JP3684708B2 - 暖冷房機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷房時は圧縮機を使用し、暖房時は圧縮機を使用しないで他の冷媒搬送手段と冷媒加熱器を使用する暖冷房機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の暖冷房機は、特開平5−215349号公報に示すようなものが一般的であった。以下その構成について図6を参照にしながら説明する。図6に示すように圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、室外熱交換器用絞り機構4、冷房用絞り機構5、室内熱交換器6、アキュムレータ7で順次接続された冷媒回路構成を有し、圧縮機1と四方弁2の間に吐出逆止弁8を配設し、室外熱交換器用絞り機構4と冷房用絞り機構5との間に冷媒加熱器9、気液分離器10、冷媒搬送手段11を有する冷媒回路ブロック12を配設し、冷媒回路ブロック12は一方は室外熱交換器用電磁弁13を介して室外熱交換器用絞り機構4と接続し、他方は冷房用電磁弁14を介して冷房用絞り機構5と接続される。バーナ24で加熱される冷媒加熱器9の上方に設けられた気液分離器10は冷媒加熱器9と加熱器往き管22と加熱器出口管23とでループ状に接続され、冷媒搬送手段11は受液器15、電磁弁16、落とし込み逆止弁17、戻り逆止弁18で構成され、電磁弁16は気液分離器10と受液器15の上部を接続する均圧管19に配設され落とし込み逆止弁は受液器15の底部と気液分離器10との間に配設され戻り逆止弁18は冷房運転時冷房用絞り機構5の下流側から分岐し受液器15の上部に接続する。気液分離器10の出口ガス管20は気液分離器出口逆止弁21を介して吐出逆止弁8と四方弁2の間に接続される。室外熱交換器用電磁弁13は均圧管19と加熱器9とを接続する配管に接続し、冷房用電磁弁14は加熱器往き管22に接続してある。
【0003】
以上の構成で、冷房運転時は四方弁2を圧縮機1の吐出ガスが室外熱交換器3へ流れるごとく切替え、室外熱交換器用電磁弁13と冷房用電磁弁14を通電開放し、圧縮機1を運転する。圧縮機1で圧縮された高温高圧冷媒ガスは室外熱交換器3で凝縮し、2つの絞り機構で減圧膨張し室内熱交換器6で蒸発した冷媒ガスはアキュムレータ7を通って圧縮機1に戻り冷房運転サイクルを形成する。
【0004】
一方、暖房運転は四方弁2を圧縮機1の吐出ガスが室内熱交換器6へ流れるごとく切替え室外熱交換器用電磁弁13、冷房用電磁弁14は非通電閉成した状態でバーナ24で冷媒加熱器9を加熱する。加熱された冷媒は2相状態で加熱器出口管23を通って気液分離器10内へ流入する。そこで液成分は再び加熱器往き管22を通って冷媒加熱器9に流入し、ガス成分は気液分離器出口逆止弁21、四方弁2を通り、室内熱交換器6で放熱し暖房を行い冷媒は過冷却状態まで冷却される。この時電磁弁16が閉の時、落とし込み逆止弁17も閉状態となり暖房回路は一瞬先づまり状態となる。過冷却液冷媒の圧力が受液器15内の圧力よりも若干高くなると、過冷却液冷媒は戻り逆止弁18を経て受液器15内に入る。受液器15に入った液冷媒は受液器15内のガス状態の冷媒を凝縮させるので受液器15内の圧力は急速に減圧される。そうすると室内熱交換器6の液冷媒が圧力の下がった受液器15内に吸引され、受液器15内は液冷媒で満たされる。ここで電磁弁16を開にすると気液分離器10と受液器15の圧力は等しくなり、さらに戻り逆止弁18の逆止作用も加わり、受液器15に溜まった液冷媒は受液器15と気液分離器10との落差で落とし込み逆止弁17を経て気液分離器10に戻される。以上のごとく、受液器15と電磁弁16の開閉動作の繰返しと戻り逆止弁18の逆止作用とで冷媒を圧縮機1の運転なしで搬送することができる。
【0005】
なお、この種の暖冷房機は暖房運転前に室外熱交換器3の冷媒を圧縮機1のポンプダウン運転で暖房回路側に汲み上げるのが一般的であり、さらに冷媒加熱器9へ燃焼開始時液冷媒を確保するため室外熱交換器用電磁弁13を開成し圧縮機1の運転で室内熱交換器6から液冷媒を冷媒加熱器9へ引き込む冷媒ガスパージ運転を行う。また圧縮機1の吐出と吸入の圧力バランスを確実にとり圧縮機1の起動を確実なものにするため特開平4ー13062号公報に示すような圧縮機の吐出と吸入管を圧縮機バイパス電磁弁でバイパスするような冷媒回路構成(図示せず)も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では次のような課題があった。
【0007】
(1)気液分離器10の上部に落とし込み逆止弁17が配設してあり、落とし込み逆止弁17は両端を受液器15と気液分離器10とに接合するので、気液分離器10の底部から電磁弁16の先端までの高さが大きくコンパクト性に欠け、さらに部品点数、接合加工箇所が多くコスト高となるという課題があった。
【0008】
(2)冷媒加熱器9へ室内熱交換器6から液冷媒を引き込む冷媒ガスパージ運転時圧縮機1運転中に開成する室外熱交換器用電磁弁13、冷房用電磁弁14、電磁弁16、圧縮機バイパス電磁弁(図示せず)の4個もの電磁弁を使用しており、接合箇所が多く冷媒回路が複雑でコスト高となる課題があった。
【0009】
(3)暖房運転時、電磁弁16の開閉動作周期はバーナ24の燃焼量と加熱器出口管23の温度とで制御する方法が知られているが、バーナ24燃焼量のばらつきによっては当初設定していた開閉動作周期では気液分離器10から室内熱交換器6へ流出する冷媒量と間欠的に受液器15を介して気液分離器10へ戻ってくる冷媒量とのバランスがくずれ冷媒加熱器9の冷媒量が不安定となり、それに伴い加熱器温度が不安定になる課題があった。
【0010】
(4)暖房回路中の冷媒が時間経過で圧縮機1、室外熱交換器3へのリークで減少すると室内熱交換器6を出た液冷媒の過冷却度が小さくなり受液器15での減圧量が低下し、受液器15への液冷媒流入時間が長くなり所定閉時間内に流入完了とならず流入不足が発生し冷媒加熱器9への液冷媒供給がバーナ24の燃焼量に対して不足するようになり、それに伴い加熱器温度が不安定になる課題があった。
【0011】
(5)暖房時、室内温度が上昇し設定値に達したことによる燃焼停止時(以下サーモオフと呼ぶ)は冷媒圧力が急減少するため室内熱交換器6を出た液冷媒の過冷却度が急減し受液器15内への液冷媒の流入が不確実となり、冷媒加熱器9ではバーナ24の残熱で液冷媒が蒸発し燃焼再開時冷媒加熱器9内の液冷媒不足で暖房起動が円滑に行われない課題があった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するもので、気液分離器とその上方に配設してある受液器、電磁弁、落とし込み逆止弁からなる熱搬送手段の大巾なシンプル化、小形化、低コスト化を図り、電磁弁の個数を削減し、冷媒配管構成を簡素化するとともに、暖房運転の起動を確実なものとし、さらに暖房運転中の冷媒加熱器温度の安定化を図ることにより、暖房運転時の機器の信頼性向上を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、室外熱交換器逆止弁、冷房用絞り機構、ファン付き室内熱交換器、アキュームレータを順次連結し、圧縮機と四方弁との間に吐出逆止弁、四方弁とアキュームレータとの間に吸入逆止弁を配し、室外熱交換器逆止弁と冷房用絞り機構との間には仕切板により気液分離室と受液室とに分離する容器をバーナ付き冷媒加熱器の上方に設け、前記気液分離室とバーナ付き冷媒加熱器とは冷媒加熱器往き管と冷媒加熱器出口管とでループ状に接続し、前記仕切板に穿設された開口部には弁駆動手段で開閉する弁体を有し、前記気液分離室、四方弁、室内熱交換器、戻り逆止弁、前記受液室とを順次連結すると共に、気液分離室内に立ち上がり気液分離室の下方に小孔を有する液管と室外熱交換器逆止弁との間に室外熱交換器絞り機構を有し、室外熱交換器逆止弁と室外熱交換器絞り機構との間から吸入逆止弁とアキュームレータとの間をバイパス電磁弁を介して接続し、前記冷房用絞り機構は冷房用電磁弁を介して前記冷媒加熱器往き管と接続し、前記戻り逆止弁は冷房用減圧機構と室内熱交換器との間から前記受液室へ接続し、前記バーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器と、前記壁温検知器の検知温度が第一設定値に達すると前記弁駆動手段の弁体閉時間を短くするように補正し、前記第一設定値より高く設定した第二設定値に達するとバーナの上限燃焼量を低下させ、前記第二設定値より高く設定した第三設定値に達するとバーナの燃焼を停止させる制御装置とを設けた構成としてある。
【0014】
本発明は上記構成によって、従来の気液分離器と受液器を1つの容器内に仕切板を介し気液分離室と受液室として設け、落とし込み逆止弁、電磁弁、均圧管を廃止し、仕切板に穿設された開口部に弁駆動手段で開閉する弁体を容器内に設けてあるため、部品点数、接合加工箇所を削減でき信頼性の向上、低コスト化、小形コンパクト化が図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、室外熱交換器逆止弁、冷房用絞り機構、ファン付き室内熱交換器、アキュームレータを順次連結し、圧縮機と四方弁との間に吐出逆止弁、四方弁とアキュームレータとの間に吸入逆止弁を配し、室外熱交換器逆止弁と冷房用絞り機構との間には仕切板により気液分離室と受液室とに分離する容器をバーナ付き冷媒加熱器の上方に設け、前記気液分離室とバーナ付き冷媒加熱器とは冷媒加熱器往き管と冷媒加熱器出口管とでループ状に接続し、前記仕切板に穿設された開口部には弁駆動手段で開閉する弁体を有し、前記気液分離室、四方弁、室内熱交換器、戻り逆止弁、前記受液室とを順次連結すると共に、気液分離室内に立ち上がり気液分離室の下方に小孔を有する液管と室外熱交換器逆止弁との間に室外熱交換器絞り機構を有し、室外熱交換器逆止弁と室外熱交換器絞り機構との間から吸入逆止弁とアキュームレータとの間をバイパス電磁弁を介して接続し、前記冷房用絞り機構は冷房用電磁弁を介して前記冷媒加熱器往き管と接続し、前記戻り逆止弁は冷房用減圧機構と室内熱交換器との間から前記受液室へ接続し、前記バーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器と、前記壁温検知器の検知温度が第一設定値に達すると前記弁駆動手段の弁体閉時間を短くするように補正し、前記第一設定値より高く設定した第二設定値に達するとバーナの上限燃焼量を低下させ、前記第二設定値より高く設定した第三設定値に達するとバーナの燃焼を停止させる制御装置とを設けたものである。
【0016】
そして従来の気液分離器と受液器を1つの容器内に仕切板を介し気液分離室と受液室として設け、落とし込み逆止弁、電磁弁、均圧管を廃止し、仕切板に穿設された開口部に弁駆動手段で開閉する弁体を容器内に設けてある為、部品点数、接合加工箇所を削減でき信頼性の向上、低コスト化、小形コンパクト化が図れ、従来の圧縮機バイパス電磁弁と室外熱交換器用電磁弁とが各々有していた圧縮機圧力バランス機能と冷媒ガスパージ機能とをバイパス電磁弁のみで行える配管構成としたので電磁弁の個数を従来よりも減らすことができ、また冷媒ガスパージの配管を気液分離室の下部より導出された液管のみで構成したことにより、冷媒回路も簡素化、低コスト化でき、さらに冷媒加熱器の壁温検知器と制御装置により弁駆動手段の弁体閉時間の補正とバーナの上限燃焼量の低下を行わせ、気液分離室から室内熱交換器へ流出する冷媒量と室内熱交換器から間欠的に受液室を介して気液分離室へ戻ってくる冷媒量のバランス化を図り、最終的に壁温検知器の温度上昇でバーナ燃焼を強制的に停止させる為、暖房運転中の冷媒加熱器温度の安定化が図れるとともに暖房運転時の機器の信頼性向上が図れる。
【0017】
また燃焼中にバーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器の検知温度が第三設定値に達すると即燃焼停止し弁駆動手段で弁体を複数回開閉動作実行後、バイパス弁の開成と圧縮機運転によるパージ運転後バイパス弁を閉成し圧縮機運転によるポンプダウンを実行し、第二設定値に達すると燃焼停止時に弁駆動手段で弁体を複数回開閉動作実行後バイパス弁を開成し圧縮機運転によるパージ運転後バイパス弁を閉成し圧縮機運転によるポンプダウンを実行する制御装置を有するものである。
【0018】
そして暖房運転停止後、弁駆動手段で弁体を複数回開閉動作実行し暖房冷媒回路の圧力を低下させ圧縮機の消費電力を抑えて、冷媒パージ運転で冷媒加熱器温度低下とポンプダウン運転で機器の信頼性向上と再運転時の冷媒加熱器温度の安定化が図れる。
【0019】
さらに燃焼中にバーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器の検知温度が第二設定値に達せずファン付き室内熱交換器に設けた室温検知器が所定値に達した場合の燃焼停止時は弁駆動手段の弁体開閉繰返し動作の弁体閉時間を順次長く設定し、複数回の開閉動作のあと閉状態のまま保持するとともに、燃焼開始時はバーナに設けた燃料供給装置の燃料供給開始とともに弁体を開成するように弁駆動手段を動作させる制御装置を有し、さらに燃焼開始時にバーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器の検知温度が第三設定値に達するようなサーモオンが複数回発生すると以降のサーモオン時はバイパス弁の開成と圧縮機運転を燃焼開始時に実行する制御装置を有するものである。
【0020】
そしてサーモオンによる燃焼再開時に冷媒加熱器内に液冷媒が確保でき、冷媒加熱器の異常温度上昇が防止でき安定した暖房起動が実現できる。
【0021】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の暖冷房機のシステムブロック図であり、仕切板と弁体で受液室36と気液分離室35に区分される容器30は断面図で示している。なお図1において、従来例の図6と同一のものには同一の符号を付している。
【0022】
図1において、1は圧縮機、2は四方弁、3は室外ファン25を有する室外熱交換器、26は室外熱交換器逆止弁、5は冷房用絞り機構、6は室内ファン27を有する室内熱交換器、7はアキュムレータで圧縮機1と四方弁2の間には吐出逆止弁8、四方弁2とアキュムレータ7の間には吸入逆止弁28を設けている。室外熱交換器逆止弁26と冷房用絞り機構5との間には冷媒及び弁体29を収納する容器30をバーナ31と壁温検知器45を有する冷媒加熱器9の上方に冷媒加熱器往き管32と冷媒加熱器出口管33でループ状に接続してある。容器30は上下2つのボール状部材を仕切板34を挟んで重なり合う部分全周を溶接接合して構成され、仕切板34の下方部は気液分離室35であり暖房運転時は冷媒38を溜めている。仕切板34の上部は多孔板37を内蔵した受液室36で、仕切板34の下方部との連通は容器30に接合してある弁駆動手段39で動作する弁体29によって開閉される。前記弁駆動手段39のシャフト49は弁体29の凹部50よりも小径にして挿入しシャフト49を弁体29に当接させて弁体29を開閉動作する構成を有している。
【0023】
弁駆動手段39は、図2に示すようにコイル51に通電するとプランジャ52が吸引されシャフト49が押し出され、コイル51への通電を止めるとプランジャ52がバネ53によって持ち上がりシャフト49も持ち上げられる構成になっている。したがって弁駆動手段39が非通電の時は、弁体29もバネ54により上方に持ち上げられており、弁体29は気液置換孔56を有する弁ガイド55に構成してある弁座に当接している。
【0024】
気液分離室35からは気液分離室出口逆止弁40を介して四方弁2と吐出逆止弁8の間に配管接続し、室内熱交換器6と冷房用絞り機構5の間からは戻り逆止弁18を介して受液室36の上方に配管接続してある。さらに気液分離室35内の上方部に開口部を有し、下方部に小孔41を有する液管42と室外熱交換器逆止弁26との間に室外熱交換器用絞り機構4を設け、室外熱交換器逆止弁26と室外熱交換器用絞り機構4との間から吸入逆止弁28とアキュムレータ7との間にバイパス電磁弁43を介して配管接続し、冷房用絞り機構5は冷房用電磁弁14を介して冷媒加熱器往き管32と配管接続している。
【0025】
44はバーナ31への燃料の供給を可変する燃料供給装置、47は制御装置で圧縮機1、室内ファン27、弁駆動手段39、バイパス電磁弁43、燃料供給装置44、壁温検知器45、加熱器出口温度検知器46、室温検知器48と電気的に接続され、圧縮機1、室内ファン27、弁駆動手段39、バイパス電磁弁43、燃料供給装置44の運転動作を制御する。
【0026】
次に動作、作用について説明する。暖房運転中は冷房用電磁弁14とバイパス電磁弁43は閉状態であり、冷媒加熱器9でバーナ31の燃焼熱によって加熱された冷媒は気液2相状態で冷媒加熱器出口管33を通って気液分離室35に流入し、液冷媒は気液分離室35の下部に冷媒38として溜まり、冷媒加熱器往き管32より再び冷媒加熱器へ流入する。一方、気液分離されたガス冷媒は気液分離室出口逆止弁40、四方弁2を通って室内熱交換器6に流入し、室内ファン27の運転で室内側に放熱した冷媒は凝縮液化してさらに過冷却液となる。弁駆動手段39が非通電の時は、弁体29は弁ガイド55に構成してある弁座に当接してある為、過冷却液冷媒の圧力が受液室36の圧力よりも若干高くなると過冷却液冷媒が戻り逆止弁18を通って受液室36に入る。受液室36に入った液冷媒は多孔板37で拡散し、受液室36内の蒸気状態の冷媒を凝縮させるので、受液室36内の圧力が急速に減圧される。そうすると、室内熱交換器6の液冷媒が圧力の下がった受液室36内に吸引され、受液室36内は液冷媒で満たされる。
【0027】
次に弁駆動手段39を燃料供給装置44と加熱器出口温度検知器46の信号によって制御装置47で予め設定した時間通電するとシャフト49が弁体29に当接し押し出されたシャフト52で弁体29が開き、図3に示すように受液室36内は気液置換孔56で気液置換を行い、受液室32内の液冷媒は重力作用により、気液置換孔56を通り気液分離室35へ流入し、液冷媒38として溜まる。次に燃料供給装置44と加熱器出口温度検知器46の信号で予め設定した時間を制御装置47で非通電にするとシャフト49はバネ53で持ち上げられ弁体29はバネ57により閉状態となり再び受液室36内へ室内熱交換器6から過冷却液冷媒が流入し受液室36を液冷媒で満たしその後弁駆動手段39を通電するという動作を繰り返す。ここで弁駆動手段39を燃料供給装置44と加熱器出口温度検知器46の信号で予め設定した通電、非通電時間で制御するのは、燃焼量が大きくなると弁駆動装置39の通電、非通電サイクルを多くし冷媒循環量を多くし、逆に燃焼量が小さくなると上記サイクルを少なくし冷媒循環量を少なくし燃焼量と冷媒循環量のバランスをとり、さらに2相状態の冷媒温度で冷媒の潜熱を間接的に検出し室内温度や室内ファン電圧等で冷媒圧力が変動しても冷媒循環量を最適に制御し安定した暖房運転を行うためである。
【0028】
以上のことから1つの容器30内に弁体29を設けてある為、容器30の底部から弁駆動手段39の先端までの寸法を小さくすることができると共に、部品点数、接合加工箇所を削減でき、信頼性の向上、低コスト化が図れる。
【0029】
次に暖房運転時に冷媒加熱器9の壁温検知器45の温度が上昇した場合の弁駆動手段39と燃料供給装置44の動作を図4に示す。T1〜T3は壁温検知器45の温度で、制御装置47によってT1に到達すると弁駆動手段39の弁体29の閉時間を補正し、T2に到達するとバーナの上限燃焼量を低下させ、T3に到達するとバーナの燃焼を停止させるものである。時間t1で燃焼開始し燃焼量上限値Q1に到達し燃焼を継続すると、燃料供給装置44の燃料供給量のばらつきによっては燃焼量と冷媒循環量のアンバランスが生じたり、冷媒の暖房回路以外の室外熱交換器3等へのリーク、あるいは機器外へのスローリークによる暖房回路中の冷媒量減少などで時間経過とともに冷媒加熱器への冷媒供給量不足が顕在化し壁温検知器45の温度が上昇し時間t2でT1になると制御装置47は弁駆動手段39の非通電時間を短くするように補正を行い、さらに時間t3でT2に温度上昇すると制御装置47で燃料供給装置44にバーナ31の燃焼量上限値をQ2に低下させるように制御する。燃焼量の上限値がQ2でも冷媒循環量に対しバーナ31の燃焼量が大きい場合は時間t4で壁温検知器45の温度がT3に上昇し制御装置47で燃焼停止となる。
【0030】
以上のように冷媒加熱器9の壁温上昇を検知して弁駆動手段39の非通電時間を補正したり、燃焼量を低下させるので冷媒加熱器9の温度の安定化が図れ、冷媒加熱器9の異常過熱を未然に防止し、冷媒加熱器の熱劣化の発生を防ぎ、機器の信頼性向上が図れ、異常過熱による機器停止回数が減少し暖房能力の低下はあるが暖房運転は継続できるため暖房機としての基本機能を満たし利便性も向上する。
【0031】
また図4には時間t4で燃焼停止後の機器の動作も示している。制御装置47で時間t5まで弁駆動手段39で弁体29の開閉動作を実行し、その後バイパス弁43の開成と圧縮機1の運転によるパージ運転後バイパス弁43を閉成しポンプダウンを実行する。
【0032】
そして暖房運転停止後、弁駆動手段で弁体を複数回開閉動作実行し暖房冷媒回路の圧力を低下させ圧縮機の消費電力を抑えて、冷媒パージ運転で冷媒加熱器温度をすばやく低下させ、ポンプダウン運転で次回着火時に備えて冷媒加熱器9に液冷媒を確保できる為、機器の信頼性向上と再運転時の冷媒加熱器温度の安定化が図れる。
【0033】
なお燃焼中に冷媒加熱器9の壁温検知器45の温度がT2に到達しその後リモコンあるいはルームサーモオフで燃焼停止になると(図示せず)そのタイミングを利用して上記と同様に制御装置47で弁駆動手段39で弁体29の開閉動作を複数回実行し、その後バイパス弁43の開成と圧縮機1の運転によるパージ運転後バイパス弁43を閉成しポンプダウンを実行し上記と同様な効果が得られる。
【0034】
次にサーモオフ、サーモオン時の機器の動作について図5で説明する。時間t6で室温検知器48が設定値に達したことを検知してサーモオフでバーナ31の燃焼が停止しすると弁駆動手段39の弁体29の閉成時間は制御装置47で順次長く(TOF1<TOF2<TOF3<・・・)して複数回動作させた後、弁駆動手段39は非通電状態で保持(弁体は閉成状態)する。また時間t7で室温検知器48が設定値を下回るとサーモオンとなり制御装置47で燃料供給装置44の燃料供給開始とともに弁駆動手段39を通電させ弁体29を開成する。
【0035】
以上のように燃焼停止時においても受液室36への液冷媒の流入時間を順次長く確保することにより燃焼停止後の圧力低下で室内熱交換器6の出口液冷媒の過冷却度が低下しても冷媒加熱器9への液冷媒の供給を継続させることにより燃焼停止後の残熱による冷媒加熱器9の温度上昇を防止することができる。さらに複数回の弁体29の開閉動作後弁体29を閉状態のままに保持することにより受液室36内へ液冷媒を流入させ、次の燃焼開始時まで液冷媒を保持し続け、時間t7のサーモオンで燃焼開始すると受液室36内に保持していた液冷媒を冷媒加熱器9に供給し冷媒加熱器9の温度上昇が防止でき安定した暖房運転ができ機器の信頼性の向上が図れる。
【0036】
さらにサーモオン時複数回の冷媒加熱器9の異常温度上昇が発生した場合は、すなわち図5においてt8、t9のサーモオンによる燃焼開始時、壁温検知器45の温度が燃焼停止温度設定値を越えると以降t10からのサーモオン時は制御装置47でバイパス弁の開成と圧縮機運転を燃焼開始時に実行するように動作する。ここで複数回としているのは室外熱交換器3や圧縮機1への冷媒リークであればポンプダウン運転で暖房回路の冷媒量は再び確保されるためサーモオン時毎回圧縮機1の運転は不要となるからである。そして冷媒が機器外へスローリークした場合あるいは室内側と室外側の設置条件などに拘らずサーモオンによる燃焼再開時に冷媒加熱器内に液冷媒が確保でき、冷媒加熱器の異常温度上昇の繰り返しが防止でき安定した暖房起動が実現できる。
【0037】
なお、冷房運転はバイパス弁43は閉成し冷房用電磁弁14を開成し四方弁2を圧縮機1の吐出ガスが室外熱交換器3へ流入するように切り替え、圧縮機1と室内ファン27及び室外ファン25の運転により従来の圧縮機駆動の冷房を行う。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば弁体を気液分離室と受液室を有する1つの容器内に設けてある為、容器底部から弁駆動装置の先端までの寸法が小さくすることができ構成の大巾なシンプル化、小型化、低コスト化が可能となり、バイパス弁を設けることで冷媒回路構成もシンプル化、低コスト化も図れ、さらに暖房運転起動時あるいは運転中の冷媒加熱器温度の安定化が図れ、安定した暖房運転と機器の信頼性向上が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の暖冷房機のシステムブロック図
【図2】同実施例1の弁駆動手段の断面図
【図3】同実施例1の弁体の開状態図
【図4】同実施例1の壁温温度による制御動作図
【図5】同実施例1のサーモオン/オフ時の制御動作図
【図6】従来の暖冷房機のシステムブロック図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 四方弁
3 室外熱交換器
4 室外熱交換器用絞り機構
5 冷房用絞り機構
6 室内熱交換器
9 冷媒加熱器
26 室外熱交換器逆止弁
29 弁体
30 容器
34 仕切板
35 気液分離室
36 受液室
39 弁駆動手段
45 壁温検知器
47 制御装置

Claims (4)

  1. 圧縮機、四方弁、室外熱交換器、室外熱交換器逆止弁、冷房用絞り機構、ファン付き室内熱交換器、アキュームレータを順次連結し、圧縮機と四方弁との間に吐出逆止弁、四方弁とアキュームレータとの間に吸入逆止弁を配し、室外熱交換器逆止弁と冷房用絞り機構との間には仕切板により気液分離室と受液室とに分離する容器をバーナ付き冷媒加熱器の上方に設け、前記気液分離室とバーナ付き冷媒加熱器とは冷媒加熱器往き管と冷媒加熱器出口管とでループ状に接続し、前記仕切板に穿設された開口部には弁駆動手段で開閉する弁体を有し、前記気液分離室、四方弁、室内熱交換器、戻り逆止弁、前記受液室とを順次連結すると共に、気液分離室内に立ち上がり気液分離室の下方に小孔を有する液管と室外熱交換器逆止弁との間に室外熱交換器絞り機構を有し、室外熱交換器逆止弁と室外熱交換器絞り機構との間から吸入逆止弁とアキュームレータとの間をバイパス電磁弁を介して接続し、前記冷房用絞り機構は冷房用電磁弁を介して前記冷媒加熱器往き管と接続し、前記戻り逆止弁は冷房用減圧機構と室内熱交換器との間から前記受液室へ接続し、前記バーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器と、前記壁温検知器の検知温度が第一設定値に達すると前記弁駆動手段の弁体閉時間を短くするように補正し、前記第一設定値より高く設定した第二設定値に達するとバーナの上限燃焼量を低下させ、前記第二設定値より高く設定した第三設定値に達するとバーナの燃焼を停止させる制御装置とを設けた暖冷房機。
  2. 燃焼中にバーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器の検知温度が第三設定値に達すると即燃焼停止し弁駆動手段で弁体を複数回開閉動作実行後、バイパス弁の開成と圧縮機運転によるパージ運転後バイパス弁を閉成し圧縮機運転によるポンプダウンを実行し、第二設定値に達すると燃焼停止時に弁駆動手段で弁体を複数回開閉動作実行後バイパス弁の開成と圧縮機運転によるパージ運転後バイパス弁を閉成し圧縮機運転によるポンプダウンを実行する制御装置を有する請求項1に記載の暖冷房機。
  3. 燃焼中にバーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器の検知温度が第二設定値に達せずファン付き室内熱交換器に設けた室温検知器が所定値に達した場合の燃焼停止時は弁駆動手段の弁体開閉繰り返し動作の弁体閉時間を順次長く設定し、複数回の開閉動作のあと閉状態のまま保持するとともに、燃焼開始時はバーナに設けた燃料供給装置の燃料供給開始とともに弁体を開成するように弁駆動手段を動作させる制御装置を有する請求項1に記載の暖冷房機。
  4. 燃焼開始時にバーナ付き冷媒加熱器の壁温検知器の検知温度が第三設定値に達するようなサーモオンが複数回発生すると以降のサーモオン時はバイパス弁の開成と圧縮機運転を燃焼開始前に実行する制御装置を有する請求項1に記載の暖冷房機。
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