JP3684830B2 - プリント配線板 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,プリント配線板に関し,特にビアホールの導通信頼性を高める構造に関する。
【0002】
【従来技術】
従来,プリント配線板としては,図9に示すごとく,絶縁基板92の表面に導体パターン951,952を設け,両者の間をビアホール91により電気的に接続してなるものがある。
このプリント配線板を製造するに当たっては,図10に示すごとく,ビアホールをレーザー照射により形成する方法を利用した製造方法がある。即ち,まず,ガラスクロスに樹脂を含浸した絶縁基板92を準備する。次いで,絶縁基板92の表面に,銅箔95を貼着し,ビアホール形成部分91aに対応する位置に開口孔950を形成する。次いで,開口孔950に対してレーザー98を照射して,ビアホール91を形成する。
次に,ビアホール91の内壁に金属めっき膜959を形成する。次いで,銅箔95にエッチングを施して,導体パターン951,952を形成する。
以上によりプリント配線板を得る。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のプリント配線板においては,絶縁基板92に含まれているガラスクロス900の粗密により,ビアホール91の壁面形状が大きく変わる。即ち,図11に示すごとく,絶縁基板92において,ガラスクロス900が少ない部分は,樹脂が相対的に多くなる。そのため,レーザー孔明け速度が速く,本来のビアホール形成部分だけでなく,その周囲の部分をも孔明けされる。そのため,図11に示すごとく,壁面が膨らんだビアホール91が形成されてしまう。
【0004】
逆に,図12に示すごとく,絶縁基板92において,ガラスクロス900が多い部分は,ガラスクロスが難レーザー加工性であるため,レーザー孔明け速度が遅く,図12に示すごとく,本来のビアホール形成部分の全部を孔明けすることができず,その一部が残ってしまう。このため,ビアホール91が,その設計領域よりも小さくなってしまう。
【0005】
このように,ガラスクロスに樹脂を含浸した絶縁基板は,レーザー加工によって正確なビアホールを孔明けすることが困難であった。このため,ビアホールの電気的接続信頼性が悪いという支障が生じやすかった。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,レーザー加工により正確にビアホールを形成できるプリント配線板を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明は,ガラスクロスに樹脂を含浸させてなる2層の絶縁層の間に導電性隔壁を設け,積層してなる積層板と,
上記積層板の両面側から,同一軸線上に位置するビアホール形成部分にレーザーを照射して,上記導電性隔壁を底部とする上部孔及び下部孔を設け,上記積層板の異層間を電気的に接続するためのビアホールとを有することを特徴とするプリント配線板である。
【0008】
本発明においては,複数の絶縁層の間に導電性隔壁を設け,導電性隔壁によりビアホールを上部孔と下部孔に分割している。即ち,ビアホールの上端部と下端部との間に導電性隔壁を設けることにより,ビアホールのレーザー孔明け深さを小さくしている。そのため,絶縁層にガラスクロスの粗密があったとしても,分割された孔形成部分のガラスクロス量のバラツキは,分割されない場合よりも小さい。そのため,分割により形成された上部孔と下部孔は,孔明け状態のバラツキは少ない。従って,本発明のプリント配線板によれば,正確にビアホールを形成できる。
【0009】
次に,本発明の詳細について説明する。
上記上部孔と下部孔とは,同一軸上に設けられている。これにより,ビアホールの電気特性が更に向上する。
また,上記各絶縁層の厚みは,0.03〜0.3mmであることが好ましい。これにより,異層の導体パターン間の絶縁性を十分に確保して,かつビアホールを正確に形成できる。一方,0.03mm未満の場合には,異層の導体パターン間の絶縁性を確保できないおそれがある。また,0.3mmを超える場合には,ビアホールを正確に形成できないおそれがある。
【0010】
絶縁層としては,ガラスクロスに樹脂を含浸させてなるものを用いるが,具体的には,ガラスクロスに樹脂を含浸させ,Bステージ化させたプリプレグなどを用いることができる。
導電性隔壁は,上部孔と下部孔との間の導電性を維持しつつ,ビアホールの上下を分断する。かかる導電性隔壁は,例えば,銅等の金属箔,金属めっき膜に,ビアホールとほぼ同一又はそれよりも大きいパターンを形成したものを用いる。また,各絶縁層には,導体パターンを設けることができる。導体パターンは,上記導電性隔壁と同材料で形成することができる。
【0011】
本発明のプリント配線板は,プラスチックPGA(ピングリッドアレイ),BGA(ボールグリッドアレイ),マルチチップモジュール等の電子部品を搭載するための電子部品搭載用基板,マザーボード,ドーターボード等のプリント配線板などに用いることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例に係るプリント配線板について,図1〜図8を用いて説明する。
本例のプリント配線板は,図1に示すごとく,2層の絶縁層21,22を積層してなる積層板2と,積層板2の異層間を電気的に接続するためのビアホール1とからなる。
【0013】
ビアホール1は,上部孔11と下部孔12と,両者の間に介設した導電性隔壁5とからなる。導電性隔壁53は,その上面が上部孔11の底部を,下面が下部孔12の底部を構成している。上部孔11と下部孔12は,同一軸上に設けられている。
【0014】
絶縁層21,22は,ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸したものであり,その厚みは0.1mmである。積層板2の上面,下面にはそれぞれ導体パターン51,52を設けている。
【0015】
次に,本例のプリント配線板の製造方法について説明する。
まず,ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させこれを半硬化させた絶縁基板を準備し,これを下層の絶縁層とする。図2に示すごとく,絶縁層22の両面に銅箔5を貼着し,その一方の銅箔をエッチングして導電性隔壁53を形成する。導電性隔壁53は,ビアホール1の底部となる部分を被覆する隔壁となる内部パターンである(図5参照)。
【0016】
次いで,図3に示すごとく,絶縁層22の上面に,ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させこれを半硬化させたプリプレグを配置し,さらにその上に銅箔5を配置し,これらを熱圧着して,上層の絶縁層21を形成する。以上により,下層の絶縁層22と上層の絶縁層21と銅箔5とからなる積層板2を得る。
次に,図4に示すごとく,積層板2の両面に配置された銅箔5にエッチングを施して,ビアホール形成部分と対応する部分に開口孔50を形成する。
【0017】
次いで,図5に示すごとく,積層板2の両面側から,ビアホール形成部分に対してレーザー8を照射して,導電性隔壁53を底部とする上部孔11と下部孔12とを形成する。上部孔11と下部孔12は,同一軸線上に位置し,積層板2の上部の導体パターン51と下部の導体パターン52とを電気的に接続するビアホール1となる。また,上部孔11と下部孔12との間には,導電性隔壁53が介設されることになる。
【0018】
次に,図6に示すごとく,化学銅めっき・電気銅めっき処理を行い,ビアホール1の壁面に金属めっき膜59を形成する。次に,図7に示すごとく,積層板2の両面を被覆する銅箔5にエッチングを施して,導体パターン51,52を形成する。
その後,図1に示すごとく,積層板2の表面にソルダーレジスト23を被覆し,導体パターン51に半田ボール4を接合する。
以上により,本例のプリント配線板を得る。
【0019】
本例の作用及び効果について説明する。
本例においては,2層の絶縁層21,22の間に導電性隔壁53を設け,導電性隔壁53によりビアホール1を上部孔11と下部孔12に分割している。即ち,ビアホール1の上端部と下端部との間に導電性隔壁53を設けることにより,ビアホール1のレーザー孔明け深さを小さくしている。そのため,図8に示すごとく,絶縁層21,22にガラスクロス200の粗密があったとしても,分割された孔形成部分のガラスクロス量のバラツキ(図8(a))は,分割されないで1層のみからなる絶縁層20の場合(図8(b))よりも小さい。それゆえ,分割により形成された上部孔11と下部孔12は,孔明け状態のバラツキは少ない。従って,本例のプリント配線板によれば,正確にビアホール1を形成できる。
【0020】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,レーザー加工により正確にビアホールを形成できるプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1のプリント配線板の断面図。
【図2】実施形態例1のプリント配線板の製造方法における,下層の絶縁層の断面図。
【図3】図2に続く,下層の絶縁層に上層の絶縁層を積層した積層板の断面図。
【図4】図3に続く,ビアホール形成部分の銅箔に開口孔を形成した積層板の断面図。
【図5】図4に続く,ビアホールを形成した積層板の断面図。
【図6】図5に続く,ビアホール内壁に金属めっき膜を形成した積層板の断面図。
【図7】図6に続く,導体パターンを形成した積層板の断面図。
【図8】実施形態例1の作用及び効果を示すための,2層の絶縁層の断面説明図(a),単層の絶縁層の断面説明図(b)。
【図9】従来例のプリント配線板の断面図。
【図10】従来例における,ビアホール形成方法を示すための説明図。
【図11】従来例における,ガラスクロスの少ない部分にビアホールを形成した場合の問題点を示すための説明図。
【図12】従来例における,ガラスクロスの多い部分にビアホールを形成した場合の問題点を示すための説明図。
【符号の説明】
1...ビアホール,
11...上部孔,
12...下部孔,
2...積層板,
21,22...絶縁層,
4...半田ボール,
5...銅箔,
51,52...導体パターン,
53...導電性隔壁,
59...金属めっき膜,

Claims (2)

  1. ガラスクロスに樹脂を含浸させてなる2層の絶縁層の間に導電性隔壁を設け,積層してなる積層板と,
    上記積層板の両面側から,同一軸線上に位置するビアホール形成部分にレーザーを照射して,上記導電性隔壁を底部とする上部孔及び下部孔を設け,上記積層板の異層間を電気的に接続するためのビアホールとを有することを特徴とするプリント配線板。
  2. 請求項1において,上記各絶縁層の厚みは,0.03〜0.3mmであることを特徴とするプリント配線板。
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