JP3683029B2 - アンカー工法用受圧板 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に係止したアンカー部材を用いて法面に圧接して地すべりや法面崩壊を防止するアンカー工法用受圧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、法面保護については、2通りの手段が用いられている。第1の手段は、法面に縦横に鉄筋コンクリート製のフレームを配設し、法面に対しそのフレームに支持されるコンクリート壁を形成するものである。前記フレームは、地中に係止したアンカー部材によって地山に固定されるもので、法面上に配筋してコンクリートを打設するものである。その地山の法面への圧接は、コンクリートの固化後にアンカー部材を緊張することによって行われる。また、第2の手段は、例えば、図8に示すように受圧板1は、地中に掘削して形成したアンカーホールH内に挿入したアンカー3aをグラウト材Gを用いて係止固定し、法面Fに接地面部1aを接当させた受圧板1の受け座4にアンカーヘッド3bを係止させて固定される。この受圧板1は、例えば図9に示すような、十字形状のプレキャストコンクリート製のブロックである。この受圧板1は、順次法面F上に固定して、全体として格子様形状に配列される。前記受圧板1は嵩張り、重量は3〜4トンにも達するものであるが、これを法面F上に運搬して、前記アンカー部材3によって地山Bに固定され、前記アンカー部材3を緊張することによって接地面部1aが法面Fに圧接される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の法面保護手段においては、前記第1の手段において、傾斜した法面上でのコンクリート打設作業は危険を伴うと同時に、コテ仕上げを必要とし、施工条件、作業安全性共に問題を有するものである。さらに、アンカー部材の緊張は、打設後のコンクリートが固化するのを待たねばならず、施工に多大の日時を要するという問題も有している。また、前記第2の手段においては、受圧板1が重量物であるために、その輸送に多大の手間と輸送費を要するうえに、輸送並びに地山Bへの固定に危険を伴うものであり、さらに、現場施工の前に予め形成された大型の受圧板1を用いるために、前記受圧板1の接地面部1aは平面状に形成されており、前記アンカー部材3を緊張して前記受圧板1の接地面部1aを法面Fに圧接しても、法面Fとの接地性が悪く、法面Fとの間に隙間を生じ、地山Bに均等な荷重を加えることが出来ず、さらに、アンカー3aを貫通して、アンカーヘッド3bを係止させるべき受け座4が予め前記接地面部1aにほぼ平行に形成されているために、アンカー部材3の緊張方向が、法面Fに対して垂直に近く保たれない場合には、前記アンカーヘッド3bの前記受け座4への片当たりを招き、受圧板1に回転モーメントをもたらして、接地面部1aが法面Fに対して偏った荷重をもたらす結果を招くことがあり、アンカー部材3の係止にも制約がある等、充分な法面保護には問題を残している。
そこで、本発明のアンカー工法用受圧板は、上記の問題点を解決し、施工場所への運搬に際しては軽量で、且つ、嵩張らず、また、施工に際して、アンカー部材の緊張によって容易に均等な荷重を地山に加えることが可能な、接地性に優れた法面保護手段を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
〔第1特徴構成〕
上記の目的のための本発明のアンカー工法用受圧板の第1特徴構成は、接地底板と、前記アンカー部材と係合可能な受け座を備えた係止部とを設けて、接地側が開放し、且つ、法面との間に固化性充填材を充填可能な充填用空間を内部に形成してある枠状本体を備えた(請求項1に対応)点にある。
〔第1特徴構成の作用効果〕
上記第1特徴構成によれば、前記枠状本体は枠体のみで、充填材を後から充填するようにしてあるので、施工場所への搬入に際しては前記枠状本体のみの重量のものを輸送すればよく、また、前記接地底板を備え、且つ、前記受け座を備えているので、前記枠状本体設置時に前記アンカー部材を仮緊張しても、前記枠状本体が大きく地山に嵌入することがなく、前記充填用空間に前記固化性充填材を充填するに先立って確実に前記枠状本体を法面に接地させることが可能であり、従って、前記充填用空間内に充填する前記固化性充填材を確実に法面に接地させて、その固化後の前記枠状本体と一体に形成する地山への接地面を、法面に沿う表面形状に形成することが可能となる。従って、前記固化性充填材が固化した後に、前記アンカー部材を緊張すれば、アンカー工法用受圧板と法面との間に隙間が生ずることがなく、充分に法面に均等な荷重を加えることが出来る。また、アンカーの仮緊張は、施工中の法面の安定化、ひいては安全性の維持に役立つものである。
その結果、施工場所への運搬に際しては軽量で、また、施工に際して、アンカー部材の緊張によって容易に均等な荷重を地山に加えることが可能で、施工性が改善され、且つ、接地性に優れた法面保護手段とすることが出来る。
〔第2特徴構成及び作用効果〕
尚、本発明のアンカー工法用受圧板の第2特徴構成として、前記第1特徴構成における枠状本体に、前記充填用空間内で前記接地側を区画する区画壁部を設け(請求項2に対応)てあれば、傾斜地における流動性を有する充填材を充填する場合に、充填空間を傾斜面に沿う拡がりを小さくして、充填材注入時に、前記枠状本体の上面にまで充分に充填することが可能になる。従って、表面仕上げの手間が省け、設置に際しての施工が容易になる。さらに、前記区画壁と固化後の前記充填材との摩擦抵抗により、前記枠上本体の充填空間内への前記充填材の係止力を増大することが可能になり、前記枠上本体の法面への圧接による地山への荷重を確実に均等に加えることを可能とする。
その結果、施工性は大幅に改善され、且つ、接地性に優れた法面保護手段とすることが出来る。
〔第3特徴構成及び作用効果〕
また、本発明のアンカー工法用受圧板の第3特徴構成として、前記第1特徴構成又は第2特徴構成における枠状本体に、固化後の固化性充填材が前記枠状本体から抜け出すのを阻止する抜け出し阻止手段を設け(請求項3に対応)てあればなおよく、このようにすれば、前記第3特徴構成に比してさらに接地性並びに対地荷重を確実にすることが出来る。
〔第4特徴構成及び作用効果〕
そして、本発明のアンカー工法用受圧板の第4特徴構成として、前記第3特徴構成における枠状本体の外周壁部及び前記区画壁部が、前記枠状本体の接地側に向けて壁厚さが減少するように形成して、抜け出し阻止手段を構成(請求項4に対応)してあれば一層よく、このようにすれば、単純な構造で容易に充填材の抜け出しを阻止出来るうえに、充填空間内に充填した充填材に対して、アンカー部材の緊張力を前記充填材に伝達して、前記充填材を介しての対地荷重を均等化することが容易となる。
〔第5特徴構成及び作用効果〕
さらに、本発明のアンカー工法用受圧板の第5特徴構成として、前記第1特徴構成〜第4特徴構成の何れかにおける受け座を球面受け座に形成(請求項5に対応)してあれば、アンカー部材の地山に対する係止角度に自由度を持たせることが出来る。つまり、従来とは異なり、アンカー部材に対して球面受け座を介して係止するので、係止角度が変化しても、アンカー部材の緊張に伴って受圧板に回転モーメントが加わることがない。従って、受圧板の接地部において地山の法面に偏った荷重を加えることなく、地すべり、法面崩壊防止に一層有効な法面固定手段とすることが出来る。
【0005】
【発明の実施の形態】
上記本発明のアンカー工法用受圧板の実施の形態の一例について、以下に、図面を参照しながら説明する。
図1はアンカー工法用受圧板の接地状態の縦断面図を、図2にはアンカー工法用受圧板の斜視図を、夫々示した。
【0006】
アンカー工法用受圧板(以下、単に受圧板という。)1は、地中に掘削して形成したアンカー孔H内にグラウト材Gを注入して係止したアンカー部材3(通常テンドンと称する。)を用いて法面Fに圧接して前記法面Fの地すべりや法面崩壊を防止するように構成してある。
前記受圧板1は、接地底板2aと、前記アンカー部材3のアンカーヘッド3bが係合可能な受け座4を備えた係止部2bとを設け、前記受圧板1の接地面部1a側が開放し、且つ、前記法面Fとの間に流動性を有する固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある枠状本体2を備えて形成してある。
【0007】
前記枠状本体2には、前記充填用空間S内で前記接地面部1a側を区画する区画壁部2dを設けてあり、前記充填用空間Sは、前記枠状本体2の外周壁部2c、前記区画壁部2dとで区画空間S1を形成してあり、前記外周壁部2c、前記区画壁部2d夫々に接地部2eが前記接地面部1a側に形成してある。
上記の構成によって、前記枠状本体2を、前記アンカー部材3の仮緊張によって地山Bに圧接した際に、前記各壁部2c,2dの各接地部2eが幾分地山Bに嵌入するが、前記接地底板2aが前記法面Fに圧接されるので、前記各接地部2eが大きく地山Bに嵌入することは防止される。従って、前記各接地部2eが適度に地山Bに嵌入する結果、前記充填用空間Sの前記接地面部1a側で、例えば、前記固化性充填材としてのスラリー状のコンクリート5の漏出する隙間が生ずるおそれがない。さらに、前記接地面部1aが封止された状態で前記コンクリート5を前記各区画空間S1に充填することにより、前記コンクリート5が前記各区画空間S1内で固化して、前記枠状体2と一体化した固形のコンクリート5Aの前記接地面部1a側に形成された接地面は、忠実に前記法面Fに沿う表面形状となる。こうして、前記アンカー部材3を緊張すれば、前記コンクリート5Aと一体化して前記枠状体2が形成した受圧板1は、その接地面部1aから均等に地山Bに荷重を加えることが出来るようにしてある。
【0008】
前記接地底板2aは、前記枠状体2の中央に位置する区画空間S1の底部に設けられており、且つ、同じ区画空間S1に、その中央部を上方に膨出させて、上面を球面に形成するとともに、その中央部に貫通孔を設けた、球面受け座4を配置してある。
【0009】
さらに、前記外周壁部2c及び前記区画壁部2dが、前記接地面部1a側に向けて壁厚さが減少するように形成して、該壁部2c,2d間の面間隔を、前記接地面部1a側が広くなるようにし、前記コンクリート5Aが前記枠状本体2から抜け出すのを阻止する抜け出し阻止手段6を構成してあり、例えば、土圧が高まって、前記法面Fから前記コンクリート5Aに対して、前記枠状本体2から上方に押し出すような力が作用した場合にも、前記コンクリート5Aの圧縮強度の高いことにより、上方に向けて断面積の縮小する前記充填用空間S内で、前記法面Fからの作用力によって前記コンクリート5Aが前記区画空間S1から上方に押し上げられた力に対抗して、前記外周壁部2c及び前記区画壁部2d夫々の内壁面2fからの反力が作用し、前記コンクリート5Aが上方に抜け出ることを阻止出来るようにしてある。
【0010】
また、前記受け座4を球面受け座に形成してあり、前記アンカー部材3の地山Bに対する係止角度に自由度を持たせるようにした結果、アンカー孔Hを掘削して、アンカー3aをそのアンカー孔Hに挿入し、グラウト材Gを注入して係止した状態でのテンションテストの結果によって、アンカー孔Hを再掘削する場合には、前記係止角度は当然に異なるものになるが、このような係止角度が変化した場合にも、アンカー部材3のアンカーヘッド3bを、球面受け座を介して前記枠状本体2に係止するので、アンカー3aの緊張に伴って受圧板1に回転モーメントが加わることがない。こうして、地すべりや法面崩壊防止施工を容易にするようにしてある。
【0011】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
〈1〉上記実施の形態においては、抜け止め阻止手段6として、テーパ状の壁部2c,2dを設けるようにしたが、充填用空間S内で固化した固化性充填材5が抜け出さないような構成であればよく、例えば、固化性充填材5を充填可能な開口を設けた、壁部と一体化された蓋部であってもよい。また、前記蓋部には開口を設けず、他に前記充填用空間に連通する充填材充填用開口部を備えたものであってもよい。さらに、図3に示すように、前記外周壁部2c及び前記区画壁部2dの内壁面2fに、前記区画空間S1(換言すれば前記充填用空間S)内に突出する抜け止め突起6Aを設けたものであってもよい。このようにすれば、前記抜け止め突起6Aが固化後の固化性充填材5の内部に前記内壁面2fから嵌入した状態となるので、その抵抗によって、前記固化後の固化性充填材5の前記内壁面2fに沿う移動を阻止することが出来、抜け止め阻止手段6として有効に作用する。
〈2〉上記実施の形態においては、充填用空間内に区画壁部を設けた例を示したが、この区画壁部は必要なものではなく、上記〈1〉に記したような、蓋部を有する枠状本体にあっては、固化性充填材5が溢れ出るおそれがないので、前記区画壁部2dを設けなくても、前記充填用空間S内に確実に固化性充填材5を充填出来る。つまり、前記枠状本体2は、必ずしも格子枠状を呈するものでなくてもよく、法面Fに伏せた箱状のものであってもよいのである。
〈3〉上記実施の形態においては、受け座4を球面受け座に形成した例を示したが、平面状の受け座であってもうよい。また、アンカーの係止方向に自由度を持たせるには、他の手段を採用することも可能で、例えば、1つのアンカー部材に複数のアンカーヘッドを備える場合には、受け座をピヴォットで支持し、複数のアンカーヘッドを係止させることによって、アンカーの係止方向に自由度を持たせることも可能である。
〈4〉上記実施の形態においては、図1に、上方に向かって膨らんだ球面状に形成した球面受け座4を示したが、これは、上方に向かって凹状に形成された球面受け座であってもよく、この場合には、アンカーヘッドの前記球面受け座に対する接当面を前記球面受け座に沿う球面状に形成してあればなおよい。
〈5〉上記実施の形態においては、図1に示したように、前記接地底板2aを、前記枠状体2の中央に位置する区画空間S1の底部に設けた例を示したが、前記接地底板2aは、前記枠状体2の端部に設けられてあってもよい。この場合、前記中央に位置する区画空間S1は、固化性充填材5の充填用空間S或いは区画空間S1として機能させてもよい。
〈6〉上記実施の形態においては、枠状体を一体に形成した例を示したが、これを分割形成することも可能であり、図4に示すように、前記枠状本体2が、第2枠状部材8と上方から係合するための係合部7eを備えるとともに、接地底板7aと、前記アンカー部材3と係合可能な受け座4を備えた係止部7bとを設けて、接地側が開放し、且つ、前記傾斜地面との間に固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある第1枠状部材7と、前記係合部7eと下方から係合するための被係合部8eを備えて、接地側が開放し、且つ、前記傾斜地面との間に固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある前記第2枠状部材8とに分割形成されてあってもよい。
つまり、同図(ロ)に示すように、一方で、平断面十字型の前記第1枠状部材7の一方の張出部両側の下方を欠いて、前記係合部7eとし、他方で、長方形状の前記第2枠状部材8の中央部の上方を欠いて、前記被係合部8eとしてあるものでもよい。こうして、前記第1枠状部材7を前記接地底板7aを法面Fに接地させるに際して、前記第2枠状部材8を、その被係合部8eを前記係合部7eに係合させて、前記係合部7e上方の区画空間S1を前記被係合部8e下方の区画空間S1と合体させて、前記第2枠状部材8の前記開放された接地部2eに連通させることにより、同図(イ)に示すような、地山の法面に対する受圧面積を大きくした受圧板1を形成することが出来る。
これを詳しく説明すると、一方の、平断面十字状の、中央部下方を欠いて前記係合部7eを形成した前記第1枠状部材7には、上記実施の形態に示した枠状本体2と同様に、その外周壁部7cの内側の充填空間Sを区画して区画空間S1を形成する区画壁部7dを設けてあるとともに、その中央部に位置する区画空間に相当する部位の接地部2eに接地底板7aを設けるとともに係止部7bを設け、その係止部7bに球面受け座4を設けてあり、他方の、直方体状の、中央部上方を欠いて前記被係合部8eを形成した第2枠状部材8にも、上記実施の形態に示した枠状本体2と同様に、その外周壁部8cの内側の充填空間Sを区画して区画空間S1を形成する区画壁部8dを設けてある。そして、前記係合部7eを形成した外周壁部7c及び区画壁部7dの内部に形成される充填空間Sを区画した各区画空間S1と、前記被係合部8eを形成した外周壁部8c及び区画壁部8dの内部に形成される充填空間Sを区画した各区画空間S1とは連通して、夫々一体化した区画空間S1を形成するようにしてある。
その結果、先述の図1に示した枠状本体2と同様の受圧板1よりもさらに大きな受圧面積を有する受圧板を構成可能でありながら、固化性充填材5の充填は容易であると同時に、前記枠状本体2よりも大きくはならず、軽量で、搬送に適した部材に分割して輸送することが可能になる。従って、受圧板を構成する枠状本体と同様の特性を備えながら、さらに広範囲にに亘って接地面部を形成可能な、輸送並びに施工に適した、複数の枠状部材を組み合わせた枠状本体からなる受圧板を形成することが出来る。
〈7〉上記〈6〉において、枠状体を分割形成し、受圧面積を拡大するものを示したが、上記の実施の形態における枠状本体2の形状を備えながら、これを2分割して、図5(ロ)に示すように、前記枠状本体2が、第3枠状部材9と上方から係合するための係合部7eを備えるとともに、前記アンカー部材3と係合可能な受け座4を備えた係止部7bとを設けて、接地側が開放し、且つ、前記傾斜地面との間に固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある第1枠状部材7と、前記係合部7eと下方から係合するための被係合部9eを備えるとともに、接地底板9aを設けて、接地側が開放し、且つ、前記傾斜地面との間に固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある第3枠状部材9とに分割形成してあってもよい。
詳しくは、一方、直方体状の、中央部下方を欠いて前記係合部7eを形成した前記第1枠状部材7には、上記実施の形態に示した枠状本体2と同様に、その外周壁部7cの内側の充填空間Sを区画して区画空間S1を形成する区画壁部7dを設けてあるとともに、その中央部に位置する区画空間に相当する部位の係止部7bを設け、その係止部7bに球面受け座4を設けてあり、他方、直方体状の、中央部上方を欠いて前記被係合部9eを形成した第3枠状部材9にも、上記実施の形態に示した枠状本体2と同様に、その外周壁部9cの内側の充填空間Sを区画して区画空間S1を形成する区画壁部9dを設けてあるとともに、その被係合部9eの接地部2aに接地底板9aを設けるとともに、その接地底板9aにアンカー貫通部9bを設けてある。
従って、輸送に際しては、長方形状の両枠状部材7,9を分割した状態で搬送し、施工地で組み立てればよく、所定の箇所に第3枠部状材9を設置し、その上から、第1枠状部材9を、その係合部7eを前記第3枠状部材9の被係合部9eの上から係合させて、図5(イ)に示すように、前記図2に示したと同様の形状の枠状本体1を形成することが出来る。
その結果、先述の図1に示した枠状本体2と同様の受圧板1を構成可能でありながら、さらに軽量で、幅をも狭くして搬送に適した枠状部材7,9に分割して輸送することが可能になる。従って、受圧板1を構成する枠状本体2と同一の特性をそのまま備えながら、輸送並びに施工に適した、複数の枠状部材7,9を組み合わせた枠状本体2からなる受圧板1を形成することが出来る。
〈8〉尚、上記〈7〉の例の第1枠状部材7の係合部7eを、その全長に亘って形成して、図6に示すように、前記第3枠状部材9の両側に前記第2枠状部材8を連設するようにすれば、前記図4(イ)に示したと同様の受圧板1を形成することが出来る。
〈9〉また、前記〈6〉に示した例において、図7に示すように、第1枠状部材7の係合部7eに傾斜を持たせて、前記張出部の厚さを先端側に薄くなるように形成して、等応力片持ち梁の形状にし、第2枠状部材8の被係合部8eを前記係合部7eに合わせて形成すれば、分割形成した枠状本体2の係合部分の厚さを減少することが可能である。
〈10〉上記実施の形態においては、固化性充填材5にコンクリートを用いて、固化したコンクリート5Aを充填用空間S内に一体化形成する例を示したが、前記固化性充填材5はコンクリートに限らず、他の固化性を有する充填材、例えば合成樹脂等の、充填前においては流動性を示し、充填後に充分な強度を備えて固化する物質を用いることも可能である。
〈11〉前記〈6〉、〈7〉に記した実施の形態において、前記係合部7eと、前記被係合部8e又は前記被係合部9eとの間に連通する充填用空間Sを形成するようにした例を示したが、これらの空間S1は必ずしも連通していなければならないものではなく、夫々に独立した空間を形成するものであってもよい。つまり、前記第2枠状部材8又は前記第3枠状部材9が前記接地面部1aを形成するので、前記係合部においては、前記接地面部1a側に固化性充填材5が充填され、充填された固化性充填材5が接地する空間を設けてあればよいのである。尚、前記第1枠状部材7と、前記第2枠状部材8或いは前記第3枠状部材9との間に連通する充填用空間S(又は区画空間S1)を備えておれば、その内部に充填されて固化した固化性充填材5によって、前記第1枠状部材7と、前記第2枠状部材8或いは前記第3枠状部材9とが一体化されるので好ましい。
【0012】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の設置例を示す縦断面図
【図2】図1に示した受圧板の斜視図
【図3】本発明の他の実施形態を示す要部断面図
【図4】本発明の他の実施形態を示す構成説明図
【図5】本発明の他の実施形態を示す構成説明図
【図6】本発明の他の実施形態を示す構成説明図
【図7】本発明の他の実施形態を示す構成説明図
【図8】従来の受圧板の一例の設置状態を示す縦断面図
【図9】従来の受圧板の一例の平面図
【符号の説明】
2 枠状本体
2a 接地底板
2b 係止部
2c 外周壁部
2d 区画壁部
3 アンカー部材
4 受け座
5 固化性充填材
6 抜け出し阻止手段
S 充填用空間
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に係止したアンカー部材を用いて法面に圧接して地すべりや法面崩壊を防止するアンカー工法用受圧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、法面保護については、2通りの手段が用いられている。第1の手段は、法面に縦横に鉄筋コンクリート製のフレームを配設し、法面に対しそのフレームに支持されるコンクリート壁を形成するものである。前記フレームは、地中に係止したアンカー部材によって地山に固定されるもので、法面上に配筋してコンクリートを打設するものである。その地山の法面への圧接は、コンクリートの固化後にアンカー部材を緊張することによって行われる。また、第2の手段は、例えば、図8に示すように受圧板1は、地中に掘削して形成したアンカーホールH内に挿入したアンカー3aをグラウト材Gを用いて係止固定し、法面Fに接地面部1aを接当させた受圧板1の受け座4にアンカーヘッド3bを係止させて固定される。この受圧板1は、例えば図9に示すような、十字形状のプレキャストコンクリート製のブロックである。この受圧板1は、順次法面F上に固定して、全体として格子様形状に配列される。前記受圧板1は嵩張り、重量は3〜4トンにも達するものであるが、これを法面F上に運搬して、前記アンカー部材3によって地山Bに固定され、前記アンカー部材3を緊張することによって接地面部1aが法面Fに圧接される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の法面保護手段においては、前記第1の手段において、傾斜した法面上でのコンクリート打設作業は危険を伴うと同時に、コテ仕上げを必要とし、施工条件、作業安全性共に問題を有するものである。さらに、アンカー部材の緊張は、打設後のコンクリートが固化するのを待たねばならず、施工に多大の日時を要するという問題も有している。また、前記第2の手段においては、受圧板1が重量物であるために、その輸送に多大の手間と輸送費を要するうえに、輸送並びに地山Bへの固定に危険を伴うものであり、さらに、現場施工の前に予め形成された大型の受圧板1を用いるために、前記受圧板1の接地面部1aは平面状に形成されており、前記アンカー部材3を緊張して前記受圧板1の接地面部1aを法面Fに圧接しても、法面Fとの接地性が悪く、法面Fとの間に隙間を生じ、地山Bに均等な荷重を加えることが出来ず、さらに、アンカー3aを貫通して、アンカーヘッド3bを係止させるべき受け座4が予め前記接地面部1aにほぼ平行に形成されているために、アンカー部材3の緊張方向が、法面Fに対して垂直に近く保たれない場合には、前記アンカーヘッド3bの前記受け座4への片当たりを招き、受圧板1に回転モーメントをもたらして、接地面部1aが法面Fに対して偏った荷重をもたらす結果を招くことがあり、アンカー部材3の係止にも制約がある等、充分な法面保護には問題を残している。
そこで、本発明のアンカー工法用受圧板は、上記の問題点を解決し、施工場所への運搬に際しては軽量で、且つ、嵩張らず、また、施工に際して、アンカー部材の緊張によって容易に均等な荷重を地山に加えることが可能な、接地性に優れた法面保護手段を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
〔第1特徴構成〕
上記の目的のための本発明のアンカー工法用受圧板の第1特徴構成は、接地底板と、前記アンカー部材と係合可能な受け座を備えた係止部とを設けて、接地側が開放し、且つ、法面との間に固化性充填材を充填可能な充填用空間を内部に形成してある枠状本体を備えた(請求項1に対応)点にある。
〔第1特徴構成の作用効果〕
上記第1特徴構成によれば、前記枠状本体は枠体のみで、充填材を後から充填するようにしてあるので、施工場所への搬入に際しては前記枠状本体のみの重量のものを輸送すればよく、また、前記接地底板を備え、且つ、前記受け座を備えているので、前記枠状本体設置時に前記アンカー部材を仮緊張しても、前記枠状本体が大きく地山に嵌入することがなく、前記充填用空間に前記固化性充填材を充填するに先立って確実に前記枠状本体を法面に接地させることが可能であり、従って、前記充填用空間内に充填する前記固化性充填材を確実に法面に接地させて、その固化後の前記枠状本体と一体に形成する地山への接地面を、法面に沿う表面形状に形成することが可能となる。従って、前記固化性充填材が固化した後に、前記アンカー部材を緊張すれば、アンカー工法用受圧板と法面との間に隙間が生ずることがなく、充分に法面に均等な荷重を加えることが出来る。また、アンカーの仮緊張は、施工中の法面の安定化、ひいては安全性の維持に役立つものである。
その結果、施工場所への運搬に際しては軽量で、また、施工に際して、アンカー部材の緊張によって容易に均等な荷重を地山に加えることが可能で、施工性が改善され、且つ、接地性に優れた法面保護手段とすることが出来る。
〔第2特徴構成及び作用効果〕
尚、本発明のアンカー工法用受圧板の第2特徴構成として、前記第1特徴構成における枠状本体に、前記充填用空間内で前記接地側を区画する区画壁部を設け(請求項2に対応)てあれば、傾斜地における流動性を有する充填材を充填する場合に、充填空間を傾斜面に沿う拡がりを小さくして、充填材注入時に、前記枠状本体の上面にまで充分に充填することが可能になる。従って、表面仕上げの手間が省け、設置に際しての施工が容易になる。さらに、前記区画壁と固化後の前記充填材との摩擦抵抗により、前記枠上本体の充填空間内への前記充填材の係止力を増大することが可能になり、前記枠上本体の法面への圧接による地山への荷重を確実に均等に加えることを可能とする。
その結果、施工性は大幅に改善され、且つ、接地性に優れた法面保護手段とすることが出来る。
〔第3特徴構成及び作用効果〕
また、本発明のアンカー工法用受圧板の第3特徴構成として、前記第1特徴構成又は第2特徴構成における枠状本体に、固化後の固化性充填材が前記枠状本体から抜け出すのを阻止する抜け出し阻止手段を設け(請求項3に対応)てあればなおよく、このようにすれば、前記第3特徴構成に比してさらに接地性並びに対地荷重を確実にすることが出来る。
〔第4特徴構成及び作用効果〕
そして、本発明のアンカー工法用受圧板の第4特徴構成として、前記第3特徴構成における枠状本体の外周壁部及び前記区画壁部が、前記枠状本体の接地側に向けて壁厚さが減少するように形成して、抜け出し阻止手段を構成(請求項4に対応)してあれば一層よく、このようにすれば、単純な構造で容易に充填材の抜け出しを阻止出来るうえに、充填空間内に充填した充填材に対して、アンカー部材の緊張力を前記充填材に伝達して、前記充填材を介しての対地荷重を均等化することが容易となる。
〔第5特徴構成及び作用効果〕
さらに、本発明のアンカー工法用受圧板の第5特徴構成として、前記第1特徴構成〜第4特徴構成の何れかにおける受け座を球面受け座に形成(請求項5に対応)してあれば、アンカー部材の地山に対する係止角度に自由度を持たせることが出来る。つまり、従来とは異なり、アンカー部材に対して球面受け座を介して係止するので、係止角度が変化しても、アンカー部材の緊張に伴って受圧板に回転モーメントが加わることがない。従って、受圧板の接地部において地山の法面に偏った荷重を加えることなく、地すべり、法面崩壊防止に一層有効な法面固定手段とすることが出来る。
【0005】
【発明の実施の形態】
上記本発明のアンカー工法用受圧板の実施の形態の一例について、以下に、図面を参照しながら説明する。
図1はアンカー工法用受圧板の接地状態の縦断面図を、図2にはアンカー工法用受圧板の斜視図を、夫々示した。
【0006】
アンカー工法用受圧板(以下、単に受圧板という。)1は、地中に掘削して形成したアンカー孔H内にグラウト材Gを注入して係止したアンカー部材3(通常テンドンと称する。)を用いて法面Fに圧接して前記法面Fの地すべりや法面崩壊を防止するように構成してある。
前記受圧板1は、接地底板2aと、前記アンカー部材3のアンカーヘッド3bが係合可能な受け座4を備えた係止部2bとを設け、前記受圧板1の接地面部1a側が開放し、且つ、前記法面Fとの間に流動性を有する固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある枠状本体2を備えて形成してある。
【0007】
前記枠状本体2には、前記充填用空間S内で前記接地面部1a側を区画する区画壁部2dを設けてあり、前記充填用空間Sは、前記枠状本体2の外周壁部2c、前記区画壁部2dとで区画空間S1を形成してあり、前記外周壁部2c、前記区画壁部2d夫々に接地部2eが前記接地面部1a側に形成してある。
上記の構成によって、前記枠状本体2を、前記アンカー部材3の仮緊張によって地山Bに圧接した際に、前記各壁部2c,2dの各接地部2eが幾分地山Bに嵌入するが、前記接地底板2aが前記法面Fに圧接されるので、前記各接地部2eが大きく地山Bに嵌入することは防止される。従って、前記各接地部2eが適度に地山Bに嵌入する結果、前記充填用空間Sの前記接地面部1a側で、例えば、前記固化性充填材としてのスラリー状のコンクリート5の漏出する隙間が生ずるおそれがない。さらに、前記接地面部1aが封止された状態で前記コンクリート5を前記各区画空間S1に充填することにより、前記コンクリート5が前記各区画空間S1内で固化して、前記枠状体2と一体化した固形のコンクリート5Aの前記接地面部1a側に形成された接地面は、忠実に前記法面Fに沿う表面形状となる。こうして、前記アンカー部材3を緊張すれば、前記コンクリート5Aと一体化して前記枠状体2が形成した受圧板1は、その接地面部1aから均等に地山Bに荷重を加えることが出来るようにしてある。
【0008】
前記接地底板2aは、前記枠状体2の中央に位置する区画空間S1の底部に設けられており、且つ、同じ区画空間S1に、その中央部を上方に膨出させて、上面を球面に形成するとともに、その中央部に貫通孔を設けた、球面受け座4を配置してある。
【0009】
さらに、前記外周壁部2c及び前記区画壁部2dが、前記接地面部1a側に向けて壁厚さが減少するように形成して、該壁部2c,2d間の面間隔を、前記接地面部1a側が広くなるようにし、前記コンクリート5Aが前記枠状本体2から抜け出すのを阻止する抜け出し阻止手段6を構成してあり、例えば、土圧が高まって、前記法面Fから前記コンクリート5Aに対して、前記枠状本体2から上方に押し出すような力が作用した場合にも、前記コンクリート5Aの圧縮強度の高いことにより、上方に向けて断面積の縮小する前記充填用空間S内で、前記法面Fからの作用力によって前記コンクリート5Aが前記区画空間S1から上方に押し上げられた力に対抗して、前記外周壁部2c及び前記区画壁部2d夫々の内壁面2fからの反力が作用し、前記コンクリート5Aが上方に抜け出ることを阻止出来るようにしてある。
【0010】
また、前記受け座4を球面受け座に形成してあり、前記アンカー部材3の地山Bに対する係止角度に自由度を持たせるようにした結果、アンカー孔Hを掘削して、アンカー3aをそのアンカー孔Hに挿入し、グラウト材Gを注入して係止した状態でのテンションテストの結果によって、アンカー孔Hを再掘削する場合には、前記係止角度は当然に異なるものになるが、このような係止角度が変化した場合にも、アンカー部材3のアンカーヘッド3bを、球面受け座を介して前記枠状本体2に係止するので、アンカー3aの緊張に伴って受圧板1に回転モーメントが加わることがない。こうして、地すべりや法面崩壊防止施工を容易にするようにしてある。
【0011】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
〈1〉上記実施の形態においては、抜け止め阻止手段6として、テーパ状の壁部2c,2dを設けるようにしたが、充填用空間S内で固化した固化性充填材5が抜け出さないような構成であればよく、例えば、固化性充填材5を充填可能な開口を設けた、壁部と一体化された蓋部であってもよい。また、前記蓋部には開口を設けず、他に前記充填用空間に連通する充填材充填用開口部を備えたものであってもよい。さらに、図3に示すように、前記外周壁部2c及び前記区画壁部2dの内壁面2fに、前記区画空間S1(換言すれば前記充填用空間S)内に突出する抜け止め突起6Aを設けたものであってもよい。このようにすれば、前記抜け止め突起6Aが固化後の固化性充填材5の内部に前記内壁面2fから嵌入した状態となるので、その抵抗によって、前記固化後の固化性充填材5の前記内壁面2fに沿う移動を阻止することが出来、抜け止め阻止手段6として有効に作用する。
〈2〉上記実施の形態においては、充填用空間内に区画壁部を設けた例を示したが、この区画壁部は必要なものではなく、上記〈1〉に記したような、蓋部を有する枠状本体にあっては、固化性充填材5が溢れ出るおそれがないので、前記区画壁部2dを設けなくても、前記充填用空間S内に確実に固化性充填材5を充填出来る。つまり、前記枠状本体2は、必ずしも格子枠状を呈するものでなくてもよく、法面Fに伏せた箱状のものであってもよいのである。
〈3〉上記実施の形態においては、受け座4を球面受け座に形成した例を示したが、平面状の受け座であってもうよい。また、アンカーの係止方向に自由度を持たせるには、他の手段を採用することも可能で、例えば、1つのアンカー部材に複数のアンカーヘッドを備える場合には、受け座をピヴォットで支持し、複数のアンカーヘッドを係止させることによって、アンカーの係止方向に自由度を持たせることも可能である。
〈4〉上記実施の形態においては、図1に、上方に向かって膨らんだ球面状に形成した球面受け座4を示したが、これは、上方に向かって凹状に形成された球面受け座であってもよく、この場合には、アンカーヘッドの前記球面受け座に対する接当面を前記球面受け座に沿う球面状に形成してあればなおよい。
〈5〉上記実施の形態においては、図1に示したように、前記接地底板2aを、前記枠状体2の中央に位置する区画空間S1の底部に設けた例を示したが、前記接地底板2aは、前記枠状体2の端部に設けられてあってもよい。この場合、前記中央に位置する区画空間S1は、固化性充填材5の充填用空間S或いは区画空間S1として機能させてもよい。
〈6〉上記実施の形態においては、枠状体を一体に形成した例を示したが、これを分割形成することも可能であり、図4に示すように、前記枠状本体2が、第2枠状部材8と上方から係合するための係合部7eを備えるとともに、接地底板7aと、前記アンカー部材3と係合可能な受け座4を備えた係止部7bとを設けて、接地側が開放し、且つ、前記傾斜地面との間に固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある第1枠状部材7と、前記係合部7eと下方から係合するための被係合部8eを備えて、接地側が開放し、且つ、前記傾斜地面との間に固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある前記第2枠状部材8とに分割形成されてあってもよい。
つまり、同図(ロ)に示すように、一方で、平断面十字型の前記第1枠状部材7の一方の張出部両側の下方を欠いて、前記係合部7eとし、他方で、長方形状の前記第2枠状部材8の中央部の上方を欠いて、前記被係合部8eとしてあるものでもよい。こうして、前記第1枠状部材7を前記接地底板7aを法面Fに接地させるに際して、前記第2枠状部材8を、その被係合部8eを前記係合部7eに係合させて、前記係合部7e上方の区画空間S1を前記被係合部8e下方の区画空間S1と合体させて、前記第2枠状部材8の前記開放された接地部2eに連通させることにより、同図(イ)に示すような、地山の法面に対する受圧面積を大きくした受圧板1を形成することが出来る。
これを詳しく説明すると、一方の、平断面十字状の、中央部下方を欠いて前記係合部7eを形成した前記第1枠状部材7には、上記実施の形態に示した枠状本体2と同様に、その外周壁部7cの内側の充填空間Sを区画して区画空間S1を形成する区画壁部7dを設けてあるとともに、その中央部に位置する区画空間に相当する部位の接地部2eに接地底板7aを設けるとともに係止部7bを設け、その係止部7bに球面受け座4を設けてあり、他方の、直方体状の、中央部上方を欠いて前記被係合部8eを形成した第2枠状部材8にも、上記実施の形態に示した枠状本体2と同様に、その外周壁部8cの内側の充填空間Sを区画して区画空間S1を形成する区画壁部8dを設けてある。そして、前記係合部7eを形成した外周壁部7c及び区画壁部7dの内部に形成される充填空間Sを区画した各区画空間S1と、前記被係合部8eを形成した外周壁部8c及び区画壁部8dの内部に形成される充填空間Sを区画した各区画空間S1とは連通して、夫々一体化した区画空間S1を形成するようにしてある。
その結果、先述の図1に示した枠状本体2と同様の受圧板1よりもさらに大きな受圧面積を有する受圧板を構成可能でありながら、固化性充填材5の充填は容易であると同時に、前記枠状本体2よりも大きくはならず、軽量で、搬送に適した部材に分割して輸送することが可能になる。従って、受圧板を構成する枠状本体と同様の特性を備えながら、さらに広範囲にに亘って接地面部を形成可能な、輸送並びに施工に適した、複数の枠状部材を組み合わせた枠状本体からなる受圧板を形成することが出来る。
〈7〉上記〈6〉において、枠状体を分割形成し、受圧面積を拡大するものを示したが、上記の実施の形態における枠状本体2の形状を備えながら、これを2分割して、図5(ロ)に示すように、前記枠状本体2が、第3枠状部材9と上方から係合するための係合部7eを備えるとともに、前記アンカー部材3と係合可能な受け座4を備えた係止部7bとを設けて、接地側が開放し、且つ、前記傾斜地面との間に固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある第1枠状部材7と、前記係合部7eと下方から係合するための被係合部9eを備えるとともに、接地底板9aを設けて、接地側が開放し、且つ、前記傾斜地面との間に固化性充填材5を充填可能な充填用空間Sを内部に形成してある第3枠状部材9とに分割形成してあってもよい。
詳しくは、一方、直方体状の、中央部下方を欠いて前記係合部7eを形成した前記第1枠状部材7には、上記実施の形態に示した枠状本体2と同様に、その外周壁部7cの内側の充填空間Sを区画して区画空間S1を形成する区画壁部7dを設けてあるとともに、その中央部に位置する区画空間に相当する部位の係止部7bを設け、その係止部7bに球面受け座4を設けてあり、他方、直方体状の、中央部上方を欠いて前記被係合部9eを形成した第3枠状部材9にも、上記実施の形態に示した枠状本体2と同様に、その外周壁部9cの内側の充填空間Sを区画して区画空間S1を形成する区画壁部9dを設けてあるとともに、その被係合部9eの接地部2aに接地底板9aを設けるとともに、その接地底板9aにアンカー貫通部9bを設けてある。
従って、輸送に際しては、長方形状の両枠状部材7,9を分割した状態で搬送し、施工地で組み立てればよく、所定の箇所に第3枠部状材9を設置し、その上から、第1枠状部材9を、その係合部7eを前記第3枠状部材9の被係合部9eの上から係合させて、図5(イ)に示すように、前記図2に示したと同様の形状の枠状本体1を形成することが出来る。
その結果、先述の図1に示した枠状本体2と同様の受圧板1を構成可能でありながら、さらに軽量で、幅をも狭くして搬送に適した枠状部材7,9に分割して輸送することが可能になる。従って、受圧板1を構成する枠状本体2と同一の特性をそのまま備えながら、輸送並びに施工に適した、複数の枠状部材7,9を組み合わせた枠状本体2からなる受圧板1を形成することが出来る。
〈8〉尚、上記〈7〉の例の第1枠状部材7の係合部7eを、その全長に亘って形成して、図6に示すように、前記第3枠状部材9の両側に前記第2枠状部材8を連設するようにすれば、前記図4(イ)に示したと同様の受圧板1を形成することが出来る。
〈9〉また、前記〈6〉に示した例において、図7に示すように、第1枠状部材7の係合部7eに傾斜を持たせて、前記張出部の厚さを先端側に薄くなるように形成して、等応力片持ち梁の形状にし、第2枠状部材8の被係合部8eを前記係合部7eに合わせて形成すれば、分割形成した枠状本体2の係合部分の厚さを減少することが可能である。
〈10〉上記実施の形態においては、固化性充填材5にコンクリートを用いて、固化したコンクリート5Aを充填用空間S内に一体化形成する例を示したが、前記固化性充填材5はコンクリートに限らず、他の固化性を有する充填材、例えば合成樹脂等の、充填前においては流動性を示し、充填後に充分な強度を備えて固化する物質を用いることも可能である。
〈11〉前記〈6〉、〈7〉に記した実施の形態において、前記係合部7eと、前記被係合部8e又は前記被係合部9eとの間に連通する充填用空間Sを形成するようにした例を示したが、これらの空間S1は必ずしも連通していなければならないものではなく、夫々に独立した空間を形成するものであってもよい。つまり、前記第2枠状部材8又は前記第3枠状部材9が前記接地面部1aを形成するので、前記係合部においては、前記接地面部1a側に固化性充填材5が充填され、充填された固化性充填材5が接地する空間を設けてあればよいのである。尚、前記第1枠状部材7と、前記第2枠状部材8或いは前記第3枠状部材9との間に連通する充填用空間S(又は区画空間S1)を備えておれば、その内部に充填されて固化した固化性充填材5によって、前記第1枠状部材7と、前記第2枠状部材8或いは前記第3枠状部材9とが一体化されるので好ましい。
【0012】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の設置例を示す縦断面図
【図2】図1に示した受圧板の斜視図
【図3】本発明の他の実施形態を示す要部断面図
【図4】本発明の他の実施形態を示す構成説明図
【図5】本発明の他の実施形態を示す構成説明図
【図6】本発明の他の実施形態を示す構成説明図
【図7】本発明の他の実施形態を示す構成説明図
【図8】従来の受圧板の一例の設置状態を示す縦断面図
【図9】従来の受圧板の一例の平面図
【符号の説明】
2 枠状本体
2a 接地底板
2b 係止部
2c 外周壁部
2d 区画壁部
3 アンカー部材
4 受け座
5 固化性充填材
6 抜け出し阻止手段
S 充填用空間
Claims (5)
- 地中に係止したアンカー部材(3)を用いて法面に圧接して地すべりや法面崩壊を防止するアンカー工法用受圧板であって、
接地底板(2a)と、前記アンカー部材(3)と係合可能な受け座(4)を備えた係止部(2b)とを設けて、接地側が開放し、且つ、前記法面との間に固化性充填材(5)を充填可能な充填用空間(S)を内部に形成してある枠状本体(2)を備えたアンカー工法用受圧板。 - 前記枠状本体(2)に、前記充填用空間(S)内で前記接地側を区画する区画壁部(2d)を設けてある請求項1記載のアンカー工法用受圧板。
- 前記枠状本体(2)に、固化後の前記固化性充填材(5)が前記枠状本体(2)から抜け出すのを阻止する抜け出し阻止手段(6)を設けてある請求項1又は2に記載のアンカー工法用受圧板。
- 前記枠状本体(2)の外周壁部(2c)及び前記区画壁部(2d)が、前記枠状本体(2)の接地側に向けて壁厚さが減少するように形成して、前記抜け出し阻止手段(6)を構成してある請求項3記載のアンカー工法用受圧板。
- 前記受け座(4)を球面受け座に形成してある請求項1〜4の何れかに記載のアンカー工法用受圧板。
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