JP3683063B2 - 水性ボールペン用インキ組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性ボールペン用インキ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水性ボールペン用インキ組成物においては、乾燥抑制剤として、水の他にグリコールやグリセリンのような多価アルコールなどの水溶性高沸点有機溶剤が用いられている。しかしながら、このような水性インキにおいては、筆記時ボールが回転する際にチップのボールとボールホルダーとの摩擦抵抗が大きくなるため、ボール受け座が著しく摩耗し筆感を劣化したり、あるいはチップの劣化によりインキの流出が不均一になったりするなどの欠点を有している。
【0003】
このような欠点を改良する目的で潤滑性向上剤を添加することが試みられており、例えば特公昭62−58394号公報には脂肪酸アミン塩を主成分とする水溶性切削剤を潤滑剤として添加したインキが開示されている。しかしこのような従来の方法では、これら添加剤をインキに添加しても潤滑性が十分でなく、ボール受座の摩耗による筆記不能現象が発生したり、たとえ充分な潤滑性が得られてもインキの吐出性が十分でなかったり、それを解決するために脂肪酸の添加量を増量すると筆跡の滲みが大きくなりすぎたり、などの実用上の問題があった。また特公昭59−13552号公報のような、水溶性シリコーンオイルのみでは、十分な潤滑性を得ることはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上述の問題点を解決することであり、潤滑性に優れ、円滑なボール回転によりチップホルダー受座の摩耗を少なくし、滑らかな書き味が得られ、滲みがなく、インキの吐出性がよい水性ボールペン用インキ組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、水性インキに水溶性シリコーンオイル及び、脂肪酸塩を併用して含有させることにより、前記目的を達成し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明の水性ボールペン用インキ組成物は、着色剤含有の水性インキ組成物に、水溶性シリコーンオイルと脂肪酸塩を併用して含有することを特徴とするものである。
【0006】
ここで、水溶性シリコーンオイルの含有量は組成物総量に対して、0.01〜10 重量% が好ましく、0.1〜3 重量% であるとさらに好ましい。
また脂肪酸塩の含有量は組成物総量に対して、0.02〜5 重量%含有させるのが好ましい。本発明は、着色剤含有の水性インキ組成物に水溶性シリコーンオイルと脂肪酸塩を併用して含有することが必須要件であって、水溶性シリコーンオイル又は脂肪酸塩のいずれか一方だけを含有させただけでは、潤滑性とインキ吐出性、滲み性の全てを満足させることはできない。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のインキ組成物に用いる水溶性シリコーンオイルは式(1)〜式(4)
【化1】
Figure 0003683063
【化2】
Figure 0003683063
【化3】
Figure 0003683063
【化4】
Figure 0003683063
(式中、a,l,mは整数,R1, R2 はアルキル基、フェニル基、またはH,R3:アルキレン、水酸化アルキレンで、同一でも、または複数種でもよい。)で示される共重合化合物であり、ポリエーテル変性シリコーンオイルである。
一般にR1はメチル基、R3はエチレンまたはプロピレンであるものが多い。0.01重量 未満では充分な潤滑性、インキ吐出性が得られず筆記性の向上を期待することができず、また10 重量% を越えると、中綿方式、直液方式で使われるインキは粘度上昇が起こり、筆記時におけるペン先からのインキ流出性を阻害し不適である。
【0008】
本発明のインキ組成物に用いる脂肪酸塩としては例えば、炭素数が6〜27で、かつ分子中に二重合結合を1〜5個有する直鎖状又は分岐鎖上のモノエン酸やポリエン酸、あるいはオキシアルケン酸等の不飽和脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩又は炭素数1〜3のアルコールでモノ、ジ、トリ置換されたアンモニウム塩等の不飽和脂肪酸塩を言う。
【0009】
ここで不飽和脂肪酸としては、入手の容易さの点で、例えばエルシン酸、エイコセン酸、パルミトレイン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、カプロレイン酸、ウンデセン酸、リンデル酸、ミリストレイン酸、2−パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ブラシン酸などのモノエン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸等のポリエン酸、プロベニルグリコール酸、β−オキシヒドロソルブリン酸、リシノール酸、リシノエライジン酸、オキシナーボン酸、カモレン酸などのオキシアルケン酸等が好ましく挙げられるが、これらの中で特にオレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸が好適である。
【0010】
これらの不飽和脂肪酸塩はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は組成物全量に対し0.02〜5 重量%の範囲で選ばれる。この配合量が、0.02 重量% 未満では本発明の効果が十分発揮されず、また5 重量% を越えると描線がにじんだり、インキの経時安定性に問題が生じるので好ましくない。
【0011】
本発明の着色剤含有の水性インキ組成物には、従来から公知の例えば、水溶性有機溶剤が含有されていてもよい。その溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル1,3−ブタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、1,2,3−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール類が挙げられる。
【0012】
更に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール等のグリセロール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、 エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のグリコールの低級アルキルエーテル、チオジエタノール、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダリジノン、スルホラン等も挙げられる。これら水溶性有機溶剤の含有量は、全組成物に対して、通常50重量%以下好ましくは5〜40重量%の範囲で選ばれる。50重量%を越えると紙に書いた時にインキが裏抜けしたり、乾くにくかったりして、好ましくない。またこれら溶剤は、インキのノンドライ性を向上させる。
【0013】
本発明の着色剤含有の水性インキ組成物に用いられる着色剤としては、顔料及び水溶性染料のいずれであってもよい。ここで顔料の種類については特に制限はなく、従来水性インキ組成物に慣用されている無機系及び有機系顔料の中から任意のものを使用することができ、更には無機蛍光顔料及び有機蛍光顔料も使用できる。無機系顔料としては、例えば酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナホワイト、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポシ、カドミウムエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレッド、アルミニウム粉、ステンレス粉、ニッケル粉、銅粉、亜鉛粉等が挙げられる。
【0014】
また有機系顔料としては、例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料等が挙げられる。
具体的には、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、ハンザイエロー3G(C.I.11670)、ジスアゾエローGR(C.I.21100)、パーマネントレッド4R(C.I.12335)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、キナクリドンレッド(C.I.46500)等が使用できる。
【0015】
無機蛍光顔料は硫化亜鉛などの重金属塩、あるいはアルカリ土類金属の硫化物を原料とし、これらの高純度のものに微量の銅、銀、マンガンなどの活性化剤を添加し、高温焼成して作られるものである。
有機蛍光顔料は蛍光染料を合成樹脂のビヒクルに溶解した固溶体で合成樹脂としては塩化ビニル樹脂、アルキド樹脂、アルカリ樹脂などがあり、蛍光染料はC.Iアシッドイエロー7、C.Iベイシックレッド1などがある。これらの顔料はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は、全組成物の重量に基づき、通常2〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲で選ばれる。
【0016】
次に水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも用いることができる。また鮮明な色相を得られる蛍光染料などを用いることができる。直接染料の一例を以下に記載する。
C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同71、同86、同106、同119等が挙げられる。
【0017】
酸性染料の一例としては、C.Iアシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、
C.Iアシッドエロー7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同141、同127、同135、同142、
C.Iアシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、
C.Iアシッドバイオレット15、同17、
C.Iアシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、同158、
C.Iアシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27等が挙げられる。
【0018】
食用染料としては、その大部分が直接染料又は酸性染料に含まれるが、含まれないものの一例としては、C.Iフードエロー3が挙げられる。
塩基性染料としては、C.Iベーシックエロー1、同2、同21、C.Iベーシックオレンジ2、同14、同32、C.Iベーシックレッド1、同2、同9、同14、C.Iベーシックバイオレット1、同3、同7、C.Iベーシックグリーン4、C.Iベーシックブラウン12、C.Iベーシックブラック2、同8等が挙げられる。
【0019】
これらの着色剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、全組成物の含有量は、通常0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲である。30重量%を越えて長期に保存した場合、顔料が凝集してしまったり、染料が析出したりしてペン先につまり、筆記不良を起こす。0.5重量%未満では着色が弱くなり紙に書いた時の色相がわからなくなってしまうので好ましくない。着色剤として顔料を用いた場合には、顔料を分散させる為分散剤が必要である。分散剤とは、顔料粒子表面に吸着して、水中に顔料を分散するために用いるものであり、ノニオン、アニオン系界面活性剤や水溶性高分子が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用いられる。
【0020】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸部分エステル、糖の高級脂肪酸エステル等があり、具体的にはグリセリンの脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキレルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物などがある。
【0021】
アニオン系界面活性剤としては、高級脂肪酸アミドのアルキル化スルフォン酸塩、アルキルアリルスルフォン酸塩等があり、具体的には、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等がある。
【0022】
水溶性高分子としては、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸樹脂等があり、具体的には、アクリル樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等の樹脂を塩の形にして水溶性にしたものを用いる。塩を形成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが代表的であり、アミンとしては、モノ−、ジ−、又はトリ−メチルアミン等の脂肪酸第1から第3級アミン、モノ−、ジ−、又はトリ−プロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルコールアミン、その他アンモニア、モルホリン及びN−メチルホリン等が代表的である。分散剤の配合量はその組成物中0.1〜10重量%の範囲が好ましい。
【0023】
本発明の着色剤含有の水性インキ組成物に用いる水は特に限定しないが、全組成物の含有量として、40〜95重量%が望ましい。40重量%未満では相対的に溶剤や着色剤が多くなるため揮発しにくく、紙に書いた時、インキが乾きにくくなってしまい、95重量%を越えると揮発しやすくなって、ペン先が乾燥し、筆記不良となるので好ましくない。以上の他、本発明の水性インキ組成物には必要に応じて、潤滑剤、エマルジョン、防腐剤、防錆剤、PH調整剤、乾燥防止剤、増粘剤等を含有させることができる。
【0024】
エマルジョンを添加することにより滲みのない筆跡を得ることができ、更には快適な筆感を与えることができる。エマルジョンの配合量は、全組成物の含有量として、1〜15重量%が好ましい。具体的なエマルジョンとしては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ベンゾグァナミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
更にはα,β−エチレン性不飽和酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等)、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等)とビニル芳香族化合物(例えばスチレン、ビニルトルエン)とを共重合して得られるものなどがある。
【0025】
防腐剤としてフェノール、イソプロピルメチルフェノール、ペンタクロロフェノールナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイドナトリウム塩、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン−、5−クロール−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−4−チアゾリルベンズイミダゾール、パラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
【0026】
防錆剤としては、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、リン酸オクチル、チオリン酸ジオクチルなどの脂肪酸リン誘導体、イミダゾール、ベンゾイミダゾール及びその誘導体、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、オクチルオキシメタンホスホン酸、ジシクロヘキシルアンモニウム・ナイトライト、ジイソプロピルアンモニウム・ナイトライト、プロパルギルアルコール、ジアルキルチオ尿素などを挙げられる。
【0027】
PH調整剤としては、無機アルカリ例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カレウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等があり、有機アミンとしては例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、2−ブタンアミン、N−(1−メチルプロピル)−1−プロパンアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、3−ペンチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−イソブチルジエタノールアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−プロピルオキシプロピルアミン、3−イソプロピルオキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン等が挙げられる。
【0028】
乾燥防止剤としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素あるいはそれらの誘導体が挙げられる。
【0029】
増粘剤としてはアラビアガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、グアーガム及びその誘導体、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、ゼラチン、ガゼイン、ガゼインナトリウム、キサンタンガム、ラムザンガム、ウェランガム、ジェランガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ラノリン誘導体、キトサン誘導体、ラクトアルブミン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングルコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン及びその誘導体、ポリアクリル酸樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の形態を説明する。
本発明の水性ボールペン用インキ組成物は、特に水溶性シリコーンオイルと脂肪酸塩、及び着色剤と水を必須成分とし、その他公知の溶剤、PH調整剤、水溶性高分子等の各成分を適宜の割合で計量してから、混合撹拌機を利用して、均一になるまで撹拌・混合した後、好ましくは粗大粒子を除去することにより得ることができる。
【0031】
本発明の水性ボールペン用インキ組成物は中綿方式のボールペン、直液方式のボールペンのいずれにも使用できる。かかるボールペンに使用した場合は、比較的細い筆跡を得ることができ、繊維製ペン先樹脂製ペン先を有する筆記具とは異なり長期間使用してもペン先の摩耗などによる筆跡幅の変化が少ない。このようなボールペンに使用される水性インキ組成物の粘度としては、通常1〜数cpsのものと、50〜2000cpsのものとが知られている。中綿方式のボールペンは、前記本発明のインキを吸蔵させた中綿を収容した軸筒、その中綿に接続される繊維束などからなる中継芯、ボールとチップホルダーからなるペン先などから構成される。
【0032】
また直液方式のボールペンには2種類あり、前記本発明のインキを直接貯溜するインキタンク内の空気が温度上昇などによって膨張した場合、インキタンクから押し出されるインキをペン先や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保溜するインキ保溜体、ボール、チップホルダーからなるペン先などから構成されるものと、前記本発明のインキを直接貯溜するチューブ、ボール、チップホルダーからなるペン先などから構成されるものがある。
インキ粘度が1〜数cpsのものは中綿方式、インキを直接貯溜するインキタンクを有する直液方式のボールペンに使用される。
【0033】
50〜2000cpsのものは主にインキ貯蔵体としてインキを直接貯溜するチューブを用いた構造のものに使用される。また水性ボールペンに使用されるチップホルダーはステンレス、真鍮及び洋白から選ばれた少なくとも一種の材質及び超硬合金、ジルコニア、炭化珪素などのボールを有するペン先を装着させている。本発明の水性ホールペン用顔料インキ組成物は、潤滑性、インキ吐出性に優れ、筆記性能を向上させる。その詳細な作用機構は明らかではないが、本発明に使用の脂肪酸塩と水溶性シリコーンオイルがボールとボール受座の表面に吸着潤滑皮膜が形成されることによりインキの潤滑性が向上し、チップのボールホルダーの摩耗が減少することにより、優れた筆感と滑らかな書味を得られるとともに、インキの吐出性も向上し、かつ滲みがない描線を与えるなどの優れた特性を有している。
【0034】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお各実施例、比較例で得られたインキの評価に用いた筆記試験におけるボール沈み測定法と筆感、筆跡の滲み状態の判定は次の通りである。
・ボール沈み:螺旋筆記試験機にて筆記角度60度、筆記速度4.0m/min、荷重100gの条件で500m筆記後のボールの座の摩耗した深さ、すなわちホルダーより突出したボールの突出長さの減少した長さを測定した。
・筆感判定:
○ 滑らかで安定した書味
△ ゴツゴツした硬い書味
× ゴツゴツした硬い書味でかつ線切れ、方向性がある。
・筆跡の滲み判定
○ 滲みがなく鮮明な筆跡
△ 滲みがあり不鮮明な筆跡
× 滲みが著しく非常に不鮮明な筆跡
【0035】
また下記の実施例1,3,4、比較例1,2,4,5は、インキを中綿に吸蔵させる中綿方式の水性ボールペンで筆記試験を行い、実施例2,5、比較例3,6は直接貯溜するインキタンクを持つ直液式の水性ボールペンが用いられた。実施例6,7、比較例7,8では、インキを直接貯溜するポリプロピレン製チューブに充填した水性ボールペンが用いられた。ボールペンのボール径は0.5mmである。
さらに実施例1〜5、実施例7、比較例1〜6、比較例8で用いたチップはステンレスチップであり、ボールは超硬である。一方実施例6、比較例7で用いたチップは洋白チップであり、ボールは超硬ボールである。
【0036】
実施例1
下記の配合で黒色水性ボールペン顔料インキを調整した。各成分を撹拌機にて3時間撹拌・混合した後サンドミルにて5時間分散し、更に、粗大粒子を遠心分離機により除去することにより得た。
Figure 0003683063
【0037】
実施例2
下記の配合で青色水性ボールペン顔料インキを実施例1と同様の方法で調整した。
Figure 0003683063
【0038】
実施例3
下記の配合で黒色水性ボールペン顔料インキを実施例1と同様の方法で調整した。
Figure 0003683063
【0039】
実施例4
下記の配合で黒色水性ボールペン顔料インキを実施例1と同様の方法で調整した。
Figure 0003683063
【0040】
実施例5
下記の配合で黒色水性ボールペン染料インキを調整した。
各成分を40〜60℃で1時間撹拌した後に冷却し、更に濾過して得た。
Figure 0003683063
【0041】
実施例6
下記の配合で赤色水性ボールペン染料インキを調整した。
各成分を室温で赤色水性ボールペン染料インキを調整した。
Figure 0003683063
【0042】
実施例7
下記の配合で黒色水性ボールペン顔料インキを調整した。下記成分のうちポリアクリル酸Naを除く各成分を撹拌機にて3時間撹拌・混合した後、サンドミルにて5時間分散し、更に粗大粒子を遠心分離機により除去し、その後室温で撹拌しながらポリアクリル酸をゆっくりと加えた後に更に3〜4時間撹拌してから瀘過して得た。
Figure 0003683063
【0043】
比較例1
水溶性シリコーンオイルを使用せず、精製水を68.0重量%にした以外は、実施例1と同様にして調整し、黒色水性顔料インキを得た。
【0044】
比較例2
水溶性シリコーンオイルを使用せず、その代わりにオレイン酸カリウムの添加量を1重量%、精製水を67.3重量%にした以外は、実施例1と同様にして調整し、黒色水性顔料インキを得た。
【0045】
比較例3
オレイン酸カリウムを使用せず、精製水を67.8重量%にした以外は、実施例1と同様にして調整し、黒色水性顔料インキを得た。
【0046】
比較例4
水溶性シリコーンオイルを使用せず、精製水を64.2重量%にした以外は、実施例2と同様にして調整し、青色水性顔料インキを得た。
【0047】
比較例5
水溶性シリコーンオイルを使用せず、その代わりにオレイン酸カリウムの添加量を1重量%、精製水を64.3重量%にした以外は、実施例3と同様にして調整し、黒色水性顔料インキを得た。
【0048】
比較例6
水溶性シリコーンオイルを使用せず、その代わりにリシノール酸ナトリウムの添加量を1重量%、精製水を77.6重量%にした以外は、実施例4と同様にして調整し、黒色水性顔料インキを得た。
【0049】
比較例7
水溶性シリコーンオイルを使用せず、精製水を78.6重量%にした以外は、実施例5と同様にして調整し、黒色水性染料インキを得た。
【0050】
比較例8
水溶性シリコーンオイルを使用せず、精製水を79.0重量%にした以外は、実施例6と同様にして調整し、赤色水性染料インキを得た。
【0051】
比較例9
水溶性シリコーンオイルを使用せず、精製水を77.8重量%にした以外は、実施例7と同様にして調整し、黒色水性顔料インキを得た。
【0052】
以上、実施例1〜7、比較例1〜6で得られたインキを用いたボールペンによって、筆記試験でボール沈み、筆感、筆跡の滲み状態を調べた結果を表1に示す。表1から明らかな如く、本発明の水性顔料インキは、ボール沈みが少なく、筆感も滑らかであり、更に筆跡が滲みくい。
【表1】
Figure 0003683063
【0053】
【発明の効果】
本発明の水性ボールペン用顔料インキ組成物は、ボールペンに使用した場合、潤滑性が良好で、チップノボールホルダーの摩耗を防止し、滑らかな筆感が得られるとともに、滲みの少ない描線を与え、かつインキの吐出性がよい等、優れた特性を有している。

Claims (4)

  1. 着色剤含有の水性インキ組成物に,水溶性シリコーンオイルと脂肪酸塩を併用して含有させてなる水性ボールペン用インキ組成物。
  2. 組成物総量に対して、水溶性シリコーンオイルを全組成量の0.01〜10 重量%、脂肪酸塩を0.02〜5 重量%含有させてなる請求項1記載の水性ボールペン用インキ組成物。
  3. 組成物総量に対して、水溶性シリコーンオイルを全組成量の0.01〜10 重量%、脂肪酸塩を0.02〜5 重量%、着色剤を0.05〜30 重量%含有させてなる請求項1記載の水性ボールペン用インキ組成物。
  4. 組成物総量に対して、(水溶性)シリコーンオイルを全組成量の0.01〜10 重量%、脂肪酸塩を0.02〜5 重量%、着色剤を0.05〜30 重量%、水を40〜95 重量%含有させてなる請求項1記載の水性ボールペン用インキ組成物。
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