にロッド4が固設される傾斜部5cおよび垂直部5bと傾斜部5cの後部にシフト方向を案内するための案内部5dからなる(図3参照)。
【0014】
垂直部5bは、角柱形状であり、下部に軸着部5eを有する。垂直部5bは、軸着部5eが回動支持部材6の軸着部6fに嵌入され、さらに左右回動ピン7で軸着される。なお、垂直部5bが回動支持部材6に対して略垂直に立設して軸着されるため、シフトレバー2が回動支持部材6に対してスムーズに左右方向に回動することができる。軸着部5eは、左右方向に回動するために、前後方向に両端部を有する円柱部5fと、その円柱部5fの前端および後端に下部が半円形のフランジ5g,5gを有する。さらに、軸着部5eには、円柱部5fとフランジ部5g,5gを前後方向に貫通する左右回動孔5hが形成される。
【0015】
傾斜部5cは、角柱形状であり、垂直部5bに対して後方に傾斜させて、垂直部5bの上部に連続して形成される。なお、傾斜方向はロッド4の軸線RA方向と一致し、この傾斜方向によってドライバのシフト操作性を向上させている。さらに、傾斜部5cは、上端部にロッド孔5aが形成され、このロッド孔5aにロッド4を固定する。
【0016】
案内部5dは、垂直部5bと傾斜部5cの後部に一体で形成され、支持部5iとシャフト部5jからなる。支持部5iは、垂直部5bと傾斜部5cに連続して形成され、垂直部5bと傾斜部5cの後部右方に延びる。シャフト部5jは、上下方向にその両端部を有する円柱形状であり、支持部5iの後端部に形成される。シャフト部5jは、その上端部に嵌入孔5mが形成され、嵌入孔5mにシャフト5k(図1参照)を嵌入して固定する。そして、このシャフト5kが、上部収納ケース12の内側に形成されたシフト案内レール12aの溝に挿入され、シフト操作時にシフト案内レール12aに沿って案内される。なお、シフト案内レール12aは、シフトレバー装置1のシフトパターン(図4参照)と同一形状をした略U字状の溝である。したがって、シフトレバー支持部材5(ひいては、シフトレバー2)は、このシフト案内レール12aの形状に沿ってシフト方向が案内される。
【0017】
次に、回動支持部材6について説明する。回動支持部材6は、樹脂材料で形成され、中央部にシフトレバー支持部材5を軸着し、後部が上部収納ケース12に軸着される。そして、回動支持部材6は、シフトレバー2を左右方向に回動支持するとともに、シフトレバー2を前後方向にも回動支持する。ちなみに、左右方向には回動支持部材6に対してシフトレバー2が回動し、前後方向には上部収納ケース12(および下部収納ケース13)に対して回動支持部材6がシフトレバー2と一体で回動する。回動支持部材6は、主として、シフトレバー支持部材5を軸着する左右回動軸着部6a、この左右回動軸着部6aの後部に上部収納ケース12と下部収納ケース13に軸着される前後回動軸着部6b、左右回動軸着部6aの両側部に前後回動の安定性を確保するための回動安定部6c、6dおよび左右回動軸着部6aの前部にハーネス16を固定するハーネス部6eからなる(図3参照)。
【0018】
左右回動軸着部6aは、平面視して後方に広がる台形状を有し、シフトレバー支持部材5の軸着部5eを収納して軸着する軸着部6fと左右回動ピン7の保持部7aを保持するピン保持部6gからなる。軸着部6fは、上部が長方形状に上方に開口した開口部6hを有し、開口部6hに軸着部5eを収納する。開口寸法は、前後方向の長さが軸着部5eと嵌合する長さであり、左右方向の長さがシフトレバー2が左右方向に回動可能な空間を確保した軸着部5eの左右方向長さより所定量長い長さである。さらに、軸着部6fは、下部の前部と後部に開口部6hと連続して下方に開口したフランジ孔6i(なお、図3には前部のフランジ孔6iのみ図示し、後部のフランジ孔は図示せず)を有し、フランジ孔6iに軸着部5eのフランジ部5g,5gの外周部が挿入される。さらに、軸着部6fは、下部にフランジ孔6iに挟まれて形成された円弧板状の円柱受け部6jを有し、円柱受け部6jで軸着部5eの円柱部5fを受ける。すなわち、軸着部6fは、シフトレバー支持部材5の軸着部5eを収納したときに、円柱部5fが円柱受け部6jに載置されるとともに、フランジ部5g,5gがフランジ孔6iに嵌まる。また、開口部6hの前壁には左右回動ピン7の軸部7bの先端が挿入される有底のピン孔6k(図3の破線で示す)が形成され、開口部6hの後壁には左右回動ピン7の軸部7bが挿入される貫通孔であるピン孔6l(図3の破線で示す)が形成される。他方、ピン保持部6gは、軸着部6fの後方に形成され、上下方向に貫通する開口部6mを有する。さらに、ピン保持部6gは、開口部6m内かつピン孔6lの上方に、左右回動ピン7の保持部7aを左右方向から挟んだ状態で保持する挟持部6nを有する。また、ピン保持部6gは、保持部7aの前部に当接し、左右回動ピン7の前方への移動を規制するとともに挟持部6nでの保持を補強する前方側の保持部(図示せず)を有する。
【0019】
前後回動軸着部6bは、左右回動軸着部6aの後部に形成され、左右両側に突出部6o,6oを有する。突出部6o,6oは、ピン保持部6gの両側かつ軸着部6fの後部に連続して形成され、後部が半円形状を有する。なお、突出部6o,6o間の下部に形成される空間は、ピン保持部6gの開口部6mの空間と連続した空間である。さらに、突出部6o,6oは、略中央に左右方向に貫通するピン孔6p,6pが各々形成され、前後回動ピン8が挿入される。そのため、前後方向の回動軸PAは、シフトレバー2が軸着される位置から後方にずれた位置となる。
【0020】
回動安定部6cは、左右回動軸着部6aの左側上方に延び、上部収納ケース12の内側に接触する摺動面6qを有する。回動安定部6dは、左右回動軸着部6aの右側上方に延び、上部収納ケース12の内側に接触する摺動面6rを有する。なお、この2つの摺動面6q,6r間の長さは、上部収納ケース12の左右両内側面間の距離と略一致する。したがって、回動支持部材6が上部収納ケース12に対して前後方向に回動したときに、摺動面6q,6rが上部収納ケース12の内面を摺動する。そのため、回動支持部材6の前後方向の回動が、左右に振れることなく安定した回動となる。
【0021】
ハーネス部6eは、左右回動軸着部6aの前方に延び、ハーネス16が螺着するネジ部6sを有する。ネジ部6sは、ハーネス部6eの前部左側面から左方に立設される。
【0022】
次に、左右回動ピン7について説明する。左右回動ピン7は、シフトレバー支持部材5を回動支持部材6に軸着するためのピンである。左右回動ピン7は、金属円柱棒をL字状に折り曲げたものであり、保持部7aと軸部7bからなる(図3参照)。保持部7aは、軸部7bに比べて短く、シフトレバー支持部材5を回動支持部材6に軸着したときの左右回動ピン7の前後方向への移動を規制する。そのため、軸着時、保持部7aは、回動支持部材6の挟持部6nに保持される。また、軸部7bは、軸着時に、シフトレバー支持部材5の左右回動孔5hおよび回動保持部材6のピン孔6k,6lに挿入され、シフトレバー支持部材5を回動支持部材6に軸着する。
【0023】
次に、前後回動ピン8について説明する。前後回動ピン8は、回動支持部材6を上部収納ケース12に軸着するためのピンである。前後回動ピン8は、金属で形成され、円柱棒状の軸部8aと軸部8aの先端のピン頭8bからなる(図3参照)。軸部8aは、回動支持部材6を上部収納ケース12に軸着したときに、回動保持部材6のピン孔6p,6pおよび上部収納ケース12のピン孔12b,12b(図3の二点鎖線で示す)に挿入され、回動支持部材6を上部収納ケース12に軸着する。なお、下部収納ケース13も一体で軸着される。ピン頭8bは、円盤形状で、軸着時に、前後回動ピン8の左右方向の移動を規制する。さらに、前後回動ピン8の他方の端部は、軸着時にピン止め9で固定され、前後回動ピン8の左右方向の移動が規制される。
【0024】
次に、化粧プレート10について説明する。化粧プレート10は、上面カバー11の上部の一部に嵌め込まれ、シフトパターンの形状を有する開口孔10aを有する(図4参照)。開口孔10aは、パーキングレンジを選択するときのパーキングポジション10b、リバースレンジを選択するときのリバースポジション10c、ニュートラルレンジを選択するときのニュートラルポジション10d、ドライブレンジを選択するときのドライブポジション10e、スポーツレンジを選択するときのスポーツポジション10fおよびセカンドレンジを選択するときのセカンドポジション10gを順に繋ぐ連続孔である。なお、開口孔10aの各ポジションは、シフトレバー2を左右前後に移動させることによって各レンジが選択できるように配置される。
【0025】
次に、上面カバー11について説明する。上面カバー11は、上部収納ケース12の上部に配設され、シフトレバー装置1の上面となる。上面カバー11は、化粧プレート10の右側に表示部11bを有し、パーキングポジション10bに対し「P」、リバースポジション10cに対して「R」、ニュートラルポジション10dに対して「N」、ドライブポジション10eに対して「D」、スポーツポジション10fに対して「S」を表示する(図4参照)。さらに、セカンドポジション10gに対してはローホールドスイッチ11aが備えられ、セカンドレンジとローレンジの切換を行うことができる。
【0026】
次に、上部収納ケース12について説明する。上部収納ケース12は、下方を開口した筒状であり、シフトレバー装置1の各部材の大部分を収納する。上部収納ケース12は、インストルメントパネルIPの内部にブラケット20を介してボルト21,21,・・・でボルト締め固定される(図2参照)。さらに、上部収納ケース12は、その下部に下部収納ケース13が配置され、前部をピン22でピン止め固定され、後部を前後回動ピン8によって回動支持部材6とともに軸着される。なお、上部収納ケース12は、内部には各部材を収納するために、上部にはシフトレバー2を前後方向に案内する前後回動案内部12cを有する(図1参照)。また、上部収納ケース12は、右側面にシフトレバー支持部材5をシフトパターンに沿って案内するためのシフト案内レール12a(図1参照)や下部左右両側面に回動支持部材6を軸着するためのピン孔12b,12b(図3参照)が形成される。さらに、上部収納ケース12は、ソレノイド14等の各部材を収納するために各収納部が形成されるが、その詳細については省略する。
【0027】
次に、下部収納ケース13について説明する。下部収納ケース13は、上部を開口し、上部収納ケース12の下部に配設される。下部収納ケース13は、上部収納ケース12に取り付けるために、ピン22が挿入されるピン孔(図示せず)や前後回動ピン8が挿入されるピン孔(図示せず)が形成される。また、下部収納ケース13は、回動支持部材6が上部収納ケース12に対して回動したときに、回動支持部材6がスムーズに回動できる空間となる回動部13aが形成される。さらに、下部収納ケース13は、左側面を開口し、下部にはハーネス16を固定するためのハーネス孔13bが形成される。
【0028】
次に、ソレノイド14について説明する。ソレノイド14は、シフト規制部材15を移動させる動力源である(図1参照)。シフトレバー装置1は、車両の状態によって、各ポジション10b,10c,10d,10e,10f,10g間のシフトが規制される。例えば、ブレーキペダル(図示せず)が踏まれていない場合には、パーキングポジション10bから他のポジション10c,10d,10e,10f,10gへのシフトが規制される。そのため、規制を必要とする車両状態のときには、自動変速機の制御装置(図示せず)からシフトレバー装置1の制御部(図示せず)に規制するための信号が入力される。そして、その信号によって、ソレノイド14が、駆動してシフト規制部材15を移動させる。
【0029】
次に、シフト規制部材15について説明する。シフト規制部材15は、ソレノイド14によって移動し、シフトレバー2のロッド3に当接して、ロッド3の動きを直接止める(図1参照)。
【0030】
次に、ハーネス16について説明する。ハーネス16は、自動変速機の制御装置(図示せず)とシフトレバー装置1の制御部(図示せず)間の信号を伝送するための信号線である。ハーネス16は、その一端が回動支持部材6のネジ部6s(図3参照)に軸着され、他端が下部収納ケース13のハーネス孔13bに固定部材23,23によって固定される。
【0031】
それでは、衝撃吸収構造について説明する。
本実施の形態での衝撃吸収構造は、シフトレバー2、回動支持部材6および上部収納ケース12の組み付き構造が主要ポイントとなる。そこで、図3を参照して、シフトレバー2と回動支持部材6および回動支持部材6と上部収納ケース12の組み付け手順について説明する。なお、ここでの組み付け手順は、シフトレバー2、回動支持部材6および上部収納ケース12の3つの部材の関係について重要となるので、他の部材との関係については省略する。
【0032】
まず、シフトレバー2を回動支持部材6に組み付ける。シフトレバー支持部材5の軸着部5eを回動支持部材6の軸着部6fに挿入する。すると、軸着部5eの円柱部5fが軸着部6fの円柱受け部6jに載置されるとともに、軸着部5eのフランジ部5g,5gの外周部が軸着部6fのフランジ孔6iに挿入される。そして、左右回動ピン7の軸部7bは、軸着部6fのピン孔6l→軸着部5eの左右回動孔5h→軸着部6fのピン孔6kの順に挿入され、シフトレバー支持部材5を回動支持部材6に軸着する。さらに、左右回動ピン7の保持部7aをピン保持部6gの挟持部6nで挟んで、左右回動ピン7を回動支持部材6に固定する。その結果、シフトレバー支持部材5は、回動支持部材6に対して左右方向に回動自在になる。ちなみに、シフトレバー支持部材5は、回動支持部材6の軸着部6fの前壁と後壁によって前後方向の移動が規制される。
【0033】
次に、回動支持部材6を上部収納ケース12に組み付ける。シフトレバー2が回動支持部材6に組み付いた状態で上部収納ケース12の中に挿入する。挿入時、回動支持部材6のピン孔6p,6pが上部収納ケース12のピン孔12b、12bに一致する位置かつシフトレバー支持部材5の案内部5dのシャフト5kが上部収納ケース12のシフト案内レール12aに挿入する位置(図1参照)に、シフトレバー2および回動支持部材6を上部収納ケース12に対して配置する。なお、回動支持部材6のピン孔6p,6pが上部収納ケース12のピン孔12b、12bに一致させる際、下部収納ケース13のピン孔(図示せず)にも一致させて、下部収納ケース13を上部収納ケース12に対して配置する。そして、前後回動ピン8の軸部8aを上部収納ケース12の外側からピン孔12b→下部収納ケース13のピン孔→ピン孔6p→ピン孔6p→下部収納ケース13のピン孔→ピン孔12bの順に挿入する。さらに、上部収納ケース12の外側からピン止め9で前後回動ピン8の軸部8aの先端をピン止め固定し、回動支持部材6を上部収納ケース12(および下部収納ケース13)に軸着する。その結果、回動支持部材6は、ピン止め9と前後回動ピン8のピン頭8bによって左右方向の移動が規制されて、上部収納ケース12に対して前後方向に回動自在となる。ひいては、シフトレバー2が、前後回動ピン8の中心線を前後方向の回動軸PAとして前後方向に回動自在となる。ちなみに、前後方向の回動軸PAは、シフトレバー2が軸着される軸着部6fより後方に位置する。
【0034】
次に、前記した衝撃吸収構造の作用について説明する。図5に示すように、ロッド4の軸線RA(ロッド4の中心軸)は、シフトレバー2を前後方向の回動軸PAから前方に軸着したので、前後方向の回動軸PAからオフセットしている。すなわち、ロッド4の軸線RAは、前後方向の回動軸PAに交わることはない。そのため、ノブ3に衝撃力が入力された場合、衝撃力の作用線が前後方向の回動軸PAからオフセット分ずれることによって、シフトレバー2に回転モーメントが発生する。なお、衝撃力は、ノブ3からロッド4へと作用していく。すると、この回転モーメントによって、シフトレバー2を軸着した回動支持部材6が上部収納ケース12に対して前方に回動する(図5の二点鎖線参照)。このとき、図4に示すように、シフトポジションがドライブポジション10eに位置する場合にはニュートラルポジション10dまで回動可能であり、シフトポジションがセカンドポジション10gに位置する場合にはスポーツポジション10fまで回動可能である。
【0035】
さらに、前方への回動が規制されると、ロッド4に曲げモーメントが発生し、この曲げモーメントによってロッド4を折り曲げる(図5の二点鎖線参照)。その結果、シフトレバー2と回動支持部材6の前方への回動(すなわち、インストルメントパネルIP方向への回動)およびロッド4の折れ曲がりによって、衝撃力が吸収される。
【0036】
このシフトレバー装置1の衝撃吸収構造によれば、ロッド4の軸線RAを前後方向の回動軸PAからオフセットさせているので、シフトレバー2に衝撃力が加わると、この衝撃力によって回転モーメントが発生する。この回転モーメントによってシフトレバー2が回動支持部材6とともに回動し、さらに回動が規制されるとロッド4が折れ曲がる。その結果、衝撃力による衝撃エネルギーが吸収され、衝撃力による反作用が軽減する。
【0037】
以上、本発明は、前記の実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
例えば、衝撃吸収構造をゲート式のシフトレバー装置に適用したが、ストレート式のシフトレバー装置または手動変速機用のシフトレバー装置等に適用してもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明のシフトレバー装置の衝撃吸収構造は、ロッドの軸線をシフトレバーの前後方向の回動軸からオフセットさせたので、シフトレバーに衝撃力が加わると回転モーメントが発生する。この回転モーメントによってシフトレバーが回動し、さらにロッドが折れ曲がり、衝撃力を吸収する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るシフトレバー装置の一部を破断した側面図である。
【図2】本実施の形態に係るシフトレバー装置を取り付けたインストルメントパネルの一部を破断した側面図である。
【図3】本実施の形態に係るシフトレバー装置の衝撃吸収構造の分解斜視図である。
【図4】本実施の形態に係るシフトレバー装置の運転席側から見た斜視図である。
【図5】本実施の形態に係るシフトレバー装置の衝撃吸収構造の作用図である。
【図6】従来のシフトレバー装置のシフトレバーおよび回動支持部材の側面図である。
【符号の説明】
1・・・シフトレバー装置
2・・・シフトレバー
4・・・ロッド
5・・・シフトレバー支持部材
6・・・回動支持部材
7・・・左右回動ピン
8・・・前後回動ピン
9・・・ピン止め
12・・・上部収納ケース
RA・・・ロッドの軸線
PA・・・前後方向の回動軸
Claims (1)
- インストルメントパネルに取り付けられたシフトレバー装置のシフトレバーに衝撃力を受けたときに、前記衝撃力を吸収する衝撃吸収構造において、
ロッドの軸線上にノブを有し、シフト操作により少なくとも前後方向に回動し、レンジを選択できるシフトレバーと、
ピン孔を有し、このピン孔に前後回動ピンが挿通されることで前後方向に回動する回動支持部材とを備え、
前記シフトレバーは、前後方向の回動に対して前記回動支持部材と一体に結合され、前記ロッドの軸線が前記ピン孔からオフセットした状態で前記回転支持部材に軸着されることで、
前記ノブに衝撃力を受けると前記シフトレバーが前記回動支持部材とともに回動し、この回動が規制されることで前記ロッドが折れ曲がるように構成したことを特徴とするシフトレバー装置の衝撃吸収構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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