JP3684111B2 - ノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物 - Google Patents

ノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン系樹脂組成物に係り、特に、ICEAに定める線心一条垂直燃焼試験に適合し、十分な機械的特性を得ることのできるノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニル樹脂組成物を用いた従来の熱可塑性樹脂組成物にあっては、例えば、焼却廃却処分するために電線・ケーブルを燃焼すると、ポリ塩化ビニル樹脂組成物から腐食性を有する塩化水素ガスが発生するという問題がある。
そこで、近年、ハロゲン化物を用いない絶縁体としてポリエチレン等のオレフィン系樹脂組成物を自動車のワイヤハーネス等、高温を発する箇所の電線・ケーブルの絶縁体に用いる試みがなされている。このオレフィン系樹脂組成物は、単独では難燃性がないため、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を混合して難燃性を持たせている。
【0003】
また、オレフィン系樹脂組成物を用いた電線・ケーブルに対しては、国内、外国ともに規格を設けており、近年、外国の規格に適合する電線・ケーブルが要求されている。外国の規格では、垂直試験としてICEA規格がある。このICEA規格の線心一条垂直燃焼試験(ICEA S61−402(NEMA WC5)垂直燃焼試験)は、次の要領で行われる。
まず、金属製の箱の上部に、試料である約560mmの長さの電線を固定して吊り下げ、9.5mmの口径、空気吸入から先端まで102mmの長さの点火栓のついたチリルバーナーを20゜の傾斜台にセットして、都市ガスを用い、バーナーの炎の長さを127mm、内部の青炎の長さを38.1mmに調整し、試料との位置をバーナーの青炎の先端が試料に当たるように調整する。試料の上端部には、厚さ0.127mm、幅12.7mmのクラフト紙を試料上部に1回巻付け、19.0mmの長さを出してインジケーターをセットする。このようにセットした後、バーナーの点火栓を点火させた状態でバーナーの元バルブを開放させて、試料に15秒間当てた後、元バルブを閉じて15秒間休止するといった動作を4回繰り返し、試料に5回炎を当てた後、クラフト紙の25%が燃える場合を延焼性と判定し、1分以上試料が燃え続けた場合は不合格としている。
【0004】
このようなICEA S61−402(NEMA WC5)の線心一条垂直燃焼試験に合格させるためには、従来のオレフィン系樹脂をノンハロゲン難燃化した電線・ケーブルの絶縁被覆用高分子材料の場合、難燃剤である水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を多量に添加することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この水酸化マグネシウム等の金属水酸化物は、オレフィン系樹脂に配合した場合、オレフィン系樹脂からみると異物であり、オレフィン系樹脂組成物の組成構造からいっても強固な結合を崩す原因となる。すなわち、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を配合するとオレフィン系樹脂組成物の組織の強固さが崩れ脆くなる。このため、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を多量に混合すると機械的特性(引張特性)が低下するという問題があり、機械的特性の低下を抑えようとすると混入する水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の量を少なくしなければならない。
【0006】
しかしながら、このようなオレフィン系樹脂組成物を主体とした絶縁体は、高度な難燃特性を得るために、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を多量に混合する必要がある。ところが、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を多量に混合すると機械的衝撃に対する耐摩耗性が低下したり、絶縁性(体積抵抗率)が低下するという問題があり、耐摩耗性の低下、絶縁性(体積抵抗率)の低下を抑えようとすると混入する水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の量を少なくしなければならない。水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の配合量を少なくすると、近年要求されるICEA S61−402(NEMA WC5)の線心一条垂直燃焼試験特性に適合する難燃特性を得ることができなくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、ハロゲン化物を含まないオレフィン系樹脂を主成分とし、金属水酸化物の配合を抑制して十分な機械的特性を得ると共に、ICEA S61−402(NEMA WC5)の線心一条垂直燃焼試験特性に適合する難燃特性を得られるようにすることにある。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物は、金属水酸化物を配合してなる難燃ポリオレフィン100重量部に、酸化チタンを配合してなる難燃シリコーンゴムを50重量部混練して構成したものである。
オレフィン系樹脂には、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸エチル共重合体があり、これらのいずれか1種または2種以上の混合物で構成することができる。
この他、ノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物に用いることのできるオレフィン系樹脂には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体がある。
シリコーンゴムに配合される酸化チタンは、難燃性を向上するためのもので、金属水酸化物の配合量を少なく抑制したときの難燃性の確保を行っている。
酸化チタンを配合してなる難燃シリコーンゴムの配合量を、金属水酸化物を配合してなる難燃ポリオレフィン100重量部に対して、50重量部としたのは、酸化チタンを配合してなる難燃シリコーンゴムを50重量部を超えて配合すると全体としての金属水酸化物の配合量が多くなり、機械的特性が不足してしまい、酸化チタンを配合してなる難燃シリコーンゴムを50重量部より下回った量を配合すると、全体としての金属水酸化物の配合量が少なくなり、難燃性が不足してしまうからである。
このように構成することにより請求項1に記載の発明によると、オレフィン系樹脂を主成分とし、ハロゲン化物を含まず、金属水酸化物の配合を抑制して十分な機械的特性を得ると共に、酸化チタンを配合したシリコーンゴムを混練することによって、ICEA S61−402(NEMA WC5)の線心一条垂直燃焼試験特性に適合する難燃特性を得ることができる。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項2に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物は、難燃ポリオレフィンを、ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物80〜170重量部を120℃のミキシングロールによって混練して製造したものである。
難燃ポリオレフィンを構成するのに金属水酸化物の配合量をポリオレフィンエラストマー100重量部に対して、80〜170重量部としたのは、金属水酸化物の配合量が80重量部未満では必要な難燃特性を得られず、金属水酸化物の配合量を170重量部を超えて配合すると、必要な機械的特性が得られないからである。
ミキシングロールは、2本のロール間にゴムやプラスチック材料に機械的剪断力を加えて、可塑化や配合材の混練を行う機械で、難燃ポリオレフィンは、このミキシングロールを用いて、ポリオレフィンエラストマー100重量部に対して、金属水酸化物を80〜170重量部の範囲で配合し、120℃に加熱して混練して構成されたものである。
このように構成することにより請求項2に記載の発明によると、難燃ポリオレフィンとしての十分な難燃特性と十分な機械的特性を得ることができる。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項3に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物は、金属水酸化物を、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種又は2種以上の混合物で構成したものである。
金属水酸化物は、オレフィン系樹脂に用いられる無機系難燃剤で、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等が用いられる。この金属水酸化物をオレフィン系樹脂に配合することによってオレフィン系樹脂組成物が燃焼した時、配合されている金属水和物に含まれる結晶水が噴出して消火作用を行うためオレフィン系樹脂が燃焼し難くなり、燃焼した際にも燃え殻を炭化させ保形性を持たせる作用を有している。
このように請求項3に記載の発明によると、電線・ケーブルとしての機械的特性を確保することができる。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項4に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物は、難燃シリコーンゴムを、シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン3〜15重量部を50℃のミキシングロールによって混練して製造したものである。
シリコーンゴムは、主鎖がシロキサン結合で構成され側鎖にメチル基、フェニル基、ビニル基等の有機置換基をもった線状重合体が相互に橋かけしたゴム状弾性体である。
難燃シリコーンゴムを構成するのに酸化チタンの配合量をシリコーンゴム100重量部に対して、5〜15重量部としたのは、酸化チタンの配合量が3重量部未満では必要な機械的特性は得られても十分な難燃特性を得ることができず、酸化チタンの配合量を15重量部を超えて配合すると、必要な燃特性を得ることができても十分な機械的特性を得ることができないからである。
このように請求項4に記載の発明によると、電線・ケーブルとしての難燃特性を確保することができる。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項5に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物は、難燃ポリオレフィン及び上記難燃シリコーンゴムは、架橋したものである。
【0014】
架橋方法には、γ線または電子線を放射線源として使用し、これらをオレフィン系樹脂に照射することにより分子中にラジカルが発生し、これらラジカル同士がカップリングすることにより分子間の架橋結合が形成される放射線照射架橋、オレフィン系樹脂の可塑化温度で分解しない有機過酸化物を配合しておき、成形加工と同時または成形後に高温高圧下に晒すことにより有機過酸化物が分解しラジカルが発生し、このラジカルにより分子間の架橋反応が進む有機過酸化物架橋、ビニルシラン化合物をオレフィン系樹脂にグラフト付加反応させた後、このグラフトマーにシラノール縮合触媒を添加し成形加工後、水分雰囲気下に晒すことによりグラフト末端のアルコキシシラン同士が加水分解後、脱アルコール分子間の架橋結合が形成されるシラン架橋(水架橋)があり、このいずれの方法でも良い。
このように請求項5に記載の発明によると、熱変形温度が上昇し、機械的強度を向上することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明に係るノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物の具体的実施例について比較例と比較して説明する。
【0016】
ノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物は、金属水酸化物を配合してなる難燃ポリオレフィンと、酸化チタンを配合してなる難燃シリコーンゴムとの組み合わせによって構成される。
ポリオレフィンエラストマーに金属水酸化物を配合してなる難燃ポリオレフィンの配合例が表1に示してある。
【0017】
【表1】
Figure 0003684111
この表1におけるポリオレフィンエラストマー(PE)には、密度:0.895g/cm ,MI=1.6g/10min.のもので、具体的には、デュポンダウエラストマー株式会社製 ENGAE8440を用いている。また、水酸化マグネシウムには、協和化学株式会社製 キスマ5Aを用いている。
【0018】
そこで、シリコーンゴムに酸化チタンを配合してなる難燃シリコーンゴムの配合例が表2に示してある。
【0019】
【表2】
Figure 0003684111
この表2におけるシリコーンゴムには、信越化学株式会社製 KE4603Uを用いている。また、酸化チタンには、石原産業株式会社製 ST−01を用いている。
【0020】
この表1に示されるポリオレフィンエラストマーに金属水酸化物を配合してなる難燃ポリオレフィンの配合例(A〜F)を用い、表2に示されるシリコーンゴムに酸化チタンを配合してなる難燃シリコーンゴムの配合例(a〜g)を適宜選択して構成するノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物(難燃ポリオレフィン100重量部に対して、難燃シリコーンゴムを50重量部配合したもの)の具体的実施例について比較例について説明する。
【0021】
実施例1
実施例1は、難燃ポリオレフィンの配合例B(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を80重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例f(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン6重量部配合したもの)との組み合わせによって構成したものである。
【0022】
実施例2
実施例2は、難燃ポリオレフィンの配合例C(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を120重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例e(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン14重量部配合したもの)との組み合わせによって構成したものである。
【0023】
実施例3
実施例3は、難燃ポリオレフィンの配合例D(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を160重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例d(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン12重量部配合したもの)との組み合わせによって構成したものである。
【0024】
実施例4
実施例4は、難燃ポリオレフィンの配合例D(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を160重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例c(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン10重量部配合したもの)との組み合わせによって構成したものである。
【0025】
実施例5
実施例5は、難燃ポリオレフィンの配合例E(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を170重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例b(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン7重量部配合したもの)との組み合わせによって構成したものである。
【0026】
実施例6
実施例6は、難燃ポリオレフィンの配合例E(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を170重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例b(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン7重量部配合したもの)にDCP(ジクミルパーオキサイド:架橋剤、具体的には、扇谷工業株式会社製の『DCP』)を1.0重量部配合したものである。
【0027】
実施例7
実施例7は、難燃ポリオレフィンの配合例B(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を80重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例f(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン6重量部配合したもの)にDCP(ジクミルパーオキサイド:架橋剤、具体的には、扇谷工業株式会社製の『DCP』)を1.0重量部配合したものである。
【0028】
比較例1
比較例2は、難燃ポリオレフィンの配合例A(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を75重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例g(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン16重量部配合したもの)との組み合わせによって構成したものである。
【0029】
比較例2
比較例2は、難燃ポリオレフィンの配合例F(ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物を175重量部配合したもの)と、難燃シリコーンゴムの配合例a(シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン6重量部配合したもの)との組み合わせによって構成したものである。
【0030】
これらの実施例1〜実施例7、比較例1〜2に基づく組成物のそれぞれについて、1.0mm厚のプレスシートを作成し、JIS−K7113に基づく引張試験方法によって、引張伸び(%)および引張強度(MPa)の測定を行った。さらに、実施例1〜実施例7、比較例1〜2に基づく組成物を絶縁体として導体に被覆した絶縁電線(完成品)から一部(約560mmの長さ)を採って試料とし、ICEA S61−402(NEMA WC5)垂直燃焼試験を行った。
その比較結果が表3に示してある。
【0031】
【表3】
Figure 0003684111
この表3中の線心一条は、チリルバーナーの点火栓を点火させた状態でバーナーの元バルブを開放させて、バーナーの青炎の先端を試料に15秒間当てた後、元バルブを閉じて15秒間休止する動作を4回繰り返し、試料に5回炎を当てた後、1分以上試料が燃え続けたか否かによって合『○』、否『×』を判定したものである。
【0032】
また、この表3中の引張伸び、引張強度の各測定は、日本工業規格に定めるJIS−K7113の引張試験に基づいて行ったもので、表3中の引張伸びは、作製したプレスシート(試験片)の一端を固定し、他端を引張って、試験片が引き千切れるまで引張り、千切れたときの長さ(伸び)を元の試験片の長さで除して百分率で表したもの(伸び率)である。すなわち試験片を引き伸ばしたときの試験片の最大の伸びを求めたものである。この引張伸びの基準値は『350%以上』である。
さらに、表3中の引張強度(MPa)は、どの程度の荷重(MPa)で引っ張ったときに引き千切れるかを示したもので、引き千切れたときの荷重、すなわち試験片の断面積(mm )当りの最大引張荷重(N)で示したものである。したがって、この引張強度の大きさによって機械的強度が判る。この引張強度の基準値は『10MPa以上』である。
【0033】
判定結果は、線心一条、引張伸び(基準値350%以上)、引張強度(基準値10MPa以上)の各基準値を上回っている場合が『○』、線心一条、引張伸び、引張強度の各基準値のいずれか1つでも下回ったものがある場合を『×』としている。実施例1〜7は、判定結果がいずれも『○』で、比較例1は引張伸びが580%と基準値『350%以上』を上回っており、引張強度についても13.8MPaと基準値『10MPa以上』を上回っているが、線心一条が『×』と難燃性に難点があるので判定結果が『×』となっている。
【0034】
判定結果がいずれも『○』の実施例1〜実施例5について見ると、引張伸びについては、実施例1が『575%』、実施例2が『520%』、実施例3が『489%』、実施例4が『475%』、実施例5が『409%』といずれも基準値『350%以上』を上回っているが、Mg(OH) の配合量が、実施例1の80重量部から、実施例2の120重量部、実施例3、4の160重量部、実施例5の170重量部と配合量が大きくなるに連れて引張伸びの値は、下がってくるのが判る。
実施例3、4のMg(OH) の配合量が同じ160重量部であるにも拘らず引張伸びの値が、『489%』(実施例3)、『475%』(実施例4)と異なるのは、難燃ポリオレフィンと混練する難燃シリコーンゴムに配合される酸化チタンの配合量が、実施例3の方が12重量部であるのに対し、実施例4の方が10重量部と少ないことによるものである。
【0035】
判定結果がいずれも『○』の実施例1〜実施例5について見ると、引張強度については、実施例1が『13.2MPa』、実施例2が『12.7MPa』、実施例3が『11.7MPa』、実施例4が『11.5MPa』、実施例5が『10.4MPa』といずれも基準値『10MPa以上』を上回っているが、Mg(OH) の配合量が、実施例1の80重量部から、実施例2の120重量部、実施例3、4の160重量部、実施例5の170重量部と配合量が大きくなるに連れて引張伸びの値は、下がってくるのが判る。
実施例3、4のMg(OH) の配合量が同じ160重量部であるにも拘らず引張強度の値が、『11.7MPa』(実施例3)、『11.5MPa』(実施例4)と異なるのは、難燃ポリオレフィンと混練する難燃シリコーンゴムに配合される酸化チタンの配合量が、実施例3の方が12重量部であるのに対し、実施例4の方が10重量部と少ないことによるものである。
【0036】
また、実施例6、7は、共に架橋剤(DCP)によって架橋したもので、実施例6の配合組成は、架橋剤1.0重量部を除くと、実施例5と同一で、実施例7の配合組成は、架橋剤1.0重量部を除くと、実施例1と同一である。
この実施例6と実施例5とを比較すると、引張伸びの値については、実施例5が『409%』であるのに対し、実施例6が『444%』と特性が良くなっている。また、引張強度の値については、実施例5が『10.4MPa』であるのに対し、実施例6が『11.4MPa』と遥かに特性が良くなっている。
さらに、実施例7と実施例1とを比較すると、引張伸びの値については、実施例1が『575%』であるのに対し、実施例7が『577%』と特性が良くなっている。また、引張強度の値については、実施例1が『13.2MPa』であるのに対し、実施例7が『14.1MPa』と特性が良くなっている。
【0037】
また、実施例6と実施例7とを比較すると、実施例6は、Mg(OH) の配合量が170重量部で、酸化チタンの配合量が7重量部となっているのに対し、実施例7は、Mg(OH)2 の配合量が80重量部で、酸化チタンの配合量が15重量部となっている。そして、実施例6の引張伸びの値が『444%』であるのに対し、実施例7の引張伸びの値が『577%』と実施例7の方が遥かに良い特性を示している。また、実施例6の引張強度の値が『11.9MPa』であるのに対し、実施例7の引張強度の値が『14.1MPa』と実施例7の方が遥かに良い特性を示している。
このことから、難燃ポリオレフィンと、この難燃ポリオレフィンに混練する難燃シリコーンゴムについては、架橋することにより、難燃シリコーンゴムに配合する酸化チタンの配合量を多して、燃ポリオレフィンに配合する金属水酸化物の配合量を少なくすることができることが判る。
【0038】
比較例1と比較例2を比較すると、比較例1は、難燃ポリオレフィンに配合する金属水酸化物(水酸化マグネシウム)の配合量が75重量部と少なくなっているため、引張伸びの値が『580%』で引張強度の値が『13.8MPa』と機械的特性がよくなっている。しかし、難燃シリコーンゴムに配合する酸化チタンを16重量部の配合しても必要な難燃性を得ることはできていない。また、比較例2は、難燃ポリオレフィンに配合する金属水酸化物(水酸化マグネシウム)の配合量が175重量部と非常に多くなっているため、引張伸びの値が『399%』で引張強度の値が『9.8MPa』と機械的特性が基準値を下回るものとなっている。しかし、難燃シリコーンゴムに配合する酸化チタンを6重量部と少なく配合しても必要な難燃性を得られている。したがって、比較例1、2は共に基準に適合していない。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0041】
請求項1に記載の発明によれば、オレフィン系樹脂を主成分とし、ハロゲン化物を含まず、金属水酸化物の配合を抑制して十分な機械的特性を得ると共に、酸化チタンを配合したシリコーンゴムを混練することによって、ICEA S61−402(NEMA WC5)の線心一条垂直燃焼試験特性に適合する難燃特性を得ることができる。
【0042】
請求項2に記載の発明によれば、難燃ポリオレフィンとしての十分な難燃特性と十分な機械的特性を得ることができる。
【0043】
請求項3に記載の発明によれば、電線・ケーブルとしての機械的特性を確保することができる。
【0044】
請求項4に記載の発明によれば、電線・ケーブルとしての難燃特性を確保することができる。
【0045】
請求項5に記載の発明によれば、熱変形温度が上昇し、機械的強度を向上することができる。

Claims (5)

  1. 金属水酸化物を配合してなる難燃ポリオレフィン100重量部に、酸化チタンを配合してなる難燃シリコーンゴムを50重量部混練してなるノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物。
  2. 上記難燃ポリオレフィンは、ポリオレフィンエラストマー100重量部に対し、金属水酸化物80〜170重量部を120℃のミキシングロールによって混練して製造したものである請求項1に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物。
  3. 上記金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか1種又は2種以上の混合物である請求項2に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物。
  4. 上記難燃シリコーンゴムは、シリコーンゴム100重量部に対し、酸化チタン3〜15重量部を50℃のミキシングロールによって混練して製造したものである請求項1,2又は3に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物。
  5. 上記難燃ポリオレフィン及び上記難燃シリコーンゴムは、架橋したものである請求項1,2,3又は4に記載のノンハロゲン難燃ポリオレフィン組成物。
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