JP3684855B2 - 無色透明なポリエステルシートの製造方法 - Google Patents

無色透明なポリエステルシートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は包装材料に使用される食品包装用のシート、またシートからなる熱成形容器に使用できるポリエステルシートの製造方法に関し、詳しくは、ポリエステルの熱劣化等に由来する黄味を、透明性を実質的に損なうことなく改良し、かつ、生産性に優れ、効率的に無色透明なポリエステルシートを製造する方法に関する。
なお、「フィルム」及び「シート」を延伸の有無、厚み等で、区別して呼ぶことがあるが、本発明においてはこのような通常「フィルム」及び「シート」の両方の意味を含めて「シート」と呼ぶこととする。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という場合がある)などに代表されるポリエステルは、機械的強度、化学的安定性、衛生性、リサイクル性、透明性、保香性、ガスバリア性、成型性などに優れているため、各種のシート及びフィルム、又、シートを成型してなる容器やブロー延伸ボトルとして幅広く用いられている。特に最近では、廃棄物処理問題、環境保護、リサイクル性等の点から、従来、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレンなどが多用されてきた工業用ブリスターパック、食品包装用絞り容器等のシート成型体の分野での需要が増大している。又、従来より、包装用の透明延伸フィルムへの需要も多い。
【0003】
このようなポリエステルは、押出機に原料ポリエステルを供給してダイより押し出して製膜し、次工程に移るのが一般的である。次工程では、シート成型体の分野では真空成型機等で絞り成型して製品化するのが一般的であり、延伸フィルムの分野では、そのままインラインで一軸又は二軸延伸し、熱固定を施し製品化するのが一般的である。
【0004】
ポリエステルの押出成型分野では、生産面及び原料面でのコストダウンが求められている。生産面では、押出条件の改良による吐出量の増大検討が行われているが、反面、押出時の樹脂温度が高くなるため熱劣化を推進し、得られるシート及びフィルムの黄味が増大するという問題点がある。又、原料面では、製膜時の端材の系内リサイクルや回収ポリエステル原料の使用等が行われているが、反面、熱履歴が多くなることによる熱劣化の推進、及び、ポリエステル以外の素材の微量混入による化学的、熱的着色により、得られるシートの黄味が増大するという問題点があった。
このような問題を解決するため、ポリエステルの重合工程で酢酸コバルト等のコバルト化合物を添加する方法が知られている。しかしながら、この方法では、重合槽中やポリエステル中への金属コバルトの析出や、得られるポリエステルの透明性の低下等の問題があった。
【0005】
一方、ポリエステルの重合工程で染料又は顔料等の色材を添加又は共重合する方法(特開昭48−56252号公報、特開昭53−120760号公報、特開昭54−39491号公報、特開昭57−31925号公報、特表昭60−500335号公報、特表平5−500078号公報、特表平9−502470号公報、特開平9−111102号公報等参照)が開示されている。しかしながら、この方法では、エステル化時及び/又は重合時の留出や回収ジオール中への混入により、ポリエステル中への取り込み量を制御するのが困難であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の問題点を解決し、ポリエステルの熱劣化等に由来する黄味を、透明性を実質的に損なうことなく改良し、且つ、生産性に優れ、効率的に無色透明なポリエステルシートを製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は原料ポリエステルに、主として青色染料及び/又は青色顔料からなる色材が10〜10000重量ppm含有されたポリエステル(A)と、ポリエステル(B)とを、ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈重量倍率が200〜2000倍となるように二軸押出機に供給して製膜する無色透明なポリエステルシートの製造方法であって、製膜後のシートの色材含有率が0.05〜5重量ppmであり、かつ、シートを3mm厚に重ね合わせた時のカラーb値が−1〜+3である無色透明なポリエステルシ
ートの製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に使用する原料である色材及び原料ポリエステルについて説明する。
本発明における色材は、主として青色染料及び/又は青色顔料からなり、青色のフタロシアニン系染料及び顔料、青色のアンスラキノン系染料及び顔料等が挙げられる。具体的には、例えば、Estofil Blue S−RBL(青色染料),Diaresin Blue G(青色染料),Estofil Blue S−RLS(青色染料),Chromofine Blue 4940(青色顔料),PV Fast Blue A2R(青色顔料)等である。これらの内、特にフタロシアニン系及び/又はアンスラキノン系青色染料が、安価である点、取り込み率が高い点、耐熱性に優れる点、色調が好適である点等で好ましい。色材は、これらの内の単独の化合物でも良いし、二種以上の化合物の混合物でも良い。更には、青色染料及び/又は青色顔料に赤色、紫色等の他の色の色材を少量配合した混合物でも良い。その際には、青色染料及び/又は青色顔料の比率が80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に88重量%以上含まれていることが好ましい。
【0009】
本発明における原料ポリエステルは、実質的にジカルボン酸とジオールとからなり、全ジカルボン酸に対するテレフタル酸の比率が80モル%以上、好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、全ジオールに対するエチレングリコールの比率が50モル%以上、好ましくは60モル%以上、更に好ましくは65モル%以上であることが望ましい。ここで、用いられる共重合成分としては、例えば、ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等が、ジオール成分としてはジエチレングリコール、1,4及び1,3−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ネオペンチルグリコール等が挙げられる。又、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、三官能以上の多官能成分や単官能成分が少量共重合されていても良い。ポリエステル樹脂の組成が上記の範囲である場合、安価である点、製膜及びシートの熱成型が容易である点、及び、本発明により得られるシートの透明性、耐衝撃性、耐薬品性、保香性等の物性が優れている点等で好ましい。
【0010】
原料ポリエステルには、その製造時に使用された触媒に由来するマンガン、マグネシウム、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタンなどの金属元素や安定剤に由来するリン元素など、ポリマー骨格を構成する以外の元素が通常1種類以上含有されている。本発明の要旨を越えない限り、これら含有されている元素の種類や量には特に制限はないが、色調や熱安定性の点から、好ましくは重縮合触媒としてアンチモンやゲルマニウムが用いられたポリエステルが使用される。
【0011】
原料ポリエステルの一部又は全部は、回収した飲料用ポリエステル製ボトル、成型品を打ち抜いた後のシートのスケルトン、更には系外のシートのロール又は枚葉体等、及びこれらの粉砕品や再ペレット化品等であっても良い。系外からの回収品を含む場合は、ポリエステル以外の樹脂が微量混入する場合がある。又、シートにコーティングが為されている場合は、コート材由来の成分が微量混入する場合がある。
【0012】
本発明に用いる原料ポリエステルの極限粘度は特に限定されないが、通常、0.40dl/g以上、好ましくは0.50dl/g以上、1.0dl/g以下である。原料ポリエステルの極限粘度は、押出時の粘度低下を考慮して、原料ポリエステル全体の極限粘度の加重平均が、シートとして必要な極限粘度より5〜10%程度高くなるよう選定すれば良い。なお、極限粘度の測定は、試料0.25gをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比=1/1)の混合溶媒25mlに溶解させ、30℃で行う。
【0013】
原料ポリエステルは、従来公知の方法に準じ、溶融重合により、またはそれに引き続く乾燥及び結晶化工程、更にはそれに引き続く固相重合により製造される。
溶融重合法としては、例えば、ジカルボン酸とジオールを用いて直接エステル化反応を行った後、更に昇温するとともに次第に減圧にして重縮合反応させる方法や、ジカルボン酸のエステル誘導体とジオールとを用いてエステル交換反応を行い、その後、得られた反応物を更に重縮合反応する方法などが挙げられる。
【0014】
乾燥は、減圧下、窒素等の不活性ガス雰囲気下、あるいは空気雰囲気下等で行うことができ、雰囲気の温度は、結晶性のポリエステルの場合は通常120〜220℃であり、非晶性のポリエステルの場合はそのガラス転移温度以下である。乾燥を行うことにより、シート化時のポリエステルの熱分解を抑えることができるので、一層好ましい。なお、結晶性のポリエステルの場合には、乾燥と同時に結晶化も行うことができる。
固相重合は、結晶性のポリエステルについて乾燥及び結晶化工程に引き続き減圧下や窒素等の不活性ガス雰囲気下等で行うことができ、雰囲気の温度は通常200〜250℃である。固相重合を行うことにより、より高い極限粘度のポリエステルを得ることができる。
【0015】
本発明におけるポリエステル(A)は、原料ポリエステルに色材を10〜10000重量ppm(以下、重量ppmをppmと略する)含有することが必要であり、好ましくは50〜5000ppm、更に好ましくは100〜2000ppm、特に好ましくは150〜1000ppm含有されたものである。色材の含有率が10ppm未満の場合は、色調改良と生産効率の両立ができないので好ましくなく、他方10000ppmを超える場合は、得られるシートの調色ムラ等が発生しやすくなるので好ましくない。
ポリエステル(A)中の色材の含有率は、ポリエステル(B)の希釈倍率と得られたシート中の色材の含有率に関係するので、本発明の要件を満たす中で、適宜選択すればよい。
【0016】
ポリエステル(A)は、色材を重合工程で添加する、所定比率で原料とブレンド後に溶融混練する、また、所定比率で原料ポリエステルとブレンドした状態でポリエステル(A)とすることができる。この内、色材の取り込み効率が高い、添加精度が良い、更に色材の高濃度化が容易である点で、所定比率で原料ポリエステルとブレンド後に溶融混練してポリエステル(A)とする方法が好ましい。
【0017】
本発明におけるポリエステル(B)は、ポリエステル(A)に含有されている色材の含有率を調整するため希釈をする役目のポリエステルである。通常は、ポリエステル(B)はポリエステル(A)に使用する原料ポリエステル、また、原料ポリエステルと同種のポリエステルとの混合物が使用される。
しかしながら、安価である点、及び、廃棄物の減量が可能である点から、製膜時の端材及び/又は回収ポリエステルを原料ポリエステルに含有させて使用することが好ましい。製膜時の端材を用いる場合、色材を含有することになるが、その際の含有率は5ppm未満であるように調整して使用することが好ましい。ここで、回収ポリエステルとは、回収した飲料用ポリエステル製ボトル、成型品を打ち抜いた後のシートのスケルトン、更には系外のシートのロール又は枚葉体等、及びこれらの粉砕品や再ペレット化品等を意味する。
【0018】
また、ポリエステル(A)及び/又はポリエステル(B)は、白色粒子を含有することができる。白色粒子を用いた場合、色材により低下した明度(L値)を増大させることができるため、一層好ましい。
白色粒子としては、酸化チタン、シリカ、アルミナ、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの好ましい添加量は、その組成、粒径、分散性等に依存するが、通常は、1〜20000ppmの範囲で添加するのが好ましい。
【0019】
本発明の無色透明なポリエステルシートの製造方法は、ポリエステル(A)とポリエステル(B)とを二軸押出機に供給して製膜することにより得られるものである。製膜方法は従来公知の方法が採用でき、例えば、ダイより押出しキャストロールで冷却することにより得られる。二軸押出機に供給する際にポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈重量倍率が200〜2000倍であることが必要であり、好ましくは400〜1500倍、更に好ましくは500〜1200倍、特に好ましくは600〜1000倍である。
【0020】
ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈重量倍率が200倍未満の場合は、ポリエステル(A)を多く使用することになるため、生産コストが増大するため好ましくなく、また、2000倍を超える場合、製膜時に色材の分散性が悪化するため好ましくない。ここで、ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈重量倍率がx倍とは、押出機に、ポリエステル(A)1重量部に対してポリエステル(B)を(x−1)重量部供給することを意味する。
【0021】
原料の投入方法は任意の手法を用いて良く、例えば、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を、予めタンブラー等でブレンド後にメインホッパーに保持して一括で投入する方法、複数のフィーダを設けてポリエステル(A)及びポリエステル(B)を別々に直接押出機の同一箇所に投入する方法、まずポリエステル(B)を押出機に投入し、押出機の下流部に別個に設けた投入口からポリエステル(A)をサイドフィードする方法等が挙げられる。これらの内、偏析由来の色材濃度振れの防止、設備の簡易さから、複数のフィーダを設けてポリエステル(A)及びポリエステル(B)を別々に直接二軸押出機の同一箇所に投入する方法が好ましく採用される。
【0022】
本発明の製造方法には二軸押出機を使用する。一軸押出機の場合、色材の分散性が劣り好ましくない。なお、二軸押出機は、同方向回転型、異方向回転型の何れでも良く、又、スクリューは噛み合い型、非噛み合い型、不完全噛み合い型の何れでも良い。
又、二軸押出機は、シリンダ部に1個以上、好ましくは2個以上のベントポートを有していることが望ましい。ベントポートがない押出機を用いる場合には、シリンダ内での原料ポリエステルの加水分解を防止するため、原料ポリエステルを乾燥処理して、含水率を通常0.01重量%以下、好ましくは0.005重量%以下にしてからホッパーに供給して使用する。これに対し、ベントポートを有する押出機を用いる場合には、そこからシリンダ内を減圧してシリンダ内で原料ポリエステルの乾燥が行えるため、原料を乾燥せずに供給しても良いうえ、原料ポリエステルに含まれているアセトアルデヒド等の揮発性不純物をシリンダ内で低減させることもできるので、一層好ましい。通常ベントポートは、100mmHg以下、好ましくは50mmHg以下、更に好ましくは10mmHg以下の減圧系に接続して用いる。
【0023】
成形温度については通常、押出機のシリンダ内での樹脂温度が250〜330℃程度、スクリュー先端からダイス出口までの樹脂温度が240〜320℃程度になるように、シリンダ、配管、ダイ等の温度調節を行えば良い。なお、樹脂温度の測定は、該領域に取り付けられた熱電対で行えば良い。
ダイより押出されたシートは、結晶化を進行させないように素早く冷却することが望ましく、通常、静電密着式又はタッチロール式のキャスティングロールにて冷却することが望ましい。この場合、キャスティングロールの表面温度は、通常20〜70℃、好ましくは25〜60℃に制御すれば良い。更に延伸フィルムを製造する場合は、公知の方法により、シートを75〜130℃程度に加熱後、流れ方向及び/又はその直角方向に延伸し、必要に応じて熱固定して生産すれば良い。
【0024】
本発明のシートの製造方法においては、必要に応じて他の添加剤を添加しても良い。例えば、シート自体あるいはシートを更に成型した成型品としての美観、耐候性、易滑性、帯電防止性等を得るために、蛍光剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、耐ブロッキング剤、難燃化剤、着色剤等を添加あるいは塗布することができる。添加あるいは塗布方法としては、通常公知の方法が使用でき、例えば、添加剤を高濃度に分散させたマスターバッチを用いたり、溶剤に溶解又は分散させて塗布する方法が挙げられる。更には、表面の傷入り防止や、帯電防止等を目的とした各種の表面処理、及び保護シートの被覆等を行っても良い。
【0025】
本発明により得られるシートは、通常、製品化される前にトリミングカッターで両端を切除し製品となる。切除されたシート両端部は、通常、粉砕機等で粉砕した後、廃棄物の減量や生産歩留まりの向上の点から、原料の一部又は全部としてリサイクルして使用することが好ましい。
本発明の製造方法により得られた製膜後シートの色材含有率は、0.05〜5ppmであることが必要であり、好ましくは0.1〜3ppm、より好ましくは0.15〜2ppm、更に好ましくは0.2〜1.5ppm、特に好ましくは0.25〜1.2ppmである。
【0026】
製膜後のシートの色材含有率が0.05ppm未満の場合は、実質的に色調の改良効果が見られないため好ましくなく、また、5ppmを超える場合には、シートの明度が損なわれることや、用途によっては安全性上の懸念が生じる場合があるので好ましくない。
なお、本発明における製膜後のシートの色材含有率の最適値は、製品の使用目的、原料ポリエステルの色調やその押出時の着色性に依存するが、製膜後のシートを3mm厚に重ね合わせた時のカラーb値が−1〜+3であるように最適値を選択すればよい。カラーb値は好ましくは−0.5〜+2.5、更に好ましくは0〜+2である。
【0027】
カラーb値が−1未満の場合は、得られるシートの色調が不必要に青すぎ、好ましくなく、また、+3を超える場合は、得られるシートの黄味が強くなる、または色調改良効果が不十分であるので好ましくない。
ここで、シート色調測定法とは、製膜後のシートを3mm厚になるように重ね合わせて色差計の0点調節用標準白板に接触させて置き、シートに対して標準白板とは反対方向にある光源及び測色部により反射法で測定する。この方法は、未延伸または、延伸フィルムに関しても同様の測定法で測定できる。
【0028】
本発明の製造方法により得られたシートは、通常、未延伸シートとしては150μm〜5mm、また延伸シートとしては1μm〜300μmのものであり使用する用途により適宜選択することができる。未延伸シートの場合は、真空成型等により成型して、食品包装容器等に用いることができ、又、延伸フィルムの場合は、そのまま適当な大きさに裁断して、各種包装用に用いることができる。
【0029】
本発明の製造方法により得られたシートは、単層のみではなく、押出ラミや接着剤により、他のシートと積層して使用することができる。例えば、本発明の製造方法により得られたシートを中間層、表外層を原料ポリエステルよりなるシートの積層体として使用することもできる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、実施例において使用した原料及び物性の測定・評価方法は、それぞれ以下のとおりである。
【0031】
[原料]
(1)色材
色材1:クラリアント社製 Estofil Blue S−RBL(フタロシアニン系青色染料)
色材2:クラリアント社製 PV Fast Blue A2R(フタロシアニン系青色顔料)
色材3:クラリアント社製 Sandplast Violet RSB(アンソラキノン系紫色染料)
(2)ポリエステル
PET1:三菱化学(株)製ノバペックスGG400(IV=0.72,b値=0.5)
PET2:三菱化学(株)製ノバペックスTGS83Y(IV=0.85,b値=4.0)とノバペックスGG400との1:1ペレットブレンド品
PET3:ポリウレタン樹脂を表面にコーティングした延伸ポリエステルフィルムの端材を溶融押出し、再ペレット化したもの(IV=0.55,b値=17)
【0032】
[物性測定・評価方法]
(1)シート色調の測定法
実施例及び比較例により得られたシートを、210mm×70mm角に複数枚切り出して3mm厚になるように重ね合わせ、色差計の0点調節用標準白板に接触させて置き、日本電色製ND−300A色差計にて、シートに対して標準白板とは反対方向にある光源及び測色部により、反射法で測定した。同一サンプルについて5箇所測定し、その単純平均値を測定値とした。この測定法を、白板反射法と呼ぶことにする。
【0033】
(2)色材含有率の測定法
使用した色材をHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)に溶解して、日立製作所製U−2000分光光度計にて吸光度を測定し、検量線を作成した。続いて、色材を含有するポリエステルペレット、又は実施例及び比較例により得られたシートをHFIPに溶解し、同様に吸光度を測定することにより、色材含有率を測定した。又、含有率の仕込比率に対する比を、色材取り込み率とした。
【0034】
[参考例1〜3]
それぞれ表1に示す各原料(色材は無添加)をホッパーに投入し、スクリューフィーダーにて押出機に供給した。押出機は、1mmHgの減圧系に接続された2箇所のベントポートを持つ30mmφ二軸押出機で、ギアポンプを経てTダイから押出し、キャスティングロール上で急冷して、厚さ0.6mmの単層のポリエステルシートを作製した。吐出量は約18kg/hr、キャスティングロールの温度は30℃とし、樹脂温度は約300℃であった。これらのシートの色調測定結果を表2に示す。
【0035】
[比較例1]
PET1/色材1=99/1の重量比でブレンド後、一括してホッパーに投入し、スクリューフィーダにて、1mmHgの減圧系に接続された1箇所のベントポートを持つ75mmφ一軸押出機に供給して樹脂をストランド状に押出し、水冷却後ペレット化して高濃度マスターバッチを作製した。吐出量は約50kg/hrとした。次に、PET1/高濃度マスターバッチ=24/1の重量比でブレンド後、同様にして押出し、ポリエステル(A)を作製した。
このポリエステル(A)の色材含有率は384ppmで、色材取り込み率は96%であった。
【0036】
次に、表1に示すように、ポリエステル(B)としてはPET2を用い、ポリエステル(B)99重量部とポリエステル(A)1重量部とをブレンドし(ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈倍率が100倍)、一括してホッパーに投入した以外は参考例と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。
表1に示したようにこのシートの色材含有率は3.8ppmで、ポリエステル(A)からの色材取り込み率は100%であった。このシートの色調測定結果を表2に示す。
このシートは、青味が強く無色透明な性能を要求される用途には使用できないものであり、又、ポリエステル(B)に対してポリエステル(A)の使用量が多いため、その混練に時間が掛かり、生産性が悪いシートであった。
【0037】
[実施例1]
ポリエステル(B)399重量部とポリエステル(A)1重量部とを独立のフィーダで別個に直接投入(ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈倍率が400倍)した以外は比較例1と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。
このシートの色材含有率は0.96ppmで、ポリエステル(A)からの色材取り込み率は100%であった。このシートの色調測定結果を表2に示す。
このシートは、無色で透明性に優れ、良好な色調であった。
【0038】
[実施例2、比較例2]
実施例2はポリエステル(B)1599重量部とポリエステル(A)1重量部とを投入、比較例2はポリエステル(B)2499重量部とポリエステル(A)1重量部とを投入(ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈倍率はそれぞれ1600倍、2500倍)した以外は実施例1と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。このシートの色材の含有率を表1に示す。
実施例2のシートの色調測定結果を表2に示す。このシートは無色で透明性に優れ、良好な色調であった。
比較例2のシートは、シートの流れ方向に色調のムラがあり、色材が不均一に分散されたシートであり、製品として使用できないものであった。このため、色調測定はしなかった。
【0039】
[比較例3]
PET1/比較例1で用いたポリエステル(A)=39/1の重量比でブレンドして投入した以外は比較例1と同様にしてポリエステル(A)を作製した。このポリエステル(A)の色材含有率は9.6ppmであった。
このポリエステル(A)を用い、ポリエステル(B)499重量部とポリエステル(A)1重量部とを投入(ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈倍率が500倍)した以外は比較例1と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。このシートの色材の含有率を表1に、また色調測定結果を表2に示す。
このシートは、参考例2との有意差が認められない色調で、実質的に色調改良効果が見られないシートであった。
【0040】
[実施例3]
ポリエステル(B)をPET1/PET3=90/10のブレンド品とした以外は実施例1と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。このシートの色材の含有率を表1に、また色調測定結果を表2に示す。
このシートは、やや透明性が不足していたが、参考例3と較べると無色で極めて良好な色調であり、色調改良効果が十分認められるシートであった。
【0041】
[実施例4]
ポリエステル(A)に酸化チタンを1600ppm添加した以外は実施例3と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。このシートの色材の含有率を表1に、また色調測定結果を表2に示す。
このシートは、実施例3のシートに較べて見かけ上の明度が向上し、更に良好な色調であった。
【0042】
[実施例5]
50kgスケールでホモポリエチレンテレフタレートを重合する際に、重合開始直前に色材1を50ppm添加することにより、ポリエステル(A)を作製した。重合時の留出液が青色に着色していたため、色材が留出したものと考え、重合後に色材含有率を測定したところ35ppmで、色材取り込み率は70%であった。
このポリエステル(A)を用い、ポリエステル(B)199重量部とポリエステル(A)1重量部とを投入(ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈倍率が200倍)した以外は比較例1と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。このシートの色材の含有率を表1に、また色調測定結果を表2に示す。
このシートは、色材の含有量の調整がむずかしいが色調は良好であった。
【0043】
[実施例6、比較例4]
PET1/色材2=19/1として高濃度マスターバッチを作製し、次にPET1/高濃度マスターバッチ=24/1として押出した以外は比較例1と同様にして、ポリエステル(A)を作製した。
このポリエステル(A)の色材含有率は1960ppmで、色材取込み率は98%であった。
このポリエステル(A)を用い、実施例6はポリエステル(B)499重量部とポリエステル(A)1重量部とを投入、比較例4はポリエステル(B)299重量部とポリエステル(A)1重量部とを投入(ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈倍率がそれぞれ500倍、300倍)した以外は実施例1と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。これらのシートの色材の含有率を表1に、また色調測定結果を表2に示す。
実施例6のシートは、透明で許容できる色調であったが、比較例4のシートは、黒味が強く、無色透明な性能を要求される用途には不適当なシートであった。
【0044】
[実施例7]
色材を色材1/色材3=95/5のブレンド品とした以外は実施例2と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。このシートの色材の含有率を表1に、また色調測定結果を表2に示す。
このシートは、透明性に優れた、無色に近い良好な色調であった。
【0045】
[実施例8、9]
ポリエステル(A)は、比較例1と同様にして作製した。
実施例8ではPET2を319重量部、製膜後の端材の粉砕品を80重量部、ポリエステル(A)を1重量部投入、実施例9ではPET2を1279重量部、製膜後の端材の粉砕品を320重量部、ポリエステル(A)を1重量部投入(ポリエステル(B)(PET2と端材の粉砕品の合計)によるポリエステル(A)の希釈倍率がそれぞれ400倍、1600倍)した以外は実施例1と同様にして、厚さ0.6mmのポリエステルシートを作製した。これらのシートの色材の含有率を表1に、また色調測定結果を表2に示す。
このシートは、無色で透明性に優れ良好な色調であった。
【0046】
【表1】
Figure 0003684855
【0047】
【表2】
Figure 0003684855
【0048】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、ポリエステルの熱劣化等に由来する黄味を、透明性を実質的に損なうことなく改良し、且つ、極めて生産性に優れた製造方法である。この製造方法によれば、回収ポリエステル等を含めた幅広い原料を用いて無色透明なポリエステルシートを効率的に生産することができる。

Claims (5)

  1. 原料ポリエステルに、主として青色染料及び/又は青色顔料からなる色材が10〜10000重量ppm含有されたポリエステル(A)と、ポリエステル(B)とを、ポリエステル(B)によるポリエステル(A)の希釈重量倍率が200〜2000倍となるように二軸押出機に供給して製膜する無色透明なポリエステルシートの製造方法であって、製膜後のシートの色材含有率が0.05〜5重量ppmであり、かつ、シートを3mm厚に重ね合わせた時のカラーb値が−1〜+3であることを特徴とする無色透明なポリエステルシートの製造方法。
  2. 色材が、主としてフタロシアニン系及び/又はアンスラキノン系青色染料である請求項1記載の無色透明なポリエステルシートの製造方法。
  3. ポリエステル(A)及び/又はポリエステル(B)に、白色粒子が含有されている請求項1記載の無色透明なポリエステルシートの製造方法。
  4. ポリエステル(B)が、製膜時の端材及び/又は回収ポリエステルを含有し、色材の含有率が5重量ppm未満である請求項1記載の無色透明なポリエステルシートの製造方法。
  5. ポリエステル(A)とポリエステル(B)とを、それぞれ別々のフィーダから二軸押出機に供給して製膜する請求項1記載の無色透明なポリエステルシートの製造方法。
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