JP3682855B2 - ワーク打抜き方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はワーク打抜き方法に関する。更に詳しくは、円筒形状のワークの周壁部分を打ち抜くワーク打抜き方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒形状のワークは自動車のクラッチドラム、クラッチハブ、スリーブ等に用いられている。これらのワークは円筒形状の周壁部分に塑性加工によって歯を形成するために、周壁部分の軸方向の高さにばらつきが生じることがある。即ち軸方向の端面が必ずしも均等な高さになっていない場合がある。このためこれらの円筒形状のワークについては、塑性加工によって周壁部分に歯を形成した後更に端面の高さを均等にする必要がある必要がある。
【0003】
例えばクラッチドラム50は図2に示すように周壁部分が歯形部51となった形状をしており、この歯形部51は一般に塑性加工で成形されている。そのため歯形部51の軸方向の一方の端面の高さにばらつきが生じる。そこでこの歯形部51の端面を高さを均等にするために歯形部51を所定の高さに打ち抜いて剪断することが必要となる。
【0004】
この場合従来からパンチとダイスを用いて歯形部51を周方向に所定の範囲ずつ打ち抜いて所定の高さに剪断していた。このとき用いられるパンチ60は、一般に、図9に示すように、クラッチドラム50の歯形部51を周方向に長い短冊状に剪断できるように、歯形部51の形状に対応した矩形形状の切り刃61を有し、この切り刃61には周方向刃部62が含まれている。そしてこのパンチ60とこのパンチに対応するダイスとを用いて歯形部51を打ち抜いて剪断し、歯形部51に端面の一部を形成していた。そしてクラッチドラム50をその中心軸を中心に所定の回転角度だけ回転させた後、同様にパンチ60とダイスとを用いて剪断して順次端面の一部を形成していた。このように歯形部51の剪断とクラッチドラム50の回転とを繰り返して、クラッチドラム50の軸方向の全端面を打ち抜いてクラッチドラムの端面を均等な高さにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのようにクラッチドラム50の歯形部51の剪断とクラッチドラム50の回転とを繰り返してクラッチドラム50の歯形部51の端面を所定の高さにする場合において、1回目の剪断をして歯形部51に端面の一部を形成した後、クラッチドラム50を所定の回転角度だけ回転させて、再度剪断すると既に形成した端面の一部にばりが発生するという問題が生じていた。詳しくいうと2回目以降の剪断においては端面の一部に全てばりが発生していた。図10にクラッチドラム50の歯形部51を剪断して端面を形成した図を示すが、Aで示す部分にばりが生じていた。
【0006】
このように端面の一部にばりが発生するのは既に形成された端面の一部と新たに歯形部51を剪断するパンチ60とが擦れるからである。即ち図9において示した矩形形状の切り刃61を有するパンチ60を用いて歯形部51を周方向に長い短冊状に打ち抜き剪断して端面の一部を順次形成していく場合には、図11で示すように、図11のBに示す部分をパンチ60で打ち抜くことになる。この場合には前の剪断工程で剪断されて形成された歯形部51の端面の一部52と次にパンチ60が打ち抜く部分Bとが重なる部分Cでパンチ60が端面の一部52と擦れることになる。そのため端面の一部52においてこの重なる部分Cの肉がパンチ60に引っ張られて、この部分Cにばりを発生させることになる。なお図11では歯形部51の歯形形状の図示は省略した。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、ばりの発生することがないワークの打抜き方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、端面におけるばりの発生をなくすには既に形成された端面の一部と新たに歯形部51を剪断するパンチとが擦れることがないようにすればよいと考えた。
【0009】
そこで本発明者は、鋭意研究の結果、円筒形状のワークの一端側の周壁部分を該周壁部分の内周側と外周側に対向して配置されたパンチとダイスとを用いて周方向に長い短冊状に剪断して該ワークの端面の一部を形成する剪断工程と該ワークの中心軸を中心として該ワークを周方向に所定の回転角度だけ回転させる回転工程とを交互に繰り返して、該ワークの軸方向の全端面を打ち抜くワーク打抜き方法において、前記パンチは剪断により該端面の一部を形成する周方向刃部と該周方向刃部の一端に軸方向に突出して設けられた凸状刃部とを有する切り刃を有し、前記ダイスは前記パンチが有する前記切り刃に対応する切り刃を有し、前記剪断工程は前記端面の一部を形成する際に前記端面の一部の一方端に前記周方向刃部の前記一端に設けられた前記凸状刃部によって軸方向の他端側に凹陥した凹陥部を形成し、第2回目以降の前記剪断工程は前記周方向刃部の他端を前の前記剪断工程で形成された該凹陥部を通過させ、前記回転工程は前記所定の回転角度を前記剪断工程において前記周方向刃部の前記他端が前の前記剪断工程において形成された前記凹陥部を通過する角度とすることを特徴とするワーク打抜き方法を発明した。
【0010】
本発明のワーク打抜き方法は、パンチとダイスを用いてワークの一端側の周壁部分を周方向に長い短冊状に剪断してワークの端面の一部を形成する際に、前の剪断工程によって形成された端面の一部と後の剪断工程におけるパンチとが擦れるという事態を生じさせないようにすることによって上記課題を解決している。
【0011】
詳しく説明すると、本発明のワーク打抜き方法は、パンチとダイスとを円筒形状のワークの周壁部分の内周側と外周側に対向して配置して、このパンチとダイスとを用いてワークの一端側の周壁部分を周方向に長い短冊状に剪断してワークの端面の一部を形成する剪断工程とワークの中心軸を中心としてワークを周方向に所定の回転角度だけ回転させる回転工程とを交互に繰り返して、ワークの軸方向の全端面を打ち抜く方法であるが、本発明において用いられるパンチは剪断により端面の一部を形成する周方向刃部と周方向刃部の一端に軸方向に突出して設けられた凸状刃部とを有する切り刃を有し、ダイスはパンチが有する切り刃に対応する切り刃を有している。
【0012】
このようなパンチとダイスを用いることによって、本発明のワーク打抜き方法における剪断工程はワークの周壁部分を周方向に長い短冊状に剪断してワークの端面の一部を形成する際に、その端面の一部の一方端にパンチの周方向刃部の一端に軸方向に突出して設けられた凸状刃部によって軸方向の他端側に凹陥した凹陥部が形成する。そして2回目以降の剪断工程は前の剪断工程において形成された端面の一部の一方端に位置する凹陥部をパンチの周方向刃部の凸状刃部が設けられていない他端が通過するようにして周壁部分を周方向に長い短冊状に剪断することによって、端面の一部とパンチとが擦れるということがなくなる。
【0013】
また回転工程は、ワークの回転させる所定の回転角度を前の剪断工程において形成された凹陥部を後の剪断工程において周方向刃部の他端が通過する角度としている。即ち前の剪断工程において形成された凹陥部を後の剪断工程においてパンチの周方向刃部の凸状刃部が設けられてない他端が通過するようにワークを回転させることによって、剪断工程において端面の一部とパンチとが擦れるということを回避することが可能となる。
【0014】
このように本発明のワーク打抜き方法は、端面の一部とパンチとが擦れることによって生じるばりをなくすことが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明のワーク打抜き方法の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明のワーク打抜き方法は、円筒形状のワークの一端側の周壁部分を周壁部分の内周側と外周側に対向して配置されたパンチとダイスとを用いて周方向に長い短冊状に剪断してワークの端面の一部を形成する剪断工程とワークの中心軸を中心としてワークを周方向に所定の回転角度だけ回転させる回転工程とを交互に繰り返して、ワークの軸方向の全端面を打ち抜くワーク打抜き方法である。
【0017】
この剪断工程と回転工程は適切な打抜き加工装置を用いて実施することが可能である。ワークの周壁部分を内周側と外周側とからパンチとダイスとを用いて周方向に長い短冊状に剪断してワークの端面の一部を形成することができる剪断機構とワークをその中心軸を中心にして所定の回転角度だけ回転させることができる回転機構を有している打抜き加工装置を適切に用いて実施することが可能である。
【0018】
この場合パンチを円筒形状のワークの周壁部分の内周側に配置して、ダイスを円筒形状のワークの周壁部分の外周側に配置することができるし、逆にダイスを円筒形状のワークの周壁部分の内周側に配置して、パンチを円筒形状のワークの周壁部分の外周側に配置することができる。またパンチを固定してダイスを移動してもよいし、逆にダイスを固定してパンチを移動してもよい。
【0019】
また円筒形状のワークを所定の回転角度だけ回転させることは公知の方法で行うことができる。カム、サーボモータ等の公知の割出機構を用いて行うことができる。
【0020】
この場合円筒形状のワークは、既に述べたクラッチドラムの他、クラッチハブ、スリーブでも可能である。またクラッチドラムのように周壁部分に歯形形状を有する円筒形状のワークの他、歯形形状の有しない円筒形状のワークでも可能である。要は円筒形状のワークの周壁面であれば、本発明のワーク打抜き方法によって軸方向の全端面を打ち抜いて、均等な高さの端面を形成することが可能である。
なおクラッチドラムのように周壁部分が歯形部である場合にはパンチのパンチ面は歯形形状に対応した形状にすることができる。
【0021】
本発明のワーク打抜き方法で用いられるパンチは剪断により端面の一部を形成する周方向刃部と周方向刃部の一端に軸方向に突出して設けられた凸状刃部とを有する切り刃を有する。即ちパンチの切り刃は周方向刃部と凸状刃部とを有している。更に切り刃は周壁部分を軸方向に切断する軸方向刃部を有することができる。周方向刃部の長さによって1回の剪断工程で剪断される端面の一部の周方向の長さが決定されることになる。周方向刃部の長さは概ね円周の20度〜40度とすることができ、好ましくは30度〜36度とすることができる。長さが短すぎると全周を打ち抜くのに時間がかかりすぎる。また長さが長すぎるとワークが変形してしまう。
【0022】
また周方向刃部の一端に軸方向に突出して設けられた凸状刃部の軸方向の高さによって、端面の一部の一方端に形成される凹陥部の深さが決定され、凸状刃部の周方向の幅によって凹陥部の周方向の幅が決定される。凸状刃部の高さは、0.1〜0.3mmにすることができ、好ましくは0.1〜0.2mmである。凸状刃部の高さは、円筒形状のワークとパンチの擦れが生じない高さで、打抜き加工装置の性能、ワークの厚さ、打抜きのクリアランス等を考慮して任意に設定することができる。
【0023】
また凸状刃部の幅は3〜5mmにすることができ、好ましくは4〜5mmである。幅が狭すぎると凸状刃部が強度不足となり、破損してしまう。幅が長すぎるとワークが変形しやすくなる。
【0024】
なお凸状刃部の形状は剪断した周壁部分の端面の一部の一方端に凹陥部を形成することができる形状であればよい。例えばR形状にすることもできる。また矩形形状にすることもできる。
【0025】
なおパンチのパンチ面は円筒形状のワークの周壁部分の形状に対応した形状を有することができる。また周壁部分が歯形形状に形成されている場合には、パンチ面の表面に歯形を形成することもできる。
【0026】
ダイスは、パンチの切り刃に対応した切り刃を有している。従ってダイスの切り刃は、パンチの周方向刃部に対応した周方向刃部を有し、また凸状刃部に対応した凹状刃部を有している。またパンチの軸方向刃部に対応した軸方向刃部を有することができる。なおダイスのこれらの刃部の大きさはワークの厚さ、パンチとのクリアランス等を考慮して適切に定めることができる。なお抜きクリアランスは周壁部分の板厚の7%〜15%とすることができる。
【0027】
このようなパンチとダイスとによって円筒形状のワークの周壁部分は周方向に長い短冊状に剪断されて端面の一部が形成され、端面の一部が形成される際にその端面の一部の一方端に周方向刃部の一端に設けられた凸状刃部によって軸方向の他端側に凹陥した凹陥部を形成されることになる。
【0028】
即ち本発明のワーク打抜き方法においては、剪断工程はワークの周壁部分に端面の一部を形成する際に端面の一部の一方端に凸状刃部によって軸方向の他端側に凹陥した凹陥部を形成し、第2回目以降の剪断工程は周方向刃部の他端を前の剪断工程で形成された凹陥部を通過させている。このように凸状刃部が設けられていない周方向刃部の他端が凹陥部を通過することによって、パンチが前の剪断工程で形成された端面の一部と擦れることがなくなり、従ってばりを生じさせることはない。
【0029】
この場合パンチの周方向刃部の凸状刃部が設けられていない他端が前の剪断工程で形成された凹陥部を通過するようにするには、円筒形状のワークをその中心軸を中心に回転させる所定の回転角度を適切に設定する必要がある。即ち本発明のワーク打抜き方法においては、回転工程は所定の回転角度を剪断工程において周方向刃部の他端が前の剪断工程において形成された凹陥部を通過する角度とする必要がある。
【0030】
所定の回転角度は、パンチの周方向刃部の周方向の長さ、凸状刃部の周方向の長さ等々との関係によって適切に定められるが、概ね{(周方向刃部の周方向の長さ−凸状刃部の周方向の長さ)/ワークの円周の長さ}とすることができる。パンチの周方向刃部の長さよりも回転量を多くすると打ち抜かれない部位ができてしまう。逆に回転量が小さすぎるとばりが発生することになる。
【0031】
即ち本発明のワーク打抜き方法においては、概ね9〜13回の剪断工程で全端面を打ち抜くことができる。好ましくは10〜12回の剪断工程で打ち抜くことが好ましい。この場合所定の回転角度は概ね20度〜40度とすることができ、好ましくは、概ね30度〜36度とすることができる。回転角度が小さくと全周を打ち抜くのに時間がかかりすぎ、回転角度が大きいとワークが変形してしまう。
【0032】
例えばクラッチドラムについて述べると、クラッチドラムの周壁部分に形成された歯形部が40歯からなる場合には、1回の剪断工程で4歯分を打ち抜いて端面の一部を形成し、回転工程でクラッチドラムを36度の回転角度で回転させることができる。このようにすると10回の剪断工程と9回の回転工程とでクラッチドラムの全端面を打ち抜いて均等の高さとすることができる。
【0033】
【実施例】
以下本発明のワーク打抜き方法の実施例について図面を用いて説明する。
【0034】
本実施例では、本発明のワーク打抜き方法を図1に示すワーク打抜き加工装置10を用いて実現している。ここで用いられる円筒形状のワークは図2に示すクラッチドラム50であり、円筒形状のワークの周壁部分はクラッチドラム50の歯形部51である。このクラッチドラム50においては歯形部51の歯は全部で40歯であり、半径70mmである。
【0035】
本実施例の打抜き加工装置10は、対向して配置されているパンチ20とダイス30がクラッチドラム50の歯形部51の内周側と外周側に位置するようにクラッチドラム50を固定するように設定されている。この場合にはクラッチドラム50の底壁部分54を上にして固定されている。即ちクラッチドラム50の歯形部51の外周側にダイス30が配置され、歯形部51の内周側にパンチ20がダイス30に対向して配置されている。
【0036】
そしてこのパンチ60とダイス70を用いてこのクラッチドラム50の歯形部51を長い短冊状に剪断してクラッチドラム50の端面の一部を形成する剪断工程とクラッチドラム50の中心軸を中心としてクラッチドラム50を周方向に所定の40度だけ回転させる回転工程とを交互に繰り返して、クラッチドラム50の歯形部51の全端面を打ち抜いてクラッチドラム50の端面を均等な高さにすることができるようになっている。
【0037】
詳しくいうと剪断工程において、油圧等によってダイスを図1中の矢印方向に押し込んで図中左方向に進行させるとダイス30がクラッチドラム50に接触する。更にダイス30を押し込むとダイス30とクラッチドラム50とが接触したまま共に左方向に進行する。そして図3に示すようにクラッチドラムの内周側に固定されているパンチ20がダイス30によって押された歯形部51に食い込み、ダイス30と相俟って歯形部51の一部が剪断されて周方向に端面の一部が形成される。この場合図3に示すように1回の剪断工程で概ね4歯分の範囲で歯形部51を周方向に短冊状に剪断して、端面の一部を形成する。
【0038】
また回転工程において、図示しないがサーボモータ等を用いることによって、クラッチドラム50がその中心軸を中心にして36度の回転角度だけ回転させられる。従って本実施例では10回の剪断工程と9回の回転工程でクラッチドラム50の軸方向の全端面を打ち抜くことができる。
【0039】
本発明のワーク打抜き方法において用いられるパンチ20は、図4に示すように、剪断によりワークの端面の一部を形成する周方向刃部22と周方向刃部22の一端に軸方向に突出して設けられた凸状刃部23とを有する切り刃21を有し、ワークの周壁部分を軸方向に剪断する軸方向刃部24を有している。パンチ20のパンチ面25はクラッチドラム50の歯形部51に対応した歯形形状をしている。更に、ダイス30はパンチ20が有する前記切り刃21に対応する切り刃(図示しない)を有している。本実施例ではパンチ20の周方向刃部の長さは約44mmである。
【0040】
図5に図4のXの部分を拡大した図を示すが、本実施例ではこの凸状刃部23は、R形状を有している。この凸状刃部23は周方向刃部22より0.3mm程度突出している。また凸状刃部23の幅は4mm程度である。
【0041】
なお図4及び図5では凸状刃部23が下方向を向いた状態のパンチ20が描かれているが、図1では凸状刃部23が上を向く状態にしてパンチ20が設置されている。従ってダイス30もまたそれに対応するように設置されている。
【0042】
図6及び図7に本実施例における剪断工程で形成される端面の一部の概略を示す。なお図7では歯形部51の歯形形状の図示は省略した。図6で示すように剪断工程によってパンチ20とダイス30とを用いてクラッチドラム50の歯形部51の一端側を周方向に長い短冊状に剪断して端面の一部52を形成し、その際に端面の一部52の一方端に軸方向の他端側に凹陥した凹陥部53を形成する。この場合他端側とは底壁部分54の側という意味である。
【0043】
そして次の剪断工程においては、図7のYで示す部分をパンチ20で打ち抜いて剪断する。この剪断工程においてはパンチ20の周方向刃部22の凸状刃部23が設けられていない他端は、前の剪断工程において形成された凹陥部53を通過するようにして、パンチ20が歯形部51を打ち抜いている。このように打ち抜くことによって後の剪断工程においてパンチ20は前の剪断工程において形成された端面の一部52に擦れることはない。従って剪断工程においてばりを生じさせることはない。
【0044】
この場合回転工程においてクラッチドラム50をその中心軸を中心にして36度回転させて、前の剪断工程において形成された凹陥部53を後の剪断工程においてパンチ20の周方向刃部22の他端が通過するようにしている。
【0045】
このようにして本実施例においては、剪断工程においてばりを生じさせることなくクラッチドラム50の軸方向の一端側の全端面の高さが均等になるように打ち抜くことが可能である。
【0046】
なお本発明のワーク打抜き方法は、上述した実施例に限定されるものではない。請求項に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能である。
【0047】
例えば本発明のワーク打抜き方法は、特開平10−296366号公報で開示されている打抜き加工装置を用いて実施することもできる。図8に特開平10−296366号公報に開示された打抜き加工装置の要部断面図を示す。
【0048】
この打抜き加工装置200は、円筒形状のワーク101の外側に配置されたダイス103とワーク101の内側にダイス103と直線的に対向するパンチ102とを備えており、ダイス103は図示しない往復駆動機構によって、図示しない往復駆動機構によってワーク101の半径方向に直線的に移動するように設定されている。従ってダイス103がパンチ102の方に直線移動してダイス103とパンチ102とでワーク101の周壁部分を周方向に長い短冊状に剪断し、ワーク101の端面の一部を形成することができる。またワーク101は図示しない割出機構によって所定の回転角度だけ回転するように設定されている。従ってこの打抜き加工装置200はワーク101の中心軸を中心としてワーク101を割出機構によって周方向に所定の回転角度だけ回転させることができる。
【0049】
従ってパンチ102として剪断により端面の一部を形成する周方向刃部と周方向刃部の一端に軸方向に突出して設けられた凸状刃部とを有する切り刃を有するパンチを用い、ダイス103としてパンチが有する切り刃に対応する切り刃を有するダイスを用いることによって、本発明のワーク打抜き方法を実施することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明のワーク打抜き方法によって、パンチとワークが擦れることにより生じるばりをなくすことができる。
【0051】
また本発明のワーク打抜き方法は、ばりが生じないので、後の工程においてばり取りを行う必要がなく、その分加工コストを低減することが可能となる。
【0052】
またクラッチドラム等のオートマチックトランスミッションに用いられる円筒形状のワークが本発明のワーク打抜き方法で成形されることによって、ばりが脱落することによるオートマチックトランスミッション内への異物の混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に用いられる打抜き加工装置の概要を示した図である。
【図2】 クラッチドラムを示した図である。図1(a)はクラッチドラムのを軸方向からみた図である。図1(b)はクラッチドラムを側面から見た図である。
【図3】 パンチとダイスとクラッチドラムの歯形部を切断する様子を描いた図である。
【図4】 本実施例で用いられるパンチを示した図である。図4(a)はパンチを側面からみた図である。図4(b)はパンチの切り刃を正面にして見た図である。
【図5】 本実施例で用いられるパンチの凸状刃部が設けられた周方向刃部の部分を拡大して示した図である。
【図6】 クラッチドラムを剪断して端面の一部を形成した状態を示した図である。
【図7】 初回の剪断工程で形成された端面の一部と次の剪断工程で剪断される部分を示した図である。
【図8】 特開平10−296366号公報で開示されている打抜き加工装置の要部断面を示した図である。
【図9】 従来のパンチを示した図である。図9(a)はパンチを側面からみた図である。図9(b)はパンチの切り刃を正面にして見た図である。
【図10】 従来の打抜き加工においてクラッチドラムのばりが生ずる箇所を示した図である。
【図11】 従来の打抜き加工において剪断工程で形成された端面の一部と次の剪断工程で剪断される部分を示した図である。
【符号の説明】
10:実施例で用いた打抜き加工装置
20:パンチ 21:切り刃
22:周方向刃部 23:凸状刃部
24:軸方向刃部 25:パンチ面
30:ダイス
50:クラッチドラム
51:歯形部 52:端面の一部
53:凹陥部 54:底壁部分
Claims (3)
- 円筒形状のワークの一端側の周壁部分を該周壁部分の内周側と外周側に対向して配置されたパンチとダイスとを用いて周方向に長い短冊状に剪断して該ワークの端面の一部を形成する剪断工程と該ワークの中心軸を中心として該ワークを周方向に所定の回転角度だけ回転させる回転工程とを交互に繰り返して、該ワークの軸方向の全端面を打ち抜くワーク打抜き方法において、
前記パンチは剪断により前記端面の一部を形成する周方向刃部と該周方向刃部の一端に軸方向に突出して設けられた凸状刃部とを有する切り刃を有し、前記ダイスは前記パンチが有する前記切り刃に対応する切り刃を有し、
前記剪断工程は前記端面の一部を形成する際に前記端面の一部に前記周方向刃部の前記一端に設けられた前記凸状刃部によって軸方向の他端側に凹陥した凹陥部を形成し、第2回目以降の前記剪断工程は前記周方向刃部の他端を前の前記剪断工程で形成された該凹陥部を通過させ、
前記回転工程は前記所定の回転角度を前記剪断工程において前記周方向刃部の前記他端が前の前記剪断工程において形成された前記凹陥部を通過する角度とすることを特徴とするワーク打抜き方法。 - 前記凸状刃部は、R形状である請求項1記載のワーク打抜き方法。
- 前記凸状刃部は、矩形形状である請求項1記載のワーク打抜き方法。
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