JP3685202B2 - 半田および半田付け物品 - Google Patents

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Description

本発明は、半田ならびに半田付き物品に関するものである。
従来より、電子機器や電子部品と電気的・機械的な接続を得るために半田が用いられている、この半田は、SnとPbを主成分としたもの(以下Sn−Pb系半田とする。)が一般的に用いられてきたが、環境問題を考慮してPbを含まないSnを主成分とし残部がAg,Bi,Cu,In,Sb等からなる半田(以下、Pbフリー半田とする。)が用いられるようになってきている。
近年においてはこのPbフリー半田を用いることによって、半田付き性が良好な電気的接合部を有する半田付け物品が製造されてきた。
しかしながら、Snが主成分である半田、特にPbフリー半田を用いた半田付け物品では、半田付け時に電極喰われが起こったり、高温放置や熱エージングを行った場合に、Snの拡散による、電気的、機械的性質の劣化が起こるといった問題点があった。
本発明の目的は、半田付け時または半田付け後熱エージングを行った時に、電極喰われや特性劣化が生じにくいPbフリー半田および半田付き物品を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するためにPbフリー半田ならびに半田付け物品を完成するに至った。
本発明のPbフリー半田は、不可避不純物を除き、Ag3.5〜9重量%およびSb重量%から選ばれる少なくとも1種類と、Pd0.01〜2重量%と、残部がSnと、からなることを特徴とする。

また、本発明の半田付け物品は、溶融したSnへ拡散しやすい遷移金属導体を含有する部品を半田により接合してなる半田付け物品であって、半田は、上述のPbフリー半田を用いることを特徴とする。
また、本発明の半田付け物品においては、前記遷移金属導体は、Cu,Ag,Ni,Au,Pd,Pt,Znの単体もしくは合金のうち少なくとも1種類を用いることを特徴とする。
本発明の半田付け物品を用いれば、半田接合部において半田付け性が良好であるとともに、優れた耐電極喰われ性を備えることが可能である。また、この耐電極喰われ性は、半田付け時の電極喰われにとどまらず、半田付け後の半田付け物品の高温放置時の電極喰われについても抑制可能である。
また、Pbフリー半田で課題となっている電極喰われを抑制できるため、半田のPbフリー化がより現実的となり、環境にやさしい製品を提供することが可能になる。
以下本発明の実施の形態について説明する。本発明のPbフリー半田は、AgおよびSbから選ばれる少なくとも1種類と、Pdと、Snと、を含有する組成である。そして、本発明の半田付け物品は、溶融したSnへ拡散しやすい遷移金属導体を有する部品を半田により接合してなる半田付け物品であって、半田は、上述したPbフリー半田を用いる。このような組成により、半田付け性、接合強度が良好であるとともに、十分な耐電極喰われ性を有する半田付け物品を提供することが可能となる。
すなわち、微少量添加されたPdが導体と半田の接合界面に偏析層を形成し、導体の溶融半田中への拡散を防ぎ、電極喰われを防止するためである。
上記Agの添加量を全体重量100重量%のうち0.5〜9としたのは、Agの添加量が0.5重量%未満の場合には強度改善効果が小さいからである。一方、Agの添加量が9重量%を超える場合には、過剰のAg3Sn金属間化合物が析出することによる接合強度低下と、半田液相線温度が上昇することによる溶融特性が阻害されるからである。
上記Sbの添加量を全体重量100重量%のうち0.5〜5としたのは、Sbの添加量が0.5重量%未満の場合には強度改善効果が小さいからである。一方、Agの添加量が5重量%を超える場合には、伸びが低下することによって熱衝撃性や加工性が阻害されるからである。
上記Pdの添加量を全体重量100重量%のうち0.01〜2としたのは、Pdの添加量が0.01重量%未満の場合には耐電極喰われ性が劣化するからである。一方、Pdの添加量が2重量%を超える場合には、液相線温度が上昇し、溶融特性を阻害するからである。なお、より好ましいPd添加量は0.01〜1重量%の範囲内であり、特にPd添加量が0.5重量%のときが望ましい。
本発明でいう溶融したSnへ拡散しやすい遷移金属導体の組成としては、Cu,Ag,Ni,Au,Pd,Pt,Znの単体などが代表的である。なお、これらの遷移金属の合金、例えばAg/Pd,Ag/Pt等でもよい。より好ましくは、Cu,Ag,Niの単体もしくはその合金である。このような電極喰われしやすい導体を有する物品に用いても、半田付け性、接合強度を維持しつつ電極喰われ抑制が可能となる。
上記遷移金属導体には必要に応じてガラスフリットや種々の添加剤(金属酸化物など)が添加されるが、導電成分である金属成分が上記のような組成であれば同様の効果が得られることは勿論である。また、半田組成として、作業温度を下げる目的でBi,In等の低融点金属を添加した場合も同様の効果が得られる。
ここで、本発明においては、半田組成として上記成分以外に微量の不可避不純物を含むものであってもよい。不可避不純物としては、半田を製造するときに混入する元素もしくは元々入っていた元素、例えばPb,Bi,Cu,Na等が挙げられる。
本発明の半田付け物品は、例えば、主成分のSnに上記添加成分を溶解させたPbフリー半田をボール状に加工し、半田ボールを部品上あるいは基板上に載せてフラックスを塗布した後、大気中で所定の温度に加熱して部品の導体を結合することにより容易に作成することが可能である。
なお、一般的には半田付け性向上のためにN2雰囲気で半田付けすることが多いが、本発明ではPdの添加量が少ないため、大気中で半田付けすることが可能である。
本発明の半田付け物品は、接合される部品そのものと、部品の導体同士を電気的、機械的に接合した半田接合部とを含めた全体を意味するものであり、さまざまな形態があるが、例えば、部品搭載基板に形成された導体と部品に形成された導体を電気的、機械的に接続させるために半田付けさせたものや、電子部品素子と端子とを電気的、機械的に接続させるために半田付けさせたものや、電子部品素子の電極同士を電気的、機械的に接続させるために半田付けさせたものなどが代表的である。
上記部品搭載基板としては、例えばガラスエポキシ製のプリント基板やフェノール製のプリント基板、アルミナなどのセラミック基板、金属の表面にセラミック等の絶縁膜を有する基板などが挙げられる。さらに、上記導体としては、プリント基板等の配線回路、電子部品の端子電極、リード端子などが挙げられる。
このようにして作製された本発明のPbフリー半田ならびに半田付け物品は、半田付け性、接合強度が良好であり、かつ、優れた耐電極喰われ性を有しているため、半田付け温度を自由に設定することが可能で作業性に優れたものとなる。また、Ag等の高価な電極喰われ抑制元素の添加量を少なくすることが可能となる。次に、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
表1に本実施例で用いる半田組成を示す。なお、比較例の組成も表1に併せて示す。
Figure 0003685202
さらに表1に示したPbフリー半田について、半田付け時の耐電極喰われ性、半田付け性の評価結果を表2に示す。
Figure 0003685202
ここで、半田付け時の耐電極喰われ性評価は静電容量変化法で測定をおこなった。Cu電極(膜厚3μm)或いはAg電極(膜厚20μm)を印刷焼成した単板コンデンサを半田に浸漬し、浸漬前後の静電容量の差分値をとり、浸漬前の静電容量に対する前記差分値を求めて電極の残存率を算出した。評価を行った半田付け温度は表2に示す。Cu電極は10秒間浸漬後の容量変化、Ag電極は電極喰われし易いので3秒間浸漬後の容量変化を測定した。
Cu電極において、いずれの場合も比較例と比較すると、本発明の添加元素が電極喰われ抑制に効果があった。実施例2〜5、実施例7〜8は電極残存率が95%以上であり、いずれも非常に良好な耐電極喰われ性を示した。また、代表的なPbフリー半田である比較例1〜2では、電極残存率が90%以下であり、耐電極喰われ性に問題が見られた。
実施例1と6は82〜88%の電極残存率であり他の実施例より電極喰われ抑制効果が小さいが、これは有効元素の添加量が少ないためである。但しいずれの組成も、半田付け条件次第では使用可能なレベルである。
またAg電極においてもCuと類似の傾向があり、いずれの場合も比較例と比較すると本発明の添加元素が電極喰われ抑制に効果があった。
半田付け性については、半田広がり率(JISZ3197に準拠)を用いて評価をおこなった。実施例1〜2、実施例5〜8については、いずれも半田広がり率が70%以上であり、非常に良好な半田付け性であった。また、比較例1〜2についても、いずれも半田広がり率が70%以上であり、非常に良好な半田付け性であった。
実施例3〜4は半田広がり率が低下しているが、これは有効元素の添加量が多いために液相温度が上昇し、半田の流動性が阻害されたためである。但しいずれの組成も、半田付け条件次第では使用可能なレベルである。
また、実施例8に示すように、Sb、Agの添加量を増加すると半田広がり率が高くなっているが、これは液相温度の上昇に伴い半田付け温度を上昇させた影響がでたものである。

Claims (3)

  1. 不可避不純物を除き、
    Ag3.5〜9重量%およびSb重量%から選ばれる少なくとも1種類と、
    Pd0.01〜2重量%と、
    残部がSnと、からなることを特徴とする、電子部品接合用のPbフリー半田。
  2. 溶融したSnへ拡散しやすい遷移金属導体を含有する部品を半田により接合してなる半田付け物品であって、
    前記半田は、請求項1に記載のPbフリー半田を用いたことを特徴とする、半田付け物品。
  3. 前記遷移金属導体は、Cu,Ag,Ni,Au,Pd,Pt,Znの単体もしくは合金のうち少なくとも1種からなることを特徴とする請求項2に記載の半田付け物品。
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