JP3683557B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーリング、ドライヤー乾燥等による毛髪損傷(毛髪内部の空洞)の修復・抑止効果に優れるとともに、塗布からすすぎにかけて、及び乾燥後の毛髪に、平滑で柔軟な感触を与える効果に優れる毛髪化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、毛髪のカラーリングの流行に伴い、カラーリングシステム(1剤型又は2剤型)で施術した毛髪のぱさつき、まとまりにくさなどの損傷がクローズアップされるようになってきた。また、これと同様に、パーマネントウェーブ処理をした毛髪にも同じような損傷が起こっている。これらカラーリング処理やパーマネントウェーブ処理による毛髪の損傷は、使用する染毛剤やパーマネントウェーブ剤の化学的要因による毛髪内部の空洞化が原因であるとされている。
【0003】
また、洗髪後のドライヤー乾燥によっても、毛髪は、ツヤが無くなる、ぱさつくなどの損傷を受けるが、これはドライヤーの熱による毛髪内部の空洞化が原因であることが解明されている(フレグランス・ジャーナル,6号,11頁,2000年)。
【0004】
このようなカラーリングシステム等による毛髪の損傷を補修する技術としては、水不溶性カチオン微粒子を含有する毛髪化粧料(特開平10-72324号公報)、アミノ酸系両性界面活性剤と天然トリグリセライドを含有する毛髪化粧料(特開2000-86454公報)等が提案されている。
【0005】
また、ドライヤーの熱による毛髪の損傷を抑制する技術としては、フィタントリオール及びシリコーンを含有する毛髪化粧料(米国特許第5776443号明細書)、ジメチルシリコーンガム、ポリエチレングリコール及びカチオン界面活性剤を含有する毛髪化粧料(特開平4-279512号公報)、加水分解小麦蛋白質、加水分解小麦少糖類、小麦アミノ酸及びパンテノールを含有する毛髪化粧料(特開平8-157332号公報)等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの毛髪損傷の補修方法は、いずれも毛髪表面のキューティクルエッジ部分を補修したり毛髪表面に油剤を吸着させることで、一時的に補修感を与えるものであり、毛髪損傷の本質的な原因である毛髪内部の空洞を修復又は抑止できるものではなかった。
【0007】
したがって、本発明は、カラーリング、ドライヤー乾燥等の際に毛髪内部に発生した空洞を修復する又はその発生を抑止する効果に優れるとともに、塗布からすすぎにかけてのつるつるとした平滑感、柔軟で滑らかな感触を与える効果に優れる毛髪化粧料の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、特定の第3級アミン、高級アルコール及び有機溶剤を併用し、酸性とすることにより、上記要求を満たす毛髪化粧料が得られることを見出した。
【0009】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(C)
(A) 一般式(1)で表される第3級アミン又はその塩
【0010】
【化4】
【0011】
〔式中、R1は、炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2及びR3は、同一又は異なる炭素数1〜6のアルキル基又は-(AO)nH(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜6の数を示し、n個のAOは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。〕
(B) 高級アルコール
(C) 次の(c1)〜(c5)から選ばれる有機溶剤
(c1) 一般式(2)で表される化合物
【0012】
【化5】
【0013】
〔式中、R4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は基R5−Ph−R6−(R5;水素原子、メチル基又はメトキシ基,R6;結合手又は炭素数1〜3の飽和若しくは不飽和の二価の炭化水素基,Ph;パラフェニレン基)を示し、Y及びZは、水素原子又は水酸基を示し、p、q及びrは、0〜5の整数を示す。ただし、p=q=0であるときは、Zは水素原子ではなく、またR4は水素原子及び基R5−Ph−のいずれでもない。〕
(c2) 窒素原子に炭素数1〜18のアルキル基が結合したN-アルキルピロリドン
(c3) 炭素数1〜4のアルキレンカーボネート
(c4) 分子量200〜5000のポリプロピレングリコール
(c5) 一般式(3)、(4)又は(5)で表されるラクトン又は環状ケトン
【0014】
【化6】
【0015】
〔式中、Xは、メチレン基又は酸素原子を示し、R7及びR8は、相異なる置換基を示し、a及びbは、0又は1を示す。〕
を含有し、5重量%水溶液のpHが2〜6である毛髪化粧料を提供するものである。
【0016】
更に本発明は、上記の毛髪化粧料を毛髪に適用することによる毛髪内部の空洞の修復又は発生抑制方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
成分(A)の一般式(1)で表される第3級アミンにおいて、R1、R2及びR3は、湿潤時から乾燥後まで良好な柔軟性及びすべり性を付与することができ、特に乾燥後のすべり性に優れる点から、以下に示すものが好ましい。
【0018】
R1としては、炭素数12〜24、特に炭素数14〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、特にアルキル基が好ましい。
【0019】
R2及びR3としては、炭素数1〜6のアルキル基及び-(CH2CH2O)nH(nは1〜3、特に1が好ましい)が好ましく、更にはR2及びR3の少なくとも一方が、特に双方が、炭素数1〜6のアルキル基、特にメチル基又はエチル基であるのが好ましい。
【0020】
第3級アミン(1)の好ましい具体例としては、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミンが挙げられる。
【0021】
また、第3級アミン(1)は、その全部又は一部が、毛髪化粧料中に別途酸を配合することにより塩を形成していてもよい。酸としては、無機酸、有機酸のいずれでもよく、無機酸としては、リン酸、塩酸、硫酸等が挙げられ、有機酸としては、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸などが挙げられる。これらのうち、無機酸(特に塩酸)、ジカルボン酸(特にマレイン酸、コハク酸)、ヒドロキシカルボン酸(特にグリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、酸性アミノ酸(特にグルタミン酸)が好ましい。
【0022】
成分(A)は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、塗布からすすぎ、及び乾燥後の平滑で柔軟な感触、並びに系の安定性の点から、第3級アミン(1)として、本発明の毛髪化粧料中に0.1〜20重量%が好ましく、更には0.3〜15重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。酸の配合量は、第3級アミン(1)に対し0.1〜4倍モルが、また毛髪化粧料の0.1〜15重量%が好ましい。
【0023】
成分(B)の高級アルコールとしては、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられるが、なかでも炭素数18〜24の直鎖アルカノール、特にステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。これらは2種以上を併用してもよく、その含有量は、塗布からすすぎ、及び乾燥後の平滑性の点、並びに系の安定性や使いやすい粘度に調整する点から、成分(A)の第3級アミン(1)の使用量に対して0.5〜20倍モルが好ましく、更には1〜10倍モル、特に2〜7倍モルが好ましい。
【0024】
成分(C)である有機溶剤のうち、(c1)としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン等が挙げられる。(c2)としては、N-メチルピロリドン、N-オクチルピロリドン、N-ラウリルピロリドン等が挙げられる。(c3)としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。(c4)のポリプロピレングリコールとしては、分子量200〜1000のものが好ましい。(c5)において、一般式(3)〜(5)中のR7及びR8としては、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基、フェニル基、スルホアルキル基、リン酸アルキル基、カルボキシアルキル基等が好ましく、なかでもγ-ラクトンの場合にはγ位、δ-ラクトンの場合にはδ位(すなわちヘテロ酸素原子の隣接メチレン)に置換した、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましい。また、化合物(3)〜(5)の水溶性を増大させたい場合には、R7又はR8としてスルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基等の酸性基やこれらが置換したアルキル基を有するのが好ましい。(c5)のうち、ラクトンとしては、γ-ブチロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、δ-ヘプタノラクトン等が挙げられるが、ラクトンの安定性の点から、γ-ラクトン、特にγ-ブチロラクトン、γ-カプロラクトンが好ましい。(c5)のうち、環状ケトンとしては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチルシクロヘプタノン等が挙げられる。特に好ましい成分(C)として、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0025】
成分(C)は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、使用感、ツヤ及び柔軟性の向上の点から、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜50重量%が好ましく、更には0.1〜35重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0026】
本発明の毛髪化粧料には、すすぎ時の感触、乾燥後の仕上がり感の向上を目的として、更にジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン、カルボン酸変性ポリシロキサン、アルコール変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類を含有させることができる。なかでも、重合度1000〜10000、特に重合度1500〜4000のジメチルポリシロキサンが好ましく、また、上記の重合度1000〜10000のものに加え、更に重合度3〜900のものを併用すると、使用感や取扱いの点で特に優れるものとなる。これらシリコーン類は2種以上を併用してもよく、その含有量は本発明の毛髪化粧料の0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0027】
本発明の毛髪化粧料には、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでもよい。
【0028】
カチオン界面活性剤としては、次式
【0029】
【化7】
【0030】
〔式中、R9及びR10は各々独立して水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示すが、同時に水素又はベンジル基となる場合を除く。An-はアニオンを示す。〕
で表わされるものが好ましい。ここでR9、R10がアルキル基である場合は、炭素数16〜24、特に22のものが好ましく、また直鎖アルキル基であるのが好ましい。アニオンAn-としては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、エチル硫酸イオン、炭酸メチルイオン等の有機アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンが好ましい。
【0031】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、特に塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0032】
アニオン界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系及びカルボン酸系のものが挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩等が挙げられ、特に次の一般式で表されるものが好ましい。
【0033】
R11O(CH2CH2O)mSO3M
R12OSO3M
【0034】
〔式中、R11は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、R12は炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、mは重量平均で1〜5の数を示す。〕
【0035】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類等が挙げられる。このうち、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレン(C8〜C20)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、脂肪酸アルカノールアミドとしては、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0036】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0037】
本発明の毛髪化粧料には、塗布時からすすぎ時のしっとりとした滑らかさを付与する目的で、次の一般式で表されるアルキルアミン類を含有させることができる。
【0038】
【化8】
【0039】
〔式中、R13は炭素数12〜28のアルキル基又はR15CONH(CH2)s−基(R15は炭素数11〜27のアルキル基、sは1〜5の数)を示し、R14は炭素数1〜28のアルキル基を示す。〕
【0040】
で表わされるアルキルアミンが挙げられる。ここで、R13のうちアルキル基としては炭素数16〜24のアルキル基が、R13のうちR15CONH(CH2)s−基としてはR15が炭素数13〜23のアルキル基で、sが2〜4の数であるものが好ましく、R14としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
【0041】
好ましいアルキルアミンとしては、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドエチルジエチルアミン等が挙げられ、特にジメチルベヘニルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミンが好ましい。これらは通常、酸により中和して使用する。中和酸としては、塩酸、硫酸等の鉱酸;酢酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸が挙げられる。
【0042】
これら界面活性剤(上記アルキルアミンの中和により形成されるものを含む)の含有量は、本発明の毛髪化粧料中に0.01〜20重量%、特に0.1〜10重量%が好ましい。
【0043】
本発明の毛髪化粧料には、乾燥後の仕上がり感(サラサラ感、しっとり感など)を向上する目的で、油剤類を含有させることができる。かかる油剤類としては、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、落花生油、メドウフォーム油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂;オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸ヘキサデシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、オレイン酸イソデシル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル等のエステル油;流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよく、それぞれの含有量は、本発明の毛髪化粧料の0.01〜20重量%、特に0.1〜10重量%が好ましい。
【0044】
組成物の安定性向上や粘度調整、またすべり性や仕上がり感の向上を目的として、水溶性高分子、無機塩又は有機塩を配合することができる。水溶性高分子としては、アラビアゴム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物性高分子;デキストラン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物性高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子;カルボキシビニルポリマー(カーボポール等)のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト等の無機系水溶性高分子などが挙げられる。無機塩としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム等が挙げられ、有機塩としては、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられ、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムが好ましい。水溶性高分子、無機塩又は有機塩の含有量は、本発明の毛髪化粧料の0.001〜10重量%、特に0.01〜5重量%が好ましい。
【0045】
毛髪改質、毛髪への栄養補給、頭皮のフケ防止やかゆみ低減等の目的で、薬効成分や各種の抽出液を配合することができる。かかる薬効成分としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン類;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤;アルブチン等の美白剤;塩化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;L-メントール、カンフル等の清涼剤;イオウ、塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、γ-オリザノール、ジンクピリチオン、オクトピロックス等が挙げられる。各種抽出液としては、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグルマギクエキス、ハマメリス抽出液、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液等が挙げられる。薬効成分及び各種抽出液の含有量は、本発明の毛髪化粧料の0.001〜10重量%、特に0.001〜5重量%が好ましい。
【0046】
組成物の抗菌性向上や頭皮のフケ・かゆみ防止の目的で、抗菌剤やフケ・かゆみ防止剤を配合することができる。抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、フェノキシエタノール等が挙げられ、フケ・かゆみ防止剤としては、ジンクピリチオン、オクトピロックス、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。抗菌剤及びフケ・かゆみ防止剤の含有量は、それぞれ本発明の毛髪化粧料の0.001〜10重量%、特に0.001〜5重量%が好ましい。
【0047】
その他、目的に応じて、エデト酸ナトリウム塩、メタリン酸ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等の中和剤;アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;紫外線吸収剤、香料、色素等を配合することができる。
【0048】
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)〜(C)、及び目的に応じ適宜使用される上記のその他の成分と水を配合することにより製造される。またそのpHは、5重量%水溶液として2〜6に調整されるが、2.5〜5、特に3〜4が好ましい。
【0049】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪をシャンプーした後、毛髪に塗布し、洗い流して使用するタイプの剤型、例えばヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等に好適に利用することができる。また、本発明の毛髪化粧料を毛髪に適用することにより、ヘアカラー、ドライヤー等で生じる毛髪内部の空洞(メデュラやコルテックス部分)を修復し又は発生を抑制することができる。
【0050】
【実施例】
実施例1
表1に示すヘアコンディショナーを調製し、その毛髪損傷修復効果(毛髪内部の空洞消失率)と、毛髪の平滑感(つるつるした感触)、柔軟感及びこれらの持続性についての官能評価を行った。この結果を表1に示す。
【0051】
A.ヘアコンディショナーの製造法
(イ)本発明品1〜5
1.60℃に加熱した精製水に酸を添加する。(水相)
2.成分(A)、(B)及びカチオン界面活性剤を70℃で混合溶解する。(油相)
3.プロペラ撹拌(1L程度の製造で約250rpm)している水相に油相を添加し、約30分撹拌乳化させた後、45℃に冷却する。
4.成分(C)を添加し、30℃まで撹拌冷却し、製造を終了する。
【0052】
(ロ)比較品1〜3
1.80℃に加熱した精製水に酸を添加する。(水相)
2.成分(A)、(B)及びカチオン界面活性剤を80℃で混合溶解する。(油相)
3.プロペラ撹拌(1L程度の製造で約250rpm)している水相に油相を添加し、約30分撹拌乳化させた後、45℃に冷却する。
4.成分(C)を添加し、30℃まで撹拌冷却し、製造を終了する。
【0053】
B.評価方法
(イ)毛髪内部の空洞消失率
カラーリングによりダメージの発生している毛束0.5gをプレーンシャンプー(ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びジエタノールアミドで調製)1gで洗浄した。軽く水を切った後、上記ヘアコンディショナー1gを塗布し、1分間放置してから、更に4gを塗布して35℃で15分間放置した。次いで、流水で15秒間濯いだ後、タオルドライし、1分間ドライヤーで熱風乾燥した。以上の毛髪処理は、日常におけるヘアコンディショナーの1週間連続使用に相当する。この毛髪処理を合計4回繰り返した。
【0054】
簡易型実体顕微鏡〔WIDE STAND MICRO;PEAK社製(10倍)〕を用い、毛髪の根元方向斜め(毛髪軸と光源からの光の照射軸との角度15〜60度)から光を照射し、毛髪軸と光の照射軸と同一平面で、かつ毛髪軸に対し垂直方向から毛髪を観察した。この方法により、観察の妨げになる毛髪表面での正反射光を除くことができ、空洞ができた毛髪はメデュラ部の多孔質構造のみが毛髪中心部に白っぽく筋状に観察される(フレグランス ジャーナル,6号,11頁,2000年)。毛髪処理の前後において空洞部の全長を測定し、次式に従って空洞補修率を求めた。
【0055】
【数1】
【0056】
(ロ)パネラーによる官能評価
毛束20gをプレーンシャンプー(ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びジエタノールアミドで調製)でよく洗浄した後、軽く水を切り、ヘアコンディショナー2gを塗付する。その後、6L/分の40℃流水で30秒間すすぎ、タオルドライした後に、ドライヤーの温風で2〜3分間十分に乾燥させた。
パネラー20名により、次の基準に基づいた評価を行い、評価点の平均値を示した。
【0057】
・平滑感(塗布時及びすすぎ時)
4:非常につるつるする。
3:つるつるする。
2:ややつるつるする。
1:ほとんどつるつるしない。
0:全くつるつるしない。
【0058】
・柔軟感(塗布時及びすすぎ時)
4:非常に柔らかい。
3:柔らかい。
2:少し柔らかい。
1:あまり柔らかくない。
0:全く柔らかくない。
【0059】
・持続性
4:いつまでも続く。
3:続く。
2:少し続く。
1:あまり続かない。
0:効果がすぐ消失する。
【0060】
【表1】
【0061】
【0062】
*:炭素数12〜15の市販オキソ法合成アルコール(ドバノール23と同45の等量混合物,三菱油化社)に由来する分岐第4級アンモニウム塩で、その分岐率は20重量%である。
【0063】
【発明の効果】
本発明の毛髪化粧料は、カラーリング、ドライヤー乾燥等による毛髪損傷(毛髪内部の空洞)の修復・抑止効果に優れるとともに、塗布からすすぎにかけて、及び乾燥後の毛髪に、平滑で柔軟な感触を与える効果に優れる。
Claims (4)
- 次の成分(A)〜(C)
(A) 一般式(1)で表される第3級アミン又はその塩
(B) 高級アルコール
(C) 次の(c1)〜(c5)から選ばれる有機溶剤
(c1) 一般式(2)で表される化合物
(c2) 窒素原子に炭素数1〜18のアルキル基が結合したN-アルキルピロリドン
(c3) 炭素数1〜4のアルキレンカーボネート
(c4) 分子量200〜5000のポリプロピレングリコール
(c5) 一般式(3)、(4)又は(5)で表されるラクトン又は環状ケトン
を含有し、5重量%水溶液のpHが2〜6である毛髪化粧料。 - 成分(A)の含有量が、第3級アミン(1)として0.1〜20重量%である請求項1記載の毛髪化粧料。
- 成分(C)が、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート及びプロピレングリコールから選ばれるものである請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料を毛髪に適用することによる毛髪内部の空洞の修復又は発生抑制方法。
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