JP3683373B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からチューブレス空気入りタイヤにおいては、空気圧を保持するためにブチルゴムなどの低空気透過性のゴムがインナーライナーに用いられてきた。図3は、典型的な従来のチューブレス空気入りタイヤのケースコード被覆ゴム層付近の概略断面図であり、図3中、1はケースコード被覆ゴム層であって、その中にケースコード4が通常1列に配列されている。そのタイヤ内側には空気圧保持用のブチルゴムなどからなるインナーライナー10があり、タイヤ外側には他のゴム層を介して、または介さずにジエン系ゴムを主成分とするサイドウォール層11が設けられている。
【0003】
一方、低燃費性という要請にもとづいてタイヤの軽量化が求められ、かつタイヤの製造工程の簡素化も要請されており、低空気透過性のブチルゴムやイソブチレン−p−メチルスチレン共重合体の臭素化物などを配合したゴム組成物でタイヤのケースコード被覆ゴム層1を作製し、インナーライナー10を省くことが提案されている(特開平6−156007号、特開平6−55665号、特開平8−157648号各公報)。
【0004】
しかし、ブチルゴムなどの高飽和ゴムは高不飽和ゴムであるジエン系ゴムとの接着性に劣るため、ケースコード被覆ゴム層とサイドウォールやトレッドゴムなどのジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材とのあいだの接着性が劣り、えられるタイヤの耐久性に問題があった。
【0005】
そこで本発明者らは、ケースコード被覆ゴム層に低空気透過性およびジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との充分な接着性を付与すべく種々検討し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インナーライナーのないチューブレスタイヤであって、ケースコード被覆ゴム層とジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との接着性および粘着性、つまりタイヤの耐久性および加工性(成形性)にすぐれ、かつインナーライナーのない軽量なチューブレス空気入りタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ケースコード列を内部に有するケースコード被覆ゴム層を有するチューブレスタイヤにおいて、
ケースコード被覆ゴム層用ゴム組成物Aのゴム成分が天然ゴム、スチレンブタジエンゴムおよび/またはアクリロニトリルブタジエンゴムからなり、
該ゴム成分中のアクリロニトリル含有量が5〜20重量%、天然ゴム含有量が5〜40重量%であるインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤに関する。
【0008】
また、本発明は、ケースコード列を内部に有するケースコード被覆ゴム層を有するチューブレスタイヤにおいて、
ケースコード被覆ゴム層のケースコード列からタイヤ内側部分が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴムおよび/またはアクリロニトリルブタジエンゴムからなるゴム成分であってアクリロニトリル含有量が5〜20重量%、天然ゴム含有量が5〜40重量%であるゴム成分をもつゴム組成物Aからなり、
ケースコード被覆ゴム層のケースコード列からタイヤ外側部分が、ジエン系ゴムを主成分とするゴム組成物Bからなるインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態は、ケースコード列を内部に有するケースコード被覆ゴム層をもつインナーライナーのないチューブレスタイヤにおいて、前記ケースコード被覆ゴム層用ゴム組成物としてゴム成分が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴムおよびアクリロニトリルブタジエンゴムからなり、かつゴム成分中のアクリロニトリル含有量が5〜20重量%、天然ゴム含有量が5〜40重量%であるゴム組成物Aを用いる点に特徴を有する。すなわち図3において、ケースコード被覆ゴム層1として特定のゴム組成物Aを用い、インナーライナー10を省いた構成を有する。
【0010】
なお、ジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材としては、サイドウォール部、トレッド部およびベルトなどがあげられる。
【0011】
本発明において、ケースコード被覆ゴム層用ゴム組成物A(以下、単に「ゴム組成物A」ともいう)は、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)およびアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)をゴム成分とする。
【0012】
スチレン−ブタジエンゴム(SBR)については、通常タイヤの分野で用いられるものであればよい。
【0013】
また、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)については、通常タイヤの分野で用いられているもの、たとえばアクリロニトリル含有量が24〜25重量%の低ニトリルNBR、25〜30重量%の中ニトリルNBR、31〜35重量%のの中高ニトリルNBR、36〜42重量%の高ニトリルNBR、43重量%以上の極高ニトリルNBRのいずれであっても用いることができるが、低空気透過性という点からアクリロニトリル含有量の高い中高ニトリルNBR、高ニトリルNBR、極高ニトリルNBRを用いるのが好ましい。
【0014】
本発明におけるゴム組成物Aのゴム成分におけるNR、SBRおよびNBRの配合割合としては、ゴム成分中のアクリロニトリル含有量が、ジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との接着性および低空気透過性の両立という点から5〜20重量%、低空気透過性を重視するという点から好ましくは10〜20重量%となるようにすればよい。また、ゴム成分中のNR含有量が、粘着性の向上、空気透過性の低さおよびジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との接着性のトータルバランスという点から5〜40重量%、空気透過性の低さ、接着性という点から好ましくは5〜30重量%、さらに粘着性の向上という点からとくに好ましくは10〜30重量%であるようにすればよい。
【0015】
前記ゴム成分以外の成分として、本発明におけるゴム組成物Aは、加工性という点から可塑剤を含んでなるのが好ましい。該可塑剤としては、従来からタイヤの分野で用いられているものであればよく、たとえばミネラルオイル、アロマオイルなどのプロセスオイル、DOP(ジ−2−エチルヘキシル)フタレート)などのフタル酸誘導体などがあげられ、これらを単独でまたは任意に組み合わせて用いることができるが、ブルームという点からプロセスオイル、なかでも接着性という点から好ましくはミネラルオイルを用いるのがよい。
【0016】
ゴム組成物Aへの可塑剤の配合割合としては、ゴム成分100重量部に対して、加工性と低空気透過性の両立という点から0〜10重量部であればよいが、低空気透過性を重視するという点から好ましくは0〜5重量部であるのがよい。
【0017】
さらにゴム組成物Aは、加工性(成形性)の向上という点から粘着性を付与するために粘着付与剤を含んでなるのが好ましい。該粘着付与剤としては、従来からタイヤの分野で用いられているものであればよく、たとえばp−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペル樹脂などがあげられ、これらを単独でまたは任意に組み合わせて用いることができるが、粘着性の向上という点からアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、接着性という点から好ましくは石油系炭化水素樹脂を用いるのがよい。
【0018】
本発明において好適に用いることのできる市販の粘着付与剤としては、たとえば住友化学工業(株)製のSP160(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、ヤスハラケミカル(株)製のダイマロン(テルペン低重合体)およびクリアロンK100(テルペン系水素添加樹脂)などがあげられる。
【0019】
ゴム組成物Aへの粘着付与剤の配合割合としては、ゴム成分100重量部に対して、粘着性向上という点から0〜15重量部であればよいが、粘着性のさらなる向上という点から好ましくは3〜15重量部、さらにゴム組成物Aの強度低下を抑えるという点からとくに好ましくは3〜10重量部であるのがよい。
【0020】
前述した成分のほかに、本発明におけるゴム組成物Aには、従来からタイヤの分野で用いられる配合剤、たとえばイオウなどの加硫剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)などの加硫促進剤、亜鉛華、ステアリン酸などの加硫助剤、カーボンブラック、シリカなどの充填剤、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンなどの樹脂などを、本発明の効果を損なわない量で配合してもよい。
【0021】
本発明におけるゴム組成物Aは、常法により各成分を合わせて混練りしてうることができる。
【0022】
前記ゴム組成物Aにより被覆するケース用のコードとしては、従来からタイヤの分野で用いられているものであればよく、たとえばレーヨン、ナイロン、テトロン(ポリエステル)、ケブラーなどの有機系繊維、ガラス繊維、スチールワイヤーなどがあげられるが、ゴム組成物Aとの接着性、えられるタイヤの耐久性、軽量化という点から好ましくは有機系繊維を用いるのがよい。
【0023】
コードを前記ゴム組成物Aで被覆してケースコード被覆ゴム層をうる方法としては、従来から行なわれている方法であればよいが、たとえばゴム組成物Aで作製したゴムシートのあいだにコードをはさみ、ロールで押し出してゴム引きすることによりえられる。
【0024】
本発明においてえられるケースコード被覆ゴム層を用いる他は従来からの方法により、ジエン系ゴム部材などを重ねて成形してインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤを作製することができる。
【0025】
本発明の第1の実施の形態によれば、前記構成とすることにより、ケースコード被覆ゴム層そのものに低空気透過性を付与し、かつジエン系ゴムを主成分とするトレッドゴムやサイドウォールゴムなどの他のタイヤ部材およびケースコードとの接着性および粘着性を充分なものにすることができる。これにより、軽量で耐久性のあるインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤをうることができる。
【0026】
本発明の第2の実施の形態におけるケースコード被覆ゴム層の概念を示す概略断面図を図1に示す。図1において、1はケースコード被覆ゴム層であり、該ゴム層1はケースコードの列を基準としてタイヤ内側(内圧側)ゴム層2とタイヤ外側(サイドウォール側)ゴム層3から構成されており、タイヤ内側ゴム層2が前記ゴム組成物Aからなり、タイヤ外側ゴム層3がジエン系ゴムを主成分とするゴム組成物Bからなっている点に特徴を有する。
【0027】
すなわち本発明の第2の実施の形態は、ケースコード列を内部に有するケースコード被覆ゴム層をもつチューブレスタイヤにおいて、ケースコード被覆ゴム層のケースコード列からタイヤ内側部分のゴム組成物Aのゴム成分が、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなり、該ゴム成分中のアクリロニトリル含有量が5〜20重量%、天然ゴム含有量が5〜40重量%であり、かつケースコード被覆ゴム層のケースコード列からタイヤ外側部分のゴム組成物Bのゴム成分が、ジエン系ゴムを主成分とするインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤである。
【0028】
かかる構成にすることにより、ケースコード被覆ゴム層とトレッドゴムやサイドウォールゴムなどのジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との接着性および粘着性をより向上させることができる。
【0029】
本発明におけるケースコード被覆用内側ゴム層に用いるゴム組成物は前述したゴム組成物Aを用いることができる。
【0030】
ケースコード被覆外側ゴム層に用いるゴム組成物Bは、ジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との接着性にすぐれていることが求められるため、基本的に従来からのケースコード被覆ゴム層に用いられていたジエン系ゴムを主成分とするものであればよい。主成分となるジエン系ゴムは従来からタイヤの分野で用いられているものであればよく、たとえば天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどがあげられ、これらを単独でまたは任意に組み合わせて用いることができるが、耐久性という点から好ましくは天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとのブレンド物を用いるのがよい。本発明において、「ジエン系ゴムを主成分とするゴム組成物」とは、前記ジエン系ゴムを合計量で90重量%以上、通常95重量%以上含むものをいう。
【0031】
また、ゴム組成物Bは、ゴム組成物Aについて前述したゴム成分以外の配合剤を本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよく、さらにゴム組成物Aと同様に常法により各成分を混練りしてうることができる。
【0032】
ゴム組成物Aをケースコード被覆内側ゴム層に用い、ゴム組成物Bをケースコード被覆外側ゴム層に用いてケースコード被覆ゴム層をうる方法としては、ゴム組成物AおよびBのそれぞれから従来の方法でえたゴムシートのあいだにコードをはさみ、ロールで押し出してゴム引きすることによりうるのが好ましい。
【0033】
前記と同様に、本発明においてえられるケースコード被覆ゴム層を用いて、他は従来からの方法により、インナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤをうることができる。
【0034】
本発明の第2の実施の形態によれば、前記構成とすることにより、ケースコード被覆内側ゴム層に低空気透過性を付与し、ケースコード被覆外側ゴム層の前記内側ゴム層およびジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材に対する接着性を充分なものにし、さらに前記内側ゴム層および外側ゴム層とケースコードとの接着性および粘着性を充分なものにすることができる。これにより、軽量で耐久性のあるインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤをうることができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらのみに限定されるわけではない。
【0036】
製造例1〜12
表1に示す配合割合に従い、バンバリーミキサーを用いてゴム成分、可塑剤、粘着付与剤、カーボンブラックを混練し、ついでロールを用いてイオウ、加硫促進剤を混練するという方法で前記ゴム組成物Aに該当するゴム組成物A−1〜A−12をえた。
【0037】
なお、SBRとしては乳化重合で合成した結合スチレン含有量が23.5重量%のもの(住友化学工業(株)製の1502)、NBRとしてはアクリロニトリル含有量43重量%のもの(日本合成ゴム(株)製のN222L)、可塑剤としてはミネラルオイル、粘着付与剤としては石油系炭化水素樹脂(エクソン化学(株)製のエスコレッツ1102B)、カーボンブラックとしてはHAFクラスのN330(三菱化学(株)製のダイヤブラックH)を用いた。また、すべてのゴム組成物にゴム成分100重量部に対してイオウ1.5重量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ)1重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華3重量部を配合した。
【0038】
〔ゴム組成物Aの空気透過性〕
前記ゴム組成物A−1〜A−12から170℃、12分間、10MPaの条件で油圧プレスにより加硫成形して空気透過性測定用サンプルA−1〜A−12をえた。えられたサンプルA−1〜A−12についてASTM D−1434−75M法にもとづき、東洋精機(株)のガス透過率測定装置M−C1を用いて空気透過係数(cm3・cm/cm2・sec・cmHg)を測定した。結果を表1に示す。値が小さいほど低空気透過性である。
【0039】
〔ゴム組成物Aとジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との接着性〕
前記ゴム組成物A−1〜A−12から厚さ2mmのゴムシートA−1〜A−12を切り出し、また、ジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材として、NR40重量部、BR60重量部、カーボンブラック60重量部からなるサイドウォール(SW)用ゴム組成物を混練りしたのち前記と同様にして厚さ2mmのSW用ゴムシートをえた。
【0040】
ついで、図2に概略断面図として示す接着(剥離)強度測定用サンプルをつぎの要領で作製した。トップ反7を外側の面にそれぞれ有するゴムシート5とSW用ゴムシート6のあいだにマイラーシート8および厚織9をはさみ、170℃、12分間、2MPaの条件で油圧プレスにより加硫接着して接着強度測定用サンプル1〜12をえた。このサンプルを50mm/minの条件で剥離し、接着強度(kgf/25mm)を測定した。結果を表1に示す。値が大きいほど接着性にすぐれる。
【0041】
〔ゴム組成物Aとコードとの接着性〕
前記ゴムシートA−1〜A−12をそれぞれ2枚用意し、あいだにコード(5cm当たり約50本のポリエステル糸1670DTEX/2(直径0.66mm))をはさんで、ロールで押し出してゴム引きしてゴム引きサンプルA−1〜A−12をえた。
【0042】
ついで、前記ゴム引きサンプルA−1〜A−12をそれぞれ2枚用意し、あいだに前述の接着性の評価において用いたマイラーシートを介してコードの向きが直交するように重ね、150℃、30分間、10MPaの条件で油圧プレスにより加硫接着した。そして、前記と同様にして接着強度(N/25mm)を測定した。結果を表1に示す。値が大きいほど接着性にすぐれる。
【0043】
〔粘着性〕
ゴム組成物A−1〜A−12の粘着性を、ピックアップ式の粘着計を用いて、それぞれ2枚のゴムシートA−1〜A−12を貼り合わせて、500gの荷重を10秒間かけ、その後一定速度でおもりをもちあげるときにゴムシートとゴムシートが剥離するときの力をバネばかりで調べて評価した。後述する比較ゴム組成物3のばあいを100として相対値で結果を表1に示す。値が大きいほど粘着性にすぐれる。
【0044】
比較製造例1〜4
表1に示す配合割合を用いたほかは、他の配合剤を含めて製造例1と同様にして比較ゴム組成物1〜4をえた。ついで、前記と同様にして空気透過性、ジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との接着性、コードとの接着性および粘着性を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
製造例13
本発明におけるケースコード被覆外側ゴム層用ゴム組成物Bとして、表2に示す配合割合に従ってゴム組成物B−1を製造例1と同じ条件および方法でえた。なお、SBRとカーボンブラックは前記製造例1と同じものを用いた。
【0046】
〔ゴム組成物Bと(ケースコード被覆内側ゴム層用)ゴム組成物Aとの接着性〕前述の〔ゴム組成物Aとジエン系ゴムを主成分とするタイヤ部材との接着性〕のばあいと同様にして、ゴム組成物Aである前記ゴム組成物A−2とゴム組成物B−1との接着強度を測定した。結果を表2に示す。
【0047】
〔ゴム組成物Aおよびゴム組成物Bとコードとの接着性〕
ゴム組成物Bとして前記ゴム組成物B−1を用い、ゴム組成物Aとしてゴム組成物A−2を用い、ケースコード被覆外側ゴム層とケースコード被覆内側ゴム層を区分けしたほかは前述の〔ゴム組成物Aとコードとの接着性〕と同様にして接着強度を測定した。結果を表2に示す。
【0048】
実施例1〜4
前述のゴム組成物A−2を用いて、カレンダーロールでシート状にしてえた2枚のシートのあいだにコードをはさみ、ロールで押し出してゴム引きして本発明におけるケースコード被覆ゴム層を作製したほかは従来の方法で205/65R15のサイズを有するインナーライナーのないチューブレスタイヤ(タイヤ1)をえた。
【0049】
一方、ケースコード被覆内側ゴム層として前述のゴム組成物A−2を用い、ケースコード被覆外側ゴム層としてゴム組成物B−1を用いて、ゴム組成物A−2およびB−1をそれぞれカレンダーロールでシート状にし、その2種のゴムのあいだにコードをはさみ、ロールで押し出してゴム引きして本発明におけるケースコード被覆ゴム層を作製したほかは従来の方法で205/65R15のサイズを有するインナーライナーのないチューブレスタイヤ(タイヤ2)をえた。
【0050】
また、ジエン系ゴム(NR:SBR=70:30(重量比))でケースコード被覆ゴム層を前記と同様に作製したほかは、従来の方法でインナーライナー(ゴム成分:NR:SBR=70:30(重量比))のあるチューブレスタイヤ(タイヤ3)をえた。
【0051】
さらに、タイヤ3においてインナーライナーのないものをタイヤ4とした。
【0052】
えられたタイヤ1〜4のタイヤ重量、転がり抵抗および空気透過(エアリーク)性を以下の要領で測定した。結果を表3に示す。
【0053】
〔転がり抵抗〕
ドラム試験機を用いて、80km/h、荷重400kgfの条件で測定し、タイヤ3(インナーライナー付)のばあいを100として指数で示した。値が小さいほど転がり抵抗が小さい。
【0054】
〔空気透過(エアリーク)性〕
えられたタイヤ1〜4をリムに組み、内圧を3kgf/cm2にして3カ月後の内圧の低下率を測定して、タイヤ3のばあいを100として指数で示した。値が大きいほど低下率が小さい。
【0055】
〔耐久テスト〕
タイヤ1〜4をリムに装着して走行速度80km/h、内圧190kPa、加重646kgという条件で室内ドラム耐久テストを行なった。いずれのタイヤも30,000km走行後において異常はみられなかった。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、ケースコード被覆ゴム層の低空気透過性およびジエン系ゴムを主成分とする他のタイヤ部材との接着性にすぐれ、より軽量なインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤをうることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第2の実施の形態におけるケースコード被覆ゴム層の概略断面図である。
【図2】本発明の実施例において用いた接着強度測定用サンプルを示す概略断面図である。
【図3】従来のチューブレス空気入りタイヤのケースコード被覆ゴム層付近の層構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 ケースコード被覆ゴム層
2 ケースコード被覆内側ゴム層
3 ケースコード被覆外側ゴム層
4 ケースコード
5 ゴムシート
6 SW用ゴムシート
7 トップ反
8 マイラーシート
9 厚織
10 インナーライナー
11 サイドウォール層
Claims (2)
- ケースコード列を内部に有するケースコード被覆ゴム層を有するチューブレスタイヤにおいて、
ケースコード被覆ゴム層用ゴム組成物Aのゴム成分が天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなり、該ゴム成分中のアクリロニトリル含有量が5〜20重量%、天然ゴム含有量が5〜40重量%であるインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤ。 - ケースコード列を内部に有するケースコード被覆ゴム層を有するチューブレスタイヤにおいて、
ケースコード被覆ゴム層のケースコード列からタイヤ内側部分のゴム組成物Aのゴム成分が天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエンゴムからなり、該ゴム成分中のアクリロニトリル含有量が5〜20重量%、天然ゴム含有量が5〜40重量%であり、
ケースコード被覆ゴム層のケースコード列からタイヤ外側部分のゴム組成物Bのゴム成分がジエン系ゴムを主成分とするインナーライナーのないチューブレス空気入りタイヤ。
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