JP3682788B2 - シールド掘進機のセグメントエレクタ装置 - Google Patents

シールド掘進機のセグメントエレクタ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルの内壁に沿ってセグメントを組み立てるためのシールド掘進機のセグメントエレクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールド掘進機のセグメントエレクタ装置として、たとえば特願平6−264429号に記載されたものや、実開平4−138497号公報、特開平5−18195号公報で開示されたものがある。
【0003】
特願平6−264429号に記載されたセグメントエレクタ装置は、図9に示すように、垂直面内で作動する2組の4節平行リンク機構によりセグメントをセグメント供給位置からセグメント組立位置に移動するものである。シールド掘進機のシールド本体40は前胴41と後胴42とに分割されており、前胴41は前端で回転するカツタヘッド43と、既設セグメント44から反力をとって伸長するシールドジャッキ45とにより掘進する。後胴42の内部には、旋回支持部材46がシールド本体40の軸心を旋回中心として回動自在に支承され、旋回支持部材46にセグメントエレクタ装置47が装着されている。セグメントエレクタ装置47は、2組の平行リンク48,49を有し、平行リンク49の先端にエレクタヘッド50が取着されている。
【0004】
次に、実開平4−138497号公報で開示されたセグメントエレクタ装置は、図10に示すように、シールド本体60の後胴内に配設された半径方向の支持フレーム61の中心部に、セグメントエレクタ装置62が旋回ドラム63を介して回転可能に配備されている。旋回ドラム63には、頂部にセグメント把持機構64を備えた門型フレーム65が半径方向に移動自在に、かつ、前後方向に揺動自在に支承されている。旋回ドラム63と、門型フレーム65のブラケット66との間には、ジャッキ67が介設され、ジャッキ67の伸縮によりセグメント把持機構64が門型フレーム65とともに前後方向に揺動するように構成されている。
【0005】
また、特開平5−18195号公報で開示されたセグメントエレクタ装置は、図11に示すように、シールド本体70内に旋回可能に取り付けた旋回リング71と、旋回リング71に装着した複数のセグメント用昇降・スライド装置72とを有し、前記セグメント用昇降・スライド装置72は、既設セグメント73内まで伸びて、そこで新設セグメントピース74の把持、吊り上げを行うように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特願平6−264429号に記載されたセグメントエレクタ装置には下記の問題点がある。
(1)把持されたセグメントは、供給位置から組立位置への移動時に平行リンク48により上下動するため、セグメントが下降したとき既設セグメント等に干渉しないように、セグメントを高い位置まで上昇させておかなければならない。従って、セグメントを上下動する昇降ジャッキのストロークを大きくする必要がある。
(2)2組の平行リンク48,49を使用しているため、セグメントエレクタ装置の構造が複雑化する。
(3)図9に示したように送泥管51、排泥管52を備えたシールド掘進機の場合はよいが、掘削土砂を搬送するスクリューコンベアを備えたシールド掘進機の場合はスクリューコンベアの直径が大きいため、本機構ではスクリューコンベヤを通す設計上のスペース確保が困難である。
【0007】
また、実開平4−138497号公報で開示されたセグメントエレクタ装置は、セグメント供給位置に対する揺動角が一定のため、斜坑−水平坑−斜坑のように連続変化するトンネルを施工する場合、水平掘進時にもセグメントを斜めに置いて把持するため、把持の際の作業性が悪いなどの不具合がある。
【0008】
更に、特開平5−18195号公報で開示されたセグメントエレクタ装置は、セグメント用昇降・スライド装置72がセグメント組立位置と既設セグメントに跨がるため、セグメント組立時に邪魔になったり、旋回する際作業者に危険が及ぶなどの不具合があるとともに、セグメントをねじ送りするため、セグメント組立時軸線方向の微調整を容易にすべくねじ送りピッチを小さくすると、セグメントを高速で移動する場合ハンドルを高速で回転させなければならず、作業性が悪い不具合がある。
【0009】
上記の各従来例からみて、揺動方式によるセグメントエレクタ装置の場合は、セグメントの移動途中および移動後の位置、姿勢が変化するため、既設セグメント等との干渉や把持の作業性が悪い。これに対し、直線移動方式によるセグメントエレクタ装置では、セグメントの姿勢は一定になるが、構造が大型で複雑となり、セグメント組立作業性が悪く、高価格となる。本発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、セグメントを供給位置から組立位置まで一定の姿勢を保って容易に、かつ能率よく移動可能なセグメントエレクタ装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1の発明は、シールド掘進機のシールド本体後部に旋回自在に装着された旋回支持部材1に設置され、シールド掘進機により掘削されたトンネルの内壁に沿ってセグメント30を組み立てるためのシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記旋回支持部材1に設置された、セグメント30の昇降方向に平行な旋回軸3a周りの旋回により、トンネルの前後方向に移動する旋回ブラケット3を有し、前記旋回ブラケット3にセグメント把持手段13を有する把持ブラケット11が連結されたエレクタヘッド15,37を備えている。
【0011】
第2の発明は第1の発明において、前記エレクタヘッド15,37はセグメント把持手段13に把持されたセグメント30を所定のヨーイング方向に維持するセグメントヨーイング角補正手段を有する。
【0012】
第3の発明は第2の発明において、前記セグメントヨーイング角補正手段は、エレクタヘッド15,37が前後方向に旋回するとき、この旋回とは逆方向にエレクタヘッド15,37に対してセグメント把持手段13を前後方向に旋回させるものである。
【0013】
第4の発明は第3の発明において、前記セグメントヨーイング角補正手段としてヨーイングジャッキ10を有する。
【0014】
第5の発明は第4の発明において、前記セグメントヨーイング角補正手段としてさらにエレクタヘッド15を前後方向に旋回させる摺動ジャッキ4に追随して伸縮する補正ジャッキ16を有し、この補正ジャッキ16と前記ヨーイングジャッキ10との各ジャッキ室間を接続している。
【0015】
第6の発明は第2の発明において、前記セグメントヨーイング角補正手段としてエレクタヘッド37の第3ブラケット32と第4ブラケット34の間に介在させた平行リンク33を有する。
【0016】
第7の発明は第2の発明において、既設セグメント30aに対するセグメント30のセグメントヨーイング角倣い手段21,23,25,22,24,26を設けた。
【0017】
第8の発明は第1の発明において、前記エレクタヘッド15,37に前記セグメント30のトンネル左右方向位置補正手段12を有する。
【0018】
第9の発明は第2または第7の発明において、前記エレクタヘッド15,37に前記セグメント30のトンネル左右方向位置補正手段12を有する。
【0019】
【作用】
上記構成によれば、シールド掘進機のエレクタヘッド15,37は、所定の駆動手段により旋回支持部材1に設置された、セグメント30の昇降方向に平行な旋回軸3a周りの前後方向に旋回する。
【0020】
このエレクタヘッド15,37の旋回により、エレクタヘッド15,37に装着されたセグメント把持手段13はトンネルの前後方向に移動する。
【0021】
従って、セグメント供給位置に搬入されたセグメントをそれより前方のセグメント組立位置へ移動する際に、エレクタヘッド15,37は前記旋回軸3a周りの前後方向に旋回するため、セグメント30はトンネル上下方向には変位のない水平面内の動きであるので、既設セグメント30a等との干渉を起こさない。
【0022】
前記エレクタヘッド15,37にセグメントヨーイング角補正手段を設置すれば、エレクタヘッド15,37が前後方向に旋回してもセグメント30は前後方向に旋回することなく、所定のヨーイング方向に維持される。
【0023】
前記セグメントヨーイング角補正手段は、エレクタヘッド15,37に対してセグメント把持手段13を前後方向、反対方向に旋回させることにより、セグメント30は所定のヨーイング方向に維持される。
【0024】
前記セグメントヨーイング角補正手段は、エレクタヘッド15,37が前後方向に旋回するとき、このエレクタヘッド15,37の旋回角に応じてこれと反対方向に、ヨーイングジャッキ10によりセグメント把持手段13を前後方向に旋回させれば、セグメント30は所定のヨーイング方向に維持される。
【0025】
前記セグメントヨーイング角補正手段は、エレクタヘッド15を旋回させる摺動ジャッキ4に追随して伸縮する補正ジャッキ16を設け、この補正ジャッキ16と前記ヨーイングジャッキ10との各ジャッキ室間を接続すれば、エレクタヘッド15が前後方向に旋回した角度だけ、これと反対方向にセグメント把持手段13が前後方向に旋回するため、セグメント30は所定のヨーイング方向に維持される。
【0026】
前記セグメントヨーイング角補正手段は、エレクタヘッド37に平行リンク33を介在させることにより、エレクタヘッド37が前後方向に旋回するとき、セグメント把持手段13に把持されたセグメント30は所定のヨーイング方向に維持される。
【0027】
前記セグメント把持手段13に把持されたセグメント30を既設セグメント30aに強制的に押し付けると、セグメントヨーイング角倣い手段21,23,25,22,24,26により、前記セグメント把持手段13に把持されたセグメント30は既設セグメント30aのヨーイング方向に倣う。
【0028】
前記セグメント30のトンネル左右方向位置補正手段12を設ければ、エレクタヘッド15,37が旋回支持部材1に設置された前記旋回軸周りに旋回して、セグメント30の位置がトンネル左右方向にずれても所定の位置に補正できる。
【0029】
前記エレクタヘッド15,37にセグメントヨーイング角補正手段とセグメント30のトンネル左右方向位置補正手段12とを設置すれば、エレクタヘッド15,37が前後方向に旋回してもセグメント30は前後方向に旋回することなく、所定のヨーイング方向に維持されると共に、セグメント30のトンネル左右方向の位置を所定の位置に補正できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るセグメントエレクタ装置の実施例について、図面を参照して説明する。
【0031】
図1は本発明の第1実施例に係るセグメントエレクタ装置の正面図、図2は図1のZ視図である。
【0032】
シールド本体の後胴内に後胴の軸心周りに旋回自在に設けられた旋回支持部材1には、後胴の軸線に平行に後方へ突出する固定ブラケット2が固定され、この固定ブラケット2の先端にはブシュ2a(または転がり軸受)を介して回転自在な旋回軸3aがセグメント30の昇降方向に平行に装着され、この旋回軸3aにはトンネルの前後方向に旋回する旋回ブラケット3が固定されている。
【0033】
固定ブラケット2と旋回ブラケット3との間には摺動ジャッキ4が設けられていて、摺動ジャッキ4により旋回ブラケット3は固定ブラケット2に対してトンネルの前後方向に旋回自在となる。
【0034】
旋回ブラケット3には、互いに平行な1対の板状の平行リンク5を介して第1ブラケット6が連結され、この第1ブラケット6は、旋回ブラケット3と平行リンク5との間に設けられた昇降ジャッキ7により昇降自在になっている。第1ブラケット6にはピン8を介して第2ブラケット9が取り着けられ、この第2ブラケット9は、平行リンク5と第2ブラケット9との間に設けられたヨーイングジャッキ10によりピン8を支点として回動自在である。
【0035】
第2ブラケット9の下面には、軸受により直線移動自在な把持ブラケット11が装着され、この把持ブラケット11は、第2ブラケット9と把持ブラケット11との間に設けた微伸長ジャッキ12によりトンネルの左右方向に移動することができる。
【0036】
前記第2ブラケット9の下面に把持ブラケット11を装着する軸受としては、第2ブラケット9に設けた直線の溝に、図示しない鋼球を介して把持ブラケット11を滑動自在に装着してもよく、また、第2ブラケット9に設けた直線の溝に、図示しないガイドレールを装着して、このガイドレールに沿って把持ブラケット11を滑動させてもよい。
【0037】
また、把持ブラケット11には、セグメント把持手段13とサポートジャッキ14とが設けられている。
【0038】
前記セグメント把持手段13は、トンネルの前後方向に対向すると共にピン穴が形成された1対のブラケットであり、また、サポートジャッキ14はセグメント把持手段13の両側に設置され、このサポートジャッキ14の伸長により、セグメント把持手段13に把持されたセグメント30が前記ピン穴に挿入されたピン周りに揺動するのを抑止する。ここで、エレクタヘッド15は、旋回ブラケット3からセグメント把持手段13とその付属品に至る部品により構成される。
【0039】
更に、固定ブラケット2と旋回ブラケット3との間には、摺動ジャッキ4の下方に摺動ジャッキ4と平行に補正ジャッキ16が設けられ、補正ジャッキ16は摺動ジャッキ4の伸縮作動に追随して伸縮する。また、旋回支持部材1には、各油圧ジャッキに圧油を供給する油圧ポンプと油タンクを一体にまとめたポンプユニット17が、前記固定ブラケット2と略対向する位置に設けられている。
【0040】
補正ジャッキ16とヨーイングジャッキ10とは、図3に示すように相互のヘッド室間およびボトム室間がホース等の管路18,19で接続されている。なお、補正ジャッキ16は摺動ジャッキ4の下側に設置されているが、図3では識別を容易にするため摺動ジャッキ4の横に記載する。本実施例では、セグメントヨーイング角補正手段としてヨーイングジャッキ10、補正ジャッキ16および管路18,19を備えている。
【0041】
次に、第1実施例に係るセグメントエレクタ装置の作用について説明する。エレクタヘッド15のセグメント把持手段13をセグメント供給位置に移動させる場合、摺動ジャッキ4を伸長させて、平行リンク5を後方に旋回させる。エレクタヘッド15は水平面内で旋回するが、図3に示すようにヨーイングジャッキ10と管路18,19で連通する補正ジャッキ16の伸縮量(ジャッキ内の油の容積変化)に応じてヨーイングジャッキ10が伸縮することにより、第2ブラケット9に装着されると共に、セグメント把持手段13固定された把持ブラケット11は、前記エレクタヘッド15と反対方向に(この場合、平行リンク5と反対方向に)旋回する。このため、エレクタヘッド15の旋回によって生じるセグメント把持手段13のヨーイング方向の旋回、すなわち水平面内の旋回は自動的に修正される。この場合には、摺動ジャッキ4の伸長に伴って補正ジャッキ16も伸長し、ヨーイングジャッキ10が収縮する。これにより、平行リンク5の中心線に対する第2ブラケット9の傾き角θ2 は、固定ブラケット2に対する平行リンク5の傾き角θ1 に等しくなる。また、エレクタヘッド15の旋回によって生じた把持ブラケット11のトンネル左右方向のずれは、図2に示した微伸長ジャッキ12の伸長によって修正される。
【0042】
その後、昇降ジャッキ7を伸長させて、第2ブラケット9に装着された把持ブラケット11を下方に移動させる。把持ブラケット11の昇降は平行リンク5を介して行うため、常に平行移動する。把持ブラケット11の昇降によって生じるトンネル左右方向のずれは、前記と同様に微伸長ジャッキ12の伸縮により修正する。これにより、組立位置での姿勢を常に一定に保ったまま、セグメント供給位置への移動が可能となる。そして、セグメント把持手段13によりセグメント30を把持した上、セグメント30にサポートジャッキ14を押しつけてセグメント30を固定し、昇降ジャッキ7を収縮させてセグメント30を上昇させる。次に、摺動ジャッキ4を収縮させてセグメント30を組立位置に移動する。
【0043】
セグメント30をセグメントエレクタ装置に把持したまま、摺動ジャッキ4を収縮させて平行リンク5をトンネル前方に旋回させた後、セグメント組立位置まで旋回支持部材(旋回リング)1を後胴の軸心の周りに旋回させる。そして、先に述べたセグメント供給位置への把持ブラケット11の移動と同様に、昇降、摺動、微伸長の各ジャッキ7,4,12を駆動してセグメント30の既設セグメント30aに対して位置合わせした後、組み付けを行う。
【0044】
セグメントエレクタ装置の旋回によって生じる把持ブラケット11のトンネル左右方向のずれは、本実施例では微伸長ジャッキ12を手動操作することにより補正されるが、第2ブラケット9に対する把持ブラケット11の相対位置を検出する手段と、この検出手段による検出結果に基づいて微伸長ジャッキ12を作動させる制御装置を設ければ、把持ブラケット11のトンネル左右方向のずれを自動的に修正することができる。
【0045】
図4は、セグメント把持手段13に把持したセグメント30を既設セグメント30aの方向と一致させるヨーイング角倣い手段の一例を示す説明図である。同図に示すように、ヨーイングジャッキ10と補正ジャッキ16とを連通する管路18,19にはそれぞれ油タンク20に至る分岐管路21,22が設けられ、これらの分岐管路21,22には、それぞれリリーフ弁23,24およびチェック弁25,26が配設されている。
【0046】
摺動ジャッキ4を伸長側に駆動してセグメント30を隣接する既設セグメント30aに押し付けたとき、ヨーイングジャッキ10のボトム側10bの油はリリーフ弁24を経て油タンク20に排出され、同時にヘッド側10aにはチェック弁25を介して油タンク20から必要量の油が流入する。これにより、固定ブラケット2に対する平行リンク5の傾き角θ1 と、平行リンク5の中心線に対する第2ブラケット9の傾き角θ2 との関係はθ1 ≠θ2 となり、セグメント30は容易に既設セグメント30aに倣うことができる。
なお、セグメント供給位置において、セグメント30がトンネル前後方向に対して傾斜した位置に置かれている場合でも、前記ヨーイング角倣い手段を用いることにより、エレクタヘッド15の第2ブラケット9または把持ブラケット11をセグメント30に押し付ければ、セグメント把持手段13固定された把持ブラケット11を容易にセグメント30の方向に倣わせることができる。
【0047】
上記倣い操作によるセグメント30または把持ブラケット11のずれは、セグメント30を既設セグメント30aに組み付けた後、空荷の状態で図5に示すように摺動ジャッキ4を押し出し側にストロークエンドまで駆動することにより修正することができる。摺動ジャッキ4の駆動に伴って補正ジャッキ16もストロークエンドまで伸長し、ヨーイングジャッキ10のヘッド側10aの油はリリーフ弁23を経て油タンク20に排出され、ボトム側10bにはチェック弁26を介して油タンク20から必要量の油が流入する。これにより、固定ブラケット2に対する平行リンク5の傾き角θ1 と、平行リンク5の中心線に対する第2ブラケット9の傾き角θ2 との関係はθ1 =θ2 となり、仮にズレが生じている場合でも容易にヨーイング修正を行うことができる。
【0048】
図6は本発明の第2実施例を示す模式図で、第2ブラケット9には固定ブラケット2と旋回ブラケットとの成す旋回角度を検出する旋回角度センサ27が装着されている。摺動ジャッキ4が駆動してエレクタヘッド15が旋回したとき、これに伴う旋回角度センサ27の検出値によりヨーイングジャッキ10を駆動して、第2ブラケット9および把持ブラケット11の向きを常にトンネル左右方向等の一定の方向に保つことができる。本実施例の場合、補正ジャッキは不要である。
【0049】
図7は本発明の第3実施例によるセグメントエレクタ装置の正面図、図8は前記装置の平面図である。シールド本体の後胴内に旋回自在に設けられた旋回支持部材1には、後胴の軸線に平行に後方へ突出する固定ブラケット31が取着されている。固定ブラケット31には、互いに平行な1対の板状の平行リンク5を介して第3ブラケット32が連結され、第3ブラケット32は固定ブラケット31と平行リンク5との間に設けられた昇降ジャッキ7により昇降自在になっている。前記第3ブラケット32の下面には水平面内で回動する1対の平行リンク33が取着され、更に平行リンク33の下側に第4ブラケット34が取着されている。すなわち、平行リンク33は、セグメントの昇降方向に平行な2つの基端側連結ピンを旋回軸として旋回する。第4ブラケット34の下面には第1実施例と同様にセグメント把持手段13を備えた把持ブラケット11が直線移動自在に装着されている。把持ブラケット11の左右方向移動は図示しない微伸長ジャッキ(第1実施例参照)の作動により行われる。また、第3ブラケット32には摺動ジャッキ35がピン36を支点として水平面内で揺動自在に取り付けられ、この摺動ジャッキ35は平行リンク33に連結されている。エレクタヘッド37は固定ブラケット31からセグメント把持手段13とその付属品に至る部品により構成されている。本実施例では、セグメントヨーイング角補正手段として平行リンク33、第4ブラケット34、摺動ジャッキ35およびピン36を備えている。
【0050】
エレクタヘッド37のセグメント把持手段13をセグメント供給位置に移動させる場合には、摺動ジャッキ35を伸長側に駆動すると、平行リンク33が後方に旋回する。平行リンクを用いているため、前記旋回による把持ブラケット11のヨーイング方向のズレ、すなわち水平面内の旋回は生じない。また、前記旋回によって生じたセグメント把持手段13のトンネル左右方向のズレは、微伸長ジャッキの伸長によって修正する。
【0051】
把持ブラケット11の昇降は、第1実施例と同様に昇降ジャッキ7を駆動して行い、これによって生じるトンネル左右方向のズレは、微伸長ジャッキの伸縮により修正する。従って、セグメント30が組立位置での姿勢を常に一定に保ったまま、セグメント供給位置への移動が可能となる。なお、図7には示していないが、図4に示したセグメントヨーイング倣い機構、図5に示したヨーイングずれ修正機構を設ける場合は、第4ブラケット34と把持ブラケット11との間にヨーイングジャッキにより回動するブラケットを設ける必要がある。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次の効果が得られる。
(1)エレクタヘッドはセグメントの昇降方向に平行な旋回軸周りに旋回するため、エレクタヘッドに把持されたセグメントは水平面内でトンネルの前後方向に移動し、トンネル上下方向の変位をしないため、供給位置に搬入されたセグメントを組立位置へ移動する際に、既設セグメント等との干渉がなく安全性が向上する。
(2)前記エレクタヘッドにセグメントヨーイング角補正手段を設置すれば、エレクタヘッドが旋回してもセグメントは旋回することなく、所定のヨーイング方向に維持されるため、セグメント組立作業の容易化を図ることができる。
(3)前記セグメントヨーイング角補正手段は、エレクタヘッドの旋回に応じて、各ジャッキ室間を接続した補正ジャッキとヨーイングジャッキとにより、セグメント把持手段を自動的に反対方向に旋回させる簡単な構成により、セグメント把持手段に把持されたセグメントを所定のヨーイング方向に自動的に維持できるため、セグメント組立時の作業性が向上する。
(4)前記セグメントヨーイング角補正手段は、エレクタヘッドに平行リンクを介してセグメント把持手段を自動的に反対方向に旋回させれば、さらに簡単な構成によりセグメント把持手段に把持されたセグメントを所定のヨーイング方向に維持できるので、セグメント組立時の作業性が向上する。
(5)前記セグメントヨーイング角倣い手段によれば、セグメントを既設セグメントに強制的に押し付ける等の簡単な操作により、セグメントを既設セグメントのヨーイング方向に倣わせてセグメントのヨーイング角を任意に変更できるため、セグメント組立作業時間の短縮を図ることができる。
(6)前記セグメントヨーイング角倣い手段により任意に変更されたヨーイング角は、セグメントヨーイング角修正手段により、セグメントを既設セグメントに強制的に押し付ける等の簡単な操作により、所定のヨーイング方向に容易に修正できるため、新規のセグメント組立時におけるセグメント組立作業時間の短縮を図ることができる。
(7)セグメントヨーイング角倣い手段とセグメントヨーイング角修正手段とを併設すれば、前記セグメント把持手段に把持されたセグメントは既設セグメントのヨーイング方向に倣わせることも、所定のヨーイング方向に修正することもできるため、セグメント組立作業時間の一層の短縮化を図ることができる。
(8)前記エレクタヘッドがトンネル前後方向に旋回してセグメントの位置がトンネル左右方向にずれても、トンネル左右方向位置補正手段を設ければセグメントを所定の位置に簡単に補正できるため、この面からもセグメント組立作業時間の短縮化を図ることができる。
(9)前記エレクタヘッドにセグメントヨーイング角補正手段と、セグメントのトンネル左右方向位置補正手段と、セグメントヨーイング角倣い手段と、セグメントヨーイング角修正手段とを設置すれば、エレクタヘッドが旋回してもセグメントは旋回することなく、所定のヨーイング方向に維持されると共に、セグメントのトンネル左右方向の位置を所定の位置に補正でき、かつ前記セグメント把持手段に把持されたセグメントは既設セグメントのヨーイング方向に倣わせることも、所定のヨーイング方向に修正することも可能であるため、セグメント組立時の作業性が向上し、加えてセグメント組立作業時間のさらに一層の短縮化を図ることができる。
(10)エレクタヘッドは片リンク揺動式のため、セグメント組立時の作業空間が広くとれることにより作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るセグメントエレクタ装置の正面図である。
【図2】 図1のZ視図である。
【図3】 セグメントヨーイング角補正手段の一例を示す説明図である。
【図4】 セグメントヨーイング角倣い手段の一例を示す説明図である。
【図5】 倣い操作によるヨーイング角修正手段を示す説明図である。
【図6】 本発明の第2実施例に係るセグメントエレクタ装置の模式図である。
【図7】 本発明の第3実施例に係るセグメントエレクタ装置の正面図である。
【図8】 図7に示したセグメントエレクタ装置の平面図である。
【図9】 従来のセグメントエレクタ装置を装着したシールド掘進機の部分断面図である。
【図10】 従来のセグメントエレクタ装置の他の例を示す説明図である。
【図11】 従来のセグメントエレクタ装置の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 旋回支持部材
2 固定ブラケット
3 旋回ブラケット(エレクタヘッド)
3a 旋回軸
4,35 摺動ジャッキ
5,33 平行リンク(エレクタヘッド)
6 第1ブラケット(エレクタヘッド)
7 昇降ジャッキ(エレクタヘッド)
9 第2ブラケット(エレクタヘッド)
10 ヨーイングジャッキ(エレクタヘッド)
11 把持ブラケット(エレクタヘッド)
12 微伸長ジャッキ(エレクタヘッド)
13 セグメント把持手段(エレクタヘッド)
14 サポートジャッキ(エレクタヘッド)
15,37 エレクタヘッド
16 補正ジャッキ
23,24 リリーフ弁
25,26 チェック弁
27 旋回角度センサ
30 セグメント
30a 既設セグメント
31 固定ブラケット(エレクタヘッド)
32 第3ブラケット(エレクタヘッド)
34 第4ブラケット(エレクタヘッド)

Claims (9)

  1. シールド掘進機のシールド本体後部に旋回自在に装着された旋回支持部材(1)に設置され、シールド掘進機により掘削されたトンネルの内壁に沿ってセグメント(30)を組み立てるためのシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記旋回支持部材(1)に設置された、セグメント(30)の昇降方向に平行な旋回軸(3a)周りの旋回により、トンネルの前後方向に移動する旋回ブラケット(3)を有し、前記旋回ブラケット(3)にセグメント把持手段(13)を有する把持ブラケット(11)が連結されたエレクタヘッド(15,37)を備えていることを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
  2. 請求項1記載のシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記エレクタヘッド(15,37)はセグメント把持手段(13)に把持されたセグメント(30)を所定のヨーイング方向に維持するセグメントヨーイング角補正手段を有することを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
  3. 請求項2記載のシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記セグメントヨーイング角補正手段は、エレクタヘッド(15,37)が前後方向に旋回するとき、この旋回とは逆方向にエレクタヘッド(15,37)に対してセグメント把持手段(13)を前後方向に旋回させるものであることを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
  4. 請求項3記載のシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記セグメントヨーイング角補正手段としてヨーイングジャッキ(10)を有することを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
  5. 請求項4記載のシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記セグメントヨーイング角補正手段としてさらにエレクタヘッド(15)を前後方向に旋回させる摺動ジャッキ4に追随して伸縮する補正ジャッキ(16)を有し、この補正ジャッキ(16)と前記ヨーイングジャッキ(10)との各ジャッキ室間を接続することを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
  6. 請求項2記載のシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記セグメントヨーイング角補正手段としてエレクタヘッド(37)の第3ブラケット(32)と第4ブラケット(34)の間に介在させた平行リンク(33)を有することを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
  7. 請求項2記載のシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、既設セグメント(30a)に対するセグメント(30)のセグメントヨーイング角倣い手段(21,23,25,22,24,26)を設けたことを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
  8. 請求項1記載のシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記エレクタヘッド(15,37)に前記セグメント(30)のトンネル左右方向位置補正手段(12)を有することを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
  9. 請求項2または7記載のシールド掘進機のセグメントエレクタ装置において、前記エレクタヘッド(15,37)に前記セグメント(30)のトンネル左右方向位置補正手段(12)を有することを特徴とするシールド掘進機のセグメントエレクタ装置。
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